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特許拒絶査定不服審判

2022-014572

光モジュール

審判番号
2022-014572
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-023938外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年09月15日
審決日
2023年08月18日
公報発行日
2023年11月24日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .572-Z (H01S) / P18 .574-Z (H01S) / P18 .121-Z (H01S) / P18 .55 -Z (H01S)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法17条の2第3項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第5項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018- 23938「光モジュール」拒絶査定不服審判事件〔令和元年 8月22日出願公開、特開2019-140306〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 13項目
理 由

第1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

本願は、平成30年2月14日の出願であって、その手続の経緯の概略は以下のとおりである。

令和3年10月14日付け:拒絶理由通知書

同年12月 3日 :意見書、手続補正書(以下、この手続補正書

による補正を「第1次補正」という。)

の提出

令和4年 3月22日付け:拒絶理由(最後の拒絶理由)通知書

同年 5月 9日 :意見書、手続補正書(以下、この手続補正書

による補正を「第2次補正」という。)

の提出

同年 6月16日付け:補正の却下の決定、拒絶査定

同年 9月15日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 令和4年 9月15日提出の手続補正書によりされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和4年 9月15日提出の手続補正書によりされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 本件補正の内容

(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載

本件補正は特許請求の範囲を補正するものであるところ、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は補正箇所である。)。

「【請求項1】
少なくとも1つの発熱体を含む複数の部品と、
板状の下基板と、該下基板の上面に所定の距離だけ空けて異なる領域に設けられた第1,第2の熱電素子と、第1の熱電素子の上面に設けられ、前記発熱体が上面に設けられた第1の上基板と、第2の熱電素子の上面に設けられ、前記複数の部品のいずれか一つ以上が上面に設けられた第2の上基板と、を有し、前記第1の熱電素子の上面に設けられた前記発熱体および前記第2の上基板の上面に設けられた前記複数の部品をペルチェ効果によって温度調節する温度調節器と、
を備え、
前記発熱体は、
半導体レーザ素子または半導体光増幅素子のいずれかであり、
前記温度調節器は、
前記第1の上基板および第2の上基板の各々を互いに露出した状態のまま、所定の距離だけ分離して前記第1の熱電素子および前記第2の熱電素子の上面に設け、前記下基板、前記第1の上基板および前記第2の上基板の各々を熱伝導率の高い材料を用いて形成されることを特徴とする光モジュール。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載

第2次補正は令和4年 6月16日付けの補正の却下の決定により却下されたところ、本件補正前の請求項1の記載は、第1次補正により補正された特許請求の範囲に記載された、次のとおりである。

「【請求項1】
少なくとも1つの発熱体を含む複数の部品と、
板状の下基板と、該下基板の上面に所定の距離だけ空けて異なる領域に設けられた第1,第2の熱電素子と、第1の熱電素子の上面に設けられ、前記発熱体が上面に設けられた第1の上基板と、第2の熱電素子の上面に設けられ、前記複数の部品のいずれか一つ以上が上面に設けられた第2の上基板と、を有し、前記第1の熱電素子の上面に設けられた前記発熱体および前記第2の上基板の上面に設けられた前記複数の部品をペルチェ効果によって温度調節する温度調節器と、
を備え、
前記発熱体は、
半導体レーザ素子または半導体光増幅素子のいずれかであり、
前記温度調節器は、
前記第1の熱電素子の上面に設けられた前記発熱体の熱が前記第1の熱電素子、前記下基板、前記第2の熱電素子および前記第2の上基板を介して前記第2の上基板の上面に設けられた前記複数の部品に流入可能なように前記下基板、前記第1の上基板および前記第2の上基板の各々を熱伝導率の高い材料を用いて形成されることを特徴とする光モジュール。」

2 本件補正の適否

(1)本件補正の目的

ア 本件補正の補正事項は、特許請求の範囲の請求項1の「温度調節器」において、「前記発熱体の熱が前記第1の熱電素子、前記下基板、前記第2の熱電素子および前記第2の上基板を介して前記第2の上基板の上面に設けられた前記複数の部品に流入可能」である特定(以下「発熱体の熱に関する特定」という。)を削除し、新たに「前記第1の上基板および第2の上基板の各々を互いに露出した状態」との特定(以下「上基板の露出に関する特定」という。)、を付加するものである。

イ 本件補正後の上基板の露出に関する特定は、本件補正前の発熱体の熱に関する特定とは異なる技術的事項に関するものであるから、前記補正事項は、特許法第17条の2第5項第2号の限定的減縮を目的としたものではない。

ウ また、本件補正により上基板の露出に関する特定をしても発熱体の熱に関する特定が明確になるとはいえないことから、前記補正事項は、同項第4号の明りょうでない記載の釈明を目的としたものでもない。

エ また、前記補正事項は、同項第1号の請求項の削除、同項第3号の誤記の訂正を目的とするものでもないことは明らかである。

(2)請求人の主張について

令和4年 9月15日提出の審判請求書において、本件補正で特許請求の範囲の請求項1についてする補正は「特許請求の範囲を減縮するとともに、発明の内容を明瞭とする補正」である旨主張しているが、上記(1)で説示したとおり限定的減縮又は明りょうでない記載の釈明を目的としたものとはいえず、当該主張は採用できない。

(3)本件補正の目的についてのむすび

以上のとおりであるから、本件補正で特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第5項各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当せず、同項に規定する要件を満たしていない。

3 予備的検討(独立特許要件)

以下、仮に、本件補正で特許請求の範囲についてする補正が、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとして、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、予備的に検討する。

(1)進歩性欠如について

ア 本件補正発明

本件補正発明は、上記1(1)の本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認定する。

イ 引用文献の記載事項及び引用発明の認定

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(ア)引用文献の記載事項

原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に発行された特開2003-163408号公報(以下「引用文献」という。)には、次の記載がある。(下線は当審で付した。以下同じ。)。

a 【0001】-【0012】

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光通信分野に用いられる波長モニタモジュールに関するものである。
【0002】
【背景技術】近年、光通信分野において、レーザダイオード(半導体レーザ)は、例えば信号用光源や光アンプ用励起光源として大量に用いられるようになり、レーザダイオードからのレーザ光を光ファイバに光学的に結合させたレーザモジュール(半導体レーザモジュール)が様々に開発されている。
続きを表示(全11行)
【0003】また、最近は、光通信分野において、高密度波長分割多重伝送の検討が盛んに行なわれるようになった。波長分割多重伝送は、複数の多重化された光信号を、1本の光ファイバを通して伝送する伝送方式であり、この波長多重伝送システムに適用するために、光信号の波長が長期に渡って安定しているレーザモジュールが強く要求されるようになった。
【0004】上記要求に応えるために、特開2000-56185には、波長フィルタと、波長制御用フォトダイオードと、ペルチェ素子等を設け、レーザダイオードからの発振波長を安定化する構成を備えたレーザモジュールが提案された。
【0005】この提案のレーザモジュールは、例えば図9に示すように、パッケージ26内にレーザダイオード3を設け、該レーザダイオード3の他端31側に設けた波長モニタ部13によってレーザダイオード3の発振波長をモニタする。波長モニタ部13は、ビームスプリッタ35と、エタロンフィルタ等により形成された光波長選択透過フィルタ(波長フィルタ)6と、フォトダイオード7(7a,7b)を有している。
【0006】なお、本明細書において、同図に示すレーザモジュールのように、波長モニタ部13を有するモジュールを、以下、波長モニタモジュールという。
【0007】前記レーザダイオード3はベース11上に設けられており、このベース11と波長モニタ部13のベース1は、波長モニタ部13の温度調整とレーザダイオード3の温度調整を行なう温度調整器としてのサーモモジュール5上に搭載されている。また、前記パッケージ26の一端側には、スリーブ48に保持されたフェルール49が固定されており、該フェルール49には光伝送用の光ファイバ50の接続端面側が挿通固定されている。
・・・(略)・・・
【0012】また、同図に示す波長モニタモジュールの使用時にはレーザダイオード3が発熱するので、前記サーモモジュール5によりレーザダイオード3を冷却する動作が行なわれ、この冷却動作によって、波長モニタ部13も冷却される。」

b 【図9】

「【図9】
[図:0001403351000001.jpg]
」

c 【0027】-【0031】

「【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態例の説明において、従来例と同一名称部分には同一符号を付し、その重複説明は省略または簡略化する。
【0028】図1、図2には、本発明に係る波長モニタモジュールの第1実施形態例が示されている。図1は、波長モニタモジュールをレーザダイオードの光軸Z方向に沿ったXZ断面図であり、図2は、この波長モニタモジュールのレーザダイオードの光軸Z方向に沿ったYZ断面図である。【0029】これらの図に示すように、本実施形態例の波長モニタモジュールは、パッケージ26内に、波長モニタ部13とレーザダイオード3を収納し、該レーザダイオード3から出力するレーザ光の一部を波長モニタ部13に入射する構成としている。レーザダイオード3の出力光のうち、レーザダイオード3の他端31側から出力された光が波長モニタ部13に入射する。【0030】なお、レーザダイオード3の一端30側から出力された光は、従来例と同様に、レンズ2を介し、さらに光アイソレータ10を通って光ファイバ50に入射する。レーザダイオード3の近傍には、レーザダイオード3の温度検出するレーザ用サーミスタ(図示せず)が設けられている。【0031】波長モニタ部13はベース1を介し、波長モニタ部13の温度を調整する温度調整器としてのサーモモジュール5(5a)上に搭載されている。レーザダイオード3はベース11とヒートシンク24を介し、レーザダイオードの温度を調整する温度調整器としてのサーモモジュール5(5b)上に搭載されている。」

d 【図1】、【図2】

「【図1】
[図:0001403351000002.jpg]
【図2】
[図:0001403351000003.jpg]
」

e 【0054】

「【0054】さらに、図8に示すように、波長モニタ部13を覆う熱遮蔽部材8(8a)と、波長モニタ部13、レンズ2,4、レーザダイオード3、ヒートシンク24を覆う熱遮蔽部材8(8b)を設けてもよい。なお、同図に示す例では光アイソレータ10を省略している。」

f 【図8】

「【図8】
[図:0001403351000004.jpg]
」

(イ)引用文献から読み取れる事項の認定

a 上記(ア)aで摘記した【0012】の「波長モニタモジュールの使用時にはレーザダイオード3が発熱する」旨の記載は背景技術についての記載であるが、同b~fで摘記した波長モニタモジュールも背景技術と同様にサーモモジュールを備えることからみて、当該記載は当該波長モニタモジュールについても該当する記載であることは明らかである。

b 図1及び2から、サーモモジュール5は、ベース1及びベース11と接する板状の上基板、及び、前記上基板と反対側の板状の下基板とを備えること、が見て取れる。

c 図8から、(i)波長モニタ部13の温度を調整する温度調整器としてのサーモモジュール5aとレーザダイオードの温度を調整する温度調整器としてのサーモモジュール5bは下基板が共通し、サーモモジュール5a及び5bの上基板が所定の距離だけ離して設けられていること、及び、(ii)サーモモジュール5a及び5bの上基板の側面が熱遮蔽部材8bの内部空間に露出していること、が見て取れる。

(ウ)引用発明の認定

上記(ア)で摘記した事項及び上記(イ)で認定した事項によれば、引用文献には、図8の波長モニタモジュールについて、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる(なお、引用発明の認定に用いた段落番号等を参考までに括弧内に付してある。)。

「パッケージ26内に、波長モニタ部13とレーザダイオード3を収納し、該レーザダイオード3から出力するレーザ光の一部を波長モニタ部13に入射する構成とし、(【0029】)
波長モニタ部13はベース1を介し、波長モニタ部13の温度を調整する温度調整器としてのサーモモジュール5(5a)上に搭載され、(【0031】)
レーザダイオード3はベース11とヒートシンク24を介し、レーザダイオードの温度を調整する温度調整器としてのサーモモジュール5(5b)上に搭載され、(【0031】)
波長モニタモジュールの使用時にはレーザダイオード3が発熱するものであって、(【0012】、上記(イ)a)
波長モニタ部13を覆う熱遮蔽部材8(8a)と、波長モニタ部13、レンズ2,4、レーザダイオード3、ヒートシンク24を覆う熱遮蔽部材8(8b)を設け、(【0054】)
サーモモジュール5は、ベース1及びベース11と接する板状の上基板、及び、前記上基板と反対側の板状の下基板とを備え、(上記(イ)b)
波長モニタ部13の温度を調整する温度調整器としてのサーモモジュール5aとレーザダイオードの温度を調整する温度調整器としてのサーモモジュール5bは下基板が共通し、サーモモジュール5a及び5bの上基板が所定の距離だけ離して設けられ、(上記(イ)c(i))
サーモモジュール5a及び5bの上基板の側面が熱遮蔽部材8bの内部空間に露出している、(上記(イ)c(ii))
波長モニタモジュール。(【0028】)」

ウ 対比

(ア)本件補正発明の「少なくとも1つの発熱体を含む複数の部品と、」との特定事項について

a 引用発明の「レーザダイオード3」は「波長モニタモジュールの使用時に」「発熱するもの」であることから、本件補正発明の「少なくとも1つの発熱体」に相当する。

b 上記aを踏まえると、引用発明の「レーザダイオード3」及び「波長モニタ部」は、本件補正発明の「少なくとも1つの発熱体を含む複数の部品」に相当する。

よって、引用発明は、本件補正発明の上記特定事項を満たす。

(イ)本件補正発明の「板状の下基板と、該下基板の上面に所定の距離だけ空けて異なる領域に設けられた第1,第2の熱電素子と、第1の熱電素子の上面に設けられ、前記発熱体が上面に設けられた第1の上基板と、第2の熱電素子の上面に設けられ、前記複数の部品のいずれか一つ以上が上面に設けられた第2の上基板と、を有し、前記第1の熱電素子の上面に設けられた前記発熱体および前記第2の上基板の上面に設けられた前記複数の部品をペルチェ効果によって温度調節する温度調節器と、」との特定事項について

a 引用発明の「サーモモジュール5」は、本件補正発明の「温度調節器」に相当する。

b 引用発明は、「波長モニタ部13はベース1を介し」「サーモモジュール5(5a)上に搭載され」かつ「レーザダイオード3はベース11とヒートシンク24を介し」「サーモモジュール5(5b)上に搭載され[る]」ことを踏まえると、引用発明の「ベース1」「と接する板状の上基板」及び「ベース11と接する板状の上基板」は、それぞれ本件補正発明の「前記複数の部品のいずれか一つ以上が上面に設けられた第2の上基板」及び「前記発熱体が上面に設けられた第1の上基板」に相当する。

c 引用発明の「サーモモジュール5a」及び「サーモモジュール5b」は、それぞれ「波長モニタ部13の温度を調整する温度調整器」及び「レーザダイオードの温度を調整する温度調整器」であることから、上基板と下基板との間に何らかの「温度調節素子」を有しているといえ、当該「サーモモジュール5a」及び「サーモモジュール5b」それぞれの「温度調節素子」は、本件補正発明の「第1,第2の熱電素子」と、少なくとも「温度調節素子」を有し「温度調整」することで共通する。

一方で、「温度調節素子」について、引用発明は、本件補正発明の「第1、第2の熱電素子」であって「ペルチェ効果」により温度調節すること、を満たしているかが明らかではない。

d 引用発明における「サーモモジュール5a」及び「サーモモジュール5b」のそれぞれにおける上基板と下基板との間の「温度調節素子」を有する領域は、本件補正発明の「該下基板の上面」の「異なる領域」に相当する。そして、引用発明が「サーモモジュール5a及び5bの上基板が所定の距離だけ離して設けられ[る]」ことを踏まえると、引用発明は、本件補正発明の「異なる領域」が「所定の距離だけ空けて」いることを満たす。

そうすると、「温度調節素子」について、本件補正発明と引用発明は「該下基板の上面に所定の距離だけ空けて異なる領域に設けられた」との特定事項において共通する。

e 上記a~dをまとめると、本件補正発明と引用発明は、「板状の下基板と、該下基板の上面に所定の距離だけ空けて異なる領域に設けられた第1,第2の温度調節素子と、第1の温度調節素子の上面に設けられ、前記発熱体が上面に設けられた第1の上基板と、第2の温度調節素子の上面に設けられ、前記複数の部品のいずれか一つ以上が上面に設けられた第2の上基板と、を有し、前記第1の温度調節素子の上面に設けられた前記発熱体および前記第2の上基板の上面に設けられた前記複数の部品を温度調節する温度調節器」を備える点で共通する。

(ウ)本件補正発明の「前記発熱体は、半導体レーザ素子または半導体光増幅素子のいずれかであり、」との特定事項について

引用発明の「レーザダイオード3」は本件補正発明の「半導体レーザ素子」に相当し、上記(ア)aの対比を踏まえると、引用発明は、本件補正発明の上記特定事項を満たす。

(エ)本件補正発明の「前記温度調節器は、前記第1の上基板および第2の上基板の各々を互いに露出した状態のまま、所定の距離だけ分離して前記第1の熱電素子および前記第2の熱電素子の上面に設け、前記下基板、前記第1の上基板および前記第2の上基板の各々を熱伝導率の高い材料を用いて形成されること」との特定事項について

a 本件補正発明の「前記第1の上基板および第2の上基板の各々を互いに露出した状態のまま」(以下「本件露出状態」という。)が、第1の上基板および第2の上基板の各々のどの部分が露出した状態のままであることを意味しているのかについて、明細書及び図面の記載を参酌して検討する。

(a)第1の上基板と第2の上基板の状態について、明細書及び図面には、光モジュールにおいて第1の上基板23と第2の上基板24のそれぞれの上面には、レーザ支持部材5又はベース8が設けられ(【0022】、【0025】及び図2)、第1の上基板23における長手方向の長さは、レーザ支持部材5の長手方向の長さとほぼ同じに形成され、また、第2の上基板24における長手方向の長さは、ベース8の長手方向の長さとほぼ同じに形成され(【0041】及び図4)、当該上面は、レーザ支持部材5又はベース8に完全に覆われており(図1)、前記上面と直交する面(図2における紙面と平行な面。以下「側面」という。)が他の部品より覆われておらずパッケージ2の内部空間において互いに露出している状態が記載されている。

(b)前記(a)の明細書及び図面の記載内容から見て、本件露出状態は、第1の上基板および第2の上基板の前記側面が互いに露出していれば足りると解するのが相当である。

(c)なお、請求人は審判請求書で、本件露出状態の補正の根拠として、第1の上基板及び第2の上基板の上面が露出した状態であることを示す図3を挙げているようであるが、本件補正発明は「光モジュール」の発明であるところ、図3は温度調節器の上面にレーザ支持部材、ベースを設ける前の状態を示すものであって、「光モジュール」の状態における温度調節器を示すものではないから、本件露出状態が第1の上基板及び第2の上基板の上面が露出した状態であることを意味すると解することはできない。

b 前記aを踏まえると、引用発明の「サーモモジュール5a及び5bの上基板の側面が熱遮蔽部材8bの内部空間に露出している」ことは、本件補正発明の「前記第1の上基板および第2の上基板の各々を互いに露出した状態のまま」「設け[る]」ことに相当する。

c 引用発明の「サーモモジュール5a及び5bの上基板が所定の距離だけ離して設けられ[る]」ことは、本件補正発明の「前記温度調節器は、」「第1の上基板および第2の上基板の各々を」「所定の距離だけ分離して」「設け[る]」ことに相当する。

d 引用発明の「サーモモジュール5a及び5b」は上記(イ)dで説示したとおり、上基板と下基板との間に「温度調節素子」を有しているところ、当該「温度調節素子」の上基板側の面は、本件補正発明の「上面」に相当するといえる。そうすると、本件補正発明と引用発明は、「前記第1の上基板および第2の上基板の各々」を「第1の温度調節素子および第2の温度調節素子の上面に設け」る点で共通する。

e 一方で、「温度調節器」について、引用発明は、本件補正発明の「前記下基板、前記第1の上基板および前記第2の上基板の各々を熱伝導率の高い材料を用いて形成されること」をも満たしているかは不明である。さらに、引用発明は、上記(イ)cと同様に「前記第1の熱電素子および前記第2の熱電素子」を用いることが明らかではない。

f 上記a~eをまとめると、本件補正発明と引用発明は、「前記第1の上基板および第2の上基板の各々を互いに露出した状態のまま、所定の距離だけ分離して前記第1の温度調節素子および前記第2の温度調節素子の上面に設け[る」点で共通する。

(オ)本件補正発明の「光モジュール」との特定事項について

引用発明の「波長モニタモジュール」は、本件補正発明の「光モジュール」に相当する。

よって、引用発明は、本件補正発明の上記特定事項を満たす。

(カ)一致点及び相違点

上記(ア)~(オ)から、本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点は、次のとおりである。

<一致点>

「少なくとも1つの発熱体を含む複数の部品と、
板状の下基板と、該下基板の上面に所定の距離だけ空けて異なる領域に設けられた第1,第2の温度調節素子と、第1の温度調節素子の上面に設けられ、前記発熱体が上面に設けられた第1の上基板と、第2の温度調節素子の上面に設けられ、前記複数の部品のいずれか一つ以上が上面に設けられた第2の上基板と、を有し、前記第1の温度調節素子の上面に設けられた前記発熱体および前記第2の上基板の上面に設けられた前記複数の部品を温度調節する温度調節器と、
を備え、
前記発熱体は、
半導体レーザ素子または半導体光増幅素子のいずれかであり、
前記温度調節器は、
前記第1の上基板および第2の上基板の各々を互いに露出した状態のまま、所定の距離だけ分離して前記第1の温度調節素子および前記第2の温度調節素子の上面に設けた、
光モジュール。」

<相違点1>

「温度調節器」において、本件補正発明は「第1,第2の熱電素子」を有し「ペルチェ効果」によって温度調節するのに対して、引用発明は、温度調節器としてのサーモモジュールを有するものの、第1、第2の熱電素子を有しペルチェ効果によって温度調節するものであるか不明である点。

<相違点2>

「温度調節器」の「前記下基板、前記第1の上基板および前記第2の上基板」において、「各々を熱伝導率の高い材料を用いて形成」しているのに対して、引用発明は下基板及び上基板の材料が不明である点。

エ 判断

(ア)相違点1及び2について

事案に鑑み相違点1及び2を併せて検討する。

温度調節器において、温度調節器を窒化アルミニウムや銅などの熱伝導率の高い材料からなる基板とペルチェ効果を用いる温度調節素子で構成することは周知技術である(例えば、特開平9-223823号公報の【0002】、【0005】参照。)。

よって、引用発明において、上記周知技術を採用して、上記相違点1及び2に係る本件補正発明の構成をなすことは当業者が容易に想到しうるものである。

(イ)本件補正発明の効果について

相違点1及び2を総合的に勘案しても、本件補正発明の作用効果は、引用発明及び周知技術に基づいて、本件補正発明の構成が奏するものとして当業者が予測することができたものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

(ウ)請求人の主張について

請求人は、本件補正により追加された「前記第1の上基板および第2の上基板の各々を互いに露出した状態」との構成について、引用文献は、何ら開示も示唆もない旨主張するが、上記ウ(エ)で説示したとおりである。

(2)小括

したがって、本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たしていない。

4 本件補正についてのむすび

よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項、又は、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たしていないから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1 本願発明

令和4年 9月15日にされた手続補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、第1次補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第2の[理由]1(2)の本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶の理由の概要は、第1次補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない、というものである。

3 第1次補正の内容

第1次補正は、第1次補正前の出願当初の請求項1における「温度調節器」に「前記温度調節器は、前記第1の熱電素子の上面に設けられた前記発熱体の熱が前記第1の熱電素子、前記下基板、前記第2の熱電素子および前記第2の上基板を介して前記第2の上基板の上面に設けられた前記複数の部品に流入可能なように前記下基板、前記第1の上基板および前記第2の上基板の各々を熱伝導率の高い材料を用いて形成される」との特定事項を追加する事項(以下「第1次補正事項」という。)を含むものである(下線は補正箇所を示し、当審が付した。)。

4 当初明細書等の記載事項

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(1)当初明細書等の記載

当初明細書等には、第1次補正事項に関する記載も含め、次の記載がある。

ア 【技術分野】

「【0001】
本発明は、光モジュールに関する。」

イ 【背景技術】

「【0002】
従来、波長可変レーザモジュールにおいて、半導体レーザおよび波長ロッカーまたは変調器の各々を1つのパッケージ内に配置した2台の熱電素子(TEC:Thermoelectric Cooler)モジュール上に接合することによって、半導体レーザおよび波長ロッカー(または変調器)それぞれの温度調整を行う技術が知られている(例えば特許文献1~5参照)。
【0003】
また、半導体レーザおよび波長ロッカーの各々を1台の熱電素子モジュール上に接合することによって、モジュールの小型化を行う技術が知られている(例えば特許文献6参照)。
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【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2013/191213号
【特許文献2】特許第4190749号公報
【特許文献3】特開2016-129207号公報
【特許文献4】特開2016-134398号公報
【特許文献5】特開2016-66671号公報
【特許文献6】特開2013-148825号公報」

ウ 【発明が解決しようとする課題】

「【0005】
しかしながら、上述した特許文献1では、1つのパッケージ内に2台の熱電素子モジュールを並べて配置しているため、2台の熱電素子モジュールの間の部品公差や組み立て公差に基づくスペースおよび組み立て用ハンドチャックの把持スペース等を設ける必要があり、熱電素子モジュール2台分以上のスペースを確保しなければならず、パッケージの小型化を行うことができないという問題点があった。
【0006】
これに対して、上述した特許文献2では、1台の熱電素子モジュールで温度調整を行っているため、半導体レーザおよび波長ロッカーそれぞれの温度調整を個別に行うことができないうえ、半導体レーザによる発熱が熱電素子モジュールの基板上を経由して波長ロッカーに伝熱することによって、高熱範囲が増大することで、熱電素子モジュールの消費電量が大きくなるという問題点があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、互いに異なる熱電素子モジュールの熱の影響を防止しつつ、小型化を実現することができる光モジュールを提供することを目的とする。」

エ 【発明の効果】

「【0015】
本開示によれば、互いに異なる熱電素子モジュールの熱の影響を防止しつつ、小型化を実現することができるという効果を奏する。」

オ (実施形態1)

「【0018】
(実施形態1)
〔光モジュールの構成〕
図1は、実施形態1に係る光モジュールの構成を模式的に示す上面図である。図2は、実施形態1 に係る光モジュールの要部を模式的に示す側面図である。
続きを表示(全26行)
・・・(略)・・・
【0037】
〔温度調節器の構成〕
次に、上述した温度調節器3の詳細な構成について説明する。図3は、温度調節器3の斜視図である。図4は、温度調節器3の上面図である。
【0038】
図3および図4に示す温度調節器3は、下基板21と、熱電素子22と、第1の上基板23と、第2の上基板24と、1対の電極4と、1対の電気配線41と、を有する。
【0039】
下基板21は、矩形状をなし、窒化アルミニウムまたは酸化アルミニウムを用いて1枚の板状に形成される。また、下基板21上には、1対の電極4および1対の電気配線41が形成されている。
【0040】
熱電素子22は、ペルチェ効果によって温度調節を行う、いわゆるペルチェ素子である。熱電素子22は、第1の熱電素子221と、第2の熱電素子222と、を有する。第1の熱電素子221および第2の熱電素子222の各々は、下基板21における上面に、所定の距離だけ分離させて異なる領域R1,R2に設けられる。具体的には、第1の熱電素子221は、下基板21と後述する第1の上基板23との基板間に設けられ、第2の熱電素子222は、下基板21と後述する第2の上基板24との基板間に設けられる。熱電素子22は、基板間に2次元的に配列された複数の柱状の半導体素子(N型およびP型)が立設した構造を有する。また、熱電素子22は、N型の半導体素子およびP型の半導体素子の各々の上端および下端が金属電極によって下基板31と第1の上基板23または下基板21と第2の上基板24とに接続され、かつ、N型の半導体素子およびP型の半導体素子が交互に直列に接続されている。半導体素子は、例えばBiTeを用いて形成される。
【0041】
第1の上基板23および第2の上基板24の各々は、矩形状をなし、窒化アルミニウムまたは酸化アルミニウムを用いて板状に形成される。第1の上基板23および第2の上基板24の各々は、互いに所定の距離D1だけ分離して第1の熱電素子221および第2の熱電素子222の上面に設けられる。また、第1の上基板23における長手方向の長さは、レーザ支持部材5の長手方向の長さとほぼ同じに形成される。また、第2の上基板24における長手方向の長さは、ベース8の長手方向の長さとほぼ同じに形成される(図1の領域R1とR2を参照)。
【0042】
このように構成された温度調節器3は、1対の電極4および1対の電気配線41を介して不図示の制御器から駆動電流が供給されることによって波長可変レーザ素子6および波長検出部20を冷却または加熱し、波長可変レーザ素子6および波長検出部20の温度を調節することができる。なお、温度調節器3は、全ての第1の熱電素子221、第2の熱電素子222が直列接続または、領域R1のある第1の熱電素子221のグループと領域R2にある第2の熱電素子222のグループとで並列接続された構成となる。
【0043】
以上説明した実施形態1によれば、下基板21の上面に第1の熱電素子221と第2の熱電素子222とを所定の距離D1だけ分離させて異なる領域に設け、第1の上基板23および第2の上基板24各々を互いに所定の距離D1だけ分離して第1の熱電素子221および第2の熱電素子222の上面に設けることによって、発熱体である波長可変レーザ素子6の熱が温度制御部品である波長検出部20に流入することを防止したので、互いの熱の影響を防止しつつ、小型化を実現することができる。
【0044】
また、実施形態1によれば、第1の上基板23および第2の上基板24の各々を互いに所定の距離D1だけ空けて設けることによって、発熱体である波長可変レーザ素子6の熱が温度制御部品である波長検出部20に流入することを防止したので、消費電力を低く保つことができる。
【0045】
また、実施形態1によれば、1つの下基板21によって温度調節器3を形成することによって、従来の2台のTECの下基板のように間に距離を設けてパッケージ2内に配置する必要がなくなるので、光モジュール1のさらなる小型化を図ることができる。
【0046】
また、実施形態1によれば、温度調節器3は、2台以上の熱電素子モジュールが実質的に一体化したものであり、1台の部品として扱うことができるので、組み立て時の工程、たとえば2台以上の熱電素子モジュールの互いの位置合わせための工程を減らすことができるうえ、歩留まりも改善することができる。」

(2)当初明細書等に記載された技術的事項

上記(1)によれば、当初明細書等には、次の技術的事項が記載されていたと認められる。

ア 本発明は、光モジュールに関する。(【0001】)

イ 従来の光モジュールでは、半導体レーザおよび波長ロッカーまたは変調器の各々を1つのパッケージ内に配置した2台の熱電素子(TEC:Thermoelectric Cooler)モジュール上に接合することによって、半導体レーザおよび波長ロッカー(または変調器)それぞれの温度調整を行っていたところ、2台の熱電素子モジュールの間の部品公差や組み立て公差に基づくスペースおよび組み立て用ハンドチャックの把持スペース等を設ける必要があり、熱電素子モジュール2台分以上のスペースを確保しなければならず、パッケージの小型化を行うことができないという問題点があった。(【0002】、【0005】)

ウ 上記イとは別の光モジュールでは、半導体レーザおよび波長ロッカーの各々を1台の熱電素子モジュール上に接合することによって、モジュールの小型化を行っていたところ、半導体レーザおよび波長ロッカーそれぞれの温度調整を個別に行うことができないうえ、半導体レーザによる発熱が熱電素子モジュールの基板上を経由して波長ロッカーに伝熱することによって、高熱範囲が増大することで、熱電素子モジュールの消費電量が大きくなるという問題点があった。(【0003】、【0006】)

エ 本発明は、上記イ及びウの問題点を鑑みてなされたものであって、互いに異なる熱電素子モジュールの熱の影響を防止しつつ、小型化を実現することができる光モジュールを提供することを目的とする。(【0007】)

オ 本発明は、第1の上基板23および第2の上基板24の各々を互いに所定の距離D1だけ空けて設けることによって、発熱体である波長可変レーザ素子6の熱が温度制御部品である波長検出部20に流入することを防止できる。(【0043】、【0044】)

5 当審の判断

(1)第1次補正は、上記3のとおりのものであって、請求項1についての補正を含むところ、この補正は「温度調節器」について「記第1の熱電素子の上面に設けられた前記発熱体の熱が前記第1の熱電素子、前記下基板、前記第2の熱電素子および前記第2の上基板を介して前記第2の上基板の上面に設けられた前記複数の部品に流入可能なように前記下基板、前記第1の上基板および前記第2の上基板の各々を熱伝導率の高い材料を用いて形成されること」ことを特定することに係るものである。

(2)そこで、このような第1次補正に係る技術的事項が、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものといえるか否かについて以下検討する。

ア 上記4(2)の認定にもよれば、当初明細書等には、第1次補正事項に係る上記技術的事項について明記されていない。

イ 当初明細書等に記載された技術的事項は、半導体レーザによる発熱が熱電素子モジュールの基板上を経由して波長ロッカーに伝熱することによって、高熱範囲が増大することで、熱電素子モジュールの消費電量が大きくなるという従来技術の問題点(上記4(2)ウ)を第1の上基板23および第2の上基板24の各々を互いに所定の距離D1だけ空けて設けることによって、発熱体である波長可変レーザ素子6の熱が温度制御部品(上記「複数の部品」に相当。)である波長検出部20に流入することを防止(上記4(2)オ)することである。

すなわち、「発熱体の熱」に関して、当初明細書等に記載された技術的事項は「複数の部品」へ流入することを防止するものといえ、「複数の部品に流入可能なように」する第1次補正に係る技術的事項とは整合していない。

ウ 上記ア及びイのとおり、第1補正事項に係る技術的事項は、当初明細書等に明記されていない上、当初明細書等に記載された発明における「発熱体の熱」の「複数の部品」への流入を防止するという技術的意義に整合していないから、第1次補正は、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものとはいえない。

エ したがって、第1次補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものとはいえないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

第4 むすび

以上のとおり、第1次補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものとはいえず、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないから、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-014572

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