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特許拒絶査定不服審判

2022-014695

自動走行システム

審判番号
2022-014695
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-152984外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年09月16日
審決日
2023年10月17日
公報発行日
2024年01月26日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (G05D)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2017-152984「自動走行システム」拒絶査定不服審判事件〔平成31年2月28日出願公開、特開2019-32682〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本件審判に係る出願は、平成29年8月8日にされた特許出願であって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。 令和2年12月10日付け:拒絶理由の通知 令和3年 2月 3日 :意見書の提出 令和3年 6月15日付け:拒絶理由の通知 令和3年 8月18日 :意見書、手続補正書の提出 令和4年 1月11日付け:拒絶理由の通知 令和4年 2月22日 :意見書の提出 令和4年 6月30日付け:拒絶査定 令和4年 9月16日 :拒絶査定不服審判の請求 令和5年 6月14日付け:当審による拒絶理由の通知 令和5年 8月 3日 :意見書の提出 第2 本件発明 本件の請求項1~4に係る発明は、令和3年8月18日に提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~4に記載された事項により特定されるとおりのものであって、請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、以下の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 走行経路に沿って作業車両を自動走行させる自動走行制御部と、 表示部に所定の画像を表示させる表示制御部と、を備え、 前記表示制御部は、 前記走行経路を示す走行経路画像と、測位衛星システムを用いて特定された前記作業車両の位置を示す車体位置画像と、前記作業車両の周囲を撮影するカメラの画像に基づいて生成された前記作業車両周囲の俯瞰画像と、前記カメラの撮影範囲を示す撮影範囲画像とを前記表示部に重ねて表示し、 前記カメラの撮影範囲内には、前記走行経路画像と、前記車体位置画像と、前記俯瞰画像とが表示される、自動走行システム。」 第3 当審拒絶理由 当審が、令和5年6月14日付けで通知した拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)のうち、本件発明(請求項1に係る発明)に対する拒絶の理由1(進歩性欠如)の概要は、以下のとおりである。 本件発明は、以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載の技術的事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1:国際公開第2016/017367号 引用文献2:特開2016-212501号公報 第4 引用文献に記載された事項及び発明等 1 引用文献1 (1)引用文献1の記載 引用文献1には、以下の事項が記載されている(下線は当審にて付した。以下同じ。)。 「[0001] 本発明は、自律走行する無人の自律走行作業車両の遠隔操作装置に関し、遠隔操作装置に備える表示装置の表示技術に関する。 ・・・ [0011] 無人で自動走行可能な自律走行作業車両1、及び、この自律走行作業車両1に随伴してオペレータが搭乗して操向操作する随伴走行作業車両100をトラクタとし、自律走行作業車両1及び随伴走行作業車両100に装着される作業機としてロータリ耕耘装置24が装着された実施形態について説明する。但し、作業車両はトラクタに限定するものではなく、コンバイン等でもよく、また、作業機はロータリ耕耘装置24に限定するものではなく、施肥播種機や草刈機や薬剤散布機や消毒機や収穫機等であってもよい。 ・・・ [0028] こうして、この自律走行作業車両1における制御装置30は自動走行させる自動走行手段を備えて、自動走行手段はGPS衛星37・37・・・から送信される電波を受信して移動通信機33において設定時間間隔で機体の位置情報を求め、ジャイロセンサ31及び方位センサ32から機体の変位情報および方位情報を求め、これら位置情報と変位情報と方位情報に基づいて機体が予め設定した設定経路Rに沿って走行するように、操舵アクチュエータ40、変速手段44、昇降アクチュエータ25、PTO入切手段45、エンジンコントローラ60等を制御して自動走行し自動で作業できるようにしている。なお、作業範囲となる圃場Hの外周の位置情報も周知の方法によって予め設定され、記憶装置30mに記憶されている。 [0029] また、自律走行作業車両1には障害物センサ41が配置されて制御装置30と接続され、障害物に当接しないようにしている。例えば、障害物センサ41はレーザセンサや超音波センサで構成して機体の前部や側部や後部に配置して制御装置30と接続し、機体の前方や側方や後方に障害物があるかどうかを検出し、障害物が設定距離以内に近づくと走行を停止させるように制御する。 [0030] また、自律走行作業車両1には前方を撮影するカメラ42Fや後方の作業機や作業後の状態を撮影するカメラ42Rが搭載され制御装置30と接続されている。カメラ42F・42Rは本実施形態ではキャビン11のルーフの前部上と後部上に配置しているが、配置位置は限定するものではなく、キャビン11内の前部上と後部上や一つのカメラ42を機体中心に配置して鉛直軸を中心に回転させて周囲を撮影しても、複数のカメラ42を機体の四隅に配置して機体周囲を撮影する構成であってもよい。カメラ42F・42Rで撮影された映像は随伴走行作業車両100に備えられた遠隔操作装置112の表示装置113に表示され、その画面については後述する。 [0031] 遠隔操作装置112は前記自律走行作業車両1の走行経路Rを設定したり、自律走行作業車両1を遠隔操作したり、自律走行作業車両1の走行状態や作業機の作動状態を監視したり、作業データを記憶したりするものであり、制御装置(CPUやメモリ)119や通信装置111や表示装置113等を備える。 [0032] 有人走行車両となる随伴走行作業車両100はオペレータが乗車して運転操作するとともに、随伴走行作業車両100に遠隔操作装置112を搭載して自律走行作業車両1を操作可能としている。随伴走行作業車両100の基本構成は自律走行作業車両1と略同じ構成であるので詳細な説明は省略する。なお、随伴走行作業車両100にはGPS用の移動通信機33や移動GPSアンテナ34を備える構成とすることも可能である。 ・・・ [0036] 前記遠隔操作装置112の表示装置113には、前記カメラ42F・42Rで撮影した映像や自律走行作業車両1の状態や作業の状態やGPSに関する情報を通信装置110・111を介して制御装置119に送信し、その映像や情報や操作画面等を表示できるようにしており、オペレータは自律走行作業車両1を監視しながら遠隔操作装置112を操作できるようにしている。 即ち、表示装置113は、タッチ操作式の画面としており、表示方法や表示位置やタッチ操作に対する出力等は制御装置119で制御される。表示装置113の表示画面は、図4に示すように、縦(上下)方向、または、横(左右)方向に複数の領域に分割可能としており、その領域には、少なくとも前記自律走行作業車両1を操作する遠隔操作領域113Aと、前記自律走行作業車両1に取り付けたカメラ42F・42Rにより撮影した映像を表示する周辺画像領域113Bとが設けられている。 ・・・ [0052] 前記周辺画像領域113Bはカメラ42Fで撮影した機体前方の映像を表示する前方画面210と、カメラ42Rで撮影した機体後方の映像を表示する後方画面211とからなり、周辺画像領域113Bにおける上下方向(縦方向)に配置して二つ表示としている。前記後ろ側のカメラ42Rで撮影する映像は、トラクタと作業機の間の装着部分を撮影するものであっても、作業機の作動状態を撮影するものであっても、作業機から後方の作業仕上がり状態を撮影するものであってもよい。この撮影方向を変更するために、カメラ42F・42Rの支持部には角度変更手段を設けてもよい。また、アクチュエータで変更できるようにし、遠隔操作装置112で調整できるように構成することもできる。また、カメラ42の台数は限定するものではなく、3台以上配置して、それぞれの映像を周辺画像領域113Bで表示してもよい。 ・・・ [0057] 前記表示装置113には、前記遠隔操作領域113Aと前記周辺画像領域113Bとに加えて、自律走行作業車両1が作業を行う圃場のマップや設定走行経路Rや現在の位置や作業済位置等を表示する作業状態表示領域113Cを表示可能としている。作業状態表示領域113Cでは、地図に設定走行経路を重ね合わせた二次元表示としたり、三次元表示したり、俯瞰図で表示したりすることができる。また、これらを切り替えられように切替手段を設けてもよい。 [0058] また、周辺画像領域113Bと作業状態表示領域113Cに表示される画面は、拡大・縮小可能に構成することもできる。例えば、周辺画像領域113Bの後方画面211で作業後の仕上がりをもっと精密に見たい場合には、画面を指2本の間隔を広げるようなピンチアウトの操作で拡大し、確認するようにしてもよい。また、作業状態表示領域113Cでは、隣の圃場や周囲の畦を確認したい場合等では、画面を指2本の間隔を狭めるようなピンチインの操作で縮小し、確認するようにしてもよい。また、表示画面をドラッグ操作して表示位置(撮影位置)を移動できるようにすることも可能である。」 「図1 [図:0001405408000001.jpg] 図2 [図:0001405408000002.jpg] 図4 [図:0001405408000003.jpg] 」 (2)引用文献1の記載から理解できる事項 ア 段落[0001]、[0028]、[0036]、図1、2等から、引用文献1には、無人の自律走行作業車両1を自動走行させる自動走行手段と、自律走行作業車両1を遠隔操作する遠隔操作装置112の表示装置113に映像や情報や操作画面等を表示させる制御装置119とを備える自律走行システムについて記載されているといえる。 イ 段落[0030]、[0036]、[0052]の記載及び図4を参酌すれば、自律走行作業車両1の周囲を撮影するカメラ42の画像(周辺画像領域113Bに表示される画像)は自律走行作業車両1の周囲を俯瞰する画像であるといえるから、引用文献1に記載の制御装置119は、自律走行作業車両1の周囲を撮影するカメラ42の画像に基づいて生成された作業車両周囲の俯瞰画像を表示装置113に表示させることが理解できる。 ウ 図4における、表示装置113の周辺画像領域113Bにおける画面(前方画面210や、後方画面211)は枠で囲まれているところ、当該枠は、カメラの撮影範囲を示す撮影範囲画像であると理解できる。 エ 段落[0057]及び図4から、表示装置113の作業状態表示領域113Cには、設定走行経路R、及び自律走行作業車両1の現在の位置を示す車体位置画像が表示されることが理解できる。 (3)引用発明 上記(1)及び(2)から、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 <引用発明> 設定走行経路Rに沿って自律走行作業車両1を自動走行させる自動走行手段と、 表示装置113に所定の画像を表示させる制御装置119と、を備え、 前記制御装置119は、 前記設定走行経路Rを示す走行経路画像と、衛星測位システムを用いて特定された前記自律走行作業車両1の位置を示す車体位置画像と、前記自律走行作業車両1の周囲を撮影するカメラ42の画像に基づいて生成された前記自律走行作業車両1周囲の俯瞰画像と、前記カメラ42の撮影範囲を示す撮影範囲画像とを前記表示装置113に表示する、 自律走行システム。 2 引用文献2 (1)引用文献2の記載 引用文献2には、次の事項が記載されている。 「【背景技術】 【0002】 従来、カメラを用いて撮影した画像を、このカメラの撮影領域を上方から見たのと同等の画像( 以下「鳥瞰画像」という。)に変換する画像変換技術が開発されている。特に、車両などの移動体に搭載された複数個のカメラを用いて撮影した画像から、この移動体の周囲の一定範囲の領域の鳥瞰画像を生成する、いわゆる「アラウンドビューモニター」(登録商標)又は「サラウンドビューシステム」などの技術も開発されている。これらの鳥瞰画像は、例えば、移動体の運転席から見えにくい位置にある障害物を映して運転者に通知するなど、移動体の運転支援に用いられている。 ・・・ 【0011】 実施の形態1. 図1は、自車両1及び外部撮影装置2の要部を示すブロック図である。図1に示す如く、自車両1は、第1カメラ11、受信部12、画像生成装置13及び表示装置14を有している。外部撮影装置2は、第2カメラ21、第2鳥瞰画像生成部22、情報付加部23及び送信部24を有している。図1を参照して、実施の形態1の画像生成装置13について説明する。 ・・・ 【0017】 第1カメラ11は、自車両1に搭載された複数個のカメラにより構成されている。第1カメラ11は、自車両1の周囲の一定範囲の領域を撮影するものである。 【0018】 第1鳥瞰画像生成部31は、第1カメラ11を用いて撮影した画像を、第1カメラ11の撮影領域を上方から見たのと同等の鳥瞰画像(以下「第1瞰画像」という。)に変換するものである。この画像変換には、第1カメラ11の取り付け位置を示す情報、及び、第1カメラ11のレンズのひずみを示す情報など(以下、総称して「第1変換用情報」という。)が用いられる。 ・・・ 【0038】 次に、図6~図9を参照して、表示用画像の具体例について説明する。 自車両1がT字路に進入しつつあるものとする。このときの第1カメラ11の撮影領域Aを図6に示す。道路の両脇にある建物及び塀により、第1カメラ11の撮影領域A内に死角が生じている。第1鳥瞰画像のみを表示装置に出力する従来の画像生成装置は、この死角の鳥瞰画像を表示させることができない問題があった。 【0039】 これに対し、実施の形態1の画像生成装置13は、第1鳥瞰画像に第2鳥瞰画像を合成した表示用画像を生成する。例えば、図7に示す如く、T字路の近傍の路側に監視カメラ装置が設置されており、この監視カメラ装置が外部撮影装置2を構成しているものとする。図7は、自車両1に搭載された第1カメラ11の撮影領域Aに加えて、外部撮影装置2に設けられた第2カメラ21の撮影領域Bを示している。 ・・・ 【0045】 また、画像生成装置13は、自車両1の形状に対応する図形画像を予め記憶しておき、鳥瞰画像合成部53は、第1鳥瞰画像及び第2鳥瞰画像に加えて図形画像を合成した表示用画像を生成するものであっても良い。または、画像生成装置13は、自車両1を上方から撮影した鳥瞰画像を予め記憶しておき、鳥瞰画像合成部53は、第1鳥瞰画像及び第2鳥瞰画像に加えて自車両1の鳥瞰画像を合成した表示用画像を生成するものであっても良い。 ・・・ 【0048】 また、表示用画像は、第1鳥瞰画像及び第2鳥瞰画像に加えて自車両1の予測走行軌跡を示すものであっても良い。この場合の表示用画像生成部35のブロック図を図10に示す。軌跡画像生成部54は、移動体情報生成部32で生成した移動体情報に含まれる自車両1の舵角を示す情報を用いて、自車両1の予測走行軌跡を示す軌跡画像を生成する。軌跡画像重畳部55は、鳥瞰画像合成部53で第1鳥瞰画像に第2鳥瞰画像を合成した画像に、軌跡画像生成部54で生成した軌跡画像を重畳した表示用画像を生成する。図11に、図6~図9に示す例と同様の状態における軌跡画像Dの一例を示す。軌跡画像Dは、自車両1がT字路を右折する場合の予測走行軌跡を示している。」 「図11 [図:0001405408000004.jpg] 」 (2)引用文献2の記載から理解できる事項 ア 図11から、自車両1に搭載された第1カメラ11の撮影領域A内に、自車両1の画像が表示されていることが理解できる。 イ 段落【0018】、【0039】の記載から、第1カメラの撮影領域Aには、第1カメラ11を用いて撮影した画像を変換した第1鳥瞰画像等が表示されることが理解できる。また、第1鳥瞰画像と第2鳥瞰画像とを合成した撮影領域である撮影領域A及びBの外周位置に、画像の範囲であることを視認させるための範囲画像を描画することは一般的になされることである。 (3)引用文献2に記載の技術的事項 上記(1)及び(2)から、引用文献2には、次の技術的事項(以下「引用文献2に記載の技術的事項」という。)が記載されていると認められる。 「自車両1の表示装置14に、軌跡画像D、自車両1の画像、第1カメラ11を用いて撮影した画像を変換した第1鳥瞰画像及び合成された鳥瞰画像の撮影領域A及びBの範囲画像を重ねて表示し、第1カメラ11の撮影領域A内に、軌跡画像D、自車両1の画像及び第1鳥瞰画像を表示すること。」 第5 本件発明と引用発明との対比 1 本件発明と引用発明との相当関係 本件発明と、引用発明とを対比すると、以下の関係にある。 引用発明における「設定走行経路R」は、その機能等からみて、本件発明における「走行経路」に相当し、以下同様に、「自律走行作業車両1」は「作業車両」に、「自動走行手段」は「自動走行制御部」に、「表示装置113」は「表示装置」に、「制御装置119」は「表示制御部」に、「衛星測位システム」は「測位衛星システム」に、「カメラ42」は「カメラ」に、「自律走行システム」は「自動走行システム」に、それぞれ相当する。 2 本件発明と引用発明との一致点 上記1を踏まえると、本件発明と引用発明とは以下の<一致点>にて一致する。 <一致点> 「走行経路に沿って作業車両を自動走行させる自動走行制御部と、 表示部に所定の画像を表示させる表示制御部と、を備え、 前記表示制御部は、 前記走行経路を示す走行経路画像と、測位衛星システムを用いて特定された前記作業車両の位置を示す車体位置画像と、前記作業車両の周囲を撮影するカメラの画像に基づいて生成された前記作業車両周囲の俯瞰画像と、前記カメラの撮影範囲を示す撮影範囲画像とを前記表示部に表示する、 自動走行システム。」 3 本件発明と引用発明との相違点 本件発明と引用発明とは以下の<相違点>にて相違する。 <相違点> 本件発明は、走行経路画像、車体位置画像、俯瞰画像及び撮影範囲画像を表示部に「重ねて」表示し、「前記カメラの撮影範囲内には、前記走行経路画像と、前記車体位置画像と、前記俯瞰画像とが表示される」のに対し、引用発明は、走行経路画像、車体位置画像、俯瞰画像及び撮影範囲画像を表示装置113に表示しているものの、「重ねて」表示しているものではなく、また、カメラの撮影範囲内に、走行経路画像、車体位置画像及び俯瞰画像とが表示されるものではない点。 第6 判断 1 相違点についての判断 上記第4の2(3)のとおり、引用文献2(なお、括弧内には、参考のため、引用文献2の用語等に対応する本件発明の用語を付した。)には、自車両1(車両)の表示装置14(表示装置)に、軌跡画像D(走行経路画像)、自車両1の画像(車体位置画像)、第1カメラ11を用いて撮影した画像を変換した第1鳥瞰画像(俯瞰画像)及び合成された鳥瞰画像の撮影領域A及びBの範囲画像(撮影範囲画像)を重ねて表示し、第1カメラ11の撮影領域A(撮影範囲画像)内に、軌跡画像D(走行経路画像)、自車両1の画像(車体位置画像)及び第1鳥瞰画像(俯瞰画像)を表示するとの技術的事項が開示されているといえる。 そして、引用発明と引用文献2に記載の技術的事項とは、車両の周囲をカメラで撮影して表示装置に表示する点で作用・機能が共通するから、引用発明に上記引用文献2に記載の技術的事項を適用することが動機付けられるところ、さらに、引用文献1の段落[0057]には、「前記表示装置113には、前記遠隔操作領域113Aと前記周辺画像領域113Bとに加えて、自律走行作業車両1が作業を行う圃場のマップや設定走行経路Rや現在の位置や作業済位置等を表示する作業状態表示領域113Cを表示可能としている。作業状態表示領域113Cでは、地図に設定走行経路を重ね合わせた二次元表示としたり、三次元表示したり、俯瞰図で表示したりすることができる。」との記載があるから、引用文献1には、作業状態表示領域113Cにおいて、自律走行作業車両1が作業を行う圃場のマップや設定走行経路Rや現在の位置や作業済位置等を表示するだけでなく、俯瞰図を表示することも示唆されている。 してみると、引用発明において、引用文献2に記載の技術的事項を参考として、表示する情報を作業状態表示領域113Cに集約し、 表示装置113の作業状態表示領域113Cにおける、設定走行経路R及び自律走行作業車両1の位置を示す車体位置画像に重ねて、 俯瞰画像(自律走行作業車両1の周囲を撮影するカメラ42の画像に基づいて生成された自律走行作業車両1周囲の俯瞰画像。例えば、引用文献1の段落[0030]の「カメラ42F・42Rは・・・、キャビン11内の前部上と後部上や一つのカメラ42を機体中心に配置して鉛直軸を中心に回転させて周囲を撮影しても、複数のカメラ42を機体の四隅に配置して機体周囲を撮影する構成であってもよい。」との記載等を参照。)、及び 撮影範囲画像(カメラ42の撮影範囲を示す画面上の枠)を表示して、 当該撮影範囲画像内に、当該設定走行経路R、車体位置画像及び俯瞰画像が表示されるように構成して、相違点に係る本件発明のようにすることは、上記引用文献2に記載の技術的事項に接した当業者であれば容易になし得たことである。 以上のとおり、本件発明は、引用発明及び引用文献2に記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易になし得たものである。 2 請求人の主張及び当該主張に対する当審の見解 (1)請求人の主張 請求人は、令和5年8月3日提出の意見書において、当審拒絶理由の理由1(進歩性欠如)に対して、以下の点を主張する。 引用文献2には、車両に関する開示があるものの、当該車両は、予め設定された走行経路に沿って自動走行する作業車両ではないために、引用文献2には、走行経路画像がそもそも開示されていない。当審拒絶理由において走行経路画像と認定されている軌跡画像は、車両の舵角を示す情報を用いて、車両の予測走行軌跡を示す画像であり、自動走行させるために予め設定された走行経路を示す走行経路画像とは全く異なる。したがって、引用文献2には、走行経路画像と、車体位置画像、俯瞰画像、および、撮影範囲画像の少なくともいずれかとを重ねて表示することは開示されていない。また、引用文献2には、少なくとも、撮影範囲画像により示されるカメラの撮影範囲内に走行経路画像を表示することは開示されていない。 (2)請求人の主張に対する当審の見解 走行経路とは、車両が走行する経路を意味するものであるところ、自動走行車両の予め設定された経路のみが走行経路であるとか、車両の舵角を示す情報を用いて算出される車両の予測走行軌跡が走行経路に当たらないような特段の事情は見当たらないから、引用文献2に走行経路を示す走行経路画像が開示されていない旨の主張は採用できない。 さらに、引用文献2に、自動走行させるために予め設定された走行経路を示す走行経路画像が記載されていないとしても、引用発明は、設定走行経路Rを示す走行経路画像を表示するものであり、また、本件発明が、引用発明及び引用文献2に記載の技術的事項から容易になし得るものであることは、上記1で説示したとおりである。 第7 むすび 以上のとおり、本件発明は、引用発明及び引用文献2に記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-014695

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