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特許拒絶査定不服審判

2022-010071

ブロックチェーンゲーミングシステム

審判番号
2022-010071
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-523370外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年06月30日
審決日
2023年11月13日
公報発行日
2024年04月26日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .536-WZ (G06Q)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-523370「ブロックチェーンゲーミングシステム」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 5月 2日国際公開、WO2019/083674、令和 3年 1月14日国内公表、特表2021-501411〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 6項目
理 由

第1 手続の経緯

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本願は、2018年(平成30年)9月27日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2017年10月25日、米国)を国際出願日とする出願であって、令和3年6月24日付けで拒絶理由が通知され、同年11月24日に手続補正書が提出されたものの、同4年3月30日付けで拒絶査定がなされ、その謄本が送達された。

その後、同年6月30日に拒絶査定不服審判が請求され、この審判の請求と同時に手続補正書が提出された。

当審においては、同5年1月18日付けで審尋を行ったものの応答がなかったことから、この審尋の内容を踏まえて同年6月7日付けで拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)を通知したところ、審判請求には、この通知に対する応答期間満了までに、意見書及び手続補正書のいずれも提出しなかったものである。

第2 本願請求項1の記載

平成4年6月30日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1には、以下の事項が記載されている。

「【請求項1】
命令を格納する非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記命令は、少なくとも1つのプロセッサによって、
非金銭的コンテンツに関連する情報にアクセスし、
コンテンツの所有権に関連する情報およびコンテンツタイプに関する情報を含む少なくとも第1のブロックチェーンにアクセスし、
続きを表示(全13行)
前記第1のブロックチェーンに含まれるデータに基づいてユーザが何のサービスにサブスクライブしているか及びそれらのサブスクリプションが何のコンテンツにアクセスするユーザ権利を与えているかを検査すること、および/または、歌、アルバム、映画、テレビショー、テレビシリーズ、テレビチャネル、メディアサブスクリプション、電子ブック、またはビデオゲームを含むコンテンツに対してユーザが有する権利を前記第1のブロックチェーンにおいて追跡することを用いて資格へのユーザ権利を追跡することによって、前記非金銭的コンテンツに関連する情報に関連するコンテンツを取得する、
ように実行可能であり、
前記非金銭的コンテンツに関連する情報は、
前記第1のブロックチェーンにおけるコンテンツのパブリッシャに関連する情報と、
前記第1のブロックチェーンにおけるコンテンツのリテーラに関連する情報と、
前記第1のブロックチェーンにおけるコンテンツに関連する頒布権に関連する情報とを含み、
前記パブリッシャに関連する情報、前記リテーラに関連する情報、および前記頒布権に関連する情報は、前記第1のブロックチェーン以外の少なくとも1つのブロックチェーンによって実装され、
前記第1のブロックチェーン以外の少なくとも1つのブロックチェーンは、ユーザがゲームのPCバージョンにおいてアイテムを獲得し、同一のゲームのコンソールバージョンをプレイしている別のユーザに前記アイテムを転送する、および/または、アイテムまたはゲーム内通貨を共通して有するゲームのセットの間で少なくとも1つのアイテムまたはゲーム内通貨を転送することができるように、前記第1のブロックチェーンに表現されたコンテンツにアクセスするために使用され、
前記コンテンツに関連する頒布権は、前記パブリッシャによって前記リテーラに付与され、前記頒布権は、前記リテーラが前記第1のブロックチェーンにおけるコンテンツを頒布することを可能にする、コンピュータ可読記憶媒体。」

第3 当審拒絶理由の概要

当審拒絶理由(令和5年6月6日付けで通知した拒絶理由)は、概略、次のとおりのものである。

本願の請求項1の「ユーザが有する権利を前記第1のブロックチェーンにおいて追跡することを用いて資格へのユーザ権利を追跡することによって、前記非金銭的コンテンツに関連する情報に関連するコンテンツを取得」、「前記第1のブロックチェーンに表現されたコンテンツにアクセスする」の記載における「取得」(アクセス)される「コンテンツ」について、「歌、アルバム、映画、テレビショー、テレビシリーズ、テレビチャネル、メディアサブスクリプション、電子ブック、またはビデオゲームを含むコンテンツに対してユーザが有する権利を前記第1のブロックチェーンにおいて追跡することを用いて資格へのユーザ権利を追跡すること」の記載(以下「特定事項B」という。)では、「歌、アルバム、映画、テレビショー、テレビシリーズ、テレビチャネル、メディアサブスクリプション、電子ブック、またはビデオゲームを含むコンテンツ」であるとされている。

これに対して、請求項1の「前記第1のブロックチェーン以外の少なくとも1つのブロックチェーンは、ユーザがゲームのPCバージョンにおいてアイテムを獲得し、同一のゲームのコンソールバージョンをプレイしている別のユーザに前記アイテムを転送する、および/または、アイテムまたはゲーム内通貨を共通して有するゲームのセットの間で少なくとも1つのアイテムまたはゲーム内通貨を転送することができるように、前記第1のブロックチェーンに表現されたコンテンツにアクセスするために使用され、」の記載のうち、「ユーザがゲームのPCバージョンにおいてアイテムを獲得し、同一のゲームのコンソールバージョンをプレイしている別のユーザに前記アイテムを転送する」(以下「特定事項C」という。)の記載では、「アクセス」される「第1のブロックチェーンに表現されたコンテンツ」は「ゲーム」内の「アイテム」を指すものとなっており、また、「アイテムまたはゲーム内通貨を共通して有するゲームのセットの間で少なくとも1つのアイテムまたはゲーム内通貨を転送する」(以下「特定事項D」という。)の記載では、「アクセス」される「第1のブロックチェーンに表現されたコンテンツ」は「ゲーム」内の「アイテムまたはゲーム内通貨」を指すものとなっている。

請求項1は、特定事項Bと特定事項Cを備えた構成と特定事項Bと特定事項Dを備えた構成を含むものとなっているところ、上記に照らせば、特定事項Bと特定事項C、特定事項Bと特定事項Dのいずれも、「取得」(アクセス)される「コンテンツ」が異なるものとなっており、いずれも、「取得」(アクセス)される「コンテンツ」がいかなるものか不明である。

よって、この出願の請求項1及び請求項1を引用する請求項2~3の記載は、特許法第36条6項2号に規定する要件を満たしていない。

第4 本願の発明の詳細な説明の記載

当審拒絶理由にかかる本願の請求項1の記載に関連する本願の発明の詳細な説明の記載は、次のとおりである。

「【0004】
本明細書で理解されるように、いずれの会社によっても制御されないゲーム内オブジェクトについての分散マーケットは、ユーザにより信頼され得、ゲーム内アイテムをより価値のあるものとする。そのようなマーケットをサポートするシステムは有利なことに、ゲームがプレイされる異なるプラットフォームの間でのオブジェクト作成をサポートするために使用することができ、その結果、例えば、ユーザがゲームのPCバージョンにおいてアイテムを獲得する場合、ユーザは、同一のゲームのコンソールバージョンをプレイしているユーザにアイテムを転送することができる。そのようなシステムはまた、ゲームのセットの間でアイテムまたはゲーム内通貨を転送するために使用されてもよく、ゲームのセットは、アイテムまたはゲーム内通貨のそのセットを共通して有する。」
「【0052】
本明細書で考慮されるのは、ブロックチェーンにおいて表されるオブジェクトが、ゲーム、ビデオコンテンツ、及び/または音楽コンテンツなど、ゲーム内コンテンツ以外のものであってもよいことである。第1のサービスは、ブロックチェーンを検査して、ユーザが何の他の第2のサービスにサブスクライブしているか、及びそれらのサブスクリプションが何のコンテンツにアクセスするユーザ権利を現在証明しているかを判定するようセットアップされてもよい。第1のサービスは次いで、ユーザが別の方法では第1のサービスを通じてコンテンツに直接アクセスする権利を有しないときでさえ、第2のサービスを通じてコンテンツにアクセスするユーザの権利に基づいて、コンテンツへのアクセスをユーザに提供することができる。そのようなシステムは、特定の会社またはプラットフォームによって統治されないコンテンツの移転のために、独立した二次的マーケットプレイスをセットアップするために使用されてもよい。そのようなシステムは、ユーザの一部に対する更に大きく移転可能なコンテンツ権利につながり、いずれかの会社の一部に対する失敗の単一点または更なる意図的な崩壊の影響を受けやすい。現在のコンテンツ購入システムによる主要な不利な点の1つは、それらが全てプラットフォーム及び/または会社に結び付けられることである。したがって、ユーザは、システムを制御する一人がシステムをサポートし続ける限り、コンテンツに対するそれらの権利が唯一の価値あるものであるように、そのような既存のコンテンツ管理システムにおいてコンテンツを購入するのに金銭を費やしたがらない。本原理は、そのような不利な点を取り除き、消費者がそれらのコンテンツ購入をデジタルフォーマットに移行することを奨励する。」
「【0067】
いくつかの実施態様では、システムは、資格へのユーザ権利を追跡するために使用される。そのようなケースでは、所有権ブロックチェーンは、歌、アルバム、映画、テレビショー、テレビシリーズ、テレビチャネル、メディアサブスクリプション、電子ブック、またはビデオゲームなど、メディアの一部または他のアセットに対してユーザが有する権利を追跡する。ほとんどのケースでは、それらのアセットは、所有権ブロックチェーンに含まれるアセットに対するそれらの権利を有するなど、ユーザが権利を有することを論証することができるユーザのみに対してアクセスを許可するよう、DRMのいくつかの形式によって保護される。資格を追跡するために使用されるいくつかのシステムでは、エンコーディングの標準セットがコンテンツブロックチェーンに含まれ、その結果、そのエンコーディングによって示される特定の資格は、所有権ブロックチェーンにおける資格に対するユーザの権利に基づいて、複数のプロバイダによって認識及び充足されてもよい。」

第5 判断

1 本願の請求項1の「ユーザが有する権利を前記第1のブロックチェーンにおいて追跡することを用いて資格へのユーザ権利を追跡することによって、前記非金銭的コンテンツに関連する情報に関連するコンテンツを取得」、「前記第1のブロックチェーンに表現されたコンテンツにアクセスする」の記載における「取得」(アクセス)される「コンテンツ」について、請求項1には、上記第3に示した特定事項B、特定事項C、特定事項Dの記載がある。そして、特定事項Cと特定事項Dとは、「および/または」で接続されている」ことから、請求項1は、特定事項BとCを含む構成と、特定事項BとDを含む構成を含むものであることが明らかである。

そして、特定事項Bでは、「コンテンツ」が「歌、アルバム、映画、テレビショー、テレビシリーズ、テレビチャネル、メディアサブスクリプション、電子ブック、またはビデオゲームを含む」ものであるとされており、他方、特定事項Cでは、「コンテンツ」は「ゲーム」内の「アイテム」とされ、特定事項Dでは「ゲーム」内の「アイテムまたはゲーム内通貨」とされていることから、特定事項Bと特定事項C、特定事項Bと特定事項Dのいずれについても、「取得」(アクセス)される「コンテンツ」についての記載は、整合しておらず異なるものとなっており、「取得」(アクセス)される「コンテンツ」がいかなるものかが不明であるといわざるを得ない。

2 この点、請求人は、上記第1のとおり、当審拒絶理由の通知に対する応答期間満了までに、意見書及び手続補正書のいずれも提出しなかった。

さらに、審判請求書においては、特定事項C及びDの補正の根拠として、上記第4に示した段落【0004】を示し、特定事項Bの補正の根拠として段落【0052】及び【0067】を示しているところ、段落【0052】では「ブロックチェーンにおいて表されるオブジェクト」は「ゲーム、ビデオコンテンツ、及び/または音楽コンテンツなど、ゲーム内コンテンツ以外のもの」であってよい旨が記載され、段落【0067】では「歌、アルバム、映画、テレビショー、テレビシリーズ、テレビチャネル、メディアサブスクリプション、電子ブック、またはビデオゲームなど」を「メディアの一部または他のアセット」としている。これらの記載からみても、特定事項Bにおける、コンテンツが「歌、アルバム、映画、テレビショー、テレビシリーズ、テレビチャネル、メディアサブスクリプション、電子ブック、またはビデオゲームを含む」ものである旨の記載と特定事項Cや特定事項D(及び段落【0004】)における、コンテンツが「ゲーム」内の「アイテム」や「ゲーム内通貨」である旨の記載が整合しているといえないことは明らかである。そして、明細書の他の記載をみても、これと異なる認定をすべき根拠は見当たらない。

また、上記第1のとおり、当審において審尋を行って、特定事項Bと特定事項Cを備えた構成や特定事項Bと特定事項Dを備えた構成等について、各特定事項の整合性について問い合わせたものの、審尋に対しても無回答であった。

このような事情に照らしても、上記1のとおりに判断せざるを得ない。

3 してみると、この出願の請求項1の記載は、特許法第36条6項2号に規定する要件を満たしておらず、請求項1を引用する請求項2~3についても同様であるから、上記第3の当審拒絶理由は理由がある。

第6 むすび

以上のとおり、この出願は、特許請求の範囲の記載が特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていないことから、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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