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特許拒絶査定不服審判

2022-011247

熱交換ユニット

審判番号
2022-011247
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-550665外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年07月20日
審決日
2023年02月20日
公報発行日
2023年08月25日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .575-Z (F24F) / P18 .121-Z (F24F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019-550665「熱交換ユニット」拒絶査定不服審判事件〔平成30年9月20日国際公開、WO2018/167692、令和2年4月2日国内公表、特表2020-510184〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 11項目
理 由

第1 手続の経緯

本願は、2018年(平成30年)3月14日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2017年3月15日 イタリア国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和 3年 7月26日付け:拒絶理由通知書
令和 3年11月 2日 :意見書、手続補正書の提出
令和 4年 3月14日付け:拒絶査定
令和 4年 7月20日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 令和4年7月20日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和4年7月20日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 本件補正について

(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載

本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)

「ヒートポンプ用またはエアコンディショナー用の熱交換ユニット(100)であって、
・ 箱状のケーシング(1)と、
・ 前記ケーシング(1)においてそれぞれ画定される下面(2)、前記下面(2)に対向し且つ前記ケーシング(1)の軸(X)に関して前記下面(2)から離間して配置された上面(3)、および前記下面(2)と前記上面(3)との間に延在する前面(4)と、
・ 前記ケーシング(1)に形成された第1の開口(6)および第2の開口(7)と、
続きを表示(全12行)
・ 前記第1の開口(6)と前記第2の開口(7)との間で前記ケーシング(1)内に延在するチャネル(8)と、
・ 前記チャネル(8)に沿って前記ケーシング(1)内に収容され、前記開口(6,7)を介して、前記ケーシング(1)の外部環境との間で空気流(10)を移動させるように配置され、ラジアル型の遠心ファンである、ファン(9)と、
・ 前記チャネル(8)内に配置されたV字形状の輪郭を有する熱交換器(11)であって、前記ファン(9)の少なくとも一部と前記熱交換器(11)は、前記軸(X)に関して互いに上下に配置される、熱交換器(11)と、
を備え、
前記第1の開口(6)は、前記ケーシング(1)の前面(4)に形成され、前記第2の開口(7)は、前記軸(X)に関して前記第1の開口(6)の上方の位置で、前記上面(3)および/または前記前面(4)に形成され、
前記熱交換ユニット(100)は、建物の外部または建物の外壁の内外に設けられる外部ユニットであり、
前記熱交換ユニット(100)の前記前面(4)は、前記熱交換ユニット(100)の使用中においては、建物に対して外部環境側に向けられている、
ことを特徴とする、熱交換ユニット。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲

本件補正前の、令和3年11月2日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。

「ヒートポンプ用またはエアコンディショナー用の熱交換ユニット(100)であって、
・ 箱状のケーシング(1)と、
・ 前記ケーシング(1)においてそれぞれ画定される下面(2)、前記下面(2)に対向し且つ前記ケーシング(1)の軸(X)に関して前記下面(2)から離間して配置された上面(3)、および前記下面(2)と前記上面(3)との間に延在する前面(4)と、
・ 前記ケーシング(1)に形成された第1の開口(6)および第2の開口(7)と、
続きを表示(全12行)
・ 前記第1の開口(6)と前記第2の開口(7)との間で前記ケーシング(1)内に延在するチャネル(8)と、
・ 前記チャネル(8)に沿って前記ケーシング(1)内に収容され、前記開口(6,7)を介して、前記ケーシング(1)の外部環境との間で空気流(10)を移動させるように配置され、遠心ファンである、ファン(9)と、
・ 前記チャネル(8)内に配置されたV字形状の輪郭を有する熱交換器(11)であって、前記ファン(9)の少なくとも一部と前記熱交換器(11)は、前記軸(X)に関して互いに上下に配置される、熱交換器(11)と、
を備え、
前記第1の開口(6)は、前記ケーシング(1)の前面(4)に形成され、前記第2の開口(7)は、前記軸(X)に関して前記第1の開口(6)の上方の位置で、前記上面(3)および/または前記前面(4)に形成され、
前記熱交換ユニット(100)は、建物の外部または建物の外壁の内外に設けられる外部ユニットであり、
前記熱交換ユニット(100)の前記前面(4)は、前記熱交換ユニット(100)の使用中においては、建物に対して外部環境側に向けられている、
ことを特徴とする、熱交換ユニット。」

2 補正の適否

本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「ファン(9)」について、上記のとおり「ラジアル型」であるとの限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そして、当該付加された事項は、当初明細書の【0049】等に記載された事項であるから、新規事項の追加に該当しない。

そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(1)本件補正発明

本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献の記載事項

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ア 引用文献1

(ア)原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2000-249372号公報(平成12年9月12日出願公開。以下「引用文献1」という。)には、空気調和機と題して、図面とともに、次の記載がある。(下線は強調のため当審にて付加した。以下、同様である。)

「【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、かかる従来のトランク形態の室外機においても、室外機への吸入空気量を確保するには吸込口を壁面から所定以上離して配置することが必要であるとともに、空気の吹き出しに関しても、その吹出口の近傍に障害物が存在すると該吹出口からの吹き出し空気がそのまま吸込口側から再吸入される、所謂「ショートサーキット現象」を生じる恐れがあるため、吹出側にも十分なスペースを確保することが必要で、設置スペースの狭小化という点においては未だ十分なものとは言えなかった。
【0006】そこで本願発明では、室外機として用いられる空気調和機を建物の壁面に近接させて配置することを可能とし、もって空気調和機の設置上における更なる省スペース化を実現し得る空気調和機を提供することを目的としてなされたものである。」
「【0075】第6の実施形態
図6には、室外機として使用される本願発明の第6の実施形態にかかる空気調和機Z6を示している。この空気調和機Z6は、請求項5,請求項6及び請求項7に記載の発明が適用されたものであって、その前面1aに吸込口2を、上面1bに吹出口3をそれぞれ形成した箱状のケーシング1を備えている。そして、このケーシング1内の上記吸込口2から上記吹出口3に至る通風路4中に、次述の熱交換器5と送風機6を配置して構成される。
【0076】上記熱交換器5は、平板状の外面形態をもつクロスフィンタイプの熱交換器で構成されるものであって、該熱交換器5はその上端を上記吹出口3の前端部に近接させるとともに該上端から下端に向けて次第に上記吹出口3から遠ざかるように傾斜させて配置されている。尚、この実施形態のものにおいても、上記第4の実施形態と同様に、上記吹出口3にルーバー7を備えてもよい。
【0077】上記送風機6は、遠心ファンのうち、特にラジアルファンで構成され、その軸心を略水平方向に向け且つその空気入口6aを上記吸込口2に対向させた状態で配置される。・・・
【0079】かかる構成の空気調和機Z6においては、上記送風機6から吹き出される空気流のうち、その一部は空気流A1aで示すように上記主通風路4aを通って直接上記吹出口3側に案内され、他の一部は空気流A1bで示すように上記連通路8から上記副通風路4bを通って上記吹出口3側に案内される。この結果、従来一般にデッドスペースとなっていた上記送風機6の背面側を上記副通風路4bとして有効に活用できることから、例えば上記ケーシング1の前後方向寸法を小さくしても通風抵抗を増大させることなく大風量を確保することができ、上記空気調和機Z6の設置上の省スペース化と共に熱交換性能の向上が更に促進されることになる。従って、この空気調和機Z6は、図6に示すように、上記ケーシング1の背面側を縦壁面Wに近接させた状態で配置しても、該ケーシング1の前面1a側の吸込口2からの空気の吸入作用には何ら支障がなく、また、上記ケーシング1の上面1b側の吹出口3からの空気の吹き出しにも何ら支障がないため、空気調和機Z6の熱交換性能を良好に維持しつつ上記縦壁面Wの近傍への設置が可能となり、上記ケーシング1のコンパクト化とも相俟って、その設置上における省スペース化がさらに促進されるものである。
【0080】また、この空気調和機Z6においては、上記熱交換器5を上記ケーシング1の通風路4内に配置するに際して、該熱交換器5をその上端から下端に向けて次第に上記吹出口3から遠ざかるように傾斜配置することで、限られたスペース内により大きな熱交換面積をもつ熱交換器5を配置することが可能となり、それだけ熱交換性能の向上が期待できるものである。」
「【図6】
[図:0001400160000001.jpg]
」

(イ)図面看取事項

図6の図示から、空気調和機Z6内の送風機6および熱交換器5の配置は、ケーシング1の下部に送風機6が配置され、上部に平板状の熱交換器5が傾斜して配置されているのが看て取れる。

また、図中の壁面Wに対して近接配置されたケーシング1は室外機とされていることから、空気の吸込口2側が建物外部の向きであり、壁面Wのケーシング1に接する面は建物の外側であって、ケーシング1を有する空気調和機Z6は、建物の外部でありかつ外壁の外に設けられると看取できる。

(ウ)上記(ア)および(イ)から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「空気調和機の室外機であって、
箱状のケーシング1と、
前記ケーシング1に形成された前面1aの吸込口2および上面1bの吹出口3と、
前記ケーシング1内の上記吸込口2から上記吹出口3に至る通風路4と、
前記通風路4中に置かれ前記ケーシング1内に収容されるラジアル遠心ファンである送風機6と、
前記通風路4内に傾斜して配置された平板状の熱交換器5であって、前記送風機6と前記熱交換器5とは、前記送風機6が前記ケーシング1の下部に、前記熱交換器5が前記ケーシング1の上部に配置され、
前記室外機は、建物の外部でありかつ外壁の外に設けられ、
前記吸込口2側が建物外部の向きに設置される
室外機。」

イ 引用文献2

(ア)同じく原査定に引用され、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった米国特許出願公開第2010/0326624号明細書(以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある。

「[0003] Some considerations for improving aspects of air handling systems, such as heating, ventilating, and air conditioning (HVAC) systems for use in residential and commercial applications, is to produce air handling systems that are compact in size, energy efficient, economical to manufacture, and reasonable to install, operate and maintain. However, conventional air handling systems may be configured or otherwise contain components that do not realize the abovedescribed development goals.
[0004] For example, a conventional HVAC air handling unit (AHU) contains a heat exchanger, blower, and a plurality of other structural and electrical components disposed within a rectangular cabinet having an air return opening at one end and an air supply opening at an opposing end. The components are typically positioned in the cabinet to promote the AHU's air handling capability. However, the volumetric size of a conventional AHU's cabinet is much larger than that encompassed by the components housed inside. Consequently, conventional AHUs may be undesirably large.」

(当審仮訳)

「[0003]家庭用及び業務用用途での使用のための暖房、換気、および空調(HVAC)システムのような、空気処理システムの局面を改善するためのいくつかの考察は、コンパクトで、エネルギー効率が良く、経済的に製造および設置するのに妥当な空気処理システムを生成する、操作および維持する。しかしながら、従来の空気処理システムを構成することができるか、そうでなければ、上記の開発目標を実現しない成分を含有する。
[0004]例えば、従来のHVACエアハンドリングユニット(AHU)は、熱交換器、送風機、及び、一端に戻り空気開口を有する矩形状キャビネット内に配置される他の構造的及び電気的構成要素を、対向端部に空気供給口を複数含んでいる。成分は典型的にはキャビネット内に配置された空調の空気処理能力を促進する。しかしながら、従来のAHUのキャビネットの容積サイズが内部に収容されたコンポーネントに包含されるよりもはるかに大きい。その結果、従来のAHUは好ましくない程度の大きさであってもよい。」

「[0018] Referring now to FIG. 2, a side view of a conventional HVAC AHU 200 is shown. The AHU configuration depicted in FIG. 2 is widely used in residential applications but may also be used in commercial applications. AHU 200 includes a cabinet 100 (e.g., as depicted in FIG. 1), an air return opening 102, an air supply opening 104, and a removable air filter 106. AHU 200 also includes a plurality of electrically-powered resistive heating elements 212a and 212b to heat the air flowing through cabinet 100 and electrically powered motor-driven blower 214. The blower 214 moves air through cabinet 100 and a so-called "A-frame" heat exchanger 216 (each half of which is labeled 216) to cool and/or heat the air flowing through cabinet 100. Notably, as shown in Prior Art FIG. 2, in a conventional AHU, the heating elements are disposed in the supply section 220 of the cabinet, the heat exchanger is disposed in the return section 218 of the cabinet, and the blower is disposed in the region therebetween. The AHU 200 is an example of a "pull-through" type AHU because air is primarily pulled through the heat exchanger 216. 」

(当審仮訳)

「[0018]ここで図2を参照すると、従来のHVAC空調200の側面図が示されている。図2に示されたAHU10の構成は、住宅用途で広く用いられているが、商業的用途で使用することができる。なお、200は、キャビネット100(例えば、図1に示すように)、上記還気口102、空気供給口104と、取り外し可能な空気フィルタ106を備えている。なお、200は、キャビネット100と電気を動力とする電動送風機214を流れる空気を加熱するための複数の電気抵抗加熱要素212aおよび212bを備える。送風機214は、キャビネット100と、いわゆる“A-フレーム“熱交換器216を通る空気(その半分はそれぞれ符号216が付されている)を移動させてキャビネット100を通って流れる空気を冷却および/または加熱する。特に、従来技術の図2に示すように、従来のAHUでは、加熱要素は、キャビネットの供給部220に配置され、熱交換器は、キャビネットの戻り部分218に配置され、送風機は、それらの間の領域に配置されている。なお、200は空気が熱交換器216を通って引っ張られるので”プル-スルー“ タイプのAHUの一例である。」

「
[図:0001400160000002.jpg]
」
「[0030] FIG. 4 depicts air flow in an operation of AHU 300. For illustrative purposes and ease of understanding, like parts in FIGS. 3 and 4 are marked with the same reference numerals.
[0031] An electrically-powered motor 326 rotates a driveshaft 328, which in tum rotates a blade assembly 330 of blower 314. The rotation of blade assembly 330 pulls ambient air into cabinet 301 through side air return opening 324 and (if included) through removable filter 322. The rotation of blade assembly 330 also pushes air out of the discharge air outlet of blower314 and into the airsupP.ly section320. More specifically, the blower 314 pushes air into the region or sub-section 320a of air supply section 320 as defined primarily by the opposing sides or surfaces 326a, 326b of heat exchanger 316. It will be appreciated that while blower 314 is shown as being driven by a direct drive electrically-powered motor 326, any other suitable motor and/or drive system may be used to rotate the blower 314.As denoted by the circular arrows 434a, 434b, the airflow in sub-section 320a of air supply section320 and directly downstream from the discharge air outlet of blower 314 is relatively unstable and turbulent. Notably, the airflow entering air supply section 320 creates a substantial positive pressure (e.g., greater than 760 torr in some embodiments) in this section of AHU 300. The blower 314 also creates a negative pressure at or near the air return opening 324. As denoted by the arrows 436a and 436b, passage of the air from sub-section 320a through heat exchanger 316 produces a substantially laminar, straightened and more stable airflow in sub-sections 320b and 320c of air supply section 320. The more stable airflow promotes more efficient heat transfer between heating elements 312a, 312b and the surrounding air.」

(当審仮訳)

「[0030] 図4は、空調装置300の動作における空気の流れを示す図である。例示の目的及び理解を容易にするため、図4において図3と同一部分には同一の符号を付している。
[0031] 電動モータ326は、駆動軸328を収容し、この送風機314のブレードアセンブリ330を回転させる。ブレードアセンブリ330の回転は、周囲の空気をキャビネット301内に引く側還気口324および(含まれる場合)を介して、着脱可能なフィルタ322を通過する。ブレードアセンブリ330の回転は、また、送風機314の吐出口から出て、空気供給部320へ空気を押し込む。より具体的には、主に熱交換器316の反対側の側面または面326a、326bによって定義されるように、送風機314が空気供給部320の領域又はサブ領域320a内に空気を押し込む。なお、送風機314は、ダイレクトドライブ方式の電動モータ326によって駆動されるように示されるが、任意の他の適当なモータ駆動システムは送風機314を回転させるために使用できることが理解されよう。円形の矢印434a、434bで示すように、空気供給部320のサブ領域320aと直接に送風機314の排気出口より下流では空気流は比較的不安定で、乱流となる。注目すべきことに、入る空気流の空気供給部320は、空調装置300のこの部分における実質的な正圧(例えば、いくつかの実施形態において、760トールを超える)を生成する。また、送風機314は、戻り空気開口部324又はその付近で負圧を生成する。矢印436a及び436bによって示されるように、熱交換器316を介してサブ領域320aからの空気の経路は、空気供給部320のサブ領域320b,320cと実質的に層流状態で、真っ直ぐにされ、より安定した気流を発生する。より安定した空気流が加熱要素312a、312bと周囲の空気との間のより効率的な熱伝達を促進する。」
「
[図:0001400160000003.jpg]
」

(イ)上記Fig.2に図示された熱交換器216の配置形状と、Fig.4に図示された熱交換器316の配置形状とは同一配置形状であり、当該配置形状について、[0018]では、“A-フレーム”、と呼称している。

(ウ)上記記載および図示から、引用文献2には、次の技術が記載されていると認められる。

「暖房、換気、および空調(HVAC)システムに用いられるHVACエアハンドリングユニット(AHU)は、熱交換器の配置形状として“A-フレーム”と呼称される形状で、配置がなされること。」

ウ 引用文献3

(ア)同じく原査定に引用され、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2004-245482号公報(以下「引用文献3」という。)には、次の記載がある。

「【0002】
【従来の技術】
床置き型室内ユニットを有する分離型空気調和機の従来の技術について図5を用いて説明する。図5は分離型空気調和機の箱型の室内ユニットの内部構成を示す構成模式図である。まず同図(a)に示す様に従来の空気調和機は、筐体下方に吸い込み部4及び送風部3を有し、その上方に熱交換器2及び吹き出し部6を配置して、吸い込み部4、送風部3、熱交換器2、吹き出し部6の順に空気が流れる送風回路が構成されている。
【0003】
吸い込み部4は前面枠にスリットが形成されて筐体周囲から空気を吸い込むように構成されており、集塵のためのフィルタ(図示せず)がその送風下流側に配置されている。送風部3はシロッコファンなどのファン3aとケーシング3bを用いて構成されており、吸い込み部4からの空気を吸い込んで上方に配置されている熱交換器2方向に吹き出す。熱交換器2は前面下方から背面上方にかけて略平面的に配置されている。また、吹き出し部6は吹き出し面が略長方形の吹き出し枠6cと、上下方向の風向変更を行う上下羽根6aと、左右方向の風向変更を行う左右羽根6bとを有して構成されている。なお、同図に矢印で示したように送風部3から吹き出される送風は一般的に背面側の風速分布が高く、補助加熱部となるヒータ7は熱交換器上方の前面側に配置されている。
【0004】
一般にこの種の室内ユニットは背の高い構成になっているが、暖房時の暖気を床面に到達させる必要もあるため、極力高さを低くするニーズもある。一方では省エネルギー化のため室内熱交換器をできるだけその伝熱面積がおおきくなるように構成するニーズもあり、そのために熱交換器を大きくしようとすると熱交換器の列方向に長さをとる必要があるため室内ユニットの高さが高くなってしまう。このとき、熱交換器の列数を増大させて熱交換面積を拡大する方法もあるが、送風抵抗、騒音、成形などの面で課題があり、実現は困難である。現在商品化されているこの種の室内ユニットに配置された熱交換器は通常1列か2列で構成されており、多くても3列程度である。
【0005】
上記のような相反するニーズを解決する方法としては、特許文献1に示されるように、熱交換器を室内ユニット筐体内で側方から見て略「人」の字になるように折り曲げて配置構成する考案が開示されている。この構成について概要を図5(b)に示している。熱交換器2は上下方向に略逆V字となるように前面側熱交換器2aと背面側熱交換器2bとを折り曲げた形で配置して構成しており、前面側熱交換器2aと背面側熱交換器2bそれぞれの下端部には運転中に発生する凝縮水を受けるように水受け部5がそれぞれ配置されている。このように構成することで、同じ熱交換器面積でも室内ユニットの高さを低く構成することができる。」

(当審注:上記の記載中にある「図5」は、【図面の簡単な説明】を見渡しても、図の数は図4までとなっており、明らかな誤記である。【0002】にある(a)に関する記載内容と、【0005】にある(b)に関する記載内容に合致する図番号は、図4のみと看て取れるため、参照する図面は【図4】とした。)

「【図4】
[図:0001400160000004.jpg]
」

(イ)上記記載及び図示から、引用文献3には、次の技術が記載されていると認められる。

「分離型空気調和機の箱型の室内ユニットで、内部に配置する熱交換器2が、ユニット側方から見て略「人」の字になる、他の言い方として、上下方向に略逆V字となるように前面側熱交換器2aと背面側熱交換器2bとを折り曲げた形で配置して構成すること。」

エ 引用文献4

(ア)また、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった国際公開第2007/099571号(以下「引用文献4」という。)には、次の記載がある。

「 The outdoor unit 1 in object is characterized in that the airflow 12 within the frame 2 is developed at least partly substantially parallel to the back surface 4, differently from the known outdoor units in which the airflow is always substantially perpendicular to the back surface 4.」(7頁5~10行)

(当審仮訳)

「対象の室外機1は、筐体2内の気流12が、常に背面4に対して略垂直である従来の室外機とは異なり、少なくとも部分的に背面4に対して略平行に展開されることを特徴とする。」

「Preferably, heat exchangers 9 are in a number of two, 9A and 9B, and are both placed within the frame 2, as shown in Fig. 1. They can be inclined and, preferably," V"-shaped (figure 1) . Furthermore, the vertex of such "V" is generally faced towards first exchange means 11a. Moreover; such vertex is advantageously placed downstream said exchange means 11A with reference to the general direction of the airflow 12.
The blower 10 is preferably of a centrifugal or tangential type.」(12頁下から8行~13頁2行)

(当審仮訳)

「好ましくは、熱交換器9は、2つの番号9A、9Bとして、両方がフレーム2内に配置され、図1のようになる。これらは、傾斜しており、好ましくは、“V”の形であってもよい(図1)。さらに、このような「V」の頂点は、通常、第1交換手段11aに向かっている。さらにいえば、そのような頂点は、有利には、空気流12の通常の方向に照らして前記第1交換手段11aの下流側に向くとよい。
有利に配置される送風機10は、遠心またはタンジェンシャルのタイプであることが好ましい。」(当審注:「タンジェンシャル」とは、ドイツの登録商標で、横流ファンを指す。)
「
[図:0001400160000005.jpg]
」

(イ)上記記載から、引用文献4には、次の技術が記載されていると認められる。

「室外機の内部に置かれる2つの熱交換器9は、共に傾斜しており、“V”の形に配置されること。」

(3)引用発明との対比

ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。

(ア)引用発明の「箱状のケーシング1」は、本件補正発明の「箱状のケーシング(1)」に相当する。

(イ)引用発明の「ケーシング1」が「箱状」とされているため、引用発明のケーシング1は、下面、上面1b、前面1aを有することが明らかであり、下面と上面1bとを離隔する上下方向の軸線を把握できるから、引用発明の「ケーシング1」も、ケーシング1においてそれぞれ画定される下面、前記下面に対向し且つ前記ケーシング1の軸に関して前記下面から離間して配置された上面1b、および前記下面と上面1bとの間に延在する前面1aを備えるものと認められる。

してみると、引用発明の「ケーシング1」は、本願補正発明の「前記ケーシング(1)においてそれぞれ画定される下面(2)、前記下面(2)に対向し且つ前記ケーシング(1)の軸(X)に関して前記下面(2)から離間して配置された上面(3)、および前記下面(2)と前記上面(3)との間に延在する前面(4)」に相当する構成を備えるものといえる。

(ウ)引用発明の「前記ケーシング1に形成された前面1aの吸込口2および上面1bの吹出口3」は、本件補正発明の「前記ケーシング(1)に形成された第1の開口(6)および第2の開口(7)」であり、かつ「前記第1の開口(6)は、前記ケーシング(1)の前面(4)に形成され、前記第2の開口(7)は、前記軸(X)に関して前記第1の開口(6)の上方の位置で、前記上面(3)」「に形成され」ることに相当する。

(エ)引用発明の「前記通風路4中に置かれ前記ケーシング1内に収容されるラジアル遠心ファンである送風機6」は、本件補正発明の「前記チャネル(8)に沿って前記ケーシング(1)内に収容され、前記開口(6,7)を介して、前記ケーシング(1)の外部環境との間で空気流(10)を移動させるように配置され、ラジアル型の遠心ファンである、ファン(9)」に相当する。

(オ)引用発明の「前記送風機6と前記熱交換器5とは、前記送風機6が前記ケーシング1の下部に、前記熱交換器5が前記ケーシング1の上部に配置され」ることは、本件補正発明の「前記ファンの少なくとも一部と前記熱交換器は、前記軸に関して互いに上下に配置される」に相当する。

(カ)引用発明の「前記室外機は、建物の外部でありかつ外壁の外に設けられ」ることは、本件補正発明の「前記熱交換ユニット(100)は、建物の外部または建物の外壁の内外に設けられる外部ユニットであ」る点に相当する。

(キ)引用発明の「前記通風路4内に傾斜して配置された平板状の熱交換器5」と、本件補正発明の「前記チャネル(8)内に配置されたV字形状の輪郭を有する熱交換器(11)」とは、「チャネル内に配置された熱交換器」の限りにおいて一致する。

(ク)引用発明の「前記吸込口2側が建物外部の向きに設置される」ことは、本件補正発明の「前記熱交換ユニット(100)の前記前面(4)は、前記熱交換ユニット(100)の使用中においては、建物に対して外部環境側に向けられている」点に相当する。

(ケ)上記(ア)~(ク)より、本件補正発明と引用発明とは、「エアコンディショナー用の熱交換」を行う「ユニット」である点で共通するといえる。

イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

【一致点】

「エアコンディショナー用の熱交換ユニットであって、
・ 箱状のケーシングと、
・ 前記ケーシングにおいてそれぞれ画定される下面、前記下面に対向し且つ前記ケーシングの軸に関して前記下面から離間して配置された上面、および前記下面と前記上面との間に延在する前面と、
・ 前記ケーシングに形成された第1の開口および第2の開口と、
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・ 前記第1の開口と前記第2の開口との間で前記ケーシング内に延在するチャネルと、
・ 前記チャネルに沿って前記ケーシング内に収容され、前記開口を介して、前記ケーシングの外部環境との間で空気流を移動させるように配置され、ラジアル型の遠心ファンである、ファンと、
・ 前記チャネル内に配置された熱交換器であって、前記ファンの少なくとも一部と前記熱交換器は、前記軸に関して互いに上下に配置される、熱交換器と、
を備え、
前記第1の開口は、前記ケーシングの前面に形成され、前記第2の開口は、前記軸に関して前記第1の開口の上方の位置で、前記上面に形成され、
前記熱交換ユニットは、建物の外部または建物の外壁の内外に設けられる外部ユニットであり、
前記熱交換ユニットの前記前面は、前記熱交換ユニットの使用中においては、建物に対して外部環境側に向けられている、
ことを特徴とする、熱交換ユニット。」

【相違点】

「チャネル内に配置」される「熱交換器」について、本件補正発明は、「V字形状の輪郭を有する」のに対し、引用発明は、「通風路4内に傾斜して配置された平板状」とされている点。

(4)判断

以下、相違点について検討する。

エアコンディショナー用空調機を構成する熱交換ユニット内に熱交換器を配置する場合、省スペース化などを狙って、2基の熱交換器をA字形状、あるいはV字型に傾斜配置とする技術は、例えば上記の引用文献2ないし4の記載事項に見られるとおり、本件の優先日前の時点で当業者に周知の技術的事項といえる。そして、引用発明でも熱交換器を傾斜配置させることを技術的事項としていることを鑑みると、傾斜配置という共通事項を備える引用文献2ないし4に記載された技術を適用する動機付けは十分にあるといえる。

してみると、引用発明における熱交換器を装置ケーシング内に配置する際、引用文献2ないし4に記載された、平板状の2基の熱交換器をアルファベットのA字、あるいはV字に見えるように互いに傾斜配置とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

そして、当該相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び引用文献2ないし4に記載された周知の技術的事項の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献2ないし4に記載された周知の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 本件補正についてのむすび

よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1 本願発明

本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし22に係る発明は、令和3年11月2日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし22に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2の[理由]1(2)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1-7,9-12に係る発明は、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2及び3に記載された事項に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:特開2000-249372号公報(拒絶査定の引用文献等3)
引用文献2:米国特許出願公開第2010/0326624号明細書(拒絶査定の引用文献等1)
引用文献3: 特開2004-245482号公報(拒絶査定の引用文献等2)

3 引用文献

原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1ないし3及びその記載事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。

4 対比・判断

本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「ファン(9)」が「ラジアル型」であるとした限定事項を削除したものである。

そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(3)、(4)に記載したとおり、引用発明及び引用文献2ないし4に記載された周知の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び引用文献2ないし4に記載された周知の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび

以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-011247

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