特許拒絶査定不服審判
2022-013588
水素流量制御装置
- 審判番号
- 2022-013588
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-078548外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年08月30日
- 審決日
- 2024年04月02日
- 公報発行日
- 2024年06月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】津田 訓範
- 【請求人代理人】弁理士法人ライトハウス国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-WZ (G05D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021-78548「水素流量制御装置」拒絶査定不服審判事件〔令和3年8月12日出願公開、特開2021-119525〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、平成29年1月23日に出願した特願2017-9418の一部を令和3年5月6日に新たな特許出願としたものであって、出願後の手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
令和3年10月13日 手続補正書の提出
令和4年 1月20日付け:拒絶理由を通知
令和4年 3月10日 :意見書、及び手続補正書の提出
令和4年 7月13日付け:拒絶をすべき旨の査定
令和4年 8月30日 :審判請求書、及び手続補正書の提出
令和4年 8月31日 :手続補足書の提出
令和5年 7月19日付け:拒絶理由を通知
令和5年 9月14日 :意見書、及び手続補正書の提出
令和5年 9月15日 :手続補足書の提出
2 本願発明
本願の請求項1~6に係る発明は、令和5年9月14日提出の手続補正書により補正をした特許請求の範囲の請求項1~6に記載した事項により特定されるとおりのものであって、このうち、請求項5に記載した事項は以下のとおりである。(以下、請求項5に係る発明を「本願発明5」という。)
「【請求項5】
水素流量制御装置と、複数の発電機ユニットとを備える発電システムであって、
水素流量制御装置が、
複数の水素ガス供給元と、
複数の発電機ユニットに水素ガスを供給可能な複数の水素ガス供給路と、
水素ガス供給路に設置され、水素ガスの流量の調整が可能な流量調整手段と、
水素ガス供給路に設置され、水素ガスの供給の閉止が可能な開閉弁と、
流量調整手段による水素ガスの流量の調整、及び、開閉弁の開閉を制御する制御手段と
を備え、
水素ガス供給元のそれぞれが、水素ガス供給路のそれぞれに対応し、
水素ガス供給路のそれぞれが、発電機ユニットのそれぞれに対応するものであり、
複数の水素ガス供給元のそれぞれにおいて、1の水素ガス供給元が、1の水素ガス供給路を介して、1の発電機ユニットと接続されており、
発電システムが、
複数の発電機ユニットで発電された交流電力を1つの電力に合成する電力合成手段を備え、
電力合成手段が、複数の発電機ユニットのうち、所定の発電機ユニットで発電された交流電力の位相に、他の発電機ユニットで発電された交流電力の位相を一致させるように制御する、
発電システム。」
3 当審で通知した拒絶理由
(1)理由の概要
当審が令和5年7月19日付けで通知した拒絶理由のうち、本願発明5に対するものの概要は以下のとおりである。
(進歩性)本願発明5は、引用文献3に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
(2)引用文献
引用文献3:特開2015-228777号公報
4 引用文献
(1)引用文献3の記載事項
ア 発明の詳細な説明
「【技術分野】
【0001】
本発明は、電力を安定的に供給するための発電機システムに関する。
・・・
【課題を解決するための手段】
【0006】
しかしながら、上記のような大電力を供給する発電機は、発電機自体の発熱量も大きくなるため、発電機自体が耐用性に劣るという問題がある。さらに、発電機が故障してしまえば、継続的な電力供給が不可能になってしまうという問題もある。また、特許文献1に記載されているような発電機は、複数のモータから構成される発電装置のうち、第1段モータを効率よく駆動させる動力源が特殊であることや、発電システムの構造上メンテナンスが不便であるということから、非常用の電源として用いることはできても、常設の電源として用いることは困難であるといえる。
【0007】
本発明は、発電をするための複数の発電機ユニットと、発電機ユニットにおいて発電された電力を合成するための電力合成器とを備え、各発電機ユニットが電力合成器に連結され、前記発電機ユニットが、他の発電機ユニットにそれぞれ交換可能であることを特徴とする発電機システムに関する。
【0008】
本発明では、さらに、発電機ユニットに燃料を供給するための接続器と、接続器に燃料を供給するための複数の燃料容器とを備え、前記燃料容器が、他の燃料容器にそれぞれ交換可能であることが好ましい。
【0009】
本発明では、さらに、発電機ユニットが、発電機と、整流器と、インバータとを備え、発電機から出力される交流電力が、発電機に連結された整流器によって直流電力に整流され、整流器から出力される直流電力が、整流器に連結されたインバータによって交流電力に変換され、複数のインバータから出力された交流電力が、複数のインバータと連結された電力合成器によって合成され、複数のインバータが、予め任意に選択されたマスターインバータとそれ以外のスレーブインバータからなり、マスターインバータから出力される交流電力の位相とスレーブインバータから出力される交流電力の位相との位相差を解消するための情報が、電力合成器からスレーブインバータのそれぞれに出力され、スレーブインバータから出力される交流電力の位相が、前記情報に基づいてマスターインバータから出力される交流電力の位相と一致するように制御されることが好ましい。
【0010】
本発明では、さらに、接続器、及び/又は、発電機ユニットを監視制御する主制御回路を備え、接続器において、燃料容器から接続器への燃料の供給圧力、接続器の内圧、及び/若しくは、接続器から発電機ユニットへの燃料の供給圧力の異常を主制御回路が検知した際、並びに/又は、発電機ユニットにおいて、発電機に連結されたエンジン温度の異常を主制御回路が検知した際に、燃料容器から接続器への燃料の供給若しくは接続器から発電機ユニットへの燃料の供給又は発電機ユニットによる発電が停止されることが好ましい。
【0011】
本発明では、さらに、燃料が水素ガスであることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明においては、複数の発電機ユニットを採用しているため、1つの発電機の容量を小さくすることができる。小容量の発電機を採用できるため、発電機1台あたりの発熱量を小さく抑えることができる。発電機1台あたりの発熱量を小さく抑えられることで、発電機の寿命を長くすることができる。また、発電機ユニットを複数にすることにより、発電機ユニットを冷却するための表面積が増加するため、発電機全体の冷却効率を上げることもできる。
【0013】
発電機ユニットが1つしかない場合は、発電機ユニットが故障してしまうと電力供給が停止してしまうが、本発明のように発電機ユニットが複数ある場合は、1つ1つの発電機ユニットが壊れにくくなるだけでなく、1つの発電機ユニットが故障しても、他の発電機ユニットが稼働できるため、電力供給を継続できる。また、複数の発電機ユニットをそれぞれ交換することができるため、修理やメンテナンスのために、1つの発電機における発電を停止させる必要があっても、他の発電機ユニットを稼働させることができる。そのため、電力供給を停止させることなく、発電機ユニットの修理やメンテナンスを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】 本発明にかかる発電機システムの構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
・・・
【0016】
本実施形態において、発電機システムは、水素ガスボンベ1、接続器2、発電機ユニット3、電力合成器4、及び主制御回路5を備える。
【0017】
水素ガスボンベ1には、発電機ユニット3の燃料として接続器2に供給される水素ガスが封入されている。水素ガスボンベ1の形状や大きさはどのようなものでもよいが、接続器2に水素ガスボンベ1を接続する際に、静電気等によって惹起される水素ガスの爆発が起こらないような材質・構造で、水素ガスボンベ1が形成されていることが望ましい。また、接続器2における水素ガスボンベ1の連結部の数だけ、水素ガスボンベ1を接続器2に連結することができる。
【0018】
水素ガスボンベ1は1本ずつ交換できるため、水素ガスボンベ1aを交換している間も、水素ガスボンベ1b?1dによって水素ガスを接続器2に供給できる。そのため、水素ガスボンベ1の交換中も、すべての発電機ユニット3を稼働できるため、電力を継続的に供給することができる。なお、本実施形態においては、水素ガスボンベ1を4つ用いたものを例示しているが、水素ガスボンベ1の数はいくつでもよい。
・・・
【0022】
接続器2は、水素ガスボンベ1から発電機ユニット3へ水素ガスを供給するために設けられる。接続器2は、発電機ユニット3に対して、適切な量の水素ガスを適切なタイミングで供給する。適切な量の水素ガスを発電機ユニット3に供給するためには、例えば、各発電機ユニット3から出力される交流電力の電圧を別途モニタし、状況に応じて水素ガスの供給量を制御出来る制御ユニットを内蔵するという構成にすることが望ましい。また、適切なタイミングで水素ガスを発電機ユニット3に供給するためには、各発電機ユニット3から出力される交流電力の周波数を別途モニタし、状況に応じて水素ガスの供給量を制御出来る制御ユニットを内蔵するという構成にすることが望ましい。加えて、静電気等によって惹起される水素ガスの爆発を防止するために、例えば、静電気が蓄積しない金属材料で水素ガスの供給経路を製作したり、水素ガスの供給経路を静電シールド等で防護したりすることが望ましい。
【0023】
水素ガスボンベ1から接続器2への水素ガス供給量の調節方法は、接続器2における水素ガスボンベ1との連結部付近に、水素ガスの圧力を検知するためのゲージを設け、その連結部において開閉弁を調整する方法や、接続器2に対する水素ガスの供給圧力を電子管理するシステムを設ける方法などが考えられるが、これらに限定されない。
【0024】
本実施形態においては、複数の発電機ユニット3が1つの接続器2に連結され、1つの接続器2が複数の水素ガスボンベ1に連結される構成となっている。そのため、1つの水素ガスボンベ1を交換する際も、全ての発電機ユニット3を稼働させ続けることができるため、電力供給を安定して継続することができる。また、接続器2に水素ガスボンベ1を連結しても、水素ガスボンベ1のバルブは閉じた状態に保つことができるため、各水素ガスボンベ1の使用開始時期をずらすことができ、全ての水素ガスボンベ1が同時期に空になってしまうことを防ぐことができる。さらに、水素ガスボンベ1と発電機ユニット3を直接連結させた場合と比べて、発電機ユニット3に対する水素ガスの供給圧力をより安定させることができるため、消費電力の変化に対する耐性が強くなるという利点がある。加えて、水素ガスボンベ1における水素ガスの残存量と発電機ユニット3における発電との関係が直接的ではなくなるため、水素ガスボンベ1の交換時期と発電機ユニット3のメンテナンス時期とを完全に分けて管理できるという利点もある。
【0025】
本実施形態において、発電機ユニット3は、エンジン31、発電機32、整流器33、バッテリー34、又はインバータ35によって構成される。
【0026】
発電機ユニット3は発電機システム内に複数設けられているため、発電機ユニット3aを修理しているときでも、発電機ユニット3b及び3cを稼働して、電力供給を継続的に行うことができる。また、発電機ユニット3aを修理しているときに、商用電源を補助的に活用して電力供給を行ってもよい。なお、本実施形態においては、発電機ユニット3を3つ用いたものを例示しているが、発電機ユニット3の数はいくつでもよい。
・・・
【0031】
インバータ35は、整流器33又はバッテリー34から出力された直流電力を交流電力に変換する。インバータ35は発電機ユニット3のそれぞれに設けられており、それぞれのインバータ35が1つの電力合成器4に連結されている。
【0032】
電力合成器4は、複数のインバータ35から出力される交流電力を1つの電力に合成する。そして、合成された電力は、電力を必要とする機械や機器等に出力される。
【0033】
電力合成を行うためには、複数のインバータ35のうちの1つをマスターインバータ35a、それ以外をスレーブインバータ35b及び35cとして予め任意に選別し、スレーブインバータ35b及び35cから出力される交流電力の位相を、マスターインバータ35aから出力される交流電力の位相と一致させるように制御することが簡便である。
【0034】
スレーブインバータ35b及び35cの位相を制御するには、電力合成に先立って、マスターインバータ35aから出力される交流電力の位相とスレーブインバータ35b及び35cから出力される交流電力の位相との位相差を解消するための情報が、電力合成器4から複数のスレーブインバータ35b及び35cに送信され、複数のスレーブインバータ35b及び35cに設けられた受信部が、その情報を受信するようにすることが簡便である。
【0035】
マスターインバータ35aから出力される交流電力の位相とスレーブインバータ35b及び35cから出力される交流電力の位相との位相差を解消するための情報は、マスターインバータ35aから出力される交流電力の位相自体の情報であってもよいし、マスターインバータ35aから出力される交流電力の位相とスレーブインバータ35b及び35cから出力される交流電力の位相との位相差情報であってもよい。
【0036】
なお、前者の場合、スレーブインバータ35b及び35cのいずれもが、同一の情報を電力合成器4から受信することになるが、後者の場合、マスターインバータ35aから出力される交流電力の位相とスレーブインバータ35bから出力される交流電力の位相との位相差情報は、スレーブインバータ35bに送信され、マスターインバータ35aから出力される交流電力の位相とスレーブインバータ35cから出力される交流電力の位相との位相差情報は、スレーブインバータ35cに送信される、というように、それぞれのスレーブインバータ35b及び35cは、それぞれが出力する交流電力の位相に応じて、それぞれ異なる情報を電力合成器4から受信することになる。
【0037】
このように電力合成が行われることにより、複数の発電機ユニット3でそれぞれ発電された交流電力が、互いに打ち消しあうことなく合成され、発電した電力の損失を抑えることができるようになる。
【0038】
主制御回路5は、接続器2と発電機ユニット3を主に監視及び制御する。具体的には、接続器2において、水素ガスボンベ1から接続器2への水素ガスの供給圧力、接続器2の内圧、接続器2から発電機ユニット3への水素ガスの供給圧力などを監視する。また、発電機ユニット3においては、発電機32に連結されたエンジン31の温度を監視する。
【0039】
水素ガスボンベ1から接続器2への水素ガス供給圧力や接続器2における内圧の異常が検知された場合は、水素ガスボンベ1から接続器2への水素ガスの供給が停止制御される。また、接続器2から発電機ユニット3への水素ガス供給圧力の異常が検知された場合は、接続器2から発電機ユニット3への水素ガスの供給が停止制御される。加えて、発電機32に連結されたエンジン31の温度の異常が検知された場合は、発電機ユニット3における発電が停止制御される。
【0040】
発電機システムを監視及び制御するためには、それぞれを監視及び制御する部位において、監視する項目を設定し、各監視項目についての異常を定義するために閾値を設定することが簡便である。そして、その閾値を上回った場合又は下回った場合に、各監視制御部位の機能を停止させることで、発電機システムの安全性が担保される。」
(なお、引用文献3の下線は、当審で付したものである。)
イ 図面
「【図1】
[図:0001410681000001.jpg]
」
(2)引用文献3の記載事項の整理
ア 段落【0007】、【0016】、【0022】、【0024】、【0026】、及び図1の記載からみて、引用文献3は、接続器2と、複数の発電機ユニット3a~3cとを備える発電機システムについて記載されている。
イ 段落【0008】、【0010】、【0022】、【0024】、【0039】及び図1の記載からみて、接続器2は、水素ガスボンベ1から発電機ユニット3へ水素ガスを供給するために設けられるものであって、複数の水素ガスボンベ1a~1dと、複数の発電機ユニット3a~3cに水素ガスを供給可能な複数の水素ガスの供給経路を備える。そして、段落【0023】には、接続器2における水素ガスボンベ1a~1dとの連結部において水素ガス供給量を調節する開閉弁を設けることが、段落【0039】には、接続器2から発電機ユニット3への水素ガス供給圧力の異常が検知された場合は、接続器2から発電機ユニット3への水素ガスの供給を停止する手段を設けることが記載され、これらはいずれも水素ガスの供給経路に設置されるものである。また、段落【0038】には、接続器2と発電機ユニット3を主に監視及び制御する主制御回路5について記載され、上記の水素ガス供給量を調節する開閉弁、及び、水素ガスの供給を停止する手段を制御することが理解される。
ウ 段落【0017】、【0024】、及び図1の記載からみて、複数の水素ガスボンベ1a~1dのそれぞれは、複数の発電機ユニット3a~3cと直接連結ではなく、1つの接続器2を介して連結されている。
エ 段落【0009】、【0025】~【0026】、【0031】~【0037】、及び図1の記載からみて、引用文献3記載の発電機システムは、複数の発電機ユニット3a~3cで発電された交流電力を1つの電力に合成する電力合成器4を備えており、この電力合成器4は、複数の発電機ユニット3a~3cのうち、マスターインバータ35aを設けた発電機ユニット3aで発電された交流電力の位相に、スレーブインバータ35b、35cを設けた発電機ユニット3b、3cで発電された交流電力の位相を一致させるように制御するものである。
オ 水素ガスボンベ1a~1d、複数の水素ガスの供給経路、接続器2、上記イの水素ガス供給量を調節する開閉弁、水素ガスの供給を停止する手段及び主制御回路5は、複数の発電機ユニット3a~3cへの水素ガスの供給量を制御するための水素供給制御手段を構成するといえる。
(3)引用発明3
上記(1)~(2)より、引用文献3には次の発明(以下「引用発明3」という。)が記載されているものと認められる。
「水素供給制御手段と、複数の発電機ユニット3a~3cとを備える発電機システムであって、
水素供給制御手段が、
複数の水素ガスボンベ1a~1dと、
複数の発電機ユニット3a~3cに水素ガスを供給可能な複数の水素ガスの供給経路と、
接続器2と、
水素ガスの供給経路に設置され、接続器2における水素ガスボンベ1a~1dとの連結部において水素ガス供給量を調節する開閉弁と、
水素ガスの供給経路に設置され、接続器2から発電機ユニット3への水素ガス供給圧力の異常が検知された場合は、接続器2から発電機ユニット3への水素ガスの供給を停止する手段と、
水素ガス供給量を調節する開閉弁、及び、水素ガスの供給を停止する手段を制御する主制御回路5とを備え、
複数の水素ガスボンベ1a~1dのそれぞれが、1つの接続器2、及び複数の水素ガス供給経路を介して複数の発電機ユニット3a~3cと連結されており、
発電機システムが、
複数の発電機ユニット3a~3cで発電された交流電力を1つの電力に合成する電力合成器4を備え、
電力合成器4が、複数の発電機ユニット3a~3cのうち、マスターインバータ35aを設けた発電機ユニット3aで発電された交流電力の位相に、スレーブインバータ35b、35cを設けた発電機ユニット3b、3cで発電された交流電力の位相を一致させるように制御する、
発電機システム。」
5 対比及び判断
(1)本願発明5と引用発明3の対比
ア 引用発明3の「水素供給制御手段」は本願発明5の「水素流量制御装置」に、以下同様に「発電機ユニット3a~3c」は「発電機ユニット」に、「発電機システム」は「発電システム」に、それぞれ相当する。
イ 引用発明3の「水素ガスボンベ1a~1d」は本願発明5の「水素ガス供給元」に、同様に「水素ガスの供給経路」は「水素ガス供給路」に、それぞれ相当する。
ウ 引用発明3の「接続器2における水素ガスボンベ1a~1dとの連結部において水素ガス供給量を調節する開閉弁」は本願発明5の「水素ガスの流量の調整が可能な流量調整手段」に、以下同様に「接続器2から発電機ユニット3への水素ガス供給圧力の異常が検知された場合は、接続器2から発電機ユニット3への水素ガスの供給を停止する手段」は「水素ガスの供給の閉止が可能な開閉弁」に、「水素ガス供給量を調節する開閉弁、及び、水素ガスの供給を停止する手段を制御する主制御回路5」は「流量調整手段による水素ガスの流量の調整、及び、開閉弁の開閉を制御する制御手段」に、それぞれ相当する。
エ 引用発明3の「電力合成器4」は本願発明5の「電力合成手段」に、以下同様に引用発明3の「マスターインバータ35aを設けた発電機ユニット3a」は本願発明5の「所定の発電機ユニット」に、「スレーブインバータ35b、35cを設けた発電機ユニット3b、3c」は「他の発電機ユニット」に、それぞれ相当する。
(2)本願発明5と引用発明3の一致点、及び相違点
上記(1)より、本願発明5と引用発明3は次のアの点で一致し、イの点で相違する。
ア 一致点
「水素流量制御装置と、複数の発電機ユニットとを備える発電システムであって、
水素流量制御装置が、
複数の水素ガス供給元と、
複数の発電機ユニットに水素ガスを供給可能な複数の水素ガス供給路と、
水素ガス供給路に設置され、水素ガスの流量の調整が可能な流量調整手段と、
水素ガス供給路に設置され、水素ガスの供給の閉止が可能な開閉弁と、
流量調整手段による水素ガスの流量の調整、及び、開閉弁の開閉を制御する制御手段と
を備え、
発電システムが、
複数の発電機ユニットで発電された交流電力を1つの電力に合成する電力合成手段を備え、
電力合成手段が、複数の発電機ユニットのうち、所定の発電機ユニットで発電された交流電力の位相に、他の発電機ユニットで発電された交流電力の位相を一致させるように制御する、
発電システム。」
イ 相違点
本願発明5においては、「水素ガス供給元のそれぞれが、水素ガス供給路のそれぞれに対応し、水素ガス供給路のそれぞれが、発電機ユニットのそれぞれに対応するものであり、複数の水素ガス供給元のそれぞれにおいて、1の水素ガス供給元が、1の水素ガス供給路を介して、1の発電機ユニットと接続されて」いるのに対して、引用発明3においては、複数の水素ガス供給元(水素ガスボンベ1a~1d)のそれぞれが、1つの接続器2、及び複数の水素ガス供給経路を介して複数の発電機ユニット3a~3cと連結されており、複数の発電機ユニット(発電機ユニット3a~3c)と直接連結されてはいない点。
(3)相違点の検討
ア 引用文献3に係る発明の目的は、段落【0006】、【0007】、【0013】等の記載からみて、発電機ユニットを他の発電機ユニットに交換可能なものとすることにより電力を安定的に供給することであると解されるところ、接続器2を設けることは、当該目的のために必須なものとはされていない。これは、段落【0008】において、「・・・さらに・・・接続器と、・・・を備え、・・・ることが好ましい」と記載されていることや、段落【0010】において、接続器が選択的な構成として記載されていることからも裏付けられる。
イ このように、引用文献3において、接続器2を設けることが選択的な事項であり、発明本来の目的のために必須なものではないとの理解を前提とすると、引用文献3の段落【0024】には、上記相違点に係る事項により生じる引用発明3の長所について説明されてはいるものの、この長所は、接続器2を選択的に設けた場合の結果をいうものと理解できる。
ウ そして、引用文献3の段落【0024】には、接続器2を設ける場合とは対照的に、「水素ガスボンベ1と発電機ユニット3を直接連結させた場合」についても記載されており、当該記載は、上記相違点に係る構成を意味しているといえる。
エ 一般に、何らかの装置を設置するにあたり、設置に係る費用と効果とを勘案して、装置を設置するか否かを選択することは、当業者が通常行うことであるといえるところ、引用文献3における選択的な事項である接続器2を設けるか、それとも、「水素ガスボンベ1と発電機ユニット3を直接連結させ」るように構成するかは、接続器2を設けることの効果と、接続器2を設けることの費用を勘案して、当業者が選択すればよい事項にすぎない。
オ したがって、引用発明3の接続器2に換えて、「水素ガスボンベ1と発電機ユニット3を直接連結させ」るように構成すること、すなわち、上記相違点に係る構成を採用することは、当業者が容易に想到できた事項であるから、本願発明5は、引用発明3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(4)小括
したがって、本願発明5は、当審が通知した拒絶理由により、特許を受けることができない。
6 むすび
以上のとおりであるから、本願請求項5に係る発明は、引用文献3に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-013588