特許拒絶査定不服審判
2023-018251
複数のアンテナでパイロットを送信するための方法および装置
- 審判番号
- 2023-018251
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-148720
- 請求日
- 2023年10月27日
- 審決日
- 2024年05月27日
- 公報発行日
- 2024年06月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】インターデイジタル パテント ホールディングス インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】弁理士法人谷・阿部特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 高野 洋
- 審判官 寺谷 大亮
- 審判官 上田 翔太
- 分類
- P18 .561-WY (H04B) / P18 .57 -WY (H04B) / P18 .55 -WY (H04B) / P18 .537-WY (H04B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法53条1項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021-148720「複数のアンテナでパイロットを送信するための方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年12月23日出願公開、特開2021-193819、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2011年(平成23年)9月30日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2010年10月1日 アメリカ合衆国、同年11月5日 アメリカ合衆国、2011年1月7日 アメリカ合衆国、同年2月11日 アメリカ合衆国、同年4月28日 アメリカ合衆国、同年8月12日 アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願の一部を平成26年7月7日に新たな特許出願とした特願2014-139907号の一部を平成28年5月16日に新たな特許出願とした特願2016-98244号の一部を平成30年9月5日に新たな特許出願とした特願2018-166301号の一部を令和3年9月13日に新たな特許出願としたものであって、令和4年9月9日付けで拒絶の理由が通知され、令和5年3月7日に意見書が提出されるとともに手続補正がされ、同年6月20日付けで拒絶査定がされたものである。これを不服として、令和5年10月27日に本件審判の請求がされ、同時に手続補正がされた。
第2 令和5年10月27日の手続補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和5年10月27日にされた手続補正を却下する。
[理由]
1 本件補正の内容
令和5年10月27日の手続補正(以下「本件補正」という。)は、令和5年3月7日に補正された特許請求の範囲の請求項1-4の記載を、補正後の請求項1-2の記載に補正するものであり、補正前後の請求項の記載は、それぞれ次のとおりである。(下線部は、補正箇所である。)
[補正前の請求項]
【請求項1】
無線送受信ユニット(WTRU)であって、
トランシーバに動作可能に結合されたプロセッサを備え、
前記プロセッサおよび前記トランシーバは、第1のビームを使用して第1の電力レベルで第1の物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)プリアンブルを基地局に送信するように構成され、
前記プロセッサおよび前記トランシーバは、前記トランシーバが第1のインジケーションを受信するという条件で、データを送信するようにさらに構成され、前記第1のインジケーションは、前記第1のPRACHプリアンブルが前記基地局によって受信されたことを示し、
前記プロセッサおよび前記トランシーバは、前記第1のインジケーションが受信されなかったという条件で、第2のビームを使用して前記第1の電力レベルで第1の繰り返し送信を前記基地局に送信するようにさらに構成され、前記第1の繰り返し送信は、第2のPRACHプリアンブルを含み、前記第1のビームおよび前記第2のビームは異なるビームであり、
前記プロセッサおよび前記トランシーバは、前記トランシーバが第2のインジケーションを受信するという条件で、データを送信するようにさらに構成され、前記第2のインジケーションは、前記第2のPRACHプリアンブルが前記基地局によって受信されたことを示し、
前記プロセッサおよび前記トランシーバは、前記トランシーバが前記第2のインジケーションを受信しないという条件で、電力ランプステップによって第3のPRACHプリアンブルの送信電力レベルを第2の電力レベルに増加させ、および第2のビームを使用して前記第2の電力レベルで第2の繰り返し送信を前記基地局に送信するようにさらに構成され、前記第2の繰り返し送信は、前記第3のPRACHプリアンブルを含む、
WTRU。
【請求項2】
前記第2のPRACHプリアンブルは、前記第1の電力レベルおよび第3の電力レベルのうちの一つを使用して別の基地局に送信される、請求項1のWTRU。
【請求項3】
無線送受信ユニット(WTRU)で用いる方法であって、
第1のビームを使用して第1の電力レベルで第1の物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)プリアンブルを基地局に送信することと、
前記WTRUが第1のインジケーションを受信するという条件で、データを送信することであって、前記第1のインジケーションは、前記第1のPRACHプリアンブルが前記基地局によって受信されたことを示す、ことと、
前記第1のインジケーションが受信されなかったという条件で、第2のビームを使用して前記第1の電力レベルで第1の繰り返し送信を前記基地局に送信することであって、前記第1の繰り返し送信は、第2のPRACHプリアンブルを含み、前記第1のビームおよび前記第2のビームは異なるビームである、ことと、
第2のインジケーションが受信されたという条件で、データを送信することであって、前記第2のインジケーションは、前記第2のPRACHプリアンブルが前記基地局によって受信されたことを示す、ことと、
前記第2のインジケーションが受信されなかったという条件で、電力ランプステップによって第3のPRACHプリアンブルの送信電力レベルを第2の電力レベルに増加させ、および第2のビームを使用して前記第2の電力レベルで第2の繰り返し送信を前記基地局に送信することであって、前記第2の繰り返し送信は、前記第3のPRACHプリアンブルを含む、ことと
を備える方法。
【請求項4】
前記第2のPRACHプリアンブルは、前記第1の電力レベルおよび第3の電力レベルのうちの一つを使用して別の基地局に送信される、請求項3の方法。
[補正後の請求項]
【請求項1】
無線送受信ユニット(WTRU)であって、
トランシーバに動作可能に結合されたプロセッサを備え、
前記プロセッサおよび前記トランシーバは、第1のビームを使用して第1の電力レベルで第1の物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)プリアンブルを基地局に送信するように構成され、
前記プロセッサおよび前記トランシーバは、前記トランシーバが第1のインジケーションを受信するという条件で、データを送信するようにさらに構成され、前記第1のインジケーションは、前記第1のPRACHプリアンブルが前記基地局によって受信されたことを示し、
前記プロセッサおよび前記トランシーバは、前記第1のインジケーションが受信されなかったという条件で、第2のビームを使用して前記第1の電力レベルで第1の繰り返し送信を前記基地局に送信するようにさらに構成され、前記第1の繰り返し送信は、第2のPRACHプリアンブルを含み、前記第1のビームおよび前記第2のビームは異なるビームであり、
前記プロセッサおよび前記トランシーバは、前記トランシーバが第2のインジケーションを受信するという条件で、データを送信するようにさらに構成され、前記第2のインジケーションは、前記第2のPRACHプリアンブルが前記基地局によって受信されたことを示し、
前記プロセッサおよび前記トランシーバは、電力ランプステップによって第3のPRACHプリアンブルの送信電力レベルを第2の電力レベルに増加させ、および第2のビームを使用して前記第2の電力レベルで第2の繰り返し送信を前記基地局に送信するようにさらに構成され、前記第2の繰り返し送信は、前記第3のPRACHプリアンブルを含む、
WTRU。
【請求項2】
無線送受信ユニット(WTRU)で用いる方法であって、
第1のビームを使用して第1の電力レベルで第1の物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)プリアンブルを基地局に送信することと、
前記WTRUが第1のインジケーションを受信するという条件で、データを送信することであって、前記第1のインジケーションは、前記第1のPRACHプリアンブルが前記基地局によって受信されたことを示す、ことと、
前記第1のインジケーションが受信されなかったという条件で、第2のビームを使用して前記第1の電力レベルで第1の繰り返し送信を前記基地局に送信することであって、前記第1の繰り返し送信は、第2のPRACHプリアンブルを含み、前記第1のビームおよび前記第2のビームは異なるビームである、ことと、
第2のインジケーションが受信されたという条件で、データを送信することであって、前記第2のインジケーションは、前記第2のPRACHプリアンブルが前記基地局によって受信されたことを示す、ことと、
電力ランプステップによって第3のPRACHプリアンブルの送信電力レベルを第2の電力レベルに増加させ、および第2のビームを使用して前記第2の電力レベルで第2の繰り返し送信を前記基地局に送信することであって、前記第2の繰り返し送信は、前記第3のPRACHプリアンブルを含む、ことと
を備える方法。
2 補正の適否
(1)目的について
本件補正の請求項1に係る補正は、補正前の請求項1に記載した「前記トランシーバが前記第2のインジケーションを受信しないという条件で、電力ランプステップによって第3のPRACHプリアンブルの送信電力レベルを第2の電力レベルに増加させ、および第2のビームを使用して前記第2の電力レベルで第2の繰り返し送信を前記基地局に送信する」との発明特定事項の「前記トランシーバが前記第2のインジケーションを受信しないという条件で」との記載を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮には当たらない。
また、削除された「前記トランシーバが前記第2のインジケーションを受信しないという条件で」との記載は、「電力ランプステップによって第3のPRACHプリアンブルの送信電力レベルを第2の電力レベルに増加させ、および第2のビームを使用して前記第2の電力レベルで第2の繰り返し送信を前記基地局に送信する」との動作を行うための条件を示したものであって、その記載自体は明瞭なものであり、また、請求項1のその他の記載との関係において不明瞭であるというものでもないから、前記記載を削除する補正は、明瞭でない記載の釈明には当たらない。
また、「前記トランシーバが前記第2のインジケーションを受信しないという条件で」との記載を削除する補正が、請求項の削除、誤記の訂正に当たらないことも明らかである。
したがって、本件補正の請求項1に係る補正は、特許法17条の2第5項各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当しないから、本件補正は、特許法17条の2第5項に規定する要件を満たしていない。
(2)新規事項の追加について
ア 補正後の請求項1に記載された発明
補正後の請求項1に記載された発明は、無線送受信ユニット(WTRU)が、(i)第1のビームを使用して第1の電力レベルで第1のPRACHプリアンブルを基地局に送信し、(ii)前記第1のPRACHが前記基地局によって受信されたことを示す第1のインジケーションが受信されなかったという条件で、同じ第1の電力レベルで第2のビームを使用して第2のPRACHプリアンブルを含む第1の繰り返し送信を前記基地局に送信し、(iii)第3のPRACHプリアンブルの送信電力レベルを、電力ランプステップによって第2の電力レベルに増加させ、同じ第2のビームで前記第2の電力レベルで前記第3のPRACHプリアンブルを含む第2の繰り返し送信を前記基地局に送信する、との動作を行うものであり、上記(iii)の「第2の繰り返し送信」には、上記(ii)の「第1の繰り返し送信」ような「条件」はない(前記(1)のとおり、本件補正は、(iii)の「第2の繰り返し送信」の「条件」を削除するものである。)。
そうすると、本件補正後の請求項1に記載された発明は、WTRUが、上記(iii)の「第2の繰り返し送信」を、前記「第1のインジケーション」、及び第2のPRACHプリアンブルが基地局によって受信されたことを示す「第2のインジケーション」の「受信」の有無に関わらず行う、換言すると、前記「第1のインジケーション」又は「第2のインジケーション」を「受信」した場合にも行うものと解される。
イ 当初明細書等の記載事項(ア)当初明細書等には、「PRACHプリアンブル」の「繰り返し送信」に関して、次の記載がある。(下線部は、強調のために当審で付与した。)
「【0265】
別の実施形態においては、ビームフォーミングが、PRACHの送信に適用される可能性がある。図20は、ビームフォーミングを適用する例示的なPRACHの送信を示す。WTRUは、肯定応答が受信されない場合、PRACHプリアンブルを繰り返し送信する。WTRUは、それぞれのプリアンブルの送信に異なるビームフォーミングの重みを適用する。WTRUは、プリアンブルの電力をランプする前にそれぞれの重みに対して同じ電力でプリアンブルを送信する可能性がある。このようにして、WTRUは、RACH送信のための適切な送信電力とビームフォーミングの重みの両方を学習することができる。」
「【図20】
[図:0001411174000001.jpg]
」
(イ)前記(ア)の記載によれば、WTRUによるPRACHプリアンブルの「繰り返し送信」は、「肯定応答が受信されない場合」に行うものであり、PRACHプリアンブルは、基地局に対して送信されるものであるという技術常識に照らせば、上記「肯定応答」は、基地局がPRACHプリアンブルの受信に成功したことを示す応答であることは明らかである。
他方で、WTRUによるPRACHプリアンブルの上記「繰り返し送信」を、「肯定応答」が受信された場合にも行うこと、すなわち「肯定応答」の受信に関係なく行うことを明示ないし示唆する記載は、当初明細書等には存在しない。
ウ 検討
補正後の請求項1に記載された発明の「第1のインジケーション」及び「第2のインジケーション」は、当初明細書等の「肯定応答」に対応するものと解されるところ、前記イのとおり、当初明細書等には、PRACHプリアンブルの「繰り返し送信」を、「肯定応答」の受信に関係なく行うことは記載されていないのであるから、請求項1の記載を補正後のものとする本件補正は、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものとはいえない。
したがって、本件補正は、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
(3)まとめ
以上のとおり、本件補正は、特許法17条の2第3項及び第5項の規定に違反するものであり、同法159条1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
令和5年10月27日にされた手続補正は、前記のとおり却下されたので、本願の請求項1-4に係る発明は、令和5年3月7日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-4に記載された事項(前記「第2 1[補正前の請求項]」)により特定されるとおりのものであると認める。
そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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