審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2024-012381

搬送システム、及び搬送制御方法

審判番号
2024-012381
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2024-026443外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2024年07月29日
審決日
2025年10月22日
公報発行日
2026年01月30日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (G05D)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第1項第4号、特許法第29条第1項第3号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2024-26443「搬送システム、及び搬送制御方法」拒絶査定不服審判事件〔令和6年5月1日出願公開、特開2024-59826〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2021年(令和3年)1月8日を国際出願日とする特願2021-539161号の一部を、令和3年10月14日に新たな特許出願とした特願2021-168764の一部をさらに、令和6年2月26日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯の概略は以下のとおりである。 1 令和6年 2月26日 手続補正書の提出 2 令和6年 3月 8日付け 拒絶の理由の通知 3 令和6年 4月 3日 意見書及び手続補正書の提出 4 令和6年 4月12日付け 拒絶の理由(以下「拒絶理由」という。)の通知(以下、この通知を「最後の拒絶理由通知」という。) 5 令和6年 5月 7日 意見書及び手続補正書の提出 6 令和6年 5月10日付け 補正の却下の決定及び拒絶をすべき旨の査定(以下「原査定」という。) 7 令和6年 7月29日 拒絶査定不服審判の請求書及び手続補正書の提出 第2 令和6年7月29日の手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和6年7月29日提出の手続補正書によりされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本拒絶査定不服審判の審理の対象 本拒絶査定不服審判の特許出願は、前審において上記第1の6の補正の却下の決定により上記第1の5の手続補正書による手続補正が却下されたが、上記第1の7で提出された拒絶査定不服審判の請求書には、この決定に対する不服申立てを伴わず、同時に手続補正書が提出されて本件補正がされたから、本件補正後の明細書、特許請求の範囲及び図面が本件審判の審理の対象となる(審判便覧61-05.1)。 2 本件補正について 本件補正は、特許請求の範囲の全文を補正の対象とするところ、そのうち、特許請求の範囲の請求項1に対する補正は、本件補正前の(すなわち、上記第1の3の手続補正書により補正をした)次の(1)の記載を、(2)の記載に補正をするものである。((2)の本件補正による補正箇所に下線を付した。) (1)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載 「【請求項1】 走行路に敷設された誘導ラインを検出する誘導ライン検出部と、 前記誘導ラインに沿って搬送車を走行させる誘導走行制御部と、 前記搬送車が走行するエリアに対応するマップデータ、並びに前記マップデータにおいて予め定められた第1エリア及び第2エリアを記憶する記憶部と、 前記搬送車の自車位置を推定する自車位置推定部と、 前記自車位置推定部により推定される前記自車位置及び前記マップデータに基づいて、前記搬送車を所定目標位置まで走行させる自律走行制御部と、を備え、 前記誘導ライン検出部は、前記自車位置及び前記マップデータに基づいて、前記搬送車が前記第1エリア内を走行している間は前記誘導ラインの検出動作を停止し、前記第1エリアとは異なる前記第2エリア内を走行している間は前記誘導ラインの検出動作を実行する、搬送システム。」 (2)本件補正後における特許請求の範囲の請求項1の記載 「【請求項1】 走行路に敷設された誘導ラインを検出する誘導ライン検出部と、 前記誘導ラインに沿って搬送車を走行させる誘導走行制御部と、 前記搬送車が走行するエリアに対応するマップデータ、並びに前記マップデータにおいて予め定められた第1エリア及び第2エリアを記憶する記憶部と、 前記搬送車の自車位置を推定する自車位置推定部と、 前記自車位置推定部により推定される前記自車位置及び前記マップデータに基づいて、前記搬送車を所定目標位置まで走行させる自律走行制御部と、を備え、 前記誘導ライン検出部は、前記自車位置及び前記マップデータに基づいて、前記搬送車が前記第1エリア内を走行している間は前記誘導ラインの検出動作を停止し、前記第1エリアとは異なる前記第2エリア内を走行している間は前記誘導ラインの検出動作を実行し、 前記自律走行制御部により前記搬送車を制御している際、前記誘導ライン検出部は、前記誘導ラインを構成する二次元コード又はバーコードのコード情報を検出し、前記自車位置推定部は、前記コード情報に基づいて自車位置を推定する、搬送システム。」 3 請求項1に対する本件補正の目的について 本件補正は、補正前の請求項1の搬送車を所定目標位置まで走行させる自律走行制御部の制御内容として、「前記自律走行制御部により前記搬送車を制御している際、前記誘導ライン検出部は、前記誘導ラインを構成する二次元コード又はバーコードのコード情報を検出し、前記自車位置推定部は、前記コード情報に基づいて自車位置を推定する」ことを限定するものである。 そして、本件補正において、補正前の請求項1に記載された発明とその補正後の請求項1に記載されている発明は、産業上の利用分野が共に搬送システム、及び搬送制御方法(本願明細書の段落0001)であり、解決しようとする課題が「誘導走行方式と自律走行方式の両方の機能を有する搬送システム、及び搬送制御方法を提供すること」(同段落0005)というもので、いずれも同一である。したがって、本件補正の請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮(限定的減縮)を目的とする。 このため、本件補正後における請求項1に記載される事項により特定される発明(以下「本願補正発明1」という。)は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定により、特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならないため(独立特許要件)、本願補正発明1に関し、同法第29条第2項(進歩性)に規定する要件について、以下検討する。 4 引用文献 (1)引用文献1:特開2001-265438号公報 (2)引用文献2:特開昭63-228306号公報(周知技術を示す文献) (3)引用文献3:特公平5-36803号公報 (4)引用文献4:実願昭59-142090号(実開昭61-55705号)のマイクロフィルム なお、引用文献1~2は、原査定の拒絶理由(すなわち、上記第1の6の原査定に示した、同第1の4の最後の拒絶理由通知に記載された拒絶理由)の引用文献と共通の文献である。 5 引用文献1(下線は、当審で付与。以下第2において同じ。) (1)引用文献1の記載事項 ア 明細書 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は無人搬送台車に関し、特に、手動運転モード及び自動運転モードを有する無人搬送台車に関する。 ・・・ 【0006】 【発明が解決しようとする課題】上述のように、自律誘導方式では、床面等に連続したガイド線を敷設する必要がない結果、ガイド誘導方式に比べて使用場所が限定されないという利点がある一方、手動運転モードでは、操作者が完全なマニュアル運転を行う必要があるため、例えば、狭い通路及び狭いカーブ等周囲との空間が狭い箇所では、手動操作を行うことが極めて難しく、操作ミスが発生しやすい。このため、無人搬送台車が、例えば、周辺機器又は建屋等に衝突して破損してしまう場合がある。 【0007】言い換えると、手動運転モードの際には、完全マニュアル操作を行うため、熟練者でないと、操作ミスが発生しやすいという問題点がある。 【0008】加えて、自律誘導方式では、床面等に連続したガイド線が敷設されていないため、自動運転モードにおいても、周囲の環境によっては、無人搬送台車の姿勢精度を確保できないことがあるという問題点がある。 【0009】本発明の目的は、手動運転モードにおける運転操作性を容易にすることのできる無人搬送台車を提供することにある。 【0010】本発明の他の目的は、自動運転モードの際に周囲環境に影響されることなく姿勢精度を向上することのできる無人搬送台車を提供することにある。 【0011】 【課題を解決するための手段】本発明によれば、手動モード及び自動モードを選択的に切り替えて走行する無人搬送台車であって、前記自動モードとして自律誘導方式及びガイド誘導方式が規定されており、前記自動モードの際前記自律誘導方式及び前記ガイド誘導方式を選択的に切り替えて走行制御を行う制御手段が備えられていることを特徴とする無人搬送台車が得られる。 【0012】例えば、前記制御手段には、前記自律誘導方式による走行エリアが規定された自律誘導マップデータと前記ガイド誘導方式による走行エリアが規定されたガイド誘導マップデータとが記述された内部マップデータが格納された記憶手段と、前記内部マップデータに基づいて前記自律誘導方式及び前記ガイド誘導方式を選択的に切り替えて走行制御を行う誘導制御手段とが備えられており、さらに、前記手動モードの際、前記制御手段は、予め定められたガイド誘導走行指令が与えられると、前記ガイド誘導方式によって走行制御を行う。 【0013】 【発明の実施の形態】以下本発明について図面を参照して説明する。 【0014】図1を参照して、図示の無人搬送台車は、コントローラ11を備えており、コントローラ11には、誘導制御処理部11a及びモード管理処理部11bが備えられている。そして、後述するようにして、コントローラ11によって駆動装置(例えば、走行・ステアリング)12が制御され、駆動装置12によって、例えば、モータ13が駆動されて、無人搬送台車が走行する。 【0015】図示のように、無人搬送台車には、自律誘導用センサ21、ガイド誘導用センサ22、手動操作用ペンダントボックス23、及び内部マップデータが格納された記憶装置24が備えられており、これら自律誘導用センサ21、ガイド誘導用センサ22、手動操作用ペンダントボックス23、及び記憶装置24はコントローラ11に接続されている。 【0016】ここで、図2も参照して、いま、無人搬送台車30が、図2に示すエリアを走行するとする。このエリアには、第1及び第2の移載ステーション31及び32があり、第1及び第2の移載ステーション31及び32は予め定められた間隔をおいて配置されている。図示の例では、荷物の積み降ろしを行う関係上、無人搬送台車30の幅よりも僅かに広い間隔をおいて第1及び第2の移載ステーション31及び32が配置されており、無人搬送台車30が、第1及び第2の移載ステーション31及び32間に位置付けられた際には、無人搬送台車30と第1の移載ステーション31との間隔及び無人搬送台車30と第2の移載ステーション32との間隔は、例えば、15mm以下となる。 【0017】図示のエリアには、自律誘導区間が規定されるとともに、補助的にガイド誘導区間が規定されており、ガイド誘導区間においてその床面には誘導用ガイド33が敷設されている。図示の例では、第1及び第2の移載ステーション31及び32の近傍にガイド誘導区間が規定されている。つまり、狭い通路及び狭いカーブ等周囲との空間が狭い箇所等にガイド誘導区間が規定されることになる。 【0018】上述のエリアにおけるレイアウトは、記憶装置24に内部マップデータとして格納されており、さらに、この内部マップデータには、無人搬送台車30がどうのような(当審注:「どのような」の誤記と認める。)ルートで走行するかを示すデータが記述されている。つまり、内部マップデータには、「自律」と記述された自律誘導区間マップデータ及び「ガイド」と記述されたガイド誘導区間マップデータが備えられている。言い換えると、内部マップデータでエリアのレイアウトが内部マップとして規定され、自律誘導区間マップデータ及びガイド誘導区間マップデータで、それぞれ自律誘導区間マップ及びガイド誘導区間マップが規定されていることになる。 【0019】無人搬送台車30が走行する際には、モード管理処理部11bから誘導制御処理部11aに自動モード/手動モードを示す信号が与えられる。いま、自動モードを示すモード信号が、誘導制御処理部11aに与えられたとすると、誘導制御処理部11aは内部マップデータを参照して駆動装置12のステアリング及び走行速度を制御する。この際、誘導制御処理部11aは自律誘導用センサ21又はガイド誘導用センサ22からのセンサ信号に応じて無人搬送台車30の内部マップ上の位置を知ることになるが、無人搬送台車30が自律誘導区間マップデータ上にいる際には、誘導制御処理部11aは、自律誘導用センサ21からのセンサ信号に応じて現在位置を算出して、走行ルートから逸脱しないように駆動装置12のステアリング及び走行速度を制御する。 【0020】一方、無人搬送台車30がガイド誘導区間マップデータ上にいる際には、誘導制御処理部11aは、ガイド誘導用センサ22からのセンサ信号に応じて現在位置を算出して、走行ルートから逸脱しないように駆動装置12のステアリング及び走行速度を制御する。 【0021】手動モードを示すモード信号が、誘導制御処理部11aに与えられたとすると、誘導制御処理部11aは手動モードとなり、手動操作用ペンダントボックス23から操作信号に基づいて駆動装置12のステアリング及び手動時の走行速度を制御する。この手動モードにおいて、手動操作用ペンダントボックス23のガイド誘導走行スイッチを押している間、手動操作用ペンダントボックス23から誘導制御処理部11aに「ガイド誘導走行」を指示する指令が与えられる。これによって、誘導制御処理部11aでは、ガイド誘導用センサ22からのセンサ信号に応じて現在位置を算出して、走行ルートから逸脱しないように駆動装置12のステアリング及び手動時の走行速度を制御する。 【0022】上述のように、無人搬送台車が自動モードで走行する際には、走行するルート情報を示す内部マップデータに基づいて、通常の状態では自律誘導方式を用い、周囲の環境上、自律誘導が難しい箇所では、ガイド誘導方式に切り替えるようにしている。 【0023】また、手動モードにおいても、通路幅が狭い箇所及び移載ステーション等台車の姿勢精度が要求されるような箇所では、手動操作用ペンダントボックスから「ガイド誘導走行」を指示する指令を与えれば、無人搬送台車はガイド誘導方式で走行することになる。つまり、操作者は、手動操作用ペンダントボックスのガイド誘導走行スイッチを押すだけで、複雑な舵取り操作を行うことなく(熟練者でなくても)、容易に無人搬送台車の姿勢精度を良好に保つことができる。 【0024】 【発明の効果】以上説明したように、本発明では、無人搬送台車が自動モードで走行する際に、走行するルート情報を示す内部マップデータに基づいて自律誘導方式とガイド誘導方式とを選択的に切り替えるようにようにした(当審注:「切り替えるようにした」の誤記と認める。)から、自律誘導方式の利点を生かしつつ精度良く姿勢制御を行うことができるという効果がある。 【0025】さらに、本発明では、無人搬送台車が手動モードで走行する際には、ガイド誘導走行を指示する指令を与えれば、ガイド誘導方式で走行するようになるから、熟練を必要とせず、手動モードにおける運転操作性を容易にすることができるという効果もある。」 イ 図面 「【図1】 [図:0001430712000001.jpg] 【図2】 [図:0001430712000002.jpg] 」 (2)引用文献1の記載事項の整理 ア 引用文献1の段落0001の記載からみて、引用文献1には無人搬送台車の発明が記載されている。 イ 引用文献1の段落0017、0019~0020、図1~2の記載からみて、上記アの発明に係る無人搬送台車30は図2に示すエリアを走行し、そのガイド誘導区間の走行ルートには誘導用ガイド33が敷設されている。そして、無人搬送台車30は、この誘導用ガイド33を走行してセンサ信号を与えるガイド誘導用センサ22を備える。 ウ 引用文献1の段落0019~0021、図1~2の記載からみて、無人搬送台車30は、誘導用ガイド33を逸脱しないように走行させる誘導制御処理部11aを備える。 エ 引用文献1の段落0018、図1~2の記載からみて、無人搬送台車30は、走行するエリアに対応する内部マップデータ、並びに前記内部マップデータにおいて規定された自律誘導区間及びガイド誘導区間を記憶する記憶装置24を備える。 オ 引用文献1の段落0019~0020、図1~2の記載からみて、無人搬送台車30の上記ウの誘導制御処理部11aは、上記ウの機能に加えて、無人搬送台車30が自律誘導区間マップデータ上にいる際には、自律誘導用センサ21からのセンサ信号に応じて現在位置を算出し、無人搬送台車30がガイド誘導区間マップデータ上にいる際には、ガイド誘導用センサ22からのセンサ信号に応じて現在位置を算出する機能を有する。 カ 引用文献1の段落0014、0019~0020、図1~2の記載からみて、無人搬送台車30は、上記オの誘導制御処理部11aにより算出される現在位置及び内部マップデータに基づいて、走行ルートから逸脱しないように駆動装置12に走行させるコントローラ11を備える。 キ 引用文献1の段落0019~0020、図1~2の記載からみて、搬送台車30の上記オのガイド誘導用センサ22は、現在位置及び内部マップデータに基づいて、自律誘導区間とは異なるガイド誘導区間内を走行している間はセンサ信号を与えるものである。 (3)引用文献1記載の発明 上記(1)~(2)より、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているといえる。 「 走行ルートに敷設された誘導用ガイド33を走行してセンサ信号を出力するガイド誘導用センサ22と、 前記誘導用ガイド33を逸脱しないように無人搬送台車30を走行させる誘導制御処理部11aと、 前記無人搬送台車30が走行するエリアに対応する内部マップデータ、並びに前記内部マップデータにおいて規定された自律誘導区間及びガイド誘導区間を記憶する記憶装置24と、 前記無人搬送台車30の現在位置を算出する誘導制御処理部11aと、 前記誘導制御処理部11aにより算出される前記現在位置及び前記内部マップデータに基づいて、前記無人搬送台車30を走行ルートから逸脱しないように走行させるコントローラ11と、を備え、 前記ガイド誘導用センサ22は、前記現在位置及び前記内部マップデータに基づいて、前記自律誘導区間とは異なる前記ガイド誘導区間内を走行している間は前記誘導用ガイド33のセンサ信号を出力する、無人搬送台車。」 6 引用文献2 (1)引用文献2の記載事項 ア 発明の詳細な説明 (ア)「○従来の技術 無人搬送車の走行方法として、誘導テープによる誘導走行方式とマイコン制御による自立走行方式との組合わせ、例えば、交差点・分岐点のみを自立走行とし本線、側線等では誘導走行とするものが公知である。 ○本発明が解決すべき問題点 上述の自立走行と誘導走行との組合わせによる無人搬送車の走行方法においては、曲線部の自立走行より直線部の誘導走行に戻る必要があるが、その際車体の検出センサが、誘導テープを検出させる状態にしておくと、曲線部の自立走行を完了して、誘導テープによる走行へ戻る位置に達する迄に(即ち、車体が完全に旋回し終わっていない状態で)、直線部の誘導テープを先に検出することになり、走行ルートより脱線することになる問題点がある。 ○問題点を解決するための手段 本願第1発明は、誘導走行時に誘導テープを検出するための検出センサの作動を、曲線部の自立走行時に、設定位置に達するまで停止させ、車体が曲線部を旋回し終わった位置で検出センサで誘導テープを検出させ、誘導走行へ移行させるものである。」(第1ページ右下欄第19行~第2ページ右上欄第2行) (イ)「第1図は本願第1発明による走行方法を示し、誘導部B′の地点Q0でアドレスマーク3を検出ののち誘導走行パルスP0を地点Q1まで発生させ、誘導走行パルスP0の存在中は無人搬送車1は誘導走行を継続し直進する。地点Q1で誘導走行パルスP1より自己旋回パルスP1に切換え、地点Q2まで自己旋回パルスP1を継続する。なお、舵の戻し時間を考慮し曲線部Aの終端Q2で検出センサ6と誘導テープ2の中心が一致するように自己旋回パルスP1を決める。 地点Q2より地点Q4の間を、誘導準備パルスP2の区間とし、舵を戻し直進走行に移るものであるが、直進走行後の地点Q4(誘導準備パルス終了点)で検出センサ6の検知作動を再開させ誘導走行を開始する。 上述の走行方法では、下記の問題点が考えられる。 荷重の大小、バッテリの充電後の使用時間経通による容量の変化、走行速度の早い遅いの差、走行床面の状況等により、曲線を自立走行させ、直線部に移行するとき、誘導中心に戻らずにずれて誘導に移ることになる。その結果、無人搬送車は誘導中心に戻ろうとするので車体がふらつくことになる。 上記問題点の解決策の一つとして、検出センサ6の検知作動を再開させる設定位置を、地点Q2とすることにより、地点Q2よりQ3、Q4への移動中に誘導テープ2があれば検出できるようにする。この場合、舵角はθ1のままとする。」(第2ページ左下欄第19行~第3ページ左上欄第7行) イ 図面 第1図 [図:0001430712000003.jpg] (2)引用文献2に記載された技術的事項 上記(1)からみて、引用文献2記載の無人搬送車1は、地点Q0~Q1まで誘導走行パルスP0を発生させて誘導走行をし、地点Q1で誘導走行パルスP0より自己旋回パルスP1に切換え、地点Q2まで自己旋回パルスP1を発生させて自律走行をし、地点Q1~Q2までの自立走行時には、誘導走行時に誘導テープを検出するために行っていた検出センサ6の検知作動を停止させ、地点Q2で当該検知作動を再開させるものである。 したがって、引用文献2には、次の技術的事項(以下「引用文献2記載の技術的事項」という。)が記載されている。 「自立走行と誘導走行を組み合わせて走行する行う無人搬送車1が、自立走行時には、誘導走行時に誘導テープを検出するために行っていた検出センサ6の検知作動を停止させる。」 7 引用文献3 (1)引用文献3の記載事項 ア 特許請求の範囲 「1 基地局からの指令により走行し自動搬送車がその経路に敷設された走行ガイドテープに案内され進行方向の偏移修正を行いながら走行する自動搬送車システムにおいて、 前記走行経路の前記走行ガイドテープ上の所定の位置にその位置を表示するために一定の走行方向およびその逆方向でそれぞれ読み取られる正逆一対のバーコードを配置し、 前記自動搬送車に前記バーコードの一方を読みその後一定時間信号入力を遮断するバーコードリーダを設け送受信部を介して前記基地局と通信し、 前記基地局に設けられた走行制御回路で前記バーコードリーダで読み取られた位置信号をもとにして前記自動搬送車の走行制御を行なうように構成したことを特徴とする自動搬送車システム。」(第1欄第2~17行) イ 発明の詳細な説明 (ア)「(産業上の利用分野) 本発明は、自動搬送車システム、さらに詳しく言えば、走行ガイドテープにバーコードを付加することにより、システム内での精度の高い走行位置制御を可能した自動搬送車システムに関する。」(第1欄第19~24行) (イ)「 走行ガイドテープ2にはバーコード21,22,……,2n,……が付加されている。バーコードとは、線幅や線間隔の違いを組み合せることにより表された符号をいう。バーコード21,22,……,2n,……は、自動搬送車1のバーコードリーダ51で読み取られる。バーコードリーダ51で読み取られた信号は、信号処理回路52で処理されたのち、送受信部53から基地局3の送受信部33に送られ、インターフエイス32を介して、コンピユータ31に入力される。これにより、基地局3のコンピユータ31は、自動搬送車1の現在位置を時々刻々と知ることができる。」(第3欄第43行~第4欄第10行) ウ 図面 (ア)第1図 [図:0001430712000004.jpg] (イ)第2図 [図:0001430712000005.jpg] (2)引用文献3に記載された技術的事項 上記(1)からみて、引用文献3には次の技術的事項(以下「引用文献3記載の技術的事項」という。)が記載されている。 「自動搬送車システムにおいて、自動搬送車の制御を行うのに、経路に敷設された走行ガイドテープに配置されたバーコードの位置信号をバーコードリーダ51で読み取り、読み取られた位置信号で現在位置を知る。」 8 引用文献4 (1)引用文献4の記載事項 ア 考案の詳細な説明 (ア)「 第2図は、本考案の第2実施例の光学式テープ1Cのパターンを示す平面図である。テープ1cには、標識4が表示されている。この標識4は、テープ1cの両端縁の所定幅を除く部分に予め定めた間隔で表示されており、バーコードを示す。」(明細書第4ページ[右下に40の表示]第19行~第5ページ第3行) (イ)「 前記標識が用途に応じた情報、例えば無人搬送車の走行経路の位置、速度、経路の曲部や、経路の勾配の有無、その数値等を示すように、光学式テープ上に予め表示させておき、デジタル信号として走行時取り出す。 前記のテープを移動体の走行経路面上に連続して、又は、断続して貼着させことにより、地上移動体に具備した受光検知器によって前記テープに表示されたコードマーク又は標識を検知し、予め定められた情報を検知するものである。」(明細書第5ページ[右下に41の表示]第11~20行) (ウ)「 前記テープ1の裏面は、接着材等によって経路敷設面に貼着できるようになす。 次に第5図を参照して光学式テープ1を用いた実施例として、無人搬送車に適用した場合につき説明する。なお、光学式テープ1は、前記光学式テープ1A~1Eに相当する。 第5図に於いて、無人搬送車11の底面前後部には、検知面を下方向に向けた2個の検出部12が固設されるとともに、演算部、操舵、駆動部が内装されている。」(明細書第6ページ[右下に42の表示]第9~18行) 「 前記演算部はCPU(中央処理装置)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(リードオンリメモリ)とからなり、前記検出部12の検知信号を入力することで、CPUは光学式テープ1に表示されたバーコード又は標識2を記憶させたRAMのデータを基にして、ROMに記憶させたプログラムに従い所定の演算処理を行う。前記演算部の出力信号に基づいて、無人搬送車11を方向転換、加減速、停止等の動作をさせる。 これにより、無人搬送車11は、前記光学テープ1の両端縁Wを検知して走行経路を走行するとともに、前記光学テープ1に表示されたバーコード4や標識2を検知し、この検知信号によって操舵部を制御させるとともに、前記検知信号を演算部に入力する。」(明細書第7ページ[右下に43の表示]第4~18行) イ 図面 (ア)第2図 [図:0001430712000006.jpg] (イ)第5図 [図:0001430712000007.jpg] (2)引用文献4に記載された技術的事項 上記(1)からみて、引用文献4には次の技術的事項(以下「引用文献4記載の技術的事項」という。)が記載されている。 「無人搬送車11において、方向転換、加減速、停止等の動作をさせるのに、経路敷設面に貼着した光学式テープ1に予め表示されたバーコード4が示す無人搬送車11の走行経路の位置を、走行時にバーコードリーダ51で検知して読み取り、取り出す。」 9 本願補正発明1と引用発明1の対比 (1)引用発明1の「走行ルート」は本願補正発明1の「走行路」に相当し、同様に「誘導用ガイド33」は「誘導ライン」に、それぞれ相当する。そして、引用発明1の無人搬送台車が走行して誘導用ガイド33を検出した結果、ガイド誘導用センサ22がセンサ信号を出力するものであるから、引用発明1の「走行してセンサ信号を出力する」は本願補正発明1の「検出する」に相当し、同様に「ガイド誘導用センサ22」は「誘導ライン検出部」に、それぞれ相当する。 (2)引用発明1の「誘導用ガイド33を逸脱しないように」は本願補正発明1の「誘導ラインに沿って」に相当し、同様に「誘導制御処理部11a」は「誘導走行制御部」に、それぞれ相当する。 (3)引用発明1の「内部マップデータ」は本願補正発明1の「マップデータ」に相当し、以下同様に「規定された」は「予め定められた」に、「自律誘導区間」は「第1エリア」に、「ガイド誘導区間」は「第2エリア」に、「記憶装置24」は「記憶部」に、それぞれ相当する。 (4)引用発明1の「現在位置」は本願補正発明1の「自車位置」に相当し、同様に「算出」は「推定」に相当する。そして(2)において、本願補正発明1の「誘導走行制御部」に相当するとした引用発明1の「誘導制御処理部11a」は、本願補正発明1の「自車位置推定部」にも相当する。 (5)引用発明1の「走行ルートから逸脱しないように走行させる」は本願補正発明1の「所定目標位置まで走行させる」に相当し、同様に「コントローラ1」は「自律走行制御部」に相当する。 (6)上記(1)の引用発明1の「走行してセンサ信号を出力する」は本願補正発明1の「検出する」に相当するとしたのと同様の理由により、引用発明1の「前記誘導用ガイド33のセンサ信号を出力する」は本願補正発明1の「前記誘導ラインの検出動作を実行し」に相当し、同様に「無人搬送台車」は「搬送システム」に相当する。 10 本願補正発明1と引用発明1の一致点及び相違点 上記9より、本願補正発明1と引用発明1は、次の(1)の点で一致する一方で、(2)ア~イの点で相違する。 (1)一致点 走行路に敷設された誘導ラインを検出する誘導ライン検出部と、 前記誘導ラインに沿って搬送車を走行させる誘導走行制御部と、 前記搬送車が走行するエリアに対応するマップデータ、並びに前記マップデータにおいて予め定められた第1エリア及び第2エリアを記憶する記憶部と、 前記搬送車の自車位置を推定する自車位置推定部と、 前記自車位置推定部により推定される前記自車位置及び前記マップデータに基づいて、前記搬送車を所定目標位置まで走行させる自律走行制御部と、を備え、 前記誘導ライン検出部は、前記自車位置及び前記マップデータに基づいて、前記第1エリアとは異なる前記第2エリア内を走行している間は前記誘導ラインの検出動作を実行する、搬送システム。 (2)相違点 ア 相違点1 搬送車が第1エリア内を走行している間において、本願補正発明1では、誘導ラインの検出動作を停止するのに対して、引用発明1では、ガイド誘導用センサ22による誘導用ガイド33の検出動作を停止するか不明である点。 イ 相違点2 本願補正発明1が、自律走行制御部により搬送車を制御している際、誘導ライン検出部は、誘導ラインを構成する二次元コード又はバーコードのコード情報を検出し、自車位置推定部は、前記コード情報に基づいて自車位置を推定するのに対して、引用発明1は、誘導用ガイド33が二次元コード又はバーコードで構成されるか不明であり、そのため、ガイド誘導用センサ22が二次元コード又はバーコードのコード情報の検出を行っておらず、誘導制御処理部11aがコード情報に基づく自車位置の推定をしていない点。 11 相違点の検討 (1)相違点1 引用発明1においては、搬送車が第1エリア(自律誘導区間)内を走行している間においては、自律誘導用センサ21からのセンサ信号に応じて現在位置を算出するものであって(上記5(2)オ)、ガイド誘導用センサ22による誘導ラインの検出動作を継続しなければならない事情は見いだせないことを考慮すれば、上記6(2)の「自立走行と誘導走行を組み合わせて走行する行う無人搬送車1が、自立走行時には、誘導走行時に誘導テープを検出するために行っていた検出センサ6の検知作動を停止させる」という引用文献2記載の技術的事項を、引用発明1に適用して、上記相違点1に係る本願補正発明1のようにすることに特段の創意は要しない。 (2)相違点2 例えば、上記7(2)の引用文献3記載の技術的事項の「自動搬送車システムにおいて、自動搬送車の制御を行うのに、経路に敷設された走行ガイドテープに配置されたバーコードの位置信号をバーコードリーダ51で読み取り、読み取られた位置信号で現在位置を知る」こと、あるいは、上記8(2)の引用文献4記載の技術的事項の「無人搬送車11において、方向転換、加減速、停止等の動作をさせるのに、経路敷設面に貼着した光学式テープ1に予め表示されたバーコード4が示す無人搬送車11の走行経路の位置を、走行時にバーコードリーダ51で検知して読み取り、取り出す」ことのように、搬送車を誘導ラインに沿って走行させる制御するために、バーコードを配置してあるいは表示して誘導ラインを構成し、このバーコードのコード情報を検出して自車位置を推定するようなことは、本願出願前に当業者間に周知の技術(以下、この引用文献3記載の技術的事項及び引用文献4記載の技術的事項により例示される技術を「誘導ラインの周知技術」という。)であり、同じ搬送台車の自動走行に係る技術である引用発明1に適用して、相違点2に係る本願補正発明1の「自律走行制御部により搬送車を制御している際、誘導ライン検出部は、誘導ラインを構成する二次元コード又はバーコードのコード情報を検出し、自車位置推定部は、前記コード情報に基づいて自車位置を推定する」ようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 (3)相違点の検討のまとめ したがって、本願補正発明1は、引用発明1、引用文献2記載の技術的事項、及び誘導ラインの周知技術(必要であれば、引用文献3及び引用文献4を参照。)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 12 請求人の主張について 審判請求書の請求の理由(以下、単に「請求の理由」という。)における主張について検討する。 (1)請求の理由における請求人の主張 請求の理由における主張は概略、次のとおりである。 本件補正により、本願補正発明1の「前記自律走行制御部により前記搬送車を制御している際、前記誘導ライン検出部は、前記誘導ラインを構成する二次元コード又はバーコードのコード情報を検出し、前記自車位置推定部は、前記コード情報に基づいて自車位置を推定する」ことが明確になった。 このような構成により、本願補正発明1によれば、「自律走行モードにおいて、誘導ライン検出部16による誘導ラインの検出動作を行って、得られたコード情報を利用することで自律走行モードの走行精度を向上させることが可能となる(段落0087)。」との顕著な効果を得ることがでる。 引用文献1、2には、自律走行モードにおいて、誘導ラインを構成する二次元コード又はバーコードのコード情報を検出し、得られたコード情報を利用することで自律走行モードの位置推定精度を高め、走行精度を向上させることは開示も示唆もされていない。 (2)上記(1)の主張の検討 上記(1)の本件補正により明確になった技術的事項は、本願補正発明1と引用発明1の相違点2であり、既に11(2)で検討したとおり、搬送車を誘導ラインに沿って走行させる制御するために、バーコードを配置してあるいは表示して誘導ラインを構成し、このバーコードのコード情報を基に自車位置を推定するようなことは、引用文献3記載の技術的事項及び引用文献4記載の技術的事項により例示される誘導ラインの周知技術であり、同じ搬送台車の自動走行に係る技術である引用発明1に適用して、当該技術的事項を備える本願補正発明1とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 また、請求人が(1)で主張する「自律走行モードにおいて、誘導ライン検出部16による誘導ラインの検出動作を行って、得られたコード情報を利用することで自律走行モードの走行精度を向上させることが可能となる」(本願明細書段落0087)という効果は、例えば、引用文献3記載の技術的事項も「自動搬送車システム、さらに詳しく言えば、走行ガイドテープにバーコードを付加することにより、システム内での精度の高い走行位置制御を可能した自動搬送車システムに関する」(上記7(1)イ(ア))ものであって、同様な効果を奏するものであり、上記誘導ラインの周知技術を例示する引用文献3及び引用文献4が、いずれも1984年に出願された特許出願及び実用新案登録出願に係り、本願出願より30年以上も前の技術であることからみても、引用発明1にこの誘導ラインの周知技術を適用することで、当業者が予測し得ないような効果を奏するような事情を見いだすことはできない。 したがって、上記(1)の請求人の主張は採用することができない。 13 特許法第29条第2項(進歩性)を理由とする独立特許要件の適否についてのまとめ 本願補正発明1は、上記11(1)~(2)で検討したとおり、いずれの相違点によっても進歩性を具備するとはいえないため、引用発明1、引用文献2記載の技術的事項、及び、誘導ラインの周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、上記12のとおり、請求の理由における請求人の主張も採用することはできないから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、本願補正発明1は、特許出願の際独立して特許を受けることができないから、同法第17条の2第6項において前項第2号の場合に準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たしていない。 14 小括 以上のとおり、本願補正発明1は同法第17条の2第6項にて準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たしておらず、特許法第17条の2第1項第4号に掲げる拒絶査定不服審判の請求と同時にされた本件補正は、同条第5項第2号に掲げる事項を目的とするものであるものの、同法第17条の2第6項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において、読み替えて拒絶査定不服審判に準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり、決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明1 本件補正は、第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~5に係る発明は、令和6年4月3日提出の手続補正書により補正をした特許請求の範囲の請求項1~5に記載した事項により特定されるとおりのものであって、そのうち、請求項1に係る発明(以下「本願発明1」という。)は、上記第2の[理由]2(1)に記載された事項により特定されるとおりのものである。 2 原査定の拒絶理由 原査定の拒絶理由は、上記第1の3の最後の拒絶理由通知で通知したものであって、そのうち、本願発明1に対する理由は、概略、次の(1)のとおりであり、当該拒絶理由において引用した文献は、次の(2)のとおりである。 (1)理由 (進歩性)本願発明1は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である下記(2)の引用文献1~2の発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 (2)引用文献 ア 引用文献1:特開2001-265438号公報 イ 引用文献2:特開昭63-228306号公報[周知技術を示す文献] そして、上記(1)の理由で引用された引用文献1~2は、上記第2の[理由]4の引用文献1~2と同じであり、これらの引用文献の内容は第2の[理由]5~6のとおりであり、引用文献1に記載された引用発明1も第2の[理由]5(3)と共通である。 3 理由の検討 本願発明1は、上記第2で進歩性に係る独立特許要件を検討した本願補正発明1から本件補正で限定した事項(以下「本件補正事項」という。)を省いたものである。 そうすると、本願補正発明1の発明特定事項を全て含み、さらに本件補正事項を付加したものに相当する本願補正発明1について、前記第2で検討したとおり、引用発明1、引用文献2記載の技術的事項に加えて、本件補正事項に対応する誘導ラインの周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、この本件補正事項を省いた本願発明1は、最後の拒絶理由通知で通知した拒絶理由のとおり、引用発明1及び引用文献2記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 4 前審における手続(最後の拒絶理由通知及び補正の却下の決定)について (1)前審における最後の拒絶理由通知について 前審における最後の拒絶理由通知(第1の4)については、これに先立つ令和6年3月8日付けの拒絶の理由の通知(第1の2)において、請求項1~5に対して上記引用文献2を主引用例として特許法第29条第1項第3号(新規性)及び同条第2項(進歩性)の拒絶理由を通知したところ、それに対する手続補正(第1の3)により、検出情報としてのマップデータと該マップデータにおいて予め定められた第1エリア及び第2エリアを記憶する記憶部が特定されたことに伴い、これらの事項が開示された上記引用文献1を主引用例とし、上記引用文献2を副引用例として同条第2項(進歩性)の拒絶理由を再度通知したものであった。したがって、この最後の拒絶理由通知は、最初の拒絶理由通知に対する応答時の補正によって通知することが必要になった拒絶理由のみを通知するものであったから、「最後」の拒絶理由通知としたことに手続上の瑕疵はない。 (2)前審における補正の却下の決定について 前審における補正の却下の決定(第1の6)は、上記(1)の最後の拒絶理由通知に対する応答時の手続補正(第1の5)により、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮(限定的減縮)を目的として「前記自律走行制御部は、前記記憶部に記憶される所定の動作シナリオに基づいて、前記第2エリア内で前記検出動作を実行する前記誘導ライン検出部の検出結果の情報を利用せずに前記搬送車の走行を制御する」点を限定したものであったが、当該補正後の請求項1に係る発明が、同法第29条第2項(進歩性)の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものであり、同法第17条の2第6項で準用する同法126条第7項に規定する要件(独立特許要件)を満たしていないことから、上記応答時の手続補正を、同法第17条の2第6項の規定に違反するものであるとして、同法第53条第1項の規定により、却下したものである。 上記前審における補正の却下の決定においては、上記応答時の手続補正後の請求項1に係る発明について、補正によって限定された事項に対して、特開平3-48307号公報(第4図)[この決定における引用文献3]、及び実願昭51-80100号(実開昭52-170196号)のマイクロフィルム(第1図)[この決定における引用文献4]を引用して、「誘導ラインの分岐部において、所定の動作シナリオに基づいて(直進するよう指示があった場合に)、第2エリア内で検出動作を実行する誘導ライン検出部の検出結果の情報を利用せずに(誘導走行せずに)搬送車の走行を制御する(直進する)技術」は周知技術であることを示した上で、「引用文献1に記載の発明においても、移載ステーション31、32が目的地でない場合には誘導用ガイド33の分岐部を直進すべきことは明らかであり(図2の分岐部において直進方向に点線が描かれている点も参照されたい。)、その際に上記の周知技術を採用することは容易である」と、特許出願の際独立して特許を受けることができないという判断を示した上で、当該決定に到ったものであって、その手続及び判断に誤りはない。 (3)前審における手続についてのまとめ したがって、前審における最後の拒絶理由通知は最初の拒絶理由通知に対する応答時の補正によって通知することが必要になった拒絶理由のみを通知するものであり、この最後の拒絶理由通知に対する手続補正に対する前審における補正の却下の決定は、当該手続補正について、限定的減縮を目的とする補正をした補正後の請求項1に係る発明が進歩性欠如により独立特許要件を満たさないことを示した上で補正の却下の決定をしたものであるから、これらの手続に違法性はない。 第4 むすび 以上のとおりであるから、本願発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2024-012381

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決1件(株式会社LexxPluss)
  • 2024-020298拒絶査定不服審判 / 2025-03-05 / 原査定取消(特許/登録すべき)移動体の経路生成システム、経路生成方法、及びプログラム
    同じ当事者: 株式会社LexxPluss
同じ根拠条文の審決7,656件(特許法29条2項)
  • 2024-003154拒絶査定不服審判 / 2025-08-06 / 請求不成立作業車両用の自動走行システム、及び作業車両用の自動走行方法
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2023-020265拒絶査定不服審判 / 2025-06-06 / 請求不成立ロボットおよびその制御方法、ならびにプログラム
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2022-013588拒絶査定不服審判 / 2024-04-02 / 請求不成立水素流量制御装置
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2023-002357拒絶査定不服審判 / 2024-01-24 / 請求不成立作業機械の制御方法および制御システム
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2022-014695拒絶査定不服審判 / 2023-10-17 / 請求不成立自動走行システム
    共通の条文: 特許法29条2項
検索でもっと見る →
同じ論点・分野の審決(審決分類)148件(121・G05D)
  • 2025-010519拒絶査定不服審判 / 2026-08-05 / 原査定取消(特許/登録すべき)自律移動ロボット制御システム、自律移動ロボット制御方法、及び自律移動ロボット制御…
    共通の審決分類: 121・G05D
  • 2025-012660拒絶査定不服審判 / 2026-07-30 / 原査定取消(特許/登録すべき)第1自律移動装置、サーバ装置、自律移動制御方法、及びプログラム
    共通の審決分類: 121・G05D
  • 2025-008816拒絶査定不服審判 / 2026-07-13 / 原査定取消(特許/登録すべき)自動走行システムおよび表示方法
    共通の審決分類: 121・G05D
  • 2025-003829拒絶査定不服審判 / 2026-06-30 / 原査定取消(特許/登録すべき)移動体制御システム、移動体制御方法、および画像通信装置
    共通の審決分類: 121・G05D
  • 2024-020908拒絶査定不服審判 / 2026-06-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)ロボット
    共通の審決分類: 121・G05D

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存