特許拒絶査定不服審判
2024-009887
分散アンテナシステムにおいて仮想ラジオインスタンスをコヒーレンスの物理的ボリュームへとマッピングするためのシステム及び方法
- 審判番号
- 2024-009887
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-110635
- 請求日
- 2024年06月13日
- 審決日
- 2025年03月04日
- 公報発行日
- 2025年03月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】リアデン リミテッド ライアビリティ カンパニー
- 【請求人代理人】田中 伸一郎
- 【請求人代理人】須田 洋之
- 【請求人代理人】山崎 一夫
- 【請求人代理人】大塚 文昭
- 【請求人代理人】近藤 直樹
- 【請求人代理人】那須 威夫
- 【請求人代理人】鈴木 信彦
- 審判長/審判官
- 審判長 高野 洋
- 審判官 寺谷 大亮
- 審判官 丸山 高政
- 分類
- P18 .57 -WY (H04B) / P18 .575-WY (H04B) / P18 .55 -WY (H04B) / P18 .537-WY (H04B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項、特許法第36条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021-110635「分散アンテナシステムにおいて仮想ラジオインスタンスをコヒーレンスの物理的ボリュームへとマッピングするためのシステム及び方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年10月21日出願公開、特開2021-168493、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2015年(平成27年)2月4日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2014年2月7日 アメリカ合衆国、2015年2月2日 アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願(特願2016-550718号)の一部を令和3年7月2日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年 7月22日付け:拒絶理由通知書
令和5年 1月27日 :意見書、手続補正書
令和5年 5月17日付け:拒絶理由(最後の拒絶理由)通知書
令和5年11月20日 :意見書、手続補正書
令和6年 2月 7日付け:令和5年11月20日の手続補正についての
補正の却下の決定、拒絶査定
令和6年 6月13日 :審判請求書、手続補正書
令和6年 7月22日 :手続補正書(方式)
第2 令和6年6月13日にされた手続補正についての却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和6年6月13日にされた手続補正を却下する。
[理由]
1 本件補正の内容
令和6年6月13日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、令和5年1月27日に補正された特許請求の範囲の請求項1の記載を、補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正するものであり、補正前後の請求項1の記載は、それぞれ次のとおりである。(下線は、補正箇所を示すために請求人が付したものである。)
[補正前]
【請求項1】
マルチユーザー多重アンテナシステム(「MU-MAS」)であって、
複数の仮想ラジオインスタンス(VRI)であって、前記複数のVRIの各々は、プロトコルスタックを同時に実装し、前記複数のプロトコルスタックは、第1の複数のベースバンド波形を生成する、複数の仮想ラジオインスタンス(VRI)と、
前記第1の複数のベースバンド波形の各々をプリコーディングすることによって第2の複数のベースバンド波形を生成する演算手段を含む、仮想ラジオマネージャー(VRM)と、を含み、
前記第2の複数のベースバンド波形は、それぞれ、複数の無線アクセスポイント(AP)によって同じ搬送周波数で同時に伝送され、
前記複数の無線AP伝送は、複数のユーザー機器デバイス(UE)の各々が前記第1の複数のベースバンド波形のうちの1つに対応する独立した非干渉波形を同時に受信するように、スペース内で互いに意図的に干渉する、
マルチユーザー多重アンテナシステム。
[補正後]
【請求項1】
マルチユーザー多重アンテナシステム(「MU-MAS」)であって、
複数のユーザー機器(UE)デバイスと、
(仮想ラジオインスタンス(VRI)と呼ばれる)複数の無線プロトコルスタックを実装するベースバンドプロセッサに結合された複数の分散アクセスポイント(AP)であって、前記複数の無線プロトコルスタックは、グローバルシステムフォーモバイルコミュニケーション(GSM)、第3世代(3G)無線、発展型高速パケットアクセス(HSPA+)、ロングタームエボリューション(LTE)、LTEアドバンスト(LTE-A)、及びWi-Fiを含む、対応する複数の無線規格に関連する第1の複数のベースバンド波形を生成する、複数の分散アクセスポイント(AP)と、を含み、
前記LTE規格は、LTE制御プレーン又はユーザープレーンプロトコルスタックを含み、
各UEデバイスは、物理(PHY)層、メディアアクセス制御(MAC)層、無線リンク制御(RLC)層、及びパケットデータ収束プロトコル(PDCP)層を含むその独自のプロトコルスタックを用いて通信し、各UEデバイスは、IP層を通してゲートウェイと、アプリケーション層を通してネットワークと通信し、
前記ベースバンドプロセッサは、同時に同じスペクトルを共有する前記無線規格の全てのベースバンドをプリコーダーとして実行し、かつ更に、UEデバイスへの各リンクは、前記スペクトルの全帯域幅を、他のUEデバイスと同時に利用することができ、
前記ベースバンドプロセッサのプリコーディングは、前記MU-MASとUEデバイスとの間に無線リンクを確立し、前記リンクは、どの前記無線規格が各UEデバイスに使用されるかに関わらず、前記無線スペクトルの全帯域幅を、他のUEデバイスと同時に利用し、
前記ベースバンドプロセッサは、前記複数の無線規格の各々からのダウンリンク(DL)ベースバンド波形を、前記複数の分散APに通信される複数のプリコーディングされたDLベースバンド波形に組み合わせ、
各分散APは、他の分散APによって同時に使用されるのと同じ搬送周波数にプリコーディングされたDLベースバンド波形を変調して、同じ搬送周波数を使用して複数のプリコーディングされた変調されたDL波形を生成するために、アナログ-デジタル/デジタル-アナログ(ADC/DAC)、RFチェーン、及びアンテナを含み、
前記ベースバンドプロセッサは、前記無線スペクトルの全帯域幅を同時に利用するために、前記複数のプリコーディングされた変調されたDL波形に、各UE向けの結果のDL波形を作成させるように、プリコーディング及び変調を実行する、
マルチユーザー多重アンテナシステム。
2 補正の目的について
本件補正前の請求項1に係る発明の「マルチユーザー多重アンテナシステム(MU-MAS)」は、「複数の仮想ラジオインスタンス(VRI)」と「仮想ラジオマネージャー(VRM)」とを「含」むものである。
これに対し、本件補正後の請求項1に係る発明において、前記「複数の仮想ラジオインスタンス(VRI)」、「仮想ラジオマネージャー(VRM)」に対応するのは、発明の詳細な説明の記載も参酌すると、それぞれ「(仮想ラジオインスタンス(VRI)と呼ばれる)複数の無線プロトコルスタック」、「ベースバンドプロセッサ」であると解される。
しかしながら、本件補正後の請求項1に係る発明は、「マルチユーザー多重アンテナシステム(「MU-MAS」)」が「複数ユーザー機器(UE)デバイス」と「複数の分散アクセスポイント(AP)」とを「含」むと特定する一方で、「マルチユーザー多重アンテナシステム(「MU-MAS」)」が「(仮想ラジオインスタンス(VRI)と呼ばれる)複数の無線プロトコルスタック」と「ベースバンドプロセッサ」を含むとの特定はない。この「(仮想ラジオインスタンス(VRI)と呼ばれる)複数の無線プロトコルスタック」、「ベースバンドプロセッサ」について、本件補正後の請求項1に係る発明は、「(仮想ラジオインスタンス(VRI)と呼ばれる)複数の無線プロトコルスタックを実装するベースバンドプロセッサに結合された複数の分散アクセスポイント(AP)」と特定しているが、これは、「複数の分散アクセスポイント(AP)」が「(仮想ラジオインスタンス(VRI)と呼ばれる)複数の無線プロトコルスタックを実装するベースバンドプロセッサ」と接続(【0019】)されたものであることを意味すると解されるに過ぎず、「(仮想ラジオインスタンス(VRI)と呼ばれる)複数の無線プロトコルスタック」及び「ベースバンドプロセッサ」が、「複数の分散アクセスポイント(AP)」と一体不可分であること、ひいては「マルチユーザー多重アンテナシステム(「MU-MAS」)」に含まれることを規定するものと解することはできない。また、本件補正後の請求項1のその他の特定事項も総合しても、本件補正後の請求項1に係る発明において、「(仮想ラジオインスタンス(VRI)と呼ばれる)複数の無線プロトコルスタック」及び「ベースバンドプロセッサ」が、「マルチユーザー多重アンテナシステム(「MU-MAS」)」に含まれることが規定されていると解することはできない。
してみると、本件補正は、補正前の請求項1に係る発明の「マルチユーザー多重アンテナシステム(「MU-MAS」)」が「複数の仮想ラジオインスタンス(VRI)」と「仮想ラジオマネージャー(VRM)」を「含」むと特定していたものを、それを特定しないものとする補正を含む。そして、該補正が、特許請求の範囲の限定的減縮、明瞭でない記載の釈明、誤記の訂正、請求項の削除のいずれにも該当しないことは明らかである。
したがって、本件補正は、特許法17条の2第5項各号に掲げるいずれの事項を目的とするものではない。
よって、本件補正は、特許法17条の2第5項の規定に違反する。
3 独立特許要件について
前記2のとおり、本件補正は、特許法17条の2第5項の規定に違反するものであるが、請求人が主張する(審判請求書の「請求の理由」欄の3.1.(2))ように、本件補正が、特許請求の範囲の限定的減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものであると仮定して、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、前記1[補正後]に記載したとおりのものである。
(2)判断
ア 本件補正後の請求項1の「マルチユーザー多重アンテナシステム(「MU-MAS」)であって、複数のユーザー機器(UE)デバイスと、・・・(略)・・・複数の分散アクセスポイント(AP)と、を含み、」との記載によれば、本件補正発明の「マルチユーザー多重アンテナシステム(「MU-MAS」)」は、「複数のユーザー機器(UE)デバイス」を内包するものと解される。
イ 他方で、本件補正後の請求項1には、「前記ベースバンドプロセッサのプリコーディングは、前記MU-MASとUEデバイスとの間に無線リンクを確立し、」との記載もあり、該記載は、「UEデバイス」が「MU-MAS」の外部に存在することを前提とするものと理解される。しかしながら、この記載は、「マルチユーザー多重アンテナシステム(「MU-MAS」)」が「複数のユーザー機器(UE)デバイス」を内包することを特定した前記アの記載と整合しない。
そのため、本件補正発明は、「マルチユーザー多重アンテナシステム(「MU-MAS」)」が「複数のユーザー機器(UE)デバイス」を内包するのかしないのかが不明確であるといわざるを得ない。
(3)小括
したがって、本件補正発明は明確でないから、本願は特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていないため、本件補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。
よって、本件補正は、特許法17条の2第6項で準用する同法126条7項の規定に違反する。
4 本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法17条の2第5項の規定に違反し、また、同条第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
令和6年6月13日にされた手続補正は、前記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、令和5年1月27日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項(前記第2、1[補正前])により特定されるとおりのものであると認める。
そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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