特許拒絶査定不服審判
2022-012215
ドライアイ治療システム
- 審判番号
- 2022-012215
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-158988外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年08月05日
- 審決日
- 2024年01月30日
- 公報発行日
- 2024年07月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】サイト サイエンシーズ, インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】弁理士法人白坂
- 分類
- P18 .121-WZ (A61F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-158988「ドライアイ治療システム」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年12月17日出願公開、特開2020-199386〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2012年(平成24年)10月 9日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2012年 1月 4日 (US)アメリカ合衆国 2012年10月 5日 (US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願である特願2014-551238号の一部を平成30年10月12日に新たな特許出願とした特願2018-193884号の一部を、さらに令和 2年 9月23日に新たな特許出願としたものであって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。
令和 2年10月22日 :手続補正書の提出
令和 3年 9月24日付け:拒絶理由通知書
令和 4年 3月28日 :意見書及び手続補正書の提出
令和 4年 3月31日付け:拒絶査定
令和 4年 8月 5日 :審判請求書及び手続補正書の提出
令和 5年 1月18日付け:拒絶理由通知書
令和 5年 7月24日 :意見書及び手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の特許請求の範囲の請求項1~12に係る発明は、令和 5年 7月24日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~12に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、そのうちの請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「【請求項1】
ドライアイ症候群のための治療用アセンブリであって、
対象の上眼瞼に接着するように構成された部分を有する上細片であって、前記上眼瞼に接着するように構成された前記上細片の前記部分は、上細片第1長手方向末端部および上細片第2長手方向末端部を有し、前記上細片が前記対象によって装着されたときに、前記上細片第1長手方向末端部は、前記上細片第2長手方向末端部よりも前記対象の鼻のより近傍にあり、また、前記上細片が前記対象によって装着されたときに、前記上細片第1長手方向末端部および前記上細片第2長手方向末端部は、前記対象の眼の内眼角と外眼角との間にあり、前記上細片は、前記上眼瞼にエネルギーを放出するように構成され、前記上細片は、前記上眼瞼の1または複数のマイボーム腺の位置に沿って形成され、前記上細片は、前記対象が自然にまばたきをすることができるように、外部デバイスを用いることなくまたは前記上細片に外力を加えることなく、前記上眼瞼に接着されたままであるように構成されている、上細片と、
前記対象の下眼瞼に接着するように構成された部分を有する下細片であって、前記下細片は、前記下眼瞼にエネルギーを放出するように構成され、前記下細片は、前記下眼瞼の1または複数のマイボーム腺の位置に沿って形成され、前記下細片は、前記対象が自然にまばたきをすることができるように、外部デバイスを用いることなくまたは前記下細片に外力を加えることなく、前記下眼瞼に接着されたままであるように構成されている、下細片と、
前記上細片および前記下細片の1つ以上のパラメータを制御するようにプログラムされるとともに前記上細片および前記下細片と通信するコントローラと、
を備える、治療用アセンブリ。」
第3 拒絶の理由
当審が令和 5年 1月18日付けで通知した拒絶理由は、本願発明は、本願の優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。
記
引用文献:特表2010-504769号公報
第4 引用文献の記載及び引用発明
1 引用文献の記載事項
上記引用文献には、次の記載がある(下線は当審で付した。以下同様。)。
ア「【0004】
本発明は、一般に、哺乳類の眼の治療に関する。より詳細には、本発明は、それだけに限らないが、特定の閉塞を溶解する熱の使用によりマイボーム腺の閉塞を緩和し、または緩和を助長することを含む、治療のために眼瞼に調節された熱を加えることに関する。」
イ「【0008】
瞬目は、上眼瞼に、マイボーム腺が分泌する脂質の薄層を、涙液膜の他の2層に被せて引き上げさせ、下にある層が蒸発する速度を抑える一種の保護被覆を形成する。したがって、脂質層が不完全であったり、このような脂質が不適切な量であったりすると、水層の蒸発が促進され、ひいては、「ドライアイ」と総称される、かゆみ、焼灼感、刺激、乾燥といった症状を引き起こす可能性があることが分かるであろう。」
ウ「【0030】
本発明と一致する一実施形態では、哺乳類の眼瞼の治療のために調節された熱を供給する装置は、電気信号が印加されたときに熱を発生する加熱素子を備える加熱ユニットを備える。温度調節器が、加熱素子の指定温度範囲までの加熱を達成するために加熱素子に電気信号を印加する。眼瞼接触機構が、指定温度範囲内の眼瞼の調節された加熱を達成するために眼瞼に加熱ユニットを結合している。」
エ「【0050】
次に図1を参照すると、マイボーム腺10の位置が、それぞれ上眼瞼12と下眼瞼14とに示されている。」
オ「【0067】
図6は、眼瞼のマイボーム腺の治療を示すブロック図であり、特に下眼瞼が示されている。この治療(および本明細書で説明する他の治療および装置)は、左眼または右眼または左右両眼の、上眼瞼にも下眼瞼にも、あるいは上下両方の眼瞼にも利用され、または構成されることができることが分かる。この実施形態では、電源34が熱調節回路38に電力を供給し、熱調節回路38は熱調節を実現するのに適した任意の設計のものとすることができる。この熱調節回路38は、治療範囲内の調節された温度、例えば45℃を発生させるために、加熱素子42(電流が抵抗器を通るときに発生する熱、すなわち抵抗加熱によって熱を発生させるフレキシブルフォイル加熱素子など)に電流などの電気信号(AC信号、DC信号、パルス信号、プログラム信号または変調信号)を印加する。この加熱素子42は、最終的には熱療法のために眼瞼に伝達される熱を発生させるのに使用される。本実施形態では、加熱素子42と眼球54の眼瞼50との間にヒートシンク46が配置されている。このヒートシンク46は、例えば、治療される眼瞼の形状に適合するように(実施形態によっては加熱素子と共に)曲がるフレキシブルシリコン部材などとすることもできる。」
カ「【0076】
本発明の実施形態で使用するのに適した断熱材料の一例が、厚さ約1/8から1/4インチのネオプレンゴムであるが、これらの寸法は限定的なものとみなすべきではない。」
キ「【0082】
この実施形態では、水泳に使用されるのと同様の保護眼鏡を、加熱ユニット80を搭載し、指定の治療時間の間加熱ユニット80を治療される眼瞼に近接して保持するように構成させることができる。図8に示す保護眼鏡98は多かれ少なかれ、水泳時に眼を覆うのに使用されるような通常の保護眼鏡であるが、接着材、テープ、ストラップ、ヘルメット、クランプ、または他の任意の適切な手段を含めて、治療すべき眼瞼の一方または両方において加熱ユニット80を所定位置に保持するのに適する任意の別の機構を利用することができる。このような機構はそれぞれ、本明細書のための適切な接続機構とみなされ得る。」
ク「【0096】
次に図14を参照すると、いくつかの実施形態と一致する加熱ユニット80が示されており、この場合もやはり、断熱材58が最後部層をなし、加熱素子42が中央層をなし、熱ヒートシンク46が眼瞼と接するように配置される前層をなす積層サンドイッチ型の組部品が示されている。この実施形態では、加熱ユニットを眼瞼に固定するためにヒートシンクの外面に接着材120が貼り付けられている。この例では、接着材120は、眼瞼に加熱ユニット80を貼り付ける目的で剥がして接着材を露出させるためのカバーを備える両面接着テープの形である。図示の例では、熱ヒートシンク46は、所定の位置で押し下げられると、眼瞼の形状に適合して、熱ヒートシンク46と眼瞼の間の密接な接触を実現するように、柔軟な、または曲げやすいものである。しかし、別の実施形態では、接着材120が施される面は、治療すべき眼瞼の上下、および左上と右上の曲率に適合するように成形されてもよい。この例では、熱ヒートシンク46は、曲げやすいものではなく剛性のものとすることができる。図示しやすいようにやや半月形に描かれているが、形状は、眼瞼または対または眼瞼に密接に適合するものが好ましい。特に、一般には下眼瞼に問題が生じやすいため、下眼瞼に適合する形状が望ましい。」
ケ「【0112】
図21に、眼瞼を加熱するためにカスタマイズされた加熱素子設計の一例を示す。このような加熱素子設計は、米国ミネソタ州55432ミネアポリス、コマース・レーン・7300所在のMincoなどのフォイル加熱器企業により容易にカスタム製作され得る。この実施形態では、加熱素子の外形は下眼瞼の輪郭に適合するように設計されているが、上眼瞼または同時に両眼瞼を治療するための別の設計を考案することもできる。このような加熱器設計の1つの典型的な実用寸法は、寸法204が約1.8インチ、寸法208が約1.015インチ、タブ212の寸法214と216とが約0.375インチである。当然ながら、これらの寸法は限定とみなすべきではなく、平均的サイズのヒトの眼瞼に適したものと考えられる。」
コ「【0126】
加えて、温湿布に伴う不潔さも、温湿布に伴う一貫性を欠く温度プロファイルも、それによって提供される、過熱の危険を伴うIR加熱法も、最小限におさえられる。加熱ユニット80は、小型軽量であるため、個々の患者およびその他の要因に応じて、いくつかの方法のうちのいずれを使っても眼瞼に取り付けることができる。下眼瞼に取り付けられると、装置は眼を開けたままで使用することができる。これは、患者が、治療を受けている間、暇つぶしのために何らかの簡単な作業(読書やテレビの視聴など)を行うことを可能にする。…
【0127】
以上の教示を考察すれば、当業者には、上記の例示的実施形態のあるものはプログラムされたプロセッサの使用に基づくものであることが理解される。しかし、本発明はこのような例示的実施形態だけに限定されるものではない。これは、専用ハードウェアおよび/または専用プロセッサといった同等のハードウェア構成部品を使って別の実施形態を実施することもできるからである。同様に、汎用コンピュータ、マイクロプロセッサベースのコンピュータ、マイクロコントローラ、光コンピュータ、アナログコンピュータ、専用プロセッサ、特定用途向け回路および/または専用配線論理を使用して、代替の等価の実施形態が構築されてもよい。…
【0128】
本明細書で説明する方法のいくつかの実施形態は、流れ図や説明として一般的に前述した、任意の適切な電子またはコンピュータ可読記憶媒体上に格納することができ、および/または任意の適切な電子通信媒体を介して伝送することのできるプログラミング命令を実行するプログラムプロセッサを使って実施され、または実施され得る。」
サ「
[図:0001411700000001.jpg]
」
シ「
[図:0001411700000002.jpg]
」
ス「
[図:0001411700000003.jpg]
」
セ「
[図:0001411700000004.jpg]
」
ソ 上記エ、サの記載、並びに上記ウの「眼瞼の治療のために調節された熱を供給する装置」及びオの「この治療…は、…上下両方の眼瞼に…利用され、または構成されることができる」との各記載を踏まえれば、引用文献に記載された装置は、上眼瞼12および下眼瞼14のマイボーム腺10を加熱する装置であって、上下両方の眼瞼12、14にそれぞれ利用されるものであるといえる。
また、上記オ、キの記載から、当該装置は、電気信号が印加されたときに熱を発生する加熱素子42を有する加熱ユニット80を備えるものであるといえる。
タ 上記クの「図14を参照すると、…加熱ユニット80が示されており、…図示しやすいようにやや半月形に描かれているが、形状は、眼瞼または対または眼瞼に密接に適合するものが好ましい。」との記載を、上記スの記載事項及び上記ソの認定事項と併せてみれば、加熱ユニット80の外形は、上下の眼瞼12、14それぞれの形状に適合したものであるといえる。
2 引用発明
上記1の事項ア~タを総合すると、引用文献には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているといえる。
「マイボーム腺10が分泌する脂質の薄層が不完全であったり、脂質が不適切な量であったりすると生じるドライアイの症状に対して、
閉塞を溶解する熱の使用による、マイボーム腺10の閉塞を緩和する治療のために眼瞼に調節された熱を加え、上眼瞼12および下眼瞼14のマイボーム腺10を加熱する装置であって、
上下両方の眼瞼12、14にそれぞれ利用され、電気信号が印加されたときに熱を発生する加熱素子42を有する加熱ユニット80を備え、
加熱ユニット80は、
電源34が熱調節回路38に電力を供給し、熱調節回路38は熱調節を実現し、
熱調節回路38は、治療範囲内の調節された温度を発生させるために、加熱素子42に電流などの電気信号を印加し、
加熱素子42は、熱療法のために眼瞼12、14に伝達される熱を発生させるものであって、
断熱材58が最後部層をなし、加熱素子42が中央層をなし、熱ヒートシンク46が眼瞼と接するように配置される前層をなす積層サンドイッチ型の組部品であり、
加熱ユニット80を眼瞼12、14に固定するためにヒートシンク46の外面に接着材120が貼り付けられ、
接着材120は、眼瞼12、14に加熱ユニット80を貼り付ける目的で剥がして接着材120を露出させるためのカバーを備える両面接着テープの形であり、
加熱ユニット80の外形は、上下の眼瞼12、14それぞれの形状に適合し、
下眼瞼14に取り付けられると、眼を開けたままで使用することができるものであり、
プログラムされたプロセッサの使用に基づき、マイクロコントローラ及び専用配線論理を使用して、電子通信媒体を介して伝送することのできるプログラミング命令を実行するプログラムプロセッサを使って実施される、
装置。」
第5 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
1 引用発明の「マイボーム腺10が分泌する脂質の薄層が不完全であったり、脂質が不適切な量であったりすると生じるドライアイの症状に対して、閉塞を溶解する熱の使用による、マイボーム腺10の閉塞を緩和する治療のために眼瞼に調節された熱を加え、上眼瞼12および下眼瞼14のマイボーム腺10を加熱する装置」は、本願発明の「ドライアイ症候群のための治療用アセンブリ」に相当する。
2 引用発明の、「上下両方の眼瞼12、14にそれぞれ利用され」、「断熱材58が最後部層をなし、加熱素子42が中央層をなし、熱ヒートシンク46が眼瞼と接するように配置される前層をなす積層サンドイッチ型の組部品であり、」「眼瞼12、14に固定するためにヒートシンク46の外面に接着材120が貼り付けられ」る「加熱ユニット80」は、本願発明の「対象の上眼瞼に接着するように構成された部分を有する上細片」及び「前記対象の下眼瞼に接着するように構成された部分を有する下細片」それぞれに相当する。
そして、上記第4の1キの、搭載した加熱ユニット80を治療される眼瞼に近接して保持するように構成させる保護眼鏡に代え、治療すべき眼瞼の一方または両方において加熱ユニット80を所定位置に保持するのに適する任意の別の機構として接着材を利用することができる旨の開示、及び引用発明は「接着材120は、眼瞼12、14に加熱ユニット80を貼り付ける目的で剥がして接着材120を露出させるためのカバーを備える両面接着テープの形であ」ることを踏まえれば、引用発明の「上下両方の眼瞼12、14にそれぞれ利用され」る「加熱ユニット80」は、本願発明の「外部デバイスを用いることなくまたは前記上細片に外力を加えることなく、前記上眼瞼に接着されたままであるように構成されている、上細片」及び「外部デバイスを用いることなくまたは前記下細片に外力を加えることなく、前記下眼瞼に接着されたままであるように構成されている、下細片」それぞれに相当する。
3 上記第4の1ス及びクの記載、並びに同サの記載を参照すると、眼の左右方向を長手方向としたとき、引用発明の加熱ユニット80の形状は、眼瞼に接着するように構成された部分が、長手方向の一方の末端部と、それよりも鼻のより近傍に位置する他方の末端部とを有すると表現できるものであり、当該加熱ユニット80は下眼瞼14のみならず上眼瞼12にも利用されるものであることを踏まえれば、引用発明の「上」の「眼瞼12」に「利用され」る「加熱ユニット80」は、本願発明の「前記上眼瞼に接着するように構成された前記上細片の前記部分は、上細片第1長手方向末端部および上細片第2長手方向末端部を有し、前記上細片が前記対象によって装着されたときに、前記上細片第1長手方向末端部は、前記上細片第2長手方向末端部よりも前記対象の鼻のより近傍にあ」「るように構成されている、上細片」に相当する。
4 引用発明の「上下両方の眼瞼12、14にそれぞれ利用され、電気信号が印加されたときに熱を発生する加熱素子42を有する加熱ユニット80」は、本願発明の「前記上眼瞼にエネルギーを放出するように構成され」ている「前記上細片」及び「前記下眼瞼にエネルギーを放出するように構成され」ている「前記下細片」それぞれに相当する。
5 引用発明の、「外形は、上下の眼瞼12、14それぞれの形状に適合し」、「上下両方の眼瞼12、14にそれぞれ利用され」る「加熱ユニット80」は、上記第4の1サの記載から、上眼瞼12及び下眼瞼14のほぼ全域に亘ってマイボーム腺10が位置していることが看取されることを踏まえれば、本願発明の「前記上眼瞼の1または複数のマイボーム腺の位置に沿って形成され」ている「前記上細片」及び「前記下眼瞼の1または複数のマイボーム腺の位置に沿って形成され」ている「前記下細片」それぞれに相当する。
6 引用発明の「上下両方の眼瞼12、14にそれぞれ利用され、電気信号が印加されたときに熱を発生する加熱素子42を備える加熱ユニット80」を含む「装置」は、「マイクロコントローラ及び専用配線論理を使用して、電子通信媒体を介して伝送することのできるプログラミング命令を実行するプログラムプロセッサを使って」実施される、すなわち、制御されるものであるといえるから、引用発明の「マイクロコントローラ及び専用配線論理を使用して、電子通信媒体を介して伝送することのできるプログラミング命令を実行するプログラムプロセッサ」は、本願発明の「前記上細片および前記下細片の1つ以上のパラメータを制御するようにプログラムされるとともに前記上細片および前記下細片と通信するコントローラ」に相当する。
そうすると、両者は、
「ドライアイ症候群のための治療用アセンブリであって、
対象の上眼瞼に接着するように構成された部分を有する上細片であって、前記上眼瞼に接着するように構成された前記上細片の前記部分は、上細片第1長手方向末端部および上細片第2長手方向末端部を有し、前記上細片が前記対象によって装着されたときに、前記上細片第1長手方向末端部は、前記上細片第2長手方向末端部よりも前記対象の鼻のより近傍にあり、前記上細片は、前記上眼瞼にエネルギーを放出するように構成され、前記上細片は、前記上眼瞼の1または複数のマイボーム腺の位置に沿って形成され、外部デバイスを用いることなくまたは前記上細片に外力を加えることなく、前記上眼瞼に接着されたままであるように構成されている、上細片と、
前記対象の下眼瞼に接着するように構成された部分を有する下細片であって、前記下細片は、前記下眼瞼にエネルギーを放出するように構成され、前記下細片は、前記下眼瞼の1または複数のマイボーム腺の位置に沿って形成され、外部デバイスを用いることなくまたは前記下細片に外力を加えることなく、前記下眼瞼に接着されたままであるように構成されている、下細片と、
前記上細片および前記下細片の1つ以上のパラメータを制御するようにプログラムされるとともに前記上細片および前記下細片と通信するコントローラと、
を備える、治療用アセンブリ。」
である点で一致し、次の各点で相違する。
[相違点1]
本願発明は、「前記上細片が前記対象によって装着されたときに、前記上細片第1長手方向末端部および前記上細片第2長手方向末端部は、前記対象の眼の内眼角と外眼角との間にあ」るのに対し、引用発明は、上の眼瞼12に利用される加熱ユニット80の外形は、上の眼瞼12の形状に適合している点。
[相違点2]
本願発明は、「前記上細片は、前記対象が自然にまばたきをすることができるように」構成され、「前記下細片は、前記対象が自然にまばたきをすることができるように」構成されているのに対し、引用発明は、「加熱ユニット80」がそのように特定されていない点。
第6 判断
1 まず、上記相違点1について検討する。
引用発明の加熱ユニット80は、その外形が上の眼瞼12の形状に適合するものであり、上記第4の1ケの、加熱素子の典型的な実用寸法が左右方向に約1.8インチであるとの記載も踏まえれば、上眼瞼用の加熱ユニット80の形状を、眼瞼と同形状とし、眼の左右方向に沿うものとしたその長手方向の両端が眼の内眼角と外眼角の間に収まる寸法として、上記相違点1に係る本願発明の事項とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
2 次に、上記相違点2について検討する。
(1)上記相違点2のうち、まず、「前記下細片は、前記対象が自然にまばたきをすることができるように」構成されているとの事項について検討すると、引用発明の加熱ユニット80は、「下眼瞼14に取り付けられると、眼を開けたままで使用することができるものであ」るから、「眼を開けたまま」である期間において生じるまばたきを、当然に、自然に行うことができるというべきである。
したがって、上記相違点2のうち、「前記下細片は、前記対象が自然にまばたきをすることができるように」構成されているとの事項については、実質的な相違点ではない。
(2)次に、上記相違点2のうち、「前記上細片は、前記対象が自然にまばたきをすることができるように」構成されているとの事項について検討する。
引用発明の加熱ユニット80は、「眼瞼12、14に固定するためにヒートシンク46の外面に接着材120が貼り付けられ」、「下眼瞼14に取り付けられると、眼を開けたままで使用することができるものであ」るところ、上眼瞼12においても眼を開けたままで使用することができる方が好ましいことは明らかである。
そして、上述のとおり、引用発明の加熱ユニット80は、その外形が上の眼瞼12の形状に適合するものであり、また、組部品としての加熱ユニット80において、加熱素子42としてフレキシブルフォイル加熱素子が、ヒートシンク46としてフレキシブルシリコン部材が、断熱材料として厚さ約1/8から1/4インチのネオプレンゴムが、それぞれ用いられ(上記第4の1オ、カ、セ参照)、加熱ユニット80全体が柔軟な組部品として構成されていると解されることを踏まえれば、上眼瞼に加熱ユニット80を取り付けたときに、患者が自然にまばたきをすることができるように構成し、上記相違点2に係る本願発明の事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。
3 そして、本願発明の奏する効果は、引用発明の奏する効果から当業者が予測し得る範囲内のものであって、各別のものとはいえない。
4 よって、本願発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-012215