2022-010276
液晶表示装置を使用するホログラム表示
- 審判番号
- 2022-010276
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-137104外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年07月01日
- 審決日
- 2023年09月13日
- 公報発行日
- 2024年03月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】デュアリタス リミテッド
- 【請求人代理人】廣瀬 隆行
- 【請求人代理人】関 大祐
- 分類
- P18 .575-Z (G09G) / P18 .121-Z (G09G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
結論
理由
目次 ▾ 11項目
第1 手続の経緯
折りたたみ中(クリックで表示)
本願は、令和2年8月14日の外国語書面出願であって(パリ条約による優先権主張 2019年9月27日 英国)、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
(同年 3月 8日 :原査定の謄本の送達)
同年 7月 1日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和4年7月1日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和4年7月1日にされた手続補正を却下する。
[補正の却下の決定の理由]
1 本件補正の内容
令和4年7月1日にされた特許請求の範囲についての補正(以下「本件補正」という。)は、次の(1)に示す本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載を引用する請求項5の記載を、後記の(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正することを含むものである。下線は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項5からの実質的な補正箇所を示す。
(1) 本件補正前の請求項1及び請求項5
「【請求項1】複数のピクセルを備える液晶表示パネルと、表示エンジンによって定義された複数の表示間隔の各表示間隔中に、駆動信号に従って前記複数のピクセルの各ピクセルを駆動するように構成された前記表示エンジンであって、前記表示エンジンが、n回の表示間隔ごとに前記駆動信号の極性を反転するように構成され、nが整数であるものと、表示用のマルチレベル位相ホログラムのシーケンスを前記表示エンジンに送信するように構成されたホログラムエンジンとを備え、前記表示エンジンが、それぞれの表示間隔で前記シーケンスの各マルチレベル位相ホログラムを表示するように構成され、前記シーケンスの前記マルチレベル位相ホログラムを表示するために使用される前記表示間隔が直接連続し、それぞれの連続するマルチレベル位相ホログラムは対応する異なる画像に対応する、表示装置。」
「【請求項5】請求項1から4のいずれか一項に記載の表示装置と、各ホログラムに対応するホログラフィック復元が前記表示装置から空間的に分離された再生面上に形成されるように、対応する前記表示間隔中に各ホログラムを照らすように構成された光源とを備える、ホログラフィックプロジェクタ。」
(2) 本件補正後の請求項1
「【請求項1】光源と表示装置を備えるホログラフィックプロジェクタであって、前記表示装置は、複数のピクセルを備える液晶表示パネルと、続きを表示(全12行)表示エンジンによって定義された複数の表示間隔の各表示間隔中に、駆動信号に従って前記複数のピクセルの各ピクセルを駆動するように構成された前記表示エンジンと、表示用のマルチレベル位相ホログラムのシーケンスを前記表示エンジンに送信するように構成されたホログラムエンジンとを備え、前記表示エンジンが、それぞれの表示間隔で前記シーケンスの各マルチレベル位相ホログラムを表示するように構成され、前記シーケンスの前記マルチレベル位相ホログラムを表示するために使用される前記表示間隔が直接連続するものであり、前記光源は、各ホログラムに対応するホログラフィック復元が前記表示装置から空間的に分離された再生面上に形成されるように、対応する前記表示間隔中に各ホログラムを照らすように構成されたものであり、前記シーケンスのそれぞれの連続するマルチレベル位相ホログラムは異なるそれぞれの画像に対応し、前記表示エンジンは、n回の表示間隔ごとに前記駆動信号の極性を反転するように構成され、ここでnは整数であり、前記駆動信号の極性は、それぞれのマルチレベル位相ホログラムが表示されるどの表示間隔中においても変化せず、かつ、表示されたマルチレベル位相ホログラムに対応する前記画像が、連続する表示間隔ごとに変化するホログラフィックプロジェクタ。」
2 本件補正の目的
(1) 本件補正のうち、請求項1の補正は、本件補正前の請求項1を削除して、請求項1の記載を引用する請求項5を独立形式請求項として新たな請求項1とし、また実質的に「前記駆動信号の極性は、それぞれのマルチレベル位相ホログラムが表示されるどの表示間隔中においても変化せず、かつ、表示されたマルチレベル位相ホログラムに対応する前記画像が、連続する表示間隔ごとに変化する」ことを限定するものである。
(2) そして、本件補正前の請求項5に記載された発明と、本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
(3) よって、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
3 独立特許要件についての当審の判断
本件補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するから、本件補正後における請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて、以下検討を行う。
(1) 本件補正発明
本件補正発明は、前記1(2)に摘記した本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。
(2) 引用文献に記載された事項及び引用発明等の認定
ア 引用文献1に記載された事項、引用文献1の記載から認定した事項及び引用発明の認定
(ア) 引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された文献である特表2008-544306号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている。下線は合議体が付した。以下同様である。
a 段落【0001】~【0006】
「【技術分野】【0001】本発明は、ホログラフィ技術を使用してイメージを表示するための信号処理システムのハードウェア・アクセラレーションに関する。【背景技術】続きを表示(全14行)【0002】2003年12月15日に出願し、現在、WO2005/059881として公開されている、英国特許出願GB0329012.9(参照により全体が本明細書に組み込まれている)において、複数のビデオ・フレームを含むホログラフィで生成されたビデオ・イメージを表示する方法について、以前に説明しており、方法は、各フレーム期間にわたって、それぞれの順次の複数のホログラムを提供すること、および、それらの複数のビデオ・フレームのホログラムを、ホログラムの再生フィールドを見るために表示することを含み、各フレームのノイズ変化は、それらの複数のホログラムにわたって平均することによって減衰されたものとして知覚される。【0003】大まかに言って、本方法の実施形態は、SLM(空間光変調器)を介してスクリーン上に光を投射ことにより、イメージを表示することを目的とする。SLMは、表示されるべきイメージのホログラムを近似するホログラフィ・データで変調されるが、このホログラフィ・データは、特別な方法で選択され、表示されるイメージは、SLMをそれぞれのサブフレーム・ホログラムで変調することによってそれぞれが生成された、複数の時間的サブフレームで構成される。これらのサブフレームは、連続的に、十分に高速に表示され、したがって、(人間の)観察者の目には、これらのサブフレーム(それぞれが、表示されたイメージの空間的広がりを有する)が一緒に一体化されて、表示のための所望されるイメージが作成される。【0004】サブフレーム・ホログラムのそれぞれは、それ自体、例えば、ホログラフィ・データを2(バイナリ)以上の位相に量子化することの結果、比較的ノイズがあることがあるが、サブフレームの間で時間平均を行うことが、知覚されるノイズ・レベルを低減する。そのようなシステムの実施形態は、各フレームが、別々に見られたとすると、比較的ノイズがあるように見えても、視覚的に高品質の表示を提供することができる。【0005】以上のようなスキームは、単一のホログラムを使用して、表示されるイメージを正確に再現しようと試みるスキームと比べて、より少ない計算要件という利点を有し、比較的安価なSLMの使用を促進もする。【0006】この場合、SLMは、一般に、振幅変調ではなく、位相変調を提供し、例えば、0とπ(一単位の正規化された振幅に関して+1と-1)の相対位相偏移を提供するバイナリ・デバイスを提供することが理解されよう。しかし、好ましい実施形態では、バイナリ変調だけを使用すると、ホログラムが、一方が他方に対して空間的に逆にされたイメージ・ペアをもたらし、利用可能な光の半分を失うのに対して、位相レベルの数が2より大きいマルチレベル位相変調を使用すると、この第2のイメージが除去されることが可能であるので、2つより多くの位相レベル、例えば、4位相変調(0、π/2、π、3π/2)が、使用される。さらなる詳細は、参照により全体が本明細書に組み込まれている、本発明人らの、より早期の出願GB0329012.9(前掲)において見られることが可能である。」
b 段落【0007】~【0014】
「【発明の開示】【発明が解決しようとする課題】【0007】本方法の実施形態は、従前のホログラフィ表示方法ほど計算リソースを多く使用しないが、それでも、一般に、低減された費用および/または電力消費、および/または、より高いパフォーマンスを伴うシステムを提供することが望ましい。限られたフレーム期間内に一続きのイメージ・フレームのそれぞれを表示するようにデータを処理するという要件を一般に有するビデオ用途のためにシステムの改良を提供することが、特に望ましい。続きを表示(全19行)【課題を解決するための手段】【0008】本発明によれば、したがって、ホログラフィ・イメージ表示システムのためのハードウェア・アクセラレータが提供され、イメージ表示システムは、複数のホログラフィで生成された時間的サブフレームを使用して、表示されるイメージを生成するように構成され、前記時間的サブフレームは、サブフレームが、単一の低ノイズ・イメージとして知覚されるように、時間的に順次に表示され、それぞれの前記サブフレームは、ホログラフィ・データで、前記ホログラフィ・データによって定義されるホログラムの再生が、前記サブフレームを定義するように、空間光変調器を変調することにより、ホログラフィで生成され、ハードウェア・アクセラレータは、前記表示されるイメージを定義するイメージ・データを格納する入力バッファと、前記サブフレームに関するホログラフィ・データを格納する出力バッファと、前記入力データ・バッファおよび前記出力データ・バッファに結合されて、前記イメージ・データを処理して、前記サブフレームに関する前記ホログラフィ・データを生成する少なくとも1つのハードウェア・データ処理モジュールと、前記少なくとも1つのハードウェア・データ処理モジュールに結合されて、前記少なくとも1つのデータ処理モジュールを制御して、単一の前記表示されるイメージに関するイメージ・データに対応する複数の前記サブフレームに関するホログラフィ・データを、前記出力データ・バッファに供給するコントローラとを含む。【0009】好ましくは、複数のハードウェア・データ処理モジュールが、複数のサブフレームに関するデータを並行に処理するために含められる。好ましい実施形態では、ハードウェア・データ処理モジュールは、入力データ・バッファに結合され、少なくとも部分的にランダムな位相データを、好ましくは、含む入力に応答して、イメージのピクセルの位相を変調する位相変調データ入力を有する位相変調器を含む。このデータは、オンザフライで生成されても、不揮発性データ・ストアから供給されてもよい。位相変調器は、好ましくは、入力データ・バッファからのピクセル・データに入力位相変調データを掛ける少なくとも1つの乗算器を含む。単純な実施形態では、乗算器は、単に、入力データの符号を変える。【0010】いくつかの実施形態において、位相変調器の出力は、フーリエ変換モジュールまたは逆フーリエ変換モジュールなどの空間-周波数変換モジュールに供給される。後段で説明されるホログラフィ・サブフレーム生成手続きの文脈において、これら2つの演算は、実質的に均等であり、事実上、スケール・ファクタだけが異なる。他の実施形態では、他の空間-周波数変換が使用されることが可能である(一般に、周波数とは、空間的位置またはピクセル・イメージ・データから導き出される空間周波数データを指す)。一部の好ましい実施形態では、空間-周波数変換モジュールは、位相変調されたイメージ・データ(の空間的分布)の2次元フーリエ変換を実行する、フィードバックを有する1次元フーリエ変換モジュールを含む。このことは、ハードウェアを簡略化し、例えば、先に行を処理し、次に列を処理すること(または先に列を処理し、次に行を処理すること)を可能にする。【0011】好ましい実施形態では、ハードウェア・データは、変換モジュールの出力に結合されて、ホログラフィ・サブフレーム・データを量子化して、サブフレームに関するホログラフィ・データを出力バッファに供給する量子化器も含む。量子化器は、2つ、4つ、またはそれより多くの(位相)レベルに量子化することがある。好ましい実施形態では、量子化器は、ホログラフィ・サブフレーム・データの実成分と虚成分を量子化して、出力バッファのためにサブフレーム・ペアを生成するように構成される。このため、一般に、空間-周波数変換モジュールの出力は、複素平面にわたる複数のデータ・ポイントを含み、この平面は、実軸のあるポイント(例えば、0)において閾値化されて(量子化されて)、複素平面が、2つの半分に分割され、したがって、バイナリの量子化されたデータの第1の組が生成され、次いで、虚軸上のあるポイント、例えば、0jにおいて量子化されて、複素平面が、さらなる2つの領域(0より大きい複素成分、0より小さい複素成分)に分割されてもよい。サブフレームの数が多いほど、全体的なノイズは少なくなるので、以上のことは、さらなる利点を提供する。【0012】好ましくは、入力バッファと出力バッファのいずれか、または両方が、デュアル・ポート型メモリを含む。【0013】一部の特に好ましい実施形態において、ホログラフィ・イメージ表示システムは、ビデオ・イメージ表示システムを含み、表示されるイメージは、ビデオ・フレームを含む。【0014】本発明は、前述したとおり、ハードウェア・アクセラレータを含むホログラフィ・イメージ表示システムをさらに提供する。」
c 段落【0018】~【0019】、【図1】、【図2】
「【0018】図1は、ホログラフィ・イメージ表示システムのためのハードウェア・アクセラレータの実施形態のブロック図を示す。このシステムへの入力は、好ましくは、コンピュータなどの源からのイメージ・データであるが、他の源も同様に適用可能である。入力データが、1つまたは複数の入力バッファの中に一時的に格納されて、このプロセスに関する制御信号は、システム内部の1つまたは複数のコントローラ・ユニットから供給される。各入力バッファは、好ましくは、データが、入力バッファに書き込まれることと、データが、入力バッファから読み出されることが同時に行われるように、デュアル・ポート・メモリを含む。図1に示される入力バッファからの出力は、Iというラベルが付けられたイメージ・フレームであり、この出力が、ハードウェア・ブロックへの入力となる。図2を使用して、より詳細に説明されるハードウェア・ブロックは、前述したイメージ・フレームのそれぞれに対して一連の操作を実行し、各イメージ・フレームに関して、1つまたは複数のホログラフィ・サブフレームhをもたらし、サブフレームhは、1つまたは複数の出力バッファに送られる。各出力バッファは、好ましくは、デュアル・ポート・メモリを含む。そのようなサブフレームは、前述した出力バッファから出力されて、オプションとして、ドライバ・チップを介して、SLMなどのディスプレイ・デバイスに供給される。このプロセスが制御される制御信号は、1つまたは複数のコントローラ・ユニットから供給される。制御信号は、好ましくは、ビデオ・フレーム期間当たり、1つまたは複数のホログラフィ・サブフレームが生成されて、SLMに送られることを確実にする。ある実施形態において、コントローラから入力バッファと出力バッファの両方に伝送される制御信号は、読み取り/書き込み選択信号であるのに対して、コントローラとハードウェア・ブロックの間の信号は、様々なタイミング情報、初期設定情報、およびフロー制御情報を含む。【0019】図2は、図1で説明されるハードウェア・ブロックの実施形態を示し、そのブロックに供給される各イメージ・フレームに関して、1つまたは複数のホログラフィ・サブフレームを生成するように設計されるハードウェア要素の組を含む。そのような実施形態では、好ましくは、1つのイメージ・フレームIxyが、ビデオ・フレーム期間当たり1回または複数回、ハードウェア・ブロックへの入力として供給される。そのようなイメージ・フレームの源は、図1に示されるとおり、1つまたは複数の入力バッファであってもよい。各イメージ・フレームIxyが、次いで、使用されて、以下の1つまたは複数、すなわち、位相変調段、空間-周波数変換段、および量子化段を含む操作の組を用いて、1つまたは複数のホログラフィ・サブフレームが生成される。いくつかの実施形態では、Nが、1以上である、N個のサブフレームの組が、前述した操作の1つの順次の組、または異なるサブフレームに並行に作用する、そのような操作のいくつかの組、あるいはこれら2つのアプローチの混合を使用することにより、フレーム期間当たり、生成される。」
「【図1】[図:0001407129000001.jpg]」
「【図2】[図:0001407129000002.jpg]」
d 段落【0051】~【0058】、【図15a】、【図15b】
「【0051】図15aは、前述したとおり、ハードウェア・アクセラレータ100を組み込んだホログラフィ・イメージ表示システムを示す。ハードウェア・アクセラレータ100は、例えば、表示されるべきイメージを定義する家庭用電子機器から、イメージ・データを受け取る入力102を有する。ハードウェア・アクセラレータ100は、再生フィールド(RPF)において表示されるイメージ14の印象を一緒になって与える、複数の位相ホログラム・サブフレームを投影するよう、SLM24を駆動する。【0052】より詳細には、レーザ・ダイオード20(例えば、532ナノメートルにおける)が、ピクセル化された液晶変調器などの空間光変調器24に、実質的に平行化された光22を与える。SLM24は、光22をホログラムで変調し、位相変調された光が、縮小光学系26に与えられる。図示される実施形態において、光学系26は、距離f1÷f2で離間された、それぞれの焦点距離f1、f2、f1<f2を有するレンズのペア28、30を含む。光学系26(不可欠ではない)は、図示されるとおり、表示されるイメージを形成する光を発散させることにより、投影されるホログラフィ・イメージのサイズを大きくする。続きを表示(全16行)【0053】レンズL1およびL2(焦点距離f1およびf2をそれぞれ有する)が、ビーム拡大ペアを形成する。このペアは、光源からのビームを拡大して、ビームが、変調器の表面全体に及ぶようにする。ビーム22とSLM24の相対サイズに依存して、これは、省かれてもよいことが当業者には理解されよう。レンズ・ペアL3およびL4(焦点距離f3およびf4をそれぞれ有する)が、縮小レンズ・ペアを形成し、事実上、縮小望遠鏡を形成する。このペアは、事実上、変調器のピクセル・サイズを小さくし、これにより、回折角を大きくする。その結果、イメージ・サイズが、大きくなる。イメージ・サイズの増大は、それぞれ、レンズL3およびL4の焦点距離であるf3対f4の比と等しい。また、他の光学構成が、この効果を実現するのに使用されることも可能であることが、当業者には理解されよう。また、いくつかの実施形態において、フィルタが、含められて、イメージを表示するためのホログラムが、どのように生成されるかに応じて、表示されるイメージの不要な部分、例えば、明るい(0次の)回折されていないスポット、または表示されるイメージの上下反対のバージョンとして現れることがある、繰り返される1次のイメージもしくは共役イメージを濾過して除いてもよい。オプションとして、1つまたは複数のレンズが、参照により全体が本明細書に組み込まれている、2006年3月28日に出願された英国特許出願GB0606123.8で説明されるとおり、ホログラムにおいて符号化されて光学系のサイズが小さくされることを可能にする。【0054】赤のレーザ、緑のレーザ、および青のレーザからの表色系光ビームが、一般的なSLM(時間多重)によって組み合わされて、変調されてもよい。カラー表示を実施するための技術は、やはり、参照により全体が本明細書に組み込まれている、2006年6月2日に出願された英国特許出願GB0610784.1において、より詳細に説明されている。【0055】図15bは、表示されるイメージ14を投影する、前述したハードウェア投影モジュール12を組み込んだ例示的な家庭用電子機器10を示す。【0056】2次元イメージが、時間的サブフレームが、単一の低ノイズ・イメージとして知覚されるように、時間的に順次に表示される、ホログラフィで生成された複数の時間的サブフレームを使用して生成される手続きを実施するように構成されたホログラフィ・イメージ表示ハードウェアの実施形態を説明してきた。OSPR(One Step Phase Retrieval)と広く呼ぶ例示的な手続きを説明してきた。しかし、厳密に言って、一部の実施形態では、複数のステップが使用されるものと考えられることが可能なOSPRタイプの手続きも説明してきた。説明してきたホログラフィ・イメージ表示ハードウェアは、これらの手続きを実施するのにも適しており、これらの手続きの例は、参照によりともに全体が本明細書に組み込まれている、2005年9月16日に出願されたGB0518912.1、および2006年1月25日に出願されたGB0601481.5において説明されている。【0057】大まかに言って、前述の2つの特許出願の1番目の出願において、1つのサブフレームにおける「ノイズ」は、後続のサブフレームにおいて補償されて、所与のイメージ品質のために要求されるサブフレームの数が、減らされることが可能であるようになる。より詳細には、各サブフレームのノイズが、前に表示されたサブフレームからの累積的ノイズを補償するように、フィードバックが、使用される。2番目の出願において、あるサブフレームを表示するのに使用されるより高い解像度で、ホログラフィ・サブフレーム・データを計算することにより、位相により誘起された誤差が、発生させられた誤差を補償するようにイメージのピクセルに関するターゲット位相データを調整することにより、補償されることが可能である。好ましくは、この調整は、実質的に平坦な空間スペクトルの所望の要件が満たされるように、実行される。【0058】前述したホログラフィ・イメージ表示ハードウェアに関する応用先には、以下が含まれるが、以下には限定されない。すなわち、移動電話機、PDA、ラップトップ、デジタル・カメラ、デジタル・ビデオ・カメラ、ゲーム・コンソール、車内シネマ、パーソナル・ナビゲーション・システム(車内GPSまたは腕時計GPS)、自動車または航空機に関するヘッドアップ・ディスプレイ/ヘルメット搭載型ディスプレイ、腕時計、パーソナル・メディア・プレーヤ(例えば、MP3プレーヤ、パーソナル・ビデオ・プレーヤ)、ダッシュボード装着型ディスプレイ、レーザ光ショー・ボックス、パーソナル・ビデオ・プロジェクタ(「ビデオiPod(RTM)」)、広告-看板システム、コンピュータ(デスクトップを含む)、およびリモート・コントロール・ユニットである。」
「【図15a】[図:0001407129000003.jpg]」
「【図15b】[図:0001407129000004.jpg]」
(イ) 引用文献1の記載から認定した事項
引用文献1の【0055】及び【図15b】の記載から、ハードウェア投影モジュール12を組み込んだ家庭用電子機器10が、スクリーンにイメージ14を投影して、表示するものであることが読みとれる。
(ウ) 引用発明の認定
前記(ア)において摘記した事項及び前記(イ)において認定した事項を総合すると、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
[引用発明]
「ホログラフィ・イメージ表示システムであって、(【0008】)ホログラフィ・イメージ表示システムは、ビデオ・イメージ表示システムを含み、表示されるイメージは、ビデオ・フレームを含み、(【0013】)SLM(空間光変調器)を介してスクリーン上に光を投射することにより、イメージを表示するものであり、SLMは、表示されるべきイメージのホログラムを近似するホログラフィ・データで変調され、続きを表示(全13行)表示されるイメージは、SLMをそれぞれのサブフレーム・ホログラムで変調することによってそれぞれが生成された、時間的サブフレームで構成され、これらのサブフレームは、連続的に、十分に高速に表示され、したがって、(人間の)観察者の目には、これらのサブフレーム(それぞれが、表示されたイメージの空間的広がりを有する)が一緒に一体化されて、表示のための所望されるイメージが作成されるものであり、(【0003】)SLMは、位相変調を提供し、位相レベルの数が2より大きいマルチレベル位相変調、例えば、4位相変調(0、π/2、π、3π/2)が、使用され、(【0006】)ホログラフィ・イメージ表示システムのためのハードウェア・アクセラレータは、前記表示されるイメージを定義するイメージ・データを格納する入力バッファと、前記サブフレームに関するホログラフィ・データを格納する出力バッファと、前記入力データ・バッファおよび前記出力データ・バッファに結合されて、前記イメージ・データを処理して、前記サブフレームに関する前記ホログラフィ・データを生成する少なくとも1つのハードウェア・データ処理モジュールと、前記少なくとも1つのハードウェア・データ処理モジュールに結合されて、前記少なくとも1つのデータ処理モジュールを制御して、単一の前記表示されるイメージに関するイメージ・データに対応する複数の前記サブフレームに関するホログラフィ・データを、前記出力データ・バッファに供給するコントローラとを含み、(【0008】)ハードウェア・アクセラレータ100を組み込んだホログラフィ・イメージ表示システムにおいて、ハードウェア・アクセラレータ100は、例えば、表示されるべきイメージを定義する家庭用電子機器から、イメージ・データを受け取る入力102を有し、再生フィールド(RPF)において表示されるイメージ14の印象を一緒になって与える、複数の位相ホログラム・サブフレームを投影するよう、SLM24を駆動するものであり、(【0051】)レーザ・ダイオード20が、ピクセル化された液晶変調器などの空間光変調器24に、実質的に平行化された光22を与え、SLM24は、光22をホログラムで変調し、位相変調された光が、縮小光学系26に与えられ、光学系26は、表示されるイメージを形成する光を発散させることにより、投影されるホログラフィ・イメージのサイズを大きくするものであり、(【0052】)レンズL1およびL2(焦点距離f1およびf2をそれぞれ有する)が、ビーム拡大ペアを形成し、このペアは、光源からのビームを拡大して、ビームが、変調器の表面全体に及ぶようにするものであり、レンズ・ペアL3およびL4(焦点距離f3およびf4をそれぞれ有する)が、縮小レンズ・ペアを形成し、事実上、縮小望遠鏡を形成し、このペアは、事実上、変調器のピクセル・サイズを小さくし、これにより、回折角を大きくして、その結果、イメージ・サイズが、大きくなるものであり、(【0053】)ハードウェア投影モジュール12を組み込んだ家庭用電子機器10が、スクリーンにイメージ14を投影して、表示する、(前記(イ)の認定事項)ホログラフィ・イメージ表示システム。」
イ 引用文献5に記載された事項と周知技術1の認定
(ア) 引用文献5に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された文献である特表2008-506975号公報(以下「引用文献5」という。)には、次の事項が記載されている。
a 段落【0018】~【0019】、【図1】
「【0018】図1は、透過型ディスプレイ装置1を概略的に示している。ディスプレイ装置1は、3つのカラーフィルタ2、4、6と、異なるスペクトルで光を放出することができる2つの選択可能な光源8、10と、画像素子の形式で複数の“光弁”を有する液晶光弁層12とを有する。3つのサブピクセル16、18、20を有する1つの画像素子14が図1に図示されており、それぞれの設定に応じて光が送出されることを許容又は抑制する。透過型ディスプレイ1は、画像コントローラ22とディスプレイコントローラ24とを更に有する。【0019】表示されるカラー画像Pに関係する情報のセットS(フレームとも呼ばれる)は、コンピュータ又はテレビ受信機のような源から画像コントローラ22に送出される。画像コントローラは、情報のセットSを第1のサブフレームAと第2のサブフレームBとに分割する。第1のサブフレームAは、第1の光源8を活性化するときに使用されるサブピクセル16、18、20の設定に関係し、第2のサブフレームBは、第2の光源10を活性化するときに使用されるサブフレーム16、18、20の設定に関係する。第1のサブフレームA及び第2のサブフレームBは、ディスプレイコントローラ24に送出される。ディスプレイコントローラ24は、サブフレームA、Bを変換し、画像素子制御信号26をサブピクセル16、18、20に送出し、光源制御信号28、30を光源8、10に送出し、第1の光源8の活性化と同時にサブフレームAによる設定を維持するようにサブピクセル16、18、20に指示し、次に、第2の光源10の活性化と同時にサブフレームBによる設定を維持するようにサブピクセル16、18、20に指示する。画像が動画であるか静止画像であるかにかかわらず、新規のセットSが常に特定の周波数で画像コントローラ22に送出されることがわかる。」
「【図1】[図:0001407129000005.jpg]」
b 段落【0021】~【0023】、【図3】
「【0021】図3は、従来技術のディスプレイパネルの画像素子についてのいわゆる反転方式(inversion scheme)を示している。液晶ディスプレイパネルは、液晶分子を有する複数の画像素子を有する。実際の画像素子を通じた光の透過及びその光の色は、望ましいように液晶分子を配向させるために、ディスプレイコントローラにより提供される信号に従って各画像素子のサブピクセルのそれぞれに電場を印加することにより制御される。しかし、液晶分子を配向させるために印加される直流(DC)電場は、いわゆる“残像(image sticking)”を生じる。残像は、電場が変化した後でも画像素子がある時間に1つの方向に残る傾向にあることを意味する副作用に関係する。従って、第1の画像がある時間にディスプレイパネルに“残る”傾向にあるため、残像は、第1の画像の表示から他の画像の表示に切り替わるときに、遅い応答を生じる。おそらく、これは、電場の影響で移動して、これによって画像素子で多かれ少なかれ永続する偏光を生じるイオン及び他の不純物のためである。更に、偏光は、画像素子に致命的な損傷を生じ、これによってディスプレイ装置の寿命を減少させることがある。【0022】残像を回避するために、画像素子に印加される電場は、画像素子の何らかの部分でのイオンの蓄積が妨げられるように、通常では交流(AC)を印加することにより、符号(負電圧/正電圧)を変化させる。液晶分子の方向及び実際の画像素子を通じた光の透過は、電場の大きさに依存し、電場の符号には依存しない。電場の符号の変化は“反転(inversion)”と呼ばれる。図3は、従来技術のディスプレイパネルで、第2の画像P2に関する画像情報を有する次の第1のサブフレームX2及び次の第2のサブフレームY2が後続する、第1の画像P1に関する画像情報を有する第1のサブフレームX1及び第2のサブフレームY1のシーケンスを示している。第2の画像P2は、第1の画像P1と同じでもよく、異なってもよい。個々の画像素子に印加される電場は、“+”で表す正の電場と“-”で表す負の電場との間で交互に変化する。図3に示す反転方式では、負の電場“-”にさらされるものと同じ数の正の電場“+”にさらされる画像素子が常に存在する。この種類の反転方式は、各画像素子“ドット(dot)”の極性が個々にシフトされるため、ドット反転方式と呼ばれる。【0023】図3に示す従来技術は、WO2004/032523A1に記載の形式のカラーディスプレイ装置で、電場の反転にもかかわらず、遅い応答が生じ得るというリスクを提供することが発見された。この理由は、第1のサブフレームX1、X2が常に同一の反転モードと一致するが、第2のサブフレームY1、Y2が常に反対の反転モードと一致することにあることがわかっている。第1のサブフレームX1、X2及び第2のサブフレームY1、Y2は、少なくとも全ての画像素子ではなくても、画像素子の設定に関して同一ではないため、ある画像素子が、極性が“+”である場合に第1のサブフレームX1、X2で大きい電場にさらされ、極性が“-”である場合に第2のサブフレームY1、Y2で小さい電場にさらされる可能性があり、この逆も同様であるという特定のリスクが存在する(理解を容易にするために、図3では画像素子が点線の矩形で印を付けられている)。ある画像素子の電場の大きさが反対の極性のものより1つの極性で大きいという事実の最終結果は、画像素子のいくつかが正味の直流(DC)の増大(net direct current build up)を受け、極性のシフトにもかかわらず画像素子の偏光を生じることになる。前述の“残像効果”のような、また、“残像”にある程度似ている原理による遅い応答及び減少した寿命を生じ得る問題は、静止画像を示す場合には、全ての第1のサブフレームX1、X2及び全ての第2のサブフレームY1、Y2が同一であるため、増加する。遅い応答を生じることに加えて、従来技術はまた、ちらつきの問題を生じる。第1の極性と共に表示される画像は、第2の極性と共に表示される画像と実際には100%の同じ強度を有するとは限らない。前述のように画像素子が正味の直流の増大にさらされると、2つの極性の間の強度差が増加することになり、可視のちらつきを生じる。」
「【図3】[図:0001407129000006.jpg]」
c 段落【0024】、【図4】
「【0024】図4は、本発明の第1の実施例を示している。この実施例では、ディスプレイコントローラ24により信号26でサブピクセル16、18、20に送出される反転方式は、液晶光弁層12の各画像素子14が、第1の画像P1に関する画像情報を有する第1のサブフレームA1と第2のサブフレームB1との双方の間で同じ極性(例えば“+”)を維持するように修正される。従って、各画像素子14の極性は、サブフレームA、Bが送出される周波数の半分の頻度に変更される。すなわち、極性がシフトする周波数は、サブフレームが送出される周波数を2で割ったものに等しくなる。従って、各画像素子14が、第2の画像P2に関する画像情報を有する次のサブフレームのセットA2、B2の間に反対の極性(例えば“-”)を有するように、極性が切り替えられる。従って、全ての第1のサブフレームが同じ極性(例えば“+”)で表示され、偏光及び遅い応答のリスクを生じ得るという従来技術の問題が回避される。図4に示す反転方式では、液晶光弁層12の全ての画像素子が同じ符号を有する。これは“フィールド反転方式(field inversion scheme)”と呼ばれる。」
「【図4】[図:0001407129000007.jpg]」
(イ) 周知技術1の認定
前記(ア)に摘記した事項(特に段落【0024】、【図4】)に例示されるように、次の事項は当業者にとって周知技術であったと認められる(以下「周知技術1」という)。
[周知技術1]
「表示装置の表示素子を、所定の表示間隔ごとに駆動信号の極性を反転して駆動し、また駆動信号の極性が、1つの画像フレームが表示される期間のどのサブフレーム期間中においても変化しないようにすること。」
(3) 対比・判断
ア 対比
本件補正発明と引用発明を対比する。
(ア)a 引用発明の「レーザ・ダイオード20」は、本件補正発明の「光源」に相当し、引用発明の「スクリーンにイメージ14を投影して、表示する」「ハードウェア投影モジュール12を組み込んだ家庭用電子機器10」は、本件補正発明の「表示装置」に相当する。
b また、引用発明の「ホログラフィ・イメージ表示システム」は、「スクリーンにイメージ14を投影して、表示している」から、本件補正発明の「ホログラフィックプロジェクタ」に相当する。
c したがって、本件補正発明と引用発明は、「光源と表示装置を備えるホログラフィックプロジェクタ」の発明である点において一致する。
(イ) 引用発明においては、「レーザ・ダイオード20が、ピクセル化された液晶変調器などの空間光変調器24に、実質的に平行化された光22を与え、SLM24は、光22をホログラムで変調し、位相変調された光が、縮小光学系26に与えられ、光学系26は、表示されるイメージを形成する光を発散させることにより、投影されるホログラフィ・イメージのサイズを大きく」し、「SLM(空間光変調器)を介してスクリーン上に光を投射することにより、イメージを表示する」から、引用発明の「ピクセル化された液晶変調器などの空間光変調器24」は、本件補正発明の「複数のピクセルを備える液晶表示パネル」に相当する。
(ウ)a 本件補正発明の「表示間隔」について、本願の明細書の段落【0018】には「「表示間隔」という用語は、本明細書では、表示装置のピクセルがリフレッシュされ得る最短の時間ウィンドウを指すために使用される。液晶表示装置のリフレッシュレートは、ビデオを表示するために必要なフレームレートよりも大きい場合がある。したがって、表示装置の各液晶ピクセルは、同じ画像フレームの表示中に複数回駆動される場合がある。したがって、ビデオを構成する画像フレームのシーケンスの各画像フレームは、複数のサブフレームに分割される場合がある。したがって、ビデオレート表示のコンテキストでは、「表示間隔」という用語はサブフレームの持続時間を指す。」と記載されており、当該記載を踏まえると、本件補正発明の「表示間隔」は、表示装置のピクセルがリフレッシュされ得る最短の時間ウィンドウを指し、ビデオフレームのサブフレームの時間を意味すると解するのが相当である。
b 引用発明においては、「表示されるイメージは、SLMをそれぞれのサブフレーム・ホログラムで変調することによってそれぞれが生成された、時間的サブフレームで構成され」ているから、前記aを踏まえると、引用発明の「表示されるイメージ」を構成する「時間的サブフレーム」の期間は、本件補正発明の「表示間隔」に相当する。
c 引用発明の「SLM」は、「ピクセル化された液晶変調器などの空間光変調器24」であり、各サブフレーム中に、サブフレーム・ホログラムで変調するために各ピクセルを駆動する駆動信号に従って制御されているといえるから、技術常識を踏まえると、引用発明は、そのための表示制御手段(ドライバ)を備えていることは明らかであって、上記表示制御手段は、本件補正発明の「複数の表示間隔の各表示間隔中に、駆動信号に従って前記複数のピクセルの各ピクセルを駆動するように構成された表示エンジン」に相当する。
d 引用発明においては、「SLMをそれぞれのサブフレーム・ホログラムで変調することによって」「時間的サブフレーム」の「それぞれが生成」されるから、引用発明の「時間的サブフレーム」の各「サブフレーム」の期間は、SLMにおける変調を制御する上記表示制御手段(本件補正発明の「表示エンジン」に相当)によって規定されるものであるといえる。
e したがって、本件補正発明と引用発明は、「表示エンジンによって定義された複数の表示間隔の各表示間隔中に、駆動信号に従って前記複数のピクセルの各ピクセルを駆動するように構成された前記表示エンジン」を備える点で一致する。
(エ)a 引用発明の「ハードウェア・アクセラレータ」は、「前記表示されるイメージを定義するイメージ・データを格納する入力バッファと、前記サブフレームに関するホログラフィ・データを格納する出力バッファと、前記入力データ・バッファおよび前記出力データ・バッファに結合されて、前記イメージ・データを処理して、前記サブフレームに関する前記ホログラフィ・データを生成する少なくとも1つのハードウェア・データ処理モジュールと、前記少なくとも1つのハードウェア・データ処理モジュールに結合されて、前記少なくとも1つのデータ処理モジュールを制御して、単一の前記表示されるイメージに関するイメージ・データに対応する複数の前記サブフレームに関するホログラフィ・データを、前記出力データ・バッファに供給するコントローラとを含[む]」ものであるところ、「サブフレームに関するホログラフィ・データ」(サブフレーム・ホログラム)は、本件補正発明の「表示用の」「ホログラムのシーケンス」に相当し、またこれがSLMにおける変調を制御するために、SLMの表示制御手段(「表示エンジン」に相当)に送信されることは明らかである。
b したがって、引用発明の「ハードウェア・アクセラレータ」は、本件補正発明の「表示用の」「ホログラムのシーケンスを前記表示エンジンに送信するように構成されたホログラムエンジン」に相当する。
c 引用発明においては、「SLMは、位相変調を提供し、位相レベルの数が2より大きいマルチレベル位相変調」が使用されているから、引用発明の「ホログラフィ・データ」は、本件補正発明の「マルチレベル位相ホログラム」に相当する。
d 以上を踏まえると、本件補正発明と引用発明は、「表示用のマルチレベル位相ホログラムのシーケンスを前記表示エンジンに送信するように構成されたホログラムエンジン」を備える点で一致する。
(オ)a 引用発明の「SLM」(空間光変調器24)においては、「ハードウェア・アクセラレータ」が生成した「サブフレームに関するホログラフィ・データ」(サブフレーム・ホログラム)により変調して、「連続的に、十分に高速に表示」するように表示制御しているといえるから、前記(ウ)及び(エ)の検討結果も踏まえると、引用発明においても、それぞれのサブフレームの期間においてサブフレーム・ホログラムの各マルチレベル位相ホログラムを表示するように構成されており、前記サブフレーム・ホログラムの前記マルチレベル位相ホログラムを表示するために使用される前記サブフレームの期間は連続しているといえる。
b したがって、引用発明においても、本件補正発明の「前記表示エンジンが、それぞれの表示間隔で前記シーケンスの各マルチレベル位相ホログラムを表示するように構成され、前記シーケンスの前記マルチレベル位相ホログラムを表示するために使用される前記表示間隔が直接連続するもの」であることに相当する構成を備えているといえる。
(カ)a 引用発明においては、「レーザ・ダイオード20」からの「実質的に平行化された光22」は「SLM24」において「ホログラムで変調」され、「位相変調された光」は「表示されるイメージを形成する光」となり、「スクリーン上に光を投射することにより、イメージを表示するもの」である。ここで投射先のスクリーンが「ハードウェア投影モジュール12を組み込んだ家庭用電子機器10」から空間的に分離されたものであることは明らかであるから、引用発明においても、「レーザ・ダイオード20」は、各ホログラムに対応するホログラフィック復元がSLM24から空間的に分離されたスクリーン上に形成されるように、各ホログラムを照らすように構成されているといえる。
b 引用発明においては、「表示されるイメージは、SLMをそれぞれのサブフレーム・ホログラムで変調することによってそれぞれが生成された、時間的サブフレームで構成され」るから、「レーザ・ダイオード20」は、対応する「サブフレーム」中に「それぞれのサブフレーム・ホログラム」を照らすように構成されているといえる。
c したがって、引用発明においても、本件補正発明の「前記光源は、各ホログラムに対応するホログラフィック復元が前記表示装置から空間的に分離された再生面上に形成されるように、対応する前記表示間隔中に各ホログラムを照らすように構成されたもの」であることに相当する構成を備えているといえる。
イ 一致点及び相違点の認定
前記アの対比の結果をまとめると、本件補正発明と引用発明は、次の一致点において一致し、以下の相違点において相違する。
(ア) 一致点
「 光源と表示装置を備えるホログラフィックプロジェクタであって、前記表示装置は、複数のピクセルを備える液晶表示パネルと、表示エンジンによって定義された複数の表示間隔の各表示間隔中に、駆動信号に従って前記複数のピクセルの各ピクセルを駆動するように構成された前記表示エンジンと、表示用のマルチレベル位相ホログラムのシーケンスを前記表示エンジンに送信するように構成されたホログラムエンジンとを備え、前記表示エンジンが、それぞれの表示間隔で前記シーケンスの各マルチレベル位相ホログラムを表示するように構成され、前記シーケンスの前記マルチレベル位相ホログラムを表示するために使用される前記表示間隔が直接連続するものであり、前記光源は、各ホログラムに対応するホログラフィック復元が前記表示装置から空間的に分離された再生面上に形成されるように、対応する前記表示間隔中に各ホログラムを照らすように構成されたものである、ホログラフィックプロジェクタ。」である点。
(イ) 相違点
本件補正発明においては、「前記シーケンスのそれぞれの連続するマルチレベル位相ホログラムは異なるそれぞれの画像に対応し、
前記表示エンジンは、n回の表示間隔ごとに前記駆動信号の極性を反転するように構成され、ここでnは整数であり、
前記駆動信号の極性は、それぞれのマルチレベル位相ホログラムが表示されるどの表示間隔中においても変化せず、かつ、表示されたマルチレベル位相ホログラムに対応する前記画像が、連続する表示間隔ごとに変化する」ものであるのに対して、
引用発明においては、「ホログラフィ・イメージ表示システムは、ビデオ・イメージ表示システムを含み、表示されるイメージは、ビデオ・フレームを含「む」」としているものの、「サブフレームに関するホログラフィ・データ」(サブフレーム・ホログラム)が異なるそれぞれの画像に対応するものであるのか明らかではない点、及び、所定の表示間隔ごとに駆動信号の極性の反転が行われ、かつ、どのサブフレームの期間中においても駆動信号の極性が変化しないような表示制御を行っていない点。
ウ 判断
前記相違点について検討する。
(ア) 表示間隔ごとの画像の変化について
a(a) 引用文献1の段落【0018】には、「各イメージ・フレームに関して、1つまたは複数のホログラフィ・サブフレームhをもたらし、サブフレームhは、1つまたは複数の出力バッファに送られる。」、「このプロセスが制御される制御信号は、1つまたは複数のコントローラ・ユニットから供給される。制御信号は、好ましくは、ビデオ・フレーム期間当たり、1つまたは複数のホログラフィ・サブフレームが生成されて、SLMに送られることを確実にする。」と記載されており、同様に、段落【0019】には、「図2は、図1で説明されるハードウェア・ブロックの実施形態を示し、そのブロックに供給される各イメージ・フレームに関して、1つまたは複数のホログラフィ・サブフレームを生成するように設計されるハードウェア要素の組を含む。」、「各イメージ・フレームIxyが、次いで、使用されて、以下の1つまたは複数、すなわち、位相変調段、空間-周波数変換段、および量子化段を含む操作の組を用いて、1つまたは複数のホログラフィ・サブフレームが生成される。」と記載されているから、各イメージフレームについて、「複数のホログラフィ・サブフレーム」を生成する場合の他に、「1つのホログラフィ・サブフレーム」を生成する場合も想定している。
(b) そうすると、引用発明においては、「表示されるイメージ」(イメージフレーム)を1つの時間的サブフレームで構成することも想定しており、その場合、引用発明の「ホログラフィ・イメージ表示システム」は、「ビデオ・イメージ表示システムを含み、表示されるイメージは、ビデオ・フレームを含[む]」ところ、1つの時間的サブフレームで構成されるイメージフレームを動画の1コマとして、1コマ1コマを異なる画像のそれぞれに対応させ、各コマを連続させてビデオ・イメージを表示することになるから、前記相違点のうち、「前記シーケンスのそれぞれの連続するマルチレベル位相ホログラムは異なるそれぞれの画像に対応し」、「表示されたマルチレベル位相ホログラムに対応する前記画像が、連続する表示間隔ごとに変化する」という事項は、実質的な相違点ではない。
b(a) 引用発明においては、「単一の前記表示されるイメージに関するイメージ・データ」に「複数の前記サブフレームに関するホログラフィ・データ」を「対応」させて、「表示されるイメージ」が「複数の時間的サブフレームで構成され」るようにしていることを踏まえて、上記bにおいて検討した事項が実質的な相違点であるという立場からみても、前記aにおいて述べたとおり、各イメージフレームについて「1つのホログラフィ・サブフレーム」を生成することも想定しているのであるから、引用発明において、「表示されるイメージ」(イメージフレーム)を1つの時間的サブフレームで構成することは、当業者にとって自明な設計変更にすぎないというべきである。
(b) その場合、前記a(b)において説示したとおり、引用発明では、1つの時間的サブフレームで構成されるイメージフレームを動画の1コマとして、1コマ1コマを異なる画像のそれぞれに対応させ、各コマを連続させてビデオ・イメージを表示することになるから、前記相違点に係る「前記シーケンスのそれぞれの連続するマルチレベル位相ホログラムは異なるそれぞれの画像に対応し」、「表示されたマルチレベル位相ホログラムに対応する前記画像が、連続する表示間隔ごとに変化する」という本件補正発明の構成は、前記自明な設計変更に伴って自然に導かれる事項である。
c 前記a及びbの検討結果を踏まえると、前記相違点に係る「前記シーケンスのそれぞれの連続するマルチレベル位相ホログラムは異なるそれぞれの画像に対応し」、「表示されたマルチレベル位相ホログラムに対応する前記画像が、連続する表示間隔ごとに変化する」という本件補正発明の構成は、いずれにしても格別のものではない。
(イ) 駆動信号の極性反転について
a 引用発明においては、「ピクセル化された液晶変調器などの空間光変調器24」が用いられており、引用文献5の段落【0021】に開示されたような液晶表示素子の劣化の課題を有していることは自明であるから、引用発明の「空間光変調器24」の液晶表示素子を反転方式で駆動しようとする契機はあるというべきである。
b そして、「表示装置の表示素子を、所定の表示間隔ごとに駆動信号の極性を反転して駆動し、また駆動信号の極性が、1つの画像フレームが表示される期間のどのサブフレーム期間中においても変化しないようにすること」は、当業者にとって周知技術である(前記周知技術1を参照)。
c そうすると、前記相違点に係る「前記駆動信号の極性は、それぞれのマルチレベル位相ホログラムが表示されるどの表示間隔中においても変化せず」という本件補正発明の構成は、格別のものではない。
d また、引用発明において、イメージフレームを1つの時間的サブフレームで構成されるようにした場合には、1回の時間的サブフレームごとに駆動信号の極性が反転することになるのであるから、前記相違点に係る「前記表示エンジンは、n回の表示間隔ごとに前記駆動信号の極性を反転するように構成され、ここでnは整数であり」という本件補正発明の構成は、n=1の場合に該当するものとして導かれることになり、格別のものではない。
(ウ) 総合評価
前記(ア)及び(イ)の検討結果を総合しても、引用発明において、前記相違点に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
また、本件補正発明の奏する効果としては、当該構成のものとしては当業者が予測困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。
したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
エ 請求人の主張について
(ア) 審判請求書の主張内容
請求人の主張は、概略次のとおりである。
a 本件補正発明について
本件補正発明は、従来のDC平衡のルールを無視して液晶表示パネル上にマルチレベル位相ホログラムを表示することが可能である(段落0011参照)。
本件補正発明に係るホログラムの具体的なシーケンスの一例は、本願の図9に以下のように示されている。
[図:0001407129000008.jpg]
上記図に示されるように、ホログラム(H1~H24)は、それぞれ、ただ1つの正の駆動信号またはただ1つの負の駆動信号を用いて表示され、同じホログラムを2回以上表示する必要がなく、それぞれの表示間隔ごとに1つのホログラムを表示することが可能である。これにより、液晶表示パネルのリフレッシュレートを最大限に活用することができる(段落0012参照)。
一方で、前述した通り、液晶業界の技術常識やルールに従うと、画像を上記図9のようなシーケンスで表示することはあり得ないことであり、従来の技術常識では、H1(正)→H1(負)→H2(正)→H2(負)→H3→H3(負)・・・のようにして、ある一つの画像を極性を反転して2回連続して表示することでDC平衡を実現する必要があったため、上記図9のように24フレームある場合でも、従来の技術では12の画像を表示することとしかできなかった。
これに対して、本件補正発明は、上記図9に示したように24フレームある場合には、24のホログラムを表示することが可能であり、ソース画像ごとに少なくとも2つの正負のフレームを必要としないことから、より頻繁に、たとえば従来の少なくとも2倍のフレームレート(周波数)で、ホログラム画像(たとえば動画)を表示することができ、フレームレートを従来よりも2倍以上高くすることが可能である(段落0088参照)。
このような本件補正発明の特徴点やその技術的効果は、本願の請求項1に係る発明特定事項が有機的に一体となることにより効果的に発揮される。
b 本件補正発明と引用発明の相違点について
引用文献1には、本件補正発明のように、表示エンジンがn回の表示間隔ごとに駆動信号の極性を反転するように構成されていること(ここでnは整数である)に関する記載はなく(相違点1)、駆動信号の極性が、それぞれのマルチレベル位相ホログラムが表示されるどの表示間隔中においても変化せず、かつ、表示されたマルチレベル位相ホログラムに対応する画像が、連続する表示間隔ごとに変化すること(図9参照)は、開示も示唆もされていないから(相違点2)、少なくとも相違点1及び相違点2において、本件補正発明は引用発明とは異なる。
c 引用発明との組み合わせについて
引用文献3~5には、上記相違点1に係る本件補正発明の発明特定事項、である、表示エンジンがn回の表示間隔ごとに駆動信号の極性を反転するように構成されていること(ここでnは整数である)に関連する記載はあるものの、相違点1に係る発明特定事項は、前述の通り、従来の技術常識(DC平衡のための正負反転のルール)を概念的に含むものであり、このことのみが本件補正発明の特徴的な発明特定事項となるものではなく、上記相違点2に係る発明特定事項である、駆動信号の極性が、それぞれのマルチレベル位相ホログラムが表示されるどの表示間隔中においても変化せず、かつ、表示されたマルチレベル位相ホログラムに対応する画像が、連続する表示間隔ごとに変化すること(図9参照)を最大の特徴とするものであり、相違点2に係る発明特定事項は、引用文献3~5のいずれにも開示されていない。
引用文献5の段落0024には、「この実施例では、ディスプレイコントローラ24により信号26でサブピクセル16、18、20に送出される反転方式は、液晶光弁層12の各画像素子14が、第1の画像P1に関する画像情報を有する第1のサブフレームA1と第2のサブフレームB1との双方の間で同じ極性(例えば“+”)を維持するように修正される。」と記載されており、従来の技術常識(DC平衡のための正負反転のルール)にすぎない。
そうすると、引用文献3から引用文献4のいずれにも、少なくとも上記相違点2に係る発明特定事項である、駆動信号の極性が、それぞれのマルチレベル位相ホログラムが表示されるどの表示間隔中においても変化せず、かつ、表示されたマルチレベル位相ホログラムに対応する画像が、連続する表示間隔ごとに変化することは開示も示唆されていない。
液晶業界においては、DC平衡のために同じ画像を駆動信号の極性を反転させて表示することが技術常識となっており、引用発明3から引用発明4のいずれもこの常識を逸脱するものではない。
本件補正発明は、液晶表示パネルを利用してホログラムを復元する際の特有の現象に着目し、このような液晶業界の技術常識を打ち破って液晶表示パネルのリフレッシュレートを最大限有効に活用できるということを見出したものであり、このような特有の技術的思想は、引用文献3から引用文献4のいずれにも開示も示唆もされておらず、その結果、上記相違点2に係る本件補正発明の発明特定事項を採用することの動機付けは存在しない。
(イ) 請求人の主張に対する当審の判断
請求人の主張は、要するに、前記イ(イ)において認定した本件補正発明と引用発明の相違点に関するものである。
しかしながら、上記相違点に係る本件補正発明の構成については、前記ウ(ウ)の判断において説示したとおり、引用発明及び周知技術1に基づいて、当業者が容易に想到し得たことである。
したがって、請求人の主張を採用することはできない。
オ 小括
以上検討のとおり、本件補正発明は、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。
よって、本件補正は、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
したがって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明について
本件補正は、前記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~8に係る発明は、令和3年12月21日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~8に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、そのうち、請求項1の記載を引用する請求項5に係る発明(以下「本願発明」という。)は前記第2の1(1)に摘記した事項により特定されるとおりである。
2 原査定における拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由のうち、本願発明について、引用文献1を主たる引用文献とした進歩性欠如の理由は、次のとおりである。
本願発明は、下記の引用文献1、3~5に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
3 引用文献に記載された事項
上記引用文献1には、第2の3(2)ア(ウ)において認定したとおりの引用発明が記載されていると認められる。
また、周知技術1は、前記第2の3(2)イ(イ)において認定したとおりである。
4 対比・判断
(1) 本願発明は、実質的に、本件補正発明において、「前記駆動信号の極性は、それぞれのマルチレベル位相ホログラムが表示されるどの表示間隔中においても変化せず、かつ、表示されたマルチレベル位相ホログラムに対応する前記画像が、連続する表示間隔ごとに変化する」という限定を省いたものである(前記第2の2(1)参照)。
(2) そうすると、前記第2の3(3)アの対比における検討結果も踏まえて、本願発明と引用発明を対比すると、本願発明と引用発明の相違点は、次の相違点Aのとおりであり、両者はその余の点で一致する。
<相違点A>
本願発明においては、「それぞれの連続するマルチレベル位相ホログラムは異なるそれぞれの画像に対応」し、
「前記表示エンジンが、n回の表示間隔ごとに前記駆動信号の極性を反転するように構成され、nは整数である」のに対して、
引用発明においては、「ホログラフィ・イメージ表示システムは、ビデオ・イメージ表示システムを含み、表示されるイメージは、ビデオ・フレームを含「む」」としているものの、「サブフレームに関するホログラフィ・データ」(サブフレーム・ホログラム)が異なるそれぞれの画像に対応するものであるのか明らかではなく、また、所定の表示間隔ごとに駆動信号の極性の反転が行われていない点。
(3) 相違点についての判断
前記第2の3(3)ウにおいて説示した判断を踏まえると、前記相違点Aに係る本願発明の構成は、引用発明及び周知技術1に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。
そして、本願発明の奏する作用効果としては、当該構成のものとして当業者が予測困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。
したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。
第4 むすび
以上検討のとおりであるから、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
2022-010276