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特許拒絶査定不服審判

2022-010331

処理装置、処理方法及びプログラム

審判番号
2022-010331
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-532197外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年07月04日
審決日
2023年08月03日
公報発行日
2023年10月27日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (A61B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-532197「処理装置、処理方法及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和2年1月30日国際公開、WO2020/021873〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 1 手続の経緯 本願は、2019年(令和1年)6月5日(優先権主張 平成30年7月24日(以下「優先日」という))を国際出願日とする出願であって、令和4年1月5日付けで拒絶理由が通知され、同年2月14日に意見書及び手続補正書が提出され、同年4月6日付けで拒絶査定がされたところ、これに対し同年7月4日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出されたものである。 2 本願発明 本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、令和4年7月4日に提出された手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである(A~Fは、本願発明を分説するため当審で付与した。)。 なお、本願発明は、令和4年2月14日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項2に記載された発明である。 (本願発明) 「【請求項1】 A 可動域の測定対象を選択する選択手段と、 B 被験者を撮影した画像を、選択された前記測定対象に対応した解析方法で解析することで、選択された前記測定対象の可動域を示す測定値を算出する算出手段と、 C 前記測定値に基づき、前記測定対象の状態を評価する評価手段と、を有し、 D 前記算出手段は、身体の左右に対応して前記測定値を2パターン算出し、 E 前記評価手段は、前記2パターンの前記測定値の差を複数レベルに分類し、当該分類結果、及び、前記レベル毎に前記測定対象の状態を定義した第1の状態定義情報を用いて、 F 前記測定対象の状態を評価する処理装置。」 3 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、概略以下のとおりである。 理由1(新規性) この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 理由2(進歩性) この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 ●理由1(特許法第29条第1項第3号)について ・請求項 1、4~7、15~18、20 ・引用文献 1 ●理由2(特許法第29条第2項)について ・請求項 1~21 ・引用文献 1~4 請求項2に係る発明は、当業者が引用文献1に記載された発明、引用文献4に記載された技術事項及び周知の技術に基いて容易に発明をすることができたものである。 引用文献1:国際公開第2016/208291号 引用文献2:特開2015-61579号公報 引用文献3:国際公開第2018/087853号 引用文献4:実願平1-48029号(実開平2-139611号)のマイクロフィルム 4 引用文献に記載された事項(1) 引用文献1 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に日本国内又は外国において頒布された上記引用文献1には、「測定装置及び測定方法」の発明に関し、図面と共に以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同様。)。 ア 「[0017][第一実施形態] 〔装置構成〕 図1は、第一実施形態における測定装置10のハードウェア構成例を概念的に示す図である。第一実施形態における測定装置10は、いわゆるコンピュータであり、例えば、バスで相互に接続される、CPU(Central Processing Unit)1、メモリ2、入出力インタフェース(I/F)3、通信ユニット4等を有する。 [0018] CPU1には、一般的なCPUに加えて、特定用途向け集積回路(ASIC)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)等も含まれる。 メモリ2は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、補助記憶装置(ハードディスク等)である。 [0019] 入出力I/F3は、表示装置5、入力装置6等のユーザインタフェース装置と接続可能である。表示装置5は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイのような、CPU1等により処理された描画データに対応する画面を表示する装置である。入力装置6は、キーボード、マウス等のようなユーザ操作の入力を受け付ける装置である。表示装置5及び入力装置6は一体化され、タッチパネルとして実現されてもよい。また、入力装置6は、音声を取得するマイクロフォンユニットであってもよい。入出力I/F3には、スピーカユニット等のような他の出力装置が接続されてもよい。 [0020] 通信ユニット4は、他のコンピュータとの通信網(図示せず)を介した通信や、プリンタ等のような他の機器との信号のやりとり等を行う。通信ユニット4には、USB(Universal Serial Bus)等により三次元センサ7と接続される。但し、通信ユニット4と三次元センサ7との通信形態は制限されない。また、通信ユニット4には、可搬型記録媒体等も接続され得る。 [0021] 三次元センサ7は、三次元情報を検出する。三次元センサ7は、例えば、Kinect(登録商標)や3Dカメラのように、可視光カメラ及び深度センサが統合されたセンサとして実現される。深度センサは、距離画像センサとも呼ばれ、レーザから近赤外光のパターンを対象者に照射し、そのパターンを近赤外光を検知するカメラで撮像して得られる情報から距離画像センサから対象者までの距離が算出される。三次元センサ7は、視野内の被験者の所定部位の三次元位置を検出することができれば、その実現手法は制限されない。例えば、三次元センサ7は、複数の可視光カメラを用いる三次元スキャナ方式で実現されてもよい。以下の説明では、説明を分かり易くするために、三次元センサ7は、可視光カメラ及び深度センサが統合されたセンサであると仮定する。 ・・・ [0023]〔処理構成〕 図2は、第一実施形態における測定装置10の処理構成例を概念的に示す図である。第一実施形態における測定装置10は、データ取得部11、算出部12、判定部13、出力処理部14、操作検出部15等を有する。これら各処理モジュールは、例えば、CPU1によりメモリ2に格納されるプログラムが実行されることにより実現される。また、当該プログラムは、例えば、CD(Compact Disc)、メモリカード等のような可搬型記録媒体やネットワーク上の他のコンピュータから通信ユニット4を介してインストールされ、メモリ2に格納されてもよい。 [0024] 操作検出部15は、ユーザ操作を検出する。具体的には、操作検出部15は、入出力I/F3から入力される情報に基づいて、入力装置6に対するユーザ操作を検出する。例えば、操作検出部15は、肩可動域の計測のために予め決められた複数の運動種の中から一つの運動種を選択する操作を検出する。本実施形態では、操作検出部15は、肩の、屈曲運動、伸展運動、外転運動、内転運動、外旋運動、内旋運動、水平伸展運動、及び水平屈曲運動の中から、一つの運動種を選択するユーザ操作を検出する。当該複数の運動種の中には、右及び左の各々について、計測が必要となる運動種が存在し得る。なお、本実施形態で対象とされる肩の可動域の測定のための各運動は、右及び左の各々についての計測が必要となる。左右の計測が必要となる運動種が選択された場合には、操作検出部15は、運動種と共に、左右のどちらを計測するのかの選択操作を検出してもよい。操作検出部15は、その検出されたユーザ操作に基づいて、ユーザにより選択された運動種をデータ取得部11、算出部12及び判定部13に伝える。 [0025] データ取得部11は、三次元センサ7から得られる情報に基づいて、被験者の肢体の複数の所定部位の位置情報を取得する。データ取得部11は、算出部12及び判定部13により利用される所定部位の位置情報のみを取得してもよいし、出来る限り多くの所定部位の位置情報を取得してもよい。取得される位置情報は、被験者が実際に存在する三次元空間に相当する世界座標系で表される。例えば、取得される位置情報は、三次元センサ7の視野の中心を原点として、左右方向をx軸(右方向を正)、上下方向をy軸(上方向を正)、深度方向(奥行方向を正)をz軸とする世界座標系により表される。以下、この世界座標系の例を用いて説明される。但し、世界座標系の三軸及び原点の配置は、このような例に限定されない。 [0026] 例えば、データ取得部11は、三次元センサ7から二次元画像のフレーム及び深度画像(距離画像)のフレームを所定周期で取得する。両フレームは、同じ周期で取得されてもよいし、異なる周期で取得されてもよい。以降、各フレームは、二次元画像及び深度画像と略称される。データ取得部11は、姿勢推定技術を用いて、取得された二次元画像及び深度画像から、三次元センサ7の視野内に位置する被験者の肢体の複数の所定部位を認識し、各部位の三次元位置(世界座標系)を特定する。データ取得部11は、既存の様々な姿勢推定技術を用いることができる。例えば、データ取得部11は、左肩、左肘、左手首、左手、右肩、右肘、右手首、右手、頭、肩中央、背骨、腰中央、右腰、左腰、右膝、右かかと、右足、左膝、左かかと、左足のような、肢体の複数部位の位置情報を取得することができる。以降、データ取得部11により取得される、被験者の肢体の所定部位の位置情報を骨格データと表記する場合もある。データ取得部11は、フレームが取得される度に、骨格データを順次取得する。 [0027] 算出部12は、データ取得部11により順次取得される骨格データに基づいて、被験者の肩の能力指標となる角度を順次算出する。算出部12は、肩可動域の計測のために予め決められた複数の運動種の中で、ユーザにより選択された運動種の能力指標となる角度を算出する。例えば、算出部12は、肩の、屈曲運動、伸展運動、外転運動、内転運動、外旋運動、内旋運動、水平伸展運動、又は水平屈曲運動の能力指標となる角度を算出する。算出される角度は、肩可動域を示す。左右の計測が必要となる運動種が選択された場合には、算出部12は、測定すべき方向(左か右か)を自動で決定してもよいし、操作検出部15により検出されたユーザ操作により決定してもよい。 [0028] 算出部12は、非特許文献1で示される規定に準拠した次のような方法で角度(肩可動域)を算出する。算出部12は、取得された骨格データに基づいて、肩の位置を端点としy軸負方向の線分と、肩の位置と手の位置とを結ぶ線分との、x軸又はz軸と直交する平面上になす角度を、肩の屈曲運動、伸展運動、外転運動、又は内転運動の能力指標として算出する。また、算出部12は、取得された骨格データに基づいて、肘の位置を端点としz軸手前向きの線分と、肘の位置と手の位置とを結ぶ線分との、y軸に直交する平面上になす角度を、肩の外旋運動又は内旋運動の能力指標として算出する。また、算出部12は、取得された骨格データに基づいて、肩の位置を端点としx軸方向の線分と、肩の位置と手の位置とを結ぶ線分との、y軸に直交する平面上になす角度を、肩の水平伸展運動又は水平屈曲運動の能力指標として算出する。図3を用いて、この算出処理を更に詳細に説明する。 [0029] 図3は、肩の能力指標の算出方法を示す図である。但し、図3では、右肩及び左肩のうちの一方の肩の能力指標の算出方法のみが示されている。図3に示されていない側の肩の能力指標も同じ考え方で算出することができる。 算出部12は、肩の位置P1を端点としy軸負方向の線分L1と、肩の位置P1と手の位置P2とを結ぶ線分L2との、x軸に直交する平面(yz平面、図3の紙面)上になす角度A1を肩の屈曲運動の能力指標として算出する。 算出部12は、線分L1と、線分L2との、x軸に直交する平面(yz平面、図3の紙面)上になす角度A2を肩の伸展運動の能力指標として算出する。 算出部12は、肩の位置P3を端点としy軸負方向の線分L3と、肩の位置P3と手の位置P4とを結ぶ線分L4との、z軸に直交する平面(xy平面、図3の紙面)上になす角度A3を肩の外転運動又は内転運動の能力指標として算出する。 算出部12は、肘の位置P5を端点としz軸負方向の線分L5と、肘の位置P5と手の位置P6とを結ぶ線分L6との、y軸に直交する平面(xz平面、図3の紙面)上になす角度A5を、肩の外旋運動の能力指標として算出する。 算出部12は、線分L5と、線分L6との、y軸に直交する平面(xz平面、図3の紙面)上になす角度A6を、肩の内旋運動の能力指標として算出する。 算出部12は、肩の位置P7を端点としx軸負方向の線分L7と、肩の位置P7と手の位置P8とを結ぶ線分L8との、y軸に直交する平面(xz平面、図3の紙面)上になす角度A7を、肩の水平屈曲運動の能力指標として算出する。 算出部12は、線分L7と、線分L8との、y軸に直交する平面(xz平面、図3の紙面)上になす角度A8を、肩の水平伸展運動の能力指標として算出する。 [0030] 判定部13は、データ取得部11により取得される骨格データに基づいて、被験者の姿勢の適否を判定する。例えば、判定部13は、算出部12により、肩の屈曲運動、伸展運動、外転運動、内転運動、水平伸展運動、又は水平屈曲運動の能力指標値が算出される場合、体を前後に曲げていること、肘を曲げていること、肩が水平になっていないこと、いずれか一方の肩を前後に動かしていること等を検出することで、被験者の姿勢が不適切であると判定する。それらが検出されない場合には、判定部13は、被験者の姿勢が適切と判定する。また、判定部13は、算出部12により、肩可動域における外旋運動又は内旋運動の能力指標値が算出される場合、体を前後に曲げていること、肘を90度に曲げていないこと、動作している腕の肩を後ろ側に引いていること等を検出することで、被験者の姿勢が不適切であると判定する。但し、判定部13により判定される被験者の姿勢は、このような例に限定されない。 [0031] 具体的には、判定部13は、頭、肩中央、背骨、及び腰中央の骨格データに基づいて、頭、肩中央、背骨、及び腰中央のz軸上の各位置のズレ具合を算出する。判定部13は、算出されたズレ具合が所定距離を超える場合に、体を前後に曲げているとして、被験者の姿勢が不適切であると判定する。また、判定部13は、肩、肘、及び手の骨格データに基づいて、肘の角度を算出し、肘の角度が所定角度以下である場合に、被験者が肘を曲げているとして、被験者の姿勢が不適切であると判定する。また、判定部13は、両肩の骨格データに基づいて、両肩を結ぶ線分とx軸とのxz平面上になす角度を算出し、その角度が所定角度を超えている場合に、動作している腕の肩を後ろ側に引いているとして、被験者の姿勢が不適切であると判定する。判定部13は、肩、肘、及び手の骨格データに基づいて、肘の角度を算出し、肘の角度が90度未満である場合に、肘を90度に曲げていないとして、被験者の姿勢が不適切であると判定する。 [0032] 出力処理部14は、被験者の姿勢の適否の判定結果に対応する状態で、算出部12により算出された角度を出力する。例えば、出力処理部14は、判定部13による判定結果に対応する色で、算出部12により算出された角度を出力する。出力処理部14は、判定部13により被験者の姿勢が不適切であると判定されていない場合、その判定に用いられた骨格データと同時期に取得された骨格データから算出された角度を黒色で出力する。出力処理部14は、姿勢が不適切であると判定された場合、そのときの角度を赤色で出力する。他の例として、出力処理部14は、姿勢が不適切であると判定された場合、角度を点滅させて出力してもよいし、角度の背景色を変えてもよいし、角度の表示出力と共に所定の音声を出力してもよい。 [0033] また、出力処理部14は、被験者を含む画像上に、角度の算出に用いられる骨格データに対応する複数の所定部位間を結ぶ線分が、被験者の姿勢の適否の判定結果に対応する状態で、重畳された表示を出力することもできる。例えば、出力処理部14は、判定部13による判定結果に対応する色で着色された当該線分が被験者を含む画像に重畳された表示を出力する。他の例として、出力処理部14は、姿勢が不適切であると判定された場合、当該線分を点滅させて出力してもよいし、当該線分を細くして表示してもよい。 [0034] 出力処理部14は、骨格データで示される世界座標系の位置情報を、三次元センサ7から得られる二次元画像の画像座標系の位置情報に変換することで、その二次元画像に含まれる被験者の複数の所定部位にマーク(画像要素)を重畳させることができる。例えば、出力処理部14は、角度の算出に用いられる所定部位及び姿勢の適否の判定に用いられる所定部位の中の少なくとも一つにマークを付すことが望ましい。これにより、対象の運動種についてどの部位が測定に関係するのかを、被験者に容易に把握させることができる。更に、出力処理部14は、骨格データで示される世界座標系と、二次元画像の画像座標系との対応関係に基づいて、当該複数の所定部位間を結ぶ線分をその画像上に更に重畳させることができる。この線分により、被験者は、腕が曲がっている、両肩が傾いている等といった、測定中の自身の姿勢を把握し易くなるため、被験者を正しい姿勢に誘導することができる。 ・・・ [0037]〔出力例〕 次に、第一実施形態における出力処理部14による表示出力の具体例を説明する。 図4は、肩の屈曲運動の能力を計測する際の表示出力の例を示す図である。図4の例によれば、出力処理部14は、映像エリアD1と説明エリアD2とを隣接させて出力する。出力処理部14は、映像エリアD1に、三次元センサ7から得られる二次元画像を順次表示する。このとき、出力処理部14は、映像エリアD1に表示される二次元画像上の、角度の算出に用いられる骨格データに対応する複数の所定部位に、マーク(ドーナツ型画像)を重畳させる。更に、出力処理部14は、当該二次元画像上に、当該複数の所定部位間を結ぶ線分を重畳させる。図4の例では、左手、左肘、及び左肩にドーナツ型のマークが表示され、左手、左肘、左肩、及び右肩を結ぶ線分、並びに左腰と右腰とを結ぶ線分が表示されている。左肘、右肩、左腰及び右腰は、角度の算出には直接利用されていないが、正しい姿勢を被験者に促すために、マーク又は線分が示される。例えば、両肩が水平であり、かつ、左右の腰の高さが均一であることは、正しい姿勢として望まれる。」 イ 「[0142][補足例] 図4等で示される出力例では、三次元センサ7が、実世界における水平方向を向くように、配置されていた。しかしながら、股可動域などの計測のために、三次元センサ7が、鉛直方向を向くように配置されてもよい。この場合、三次元センサ7から得られる世界座標系の位置情報では、実世界の鉛直方向がz軸に設定され、実世界の水平面がxy平面に設定される。 [0143] 例えば、操作検出部15は、股可動域の計測のための屈曲運動を選択するユーザ操作を検出する。股の屈曲運動の能力指標は、左足及び右足の各々について計測される。操作検出部15は、股の屈曲運動に関し、左右のどちらを計測するのかの選択操作を検出してもよい。この場合、データ取得部11は、三次元センサから得られる情報に基づいて、被験者の腰及び膝の位置情報をする(当審注:次文の「取得された位置情報に基づいて」との記載を踏まえると、「位置情報をする」は、「位置情報を取得する」の明らかな誤記である。)。算出部12は、データ取得部11により取得された位置情報に基づいて、腰の位置を端点としy軸負方向の線分と、腰の位置と膝の位置とを結ぶ線分との、x軸方向に直交する平面(yz平面)上になす角度を、股の屈曲運動の能力指標として算出する。 そして、上記記載事項ア~イを総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる(a~fは、本願発明の構成A~Fに対応させて当審にて付与した。また、引用文献1における引用箇所を付した。)。 (引用発明) 「a 測定装置10であって([0017])、 測定装置10は、いわゆるコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)1、メモリ2、入出力インタフェース(I/F)3、通信ユニット4を有し([0017])、 入出力I/F3は、表示装置5、入力装置6等のユーザインタフェース装置と接続可能であり([0019])、 測定装置10は、データ取得部11、算出部12、判定部13、出力処理部14、操作検出部15を有し([0023])、 判定部13は、頭、肩中央、背骨、及び腰中央の骨格データに基づいて、頭、肩中央、背骨、及び腰中央のz軸上の各位置のズレ具合を算出し、 判定部13は、算出されたズレ具合が所定距離を超える場合に、体を前後に曲げているとして、被験者の姿勢が不適切であると判定し、 また、判定部13は、肩、肘、及び手の骨格データに基づいて、肘の角度を算出し、肘の角度が所定角度以下である場合に、被験者が肘を曲げているとして、被験者の姿勢が不適切であると判定し、 また、判定部13は、両肩の骨格データに基づいて、両肩を結ぶ線分とx軸とのxz平面上になす角度を算出し、その角度が所定角度を超えている場合に、動作している腕の肩を後ろ側に引いているとして、被験者の姿勢が不適切であると判定し、 判定部13は、肩、肘、及び手の骨格データに基づいて、肘の角度を算出し、肘の角度が90度未満である場合に、肘を90度に曲げていないとして、被験者の姿勢が不適切であると判定し([0031])、 操作検出部15は、股可動域の計測のための屈曲運動を選択するユーザ操作を検出し([0143])、 b 三次元センサ7は、Kinect(登録商標)や3Dカメラのように、可視光カメラ及び深度センサが統合されたセンサとして実現され([0021])、 データ取得部11は、三次元センサ7から得られる情報に基づいて、被験者の腰及び膝の位置情報を取得し([0143])、 算出部12は、データ取得部11により取得された位置情報に基づいて、腰の位置を端点としy軸負方向の線分と、腰の位置と膝の位置とを結ぶ線分との、x軸方向に直交する平面(yz平面)上になす角度を、股の屈曲運動の能力指標として算出し([0143])、 d 股の屈曲運動の能力指標は、左足及び右足の各々について計測される([0143])、 f 測定装置10([0017])。」 (2) 引用文献4 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に日本国内又は外国において頒布された上記引用文献4には、図面と共に以下の事項が記載されている。 ア (2ページ12行~7ページ16行) 「〔産業上の利用分野〕 本考案は人の疾患治療の前段階に於ける検査の際に上記検査を受ける被検査者の体幹に対する下肢の特定部位の可動域の左右対称性を測定する為の測定手段に関わり、・・・もって筋系帯療法を代表とする上記疾患治療の前段階に於ける検査の為の上記下肢の特定部位の可動域の左右対称性を測定する為に適する下肢角度測定装置に関わる。 〔従来技術〕 周知の通り、人体の疾患の治療方法として、人体の骨格の左右対称性に着目したいわゆる筋系帯療法を代表とする種々の治療方法がある。 ここで、上記治療方法の代表としての上記筋系帯療法について少し説明する。 この筋系帯療法は、何らかの症状疾病を訴える人の人体を観察すると、上記人体の骨格が左右非対称と成っている。そして上記人体の骨格は筋肉及び靭帯(以下筋と記載する)の張力によって支えられているものである。 より具体的には、人体の骨格の関節によってつながれた2つの骨には上記関節を中にして上記2つの骨を一方の方向へ動かす為の筋群と、他方の方向へ動かす為の筋群の2つの筋群が互いに交差するようについており、上記2つの骨を動かないように固定せしめる時には上記2つの筋群がそれらの張力がつり合うよう緊張せしめられており、上記2つの骨を動かす時には上記2つの筋群のうちの一方の筋群が緊張せしめられると共に他方の筋群が弛緩せしめられるものであるとされている。そして、上記筋のうちの筋肉は緊張せしめられるとある方向(長さ方向)に収縮して張力を発生するものである。このように緊張し収縮した上記筋肉が再び弛緩できなくなる状態が異常緊張(拘縮)であり、上記人体に於いて上記異常緊張が偏在することにより、上記骨格が左右で非対称に成るとされている。 従って、上記骨格の左右非対称は、上記筋の異常な緊張に起因するものであるとして、上記人体の全身に於ける上記筋の系列を筋系帯と呼び、この筋系帯に着目して上記筋の異常を整復すると同時に上記骨格の左右非対称を矯正することにより、上記疾患を治療しようとするものである。この筋系帯療法によって上記人体の種々の疾患を治療できることが多数の治療例によって確認されている。 ここで、上記人が起立する時、当然のことながら上記人は下肢によって人体の全身が支えられている。従って、上記人体の下肢の左右に於いて上記筋の異常緊張(拘縮)が偏在していると、上記下肢の骨格が左右対称ではなくなってしまい、この下肢の骨格の左右非対称によって上記人体の全身の骨格が左右非対称となってしまうとされている。この為上記人体の全身の骨格の左右を対称にする為には、上記人体の下肢を左右対称とすることが重要であるとされている。そして、上記人体の下肢を左右対称とする為にはまず上記人体の下肢の左右対称性を測定することが必要である。ここで、上記下肢の左右対称性は、上記下肢の可動域の左右対称性によって測定できるとされている。より具体的には、例えば上記下肢のうちの大腿骨は股関節によって骨盤につながれている。そして、上記大腿骨と上記骨盤の間の大臀筋等に上記異常緊張(拘縮)があると、上記骨盤に対する上記大腿骨の可動域が上記大臀筋等の異常緊張による張力の影響を受ける。この為、上記人体の左右で上記大臀筋等の上記異常緊張(拘縮)が偏在していると、上記骨盤に対する上記大腿骨の可動域が上記人体の左右の大腿骨の各々で非対称となってしまう。そして、上記大腿骨の可動域は上記下肢の大腿部の可動域として現われることが明らかであるので、上記大腿部の可動域の左右対称性を測定することで、上記大臀筋等の左右対称性を測定できる。 つまり、上記下肢の特定部位以外の上記人体の部分を体幹とした場合に上記体幹に対する上記特定部位の可動域即ち動かすことのできる範囲を測定するのである。例えば、上記大腿を特定部位とした場合、腰部及び腹部並びに胸部そして頭部等を体幹として、この体幹に対する上記大腿の可動域を測定したり、あるいは下記下肢の膝から足首までの下腿部を特定部位とした場合、上記大腿、腰部、腹部、胸部、頭部等を体幹としてこの体幹に対する上記下腿部の可動域を測定したりするのである。 そして従来、上記下肢の特定部位の可動域の左右対称性を測定する為に、専門の施術者が上記左右対称性を測定するべき被検査者の左右各々の下肢の特定部位の可動域を目測によって測定し、これら左右各々の特定部位の可動域を比較判断して上記特定部位の可動域が左右一致するかどうかを判断すると共に、上記可動域が左右一致しない場合はそれら左右の可動域の差(可動域差)を判断することで、上記下肢の左右対称性を測定していた。 〔考案が解決しようとする課題〕 上記従来技術により、上記施術者が目測によって上記左右各々の下肢の特定部位の可動域を測定し、これら左右各々の特定部位の可動域を比較判断することにより、上記下肢の可動域の左右対称性を測定できる。」 イ (20ページ14行~22ページ12行) 「次いで、第4図A及び第4図Bでは上記大腿M1を特定部位として、この特定部位の可動域を測定している様子を示している。従ってこの場合、上記体幹は上記被検査者5の上記上体Nである。まず、第4図Aのように上記被検査者5の左右の下肢のうちの右側の下肢の上記大腿M1を持ち上げるようにして上記体幹に対して屈曲せしめる。ここで、上記特定部位を上記大腿M1とした場合、上記被測定目的線S2を上記股関節から膝関節までを通る線と定めるものとする。この時、上記被検査者5の右側の上記大腿M1の上記被測定目的線S2Rは、上記下肢角度測定装置1のL側の上記角度測定線3のうちの、地表に対する角度が70°となる上記角度測定線3と上記地表に対する角度が90°となる上記角度測定線3の各々に近似的に略平行であるということができる。従って、上記角度測定線3に基づき、上記被測定目的線S2Rの角度を90°と70°の中間の80°と測定できる。 この時、上記特定部位の可動域の原点を地表に対して0°とされる角度測定板2のR側の辺9と定めた場合、上記被検査者5の右側の特定部位の可動域を100°と測定することができる。次いで第4図Bのように、上記被検査者5の左側の上記特定部位としての上記大腿M1を持ち上げるようにして上記体幹に対して屈曲せしめる。この時、上記左側の特定部位の上記被測定目的線S2Lは、上記下肢角度測定装置1のL側の上記角度測定線3のうちの地表に対する角度が65°である角度測定線3と略平行となることが明らかである。従って上記特定部位のうちの上記被検査者5の左側の特定部位の角度は65°と測定される。この時、第4図Aについて上述したようにして上記可動域を115°と測定することができる。次いで、上記被検査者5の左右各々の特定部位の可動域は上記左右の右側が100°、左側115°と測定されたので、上記被検査者5の特定部位としての上記大腿M1に関し、左右の可動域が一致せず、それら左右の可動域の可動域差は15°であると測定できる。」 そして、上記記載事項ア~イを総合すると、引用文献4には、次の事項(以下「引用文献4記載の事項」という。)が記載されていると認められる。 (引用文献4記載の事項) 「何らかの症状疾病を訴える人の人体を観察すると、上記人体の骨格が左右非対称と成っており、骨格の左右非対称を矯正することにより、疾患を治療しようとするものである、筋系帯療法によって上記人体の種々の疾患を治療できることが多数の治療例によって確認されており、 人体の全身の骨格の左右を対称にする為には、上記人体の下肢を左右対称とすることが重要であり、人体の下肢を左右対称とする為にはまず上記人体の下肢の左右対称性を測定することが必要であり、 下肢の左右対称性は、下肢の可動域の左右対称性によって測定でき、 人体の左右で大臀筋等の異常緊張(拘縮)が偏在していると、骨盤に対する大腿骨の可動域が人体の左右の大腿骨の各々で非対称となってしまい、大腿骨の可動域は下肢の大腿部の可動域として現われることが明らかであるので、大腿部の可動域の左右対称性を測定することで、大臀筋等の左右対称性を測定でき、 上記下肢の特定部位以外の上記人体の部分を体幹とした場合に体幹に対する特定部位の可動域即ち動かすことのできる範囲を測定し、 そして従来、可動域が左右一致しない場合はそれら左右の可動域の差(可動域差)を判断することで、上記下肢の左右対称性を測定していたところ、 体幹を上記被検査者5の上体Nとし、被検査者5の左右の下肢のうちの右側の下肢の大腿M1を持ち上げるようにして上記体幹に対して屈曲せしめ、被測定目的線S2を上記股関節から膝関節までを通る線と定め、上記被検査者5の右側の上記大腿M1の上記被測定目的線S2Rの角度を測定し、 次いで、被検査者5の左側の特定部位としての大腿M1を持ち上げるようにして体幹に対して屈曲せしめ、左側の特定部位の上記被測定目的線S2Lの角度を測定し、 被検査者5の特定部位としての大腿M1に関し、左右の可動域の可動域差を測定すること。」 5 本願発明と引用発明の対比 本願発明と引用発明とを分説にしたがって対比する。 (1)(構成A) 引用発明の構成aの「股可動域」、「選択する」こと、「ユーザ操作を検出」する「操作検出部15」は、それぞれ本願発明の構成Aの「可動域」、「選択すること」、「選択手段」に相当する。 ここで、本願発明の構成Aの「測定対象」について、本願の発明の詳細な説明を参照する。すると、【0046】-【0047】には、以下のとおり記載されている。 「【0046】 ここで、各測定対象を詳細に説明するとともに、各測定対象で特定される身体の箇所の一例と、画像解析方法の一例とを説明する。 【0047】 「肩関節屈曲(図5の「肩屈曲右」、「肩屈曲左」)」 肩関節屈曲では、図8及び図9に示すように、被験者100は、3次元カメラ200(不図示)に正対し、気を付けの姿勢から手のひらを内側(身体側)に向けた状態で身体の前方を経由して腕を上方に上げていく。肩屈曲右では被験者100は右腕を動作させ、肩屈曲左では被験者100は左腕を動作させる。」 また、本願の図7の左欄に「測定対象」として「肩間接屈曲」と記載されている。 そうすると、本願発明における「測定対象」には、身体の所定の部位の所定の動きが少なくとも含まれる。 上記理解に基づいて対比をすると、引用発明の「股」の「屈曲運動」は、「股」(所定の部位)の「屈曲運動」(所定の動き)であることから、本願発明の構成Aの「測定対象」に相当する。 そうすると、引用発明の構成aの 「股可動域の計測のための屈曲運動を選択するユーザ操作を検出」する「操作検出部15」「を有」することは、本願発明の構成Aの「可動域の測定対象を選択する選択手段と」「を有」することに相当する。 してみると、引用発明の構成aは、本願発明の構成Aに相当する構成を有する。 (2)(構成B) 引用発明の構成bの「腰の位置を端点としy軸負方向の線分と、腰の位置と膝の位置とを結ぶ線分との、x軸方向に直交する平面(yz平面)上になす角度」である「股の屈曲運動の能力指標」は本願発明の構成Bの「測定値」に相当する。 また、引用発明の構成bの「被験者の腰及び膝の位置情報を取得」し、「腰の位置を端点としy軸負方向の線分と、腰の位置と膝の位置とを結ぶ線分との、x軸方向に直交する平面(yz平面)上になす角度を、股の屈曲運動の能力指標として算出」することは、本願発明の構成Bの「選択された前記測定対象に対応した解析方法で解析することで、選択された前記測定対象の可動域を示す測定値を算出する」ことに相当する。 ここで、本願発明の構成Bの「被験者を撮影した画像」を「解析する」ことについて、発明の詳細な説明を参照する。すると、【0015】には、以下のとおり記載されている。 「【0015】 <第1の実施形態> まず、本実施形態の処理装置の概要を説明する。本実施形態では、図1に示すように、被験者100が所定の動きを行う様子を3次元カメラ200で撮影する。そして、3次元カメラ200で生成された画像データが処理装置に入力される。3次元カメラ200は、画素毎に、色情報に加えて、距離情報を取得することができる。3次元カメラ200は、例えばkinectである。」 そうすると、本願の「画像」とは、kinectなどの3Dカメラの「画像データ」である場合を少なくとも含む。 上記理解に基づいてさらに対比をすると、引用発明の構成bの「Kinect(登録商標)や3Dカメラのように、可視光カメラ及び深度センサが統合されたセンサとして実現され」る「三次元センサ7から得られる情報」は、本願発明の構成Bの「被験者を撮影した画像」に相当する。 したがって、引用発明の構成bの 「三次元センサ7から得られる情報に基づいて、被験者の腰及び膝の位置情報を取得」する「データ取得部11」及び「取得された位置情報に基づいて、腰の位置を端点としy軸負方向の線分と、腰の位置と膝の位置とを結ぶ線分との、x軸方向に直交する平面(yz平面)上になす角度を、股の屈曲運動の能力指標として算出」する「算出部12」は、本願発明の構成Bの「被験者を撮影した画像を、選択された前記測定対象に対応した解析方法で解析することで、選択された前記測定対象の可動域を示す測定値を算出する算出手段」に相当する。 してみると、引用発明の構成bは、本願発明の構成Bに相当する構成を有する。 (3)(構成D) 引用発明の構成dの「股の屈曲運動の能力指標」(測定値)が「左足及び右足の各々について計測され」ることは、本願発明の構成Dの「身体の左右に対応して前記測定値を2パターン算出」することに相当する。 してみると、引用発明の構成dは、本願発明の構成Dに相当する構成を有する。 (4)(構成F) 引用発明の構成fの「測定装置10」は、同構成aによれば、「いわゆるコンピュータ」であることから、本願発明の構成Fの「処理装置」に相当する。 してみると、引用発明の構成fは、本願発明の構成Fと「処理装置」である点で共通する。 そうすると、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は、以下のとおりである。 (一致点) 「A 可動域の測定対象を選択する選択手段と、 B 被験者を撮影した画像を、選択された前記測定対象に対応した解析方法で解析することで、選択された前記測定対象の可動域を示す測定値を算出する算出手段と、 D 前記算出手段は、身体の左右に対応して前記測定値を2パターン算出する、 F′処理装置。」 (相違点)(構成C、E、F) 本願発明は、 C 前記測定値に基づき、前記測定対象の状態を評価する評価手段と、を有し、 E 前記評価手段は、前記2パターンの前記測定値の差を複数レベルに分類し、当該分類結果、及び、前記レベル毎に前記測定対象の状態を定義した第1の状態定義情報を用いて、 F 前記測定対象の状態を評価する のに対し、引用発明はそのような評価を行っていない点。 6 相違点の検討 上記相違点について検討する。 引用文献4記載の事項に従来技術として示されるように、 「人体の下肢の左右対称性を測定することが必要であり、 下肢の左右対称性は、下肢の可動域の左右対称性によって測定でき、 人体の左右で大臀筋等の異常緊張(拘縮)が偏在していると、骨盤に対する大腿骨の可動域が人体の左右の大腿骨の各々で非対称となってしまい、大腿骨の可動域は下肢の大腿部の可動域として現われることが明らかであるので、大腿部の可動域の左右対称性を測定し、 上記下肢の特定部位以外の人体の部分を体幹とした場合に体幹に対する特定部位の可動域を測定し、 可動域が左右一致しない場合はそれら左右の可動域の差(可動域差)を判断」しようとすることは、従来より知られる周知の課題である。 さらに、引用発明の、 「腰の位置を端点としy軸負方向の線分と、腰の位置と膝の位置とを結ぶ線分との、x軸方向に直交する平面(yz平面)上になす角度」を「算出」し、「左足及び右足の各々について計測」することと、引用文献4記載の事項の 「体幹を上記被検査者5の上体Nとし、被検査者5の左右の下肢のうちの右側の下肢の大腿M1を持ち上げるようにして上記体幹に対して屈曲せしめ、被測定目的線S2を上記股関節から膝関節までを通る線と定め、上記被検査者5の右側の上記大腿M1の上記被測定目的線S2Rの角度を測定」すること及び「被検査者5の左側の特定部位としての大腿M1を持ち上げるようにして体幹に対して屈曲せしめ、左側の特定部位の上記被測定目的線S2Lの角度を測定」することは、いずれも身体の同じ箇所(大腿部)の可動域を左右各々について測定するものである。 そうすると、引用文献1に上記課題について記載がなくとも、大腿部の可動域である「腰の位置を端点としy軸負方向の線分と、腰の位置と膝の位置とを結ぶ線分との、x軸方向に直交する平面(yz平面)上になす角度」を「股の屈曲運動の能力指標として算出」(構成b参照)する引用発明において、上記周知の課題に対処するために、「左右の可動域の差(可動域差)」(2パターンの前記測定値の差)「を判断」(評価)することは、当業者が容易に想到することである。 そして、引用発明の「測定装置10」(処理装置)は「判定部13」を有しており、さらに構成aによれば「判定部13」は「被験者の姿勢が不適切であると判定」するものであることから、同「判定部13」が結果を判定する機能を有することは明らかである。そうすると、引用発明において、「左右の可動域の差(可動域差)」(2パターンの前記測定値の差)「を判断」(評価)することを「判定部13」(本願発明の「評価手段」に相当)にさせることは、当業者にしてみれば当然のことといえる。 ここで、引用発明において、「左右の可動域の差(可動域差)」(2パターンの前記測定値の差)「を判断」(評価)するにあたり、「適切」と「不適切」の2種別に適否判断(評価)することは、当業者であればまず考えるような、基本的かつきわめて一般的な評価手法である。このことは、引用発明の構成aにおいても、 「判定部13は、頭、肩中央、背骨、及び腰中央の骨格データに基づいて、頭、肩中央、背骨、及び腰中央のz軸上の各位置のズレ具合を算出し、 判定部13は、算出されたズレ具合が所定距離を超える場合に、体を前後に曲げているとして、被験者の姿勢が不適切であると判定し、 また、判定部13は、肩、肘、及び手の骨格データに基づいて、肘の角度を算出し、肘の角度が所定角度以下である場合に、被験者が肘を曲げているとして、被験者の姿勢が不適切であると判定し、 また、判定部13は、両肩の骨格データに基づいて、両肩を結ぶ線分とx軸とのxz平面上になす角度を算出し、その角度が所定角度を超えている場合に、動作している腕の肩を後ろ側に引いているとして、被験者の姿勢が不適切であると判定し、 判定部13は、肩、肘、及び手の骨格データに基づいて、肘の角度を算出し、肘の角度が90度未満である場合に、肘を90度に曲げていないとして、被験者の姿勢が不適切であると判定」するものであり、引用発明の「判定部13」は、「適切」と「不適切」の2種別に適否の判定(評価)をするものであるといえる。 そして、測定対象の評価手法として、値を複数レベルに分類し、当該分類結果、及び、レベル毎の定義を用いて、測定対象の状態を評価する手法は、分野を問わず使われる周知の技術であって、引用発明の構成aの、 「判定部13は、頭、肩中央、背骨、及び腰中央の骨格データに基づいて、頭、肩中央、背骨、及び腰中央のz軸上の各位置のズレ具合を算出し、 判定部13は、算出されたズレ具合が所定距離を超える場合に、体を前後に曲げているとして、被験者の姿勢が不適切であると判定し、 また、判定部13は、肩、肘、及び手の骨格データに基づいて、肘の角度を算出し、肘の角度が所定角度以下である場合に、被験者が肘を曲げているとして、被験者の姿勢が不適切であると判定し、 また、判定部13は、両肩の骨格データに基づいて、両肩を結ぶ線分とx軸とのxz平面上になす角度を算出し、その角度が所定角度を超えている場合に、動作している腕の肩を後ろ側に引いているとして、被験者の姿勢が不適切であると判定し、 判定部13は、肩、肘、及び手の骨格データに基づいて、肘の角度を算出し、肘の角度が90度未満である場合に、肘を90度に曲げていないとして、被験者の姿勢が不適切であると判定」することも、値を複数レベルに分類し、当該分類結果、及び、レベル毎の定義を用いて、測定対象の状態を評価しているものといえ、さらに、例えば特開2011-78728号公報の、 「上記のバロメータの絶対値を総称して、符号BAで表す。そうすると、バロメータδ、ε、μ、ν、σ、ξ、及ζに関しては、BA≦C0の場合、「良い」と評価し、C0<BA≦C1の場合、「正常」と評価し、C1<BA≦C2の場合、「悪い」と評価し、C2<BAの場合、「非常に悪い」と評価する。この場合、定数C0~C2は、正の整数であり、バロメータ毎に、実験や試行錯誤により定められる。」(【0255】参照)などの記載からも、値を複数レベルに分類し、当該分類結果、及び、レベル毎の定義を用いて、測定対象の状態を評価することが周知の技術であることが裏付けられる。 上記事項を考慮すれば、引用発明において「判定部13」に「左右の可動域の差(可動域差)」(2パターンの測定値の差)の適否を「判断」(評価)させるために周知の手法を採用し、引用発明の「左右の可動域の差(可動域差)」(2パターンの前記測定値の差)を、「所定の値未満」及び「所定の値以上」(複数レベル)に分類し、「所定の値未満」を「適切」とし「所定の値以上」を「不適切」とする決まり(本願発明の「レベル毎」の「測定対象の状態」の「定義」に相当)にしたがって、「左右の可動域の差(可動域差)」(2パターンの前記測定値の差)の適否を「判断」(評価)することとなるのは明らかであり、引用発明の「判定部13」にそのような「判断」(評価)をさせることは、当業者が適宜なしうる範囲を出るものではないというべきである。 また、本願発明の効果について検討しても、引用発明、引用文献4記載の技術及び周知の技術から、当業者が予測しうる範囲を出るものではない。 したがって、本願発明は、引用発明、引用文献4記載の技術及び周知の技術から当業者が容易に発明をすることができたものである。 7 請求人の主張について (1) 審判請求人は、審判請求書の「4.本願発明が特許されるべき理由」において、請求項1について以下のとおり主張している。 「<請求項1、16、17について> 拒絶査定において審査官殿は「『測定値を複数レベルに分類し、当該分類結果、及び、レベル毎に測定対象の状態を定義した第1の状態定義情報を用いて、測定対象の状態を評価する』ことは、例をあげるまでもなく周知の技術である」と認定されていますが、当該認定には承服致しかねます。 以下、その理由についてご説明致します。 拒絶査定で記載されている「測定値を複数レベルに分類し…」という構成は誤りであります。本願請求項1においては、「単なる測定値」を複数レベルに分類するのではなく、2パターンの測定値の「差」を複数レベルに分類し、当該分類結果、及びレベル毎に測定対象の状態を定義した第1の状態定義情報を用いて、測定対象の状態を評価するという構成であります。 そのため、「単なる測定値」でなく「2パターンの測定値の差」を複数レベルに分類し、当該分類結果、及び第1の状態定義情報を用いて、測定対象の状態を評価するという本願の構成は周知の技術ではございません。 また、仮に上記構成(=2パターンの測定値の差を複数レベルに分類し…という本願の構成)が周知の技術であったとしても、当該周知の技術を引用文献1に適用できる動機付けがありません。引用文献1に係る発明が解決しようとする課題は「被験者の肢体能力を正確に測定する技術を提供する(段落0008)」ことであり、「測定対象の状態を評価する技術」である上記構成を引用文献1に適用する動機付けはありません。 以上より、「2パターンの測定値の差を複数レベルに分類し、当該分類結果、及び、レベル毎に測定対象の状態を定義した第1の状態定義情報を用いて、測定対象の状態を評価する」構成は、周知の技術ではなく、仮に周知の技術であっても、当該構成を引用文献1に係る発明に適用する動機付けがありません。」 しかし、引用文献4記載の事項に従来技術として示されるように、 「人体の下肢の左右対称性を測定することが必要であり、 下肢の左右対称性は、下肢の可動域の左右対称性によって測定でき、 人体の左右で大臀筋等の異常緊張(拘縮)が偏在していると、骨盤に対する大腿骨の可動域が人体の左右の大腿骨の各々で非対称となってしまい、大腿骨の可動域は下肢の大腿部の可動域として現われることが明らかであるので、大腿部の可動域の左右対称性を測定し、 上記下肢の特定部位以外の人体の部分を体幹とした場合に体幹に対する特定部位の可動域を測定し、 可動域が左右一致しない場合はそれら左右の可動域の差(可動域差)を判断」しようとすることは、従来より知られる周知の課題である。 さらに、引用発明の 「腰の位置を端点としy軸負方向の線分と、腰の位置と膝の位置とを結ぶ線分との、x軸方向に直交する平面(yz平面)上になす角度」を「算出」し、「左足及び右足の各々について計測」することと、引用文献4記載の事項の 「体幹を上記被検査者5の上体Nとし、被検査者5の左右の下肢のうちの右側の下肢の大腿M1を持ち上げるようにして上記体幹に対して屈曲せしめ、被測定目的線S2を上記股関節から膝関節までを通る線と定め、上記被検査者5の右側の上記大腿M1の上記被測定目的線S2Rの角度を測定」すること及び「被検査者5の左側の特定部位としての大腿M1を持ち上げるようにして体幹に対して屈曲せしめ、左側の特定部位の上記被測定目的線S2Lの角度を測定」することは、引用発明及び引用文献4記載の事項いずれも、身体の同じ箇所(大腿部)の可動域を左右各々について計測するものである。 そうすると、引用文献1に上記課題について記載がなくとも、大腿部の可動域である「腰の位置を端点としy軸負方向の線分と、腰の位置と膝の位置とを結ぶ線分との、x軸方向に直交する平面(yz平面)上になす角度」を「股の屈曲運動の能力指標として算出」(構成b参照)する引用発明において、上記周知の課題に対処するために、「左右の可動域の差(可動域差)」(2パターンの前記測定値の差)「を判断」(評価)することには、動機があるというべきであり、上記周知の課題に対処するために、「左右の可動域の差(可動域差)」(2パターンの前記測定値の差)「を判断」(評価)することは、当業者が容易に想到することである。 そして、引用発明の「測定装置10」(処理装置)は「判定部13」を有しており、判定部が結果を判定する機能を有することは明らかなのだから、引用発明において、「左右の可動域の差(可動域差)」(2パターンの前記測定値の差)「を判断」(評価)することを「判定部13」(本願発明の「評価手段」に相当)にさせることが、当業者にしてみれば当然のことであること、及び、 引用発明において、「左右の可動域の差(可動域差)」(2パターンの前記測定値の差)「を判断」(評価)するにあたり、適否を「適切」と「不適切」として評価することが、当業者であればまず考えるような、基本的かつきわめて一般的な判断手法であることをふまえ、引用発明において「判定部13」に「左右の可動域の差(可動域差)」(2パターンの測定値の差)の適否を「判断」(評価)させようとすれば、引用発明において「判定部13」に「左右の可動域の差(可動域差)」(2パターンの測定値の差)の適否を「判断」(評価)させるために周知の手法を採用し、引用発明の「左右の可動域の差(可動域差)」(2パターンの前記測定値の差)を、「所定の値未満」及び「所定の値以上」(複数レベル)に分類し、「所定の値未満」を「適切」とし「所定の値以上」を「不適切」とする決まり(本願発明の「レベル毎」の「測定対象の状態」の「定義」に相当)にしたがって、「左右の可動域の差(可動域差)」(2パターンの前記測定値の差)の適否を「判断」(評価)することとなるのは明らかであり、引用発明の「判定部13」にそのような「判断」(評価)をさせることは、当業者が適宜なしうる範囲を出るものではないというべきであることは、上記「6 相違点の検討」にて説示のとおりである。 してみると、審判請求人の上記主張を採用して、本願について特許をすべき旨の審決とすることはできない。 8 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願の請求項1以外の請求項については検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-010331

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