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特許拒絶査定不服審判

2022-011459

画像処理装置とその作動方法および作動プログラム

審判番号
2022-011459
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-204148外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年07月22日
審決日
2023年03月31日
公報発行日
2023年06月30日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (A61B) / P18 .575-Z (A61B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-204148「画像処理装置とその作動方法および作動プログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 3月18日出願公開、特開2021- 41239〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 11項目
理 由

第1 手続の経緯

本願は、平成29年8月10日に出願した特願2017-156066号の一部を令和2年12月9日に新たな特許出願としたものであって、令和3年11月9日付けで拒絶理由が通知され、令和4年1月7日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年5月19日付けで拒絶査定(原査定)がされた(謄本の送達日:同月24日)ところ、同年7月22日に拒絶査定不服審判の請求がされ、それと同時に手続補正がされたものである。

第2 令和4年7月22日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和4年7月22日にされた手続補正(以下「本件補正」ということがある。)を却下する。

[理由]

1 本件補正について

(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載

本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線は、補正箇所を示す。)

「【請求項1】
放射線源に取り付けられ、少なくとも被写体を撮影する光学式のカメラから出力されるカメラ画像を取得するカメラ画像取得部と、
前記カメラ画像に基づいて、前記放射線源から照射されて前記被写体を透過した放射線に基づく放射線画像のうち照射野該当部分と非照射野該当部分とを検出する検出部と、
前記照射野該当部分と前記非照射野該当部分とに基づいて、前記放射線画像に対して画像処理を施す画像処理部とを備え、
前記照射野該当部分は、前記放射線が照射される領域である照射野に該当する前記放射線画像の部分であり、
前記非照射野該当部分は、前記照射野以外の前記放射線が照射されない領域である非照射野に該当する前記放射線画像の部分であり、
前記放射線源は、前記照射野を示す照射野表示光を発する照射野表示光源を有し、
前記検出部は、前記カメラ画像に映る前記照射野表示光と、前記放射線画像を検出する電子カセッテの位置を示すマーカーとを認識し、かつ、前記カメラ画像に映る前記照射野表示光に基づいて前記照射野の位置を検出し、かつ、前記マーカーのカメラ画像内における位置座標を、前記電子カセッテの位置として検出し、
前記画像処理部は、前記照射野の位置、及び、前記電子カセッテの位置に基づいて、前記放射線画像のうち前記照射野該当部分と前記非照射野該当部分を特定する画像処理装置。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載

本件補正前の、令和4年1月7日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。

「【請求項1】
放射線源に取り付けられ、少なくとも被写体を撮影する光学式のカメラから出力されるカメラ画像を取得するカメラ画像取得部と、
前記カメラ画像に基づいて、前記放射線源から照射されて前記被写体を透過した放射線に基づく放射線画像のうち照射野該当部分と非照射野該当部分とを検出する検出部と、
前記照射野該当部分と前記非照射野該当部分とに基づいて、前記放射線画像に対して画像処理を施す画像処理部とを備え、
前記照射野該当部分は、前記放射線が照射される領域である照射野に該当する前記放射線の部分であり、
前記非照射野該当部分は、前記照射野以外の前記放射線が照射されない領域である非照射野に該当する前記放射線の部分であり、
前記放射線源は、前記照射野を示す照射野表示光を発する照射野表示光源を有し、
前記検出部は、前記カメラ画像に映る前記照射野表示光に基づき、前記照射野の位置を検出し、かつ、前記カメラ画像に基づいて、前記放射線画像を検出する電子カセッテの位置を検出し、
前記画像処理部は、前記照射野の位置、及び、前記電子カセッテの位置に基づいて、前記放射線画像のうち前記照射野該当部分と前記非照射野該当部分を特定する画像処理装置。」

2 補正の適否

本件補正のうち、請求項1に係る補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「前記カメラ画像に映る前記照射野表示光に基づき、前記照射野の位置を検出し、かつ、前記カメラ画像に基づいて、前記放射線画像を検出する電子カセッテの位置を検出」する「検出部」について、「前記カメラ画像に映る前記照射野表示光と、前記放射線画像を検出する電子カセッテの位置を示すマーカーとを認識」すること、電子カセッテの位置の検出が、「前記マーカーのカメラ画像内における位置座標を、前記電子カセッテの位置として検出」するものであることに限定するとともに、「照射野該当部分」及び「非照射野該当部分」に該当する「放射線」の部分を、それぞれ「放射線画像」における部分に限定するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正である。

そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(1)本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献の記載事項

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ア 原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された刊行物である特開平10-201750号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の記載がある(下線は当審において付加した。以下同様。)。

(引1-ア)「【0009】更に最近では、放射線画像撮影手段2に微小な光電変換素子やスイッチング素子等から成る画素を格子状に配列した光電変換装置を使用し、デジタル画像を取得する技術が開発されている。

・・・

【0011】放射線照射野を絞るためには、従来放射線発生装置の直後に鉛製の絞りを設け、手動でこの絞りを動かすことにより行っており、放射線の広がりを確認するためには、放射線照射手段1と共役の位置に可視光源を設け、その投影光が絞りにより欠られる度合いを人間が目視することにより行っている。その他に、X線透視撮影装置ではテレビモニタで予め照射範囲を確認している。」

(引1-イ)「【0053】図5は光検出器アレーを使用した放射線画像撮影手段11の断面図を示し、放射線Xが入射する側にシンチレータ40が配置され、シンチレータ40に隣接して光検出器アレー41が配置されている。そして、光検出器アレー41には駆動回路42の出力が接続されている。

【0054】放射線Xが入射すると、シンチレータ40において高エネルギX線によって蛍光体の母体物質が励起され、再結合する際の結合エネルギにより可視領域の蛍光が得られる。なお、この蛍光はCaWO4 やCdWO4 などの母体自身によるものや、CsI:TlやZnS:Ag等の母体内に付活された発光中心物質によるものがある。そして、駆動回路42は光検出器アレー41を駆動し、光子を電気信号に変換し、各画素から電気信号を読み出す。駆動回路42で得た放射線画像情報は後述するルックアップテーブル作成手段に転送され、ルックアップテーブルの作成に利用される。また、放射線画像情報は図示しない画像処理手段にも転送される。」

(引1-ウ)「【0070】図14は第5の実施例の放射線撮影装置の構成図を示し、放射線を発生する放射線照射手段70の前方には、被写体Sを透過した放射線画像を撮影するために、例えば輝尽性蛍光体や光検出アレー等を受像面に使用した放射線画像撮影装置71が配置されており、放射線照射手段70の近傍には被写体Sの可視画像を撮影する可視画像撮影手段72が配置されている。

【0071】放射線画像撮影手段71の出力は画像処理手段73に接続され、画像処理手段73は放射線画像撮影手段71で得た画像情報のヒストグラム解析、階調補正、周波数強調等の画像処理機能を有する。また、可視画像撮影手段72の出力は位置対応手段74に接続され、位置対応手段74には放射線画像撮影手段71の出力も接続されている。更に、可視画像撮影手段72の出力は画像処理条件決定手段75に接続され、画像処理条件決定手段75の出力は画像処理手段73に接続されている。これにより、画像処理条件決定手段75は可視画像撮影手段72で得た可視画像情報に基づいて、画像処理手段73の画像処理条件を決定する機能を有する。

【0072】図15は可視画像撮影手段72の構成図を示し、可視画像撮影手段72は結像レンズ76、放射線に対して高透過性を有する折返しミラー77、CCDカメラ78、放射線照射を任意の大きさに加減する可動絞り79から構成されており、CCDカメラ78は例えば標本化数が512×512、量子化数が8ビットで、白黒と汎用の画像処理装置で扱える可視画像が得られる構造のものとされている。なお、放射線の光軸と可視画像撮影手段72の光軸を同一軸に記してあるが、位置関係の校正が行われていれば、同一光軸を使用しなくともよい。

【0073】このような構成により、放射線照射手段70から被写体Sに放射線が出射され、被写体Sを透過した放射線は放射線画像撮影手段71に至り、放射線画像が撮影される。そして、画像処理手段73により画像処理が行われて、図16に示すような撮像領域Bを有する被写体Sの放射線画像情報が得られる。また、可視画像撮影手段72のCCDカメラ78により、図17に示すような撮像領域Cの可視画像が撮影される。

【0074】ここで、例えば放射線画像撮影手段71の放射線入射側の目印Mを基準にして、放射線画像撮影手段71の撮像領域BとCCDカメラ78の撮像領域Cとを対応させ、可視画像撮影手段71(当審注:前後の文脈から、「可視画像撮影手段71」は「可視画像撮影手段72」の誤記と認める。)で得た可視画像情報と、放射線画像撮影手段71で得た画像情報との座標位置の関係を、位置対応手段74により対応付けることができる。なお、可視情報と放射線情報は1対1に対応するわけではなく、例えば可視情報が512×512画素、放射線情報が1024×1024画素の画像から成る場合には、可視情報の1画素は放射線情報の4画素に対応する。また、可視画像情報はレンズで結像させているために、画像の周辺部が歪んでいる場合があるが、この歪みは補正して放射線情報と対応させることが好ましい。

【0075】先ず、画像処理条件決定手段75が照射野の判別を行う照射野決定手段を具備する場合には、放射線照射手段70の可動絞り79により、放射線照射野を任意の大きさに加減することができるので、図18に示すように放射線画像撮像領域Bを照射領域B1と可動絞り24(当審注:前後の文脈及び図18の記載から、「可動絞り24」は「可動絞り79」の誤記と認める。)でマスクされた非照射領域B2に分割する。更に、図19に示すように可視画像撮影手段72で撮影した可視画像情報を、二値化処理により照射野領域C1と非照射野領域C2とに分割する。これら領域C1、C2は位置対応手段74により放射線画像情報の領域B1、B2それぞれと対応付けることができるので、画像処理手段73では放射線画像情報の照射野領域B1に対して画像処理を施こす。」

(引1-エ)【図5】

「
[図:0001398036000001.jpg]
」

(引1-オ)【図14】

「
[図:0001398036000002.jpg]
」

(引1-カ)【図15】

「
[図:0001398036000003.jpg]
」

(引1-キ)【図16】

「
[図:0001398036000004.jpg]
」

(引1-ク)【図17】

「
[図:0001398036000005.jpg]
」

(引1-ケ)【図18】

「
[図:0001398036000006.jpg]
」

(引1-コ)【図19】

「
[図:0001398036000007.jpg]
」

イ 引用文献1の記載から看取できる事項

(ア)上記(引1-ウ)の「【0070】図14は第5の実施例の放射線撮影装置の構成図を示し、放射線を発生する放射線照射手段70の前方には、被写体Sを透過した放射線画像を撮影するために、例えば輝尽性蛍光体や光検出アレー等を受像面に使用した放射線画像撮影装置71が配置されており、放射線照射手段70の近傍には被写体Sの可視画像を撮影する可視画像撮影手段72が配置されている。

【0071】放射線画像撮影手段71の出力は画像処理手段73に接続され、画像処理手段73は放射線画像撮影手段71で得た画像情報のヒストグラム解析、階調補正、周波数強調等の画像処理機能を有する。また、可視画像撮影手段72の出力は位置対応手段74に接続され、位置対応手段74には放射線画像撮影手段71の出力も接続されている。更に、可視画像撮影手段72の出力は画像処理条件決定手段75に接続され、画像処理条件決定手段75の出力は画像処理手段73に接続されている。これにより、画像処理条件決定手段75は可視画像撮影手段72で得た可視画像情報に基づいて、画像処理手段73の画像処理条件を決定する機能を有する。」との記載から、「放射線撮影装置」は、「放射線照射手段70」、「放射線画像撮影装置71」、「可視画像撮影手段72」、「画像処理手段73」、「位置対応手段74」及び「画像処理条件決定手段75」から構成されることが読み取れる。ここで、「画像処理手段73」、「位置対応手段74」及び「画像処理条件決定手段75」は、いずれも信号処理を実行する手段であると解されることから、これらをまとめて「信号処理装置」と呼ぶこととする。

また、「光検出アレー等を受像面に使用した放射線画像撮影装置71」は、上記(引1-イ)の「放射線Xが入射する側にシンチレータ40が配置され、シンチレータ40に隣接して光検出器アレー41が配置されている」「放射線画像撮影手段11」と同様の構造を有するものと解される。

(イ)上記(引1-ウ)の「【0073】・・・可視画像撮影手段72のCCDカメラ78により、図17に示すような撮像領域Cの可視画像が撮影される」との記載、及び上記(引1-ク)の【図17】の記載から、可視画像撮影手段72のCCDカメラ78は、放射線画像撮影手段71の撮像領域B全体を撮像領域Cとして撮影できる視野を有し、放射線画像撮影手段71の放射線入射側の目印Mを認識できるように撮像領域Cの可視画像を撮影可能であることが理解できる。

(ウ)上記(引1-ウ)の「【0075】・・・放射線照射手段70の可動絞り79により・・・放射線画像撮像領域Bを照射領域B1と可動絞り24でマスクされた非照射領域B2に分割する。・・・可視画像情報を、二値化処理により照射野領域C1と非照射野領域C2とに分割する。これら領域C1、C2は位置対応手段74により放射線画像情報の領域B1、B2それぞれと対応付けることができるので、画像処理手段73では放射線画像情報の照射野領域B1に対して画像処理を施こす。」との記載から、「放射線画像情報の領域B1、B2」は、それぞれ「放射線画像撮像領域B」の「照射領域B1」及び「非照射領域B2」に対応したものであることが読み取れる。

そして、「放射線画像情報の領域B1」と「放射線画像情報の照射野領域B1」が同じ領域を表すことは明らかであるから、以下では、放射線画像情報の「領域B1」を「照射野領域B1」と表記することとする。また、それにならい、放射線画像情報の「領域B2」を「非照射野領域B2」と表記することとする。

また、「領域C1、C2」が「照射野領域C1と非照射野領域C2」を表すことは明らかであるから、以下では、「領域C1、C2」をそれぞれ「照射野領域C1」、「非照射野領域C2」と表記することとする。

ウ 引用文献1に記載された発明

上記イ(ア)ないし(ウ)を踏まえると、上記(引1-ア)ないし(引1-コ)の記載から、引用文献1には、

「放射線撮影装置の信号処理装置であって、
放射線撮影装置は、放射線照射手段70、放射線画像撮影装置71、可視画像撮影手段72、画像処理手段73、位置対応手段74及び画像処理条件決定手段75から構成され、画像処理手段73、位置対応手段74及び画像処理条件決定手段75は信号処理装置を構成し、
放射線を発生する放射線照射手段70の前方には、被写体Sを透過した放射線画像を撮影するために、放射線Xが入射する側にシンチレータ40が配置され、シンチレータ40に隣接して光検出器アレー41が配置されている放射線画像撮影装置71が配置されており、放射線照射手段70の近傍には被写体Sの可視画像を撮影する可視画像撮影手段72が配置されており、
放射線画像撮影手段71の出力は画像処理手段73に接続され、画像処理手段73は放射線画像撮影手段71で得た画像情報のヒストグラム解析、階調補正、周波数強調等の画像処理機能を有し、
続きを表示(全13行)
可視画像撮影手段72の出力は位置対応手段74に接続され、位置対応手段74には放射線画像撮影手段71の出力も接続されており、
可視画像撮影手段72の出力は画像処理条件決定手段75にも接続され、画像処理条件決定手段75の出力は画像処理手段73に接続されており、
画像処理条件決定手段75は、可視画像撮影手段72で得た可視画像情報に基づいて画像処理手段73の画像処理条件を決定する機能を有し、
可視画像撮影手段72は、結像レンズ76、放射線に対して高透過性を有する折返しミラー77、CCDカメラ78、放射線照射を任意の大きさに加減する可動絞り79から構成されており、
可視画像撮影手段72のCCDカメラ78は、放射線画像撮影手段71の撮像領域B全体を撮像領域Cとして撮影できる視野を有し、放射線画像撮影手段71の放射線入射側の目印Mを認識できるように撮像領域Cの可視画像を撮影可能であり、
放射線画像撮影手段71の放射線入射側の目印Mを基準にして、放射線画像撮影手段71の撮像領域BとCCDカメラ78の撮像領域Cとを対応させ、可視画像撮影手段72で得た可視画像情報と、放射線画像撮影手段71で得た画像情報との座標位置の関係を、位置対応手段74により対応付けることができ、
画像処理条件決定手段75は照射野の判別を行う照射野決定手段を具備し、可動絞り79により、放射線照射野を任意の大きさに加減することで、放射線画像撮像領域Bを照射領域B1と可動絞り79でマスクされた非照射領域B2に分割し、可視画像撮影手段72で撮影した可視画像情報を、二値化処理により照射野領域C1と非照射野領域C2とに分割し、
これら照射野領域C1、非照射野領域C2は位置対応手段74により放射線画像情報の照射野領域B1、非照射野領域B2それぞれと対応付けることができるので、画像処理手段73では放射線画像情報の照射野領域B1に対して画像処理を施す、
信号処理装置。」

の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

エ 原査定で引用された本願の出願前に頒布された刊行物である特開2009-11638号公報(以下「引用文献2」という。)には、以下の記載がある。

(引2-ア)「【0061】

図5は、図4で示すような斜入撮影時において得られる透過像Gを例示する図である。透過像Gでは、発生放射部101から検出面101sに対して照射される放射線のパターン(図中砂地ハッチングが付された台形の画像領域)PAが現れる。この放射線のパターンPAは、検出面101sのうち、発生放射部101からの放射線が照射される領域(照射領域)に対応する。」

(引2-イ)「【0113】

図14は、発生放射部101Aの構成を模式的に示した断面図であり、発生放射部101Aは、例えばX線管などによって構成され、発生部101aと絞り部101cと照明機構101p(図14)とを備える。つまり、発生放射部101Aは、第1実施形態に係る発生放射部101に対して照明機構101pが付加されたものである。

【0114】

照明機構101pは、発生部101aの近傍に設けられ、光源PR、第1反射ミラーM1、および第2反射ミラーM2を備えて構成されている。

【0115】

光源PRは、可視光線を発生させる装置を備えて構成され、例えば、所定色のレーザー光を発生させる。そして、第1反射ミラーM1は、光源PRからの光を第2反射ミラーM2に向けて反射する。更に、第2反射ミラーM2は、第1反射ミラーM1からの光を反射して、絞り部101cの開口部101hから検出面108sに向けて光を射出させる。なお、図14では、光源PRからの光が辿る経路を太い破線の矢印で示している。

【0116】

ここで、光源PRから発生され、絞り部101c(具体的には開口部101h)を介して射出される光線の経路(光路)が、発生部101aから絞り部101c(具体的には開口部101h)を介して放射される放射線の経路(放射経路)と、略同一となるように設定されている。つまり、照明機構101pは、光源PRから発生された光線が、絞り部101cを介して、放射線の放射経路と略同一となる光路を経て、検出面108sに照射されるように構成されている。

【0117】

但し、ここでは、載置部104によって光線が遮られないように、載置部104は、透明ガラスなどといった可視光線を透過させる素材で構成されている。更に、第2反射ミラーM2は、発生部101aから絞り部101c(具体的には開口部101h)に至る放射経路上に設けられているため、放射線を透過し易い素材によって構成されている。

【0118】

カメラ部106は、例えば、CCDなどの撮像素子を含むデジタルカメラによって構成されたセンサであり、載置部104の直上に設置される。具体的には、カメラ部106の撮影レンズの光軸が、検出面108sに対して略直交し、且つ検出面108sの略中央を通るように設定されている。すなわち、カメラ部106は、検出面108sに略正対するように設置されている。

【0119】

より詳細には、図13で示すように、カメラ部106は、例えば、ガイド部102の延設方向の略中央の近傍(例えば、図13では、実線で記載された発生放射部101Aの近傍)であって、発生放射部101Aの移動、発生放射部101Aから放射される放射線の放射経路、および照明機構101pから発せられる光線の光路を阻害しない位置に配置されている。

【0120】

そして、カメラ部106は、放射線による撮影処理時に、照明機構101pからの光線が照射された検出面108sを直上から撮影することで、撮影画像を得て、制御部210Aにこの撮影画像を送出する。

【0121】

図15は、検体120を撮影する際の発生放射部101Aと検出部108と検体120とカメラ部106とに着目した図である。図15で示すように、カメラ部106は、位置および撮影方向が固定されており、ガイド部102上における発生放射部101の位置に拘わらず、一定の位置から検出面108sを撮影する。

【0122】

このカメラ部106で得られる撮影画像は、例えば、図15で示すような斜入撮影時には、図5で示した透過像Gと同様なパターンを有するものとなる。詳細には、透過像Gの外縁に対応する検出面108sの外縁と、パターンPAに対応する照明機構101pからの光線が照射された領域(照明領域)とが捉えられたものとなる。

【0123】

次に、制御部210Aの機能構成について説明する。

【0124】

図16は、制御部210AでプログラムPGAが実行されることで実現される機能構成を例示する図である。

【0125】

図16で示すように、制御部210Aは、撮影制御部211、検出値取得部212、値変換部213、点灯制御部214a、カメラ制御部214b、撮影画像取得部214c、照射領域認識部214d、位置・角度演算部215、および画像生成部216を機能として備える。

【0126】

撮影制御部211、検出値取得部212、値変換部213、位置・角度演算部215、および画像生成部216は、第1実施形態と同様な構成である。

【0127】

点灯制御部214aは、照明機構101pの点灯、すなわち光源PRからの光線の射出を制御する。

【0128】

カメラ制御部214bは、カメラ部106の動作を制御する。例えば、放射線による撮影時に合わせて、点灯制御部214aによって照明機構101pからの光線を照射領域に照射し、その状態をカメラ部106によって撮影して、撮影画像を得るように制御する。

【0129】

撮影画像取得部214cは、カメラ部106で得られた撮影画像を受け付ける。なお、この撮影画像取得部214cでは、必要な画像処理を施すようにしても良い。

【0130】

照射領域認識部214dは、第1実施形態に係る照射領域認識部214とは、認識方法が異なるが、第1実施形態に係る照射領域認識部214と同様に、発生放射部101Aから検出面108s上に対して放射線が照射される照射領域の外縁形状を認識する。

【0131】

この照射領域認識部214dでは、撮影画像取得部214cで得られた撮影画像から照射領域の外縁形状を認識する。

【0132】

詳細には、照射領域認識部214dは、撮影画像取得部214cで得られた撮影画像から、例えば、所定色や高輝度部分を検出することで、検出面108sのうち光線が照射された領域を認識するとともに、例えば、エッジ検出などによって、検出面108sの外縁を認識する。そして、検出面108sのサイズと、光線が照射された領域のサイズとから、照射領域の外縁形状である台形の上底の長さ、下底の長さ、および高さを認識する。

【0133】

なお、位置・角度演算部215、および画像生成部216では、照射領域認識部214dの認識結果を用いて、第1実施形態と同様な処理が行われる。」

(引2-ウ)【図5】

「
[図:0001398036000008.jpg]
」

(引2-エ)【図14】

「
[図:0001398036000009.jpg]
」

(引2-オ)【図15】

「
[図:0001398036000010.jpg]
」

(3)本件補正発明と引用発明との対比

ア(ア)引用発明の「放射線照射手段70」は、本件補正発明の「放射線源」に相当する。

(イ)引用発明の「被写体S」は、本件補正発明の「被写体」に相当する。

(ウ)引用発明の「可視画像を撮影する可視画像撮影手段72」の「CCDカメラ78」は、「可視画像」を撮影するカメラであるから、本件補正発明の「光学式のカメラ」に相当する。

(エ)本願の発明の詳細な説明の「【0056】・・・通信部68は、電子カセッテ15およびカメラ23との間のX線画像40およびカメラ画像63等の各種データの通信を担う。」との記載を参酌するに、本件補正発明の「カメラ画像」は、「カメラ画像」のデータを包含するものといえる。

そうすると、引用発明の「可視画像情報」は、本件補正発明の「カメラ画像」に含まれる。

(オ)引用発明において、「可視画像撮影手段72の出力は位置対応手段74に接続され」、「可視画像撮影手段72の出力は画像処理条件決定手段75にも接続され」ているから、「位置対応手段74」及び「画像処理条件決定手段75」には、「可視画像撮影手段72」が出力した「可視画像情報」が入力されることは明らかである。

そして、引用発明の「位置対応手段74」及び「画像処理条件決定手段75」の「可視画像情報」が入力される部分は、本件補正発明の「カメラ画像取得部」に相当する。

(カ)上記(ア)ないし(オ)を踏まえると、引用発明の「放射線照射手段70の近傍に」「配置され」、「被写体Sの可視画像を撮影する」「CCDカメラ78」を有する「可視画像撮影手段72の出力」が「接続され」た「位置対応手段74」及び「画像処理条件決定手段75」の「可視画像情報」が入力される部分と、本件補正発明の「放射線源に取り付けられ、少なくとも被写体を撮影する光学式のカメラから出力されるカメラ画像を取得するカメラ画像取得部」とは、「放射線源の近傍に配置され、少なくとも被写体を撮影する光学式のカメラから出力されるカメラ画像を取得するカメラ画像取得部」の点で共通する。

イ(ア)引用発明の「被写体Sを透過した放射線画像」が、「放射線照射手段70」から「発生」し「被写体Sを透過した放射線」を検出することにより得られる「画像」であることは明らかであるから、引用発明の「被写体Sを透過した放射線画像」は、本件補正発明の「前記放射線源から照射されて前記被写体を透過した放射線に基づく放射線画像」に相当する。

(イ)上記ア(エ)で説示した「カメラ画像」と同様に、本件補正発明の「放射線画像」は、「放射線画像」のデータを包含するものといえる。

そうすると、引用発明の「放射線画像情報」は、本件補正発明の「放射線画像」に含まれる。

(ウ)引用発明の「照射野領域B1」及び「非照射野領域B2」は、それぞれ本件補正発明の「照射野該当部分」及び「非照射野該当部分」に相当する。

(エ)引用発明の「照射野決定手段」は、「可視画像撮影手段72で撮影した可視画像情報を、二値化処理により照射野領域C1と非照射野領域C2とに分割」するものであるから、「照射野領域C1と非照射野領域C2」を検出するものといえる。

また、引用発明の「位置対応手段74」は、「照射野領域C1、非照射野領域C2」を「放射線画像情報の照射野領域B1、非照射野領域B2それぞれと対応付ける」ものであるから、「放射線画像情報」の「照射野領域B1」と「非照射野領域B2」を検出するものといえる。

そうすると、引用発明の「照射野決定手段」及び「位置対応手段74」は、併せて本件補正発明の「検出部」に相当する。

(オ)上記(ア)ないし(エ)を踏まえると、引用発明の「可視画像撮影手段72で撮影した可視画像情報を、二値化処理により照射野領域C1と非照射野領域C2とに分割」する「照射野決定手段」と、「これら照射野領域C1、非照射野領域C2」を、「被写体Sを透過した放射線画像」の「放射線画像情報の照射野領域B1、非照射野領域B2それぞれと対応付ける」「位置対応手段74」は、併せて本件補正発明の「前記カメラ画像に基づいて、前記放射線源から照射されて前記被写体を透過した放射線に基づく放射線画像のうち照射野該当部分と非照射野該当部分とを検出する検出部」に相当する。

ウ(ア)引用発明の「画像処理手段73」は、本件補正発明の「画像処理部」に相当する。

(イ)上記(ア)を踏まえると、引用発明の「放射線画像情報の照射野領域B1に対して画像処理を施す」「画像処理手段73」と、本件補正発明の「前記照射野該当部分と前記非照射野該当部分とに基づいて、前記放射線画像に対して画像処理を施す画像処理部」とは、「前記照射野該当部分に基づいて、前記放射線画像に対して画像処理を施す画像処理部」の点で共通する。

エ 引用発明の「放射線画像情報の照射野領域B1」が「放射線画像撮像領域B」の「照射領域B1」に対応するものであることは、本件補正発明の「前記照射野該当部分は、前記放射線が照射される領域である照射野に該当する前記放射線画像の部分であ」ることに相当する。

オ 引用発明の「放射線画像情報の」「非照射野領域B2」が「放射線画像撮像領域B」の「可動絞り79でマスクされた非照射領域B2」に対応するものであることは、本件補正発明の「前記非照射野該当部分は、前記照射野以外の前記放射線が照射されない領域である非照射野に該当する前記放射線画像の部分であ」ることに相当する。

カ(ア)引用発明の「可視画像情報」の「照射野領域C1」と、本件補正発明の「前記カメラ画像に映る前記照射野表示光」とは、「前記カメラ画像に映る前記照射野領域」の点で共通する。

そして、引用発明の「可視画像情報を、二値化処理により照射野領域C1と非照射野領域C2とに分割」することと、本件発明の「前記カメラ画像に映る前記照射野表示光」「を認識」することとは、「前記カメラ画像に映る前記照射野領域」「を認識」する点で共通する。

さらに、引用発明において、「可視画像情報を、二値化処理により照射野領域C1と非照射野領域C2とに分割」する際、分割した「照射野領域C1」の「座標位置」を特定していることは明らかである。

そうすると、引用発明の「可視画像情報を、二値化処理により照射野領域C1と非照射野領域C2とに分割」することは、本件補正発明の「前記カメラ画像に映る前記照射野表示光に基づいて前記照射野の位置を検出」することとも、「前記カメラ画像に映る前記照射野領域に基づいて前記照射野の位置を検出」する点で共通する。

したがって、引用発明の「可視画像情報を、二値化処理により照射野領域C1と非照射野領域C2とに分割」する「照射野決定手段」は、本件補正発明の「前記カメラ画像に映る前記照射野表示光」「を認識し」、「前記カメラ画像に映る前記照射野表示光に基づいて前記照射野の位置を検出」する「検出部」と、「前記カメラ画像に映る前記照射野領域を認識し、前記カメラ画像に映る前記照射野領域に基づいて前記照射野の位置を検出」する点で共通する構成を備えている。

(イ)引用発明の「放射線画像撮影装置71」と、本件補正発明の「電子カセッテ」とは、「放射線画像検出機器」の点で共通する。

(ウ)引用発明の「目印M」は、本件補正発明の「マーカー」に相当する。

そして、引用発明の「放射線画像撮影手段71の放射線入射側の目印M」は、「放射線画像撮影手段71の撮像領域BとCCDカメラ78の撮像領域Cとを対応させ」る「基準」となるものであるから、「放射線画像撮影手段71」の位置に関する情報を与えるものであり、本件補正発明の「前記放射線画像を検出する電子カセッテの位置を示すマーカー」と、「前記放射線画像を検出する放射線画像検出機器の位置を示すマーカー」の点で共通する。

また、引用発明の「位置対応手段74」は、「放射線画像撮影手段71の放射線入射側の目印Mを基準にして、放射線画像撮影手段71の撮像領域BとCCDカメラ78の撮像領域Cとを対応させ」るのであるから、「可視画像」における「放射線画像撮影手段71の放射線入射側の目印M」の位置を認識しているといる。

そうすると、引用発明の「位置対応手段74」は、本件補正発明の「前記カメラ画像に映る」「前記放射線画像を検出する電子カセッテの位置を示すマーカー」「を認識」する「検出部」と、「カメラ画像に映る前記放射線画像を検出する放射線画像検出機器の位置を示すマーカーを認識する」点で共通する構成を備えているといえる。

(エ)引用発明の「位置対応手段74」が、「放射線画像撮影手段71の放射線入射側の目印Mを基準にして、放射線画像撮影手段71の撮像領域BとCCDカメラ78の撮像領域Cとを対応させ、可視画像撮影手段72で得た可視画像情報と、放射線画像撮影手段71で得た画像情報との座標位置の関係を」「対応付ける」際、「可視画像」における「放射線画像撮影手段71の放射線入射側の目印M」により「放射線画像撮影手段71」の座標位置を特定しているといえる。

そうすると、引用発明の「位置対応手段74」は、本件補正発明の「検出部」の特定事項である「前記マーカーのカメラ画像内における位置座標を、前記電子カセッテの位置として検出」することと、「前記マーカーのカメラ画像内における位置座標を、前記放射線画像検出機器の位置として検出」することの点で共通する構成を備えているといえる。

(オ)上記(ア)ないし(エ)を踏まえると、引用発明の「照射野決定手段」は「可視画像撮影手段72で撮影した可視画像情報を、二値化処理により照射野領域C1と非照射野領域C2とに分割し」、「位置対応手段74」は「放射線画像撮影手段71の放射線入射側の目印Mを基準にして、放射線画像撮影手段71の撮像領域BとCCDカメラ78の撮像領域Cとを対応させ、可視画像撮影手段72で得た可視画像情報と、放射線画像撮影手段71で得た画像情報との座標位置の関係を」「対応付けること」と、本件補正発明の「前記検出部は、前記カメラ画像に映る前記照射野表示光と、前記放射線画像を検出する電子カセッテの位置を示すマーカーとを認識し、かつ、前記カメラ画像に映る前記照射野表示光に基づいて前記照射野の位置を検出し、かつ、前記マーカーのカメラ画像内における位置座標を、前記電子カセッテの位置として検出」することとは、「前記検出部は、前記カメラ画像に映る前記照射野領域と、カメラ画像に映る前記放射線画像を検出する放射線画像検出機器の位置を示すマーカーとを認識し、かつ、前記カメラ画像に映る前記照射野領域に基づいて前記照射野の位置を検出し、かつ、前記マーカーのカメラ画像内における位置座標を、前記放射線画像検出機器の位置として検出」する点で共通する。

キ 引用発明において、「照射野領域C1、非照射野領域C2」を「放射線画像情報の照射野領域B1、非照射野領域B2それぞれと対応付ける」際、「放射線画像撮影手段71の放射線入射側の目印Mを基準にして」「対応付け」た「可視画像撮影手段72で得た可視画像情報と、放射線画像撮影手段71で得た画像情報との座標位置の関係」を用いていることは明らかであって、「放射線画像撮影手段71」の位置情報を用いているといえる。

そうすと、引用発明の「照射野領域C1、非照射野領域C2」を「放射線画像情報の照射野領域B1、非照射野領域B2それぞれと対応付ける」「位置対応手段74」は、本件補正発明の「画像処理部」の特定事項である「前記画像処理部は、前記照射野の位置、及び、前記電子カセッテの位置に基づいて、前記放射線画像のうち前記照射野該当部分と前記非照射野該当部分を特定する」ことと、「前記画像処理部は、前記照射野の位置、及び、前記放射線画像検出機器の位置に基づいて、前記放射線画像のうち前記照射野該当部分と前記非照射野該当部分を特定する」ことの点で共通する構成を備えているといえる。

ク 引用発明の「信号処理装置」は、本件補正発明の「画像処理装置」に相当する。

(4)そうすると、本件補正発明と引用発明とは、

「放射線源の近傍に配置され、少なくとも被写体を撮影する光学式のカメラから出力されるカメラ画像を取得するカメラ画像取得部と、
前記カメラ画像に基づいて、前記放射線源から照射されて前記被写体を透過した放射線に基づく放射線画像のうち照射野該当部分と非照射野該当部分とを検出する検出部と、
前記照射野該当部分に基づいて、前記放射線画像に対して画像処理を施す画像処理部とを備え、
前記照射野該当部分は、前記放射線が照射される領域である照射野に該当する前記放射線画像の部分であり、
前記非照射野該当部分は、前記照射野以外の前記放射線が照射されない領域である非照射野に該当する前記放射線画像の部分であり、
前記検出部は、前記カメラ画像に映る照射野領域と、カメラ画像に映る前記放射線画像を検出する放射線画像検出機器の位置を示すマーカーとを認識し、かつ、前記カメラ画像に映る前記照射野領域に基づいて前記照射野の位置を検出し、かつ、前記マーカーのカメラ画像内における位置座標を、前記放射線画像検出機器の位置として検出し、
前記照射野の位置、及び、前記放射線画像検出機器の位置に基づいて、前記放射線画像のうち前記照射野該当部分と前記非照射野該当部分を特定する画像処理装置。」

の発明である点で一致し、次の6点において相違する。

(相違点1)

放射線源の近傍に配置される光学式のカメラについて、本件補正発明においては、「放射線源に取り付けられ」ているのに対し、引用発明においては、「放射線照射手段70の近傍に」「配置されて」いるものの、「放射線照射手段70」に取り付けられているかは明らかではない点。

(相違点2)

前記カメラ画像に映る照射野領域について、本件補正発明においては、「前記放射線源が前記照射野を示す照射野表示光を発する照射野表示光源を有し」、それにより、前記カメラ画像に映る照射野領域が、前記カメラ画像に映る「前記照射野表示光」であるのに対し、引用発明においては、「可動絞り79」を介して撮像された「可動絞り79でマスクされ」ていない「放射線画像撮影手段71」の領域である点。

(相違点3)

前記照射野該当部分に基づいて、前記放射線画像に対して画像処理を施す画像処理部について、本件補正発明においては、「前記非照射野該当部分」にも基づいて、前記放射線画像に対して画像処理を施すのに対し、引用発明においては、「非照射領域B2」にも基づいて放射線画像情報に対して画像処理を施すかは明らかではない点。

(相違点4)

検出部が「前記放射線画像を検出する放射線画像検出機器の位置を示すマーカー」を認識する際の「カメラ画像」が、本件補正発明においては、「前記照射野表示光」を認識する際の「カメラ画像」と同じ「カメラ画像」であるのに対し、引用発明においては、「照射野領域C1と非照射野領域C2とに分割」する際の「可視画像情報」とは別の「可視画像情報」である点。

(相違点5)

「前記照射野の位置、及び、前記放射線画像検出機器の位置に基づいて、前記放射線画像のうち前記照射野該当部分と前記非照射野該当部分を特定する」構成要素が、本件補正発明においては、「画像処理部」であるのに対し、引用発明においては、検出部に対応する「位置対応手段74」である点。

(相違点6)

「放射線画像検出機器」が、本件補正発明においては、「電子カセッテ」であるのに対し、引用発明においては、「放射線Xが入射する側にシンチレータ40が配置され、シンチレータ40に隣接して光検出器アレー41が配置されている」「放射線画像撮影手段71」であるものの、「電子カセッテ」の形態であるかは明らかではない点。

(5)判断

ア 上記各相違点について検討する。

(ア)相違点1について

引用発明において、CCDカメラ78を取り付ける位置は、放射線照射手段70の近傍であれば適宜選択し得ることである。そして、一般に、2つの機器を近傍に配置する場合、一方の機器を他方の機器に取り付けることは普通に行われており、引用発明において、CCDカメラ78を放射線照射手段70に取り付けることを阻害する要因もない。

そうすると、引用発明において「CCDカメラ78」を「放射線照射手段70」に取り付け、上記相違点1に係る本件補正発明の特定事項を備えたものとすることは、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)であれば容易になし得ることである。

(イ)相違点2について

放射線画像撮影装置において、照射野領域を可視化するために、放射線源に照射野を示す照射野表示光を発する照射野表示光源を設けることは、例えば、引用文献1の【0011】及び引用文献2の【0113】~【0116】に記載されているように、従来周知である(以下、当該周知な事項を「周知技術1」という。)。

そして、引用文献2の【0128】の「カメラ制御部214bは、カメラ部106の動作を制御する。例えば、放射線による撮影時に合わせて、点灯制御部214aによって照明機構101pからの光線を照射領域に照射し、その状態をカメラ部106によって撮影して、撮影画像を得るように制御する。」との記載、及び【図5】の記載から理解されるように、カメラの光軸を放射線及び照明光の光軸と異ならせて、可変絞りを介さずに撮影する位置に配置することにより、カメラにより照明光の照射領域、すなわち放射線の照射野の領域を撮影できることは明らかである。

ここで、引用文献1の【0072】には、「放射線の光軸と可視画像撮影手段72の光軸を同一軸に記してあるが、位置関係の校正が行われていれば、同一光軸を使用しなくともよい」との記載があり、引用発明において、CCDカメラ78の光軸を放射線照射手段70の光軸と異ならせることは、あらかじめ想定された設計変更の範囲内のことである。

そうすると、引用発明において、周知技術1に基づいて放射線照射手段70に照射野表示光源を設けるとともに、CCDカメラ78を可動絞り79を介さずに撮影する位置に配置し、上記相違点2に係る本件補正発明の特定事項を備えたものとすることは、当業者であれば容易に想到し得ることである。

(ウ)相違点3について

引用発明の「可動絞り79でマスクされた非照射領域B2」は、放射線画像撮像領域Bの「照射領域B1」以外の領域であるから、引用発明において、「画像処理手段73」が「放射線画像情報の照射野領域B1に対して画像処理を施す」ことは、照射野領域B1のみに基づいて画像処理を施すのではなく、照射野領域B1及び非照射野領域B2に基づいて画像処理を施すことであるといえる。

そうすると、上記相違点3は、実質的な相違点ではない。

加えて、上記相違点3が実質的な相違点ではないといえない場合について検討すると、非照射野領域B2に黒塗り等の画像処理を施すことは、例を挙げるまでもなく従来周知であるから、上記相違点3に係る本件補正発明の特定事項は、当業者であれば容易になし得ることである。

(エ)相違点4について

引用文献2の【0132】に「撮影画像取得部214cで得られた撮影画像から、例えば、所定色や高輝度部分を検出することで、検出面108sのうち光線が照射された領域を認識するとともに、例えば、エッジ検出などによって、検出面108sの外縁を認識する。」と、一の撮影画像から検出面108sのうち光線が照射された領域及び検出面108sの外縁を認識することが記載されているように、上記「イ 相違点2について」で検討した、「放射線照射手段70に照射野表示光源を設けるとともに、CCDカメラ78を可動絞り79を介さずに撮影する位置に配置する」構成においては、一の可視画像から「照射野領域C1」及び「放射線画像撮影手段71の放射線入射側の目印M」を認識できることは明らかである。

そうすると、上記相違点4に係る本件補正発明の特定事項は、上記相違点2に係る「照射野表示光源」の採用に伴う設計変更により得られる事項にすぎない。

(オ)相違点5について

引用発明において、信号処理装置を構成する画像処理手段73、位置対応手段74及び画像処理条件決定手段75の役割分担は、適宜設定し得る事項であるといえる。

したがって、上記相違点5に係る本件補正発明の特定事項は、当業者であれば容易になし得ることである。

(カ)相違点6について

シンチレータ及び光検出器アレーを備えた電子カセッテは、例を示すまでもなく従来周知(以下、当該周知な事項を「周知技術2」という。)であり、引用発明の「放射線Xが入射する側にシンチレータ40が配置され、シンチレータ40に隣接して光検出器アレー41が配置されている放射線画像撮影手段71」を電子カセッテとすることは、当業者であれば容易になし得ることである。

イ 本件補正発明の奏する作用効果

本件補正発明によってもたらされる効果は、引用文献1及び2の記載事項から当業者が予測し得る程度を超えるものとはいえない。

ウ したがって、本件補正発明は、引用発明並びに周知技術1及び2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

よって、本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(6)請求人の主張について

ア(ア)請求人は、審判請求書において、「引用文献1~2の記載の発明の組み合わせでは、可視画像情報に映る照射野表示光と、可視画像情報に映らない放射線画像のとの対応付けを行うことにより、放射線画像撮影手段の位置を検出します。

しかしながら、本願発明では、このような「カメラ画像に映る照射野表示光と、放射線画像との対応付け」を行わず、・・・カメラ画像に映るマーカーのカメラ画像内における位置座標を、カセッテの位置として直接的に検出し、電子カセッテの位置及び照射野の位置に基づき、放射線画像における照射野該当部分と非照射野該当部分を特定します。この点において、本願発明は、引用文献1~2の記載の発明の組み合わせとは異なります。」と主張する。

(イ)しかしながら、上記(3)カ(ウ)(エ)の本件補正発明と引用発明の対比で説示したように、引用発明の「位置対応手段74」は、「可視画像」における「放射線画像撮影手段71の放射線入射側の目印M」の位置を認識し、「可視画像」における「放射線画像撮影手段71の放射線入射側の目印M」により「放射線画像撮影手段71」の座標位置を特定しているといえる。

したがって、請求人の上記主張は採用できない。

イ(ア)請求人は、審判請求書において、「引用文献1~2に記載の発明の組み合わせのような、「可視画像情報に映る照射野表示光と、可視画像情報に映らない放射線画像のとの対応付けを行うことにより、放射線画像撮影手段の位置を検出する」構成は、本願発明と異なり、放射線画像を用いて対応付けを行うことで放射線画像撮影手段の位置を検出するものであるため、「放射線画像は放射線の照射条件により画素値がばらつき、さらに放射線には散乱や回折といった特性がある。このため、放射線画像における照射野の輪郭がはっきりしない場合があった。」との、本願における従来の課題に当てはまる場合があり、したがって、「検出した照射野の位置の信頼性があまり高くなかった。」との課題に正に当てはまる場合があると考えます(本願当初明細書段落[0010])。本願発明は、カメラ画像に映る照射野表示光及びマーカーを認識するものであるため、上記のような課題を解決し、正確な照射野の位置を検出できる有利な効果を奏します(本願当初明細書段落[0011])。」と主張する。

(イ)しかしながら、引用発明において、照射野領域C1、非照射野領域C2を放射線画像情報の照射野領域B1、非照射野領域B2それぞれと対応付けることは、放射線画像撮影手段71の放射線入射側の目印Mを基準として対応付けた、可視画像撮影手段72で得た可視画像情報と、放射線画像撮影手段71で得た画像情報との座標位置の関係を用いて、可視画像上の照射野領域C1、非照射野領域C2の座標位置を放射線画像上の照射野領域B1、非照射野領域B2の座標位置に変換しているのであって、放射線画像における画素値の解析から放射線画像上の照射野領域の座標位置を検出するものではないから、請求人が主張する本願における従来の課題に当てはまるものではない。

したがって、請求人の上記主張は採用できない。

3 補正の却下の決定のむすび

以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1 本願発明

令和4年7月22日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和4年1月7日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1、9及び10に係る発明は、その出願前に頒布された刊行物である下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された周知技術に基づいて、請求項2ないし8に係る発明は、その出願前に頒布された刊行物である下記の引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された周知技術及び引用文献3に記載された周知技術に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:特開平10-201750号公報
引用文献2:特開2009-11638号公報(周知技術を示す文献)
引用文献3:特開2011-224331号公報(周知技術を示す文献)

3 引用文献について

原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及び2の記載事項並びに引用発明は、上記第2[理由]2(2)アないしエに記載したとおりである。

4 対比・判断

(1)本願発明は、上記第2[理由]2(3)ないし(5)で検討した本件補正発明から、

ア 「検出部」について、「前記カメラ画像に映る前記照射野表示光と、前記放射線画像を検出する電子カセッテの位置を示すマーカーとを認識」すること、電子カセッテの位置の検出が、「前記マーカーのカメラ画像内における位置座標を、前記電子カセッテの位置として検出」するものであることという限定事項を削除し、

イ 「照射野該当部分」及び「非照射野該当部分」に該当する「放射線」の部分について、それぞれ「放射線画像」における部分であるという限定事項を削除したものである。

(2)そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、上記第2[理由]2(3)ないし(5)に記載したとおり、引用発明並びに周知技術1及び2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明並びに周知技術1及び2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび

以上のとおり、本願発明は、引用発明並びに周知技術1及び2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-011459

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  • 2024-003909拒絶査定不服審判 / 2026-07-21 / 原査定取消(特許/登録すべき)培養状態の推定方法、情報処理装置及びプログラム
    同じ当事者: 富士フイルム株式会社
  • 2025-004770拒絶査定不服審判 / 2026-06-29 / 原査定取消(特許/登録すべき)情報処理装置、情報処理装置の作動方法、及びプログラム
    同じ当事者: 富士フイルム株式会社
  • 2024-009376拒絶査定不服審判 / 2026-06-16 / 原査定取消(特許/登録すべき)ポジ型レジスト組成物、レジスト膜、パターン形成方法、及び電子デバイスの製造方法
    同じ当事者: 富士フイルム株式会社
  • 2025-006469拒絶査定不服審判 / 2026-06-16 / 原査定取消(特許/登録すべき)位置情報取得装置、方法およびプログラム、並びに放射線画像撮影装置
    同じ当事者: 富士フイルム株式会社
  • 2025-015578拒絶査定不服審判 / 2026-06-08 / 原査定取消(特許/登録すべき)医療画像学習方法及び医療画像処理装置
    同じ当事者: 富士フイルム株式会社
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同じ根拠条文の審決7,656件(特許法29条2項)
  • 2025-011631拒絶査定不服審判 / 2026-06-22 / 請求不成立超音波トランスデューサ、超音波探触子、超音波診断装置および超音波トランスデューサ…
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2025-013876拒絶査定不服審判 / 2026-05-19 / 請求不成立医用画像表示装置、医用画像表示方法および医用画像表示プログラム
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2025-001681拒絶査定不服審判 / 2026-01-07 / 請求不成立移動型放射線撮影装置、プログラム、方法、制御装置及び放射線撮影システム
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2025-002352拒絶査定不服審判 / 2025-12-03 / 請求不成立医療用レーザー装置及びシステム
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2025-001781拒絶査定不服審判 / 2025-11-11 / 請求不成立咀嚼指導システム、咀嚼指導プログラム、及び咀嚼指導方法
    共通の条文: 特許法29条2項
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同じ論点・分野の審決(審決分類)1,964件(121・A61B、575・A61B)
  • 2025-012702拒絶査定不服審判 / 2026-07-06 / 原査定取消(特許/登録すべき)眼科診断デバイスのための測定の患者誘導トリガ
    共通の審決分類: 121・A61B、575・A61B
  • 2024-018922拒絶査定不服審判 / 2026-06-30 / 請求不成立推定装置、推定方法、プログラム
    共通の審決分類: 121・A61B、575・A61B
  • 2025-011631拒絶査定不服審判 / 2026-06-22 / 請求不成立超音波トランスデューサ、超音波探触子、超音波診断装置および超音波トランスデューサ…
    共通の審決分類: 121・A61B、575・A61B
  • 2025-013876拒絶査定不服審判 / 2026-05-19 / 請求不成立医用画像表示装置、医用画像表示方法および医用画像表示プログラム
    共通の審決分類: 121・A61B、575・A61B
  • 2025-003933拒絶査定不服審判 / 2026-02-24 / 原査定取消(特許/登録すべき)超音波診断装置
    共通の審決分類: 121・A61B、575・A61B

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