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特許拒絶査定不服審判

2022-014722

甲状腺関連副作用を低下させる方法

審判番号
2022-014722
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-536463外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年09月16日
審決日
2024年07月12日
公報発行日
2024年12月27日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (A61K)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2019-536463「甲状腺関連副作用を低下させる方法」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 3月22日国際公開、WO2018/053036、令和 1年10月31日国内公表、特表2019-531346〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2017年(平成29年)9月13日(パリ条約による優先権主張 2016年9月16日、2016年9月16日、いずれも(US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であり、その主な手続の経緯は、以下のとおりである。 令和 2年 9月14日 手続補正書の提出 令和 3年 5月31日付け 拒絶理由通知 同年 9月 6日 手続補正書・意見書の提出 同年11月 1日付け 拒絶理由通知 令和 4年 2月 8日 手続補正書・意見書の提出 同年 5月 9日付け 拒絶査定 同年 9月16日 審判請求書・手続補正書の提出 同年10月13日付け 前置報告 令和 5年 1月23日 上申書の提出 令和 6年 1月31日付け 補正の却下の決定・拒絶理由通知(当審) 同年 5月 2日 手続補正書・意見書の提出 第2 本願発明 本願の特許請求の範囲の請求項1~21に係る発明は、令和6年5月2日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~21に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。 「【請求項1】 非アルコール性脂肪肝疾患を治療する方法で使用するための、化合物を含む組成物であって、前記方法において前記化合物の用量が隔日で対象に投与され、 前記化合物が、 【化1】 [図:0001416941000001.jpg] である、組成物。」 第3 当審において通知した拒絶理由の概要 1 令和6年1月31日付けで通知した拒絶理由について 当審において令和6年1月31日付けで通知した拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)は、同日付で通知した「補正の却下の決定」により、令和4年9月16日に提出された手続補正書が却下されたため、令和4年2月8日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~27(以下、「旧請求項1~27」という。)に記載された事項によりそれぞれ特定された発明に対して通知された。 そして、上記旧請求項1~27のうち旧請求項4で記載された事項により特定された発明(以下「旧請求項4に係る発明」という。)が、本願発明に対応する発明である。 2 旧請求項4に係る発明 上記1で説示した「旧請求項4に係る発明」は、下記の旧請求項4に記載された事項により特定された発明である。 「 【請求項4】 前記投与される化合物が、 【化4】 [図:0001416941000002.jpg] である、請求項1または2に記載の組成物。」 しかしながら、当審拒絶理由の第2[理由1(明確性)について]で説示したとおり、上記旧請求項4の記載は、引用している旧請求項1又は2の記載と整合していない点、及び【化4】で示される化合物における「- - -」(破線)で示される化学構造の意味が不明である点で不明確であるから、当審拒絶理由の第2[理由2(進歩性)について]では、「旧請求項4に係る発明」が下記の事項により特定された発明であると認定して、判断した。 そして、下記のように認定した旧請求項4(以下「認定した旧請求項4」という。)の【化4】で示される化合物が、本願発明の【化1】で示される「シス13-1」の化合物に相当する。 (認定した旧請求項4) 「非アルコール性脂肪肝疾患を治療する方法で使用するための組成物であって、 前記組成物は化合物を含み、 前記方法において前記化合物の用量が隔日で投与され、 前記投与される化合物が、 【化4】 [図:0001416941000003.jpg] である、組成物。」 3 当審拒絶理由の理由2(進歩性)について 当審拒絶理由のうち、「認定した旧請求項4」に係る発明に対する、引用文献1を主引用文献とする理由2(進歩性)の概要は、次のとおりである。 旧請求項4(「認定した旧請求項4」)に係る発明は、優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献1、4に記載された事項に基いて、優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献一覧> 1.国際公開第2011/038207号 4.特表2008-542301号公報 なお、上記2で説示したとおり、「認定した旧請求項4」に係る発明の【化4】で示される化合物が、本願発明の【化1】で示される「シス13-1」の化合物に相当する。 第4 引用文献に記載された事項及び引用発明 引用文献1、4には以下の事項が記載されている。また、引用文献1は、原文が英語であるため、当審合議体による日本語訳及び/又は注釈(当審合議体注)を記載する。下線は当審合議体による。 1 引用文献1に記載された事項 (摘記1a) 「特許請求の範囲 1 非げっ歯類哺乳動物種において8時間以下、好ましくは6時間、より好ましくは4時間、さらにより好ましくは2時間以下の薬物動態学的半減期を有するリン含有甲状腺ホルモンアゴニスト化合物。 ・・・ 53 請求項1-51のいずれかの化合物を用いた甲状腺ホルモン軸上の副作用を低減する方法。 54 他の組織に有意な影響を与えることなく、被験体の肝臓に化合物を優先的に投与する方法であって、この方法は以下を含む:それを必要とする対象に請求項1~51のいずれかの化合物を投与し、化合物は、肝臓に優先的に送達されること。」 (摘記1b) 「[00120] 本発明の一態様では、短い薬物動態半減期を有する、甲状腺受容体リガンドである本発明の化合物、その薬学的に許容される塩、及びこれらの化合物のプロドラッグ、の提供及び製造、並びにNASH、高コレステロール血症及び高脂血症などの代謝性疾患、アテローム性動脈硬化症、並びに冠動脈心疾患などの関連疾患を予防及び/又は治療するためのそれらの使用に関する。本発明はまた、上記疾患を治療及び甲状腺ホルモン軸への影響を減少させることによって治療指数を高めるための本発明の化合物の使用に関する。本発明はまた、肝臓におけるT3-応答性遺伝子の調節に応答する疾患の予防及び治療のためのこれらの化合物の使用に関する。」 「[00192] ・・・。本明細書に開示される前記使用の例には、脂質レベルの低下、HDL対LDL又はアポAI対LDLの比率の増加、ミトコンドリア生合成の増加、AMP活性化タンパク質キナーゼ又は核呼吸因子、又はアテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症、高脂血症、NASH、NAFLD、ネフローゼ症候群、慢性腎不全、メタボリックシンドロームX、高脂血症、冠状動脈性心疾患、甲状腺疾患、甲状腺癌、うつ病、緑内障、不整脈、心不全、及び骨粗鬆症からなる群から選択される疾患又は障害の治療又は予防が含まれるが、これらに限定されない。特性又は機能が心臓特性/機能である例には、心臓肥大(心臓重量対体重比)、心拍数、収縮期及び拡張期動脈圧、収縮末期左室圧、及び収縮及び弛緩の最大速度を含むさまざまな血行動態パラメータが含まれるが、これらに限定されない。」 「[00203] また、動物におけるアテローム性動脈硬化症を予防又は治療する方法も提供される。また、動物における肝臓の脂肪含有量を減らす方法、又は脂肪肝/脂肪変性症、NASH、又はNAFLDを予防又は治療する方法も提供される。また、動物におけるネフローゼ症候群又は慢性腎不全を予防又は治療する方法も提供される。また、動物における冠状動脈性心疾患を予防又は治療する方法も提供される。」 (当審合議体注:「NASH」は、「非アルコール性脂肪肝炎」、「NAFLD」は「非アルコール性脂肪肝疾患」、「T3」は3',3,5-トリヨードチロニンを意味する。) (摘記1c) 「[00187] 特定の実施形態において、本発明の化合物は、TSHレベルに有意な影響を及ぼすことなく、コレステロールレベルを著しく低下させるのに使用することができる。別の実施形態において、本発明の化合物は、TSHレベルを30%、25%、20%、15%、10%、又は5%を超えて低下させることなく、コレステロールレベルを有意に低下させる。 [00188] 別の実施形態では、本発明の化合物は、T4に対する影響を最小限に抑えながら、コレステロール低下を長期にわたって維持する頻度で投与することができる。一例として、投与頻度は、ベースラインと比較して少なくとも5%、10%>、15%、又は20%>の脂質低下効果を維持することによって決定され得る。 好ましい実施形態では、投与は、1日1回又は2回、2日又は3日に1回、週に3回、2回、又は1回、又は月に1回又は2回である。」 (当審合議体注:「TSH」は、「甲状腺刺激ホルモン」、「T4」は「チロキシン」を意味する。) (摘記1d) 「[00213] 本発明の化合物をそのまま投与することは可能であるが、化合物を医薬組成物として製剤化することが好ましい場合がある。したがって、本発明のさらに別の態様では、本発明の方法において有用な医薬組成物が提供される。・・・。」 (摘記1e) 「[00224] 一つの態様において、本発明の化合物は、約0.375μg/kg/日から約3.75mg/kg/日の総日用量で経口投与される。・・・。別の態様において、単位用量は、約3.75μg/kg~約0.375mg/kgである。・・・。」 (摘記1f) 「[00270]・・・ [図:0001416941000004.jpg] 」(特に147頁参照) (当審合議体注:化合物名の日本語訳は省略した。) (摘記1g) 「[00358] 目的:ビーグル犬の血漿コレステロール値と甲状腺機能の指標に対する、E37を1日1回14日間経口投与し、その後 14 日間隔日投与した場合の効果を調べること。 [00359] 方法:約9-15kgの雄及び雌のビーグル犬をMarshall Farms(North Rose,NY)から購入した。動物は、12時間の照明サイクル(午前7時から午後7時までの照明)及び制御された温度(~22℃)下で個別に飼育された。犬には、Teklad 8563 飼料(Harlan Teklad、ウィスコンシン州マディソン)を1日2回与え、水を自由に与えた。12頭のビーグル犬(9~15kg)を無作為に6つの投与群(1群あたり雄1頭、雌1頭)に分け、E37の0.5%CMC/1% Lutrol F68 懸濁液を0.1、0.3、1、3、又は10mg/日、又はビヒクルとともに14日間投与した。E37は、脱イオン水中の0.5%>cmc/1%Lutrol中の懸濁液として投与した。ビヒクルを調製するために、必要な量のCMCを秤量し、Waringブレンダーを使用して脱イオン水に溶解した。必要な量の Lutrol F68 を秤量し、混合しながらWaringブレンダーにゆっくりと加えた。ブレンダーの内容物を溶解するまで混合し、冷蔵保存した。投与製剤を調製するために、必要量のE37をビーカーに秤量し、磁気撹拌子及び撹拌プレートを使用して撹拌しながら、ビーカーの内容物を、細かいペーストが得られるまで撹拌した。均一なE37懸濁液が得られるまで、撹拌しながらビヒクルをビーカーに加えた。治療サイクル(サイクル1)の終了後に、4週間の休薬期間を設け、その後2番目の14日間の治療サイクルに入った。サイクル2はサイクル1と同じ投与パラダイムを採用したが、2つのサイクルからの合計投与群がそれぞれ4匹の異なる動物(雄2匹、雌2匹)からなるように動物をサイクル2にランダムに割り当てた。サイクル2の終了後に、さらに14日間、隔日で投与を継続した(サイクル2延長)。血液サンプルはベースライン及びその後の適切な時間間隔で収集され、総血漿コレステロールレベル、総T4(tT4)、遊離T4(fT4)、総T3(tT3)、遊離T3(fT3)、及び甲状腺刺激ホルモン(TSH)の血清レベルについて分析された。 [00360] 実験プロトコル: サイクル1では、雄6頭と雌6頭の犬を、それぞれ雄1頭と雌1頭からなる次の6つの治療群に無作為に割り付けた:ビヒクル、0.1、0.3、1、3、及び10mg/kg/日のE37(A37相当)。14日間の投与期間の後、4週間の休薬を行い、その後2回目の14日間の治療サイクルに入った。サイクル2はサイクル1と同じ投与パラダイムを採用したが、2つのサイクルの合計投与群がそれぞれ4匹の異なる動物(雄2匹、雌2匹)からなるように動物をサイクル2にランダムに割り当てた。サイクル2の終了後に、さらに14日間、隔日で投与を継続した。 [00361] ビヒクル及び薬物は、バイトブロックを通して挿入された胃栄養チューブ(#10)を用いて、午前8時30分頃に強制経口投与された。投与量は2mL/Kgであった。血液サンプルは意識のある状態で頭部静脈穿刺によって採取された。血液サンプル(1~3mL)をヘパリンリチウム含有バイアル及び血清分離管(Becton Dickinson)に収集した。血漿は、エッペンドルフマイクロフュージでの遠心分離(14,000rpm、2分間、室温)によってヘパリン添加血液サンプルから調製した。血清は、血清分離管製造業者の指示に従って調製した。血漿及び血清サンプルは分析まで-70℃で保存した。 [00362] 詳細なプロトコルを以下に示す。 1-2週(第1サイクル) [図:0001416941000005.jpg] [図:0001416941000006.jpg] 3-6週: 休薬期間(選択した休薬期間の長さにより、コレステロール値と甲状腺ホルモン機能指標を完全に回復できる)。 7-8週(第2サイクル) [図:0001416941000007.jpg] 9-10週(サイクル2延長) [図:0001416941000008.jpg] [図:0001416941000009.jpg] 」 (当審合議体注:以下の記載より、[00362]の「9-10週(サイクル2延長)」の表において、「Route/Schedule」欄の「PO,once-daily」は、「PO,alternate day」の誤記と認められ、「経口投与、隔日投与」を意味すると認められる。 ・[00358]の「目的:ビーグル犬の血漿コレステロール値と甲状腺機能の指標に対する、E37を1日1回14日間経口投与し、その後14日間隔日投与した場合の効果を調べること(原文:Objective: To determine the effects of oral administration of E37 once-daily for 14 days followed by alternate day dosing for 14 days on plasma cholesterol levels and indicators of thyroid function in beagle dogs.)」という記載。 ・[00359]の「サイクル2の終了後に、さらに14日間、隔日で投与を継続した(サイクル2延長)。(原文:At the conclusion of Cycle 2, dosing was continued on alternate days for an additional 14-day period (Cycle 2 Extension))」という記載。 ・[00360]の「サイクル2の終了後に、さらに14日間、隔日で投与を継続した。(原文:At the conclusion of Cycle 2, dosing was continued on alternate days for an additional 14-day period.)」)という記載。) (摘記1h) 「[00367] 結果:E37による14日間の治療により、総血漿コレステロール値が用量依存的に漸進的に減少し、用量0.3mg/kg/日では、15日目の平均減少はベースラインから~28mg/dL又は~22%であり、評価された最高用量(10mg/kg/日)では、ベースラインから~71mg/dL又は~47%であった。評価したE37の最低用量である0.1mg/kg/日は、総血漿コレステロールレベルに対する影響が最小限であった。サイクル2(サイクル2延長)の隔日投与期間中、E37処置群の総血漿コレステロールレベルは、ビヒクル処置動物と比較して、1日1回投与後に観察されたものと同程度又はそれ以上に低下したままであった。E37による1日1回の治療では、ベースラインレベルと比較して、用量依存的な血清tT4の減少(~20-54%)、用量に関連したfT4の減少(~8-39%)、及び用量非依存的なfT3の減少(~15-32%)、という結果が得られた。E37治療群のいずれにおいても、ベースラインレベルと比較して、ビヒクル治療群で観察されたものを超えるtT3レベルの有意な変化は存在しなかった。血清TSHレベルに対する1日1回のE37治療の効果にはばらつきがあり、8日目に一部の動物では完全に抑制され、他の動物では最大4倍上昇した。15日目に、TSHレベルは、E37処置群において非用量依存的にベースラインから-6~27%減少した。サイクル2の延長中、1日1回の治療によって抑制されたtT4及びfT4のレベルは、ビヒクル治療動物のレベルに近づくレベルまで徐々に回復した。fT3及びTSHレベルの回復にはさらにばらつきがあり、すべてのE37用量グループには及ばなかったことが観察された。 [00368] 結論:ビーグル犬にE37(0.1~10mg/kg)を1日1回経口投与し、14日間投与したところ、平均総血漿コレステロール値が用量依存的に低下し(ベースラインから最大47%)、それに伴って、用量依存的な血清tT4レベルの低下、用量に関連したfT4レベルの低下、及び血清TSHレベルのかなりの変動があるという結果が得られた。サイクル2延長におけるE37の1日1回投与から隔日投与への切り替えでは、コレステロール低下効果は損なわれなかったが、1日1回の経口E37治療により抑制された、tT4及びfT4のレベルが徐々に回復し、一部の用量グループでは、fT3及びTSHのレベルが徐々に回復した。したがって、隔日投与は、甲状腺ホルモン軸への影響を軽減する、1日1回投与に代わる効果的な方法である。さらに、E37は筋肉量に対して検出可能な効果を示さず、他のT3模倣物とは異なり、筋肉のタンパク質分解を刺激しなかったことを示唆している。」 2 引用文献4に記載された事項 (摘記4a) 「【請求項1】 動物に治療有効量の甲状腺ホルモン様化合物であって、該化合物が甲状腺ホルモン受容体に結合するものである、またはその薬学的に許容できる塩を投与することを特徴とする、動物の肝臓の脂肪量を減少させる方法。 【請求項2】 動物に治療有効量の甲状腺ホルモン様化合物であって、該化合物が甲状腺ホルモン受容体に結合するものである、またはその薬学的に許容できる塩を投与することを特徴とする、動物の脂肪性肝疾患の予防、治療、または改善方法。 【請求項3】 前記脂肪性肝疾患が、脂肪症、非アルコール性脂肪性肝疾患および非アルコール性脂肪性肝炎からなる群より選択される、請求項2の方法。 ・・・ 【請求項10】 前記化合物が前記甲状腺ホルモン受容体を活性化する、請求項1または2の方法。 ・・・ 【請求項32】 該化合物が、 【化19】 ・・・ [図:0001416941000010.jpg] ・・・からなる群、ならびにその薬学的に許容できる塩より選択される、請求項1または2の方法。」 (摘記4b) 「【0405】 明瞭、簡潔に記載するため、以下の生物学的実施例では、化合物を化合物番号で示す(下の表から)。 【化86】 [図:0001416941000011.jpg] ・・・ ・・・ [図:0001416941000012.jpg] 」 (摘記4c) 「【0419】 実施例D:DIOマウスにおける甲状腺ホルモン受容体アゴニストへの慢性的暴露 これらの試験の目的は、食事性肥満(DIO)マウスにおける、化合物cis-13-1の肝脂肪症を除去する能力の比較であった。 【0420】 方法:C57Bl6マウスを、脂肪食由来の60%Kcalで飼育した。化合物cis-13-1をCMC懸濁液中で、30mg/kg/日の用量で10週間、経口投与した。肝臓部分を組み込んだパラフィンをH&E染色した後、肝脂肪症を視覚的に分析した。TSHを齧歯類特異的キット(Amersham Biosciences)を用いて、測定した。心拍数を、Lead I ECGを用いECG波形から算出した心拍数により測定した。 【0421】 結果:化合物cis-13-1は、DIOマウスにおいて10週間の処置の後に肝脂肪症を減少した(FIG.3Aおよび3B)。cis-13-1で処置したDIOマウスのミトコンドリアの超微細構造に異常はなかった。cis-13-1での10週間の処置の後に、TSHの有意な減少は認められなかった。心拍数を測定したとき、cis-13-1での心拍数に有意な変化は無かった。 【0422】 結論:化合物cis-13-1は、長期投与後に肝脂肪症を減少する。さらに、脂肪症の減少は、TSHおよび心血管変化に関する適切な安全性プロフィールを伴う。」 3 引用文献1に記載された発明 上記1より、引用文献1には、 「 [図:0001416941000013.jpg] 」 で示される化合物E37をリン含有甲状腺ホルモンアゴニストとして含む血漿コレステロール値を下げるための医薬組成物が記載されている(摘記1a、1c、1d、1f)。また、引用文献1には、当該医薬組成物は、1日1回投与を14日間行うサイクル1、4週間の休薬期間、サイクル1と同じ投与パラダイムを14日間行うサイクル2、隔日で投与を14日間行うサイクル2延長、を順に行う投与方法の実施例が記載されている(摘記1c、摘記1gの特に[00360]参照)。 そうすると、引用文献1には、以下の引用発明が記載されていると認められる。 (引用発明) 「 [図:0001416941000014.jpg] で示される化合物をリン含甲状腺ホルモンアゴニストとして含む医薬組成物であって、1日1回投与を14日間行うサイクル1、4週間の休薬期間、サイクル1と同じ投与パラダイムを14日間行うサイクル2、隔日で投与を14日間行うサイクル2延長を順に行う投与方法で使用される、血漿コレステロール値を下げるための医薬組成物。」 第5 本願発明と引用発明との対比、判断 1 対比 本願発明と引用発明とは、 「 [図:0001416941000015.jpg] 」 という「化合物を含む」「組成物」である点で一致する。 また、引用発明の「血漿コレステロール値を下げるための医薬組成物」は、「1日1回投与を14日間行うサイクル1、4週間の休薬期間、サイクル1と同じ投与パラダイムを14日間行うサイクル2、隔日で投与を14日間行うサイクル2延長を順に行う投与方法で使用される」ものであり、投与方法中に「隔日で投与を14日間行うサイクル2延長」を含むものであるから、本願発明の「化合物の用量が隔日で対象に投与され」る「組成物」に相当するといえる。 さらに、引用発明の「血漿コレステロール値を下げるための医薬組成物」は、「医薬組成物」であるから、本願発明の「疾患を治療する方法に使用するための」「組成物」に相当する。 そうすると、本願発明と引用発明との一致点、相違点は以下のとおりである。 <一致点> 「疾患を治療する方法で使用するための、化合物を含む組成物であって、 前記方法において前記化合物の用量が隔日で対象に投与され、 前記化合物が、 【化1】 [図:0001416941000016.jpg] である、前記組成物。」 <相違点> 本願発明は、「非アルコール性脂肪肝疾患を治療する方法で使用するための」「組成物」であるのに対し、引用発明は、「血漿コレステロール値を下げるための」「医薬組成物」である点。 2 判断 (1) 引用文献1には、引用発明の医薬組成物は、NASH(非アルコール性脂肪肝炎)やNAFLD(非アルコール性脂肪肝疾患)の予防や治療に用いることが示唆されている(摘記1b)。 (2) また、引用文献4には、甲状腺ホルモン受容体を活性化する化合物である 「 [図:0001416941000017.jpg] 」 は、非アルコール性脂肪肝疾患及び非アルコール性脂肪性肝炎の予防、治療又は改善に用いることができることが記載されており(摘記4a)、引用文献4の実施例Dとしては、当該化合物(「化合物cis-13-1」)を含む組成物を食事性肥満(DIO)マウスに投与することによって、肝脂肪症が減少したことも記載されているから(摘記4b、4c)、引用文献4には、甲状腺ホルモン受容体を活性化する化合物である 「 [図:0001416941000018.jpg] 」 を含む組成物は、非アルコール性脂肪肝疾患及び非アルコール性脂肪性肝炎の予防、治療又は改善に用いることができることが記載されているといえる。 (3) そうすると、 「 [図:0001416941000019.jpg] 」 で示される化合物をリン含甲状腺ホルモンアゴニストとして含む医薬組成物」である引用発明において、非アルコール性脂肪肝疾患及び非アルコール性脂肪性肝炎の予防、治療又は改善効果があることを期待して、引用発明を相違点に係る本願発明の構成を備えたものとすることは、当業者が容易に想到し得たことであるといえる。 (4) 実施例で確認された効果について ア 本願明細書の実施例1(【0508】~【0510】、【図1】~【図9】)には、 「 [図:0001416941000020.jpg] 」 を含む組成物を、14日間の1日1回投与を行うサイクル1、4週間の洗い出し、サイクル1と同一の投与パラダイムであるサイクル2、隔日で14日間投与を行うサイクル2延長、の順に投与等を行ったことが記載されており、サイクル2延長における化合物2の1日1回投与から隔日投与への切り替えは、コレステロール低下効果を損なわなかったが、1日1回の経口化合物2治療により抑制されていた、tT4及びfT4のレベル、そしていくつかの用量群ではfT3及びTSHのレベルを徐々に回復させた効果(以下、「実施例1で確認された効果」という。)があった旨が示されている(特に【0510】を参照。)。 イ そこで、上記の実施例1で確認された効果について検討する。 本願明細書中の実施例1で確認された効果は、 「 [図:0001416941000021.jpg] 」 を含む組成物について確認された効果であって、当該化合物とは別の化合物を含む本願発明について確認された効果ではない。 仮に、本願発明が、当該実施例1と同等の効果を奏するものであったとしても、引用文献1には、引用発明は、「TSHレベルに有意な影響を及ぼすことなく、コレステロールレベルを著しく低下させるのに使用することができる」ものであることが記載されているし(摘記1c)、引用文献1の実施例の結論として「サイクル2延長におけるE37の1日1回投与から隔日投与への切り替えでは、コレステロール低下効果は損なわれなかったが、1日1回の経口E37治療により抑制された、tT4及びfT4のレベルが徐々に回復し、一部の用量グループでは、fT3及びTSHのレベルが徐々に回復した。したがって、隔日投与は、甲状腺ホルモン軸への影響を軽減する、1日1回投与に代わる効果的な方法である。」と記載されており(摘記1h)、これらの引用文献1で示された効果は、本願明細書の実施例1で確認された効果(【0510】)と同等である。 ウ そうすると、上記で示された実施例1で確認された効果は、本願発明の効果ではないし、仮に本願発明の効果が、本願明細書中の実施例1と同等の効果を奏するものであったとしても、引用発明及び引用文献1、4に記載された事項から、当業者が予測し得た程度のものにすぎない。 エ なお、本願明細書の実施例2~5(【0511】~【0516】)は、試験方法を示すのみであって、その結果は示されておらず、本願発明の組成物について効果を確認したものではない。また、本願明細書の実施例6(【0517】~【0520】)は、【0518】にその試験結果と理解し得る事項が記載されているが、当該試験は、本願発明の組成物を隔日で投与したことの効果を確認したものではないし、実施例6の他の箇所については、試験方法を示すのみであるから、上記実施例2~5と同様に、本願発明の組成物について効果を確認したものではない。 第6 審判請求人の主張について 審判請求人は、令和6年5月2日提出の意見書において、下記1、2の趣旨の主張をしているので、順に検討する。 1 引用文献1には、非アルコール性脂肪肝疾患を治療するために、「シス-13-1」の化合物を隔日で投与することは示唆されておらず、また、引用文献4には、化合物の用量が隔日で投与されることが開示も示唆もされていないことから、本願発明は、引用文献1及び4の開示から当業者が容易に想到できたものではない旨の主張。 しかしながら、上記第5の1で説示したように、引用発明は、本願発明の「シス-13-1」の化合物に相当する化合物E37を含む医薬組成物であって、当該化合物の用量が隔日で対象に投与される組成物であるといえるし、上記第5の2(1)で説示したように、引用文献1には、当該医薬組成物は、NASH(非アルコール性脂肪肝炎)やNAFLD(非アルコール性脂肪肝疾患)の予防や治療に用いることが示唆されている。 そして、上記第5の2(2)で説示したように、引用文献4には、本願発明の「シス-13-1」の化合物に相当する 「 [図:0001416941000022.jpg] 」 が、非アルコール性脂肪肝疾患及び非アルコール性脂肪性肝炎の予防、治療又は改善に用いることができることが記載されているのであるから、引用発明を非アルコール性脂肪肝疾患及び非アルコール性脂肪性肝炎の予防等に用いることは、当業者が容易に想到し得たことである。 また、引用文献4に、化合物の用量が隔日で投与されることが開示も示唆もされていないことは、上記判断に影響を与えるものではない。 そうすると、審判請求人の上記1の主張は採用できない。 2 引用文献1及び4の開示から当業者が予測できなかった有利な効果が、化合物の隔日投与により得られることが本願明細書の実施例により裏付けられている旨の主張。 上記第5の2(4)で説示したとおり、本願発明の化合物と、本願明細書中の実施例1で効果が確認された化合物とは、全く異なる化合物であるから、審判請求人が主張する本願明細書の実施例により裏付けられた効果は、本願発明について確認された効果ではない。そして、仮に、本願発明が、本願明細書中の実施例1と同等の効果を奏するものであったとしても、当該効果は、上記第5の2(4)で説示したとおり、引用文献1に記載された効果であって、当業者が予測できない有利な効果であるとは認められず、審判請求人の上記2の主張は採用できない。 第7 むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献1、4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-014722

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