2022-011173
被験者に対する震盪性の力または爆風の力の損傷効果を削減するための方法及び装置
- 審判番号
- 2022-011173
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-545812外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年07月19日
- 審決日
- 2023年11月30日
- 公報発行日
- 2024年05月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】キューサーティー スポーツ サイエンス エルエルシー
- 【請求人代理人】柳田 征史
- 分類
- P18 .121-Z (A61B) / P18 .575-Z (A61B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 11項目
第1 手続の経緯
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本願は、2017年(平成29年)3月2日(パリ条約による優先主張外国庁受理2016年3月2日、アメリカ合衆国(US))を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
第2 令和4年7月19日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和4年7月19日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について
(1)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。
「【請求項1】システムにおいて、間に固定された内周を画定する2端部を有する部分的に環状の本体を有するカラー装置であって、ヒトの頸部の回りに着用されるサイズで作られ、前記2端部は、前記カラー装置が着用される際に前記ヒトの頸部の咽頭隆起に位置することができる前記部分的に環状の本体の開口をさらに画定する前記カラー装置と、前記カラー装置の前記内周を変更することなく前記2端部の間の前記カラー装置上に配置されるよう、前記2端部の間で前記カラー装置の前記内周に沿って摺動可能に係合する少なくとも1対の圧力パッドモジュールであって、前記カラー装置が着用される際に各圧力パッドモジュールが前記ヒトの頸部の1本以上の静脈に内向きの圧力を加える方向に前記内周から延びる少なくとも一部分を有するように前記ヒトの頸部の前記静脈に位置決めする前記少なくとも1対の圧力パッドモジュールとを備える、前記システム。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載
本件補正前の、令和3年11月30日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「【請求項1】システムにおいて、間に内周を画定する2端部を有する部分的に環状の本体を有するカラー装置であって、ヒトの頸部の回りに着用されるサイズで作られ、前記カラー装置が着用される際に前記ヒトの頸部の咽頭隆起に位置することができる本体開口をさらに画定する前記カラー装置と、前記2端部の間の前記カラー装置上に配置されるよう、前記2端部の間で前記カラー装置の前記内周に沿って摺動可能に係合する少なくとも1対の圧力パッドモジュールであって、前記カラー装置が着用される際に各圧力パッドモジュールが前記ヒトの頸部の1本以上の静脈に内向きの圧力を加える方向に前記内周から延びる少なくとも一部分を有する前記少なくとも1対の圧力パッドモジュールとを備える、前記システム。」
2 補正の適否
本件補正における請求項1についての補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明の「カラー装置」について、その内周が「固定されて」いるものであり、「前記2端部は、」ヒトの頸部の咽頭突起に位置し、「前記部分的に環状の本体の開口」を画定すると限定し、「1対の圧力パッドモジュール」について、「前記カラー装置の前記内周を変更することなく」、前記カラー装置が着用される際に各圧力パッドモジュールが前記ヒトの頸部の1本以上の静脈に内向きの圧力を加える方向に前記内周から延びる少なくとも一部分を有する「ように前記ヒトの頸部の前記静脈に位置決めする」と限定するものであって、かつ、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に規定される特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用文献の記載事項及び引用発明
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ア 引用文献1
(ア) 引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された米国特許出願公開第2014/0343599号明細書には次の記載がある。(以下、当審が作成した日本語訳を示す。下線は当審が付した。以下同じ。)。
「[0002] 本開示は、一般に、衝撃事象への暴露の影響を低減するためのシステムに関する。」
「[0014] 頭蓋内の擾乱を軽減する試みにおいて、ある体積及び圧力の急速かつ可逆的な変化に最も敏感に反応する、1つの頭蓋内コンパートメントは血液容積であることが認識される。コンパートメントの血液量を増加させるための最も簡単で最も迅速な手段は、ネック部に1つ以上の排出静脈を機械的に規制することによって、その流出を阻止することである。[0015] したがって、本開示の1つの態様は、外部の震盪力に晒された対象に対する損傷の可能性を低下させる方法を含み、本方法は、1つ以上の突起を対象の首に接触させるステップであって、各突起が対象の1つ以上の頸静脈の上に配置されるステップと、突起に十分な外的圧力を加えて、1つ以上の頸静脈を通して、対象の頭部から出る血流を制限するステップと、を含んでいる。一部の実施の形態において、損傷は、外傷性脳損傷、脊柱の震盪性損傷、内耳の震盪性損傷、眼の構造又は嗅覚の構造の震盪性損傷から成る群から選択される、1つ以上の損傷を含んでいる。」
「[0183] 図29は周回又は半周回カラー140を備えた、本システムの別の態様を示す図である。1つの実施の形態において、カラー140は硬質バンドである。本システムの1つの実施の形態において、カラーは内側ハウジング141及び内側バンドである外側ハウジング142を備えている。何れの実施の形態においても、カラー140の端部にパッド143を取り外し可能に取り付けることができ、それによって、対象者が首にカラー140を着用したとき、パッド143が間隔を開けて、対象の1つ以上の頸静脈上に配置されるように寸法決めされる。1つの実施の形態において、カラー140は、1つ以上の頸静脈に5mmHg~80mmHgの範囲の圧力を加えるように構成されている。1つの実施の形態において、カラー140は、1つ以上の頸静脈に5mmHg~25mmHgの範囲の圧力を加えるように構成されている。1つの実施の形態において、1つ以上の頸静脈は、内頸静脈及び外頸静脈を含んでいる。1つの実施の形態において、本システムは、複数対のパッド143を備えている。例えば、システムは、カラー140、及びよりユーザーに応じた取り付けができるように、各々の対が異なる大きさ及び形状を有する3対のパッドを備えることができる。パッド対間の差異には、突起の形状及び寸法を含めることができる。例えば、各々のパッド対は、頸部静脈への圧力の増加及び/又は頸静脈上の皮下脂肪組織の量が異なる個体を考慮して、高さが異なる突起を備えることができる。代わりに又は加えて、各々のパッド対は、同様の周長を有する個体の頸部静脈位置の解剖学的差異を考慮して、特に長手方向(即ち、首周り方向)に異なる形状又は異なる形状の突起を有することができる。取り外し可能なパッドは、パッドが所定の位置に留まることを保証する任意の適切な機構によって、カラーに取り付けられるように設計することができる。例えば、カラーの端部をタブとして構成することができ、パッドがカラーのタブを受け入れるスロットを含むことができる。代わりに、カラーが、前方に向いた表面に、パッドを受け入れて所定の位置に保持する溝を備えることができる。」
「[0186] 図30は、咽頭隆起149において開放した半周回フラップ148を有する衣服147を備え、フラップが、1つの実施の形態において、衣服147の布に縫い付けられ、喉頭隆起149の両端で開放したスリーブ150を有する、本システムの別の態様を示す図である。1つの実施の形態において、フラップ148は、衣服147の上部の首開口部に別個に取り付けることができる。本システムは、衣服147のスリーブ150に少なくとも部分的に取り付けられるように設計された、対象者の首に着用される周回又は半周回のカラーも含んでいる。このようにして、様々な大きさの衣服147は、可変サイズのカラーを使用して様々な首の大きさに適応することができる。衣服147は様々な弾性布から成ることができる。弾性材料は、延伸されたとき、自然状態に戻ろうとする任意の材料であってよい。例示的な材料には、布、フィルム(織布、不織布、及びネット)、発泡体とゴム(合成及び天然)、ポリクロロプレン(例えば、NEOPRENE(登録商標))、エラスタンとその他のポリウレタン-ポリ尿素共重合体(例えば、SPANDEX(登録商標)、LYCRA(登録商標))、フリース、ワープニット又は細い伸縮性生地、ラッシェル、トリコット、ミラノニット、サテン、ツイル、ナイロン、コットンツイード、ヤーン、レーヨン、ポリエステル、皮革、キャンバス、ポリウレタン、ゴム加工された材料、エラストマー、及びビニルのうちの1つ以上を含むことができる。長時間の着用又は運動中の着用に好ましいと思われる、通気性又は吸湿性を有する幾つかの弾性材料もある。前述のように、弾性材料は、十分な圧迫圧力を提供しつつ、柔軟性を維持して、着用者のあらゆる動き及び/又は筋肉の収縮に対応することによって、着用者に対し、優れた快適性という恩恵をもたらすことができる。」
「特許請求の範囲1 側方部材は実質的に互いに対向することを特徴とする、1以上の頸部静脈を通って被検者の頭部から血流排出を制限するために、対象の1つ又は複数の頚静脈に十分な圧力を加えるように構成された一対の内向き突起部を備える、剛性、あるいは、半剛性の部材、2個の横方向に配置された端部は、一対の剛性側部材の対向する端部を接続するようにさらに構成され、かつ患者の喉頭隆起の間を橋渡しするように適合される、剛性の前方部材、2個の横方向に配置された端部は、一対の剛性側部材の対向する端部を接続するようになっている後方部材を備える、ヒト被検者の頸部に装着するのに適した周方向のカラーを有し、前記カラーが提供される装置。」「[図:0001409591000001.jpg]」
「[図:0001409591000002.jpg]」
(イ) 上記(ア)の記載事項から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「システムにおいて、2個の端部を有する半周回カラーであって、対象者の首に着用され、前記2個の端部は、咽頭隆起において開放した半周回フラップを有する衣服に取り付けられるように設けられた、前記カラーと、剛性のカラーに取り外し可能に取り付けることができ、対象者が首にカラーを着用したとき頸部静脈への圧力を加えるようにパッドに突起を備えた対象者の頸静脈上に配置される対のパッドとを備える、前記システム。」
イ 周知技術
(ア) 引用文献4に記載された事項
原査定の拒絶査定時に周知技術を示す引用文献4として例示された米国特許出願公開第2009/0173340号明細書には、次の記載がある(以下、当審が作成した日本語訳を示す。)。
「[0044] 図2Aに示す実施形態において、留め具140は、左パッド180に近接して位置する押しボタン解除型のシステムである。しかし、このような留め具140は、装置100の回路に沿ったどこにでも配置することができる。ここで、押しボタン留め具140は、外側380、内側400(以下の図8Bに記載)と、第1端420と第2端部440とを有する。留め具140は、ストラップ120の外側面320に取り付けられている。プッシュボタン型システムは、ストラップ120の第1端部280と第2の端部260を固定するための1つの手段であるが、任意の他の受容可能な締結システムを使用することができる。これは、ラッチシステム、バックル、ベルクロ(登録商標)、または当業者に公知の任意ファスナーシステムを含むことができる。[0045] 図2Bは、図2Aに示す装置100の別の斜視図であり、右のパッド部材360のより詳細な構造を示している。この実施形態では、ストラップ120は、ストラップ120を受け入れるのに十分な形状及び大きさのスリーブ160を介してパッド部材360に接続されている。本発明は、スリーブ160を使用することに制限されて、各パッド部材340または360を接続装置100の複数のストラップ120の1つに搬送する。むしろ、当業者は、任意の既知のシステムを使用して、各ストラップ120を取り付け又は接続する各パッド部材340または360にすることができる。しかし、このようなシステムは、少なくとも1つのパッド(180又は200)は、ユーザ(U)の臀部に近接して両パッド180、200を適切に配置するのに十分なストラップ(単数または複数)120の回路に沿って移動することを可能にすることが好ましい。」
「[図:0001409591000003.jpg]」
「[図:0001409591000004.jpg]」
(イ) 引用文献5に記載された事項
原査定の拒絶査定時に周知技術を示す引用文献5として例示された中国特許出願公開第101690658号明細書には、次の記載がある(以下、当審が作成した日本語訳を示す。)。
「[0023] スライドバー4はスライドバーファームウェア3によって弧形状摺動レール2に可動接続して、スライドバーファームウェア2によって弧形状摺動レールに摺動して、スライドバー4はスライドバーファームウェア3の回転に対して突出長の調整と、センサ9を実現する正確さは場所を決める。弧形状摺動レール2上でその長さ方向に沿うようにスライドバー4を供えて且つ摺動するシュート2aを穿過することが設けられている。スライドバーファームウェア3はスーツ弧形状摺動レール2にある套管31を用いて、套管31の前、後管壁にそれぞれ前板体32と後板体33が設けられていることに固定することを含み、套管の上で管壁上に止めネジ10が設けられていて、止めネジ10をしっかり締めてまもなくスライドバーファームウェア3は弧形状摺動レール2上に固定して、前板体32と後に板体33上に取付ねじ11が設けられていて、前板体32と後板体33の間の隙間とシュート2aは対応する。スライドバー4は前板体32に穿設して後板体33の間の隙間およびシュート2aはその内スライドバーは4の上縁のその長さ方向は長溝4aが設けられていて、長溝4a内に取付ねじ11を取り付けて、取付ねじ11をしっかり締めてまもなくスライドバー4はスライドバーファームウェア3上に固定する。」
「[図:0001409591000005.jpg]」
「[図:0001409591000006.jpg]」
(ウ) 上記(ア)及び(イ)に例示されるとおり、
「人体の要所に当設させる部材において、位置調整のために、環状の本体に沿って摺動可能に係合する部材」
は周知の技術(以下「周知技術」という。)である。
(3)引用発明との対比
ア 本件補正発明と引用発明を対比する。
引用発明の「カラー」は、本件補正発明の「カラー装置」に相当する。
引用発明の「2個の端部」は、カラーの両端に備えられるものであり2個の端部間が接近及び隔離されものではなく、またカラーは剛性のカラーであることから、間に固定された内周を画定していることは明らかであるから、本件補正発明の「間に固定された内周を画定する2端部」に相当する。
引用発明の「半周回カラー」は、本件補正発明の「部分的に環状の本体を有するカラー装置」に相当する。
引用発明の「対象者の首に着用され」ることは、着用される以上、着用されるに適したサイズであることは明らかであるから、本件補正発明の「ヒトの頸部の回りに着用されるサイズで作られ」ることに相当する。
引用発明の「2個の端部は、咽頭隆起において開放した半周回フラップを有する衣服に取り付けられるように設けられた」ことは、2個の端部が咽頭隆起に位置する開口を画定することは明らかであるから、本件補正発明の「2端部は、前記カラーが着用される際に前記ヒトの頸部の咽頭隆起に位置することができる前記部分的に環状の本体の開口をさらに画定する」ことに相当する。
引用発明の「パッド」は、引用文献1の段落[0183]の記載より、頸静脈に圧力を加えるものであり、またカラーに対して着脱可能に取り付ける構成を一体とした部材(モジュール)であることが明らかであるから、本件補正発明の「圧力パッドモジュール」に相当することより、引用発明の「対のパッド」は、本件補正発明の「少なくとも1対の圧力パッドモジュール」に相当する。
引用発明の「剛性のカラーに取り外し可能に取り付けることができ」ることは、剛性のカラーであることよりパッドの取り外し程度ではカラーの内周が変更することはないことから、本件補正発明の「カラー装置の前記内周を変更することなく前記2端部の間の前記カラー装置上に配置されるよう」にすることに相当する。
引用発明の「対象者が首にカラーを着用したとき」、「頸部静脈への圧力を加えるようにパッドに突起を備えた」こと及び「対象者の頸静脈上に配置される」ことは、本件補正発明の「カラー装置が着用される際に」、「各圧力パッドモジュールが前記ヒトの頸部の1本以上の静脈に内向きの圧力を加える方向に前記内周から延びる少なくとも一部分を有するように」及び「ヒトの頸部の前記静脈に位置決めする」ことに相当する。
イ したがって、本件補正発明と、引用発明とは以下の一致点で一致し、相違点で相違する。
<一致点>
「システムにおいて、間に固定された内周を画定する2端部を有する部分的に環状の本体を有するカラー装置であって、ヒトの頸部の回りに着用されるサイズで作られ、前記2端部は、前記カラーが着用される際に前記ヒトの頸部の咽頭隆起に位置することができる前記部分的に環状の本体の開口をさらに画定するカラー装置と、前記カラー装置の前記内周を変更することなく前記2端部の間の前記カラー装置上に配置されるよう、前記カラー装置が着用される際に各圧力パッドモジュールが前記ヒトの頸部の1本以上の静脈に内向きの圧力を加える方向に前記内周から延びる少なくとも一部分を有するように前記ヒトの頸部の前記静脈に位置決めする前記少なくとも1対の圧力パッドモジュールとを備える、前記システム。」
<相違点>
本件補正発明では、「前記2端部の間で前記カラー装置の前記内周に沿って摺動可能に係合する少なくとも1対の圧力パッドモジュール」を有するのに対して、引用発明では、少なくとも1対のパッド(圧力パッドモジュール)は有するものの、2端部の間でカラー(カラー装置)の内周に沿って摺動可能に係合する構成を有しない点。
(4)判断
ア 以下、上記相違点について検討する。
引用発明の対のパッド(本件補正発明の「圧力パッドモジュール」に相当)は、2端部の間のカラー(本件補正発明の「カラー装置」に相当)上に配置され、ヒトの頸部の静脈に位置決めするものである。ここで、当該パッドをいかに位置決めするかを考慮したとき、ヒトの頸部の静脈に好適に位置決めすることができる限りにおいて、位置決めの手法は当業者であれば適宜選択し得たことである。そして、引用文献1の段落[0183]には、「取り外し可能なパッドは、パッドが所定の位置に留まることを保証する任意の適切な機構によって、カラーに取り付けられるように設計することができる。例えば、カラーの端部をタブとして構成することができ、パッドがカラーのタブを受け入れるスロットを含むことができる。」と記載されており、パッドをカラーに取り付けられるにあたり、カラーをタブとして構成し、パッドがカラーのタブを受け入れるスロットを含むという構成とすることについて技術開示がなされているものである。以上より、引用発明に、周知技術である「人体の要所に当設させる部材において、位置調整のために、環状の本体に沿って摺動可能に係合する部材」(上記(2)イ(ウ))を適用する動機付けは十分にあるといえる。
なお、引用発明に上記周知技術を適用したとき、パッドはカラーの内周を変更することなく2端部の間のカラー2020
上に配置される構成となることは明らかである。そしてこの場合、パッドはカラーの内周に沿って摺動することも明らかである。
したがって、引用発明及び上記周知技術に基いて、上記相違点の本願補正発明の構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
イ また、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものであり、格別顕著なものということはできない。
ウ よって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
3 本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1~11に係る発明は、令和3年11月30日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~11に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由は、本願発明は引用文献1に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項及び引用発明並びに周知技術は、第2[理由]2(2)に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、第2[理由]2で検討した本件補正発明から、本件補正発明の「カラー装置」の、その内周が「固定されて」いるものであり、「前記2端部は、」ヒトの頸部の咽頭突起に位置し、「前記部分的に環状の本体の開口」を画定するとした限定事項、及び「1対の圧力パッドモジュール」の、「前記カラー装置の前記内周を変更することなく」、前記カラー装置が着用される際に各圧力パッドモジュールが前記ヒトの頸部の1本以上の静脈に内向きの圧力を加える方向に前記内周から延びる少なくとも一部分を有する「ように前記ヒトの頸部の前記静脈に位置決めする」とする限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、第2[理由]2(3)、(4)に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-011173