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特許拒絶査定不服審判

2021-012232

複数のアンテナでパイロットを送信するための方法および装置

審判番号
2021-012232
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-166301
請求日
2021年09月13日
審決日
2022年04月21日
公報発行日
2022年10月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】インターデイジタル パテント ホールディングス インコーポレイテッド
  • 【請求人代理人】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 伊藤 隆夫
  • 審判官 丸山 高政
  • 審判官 福田 正悟
分類
P18 .55 -Z (H04B) / P18 .57 -Z (H04B) / P18 .575-Z (H04B) / P18 .537-Z (H04B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第5項、特許法第36条、特許法第17条の2第3項、特許法第159条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-166301「複数のアンテナでパイロットを送信するための方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 1月24日出願公開、特開2019- 13027〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2011年(平成23年)9月30日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2010年10月1日 アメリカ合衆国、同年11月5日 アメリカ合衆国、2011年1月7日 アメリカ合衆国、同年2月11日 アメリカ合衆国、同年4月28日 アメリカ合衆国、同年8月12日 アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願の一部を平成26年7月7日に新たな特許出願とした特願2014-139907号の一部を平成28年5月16日に新たな特許出願とした特願2016-98244号の一部を平成30年9月5日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯の概要は以下のとおりである。 令和 元年 9月24日付け 拒絶理由通知書 令和 2年 3月25日 意見書・手続補正書 5月21日付け 拒絶理由通知書(最後) 11月19日 意見書・手続補正書 令和 3年 4月26日付け 補正の却下の決定(令和2年11月19日の 手続補正書による補正の却下) 同日付け 拒絶査定 9月13日 審判請求書・手続補正書 11月 4日 手続補正書(方式)(審判請求書の請求の理 由の変更) 12月 7日 前置報告書 令和 4年 2月14日 上申書 以下では、令和2年3月25日の手続補正書による補正を「原補正」といい、令和3年4月26日付けの拒絶査定を「原査定」といい、同年9月13日の手続補正書による補正を「本件補正」という。 第2 本件補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 本件補正を却下する。 [理由] 1 本件補正の内容 (1)本件補正後の請求項1の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。なお、下線は本件補正による補正箇所を示す。 「【請求項1】 無線送信/受信ユニット(WTRU)であって、 トランシーバに動作可能に結合されたプロセッサを備え、 前記プロセッサおよび前記トランシーバは、第1の電力レベルにおいて第1のビームを使用して、第1の物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)プリアンブルを基地局に送信するように構成され、 前記トランシーバは、前記第1のPRACHプリアンブルが前記基地局によって受信されたことの表示を受信するように構成され、 前記表示が受信されたことを条件に、前記プロセッサおよび前記トランシーバはデータを送信するようにさらに構成され、 前記表示が受信されなかったことを条件に、前記プロセッサは第2のPRACHプリアンブルに使用するための前記第1のビームまたは第2のビームを選択し、前記第1のビームおよび前記第2のビームは異なるビームであるようにさらに構成され、 前記プロセッサおよび前記トランシーバは、 前記第1のビームが選択されることを条件に、前記第2のPRACHプリアンブルの送信電力レベルを第1の電力ランプステップ値だけ第2の電力レベルに増加させ、 前記第2の電力レベルにおいて前記第1のビームを使用して、前記第2のPRACHプリアンブルを送信するようにさらに構成され、 前記プロセッサおよび前記トランシーバは、 前記第2のビームが選択されることを条件に、前記第2のPRACHプリアンブルの前記送信電力レベルを前記第1の電力ランプステップ値は増加させず、前記第2のビームを使用して前記第2のPRACHプリアンブルを送信するようにさらに構成された、WTRU。」 (2)本件補正前の請求項1の記載 本件補正前の、原補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。なお、下線は原補正による補正箇所を示す。 「【請求項1】 無線送信/受信ユニット(WTRU)であって、 トランシーバに動作可能に結合されたプロセッサを備え、 前記プロセッサおよび前記トランシーバは、第1の電力レベルにおいて第1のビームを使用して、第1の物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)プリアンブルを基地局に送信するように構成され、 前記トランシーバは、前記第1のPRACHプリアンブルが前記基地局によって受信されたことの表示を受信するように構成され、 前記表示が受信されたことを条件に、前記プロセッサおよび前記トランシーバはデータを送信するようにさらに構成され、 前記表示が受信されなかったことを条件に、前記プロセッサは第2のPRACHプリアンブルに使用するための前記第1のビームまたは第2のビームを選択し、前記第1のビームおよび前記第2のビームは異なるビームであるようにさらに構成され、 前記プロセッサおよび前記トランシーバは、 前記第1のビームが選択されることを条件に、前記第2のPRACHプリアンブルの送信電力レベルを第1の電力ランプステップ値だけ第2の電力レベルに調整し、 前記第2の電力レベルにおいて前記第1のビームを使用して、前記第2のPRACHプリアンブルを送信するようにさらに構成され、 前記プロセッサおよび前記トランシーバは、 前記第2のビームが選択されることを条件に、前記第2のPRACHプリアンブルの前記送信電力レベルを前記第1の電力ランプステップ値とは異なる第2の電力ランプステップ値だけ調整して、前記第2のビームを使用して前記第2のPRACHプリアンブルを送信するようにさらに構成された、WTRU。」 (3)前記(1)及び(2)によれば、本件補正は以下のA及びBの補正(以下、それぞれ「本件補正A」及び「本件補正B」という。)を含むものである。 A 「前記第1のビームが選択されることを条件に」行われる「前記第2のPRACHプリアンブルの送信電力レベル」に対する動作に関して、 本件補正前は前記「送信電力レベル」を「第1の電力ランプステップ値だけ第2の電力レベルに調整し」とされていたのを、 本件補正後は前記「送信電力レベル」を「第1の電力ランプステップ値だけ第2の電力レベルに増加させ」とする補正 B 「前記第2のビームが選択されることを条件に」行われる「前記第2のPRACHプリアンブルの前記送信電力レベル」に対する動作に関して、 本件補正前は前記「送信電力レベル」を「前記第1の電力ランプステップ値とは異なる第2の電力ランプステップ値だけ調整して」とされていたのを、 本件補正後は前記「送信電力レベル」を「前記第1の電力ランプステップ値は増加させず」とする補正 2 本件補正の適否 (1)本件補正の目的 ア 本件補正Aは、要するに、「送信電力レベル」の「調整」を「増加」に補正するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的としている。 イ 本件補正Bについては、本件補正前では「送信電力レベル」の「調整」の量が「前記第1の電力ランプステップ値とは異なる第2の電力ランプステップ値」であることが限定されていたのに対し、本件補正後では「第2の電力ランプステップ値」の限定が削除されている。 加えて、本件補正前では「送信電力レベル」が「調整」されることが限定されていたのに対し、本件補正後では「送信電力レベル」が「前記第1の電力ランプステップ値は増加させ(ない)」ことを限定しているに過ぎず、「送信電力レベル」が調整されていない態様も含み得る記載となっている。 以上によれば、本件補正Bは、特許請求の範囲の減縮を目的としているとは認められない。 また、本件補正前の本件補正Bに係る文言は明瞭であるから、本件補正Bは、明瞭でない記載の釈明に該当しない。 そして、本件補正Bは、請求項の削除及び誤記の訂正のいずれにも該当しない。 (2)本件補正の適否についての判断 前記(1)イのとおりであるから、本件補正の目的は、特許法17条の2第5項に掲げるいずれにも該当しないものを含むものである。 よって、本件補正は不適法である。 (3)本件補正の適否についての予備的判断 ア 仮に、本件補正Bの目的が限定的減縮であると解釈されるとしても、以下のイ~キのとおり、本件補正は不適法である。 イ 本件補正の目的は、前記アの仮定により、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮であると認められる。 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 ウ 本件補正発明は、「前記表示が受信されなかったことを条件に、前記プロセッサは第2のPRACHプリアンブルに使用するための前記第1のビームまたは第2のビームを選択し、前記第1のビームおよび前記第2のビームは異なるビームであるようにさらに構成され、」との発明特定事項を有する。 エ 前記発明特定事項に関する発明の詳細な説明の記載は、以下の部分であると認められる。 「【0265】 別の実施形態においては、ビームフォーミングが、PRACHの送信に適用される可能性がある。図20は、ビームフォーミングを適用する例示的なPRACHの送信を示す。WTRUは、肯定応答が受信されない場合、PRACHプリアンブルを繰り返し送信する。WTRUは、それぞれのプリアンブルの送信に異なるビームフォーミングの重みを適用する。WTRUは、プリアンブルの電力をランプする前にそれぞれの重みに対して同じ電力でプリアンブルを送信する可能性がある。このようにして、WTRUは、RACH送信のための適切な送信電力とビームフォーミングの重みの両方を学習することができる。 【0266】 あるいは、WTRUは、どの重みが使用されるかにかかわらずそれぞれのプリアンブルの送信でプリアンブルの送信電力をランプアップする可能性がある。ランプステップのサイズは、送信と正しいビームフォーミングの重み/電力とに適時よりよい妥協点を与えるように調整され得る。重み(W1,W2,..Wn)が適用される順序およびどの重みが送信されるかが、最適化され得る。」 オ 前記エの記載におけるビームフォーミングの「重み」は、MIMO技術の技術常識によれば、ビームを形成するためのプリコーディングの重みのことを指すと解されるから、前記エにおける「重み」は、ビームを選択する観点では、ビームそのものと同一視することができる。 そうすると、本願の発明の詳細な説明には、以下の(ア)~(ク)の事項が記載されていると解される。 (ア)ビームフォーミングが、PRACHの送信に適用されること(【0265】) (イ)肯定応答(本件補正発明の「表示」に対応すると解される。)が受信されない場合、PRACHプリアンブルを繰り返し送信すること(【0265】) (ウ)それぞれのプリアンブルの送信に異なるビームを用いること(【0265】) (エ)プリアンブルの電力をランプする前に、それぞれのビームに対して同じ電力でプリアンブルを送信すること(【0265】) (オ)前記(ア)~(エ)のようにして、RACH送信のための適切な送信電力とビームの両方を学習すること(【0265】) (カ)どのビームが使用されるかにかかわらず、それぞれのプリアンブルの送信でプリアンブルの送信電力をランプアップすること(【0266】) (キ)ランプステップのサイズは、送信と、正しいビーム/電力とに、適時よりよい妥協点を与えるように調整されること(【0266】) (ク)ビーム(W1,W2,..Wn)が適用される順序及びどのビームで送信されるかが、最適化されること(【0266】) カ 前記エには、本件補正発明の「第2のPRACHプリアンブルに使用するための前記第1のビームまたは第2のビームを選択」することが記載されていない。 より具体的に述べると、以下の(ア)~(ケ)のとおりである。 (ア)前記オ(ア)は、ビームフォーミングをすることが記載されているが、どのプリアンブルに対してどのビームを選択するのかに関しては何も言及していない。 (イ)前記オ(イ)は、ビームの選択に関して何も言及していない。 (ウ)前記オ(ウ)は、それぞれのプリアンブルの送信に異なるビームを用いることが記載されている。 他方、本件補正発明は、「第1のPRACHプリアンブル」を送信するために使用した「第1のビーム」を、「第2のPRACHプリアンブル」に使用するために「選択」できるとされている(すなわち、同一のビームを異なるPRACHプリアンブルに使用できる)が、この点は前記オ(ウ)に記載がない。 (エ)前記オ(エ)は、プリアンブルの電力をランプする前に、それぞれのビームに対して同じ電力でプリアンブルを送信することを記載したに過ぎず、ビームを選択することについては言及していない。 (オ)前記オ(オ)には、前記オ(ア)~(エ)を受けて、RACH送信(ここでは、PRACHの送信のことと解する。)のための送信電力とビームを学習することが記載されているが、前記(ア)~(エ)のとおり、前記オ(ア)~(エ)には少なくとも異なるPRACHプリアンブルを送信するために同一のビームを選択することが記載されていないため、前記オ(ア)~(エ)のようにして学習されたビームは、他のビームと同一のビームを選択することはないと認められる。 (カ)前記オ(カ)は、どのビームが使用されるかにかかわらず、それぞれのプリアンブルの送信でプリアンブルの送信電力をランプアップすることを記載したに過ぎず、ビームを選択することについては言及していない。 (キ)前記オ(キ)は、ランプステップのサイズが調整されることを記載したものであって、ビームを選択することについては言及していない。 (ク)前記オ(ク)は、ビーム(W1,W2,..Wn)が適用される順序及びどのビームで送信されるかが最適化されると記載されており、これは、W1~Wnをどの順序で選択するかということを意味していると解され、異なるプリアンブルに対して同一のビームを選択することは記載されていない。 (ケ)発明の詳細な説明のその余の部分を参照しても、本件補正発明の発明特定事項である前記ウの事項は記載されていない。 キ 前記ウ~カのとおりであるから、本件補正発明は発明の詳細な説明に記載したものとは認められず、本件補正発明は、特許法36条6項1号の規定に違反し、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。 (4)請求人の主張に対する判断 請求人は、請求の理由において、「令和3年9月13日付けで提出した本審判請求と同日に提出した手続補正書による、請求項1~20に係る各発明は、補正の却下の決定で却下された請求項1~20と同一のものであって、審査対象を明確にするために改めて提出するものです。」(令和3年11月4日の手続補正書(方式)1頁)と主張し、加えて、前記「補正の却下の決定で却下された請求項1~20」(令和2年11月19日の手続補正書で補正された請求項1~20)について、「上記手続補正書によるこの補正は、新規事項であるとのご判断に対応するためのものであって、出願人の対応として認められるべきものです。」(令和2年11月19日の意見書第1頁)と主張する。 請求人の主張は、判然としない部分もあるが、要するに、本件補正が適法であることを主張していると解される。 しかしながら、本件補正は、令和3年4月26日付け補正の却下の決定で特許法17条の2第5項違反を理由に却下された令和2年11月19日の手続補正書による補正と同内容であり、該決定の理由を当審で再度検討したところ、前記(1)及び(2)のとおり妥当であると認められるから、本件補正は不適法である。 さらに、前記補正の却下の決定では、『なお、請求項1の「第1の電力レベルにおいて第1のビームを使用して、第1の物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)プリアンブルを基地局に送信するように構成され、・・前記表示が受信されなかったことを条件に、前記プロセッサは第2のPRACHプリアンブルに使用するための前記第1のビームまたは第2のビームを選択」することに関し、そのような「選択」を行うこと(どのような基準で選択されるのかも含む。)は、発明の詳細な説明に開示も示唆もないことにも留意されたい。(段落265及び図20では、所定順序の処理(電力を増やさずにビームを変え、その後に電力を増やすこと)が示される程度である。また、段落266では、ランプステップ(値)の調整や、重みの順序の最適化について開示はあるものの、具体的な内容は不明であり、第1の電力レベルにおいて第1のビームを使用した後、再度同じビームを使用するか別のビームを使用するかを選択するようなことが、開示ないし示唆されているとは認められない。また、明細書等において、他の箇所にも当該「選択」に関する開示はない。)』として、本件補正の内容が特許法36条6項1号に規定する要件に違反することを指摘しているにも関わらず、請求人は、却下済みの令和2年11月19日の手続補正書と同内容の本件補正を選択し、審判請求書においても、前記指摘に対しての応答はせず、令和2年11月19日の意見書の主張を繰り返すにとどまっていることに鑑みれば、本件補正は「新規事項であるとのご判断に対応するためのものであって、出願人の対応として認められるべきもの」とはいえない。 また、仮に、本件補正の目的が特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮に該当するといえるとしても、この点は前記(3)のとおりである。 よって、請求人の主張は採用できない。 3 本件補正についてのむすび 前記2のとおりであるから、本件補正は、特許法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明 本願の請求項1係る発明(以下、「本願発明」という。)は、原補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されるものであり、前記第2、1(2)のとおりである。 第4 原査定の概要 原査定の概要は、以下のとおりである。 (新規事項)原補正は、以下の点で願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 ・請求項1-20 請求項1には、要するに、第2のPRACHプリアンブルを送信する際に第1のビームを用いる場合と第2のビームを用いる場合で、異なる電力ランプステップ値で電力レベルを調整することを示している。 一方、明細書の段落【0266】の記載は、「ランプステップのサイズを調整する」ことを開示しているものの、「ランプステップのサイズが重みによって異なること」は、明示していない。また、技術常識を照らしても、この記載が「ランプステップのサイズが重みによって異なること」を開示しているとは、認められない。 よって、原補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでない。 第5 原補正の適否についての判断 1 原補正の内容 前記第2、1(2)によれば、原補正によって、「前記第1のビームが選択されることを条件に、前記第2のPRACHプリアンブルの送信電力レベルを第1の電力ランプステップ値だけ第2の電力レベルに調整」すること、及び、「前記第2のビームが選択されることを条件に、前記第2のPRACHプリアンブルの前記送信電力レベルを前記第1の電力ランプステップ値とは異なる第2の電力ランプステップ値だけ調整」することが、本願発明の発明特定事項とされた。 換言すれば、原補正によって本願発明の発明特定事項とされたことは、「第2のPRACHプリアンブルの送信電力レベル」の調整値(電力ランプステップ値)が「第1のビームが選択される」場合と「第2のビームが選択される」場合とで異なること(以下、「原補正事項A」という。)である。 2 原補正の新規事項の追加についての判断 前記1の事項が、本願の出願当初の明細書、特許請求の範囲及び図面(以下、「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内であるかについて検討する。 (1)本願の出願当初の明細書の【0265】及び【0266】の記載内容は、前記第2、2(3)エ及び前記第2、2(3)オのとおりである。 そして、前記1の事項が【0265】及び【0266】に記載されていないことは、以下のア~キのとおりである。 ア 前記第2、2(3)オ(ア)~(ウ)は、送信電力レベルの調整について言及していない。 イ 前記第2、2(3)オ(エ)は、「プリアンブルの電力をランプする」こと、すなわち、電力を増加させることは記載されているが、その増加量(すなわち、「電力ランプステップ値」)については言及していない。 ウ 前記第2、2(3)オ(オ)は、前記第2、2(3)オ(ア)~(エ)を受けて、PRACH送信のための送信電力とビームを学習することが記載されているが、前記ア及びイのとおりであるから、前記第2、2(3)オ(ア)~(エ)のようにして学習された送信電力は、「電力ランプステップ値」を意識していない。 そうすると、前記第2、2(3)オ(オ)は、原補正事項Aのような異なるビームに対して異なる電力ランプステップ値を適用することは記載されていない。 エ 前記第2、2(3)オ(カ)は、ビームによらず、それぞれのプリアンブル送信で送信電力をランプアップ(増加)することを記載しているが、その増加量(電力ランプステップ値)がビーム毎に異なることは記載していない。 オ 前記第2、2(3)オ(キ)は、ランプステップのサイズが調整されることを記載しているが、その調整は、送信と、正しいビーム/電力とに妥協点を与えるように行うものである。 そうすると、前記第2、2(3)オ(キ)は、異なるビームに異なるランプステップのサイズを用いることを記載してはいない。 カ 前記第2、2(3)オ(ク)は、送信電力レベルの調整について言及していない。 キ 前記ア~カのとおりであるから、原補正事項Aは、【0265】及び【0266】に記載されたものとは認められない。 (2)また、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項を検討しても、原補正事項Aは前記技術的事項の範囲内にはない。 したがって、原補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものとはいえない。 第6 むすび 前記第5のとおり、原補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものとはいえず、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たさない。 したがって、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-012232

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