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特許拒絶査定不服審判

2022-008957

遊技機

審判番号
2022-008957
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-222247外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年06月10日
審決日
2023年04月17日
公報発行日
2023年07月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (A63F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2017-222247「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 6月20日出願公開、特開2019- 92598〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 21項目
理 由

第1 手続の経緯

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本件に係る出願(以下「本願」という。)は、平成29年11月17日の出願であって、令和3年8月30日付けで拒絶の理由(以下「拒絶理由」という。)が通知され、同年11月5日に意見書及び手続補正書が提出され、令和4年3月3日付け(謄本送達日:同月15日)で拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされると同時に手続補正書が提出され、これに対し、同年6月10日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、当審において同年12月13日付けで拒絶の理由(以下「当審拒絶理由」という。)を通知し、令和5年2月15日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明

本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和5年2月15日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。なお、符号A等は、分説するため当審で付与した。以下、分説された本願発明の発明特定事項を、符号に基づき「発明特定事項A」等という。

「A 待機位置から所定位置まで移動可能に設けられた移動役物と、
B 前記移動役物の前側に配置されて透過性を有し所定の演出を表示可能な表示手段と、
C 前記表示手段を制御可能な制御手段と
を備え、
D 前記制御手段は、
D1 前記移動役物の移動が決定された場合に、前記移動役物が移動を開始する前であって前記移動役物が前記待機位置で停止している状態において前記表示手段に前記所定の演出を表示させ、かつ前記移動役物の移動中に前記移動役物を覆うように前記表示手段に前記所定の演出を表示させ、
D2 前記移動役物が前記所定位置まで移動した後に前記表示手段における該所定の演出を非表示とし、
D3 該所定位置で前記移動役物が演出を実行する際に該演出に関連した画像を前記表示手段に表示すること
E を特徴とする遊技機。」

第3 当審拒絶理由の概要

当審拒絶理由は、次のとおりである。

1.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記

●理由1(進歩性)について

・請求項 1

・引用文献1.特開2017-143862号公報

引用文献2.特開2015-177828号公報

第4 引用文献

1 引用文献1

当審拒絶理由で引用文献1として引用され、本願の出願前に日本国内又は外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2017-143862号公報(平成29年8月24日公開)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が記載されている。なお、下線は当審で付した。以下同様。

(1)「【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の手段1の遊技機は、
遊技が可能な遊技機(例えば、パチンコ遊技機1)であって、
続きを表示(全16行)
移動可能に設けられた演出部(例えば、第1演出部411A、第2演出部411B,411D、第3演出部411C……)と、
前記演出部を第1位置(例えば、第2待機位置……)と該第1位置とは異なる第2位置(例えば、第2進出位置……)との間で移動させるための移動機構部(例えば、第1可動ベース410A、第2可動ベース410B、第3可動ベース410C……)と、
を備え、
前記移動機構部は、前記演出部が少なくとも移動しているときに遊技者から視認可能な視認可能部(例えば、第2可動ベース410Bにおける機構部分E……)を有し、
前記演出部の移動に応じて前記視認可能部の視認を困難化する視認困難化手段を備える(例えば、演出制御用CPU120は、可動体402が第2待機位置から第2進出位置へ移動しているときに導光板装置500による発光表示演出を行うことで、遊技者から視認可能となる第2可動ベース410Bの一部である機構部分Eの視認を困難化する。また、可動体402が第2進出位置にあるときに可動体302Lを第1進出位置に配置し、遊技者から視認可能となる第2可動ベース410Bの一部である機構部分Eの視認を困難化する。……)
ことを特徴としている。
この特徴によれば、演出部の移動に応じて移動機構部の視認可能部が遊技者から視認可能となっても視認困難化手段により視認を困難化できるため、演出部の美観が損われることを抑制できる。
【0008】
本発明の手段2の遊技機は、手段1に記載の遊技機であって、
前記視認困難化手段は、前記演出部が前記第1位置にあるときは駆動せず、前記演出部の移動に応じて駆動して前記視認可能部の視認を困難化する(例えば、演出制御用CPU120は、可動体402が第2待機位置にあるときには導光板装置500による発光表示演出を実行せず、かつ、可動体302Lを第1進出位置へ移動させず、可動体402が第2待機位置から第2進出位置へ移動するときには導光板装置500による発光表示演出を実行し、可動体302Lを第1進出位置に配置する。図20、図21参照)
ことを特徴としている。
この特徴によれば、視認可能部の視認の困難化が不要なときは駆動しないため、視認困難化手段により演出部の美観が損われることを抑制できる。」
(2)「【0019】
図1は、本実施例におけるパチンコ遊技機の正面図であり、主要部材の配置レイアウトを示す。パチンコ遊技機(以下、遊技機と略記する場合がある)1は、大別して、遊技盤面を構成する遊技盤2(ゲージ盤ともいう)と、遊技盤2を支持固定する遊技機用枠(台枠)3とから構成されている。……
【0021】
遊技盤2における遊技領域10の中央付近には、演出表示装置5が設けられている。……
……
【0023】
演出表示装置5は、遊技盤2よりも背面側に配設され、該遊技盤2に形成された開口2cを通して視認できるようになっている。尚、遊技盤2における開口2cには枠状のセンター飾り枠51が設けられている。また、遊技盤2の背面と演出表示装置5との間には、後述する第1演出ユニット300と第2演出ユニット400とが設けられている。また、第1演出ユニット300及び第2演出ユニット400の前方には、導光板装置500が設けられている。」
(3)「【0034】
次に、パチンコ遊技機1の回路構成について説明する。パチンコ遊技機1には、例えば図2に示すような主基板11、演出制御基板12、音声制御基板13、LED制御基板14、主基板11と演出制御基板12との間で伝送される各種の制御信号を中継するための中継基板15、払出制御基板、情報端子基板、発射制御基板、インタフェース基板などといった、各種の基板が配置されている。
……
【0039】
図2に示すように、演出制御基板12は、主基板11とは独立したサブ側の制御基板であり、中継基板15を介して主基板11から伝送された制御信号を受信して、演出表示装置5、スピーカ8L,8R及び演出用LED9、第1演出用モータ311L,311R、第2演出用モータ425、第1位置センサ329、第2位置センサ432及び導光板LED502(導光板発光ダイオード502)といった演出用の電気部品による演出動作を制御するための各種回路が搭載されている。
【0040】
演出制御基板12には、プログラムに従って制御動作を行う演出制御用CPU120と、演出制御用のプログラムや固定データ等を記憶するROM121と、演出制御用CPU120のワークエリアを提供するRAM122と、演出表示装置5における表示動作の制御内容を決定するための処理などを実行する表示制御部123と、演出制御用CPU120とは独立して乱数値を示す数値データの更新を行う乱数回路124と、I/O125とが搭載されている。一例として、演出制御基板12では、演出制御用CPU120がROM121から読み出した演出制御用のプログラムを実行することにより、演出用の電気部品による演出動作を制御するための処理が実行される。また、ROM121には、演出制御用のプログラムの他にも、演出動作を制御するために用いられる各種のデータテーブルなどが格納されている。」
(4)「【0059】
尚、演出制御用CPU120が演出図柄の変動表示中において実行する予告演出としては、例えば、第1演出ユニット300や第2演出ユニット400の可動体が動作する可動予告や、導光板装置500が発光表示を行う導光板予告や、遊技者がスティックコントローラ31Aまたはプッシュボタン31Bを操作したことを条件に実行される操作予告といった大当りの可能性を示唆する大当り予告演出や、リーチになるか否かを示唆するリーチ予告、停止図柄を予告する停止図柄予告、遊技状態が確率変動状態であるか否か(潜伏しているか否か)を予告する潜伏予告といったように、可変表示開始時やリーチ成立時において実行される複数の予告を含む。また、第1演出ユニット300、第2演出ユニット400や導光板装置500は、上記予告以外の各種演出の実行中においても演出を行うことが可能とされている。」
(5)「【0062】
第1演出ユニット300は、ベース枠200の上辺部に取付けられるベース部材301と、ベース部材301に対し上方の第1待機位置(図3において実線で示す位置)と下方の第1進出位置(図3において2点鎖線で示す位置)との間で斜め上下方向に移動可能に設けられた可動体302L,302Rと、を有する。第2演出ユニット400は、ベース枠200の下辺部に取付けられるベース体401と、ベース体401に対し上方の第2待機位置(図3において実線で示す位置)と上方の第2進出位置(図3において2点鎖線で示す位置)との間で移動可能に設けられた第1可動部402A、第2可動部402B及び第3可動部402Cからなる可動体402と、を有する。
……
【0067】
ベース部材301の左辺部301B及び右辺部301Cの背面には、可動体302L,302Rを駆動させる駆動ユニット305L,305Rが設けられている。駆動ユニット305L,305Rは、ベース部材301の左辺部301B及び右辺部301Cの背面に取付けられる駆動ベース310L,310Rと、駆動ベース310L,310Rに取付けられるステッピングモータからなる第1演出用モータ311L,311Rと、第1演出用モータ311L,311Rの動力を可動体302L,302Rへ伝達する動力伝達手段を構成する第1~第4ギヤ312A~312D及び回動部材313L,313Rと、を備える。」
(6)「【0110】
図11~図13に示すように、第2演出ユニット400のベース体401は、可動体402を移動可能に支持するベース部材401Aと、ベース部材401Aの前面側に取付けられる装飾部材401Bと、ベース部材401Aの背面側に取付けられ、ベース枠200の下辺部に取付けられる取付部材401Cと、から構成されている。これらベース部材401Aと装飾部材401Bと取付部材401Cとは、それぞれ互いに離間して配置されている。
……
【0114】
ベース部材401Aの前面右側には第2演出用モータ425が取付けられている。第2演出用モータ425の駆動軸425aは、ベース部材401Aを挿通して背面側に突出され、該突出した駆動軸425aの先端には第1ギヤ426が固着されている。第1ギヤ426には、ベース部材401Aの背面側に突設された回動軸430を中心として回動可能に設けられた第2ギヤ427が噛合されている。」
(7)「【0144】
導光板装置500は、遊技盤2における開口2cを閉鎖するように設けられた導光板501と、該導光板501の右端面501aに光を入射するための導光板LED502が複数搭載されたLED基板503と、導光板LED502からの光を導光板501の右端面501aに向けて集光するための集光レンズ504と、導光板501とLED基板503とを一体にするための枠部材505と、を主に有する。尚、導光板装置500は、遊技盤2の背面に固定されてもよいし、センター飾り枠51に固定されてもよい。
【0145】
導光板501は、所定の前後幅寸法(板厚=約5mm)を有するアクリルやポリカーボネートなどの透明な合成樹脂等の材質で形成された板部材であって、図19(B)に示すように、演出表示装置5、第1演出ユニット300及び第2演出ユニット400の前方に配置されている。
……
【0148】
導光板501の右端面501aから内部に光が入射されると、反射部506のドットパターンによって導光板501に所定の画像(静止画像)が表示される(図19(A)における網点領域や図20(B)において白色領域参照)。また、導光板501により表示可能とする表示情報として、所定の画像(絵柄)が例示されているが、これら以外にも、文字、記号、図柄、あるいは模様等の装飾も含む他の表示情報を表示可能としても良い。」
(8)「【0152】
次に、演出表示装置5、第1演出ユニット300、第2演出ユニット400及び導光板装置500を用いた演出の一例を、図20及び図21に基づいて説明する。図20は、(A)は演出表示装置による演出態様、(B)は第1演出ユニット、第2演出ユニット及び導光板装置による演出態様を示す説明図である。図21は、(A)は第1演出ユニット、第2演出ユニット及び導光板装置による演出態様、(B)は演出表示装置、第1演出ユニット及び第2演出ユニットによる演出態様を示す説明図である。
【0153】
図20(A)には、第1演出ユニット300、第2演出ユニット400及び導光板装置500による演出が行われておらず、演出表示装置5により演出図柄の変動表示が実行されている状態が示されている。
続きを表示(全11行)
【0154】
ここで、図20(B)に示すように、例えば、演出図柄がリーチ状態になりスーパーリーチ演出に発展したことに基づいて、演出制御用CPU120が、第1演出ユニット300及び第2演出ユニット400による可動演出と、導光板装置500による発光表示演出とを実行すると、第1演出ユニット300の可動体302L,302Rが第1待機位置から第1進出位置へ向けて下降を開始するとともに、第2演出ユニット400の可動体402が第2待機位置から第2進出位置へ向けて上昇を開始する。また、導光板装置500の導光板LED502が発光することで、反射部506のドットパターンによって導光板501に所定の画像(静止画像)が表示される。
【0155】
図20(B)に示すように、導光板501に所定の画像(静止画像)が発光表示されると、導光板501は第1演出ユニット300及び第2演出ユニット400の前方に配設されていることから、導光板501から前方、つまり遊技者側に出射される光により、遊技者からは導光板501の後方にある第1演出ユニット300の可動体302L,302Rや第2演出ユニット400の可動体402を視認し難くなる。よって、第2演出ユニット400における第2可動ベース410Bの一部である機構部分Eは、第2待機位置から第2進出位置へ向けて移動する際に遊技者から視認可能となるが、導光板501から前方に出射される光により遊技者から視認困難となる。すなわち、演出制御用CPU120は、可動体402が第2待機位置から第2進出位置へ移動しているときに導光板装置500による発光表示演出を行うことで、遊技者から視認可能となる第2可動ベース410Bの一部である機構部分Eの視認を困難化する第1視認困難化手段を構成している。
……
【0157】
そして、図21(B)に示すように、第1演出ユニット300の可動体302L,302Rが第1進出位置に停止し、第2演出ユニット400の可動体402が第2進出位置に停止したときには、……。また、導光板LED502が消灯して導光板装置500による発光表示演出が終了し、演出表示装置5の表示画像により前方の可動体302L,302Rと可動体402とが演出される。」
(9)「【0161】
また、演出制御用CPU120は、導光板装置500の導光板LED502の発光態様(例えば、発光色、点滅速度、輝度など)を変化させることで、複数種類の発光表示態様にて発光表示演出を実行することが可能である。
【0162】
また、このようにする場合、演出制御用CPU120は、図柄の変動表示結果が大当り表示結果となるか否かに応じて、導光板装置500の発光表示態様を複数種類のうちからいずれかに決定し、該決定した発光表示態様にて発光表示演出を実行するようにしてもよい。例えば、導光板LED502を黄色、緑色、赤色にて発光させることを可能とし、図柄の変動表示結果が大当り表示結果となる場合、はずれ表示結果となる場合よりも高い割合で赤色にて発光させるようにすることで、遊技者は、導光板装置500により赤色の発光表示演出が実行されることで、黄色や緑色の発光表示演出が実行される場合よりも大当り表示結果が導出されることを期待できるため、遊技の興趣が向上する。」
(10)「【図20】
[図:0001399006000001.jpg]
【図21】
[図:0001399006000002.jpg]
」
(11)「【0163】
以上説明したように、本発明の実施例としてのパチンコ遊技機1にあっては、移動可能に設けられた第1演出部411A、第2演出部411B,411D及び第3演出部411Cと、これら第1演出部411A、第2演出部411B,411D及び第3演出部411Cを第2待機位置と第2進出位置との間で移動させるための移動機構部(例えば、第1可動ベース410A、第2可動ベース410B、第3可動ベース410C)と、を備え、移動機構部は、第1演出部411A、第2演出部411B,411D及び第3演出部411Cが少なくとも移動しているときに遊技者から視認可能な視認可能部である第2可動ベース410Bにおける機構部分Eを有し、演出制御用CPU120は、可動体402が第2待機位置から第2進出位置へ移動しているときに導光板装置500による発光表示演出を行ったり、可動体402が第2進出位置にあるときに可動体302Lを第1進出位置に配置したりすることで、遊技者から視認可能となる第2可動ベース410Bの一部である機構部分Eの視認を困難化する。
【0164】
このようにすることで、第1演出部411A、第2演出部411B,411D及び第3演出部411Cの移動に応じて移動機構部の機構部分Eが遊技者から視認可能となっても、導光板装置500による発光表示演出や可動体402が第2進出位置に配置され機構部分Eを隠蔽することにより視認を困難化できるため、第1演出部411A、第2演出部411B,411D及び第3演出部411Cの美観が損われることを抑制できる。
……
【0166】
また、演出制御用CPU120は、可動体402が第2待機位置にあるときには導光板装置500による発光表示演出を実行せず、かつ、可動体302Lを第1進出位置へ移動させず、可動体402が第2待機位置から第2進出位置へ移動するときには導光板装置500による発光表示演出を実行し、可動体302Lを第1進出位置に配置する。このようにすることで、機構部分Eの視認の困難化が不要なときは、可動体302Lを第1進出位置へ移動させたり、導光板装置500による発光表示演出を実行させない、つまり、新困難化手段を駆動しないため、可動体402が第2待機位置にあるときに視認困難化手段により第1演出部411A、第2演出部411B,411D及び第3演出部411Cの美観が損われたり、演出表示装置5の表示画面の視認性が低下することを抑制できる。」

(12)認定事項1

引用文献1の【図20】における(A)から、

第2待機位置にあるときの第2演出ユニット400の上端は、遊技盤2における開口2cの下端よりも低い位置にあること

が見て取れる。

(13)引用発明

上記(1)~(12)からみて、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。なお、本願発明の発明特定事項A等に概ね対応させて符号aア,bア等を付与し、引用箇所の段落番号等を併記した。

「aア,bア 大別して、遊技盤面を構成する遊技盤2と、遊技盤2を支持固定する遊技機用枠3とから構成されていて(【0019】)、

遊技盤2における遊技領域10の中央付近には、演出表示装置5が設けられていて(【0021】)、

演出表示装置5は、遊技盤2よりも背面側に配設され、該遊技盤2に形成された開口2cを通して視認できるようになっていて、遊技盤2の背面と演出表示装置5との間には、第1演出ユニット300と第2演出ユニット400とが設けられていて、第1演出ユニット300及び第2演出ユニット400の前方には、導光板装置500が設けられていて(【0023】)、

c 演出制御基板12が配置されていて(【0034】)、

演出制御基板12は、演出表示装置5、第1演出用モータ311L,311R、第2演出用モータ425及び導光板LED502(導光板発光ダイオード502)といった演出用の電気部品による演出動作を制御するための各種回路が搭載されていて(【0039】)、

演出制御基板12には、プログラムに従って制御動作を行う演出制御用CPU120等が搭載されていて(【0040】)、

dア 演出制御用CPU120が演出図柄の変動表示中において実行する予告演出としては、第1演出ユニット300や第2演出ユニット400の可動体が動作する可動予告や、導光板装置500が発光表示を行う導光板予告といったように、可変表示開始時やリーチ成立時において実行される複数の予告を含み(【0059】)、

aイ 第1演出ユニット300は、ベース枠200の上辺部に取付けられるベース部材301と、ベース部材301に対し上方の第1待機位置と下方の第1進出位置との間で斜め上下方向に移動可能に設けられた可動体302L,302Rと、を有し、第2演出ユニット400は、ベース枠200の下辺部に取付けられるベース体401と、ベース体401に対し上方の第2待機位置と上方の第2進出位置との間で移動可能に設けられた第1可動部402A、第2可動部402B及び第3可動部402Cからなる可動体402と、を有し(【0062】)、

ベース部材301の左辺部301B及び右辺部301Cの背面には、可動体302L,302Rを駆動させる駆動ユニット305L,305Rが設けられていて、駆動ユニット305L,305Rは、ステッピングモータからなる第1演出用モータ311L,311Rと、第1演出用モータ311L,311Rの動力を可動体302L,302Rへ伝達する動力伝達手段を構成する第1~第4ギヤ312A~312D及び回動部材313L,313Rと、を備え(【0067】)、

第2演出ユニット400のベース体401は、可動体402を移動可能に支持するベース部材401A等から構成されていて(「【0110】)、ベース部材401Aの前面右側には第2演出用モータ425が取付けられていて、第2演出用モータ425の駆動軸425aは、ベース部材401Aを挿通して背面側に突出され、該突出した駆動軸425aの先端には第1ギヤ426が固着されていて、第1ギヤ426には、ベース部材401Aの背面側に突設された回動軸430を中心として回動可能に設けられた第2ギヤ427が噛合されていて(【0114】)、

bイ 導光板装置500は、遊技盤2における開口2cを閉鎖するように設けられた導光板501と、該導光板501の右端面501aに光を入射するための導光板LED502が複数搭載されたLED基板503と、導光板LED502からの光を導光板501の右端面501aに向けて集光するための集光レンズ504と、導光板501とLED基板503とを一体にするための枠部材505と、を主に有し(【0144】)、導光板501は、透明な合成樹脂等の材質で形成された板部材であって、演出表示装置5、第1演出ユニット300及び第2演出ユニット400の前方に配置されていて(【0145】)、導光板501の右端面501aから内部に光が入射されると、反射部506のドットパターンによって導光板501に所定の画像が表示され(【0148】)、

dイ 演出制御用CPU120が、第1演出ユニット300及び第2演出ユニット400による可動演出と、導光板装置500による発光表示演出とを実行すると、第1演出ユニット300の可動体302L,302Rが第1待機位置から第1進出位置へ向けて下降を開始するとともに、第2演出ユニット400の可動体402が第2待機位置から第2進出位置へ向けて上昇を開始し、また、導光板装置500の導光板LED502が発光することで、反射部506のドットパターンによって導光板501に所定の画像が表示され(【0154】)、

導光板501に所定の画像が発光表示されると、導光板501は第1演出ユニット300及び第2演出ユニット400の前方に配設されていることから、導光板501から前方、つまり遊技者側に出射される光により、遊技者からは導光板501の後方にある第1演出ユニット300の可動体302L,302Rや第2演出ユニット400の可動体402を視認し難くなり(【0155】)、

そして、第1演出ユニット300の可動体302L,302Rが第1進出位置に停止し、第2演出ユニット400の可動体402が第2進出位置に停止したときには、導光板LED502が消灯して導光板装置500による発光表示演出が終了し、演出表示装置5の表示画像により前方の可動体302L,302Rと可動体402とが演出され(【0157】)、

演出制御用CPU120は、図柄の変動表示結果が大当り表示結果となるか否かに応じて、導光板装置500の発光表示態様を複数種類のうちからいずれかに決定し、該決定した発光表示態様にて発光表示演出を実行し(【0162】)、

第2待機位置にあるときの第2演出ユニット400の上端は、遊技盤2における開口2cの下端よりも低い位置にある(認定事項1)

e パチンコ遊技機1(「【0019】)。」

2 引用文献2

当審拒絶理由で引用文献2として引用され、本願の出願前に日本国内又は外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2015-177828号公報(平成27年10月8日公開)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が記載されている。

(1)「【0018】
遊技機1は、遊技店の島設備に取り付けられる外枠53と、その外枠53と回動可能に支持されたガラス枠50とが備えられている(図1~図3参照)。また、外枠53には、遊技球200が流下する遊技領域6が形成された遊技盤2が設けられている。
……
【0026】
遊技盤2の遊技領域6内には、各種の入賞口(一般入賞口12、普通図柄ゲート13、第1始動口14、第2始動口15、第1大入賞口16、第2大入賞口17)と、画像表示装置31と、装飾部材33aと、第1導光板表示装置60と、第2導光板表示装置61と、その画像表示装置31と、装飾部材33aと、第1導光板表示装置60を取り囲むようにして飾り部材7とが設けられている。
なお、この画像表示装置31は、第1の表示領域に該当する。また、第1導光板表示装置60は、第2の表示領域に該当する。また、装飾部材33aは、可動装置に該当する。」
(2)「【0072】
【0072】
また、第1導光板表示装置60は、飾り部材7内側開口部と略同じ形状の第1導光板62aと、飾り部材7内側開口部の画像表示装置31よりも上方の領域と略同じ形状の第2導光板62b、第3導光板62cとが重ね合わせた構造となっている。」
(3)「【0591】
(演出例)
以下、本実施形態の遊技機1の演出例として、上記ステップS1308の処理において、図34の変動演出パターン決定テーブルから変動演出パターン16-1が選択された場合について、図57~図60を用いて説明する。
変動演出パターン16-1は、疑似連続予告が2回実施され、SPSPリーチに発展した後、大当たりとなる演出である。
続きを表示(全11行)
……
【0605】
この後、図58(K)に示すように、画像表示装置31では、中央の2つの演出図柄38に対して、左右から異なるキャラクタ(飛行機とガイコツ)が押し合いを行う画像が表示される、SPリーチ演出が実行される。
【0606】
この後、図58(L)に示すように、盤用駆動装置33によって装飾部材33aが画像表示装置31の上方で所定時間(例えば4秒)揺れ動くことになり、揺れ動いている間は、第1導光板62aに、装飾部材33aが下方に移動する際の軌跡を描いたような第3ドットパターン65cが黄白点滅される。
具体的には、上記ステップS1500の処理において、SPSPリーチ発展演出時期(装飾部材可動中)だと判定されると、第1導光板表示装置60により、発光制御が実行される。
なお、この第1導光板表示装置60による演出は、SPSPリーチ発展報知を装飾部材33aと連携して盛り上げる演出であり、当該演出では、第1導光板62aの発光パターンは黄白点滅の1種類のみとしたが、例えば、SPSPリーチ発展するか否かの期待度を発光色により、示すようにし、疑似連続予告演出時第1導光板表示装置発光パターンのように、複数種類(赤色点灯、緑色点灯、青色点灯)としてもかまわない。」
(4)「【図58】
[図:0001399006000003.jpg]
」

(5)認定事項2

引用文献2の【図58】における(K)と(L)から、

装飾部材33aが画像表示装置31の上方まで移動した後に、画像表示装置31の上方で装飾部材33aが揺れ動くこと

が見て取れる。

(6)上記(1)~(5)からみて、引用文献2には、次の事項(以下「引用文献2記載の技術事項」という。)が記載されている。

「画像表示装置31と、装飾部材33aと、第1導光板表示装置60が設けられていて、装飾部材33aは、可動装置に該当する(【0026】)遊技機1(【0018】)において、
第1導光板表示装置60は、飾り部材7内側開口部と略同じ形状の第1導光板62aと、飾り部材7内側開口部の画像表示装置31よりも上方の領域と略同じ形状の第2導光板62b、第3導光板62cとが重ね合わせた構造となっていて(【0072】)、
盤用駆動装置33によって装飾部材33aが画像表示装置31の上方で所定時間(例えば4秒)揺れ動くことになり、揺れ動いている間は、第1導光板62aに、装飾部材33aが下方に移動する際の軌跡を描いたような第3ドットパターン65cが黄白点滅され、具体的には、第1導光板表示装置60により、発光制御が実行され、この第1導光板表示装置60による演出は、SPSPリーチ発展報知を装飾部材33aと連携して盛り上げる演出であり(【0606】)、
装飾部材33aが画像表示装置31の上方まで移動した後に、画像表示装置31の上方で装飾部材33aが揺れ動くこと(認定事項2)。」

第5 対比

本願発明と引用発明を対比する。

1 発明特定事項Aについて

引用発明の発明特定事項aア,bアにおける「第1演出ユニット300」及び「第2演出ユニット400」は、いずれも、本願発明の発明特定事項Aにおける「移動役物」に相当する。

また、引用発明の発明特定事項aイによれば、「第1演出ユニット300」は「上方の第1待機位置と下方の第1進出位置との間で斜め上下方向に移動可能」であり、「第2演出ユニット400」は「上方の第2待機位置と上方の第2進出位置との間で移動可能」であるから、引用発明の「第1演出ユニット300」及び「第2演出ユニット400」は、いずれも、「待機位置から所定位置まで移動可能に設けられた」ものであるといえる。

したがって、引用発明は、本願発明の発明特定事項Aに相当する構成を含む。

2 発明特定事項Bについて

引用発明の発明特定事項aア,bアにおける「導光板装置500」は、本願発明の発明特定事項Bにおける「表示手段」に相当する。

また、引用発明の発明特定事項bイによれば、「第1演出ユニット300及び第2演出ユニット400の前方には、導光板装置500が設けられてい」るから、引用発明の「導光板装置500」は、「前記移動役物の前側に配置されて」いるといえる。

また、引用発明の発明特定事項bイによれば、「導光板装置500」が「有」する「導光板501」は「透明な合成樹脂等の材質で形成された板部材であ」るから、引用発明の「導光板装置500」は、「透過性を有」するといえる。

また、引用発明の発明特定事項bイによれば、「導光板装置500」が「有」する「導光板501」は「導光板501の右端面501aから内部に光が入射されると、反射部506のドットパターンによって導光板501に所定の画像が表示され」るから、引用発明の「導光板装置500」は、「所定の演出を表示可能」であるといえる。

したがって、引用発明は、本願発明の発明特定事項Bに相当する構成を含む。

3 発明特定事項Cについて

上記2で述べたように、引用発明の「導光板装置500」は、本願発明の「表示手段」に相当するところ、引用発明の発明特定事項bイによれば、引用発明の「導光板LED502」は、「導光板装置500」に「搭載された」ものであるから、引用発明の「導光板LED502」も本願発明の「表示手段」に相当するといえる。

そうすると、引用発明の発明特定事項cにおける「導光板LED502(導光板発光ダイオード502)といった演出用の電気部品による演出動作を制御するための各種回路が搭載されてい」る「演出制御基板12」は、本願発明の発明特定事項Cにおける「前記表示手段を制御可能な制御手段」に相当する。

したがって、引用発明は、本願発明の発明特定事項Cに相当する構成を含む。

4 発明特定事項Dについて

上記3で述べたように、引用発明の「演出制御基板12」は、本願発明の「制御手段」に相当するところ、引用発明の発明特定事項cによれば、引用発明の「演出制御用CPU120」は、「演出制御基板12」に「搭載されてい」るものであるから、引用発明の「演出制御用CPU120」も本願発明の「制御手段」に相当するといえる。

したがって、引用発明は、本願発明の発明特定事項Dに相当する構成を含む。

5 発明特定事項D1について

上記2で述べたことから、引用発明の「導光板装置500」及び「導光板501に」「表示され」る「所定の画像」は、それぞれ、本願発明の「表示手段」及び「所定の演出」に相当するところ、引用発明の発明特定事項dイにおける「導光板装置500の導光板LED502が発光することで、反射部506のドットパターンによって導光板501に所定の画像が表示され」ることは、本願発明の「前記表示手段に前記所定の演出を表示させ」ることに相当する。

また、上記4で述べたように、引用発明の「演出制御用CPU120」は本願発明の「制御手段」に相当するところ、引用発明の発明特定事項dイによれば、引用発明の「演出制御用CPU120」が「第1演出ユニット300及び第2演出ユニット400による可動演出と、導光板装置500による発光表示演出とを実行する」ことは本願発明の「前記移動役物の移動が決定された場合に、」「前記表示手段に前記所定の演出を表示させ」ることに相当する。

また、引用発明の発明特定事項dイによれば、引用発明では「第1演出ユニット300の可動体302L,302Rが第1待機位置から第1進出位置へ向けて下降を開始するとともに、第2演出ユニット400の可動体402が第2待機位置から第2進出位置へ向けて上昇を開始し、また、導光板装置500の導光板LED502が発光することで、反射部506のドットパターンによって導光板501に所定の画像が表示され」、また、「第1演出ユニット300の可動体302L,302Rが第1進出位置に停止し、第2演出ユニット400の可動体402が第2進出位置に停止したときには、導光板LED502が消灯して導光板装置500による発光表示演出が終了」するから、引用発明の「演出制御基板12」は、「前記移動役物の移動中に」「前記表示手段に前記所定の演出を表示させ」るといえる。

また、引用発明の発明特定事項dイによれば、引用発明では「導光板501に所定の画像が発光表示されると、導光板501は第1演出ユニット300及び第2演出ユニット400の前方に配設されていることから、導光板501から前方、つまり遊技者側に出射される光により、遊技者からは導光板501の後方にある第1演出ユニット300の可動体302L,302Rや第2演出ユニット400の可動体402を視認し難くな」るから、引用発明の「演出制御基板12」は、「前記移動役物の移動中に前記移動役物を覆うように前記表示手段に前記所定の演出を表示させ」るといえる。

したがって、引用発明は、本願発明の発明特定事項D1と、「前記移動役物の移動が決定された場合に、」「前記表示手段に前記所定の演出を表示させ」る点、及び、「前記移動役物の移動中に前記移動役物を覆うように前記表示手段に前記所定の演出を表示させ」点で共通する。

6 発明特定事項D2について

引用発明の発明特定事項dイによれば、引用発明では「第1演出ユニット300の可動体302L,302Rが第1進出位置に停止し、第2演出ユニット400の可動体402が第2進出位置に停止したときには、導光板LED502が消灯して導光板装置500による発光表示演出が終了」するから、引用発明の「演出制御基板12」は、「前記移動役物が前記所定位置まで移動した後に前記表示手段における該所定の演出を非表示と」するものであるといえる。

したがって、引用発明は、本願発明の発明特定事項D2に相当する構成を含む。

7 発明特定事項Eについて

引用発明の発明特定事項eにおける「パチンコ遊技機1」は、本願発明の発明特定事項Eにおける「遊技機」に相当する。

したがって、引用発明は、本願発明の発明特定事項Eに相当する構成を含む。

8 一致点・相違点

上記1~7からみて、本願発明と引用発明は、

「A 待機位置から所定位置まで移動可能に設けられた移動役物と、
B 前記移動役物の前側に配置されて透過性を有し所定の演出を表示可能な表示手段と、
C 前記表示手段を制御可能な制御手段と
を備え、
D 前記制御手段は、
D1’ 前記移動役物の移動が決定された場合に、前記表示手段に前記所定の演出を表示させ、かつ前記移動役物の移動中に前記移動役物を覆うように前記表示手段に前記所定の演出を表示させ、
D2 前記移動役物が前記所定位置まで移動した後に前記表示手段における該所定の演出を非表示とする
E 遊技機。」

である点で一致し、以下の点で相違する。

・相違点1(発明特定事項D1)

「前記移動役物の移動が決定された場合に、」「前記表示手段に前記所定の演出を表示させ」ることに関して、

本願発明では、「前記移動役物が移動を開始する前であって前記移動役物が前記待機位置で停止している状態において前記表示手段に前記所定の演出を表示させ」るのに対し、

引用発明では、「第1演出ユニット300の可動体302L,302Rが第1待機位置から第1進出位置へ向けて下降を開始するとともに、第2演出ユニット400の可動体402が第2待機位置から第2進出位置へ向けて上昇を開始し、また、導光板装置500の導光板LED502が発光することで、反射部506のドットパターンによって導光板501に所定の画像が表示され」る点。

・相違点2(発明特定事項D3)

「前記制御手段」が、

本願発明では、「該所定位置で前記移動役物が演出を実行する際に該演出に関連した画像を前記表示手段に表示する」のに対し、

引用発明では、そのように構成されていない点。

第6 当審の判断

1 相違点1について

相違点1について検討する。

引用発明において「導光板装置500の導光板LED502が発光することで、反射部506のドットパターンによって導光板501に所定の画像が表示され」るようにしているのは、「導光板501から前方、つまり遊技者側に出射される光により、遊技者からは導光板501の後方にある第1演出ユニット300の可動体302L,302Rや第2演出ユニット400の可動体402を視認し難くな」るという作用を発揮させるためである。

当該作用を発揮させるためには、「導光板装置500の導光板LED502が発光することで、反射部506のドットパターンによって導光板501に所定の画像が表示され」るのを、「第1演出ユニット300の可動体302L,302Rが第1待機位置から第1進出位置へ向けて下降を開始するとともに、第2演出ユニット400の可動体402が第2待機位置から第2進出位置へ向けて上昇を開始」する時点で行っていればよく、それより前に行ってもよいことは、当業者にとって明らかである。

したがって、引用発明において、「第1演出ユニット300の可動体302L,302Rが第1待機位置から第1進出位置へ向けて下降を開始するとともに、第2演出ユニット400の可動体402が第2待機位置から第2進出位置へ向けて上昇を開始」するより前に、「導光板装置500の導光板LED502が発光することで、反射部506のドットパターンによって導光板501に所定の画像が表示され」るようにして、相違点1に係る本願発明の発明特定事項D1とすることは、当業者が適宜なし得た設計的事項である。

2 相違点2について

相違点2について検討する。

引用文献2記載の技術事項における「画像表示装置31の上方」は、「装飾部材33aが揺れ動く」際に「装飾部材33aが」「移動した」位置であるから、本願発明における「所定位置」に相当する。

また、引用文献2記載の技術事項における「可動装置に該当する」「装飾部材33a」は、本願発明の「移動役物」に相当し、引用文献2記載の技術事項における「装飾部材33aが画像表示装置31の上方で所定時間(例えば4秒)揺れ動くこと」は、本願発明の「前記移動役物が」「実行する」「演出」に相当する。

そして、引用文献2記載の技術事項における「第1導光板表示装置60」及び「第1導光板62a」は、いずれも、本願発明の「表示手段」に相当し、引用文献2記載の技術事項における「第1導光板62a」で「黄白点滅され」る「装飾部材33aが下方に移動する際の軌跡を描いたような第3ドットパターン65c」は、本願発明の「該演出に関連した画像」に相当する。

そうすると、引用文献2記載の技術事項は、本願発明の発明特定事項D3「該所定位置で前記移動役物が演出を実行する際に該演出に関連した画像を前記表示手段に表示すること」に相当する。

そして、引用発明が「第1演出ユニット300と第2演出ユニット400」及び「導光板装置500」を備える「パチンコ遊技機1」であり、引用文献2記載の技術事項が「装飾部材33a」及び「第1導光板表示装置60」を備える「遊技機1」である点で、引用発明と引用文献2記載の技術事項とはその前提とする遊技機の構成において共通する。また、引用発明の「導光板装置500」及び引用文献2記載の技術事項における「第1導光板表示装置60」に関し、引用発明では「図柄の変動表示結果が大当り表示結果となるか否かに応じて、導光板装置500の発光表示態様を複数種類のうちからいずれかに決定し、該決定した発光表示態様にて発光表示演出を実行」するものであり、引用文献2記載の技術事項では「第1導光板表示装置60による演出は、SPSPリーチ発展報知を装飾部材33aと連携して盛り上げる演出」であるから、引用発明と引用文献2記載の技術事項とは表示手段における演出である点でも共通する。

そうすると、引用発明における「導光板装置500(表示手段)」において、引用文献2記載の技術事項を採用して、「第1演出ユニット300と第2演出ユニット400(移動役物)」と連携する画像を表示するようにすることで、相違点2に係る本願発明の発明特定事項D3とすることは、当業者が容易に想到できたことである。

3 本願発明の奏する効果について

本願発明の奏する効果は、引用発明の奏する効果及び引用文献2記載の技術事項の奏する効果から、予測することができた程度のものである。

4 請求人の主張について

(1)請求人の主張

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請求人は、令和5年2月15日提出の意見書において、

「補正後の本願請求項1に係る発明は、「前記制御手段は、前記移動役物の移動が決定された場合に、前記移動役物が移動を開始する前であって前記移動役物が前記待機位置で停止している状態において前記表示手段に前記所定の演出を表示させ」るという特徴的構成を有しております。
つまり、上記特徴的構成を有する補正後の本願請求項1に係る発明は、移動役物(昇降役物装置8)が移動開始前の待機位置で「停止している状態」において「表示手段に前記所定の演出を表示」(導光板250における発光像表示)させています。
一方、引用文献1の明細書段落0166には、「演出制御用CPU120は、可動体402が第2待機位置にあるときには導光板装置500による発光表示演出を実行せず、かつ、可動体302Lを第1進出位置へ移動させず、可動体402が第2待機位置から第2進出位置へ移動するときには導光板装置500による発光表示演出を実行し、可動体302Lを第1進出位置に配置する」ことが記載されております。
つまり引用文献1に記載された発明(引用発明)では、「可動体402が第2待機位置にあるとき(可動体402が停止しているとき)」には導光板装置500による「発光表示演出を実行しない」ことが明らかです。
このため、「移動役物が停止している状態」において「表示手段に前記所定の演出を表示」(発光像表示)するという上記特徴的構成を有する補正後の本願請求項1に係る発明は、引用発明と相反する構成です。
また、引用文献1の明細書段落[0155]には、「可動体402が第2待機位置から第2進出位置へ移動しているときに導光板装置500による発光表示演出を行う」と記載されています。当該記載における「移動している」とは、「移動中」であることを示していることは明らかです。つまり、引用文献1には、可動体が「移動中」に発光表示演出を実行することは記載されていますが、可動体が「移動を開始する前であって待機位置で停止している状態」において発光表示演出を実行することは記載されていません。
つまり、上記特徴的構成は引用発明と相反する構成であり、引用文献1には上記特徴的構成が開示も示唆もされていません。
したがって、引用発明から出発して上記特徴的構成を有する補正後の本願請求項1に係る発明に到達することは当業者が容易になし得ることではなく、そもそも本願発明を知っていない状態では、引用発明と本願発明との関連性を見いだすことすらできません。
またさらに、引用文献1の同段落0166には、「機構部分Eの視認の困難化が不要なときは、可動体302Lを第1進出位置へ移動させたり、導光板装置500による発光表示演出を実行させない、つまり、視認困難化手段を駆動しないため、可動体402が第2待機位置にあるときに視認困難化手段により第1演出部411A、第2演出部411B,411D及び第3演出部411Cの美観が損われたり、演出表示装置5の表示画面の視認性が低下することを抑制できる。」ことが記載されています。
可動体が移動を開始する前(停止している状態)は、機構部分Eの視認の困難化が不要なときに相当し、可動体が移動を開始する前に発光演出表示を実行させると、第1演出部411Aなどの美観が損なわれたり演出表示装置5の表示画面の視認性が低下したりすることになります。このため、引用文献1には、可動体が移動を開始する前に発光演出表示を実行させることに対する阻害要因があります。」

と主張する。

(2)当審の判断

そこで、引用文献1の記載について検討する。

上記第4の1(1)によれば、

引用文献1における「本発明の手段1の遊技機」は、「前記演出部の移動に応じて前記視認可能部の視認を困難化する視認困難化手段を備える(例えば、演出制御用CPU120は、可動体402が第2待機位置から第2進出位置へ移動しているときに導光板装置500による発光表示演出を行うことで、遊技者から視認可能となる第2可動ベース410Bの一部である機構部分Eの視認を困難化する。また、可動体402が第2進出位置にあるときに可動体302Lを第1進出位置に配置し、遊技者から視認可能となる第2可動ベース410Bの一部である機構部分Eの視認を困難化する。……)ことを特徴としている」ものであり、これにより「演出部の移動に応じて移動機構部の視認可能部が遊技者から視認可能となっても視認困難化手段により視認を困難化できるため、演出部の美観が損われることを抑制できる」ものであり、

引用文献1における「本発明の手段2の遊技機」は、「手段1に記載の遊技機」であって、かつ、「前記視認困難化手段は、前記演出部が前記第1位置にあるときは駆動せず、前記演出部の移動に応じて駆動して前記視認可能部の視認を困難化する(例えば、演出制御用CPU120は、可動体402が第2待機位置にあるときには導光板装置500による発光表示演出を実行せず、かつ、可動体302Lを第1進出位置へ移動させず、可動体402が第2待機位置から第2進出位置へ移動するときには導光板装置500による発光表示演出を実行し、可動体302Lを第1進出位置に配置する。図20、図21参照)ことを特徴としている」ものであり、これにより「視認可能部の視認の困難化が不要なときは駆動しないため、視認困難化手段により演出部の美観が損われることを抑制できる」ものである。

これらの記載から、引用文献1では、「前記視認困難化手段は、前記演出部が前記第1位置にあるときは駆動」しないこと、例えば、「演出制御用CPU120は、可動体402が第2待機位置にあるときには導光板装置500による発光表示演出を実行」しないことは、必須の構成ではなく、付加的な構成であるといえる。

ここで、上記第4の1(11)に示した【0163】~【0164】の記載は、「演出制御用CPU120は、可動体402が第2待機位置から第2進出位置へ移動しているときに導光板装置500による発光表示演出を行」うこと等であるから、「本発明の手段1の遊技機」に対応した実施例に関する記載である。また、上記第4の1(11)に示した【0166】の記載は、「演出制御用CPU120は、可動体402が第2待機位置にあるときには導光板装置500による発光表示演出を実行せず、かつ、可動体302Lを第1進出位置へ移動させ」ないこと等であるから、「手段1に記載の遊技機」に他の構成を追加した「本発明の手段2の遊技機」に対応した実施例に関する記載である。そうすると、上記のような【0166】に記載された事項は、引用文献1における必須の構成ではなく、付加的な構成である。

以上のとおりであるから、引用発明が本願発明と相反する構成を有し、引用発明は相違点1に係る本願発明の発明特定事項D1をなすことに阻害要因があるという請求人の主張を採用することはできない。

第7 むすび

以上のとおり、本願発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。したがって、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-008957

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