2022-008258
参照信号の構成方法及び装置
- 審判番号
- 2022-008258
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-507556外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年06月01日
- 審決日
- 2024年03月05日
- 公報発行日
- 2024年08月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】中興通訊股▲ふん▼有限公司
- 【請求人代理人】弁理士法人平木国際特許事務所
- 分類
- P18 .55 -WZ (H04B) / P18 .57 -WZ (H04B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 9項目
第1 手続の経緯
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本願は、2018年(平成30年)7月18日(優先権主張外国庁受理 2017年8月11日 中華人民共和国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯の概要は以下のとおりである。
令和 2年 4月 9日 手続補正書
令和 3年 5月11日付け 拒絶理由通知書
8月30日 意見書・手続補正書
令和 4年 1月25日付け 拒絶査定
6月 1日 審判請求書・手続補正書
令和 5年 3月24日付け 拒絶理由通知書
6月28日 意見書・手続補正書
8月24日付け 拒絶理由通知書(最後)
11月28日 意見書・手続補正書
以下では、令和5年8月24日付け拒絶理由通知書(最後)を「当審拒絶理由通知書」といい、同年6月28日の手続補正書による補正を「前回補正」といい、同年11月28日の手続補正書による補正を「本件補正」という。
第2 補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
1 本件補正の内容
本件補正前後の請求項1をそれぞれ以下の(1)及び(2)に示す。
(1)本件補正前の請求項1の記載
本件補正前の前回補正にて補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。
【請求項1】
無線通信方法であって、
第1の通信ノードによって、無線リソース制御(RRC)シグナリングメッセージを第2の通信ノードに送信することであって、前記RRCシグナリングメッセージは、インジケータ要素の集合であって、各インジケータ要素が少なくとも、参照信号と復調参照信号(DMRS)ポートとの間の準コロケーション(QCL)関係を示し、前記集合は、M個のインジケータ要素を含み、Mは、1より大きい整数であることと、
前記第1の通信ノードによって、メディアアクセス制御(MAC)制御要素(CE)シグナリングメッセージを前記第2の通信ノードに送信することによって、前記インジケータ要素の集合の下位集合をアクティブ化することであって、前記MAC CEシグナリングメッセージが同じ識別子に対応する2つのインジケータ要素を含み、前記2つのインジケータ要素が個別のQCL関係を表すことと、
前記第1の通信ノードによって、前記2つのインジケータ要素に対応する前記識別子を指定するダウンリンク制御情報(DCI)シグナリングメッセージを前記第2の通信ノードに送信することと、を含み、
Yを1より大きい整数とするとき、前記第2の通信ノードによる、前記インジケータ要素の集合の前記アクティブ化された下位集合の適用は、前記MAC CEシグナリングメッセージが送信されるスロットの後のY個のスロットである時間領域ポジションから始まる、方法。
(2)本件補正後の請求項1の記載
本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。なお、下線は補正箇所を示すために請求人が付したものである。
【請求項1】
無線通信方法であって、
第1の通信ノードによって、無線リソース制御(RRC)シグナリングメッセージを第2の通信ノードに送信することであって、前記RRCシグナリングメッセージは、インジケータ要素の集合を含み、インジケータ要素に関連する参照信号が少なくとも復調参照信号(DMRS)について準コロケーション(QCL)仮定を満たし、前記集合は、M個のインジケータ要素を含み、Mは、1より大きい整数であることと、
前記第1の通信ノードによって、メディアアクセス制御(MAC)制御要素(CE)シグナリングメッセージを前記第2の通信ノードに送信することによって、前記インジケータ要素の集合の下位集合をアクティブ化することであって、前記MAC CEシグナリングメッセージが同じ識別子に対応する2つのインジケータ要素を含み、前記2つのインジケータ要素が個別のQCL仮定を表すことと、
前記第1の通信ノードによって、前記2つのインジケータ要素に対応する前記識別子を指定するダウンリンク制御情報(DCI)シグナリングメッセージを前記第2の通信ノードに送信することと、を含み、
Yを1より大きい整数とするとき、前記第2の通信ノードによる、前記インジケータ要素の集合の前記アクティブ化された下位集合の適用は、前記MAC CEシグナリングメッセージが送信されるスロットの後のY個のスロットである時間領域ポジションから始まる、方法。
2 本件補正の目的
前記1によれば、請求項1についての本件補正は、以下の補正事項1~補正事項3からなる。
(1)補正事項1の目的について
本件補正前の「RRCシグナリングメッセージ」は、「インジケータ要素の集合」そのものであったのに対し、本件補正後の「RRCシグナリングメッセージ」は、「インジケータ要素の集合」「を含」むため、「インジケータ要素の集合」以外のものを含み得る。
よって、補正事項1に係る本件補正により、「RRCシグナリングメッセージ」の概念は拡張される。
そうすると、補正事項1に係る本件補正の目的は、特許法17条の2第5項2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」には該当しない。
また、本件補正前の「前記RRCシグナリングメッセージは、インジケータ要素の集合であって、」との記載は、「RRCシグナリングメッセージ」が「インジケータ要素の集合」であることを明確に記載しているため、明りようでない記載ではない。よって、補正事項1に係る本件補正の目的は、特許法17条の2第5項4号に掲げる「明りようでない記載の釈明」には該当しない。
また、「であって、」という記載と「を含み、」との記載は、語形が大きく異なり、意味も異なることから、これらの記載を混同して書き誤るとは考えられない。加えて、本件補正と同日付けの意見書においても、本件補正の目的が誤記の訂正であるとの説明はない。よって、補正事項1に係る本件補正の目的は、特許法17条の2第5項3号に掲げる「誤記の訂正」には該当しない。
そして、補正事項1に係る本件補正の目的は、特許法17条の2第5項1号に掲げる「請求項の削除」に該当しないことは明らかである。
以上によれば、補正事項1に係る本件補正の目的は、特許法17条の2第5項各号のいずれにも該当しない。
(2)補正事項2の目的について
本件補正前の請求項1によれば、「参照信号」と「DMRSポート」との間の「QCL関係」を「インジケータ要素」が「示」すことが特定されていた。
本件補正後の請求項1によれば、「参照信号」と「DMRS」との間で「QCL仮定」が「満た」されることが特定されている。
そうすると、補正事項2により、「インジケータ要素」がQCL関係を「示」すという事項は削除されている。
さらに、補正事項2により、QCLに関する関係を有する対象が、参照信号と「DMRSポート」とから、参照信号と「DMRS」とに変更されている。
したがって、補正事項2に係る本件補正の目的は、特許法17条の2第5項2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」には該当しない。
また、本件補正前の「各インジケータ要素が少なくとも、参照信号と復調参照信号(DMRS)ポートとの間の準コロケーション(QCL)関係を示し、」との記載は、「参照信号」と「DMRSポート」との間の「QCL関係」を、「インジケータ要素」が「示」すという事項を明確に記載しているため、明りようでない記載ではない。よって、補正事項1に係る本件補正の目的は、特許法17条の2第5項4号に掲げる「明りようでない記載の釈明」には該当しない。
また、本件補正前の補正事項2に係る記載と、本件補正後の補正事項2に係る記載とは、文の構造が異なるため、誤記の訂正の範疇を超えている。よって、補正事項2に係る本件補正の目的は、特許法17条の2第5項3号に掲げる「誤記の訂正」には該当しない。
そして、補正事項2に係る本件補正の目的は、特許法17条の2第5項1号に掲げる「請求項の削除」に該当しないことは明らかである。
以上によれば、補正事項2に係る本件補正の目的は、特許法17条の2第5項各号のいずれにも該当しない。
(3)本件補正の目的についての小括
本件補正は補正事項1及び補正事項2を含むものであるから、前記(1)及び(2)によれば、本件補正の目的は、特許法17条の2第5項各号のいずれにも該当しないものを含んでいる。
よって、本件補正は、特許法17条の2第5項の規定に違反する。
3 本件補正の適否の判断
前記2(3)のとおり、本件補正は、特許法17条の2第5項の規定に違反するものであるから、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、前記[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。
第3 本願発明
本件補正は前記第2のとおり却下されたため、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第2[理由]1(1)に示した請求項1に記載されたとおりのものと認める。
第4 当審拒絶理由通知書の概要
当審拒絶理由通知書で通知された拒絶の理由は、概略、以下のとおりである。
(新規事項)前回補正により導入された「各インジケータ要素が少なくとも、参照信号と復調参照信号(DMRS)ポートとの間の準コロケーション(QCL)関係を示」すとの発明特定事項は、国際出願日における国際特許出願の明細書若しくは図面(図面の中の説明に限る。)の翻訳文、国際出願日における国際特許出願の請求の範囲の翻訳文又は国際出願日における国際特許出願の図面(図面の中の説明を除く。)(以下「翻訳文等」という。)のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項とはいえないため、前回補正は、翻訳文等に記載した事項の範囲内においてしたものではなく、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていない(同法第184条の12第2項参照)。
第4 前回補正による新規事項追加の有無について
前回補正により、本願発明には「各インジケータ要素が少なくとも、参照信号と復調参照信号(DMRS)ポートとの間の準コロケーション(QCL)関係を示し、」との発明特定事項(以下、この事項を「事項A」という。)が導入された。事項Aは、要するに、「参照信号」と「DMRSポート」との間の「QCL関係」を、「インジケータ要素」が「示」す、という事項である。
以下、前回補正により導入される事項Aが、翻訳文等に記載した事項の範囲内においてしたものであるかについて、検討する。
1 翻訳文等には、「一実施形態では、第1のタイプのパラメータ集合は、少なくとも、データチャネルリソース要素(RE)のマッピング情報、制御チャネルREのマッピング情報、復調参照信号(DMRS)ポートの準コロケーション(QCL)情報、DMRSポートグループのQCL情報、又はチャネル状態情報参照信号(CSI-RS)の参照信号設定情報の1つを含む。」(【0026】、下線は強調のために当審で付した。以下同様)との記載があり、該記載は、「DMRSポートのQCL情報」又は「DMRSポートグループのQCL情報」が、「第1のタイプのパラメータ集合」に含まれることを記載していると解される。
他方、翻訳文等には、「第1のタイプのパラメータ集合は、N個のインジケータ要素を含み、Nは、1以上の整数である。」(【0020】)との記載があり、該記載によれば、「第1のタイプのパラメータ集合」は、「インジケータ要素」を「含」むのであって、「インジケータ要素」そのものではないと解される。
よって、【0020】及び【0026】の記載からは、「第1のタイプのパラメータ集合」が、「DMRSポートのQCL情報」又は「DMRSポートグループのQCL情報」と、「インジケータ要素」とを含んでいるとは解されるものの、「インジケータ要素」が「DMRSポートのQCL情報」又は「DMRSポートグループのQCL情報」を含んでいるとは解することができないし、「インジケータ要素」が、「DMRSポートのQCL情報」又は「DMRSポートグループのQCL情報」を示しているとも解することができない。
したがって、上記記載からは、QCL関係を「インジケータ要素」が「示」す、という事項Aは導かれない。
加えて、翻訳文等には、「DMRSポートのQCL情報」又は「DMRSポートグループのQCL情報」が、「参照信号」と「DMRSポート」との間のQCL関係に係る情報である旨の記載はない。
以上によれば、「参照信号」と「DMRSポート」との間の「QCL関係」を、「インジケータ要素」が「示」すという事項Aは、【0020】及び【0026】の記載から導かれない。
2 翻訳文等には、「一実施形態では、インジケータ要素は、インジケータ要素番号、参照信号(RS)タイプインジケータ、RSリソース設定インジケータ、RSリソース集合インジケータ、RSリソースインジケータ、RSリソースポートインジケータ、ブロックインジケータ、ブロックバーストインジケータ、ブロックバースト集合インジケータ、測定制約窓インジケータ、時間領域窓インジケータ、報告設定インジケータ、ビームグループインジケータ、測定制約、設定制約、及び時間領域制約の設定情報のうちの少なくとも1つを含む。」(【0030】)との記載がある。
該記載によれば、「インジケータ要素」に「含」まれる情報として、QCLに関係するものは登場しないから、「インジケータ要素」は「QCL関係」に関する情報を含んでいないと解される。
よって、【0030】の記載からは、「QCL関係」を「インジケータ要素」が「示す」という事項Aは導くことはできず、むしろ、該記載により事項Aは否定される。
3 翻訳文等には、「本実施形態では、第2のタイプの参照信号は、更に、データチャネルリソース要素(RE)のマッピング情報、制御チャネルREのマッピング情報、DMRSポート情報、DMRSポートグループ情報、又はチャネル状態情報参照信号(CSI-RS)の構成情報、又は物理ダウンリンク共有チャネルREマッピング及び準コロケーションインジケータ(quasi-co-location indicator:PQI)情報のいずれか1つを含む。」(【0044】)との記載があり、該記載は、「PQI情報」が「第2のタイプの参照信号」に含まれることを記載していると解される。
他方、翻訳文等には、「第2のタイプの参照信号」が「インジケータ要素」であることは記載されていない。「第2のタイプの参照信号」と「インジケータ要素」との関係を記載しているのは、「第3のタイプのシグナリングは、第2のタイプの集合又は第3のタイプの集合の下位集合内のインジケータ要素が第2のタイプの参照信号に関連付けられていることを示し、関連付けは、第2のタイプの参照信号及び第2のタイプの集合又は第3のタイプの集合の下位集合内のインジケータ要素に対応する参照信号がチャネル特性仮定を満たすことを示す。」(【0094】)との記載のみであり、該記載によれば、「第2のタイプの参照信号」は、「インジケータ要素」と関連付けられはするものの、「インジケータ要素」とは別のものであると解される。
よって、【0044】及び【0094】の記載からは、QCL関係を「インジケータ要素」が「示」すという事項Aは導かれない。
加えて、翻訳文等には、「PQI情報」が「参照信号」と「DMRSポート」との「QCL関係」に係る情報である旨の記載はない。
以上によれば、「参照信号」と「DMRSポート」との間の「QCL関係」を、「インジケータ要素」が「示」すという事項Aは、【0044】及び【0094】の記載から導かれない。
4 翻訳文等には、「一実施形態では、第1のタイプのパラメータ集合内のインジケータ要素、第2のタイプのパラメータ集合内のインジケータ要素、又は第3のタイプのパラメータ集合内の下位集合に対応する参照信号、及び第2のタイプの参照信号は、チャネル特性仮定を満たし、チャネル特性仮定は、QCL仮定、空間QCL仮定、又は空間受信パラメータ要件を満たすことのいずれか1つを含む。」(【0058】)との記載がある。
上記記載は、日本語として不明確ではあるが、「インジケータ要素」又は「参照信号」が「QCL仮定」又は「空間QCL仮定」を満たすことを含む、という事項が記載されていると解される。
しかしながら、上記記載は、「QCL仮定」又は「空間QCL仮定」が、「参照信号」と「DMRSポート」との間のQCL関係であることを記載したものではないし、当該QCL仮定が「インジケータ要素」によって「示」されることを記載したものではない。
よって、「参照信号」と「DMRSポート」との間の「QCL関係」を、「インジケータ要素」が「示」すという事項Aは、【0058】の記載から導かれない。
5 翻訳文等のその他の箇所も参照し、技術常識をも考慮しても、翻訳文等からは「参照信号」と「DMRSポート」との間の「QCL関係」を、「インジケータ要素」が「示」すという事項Aは導かれない。
したがって、前回補正により導入された「各インジケータ要素が少なくとも、参照信号と復調参照信号(DMRS)ポートとの間の準コロケーション(QCL)関係を示」すとの発明特定事項は、翻訳文等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項とはいえないため、前回補正は、翻訳文等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものと認められる。
なお、請求項2~15についても同様である。
以上によれば、前回補正は、翻訳文等に記載した事項の範囲内においてしたものとは認められず、特許法17条の2第3項の規定に違反する。
第5 むすび
前記第4のとおり、前回補正は、特許法17条の2第3項の規定に違反するため、その他の要件について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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