2022-013857
2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを含む組成物
- 審判番号
- 2022-013857
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-161299外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年09月05日
- 審決日
- 2024年10月01日
- 公報発行日
- 2025年03月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】アルケマ フランス
- 【請求人代理人】園田・小林弁理士法人
- 分類
- P18 .121-Z (C09K)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 12項目
第1 手続の経緯
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本願は、平成25年(2013年)12月6日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2012年12月26日(以下「優先日」という。) フランス(FR))を国際出願日とする特願2015-550133号の一部を、平成30年12月10日に新たな特許出願とした特願2018-230548号の一部を、令和2年9月25日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は次のとおりである。
令和2年10月16日 手続補正書の提出
令和3年11月16日付け 拒絶理由通知書
令和4年 2月14日 意見書、手続補正書の提出
同年 4月27日付け 拒絶査定(以下「原査定」ともいう。)
同年 9月 5日 審判請求書、手続補正書の提出
第2 補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和4年2月14日にされた手続補正を却下する。
[理由]
1 手続補正の内容
令和4年2月14日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の請求項1を、次のように補正するものである。下線は補正箇所を示す。
(1)本件補正前
「【請求項1】HFO-1234yf、HFO-1243zf、並びにHFC-245cb、HCFC-115、及びHFC-152aからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含む組成物であって、HFO-1234yf以外のすべての化合物を最大で1重量%含むことを特徴とする、組成物。」
(2)本件補正後
「【請求項1】HFO-1234yf、HFO-1243zf、並びにHFC-245cb、HCFC-115、及びHFC-152aからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含む組成物であって、HFO-1234yf以外のすべての化合物を最大で0.5重量%含むことを特徴とする、組成物。」
2 本件補正の目的
本件補正は、請求項1の「組成物」について、本件補正前に「HFO-1234yf以外のすべての化合物を最大で1重量%含む」ものであったのを、本願の明細書の【0005】の「好ましくは、すべての追加の化合物は、HFO-1234yfを含む組成物の多くとも1重量%、有利には多くとも0.5重量%である。」との記載及び同【0011】の「前記実施態様に関係なく、すべての追加の化合物は、HFO-1234yfを含む組成物の多くとも1重量%、有利には多くとも0.5重量%である。」との記載に基いて、「HFO-1234yf以外のすべての化合物を最大で0.5重量%含む」ものであることを限定するものである。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(いわゆる独立特許要件を満たすものであるか)について以下で検討する。
3 独立特許要件についての判断
(1)本件補正発明
本件補正発明は、前記1(2)に記載したとおりのものである。
(2)引用文献及びその記載事項
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ア 引用文献
イ 引用文献の記載事項
本願の優先日前に公知となった引用文献1には、次の記載がある。
「【0001】本開示内容は、熱伝達組成物、エアロゾル噴霧剤、発泡剤、ブロー剤、溶媒、クリーニング剤、キャリア流体、置換乾燥剤、バフ研磨剤、重合媒体、ポリオレフィンおよびポリウレタンの膨張剤、ガス状誘電体、消火剤および液体またはガス状形態にある消火剤として有用な組成物の分野に関する。特に、本開示内容は、2,3,3,3,-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yfまたは1234yf)または2,3-ジクロロ-1,1,1-トリフルオロプロパン(HCFC-243dbまたは243db)、2-クロロ-1,1,1-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xfまたは1233xf)または2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)を含む組成物等の熱伝達組成物として有用な組成物に関する。【背景技術】【0002】続きを表示(全11行)新たな環境規制によって、冷蔵、空調およびヒートポンプ装置に用いる新たな組成物が必要とされてきた。低地球温暖化係数の化合物が特に着目されている。【発明の概要】【課題を解決するための手段】【0003】出願人は、1234yf等の新たな低地球温暖化係数の化合物を調製する際に、特定の追加の化合物が少量で存在することを見出した。【0004】従って、本発明によれば、HFO-1234yfと、HFO-1234ze、HFO-1243zf、HCFC-243db、HCFC-244db、HFC-245cb、HFC-245fa、HCFO-1233xf、HCFO-1233zd、HCFC-253fb、HCFC-234ab、HCFC-243fa、エチレン、HFC-23、CFC-13、HFC-143a、HFC-152a、HFO-1243zf、HFC-236fa、HCO-1130、HCO-1130a、HFO-1336、HCFC-133a、HCFC-254fb、HCFC-1131、HFC-1141、HCFO-1242zf、HCFO-1223xd、HCFC-233ab、HCFC-226baおよびHFC-227caからなる群から選択される少なくとも1つの追加の化合物とを含む組成物が提供される。組成物は、少なくとも1つの追加の化合物の約1重量パーセント未満を含有する。」
「【0023】HFO-1234yfを含む本明細書に開示された組成物は、低地球温暖化係数(GWP)熱伝達組成物、エアロゾル噴霧剤、発泡剤、ブロー剤、溶媒、クリーニング剤、キャリア流体、置換乾燥剤、バフ研磨剤、重合媒体、ポリオレフィンおよびポリウレタンの膨張剤、ガス状誘電体、消火剤および液体またはガス状形態にある消火剤として有用である。開示されている組成物は、熱を熱源からヒートシンクへ伝えるのに用いる作業流体として作用し得る。かかる熱伝達組成物はまた、流体が相変化する、すなわち、液体から気体へ、そして戻るまたは反対も同様のサイクルで冷媒としても有用である。」
「【0104】実施例1~6HFO-1243zfのクロロフッ素化上記したとおりに調製した98%クロム/2%コバルト触媒(21.4グラム、15mL、-12~+20メッシュ(1.68~0.84mm))を、流動床サンドバスで加熱した直径5/8”(1.58cm)のInconel(登録商標)(Special Metals Corp.(New Hartford,New York))ニッケル合金リアクタ管に入れた。触媒を、次のとおり、HFによる処理で予備フッ素化した。触媒を45℃~175℃まで、約1.5時間にわたって、窒素フロー(50cc/分)で加熱した。HFをリアクタに、50cc/分の流量で、1.3時間にわたって、175℃の温度で入れた。リアクタ窒素フローを20cc/分まで減じ、HFフローを80cc/分まで増やし、このフローを0.3時間維持した。リアクタ温度を、400℃まで1時間にわたって徐々に上げた。この期間後、HFおよび窒素フローを停止し、リアクタを所望の操作温度とした。HF蒸気、HFO-1243zfおよびCl2のリアクタへのフローを開始した。リアクタ流出物の一部をオンラインGC/MSにより分析した。続きを表示(全13行)【0105】様々な操作温度ならびにHF、HFO-1243zfおよびCl2の示したモル比での98/2Cr/Co触媒でのHFO-1243zfのクロロフッ素化の結果を表2に示す。分析データは、GC面積%の単位で示されている。名目触媒床容積は15cc、接触時間(CT)は15秒であった。実施例1および2は、触媒なしで行った。【0106】【表2】[図:0001419545000001.jpg]【0107】【表3】[図:0001419545000002.jpg]」
(3)引用文献1に記載された発明
引用文献1の【0104】~【0107】の実施例6に着目すれば、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
(引用発明)
「HF、HFO-1243zfおよびCl2を10/1/1のモル比で、98/2Cr/Co触媒で375℃で反応させ、HFO-1243zfをクロロフッ素化させて得られた組成物であって、GC面積%の分析データで、1243zfを12.8、1234yfを11.6、245cbを6.3、1233xfを20.6、1233zdを17.6、1234zeを6.5、245faを2.3、1223xdを16.1、226baを0.2含む組成物。」
(4)本件補正発明と引用発明との対比、判断
ア 対比
本件補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「1243zf」、「1234yf」及び「245cb」は、本件補正発明の「HFO-1243zf」、「HFO-1234yf」及び「HFC-245cb」に相当する。また、GC面積%は、重量%とほぼ同義である。
してみると、両者の一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
「HFO-1234yf、HFO-1243zf、並びにHFC-245cb、HCFC-115、及びHFC-152aからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含む組成物。」
<相違点>
本件補正発明は「HFO-1234yf以外のすべての化合物を最大で0.5重量%含む」のに対し、引用発明は、HFO-1234yf以外のすべての化合物を、100-11.6=88.4GC面積%(重量%)含むものである点。
イ 判断
引用発明を認定した引用文献1の【0002】には、新たな環境規制によって、冷蔵、空調およびヒートポンプ装置に用いる新たな組成物が必要とされ、低地球温暖化係数の化合物が特に着目されていることが記載され、同【0003】には、1234yf等の新たな低地球温暖化係数の化合物を調製する際に、特定の追加の化合物が少量で存在することを見出したことが記載され、同【0004】には、本発明によれば、HFO-1234yfと、それ以外の追加の化合物とを含む組成物において、少なくとも1つの追加の化合物の約1重量%未満を含有することが記載されている。
すなわち、引用文献1には、冷蔵、空調およびヒートポンプ装置に用いる新たな組成物として、低地球温暖化係数の化合物であるHFO-1234yfが着目され、1234yfを調製する際には特定の追加の化合物が少量で存在し、本発明によれば、HFO-1234yfと、それ以外の追加の化合物とを含む組成物において、追加の化合物を約1重量%未満含有するとの趣旨のことが記載されている。
そうすると、引用発明においても、蒸留等の慣用手段により、1234yfの濃度を高めようとすることは、当業者が容易なし得たことであり、その結果、1234yfが99.5重量%より多くなり、1243zf及び245cbを含む追加の化合物が0.5重量%未満となるようにすることも、当業者が容易になし得たことである。
また、本件補正発明の効果について、本願の明細書の【0040】に「本発明による組成物は、多くの利用分野において、特に伝熱流体、噴射剤、発泡剤、膨張剤、ガス誘電体、モノマー又は重合媒質、支持流体、研磨剤、乾燥剤、及びエネルギー生成装置用流体として有用である。」と記載されているが、これらの有用性に係る効果は、引用文献1の【0023】の「HFO-1234yfを含む本明細書に開示された組成物は、低地球温暖化係数(GWP)熱伝達組成物、エアロゾル噴霧剤、発泡剤、ブロー剤、溶媒、クリーニング剤、キャリア流体、置換乾燥剤、バフ研磨剤、重合媒体、ポリオレフィンおよびポリウレタンの膨張剤、ガス状誘電体、消火剤および液体またはガス状形態にある消火剤として有用である。開示されている組成物は、熱を熱源からヒートシンクへ伝えるのに用いる作業流体として作用し得る。かかる熱伝達組成物はまた、流体が相変化する、すなわち、液体から気体へ、そして戻るまたは反対も同様のサイクルで冷媒としても有用である。」との記載から予測できる域を出るものではない。
なお、本願の明細書には、本件補正発明1で特定される「HFO-1234yf、HFO-1243zf、並びにHFC-245cb、HCFC-115、及びHFC-152aからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含む組成物」に相当する実施例は示されておらず、その効果は確認されていない。
したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献1に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(5)請求人の主張
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請求人は、審判請求書4頁25行~27行において、「しかし、引用文献1は、引用文献1の組成物がR1234yf以外の全ての化合物の最大0.5重量%を含むことを開示も示唆もしていない。」と主張をしている。
たしかに、引用文献1には、「最大0.5重量%」という数字は明示されていない。
しかしながら、前記(4)イで検討したとおり、有用なHFO-1234yfを得るために、蒸留等の慣用手段により、1234yfの濃度を高めた結果、1234yf以外の追加の化合物を1重量%未満とし、さらに、0.5重量%未満とすることは、当業者が容易になし得たことである。
よって、請求人の主張により、前記(4)エの結論が覆ることはない。
(6)独立特許要件についての判断のむすび
前記(4)で検討したとおり、本件補正発明は、引用発明及び引用文献1に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
4 補正の却下の決定のむすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は前記のとおり却下されたので、本願の請求項1~4に係る発明は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1~4に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第2の1(1)に記載したとおりのものである。
2 原査定における拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、次の理由を含むものである。
「この出願については、令和3年11月16日付け拒絶理由通知書に記載した理由2・・・によって、拒絶をすべきものです。・・・備考●理由2(特許法第29条第2項)について続きを表示(全15行)・請求項 1-4・引用文献等 1・備考引用文献1については先の拒絶理由通知で述べたとおりである。請求項1-4に係る発明と引用文献1に記載された発明とを比較すると、前者はHFO-1234yf以外のすべての化合物を最大で1重量%(又は0.5重量%)含むのに対し、後者は実施例態様において、当該規定を満足するものがない点、両者は相違している。しかしながら、引用文献1には、特許請求の範囲においてHFO-1234yfが組成物中少なくとも99重量%を含有する組成物が規定されているとともに、さらに、HFO-1234yfを含む組成物中の追加の化合物の合計量は、ゼロ重量パーセントを超え、1重量パーセント未満までの範囲であることが規定されており([0012])、かつ、本願明細書の実施例態様において、1243zf、1234yf、245cb、1233zd及び245faを含む組成物が規定されている以上、1234yfと、追加成分として1243zf、245cb、1233zd及び245faをゼロ重量パーセントを超え、1重量パーセント未満までの範囲含む組成物を想起することは、当業者が容易になし得るものであり、それによって奏される効果も格別顕著なものであるとはいえない。よって、請求項1-4に係る発明は、依然として引用文献1に記載された発明に基いて当業者が容易に想到することができたものであり、依然として、先の拒絶理由通知における理由2(請求項2,4について)は解消していない。出願人は意見書において、引用文献1には、上記相違点について開示も示唆もされていないことをもって、先の拒絶理由通知における理由2は解消する旨の主張をしているが、当該主張のみで上記判断が左右されるものではなく、当該主張を採用することはできない。・・・引用文献等一覧1.特表2011-520017号公報」
3 引用文献の記載事項
引用文献の記載事項及び引用発明は、前記第2の3(2)に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、前記第2の3(4)で検討した本件補正発明の「HFO-1234yf以外のすべての化合物を最大で0.5重量%含む」の「最大で0.5重量%」との限定を、「最大で1重量%」の範囲に拡張したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに前記の限定を付加した本件補正発明が、前記第2の[理由]の3(4)に記載したとおり、引用発明及び引用文献1に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び引用文献1に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-013857