2022-014959
一体化された電子機器を備えた陰圧創傷治療装置及び方法
- 審判番号
- 2022-014959
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-516606外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年09月21日
- 審決日
- 2023年04月18日
- 公報発行日
- 2023年10月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】スミス アンド ネフュー ピーエルシー
- 【請求人代理人】村山 靖彦
- 【請求人代理人】実広 信哉
- 【請求人代理人】阿部 達彦
- 分類
- P18 .121-Z (A61M)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 11項目
第1 手続の経緯
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本願は、2017年(平成29年) 9月29日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2016年 9月30日 (US)アメリカ合衆国 2016年 9月30日 (US)アメリカ合衆国 2016年 9月30日 (US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。
第2 令和 4年 9月21日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和 4年 9月21日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について
(1)本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、以下のとおり補正された。(下線は、補正箇所であり、当審が付与したものである。)
「【請求項1】創傷被覆材装置であって、創傷と接触して配置されるよう構成される創傷接触層と、前記創傷接触層上の第一エリアであって、スペーサ層、および前記スペーサ層上の吸収層を含む、第一エリアと、電子カセットを備える前記創傷接触層の上の第二エリアであって、前記電子カセットが陰圧源および/またはケーシングによって囲まれた電子構成要素を備え、前記第一エリアが前記第二エリアに隣接して位置付けられ、前記ケーシングが、前記陰圧源および/または電子構成要素を囲み、前記第一エリアと第二エリアとの間の流体連通を可能にするように構成される、第二エリアと、前記第一エリアと前記第二エリアとから成る創傷被覆材を被覆し、前記創傷被覆材の上で封止を形成するよう構成されるカバー層と、を含む、創傷被覆材装置であって、前記カバー層が、透湿性を有している、創傷被覆材装置。」
(2)本件補正前の、令和 3年12月24日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、以下のとおりである。
「【請求項1】創傷被覆材装置であって、創傷と接触して配置されるよう構成される創傷接触層と、前記創傷接触層上の第一エリアであって、スペーサ層、および前記スペーサ層上の吸収層を含む、第一エリアと、電子カセットを備える前記創傷接触層の上の第二エリアであって、前記電子カセットが陰圧源および/またはケーシングによって囲まれた電子構成要素を備え、前記第一エリアが前記第二エリアに隣接して位置付けられ、前記ケーシングが、前記陰圧源および/または電子構成要素を囲み、前記第一エリアと第二エリアとの間の流体連通を可能にするように構成される、第二エリアと、前記創傷接触層と、前記第一エリアと、前記第二エリアとを被覆し、それらの上で封止を形成するよう構成されるカバー層と、を含む、創傷被覆材装置。」
2 補正の適否について
本件補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「カバー層」について、「透湿性を有している」と特定するものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、前記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用文献の記載事項及び引用発明
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(2-1)原査定の拒絶の理由で引用された、本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特表2015-514451号公報(平成27年 5月21日出願公開。以下「引用文献」という。)には、図面とともに次の記載がある。(下線は、当審が付与したものである。)
ア「【0034】
本明細書に開示された任意の被覆材キットの実施形態の被覆材は、創傷被覆材の幅にわたって延在すると共に気体に対して不浸透性であるが水蒸気に対して浸透性のある被覆層を、備え得る。被覆層は、例えば、ポリウレタン膜(例えば、Elastollan SP9109)、または、一方の側に圧力感応型の接着剤を有する任意の他の適切な材料であってもよく、実質的に気体不浸透性であり、それにより、創傷を覆う実質的に封じられた包囲領域を作り出す。この方法で、事実上の空間が被覆層と創傷部位との間に作られ、その空間では負圧が確立され得る。被覆層は、例えば接着剤または溶着技術を用いて、被覆材の周囲の周りの境界領域で創傷接触層に封着される…」
イ「【0098】
代替で、図11を参照すると、ある実施形態では、追加層(透過層、スペーサ層、吸収層、および/または三次元の編物層もしくは三次元の布層であり得る)が、ポンプ232の下で、裏層と創傷接触層246との間に位置付けられ得る。例えば、任意の実施形態において、ポンプは、ポンプと三次元の編物層および/または布層との間に位置付けられている液体フィルタがある場合でもない場合でも、本明細書に開示された組成のいずれかの三次元の編物層および/または布層(図11に示す三次元の編物層および/または布層237など)を覆って位置付けられ得る。ポンプ232のポートは、三次元の編物層および/または布層と流体連通していてもよい。任意の実施形態において、裏層244は、病原菌、バクテリア、臭気、または他の汚染物質が、ポンプから出ていくのを防ぐために、排出弁および/またはフィルタで、ポンプ232を覆って位置付けられてもよい。」
ウ「【0102】
また、任意の実施形態では、ポンプは、透過層の最上部に直に位置付けられるように、吸収層に形成された窪みに位置付けられ得る。ポンプのポートは、負圧が吸収層に直に適用されるように、吸収層と連通するように位置付けられ得る。ある実施形態は、ポリウレタン層またはポリエチレン層といった、吸収層と透過層との間に、穿孔されているかまたは浸透性の高分子膜を備え得る。
【0103】
さらに、本明細書に開示された任意の実施形態では、ポンプは、透過層(三次元の編物層および/または布層、あるいは他の任意の適切な透過性材料であり得る)を覆って直に位置付けられ得るか、1つまたは2つ以上の吸収層内に埋め込まれ得るか、あるいは1つまたは2つ以上の吸収層に隣接して位置付けられ得る。」
エ「【0105】
これらの実施形態のうちのいずれかについての電力源は、ポンプアセンブリの筺体内に位置付けられ得るか、吸収性層に隣接してか、もしくは離れて、吸収性層の内部もしくは上方のいずれかで、ポンプアセンブリの筺体に隣接して位置付けられ、被覆材により支持され得るか、吸収性層の最上部に位置付けられ得るか、またはポンプアセンブリから離れた遠隔位置に位置付けられ得る。図13を参照すると、任意の実施形態において、ポンプアセンブリ232および/または電池234は、創傷接触層246の最上部に位置付けられるように、被覆材238の縁部の内側で被覆材の裏層下において、吸収層または透過層の厚さ全体を貫通する窪みまたは切欠きに、位置付けられ得る。」
オ「【0107】
限定されることはないが、図12および図13に示した実施形態を含む、本明細書に開示された実施形態のいずれにおいても、ポンプアセンブリ232および/または電池234は、裏層244の下に位置付けられ得る。また、ある実施形態では、ポンプアセンブリ232および/または電池234は、被覆材238の1つまたは2つ以上の吸収層236に埋め込まれ得る。この構成は、被覆材キット230の外形を小さくでき、ポンプアセンブリおよび/または電池の能力を向上して衝撃に耐えることができ、より美的な設計を提供できる。ある実施形態では、裏層244は、穿孔されているか、または気体浸透性であって、ポンプアセンブリにより排出された気体に裏層244を通過させることができる。また、本明細書に開示された実施形態のいずれにおいても、裏層244は、水蒸気浸透性であって、被覆材内の液体からの蒸気に裏層244を通過させることができる。」
カ「【0108】
図14Aは、被覆材252と、ポンプ254と、電力源256と、を備える被覆材キット250の別の実施形態を示している。」
キ「【0126】
図21は、被覆部材372または別の支持部材のいずれかに支持されたポンプアセンブリ374および電力源376を備える別の被覆材キットの実施形態370を示している。ある実施形態では、被覆部材372は、ポンプアセンブリ374および/または電力源376を受け入れるように構成された窪み373を備え得る。図21を参照すると、本明細書に開示された任意の実施形態では、1つまたは2つ以上の電池は、電力源376の少なくとも一部を包囲する筺体377と取り外し可能に係合できるように構成された取り外し可能なカートリッジで支持され得る。ある実施形態では、筺体377は、ポンプアセンブリ374を支持または包囲もできる。」
ク「
[図:0001402442000001.jpg]
」
ケ「
[図:0001402442000002.jpg]
」
(2-2)上記(2-1)ア~ケの記載事項から、引用文献には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。
a 上記オの、図13の実施形態に関する「ポンプアセンブリ232」、「裏層244」、「吸収層236」、「被覆材キット230」の記載を踏まえれば、図13Aから、ポンプアセンブリ232と、吸収層236と、裏層244とを備えた被覆材キット230が看取される。
上記イの「創傷接触層246」の記載、同「追加層(透過層、スペーサ層、吸収層、および/または三次元の編物層もしくは三次元の布層であり得る)」及び「図11に示す…布層237」の記載、及び図11A、図13Aの記載からみて、図13Aの被覆材キット230は、図11Aの被覆材キット230と同様に、創傷接触層246と、スペーサ層237とを備えるといえる。
そして、上記エの「図13を参照すると、任意の実施形態において、ポンプアセンブリ232および/または電池234は、創傷接触層246の最上部に位置付けられるように、被覆材238の縁部の内側で被覆材の裏層下において、吸収層または透過層の厚さ全体を貫通する窪みまたは切欠きに、位置付けられ得る。」との記載を参照すれば、図13Aから、創傷接触層246と、スペーサ層237と、吸収層236と、裏層244と、ポンプアセンブリ232とを備えた被覆材キット230が看取される。
b 上記ウの「本明細書に開示された任意の実施形態では、ポンプは、透過層(三次元の編物層および/または布層、あるいは他の任意の適切な透過性材料であり得る)を覆って直に位置付けられ得るか、1つまたは2つ以上の吸収層内に埋め込まれ得るか、あるいは1つまたは2つ以上の吸収層に隣接して位置付けられ得る。」との記載から、図13Aの被覆材キット230は、ポンプアセンブリ232が吸収層236に隣接して位置付けられており、同「任意の実施形態では、ポンプは、透過層の最上部に直に位置付けられるように、吸収層に形成された窪みに位置付けられ得る。ポンプのポートは、負圧が吸収層に直に適用されるように、吸収層と連通するように位置付けられ得る。」との記載から、図13Aの被覆材キット230は、ポンプアセンブリ232が吸収層236と連通するように位置付けられている。
c 上記アの「本明細書に開示された任意の被覆材キットの実施形態の被覆材は、創傷被覆材の幅にわたって延在すると共に気体に対して不浸透性であるが水蒸気に対して浸透性のある被覆層を、備え得る。」、「被覆層は、例えば接着剤または溶着技術を用いて、被覆材の周囲の周りの境界領域で創傷接触層に封着される」との記載、及び上記オの「本明細書に開示された実施形態のいずれにおいても、裏層244は、水蒸気浸透性であって、被覆材内の液体からの蒸気に裏層244を通過させることができる。」との記載を参照しつつ図13Aを見ると、創傷被覆材の上で封止を形成するように裏層244が構成されている態様が看取される。そして、図13Aの被覆材キット230は、裏層244が水蒸気浸透性を有している。
d 上記aを踏まえれば、図13Aから、創傷接触層246上にスペーサ層237が配置され、該スペーサ層237上に吸収層236が配置される点が看取される。
e 上記aを踏まえれば、図13Aから、創傷接触層246上にポンプアセンブリ232が配置される点が看取される。
上記a~eを総合すると、引用文献には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているといえる。
「創傷接触層246と、スペーサ層237と、吸収層236と、裏層244と、ポンプアセンブリ232とを備えた被覆材キット230であって、創傷接触層246上にスペーサ層237が配置され、該スペーサ層237上に吸収層236が配置され、創傷接触層246上にポンプアセンブリ232が配置され、ポンプアセンブリ232が吸収層236に隣接して位置付けられており、ポンプアセンブリ232が吸収層236と連通するように位置付けられており、創傷被覆材の上で封止を形成するように裏層244が構成され、裏層244が水蒸気浸透性を有している、被覆材キット230。」
(3)対比・判断
本件補正発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「裏層244」は、その機能からみて、本件補正発明の「カバー層」に相当する。
同様に、引用発明の「創傷接触層246」は、創傷と接触して配置されることが明らかであるから、本件補正発明の「創傷と接触して配置されるよう構成される創傷接触層」に相当する。
引用発明の「創傷接触層246上にスペーサ層237が配置され、該スペーサ層237上に吸収層236が配置され」た被覆材キット230の領域は、本件補正発明の「前記創傷接触層上の第一エリアであって、スペーサ層、および前記スペーサ層上の吸収層を含む、第一エリア」に相当する。
また、引用発明の「ポンプアセンブリ232」が本件補正発明の「陰圧源」に相当することを踏まえると、引用発明の「創傷接触層246上にポンプアセンブリ232が配置され」た被覆材キット230の領域は、本件補正発明の「陰圧源」「を備え」る「前記創傷接触層の上の第二エリア」に相当する。
したがって、引用発明の「創傷接触層246」と「スペーサ層237」と「吸収層236」と「裏層244」と「ポンプアセンブリ232」とを有する「被覆材キット230」は、本件補正発明の「創傷接触層」と「第一エリア」と「第二エリア」と「カバー層」とを含む「創傷被覆材装置」に相当する。
そして、上記した「第一エリア」、「第二エリア」の相当関係を踏まえると、引用発明において「ポンプアセンブリ232が吸収層236に隣接して位置付けられて」いる点は、本件補正発明の「前記第一エリアが前記第二エリアに隣接して位置付けられ」る点に相当し、同様に、「ポンプアセンブリ232が吸収層236と連通するように位置付けられて」いる点は、当該「連通」が「流体連通」を意味するのは明らかであるから、「前記第一エリアと第二エリアとの間の流体連通を可能にするように構成される」点に相当する。
ここで、引用発明の「創傷被覆材」は、上記(2-1)アの「本明細書に開示された任意の被覆材キットの実施形態の被覆材は、創傷被覆材の幅にわたって延在すると共に気体に対して不浸透性であるが水蒸気に対して浸透性のある被覆層を、備え得る。」との記載に鑑みれば、裏層244の下に配置される創傷接触層246とスペーサ層237と吸収層236とポンプアセンブリ232の総称である。そうすると、引用発明の「創傷被覆材」は、上述の「第一エリア」、「第二エリア」の相当関係を併せみれば、本件補正発明の「前記第一エリアと前記第二エリアとから成る創傷被覆材」に相当する。そして、引用発明の「創傷被覆材の上で封止を形成するように裏層244が構成され」る点は、本件補正発明のカバー層が「前記第一エリアと前記第二エリアとから成る創傷被覆材を被覆し、前記創傷被覆材の上で封止を形成するよう構成される」点に相当する。
また、引用発明の「裏層244が水蒸気浸透性を有している」ことは、本件補正発明の「前記カバー層が、透湿性を有している」ことに相当する。
そうすると、両者は、
「創傷被覆材装置であって、創傷と接触して配置されるよう構成される創傷接触層と、前記創傷接触層上の第一エリアであって、スペーサ層、および前記スペーサ層上の吸収層を含む、第一エリアと、創傷接触層の上の第二エリアであって、陰圧源を備え、前記第一エリアが前記第二エリアに隣接して位置付けられ、前記第一エリアと第二エリアとの間の流体連通を可能にするように構成される、第二エリアと、前記第一エリアと前記第二エリアとから成る創傷被覆材を被覆し、前記創傷被覆材の上で封止を形成するよう構成されるカバー層と、を含む、創傷被覆材装置であって、前記カバー層が、透湿性を有している、創傷被覆材装置。」
である点で一致し、次の点で相違する。
[相違点]
陰圧源を備える創傷接触層の上の第二エリアについて、本件補正発明は、「電子カセットを備え」、陰圧源および/またはケーシングによって囲まれた電子構成要素が「前記電子カセット」に「備え」られ、「前記ケーシングが、前記陰圧源および/または電子構成要素を囲」むのに対し、引用発明は、「創傷接触層246上にポンプアセンブリ232が配置され」る点。
上記相違点について検討する。
上記(2-1)ケの「図21は、被覆部材372または別の支持部材のいずれかに支持されたポンプアセンブリ374および電力源376を備える別の被覆材キットの実施形態370を示している。図21を参照すると、本明細書に開示された任意の実施形態では、1つまたは2つ以上の電池は、電力源376の少なくとも一部を包囲する筺体377と取り外し可能に係合できるように構成された取り外し可能なカートリッジで支持され得る。ある実施形態では、筺体377は、ポンプアセンブリ374を支持または包囲もできる。」との記載によれば、引用文献には、ポンプアセンブリ374を筐体377によって支持または包囲することが示唆されている。
そうすると、引用発明において、上記示唆に従ってポンプアセンブリ232を筐体内に支持し、筐体によって包囲された構造とすることで、引用発明の陰圧源を「電子カセット」の態様とし、上記相違点に係る本件補正発明の事項とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
そして、本件補正発明の上記相違点に係る構成により奏される効果は、引用発明および引用文献の記載事項から当業者が予測し得た範囲内のものであり、各別顕著なもであるとはいえない。
したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献の記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
3 むすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、前記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~14に係る発明は、令和 3年12月24日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~14に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第2の[理由]1(2)に記載されたとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、本願発明は、引用文献に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。
3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献の記載事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、実質的に「前記カバー層が、透湿性を有している」との発明特定事項を削除したものに相当する。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(3)に記載したとおり、引用発明及び引用文献の記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由で引用発明及び引用文献の記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-014959