2022-008146
水溶液からのニッケルとコバルトの回収方法
- 審判番号
- 2022-008146
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-060069外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年05月31日
- 審決日
- 2023年06月26日
- 公報発行日
- 2023年09月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】住友金属鉱山株式会社
- 【請求人代理人】押田 良隆
- 分類
- P18 .121-Z (C22B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第5項第4号、特許法第17条の2第5項、特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第5項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 12項目
第1 手続の経緯
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本願は、平成30年 3月27日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
第2 令和 4年 5月31日にされた手続補正についての補正の却下の決定
1 結論
令和 4年 5月31日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
2 理由
(1)本件補正の内容
本件補正は、請求項1について、本件補正前の「固形分を含み、ニッケル、コバルト及び不純物を含むスラリー状の水溶液から、ニッケルとコバルトを選択的に分離する方法であって、
下記(1)から(3)の工程を含むことを特徴とするスラリー状の水溶液からのニッケルとコバルトの回収方法。
(1)固形分を含み、ニッケル、コバルト及び不純物を含むスラリー状の水溶液とイオン交換樹脂をpH調整しながら混合してニッケルとコバルトをイオン交換樹脂に吸着させて吸着樹脂を形成し、前記吸着樹脂と前記吸着樹脂以外の吸着後液からなる混合溶液を得る吸着工程。
(2)前記混合溶液を、前記固形分より目開きが大きく、前記イオン交換樹脂より目開きが小さい網やスリットを用いて固液分離して前記網やスリット上に得られた固体成分の吸着樹脂を洗浄する固液分離工程。
(3)前記吸着樹脂に、硫酸溶液を接触させてニッケルとコバルトをイオン交換樹脂から溶離する溶離工程。」(下線は本件補正により削除された発明特定事項を示す。)を、「ニッケル、コバルト及び不純物を含む水溶液から、ニッケルとコバルトを選択的に分離する方法であって、
下記(1)から(3)の工程を含むことを特徴とする水溶液からのニッケルとコバルトの回収方法。
(1)ニッケル、コバルト及び不純物を含む水溶液とイオン交換樹脂を混合してニッケルとコバルトをイオン交換樹脂に吸着させて吸着樹脂を形成し、前記吸着樹脂と前記吸着樹脂以外の吸着後液からなる混合溶液を得る吸着工程。
(2)前記混合溶液を固液分離し、固体成分として吸着樹脂を得る固液分離工程。
(3)前記吸着樹脂に、硫酸溶液を接触させてニッケルとコバルトをイオン交換樹脂から溶離し、前記ニッケル及びコバルトが溶離している溶離液を作製する際に、前記吸着樹脂を構成するイオン交換樹脂と前記硫酸溶液の量を調整することで、前記溶離液中のニッケル濃度とコバルト濃度を調整する溶離工程。」(下線は本件補正により加えられた発明特定事項を示す。)とする補正事項を含むものである。
(2)本件補正の目的について
ア 本件補正のうち、「固形分を含み、」及び「スラリー状の」との事項を削除する補正事項は、ニッケルとコバルトを選択的に分離して回収する処理対象としての水溶液について、本件補正前では、「固形分を含み、ニッケル、コバルト及び不純物を含むスラリー状の水溶液」であったものを、本件補正後では、「固形分を含み、」及び「スラリー状の」との事項を削除して、「ニッケル、コバルト及び不純物を含む水溶液」とするものであって、直列的に記載された発明特定事項の一部を削除する補正であるから、この補正事項は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当しない。
また、「スラリー」が液体と固体粒子との混合物であることは、当該技術分野における技術常識であるから、本件補正前の、「固形分を含」む「スラリー状の水溶液」との記載は明瞭であって、他の記載との関係において何らの不合理も生じていない。そして、上記の「固形分を含」む「スラリー状の水溶液」との記載について、不明瞭な記載である旨の拒絶理由は通知されていない。よって、この補正事項は、特許法第17条の2第5項第4号に掲げる明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当しない。
イ 本件補正のうち、「pHを調整しながら」を削除する補正事項は、水溶液中のニッケルとコバルトをイオン交換樹脂に吸着させる際に、本件補正前では、水溶液とイオン交換樹脂を「pHを調整しながら混合」するものであったものを、本件補正後では、「pHを調整しながら」との事項を削除して、単に水溶液とイオン交換樹脂を「混合」するものとするものであって、直列的に記載された発明特定事項の一部を削除する補正であるから、この補正事項は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当しない。
また、上記アで述べたのと同様に、「pHを調整しながら」との記載は明瞭であって、他の記載との関係において何らの不合理も生じておらず、この記載について、不明瞭な記載である旨の拒絶理由は通知されていないから、この補正事項は、特許法第17条の2第5項第4号に掲げる明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当しない。
ウ 本件補正のうち、「前記固形分より目開きが大きく、前記イオン交換樹脂より目開きが小さい網やスリットを用いて」、「前記網やスリット上に得られた」及び「洗浄する」を削除する補正事項は、吸着樹脂と吸着後液からなる混合溶液を固液分離する際に、本件補正前では、所定の目開きの網やスリットを用いて固液分離して、網やスリット上に得られた吸着樹脂を洗浄するものであったものを、本件補正後では、単に、固液分離し、吸着樹脂を得るものとするものであって、直列的に記載された発明特定事項の一部を削除する補正であるから、この補正事項は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当しない。
また、上記アで述べたのと同様に、「前記固形分より目開きが大きく、前記イオン交換樹脂より目開きが小さい網やスリットを用いて」、「前記網やスリット上に得られた」及び「洗浄する」との記載は明瞭であって、他の記載との関係において何らの不合理も生じておらず、これらの記載について、不明瞭な記載である旨の拒絶理由は通知されていないから、この事項補正は、特許法第17条の2第5項第4号に掲げる明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当しない。
エ そして、本件補正における上記補正事項が、いずれも、特許法第17条の2第5項第1号に掲げる請求項の削除、同条同項第3号に掲げる誤記の訂正を目的とするものに該当しないことは明らかである。
オ したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当しない。
(3)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により、却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~7に係る発明は、令和 3年12月 3日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~7に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「【請求項1】固形分を含み、ニッケル、コバルト及び不純物を含むスラリー状の水溶液から、ニッケルとコバルトを選択的に分離する方法であって、下記(1)から(3)の工程を含むことを特徴とするスラリー状の水溶液からのニッケルとコバルトの回収方法。(1)固形分を含み、ニッケル、コバルト及び不純物を含むスラリー状の水溶液とイオン交換樹脂をpH調整しながら混合してニッケルとコバルトをイオン交換樹脂に吸着させて吸着樹脂を形成し、前記吸着樹脂と前記吸着樹脂以外の吸着後液からなる混合溶液を得る吸着工程。(2)前記混合溶液を、前記固形分より目開きが大きく、前記イオン交換樹脂より目開きが小さい網やスリットを用いて固液分離して前記網やスリット上に得られた固体成分の吸着樹脂を洗浄する固液分離工程。(3)前記吸着樹脂に、硫酸溶液を接触させてニッケルとコバルトをイオン交換樹脂から溶離する溶離工程。」
2 原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由の概要は、以下のとおりである。
(1)本願の請求項1~7に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。
また、本願の請求項1~7に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
(2)本願の請求項1~7に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
(3)本願の請求項1、2、7に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献3に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。
また、本願の請求項1、2、7に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献3に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
3 引用文献1の記載事項
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原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1には、「酸化物鉱浸出スラリーからのニッケルおよびコバルト回収のためのパルプ内樹脂法」(発明の名称)に関し、以下の記載がある。
(1)「【請求項1】 a.ニッケル、コバルトおよびこれらの混合物からなる群から選ばれる第1金属とこの第1金属と異なる第2金属を一緒に含有するニッケル含有またはコバルト含有酸化物鉱の水性パルプを含むスラリーを調製すること;b.上記水性パルプを、鉱酸を加えることによって浸出処理して、含有金属類を溶解させ且つ含有溶液と浸出残渣をスラリーとして調製すること;c.イオン交換樹脂を上記スラリーと混合して上記第1金属をイオン交換樹脂上に担持させること;および、d.金属担持イオン交換樹脂を上記スラリーから分離すること;続きを表示(全27行)を特徴とする湿式精錬方法。【請求項2】 ニッケル含有またはコバルト含有酸化物鉱が、ラテライト鉱、酸化物鉱およびこれらの混合物からなる群から選ばれる請求の範囲第1項記載の方法。【請求項3】 第2金属が、銅、鉄、クロム、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、カルシウムおよびこれらの混合物からなる群から選ばれる請求の範囲第1項記載の方法。【請求項4】 鉱酸が、硫酸、塩酸、硝酸およびこれらの混合物からなる群から選ばれる請求の範囲第1項記載の方法。【請求項5】 上記スラリーがラテライトまたは酸化物鉱の硫酸加圧浸出により生じ、これらの鉱石がコバルトおよびニッケルを含有する請求の範囲第1項記載の方法。【請求項6】 上記スラリーがラテライトまたは酸化物鉱の大気圧浸出により生じ、これらの鉱石がコバルトおよびニッケルを含有する請求の範囲第1項記載の方法。【請求項7】 上記浸出スラリーが、硫化物、混合酸化物-硫化物およびこれらの混合物からなる群から選ばれた鉱石または濃縮物の2元酸化により生じ、鉱石または濃縮物が、コバルト、ニッケルおよびこれらの混合物からなる群から選ばれる金属を含有する請求の範囲第1項記載の方法。【請求項8】 高圧浸出スラリーを高マグネシウムラテライト鉱で中和する請求の範囲第5項記載の方法。【請求項9】 中和剤を、イオン交換樹脂を混合する前の上記含有浸出スラリーに添加する工程をさらに含み、その中和剤が、アルカリ酸化物、アルカリ水酸化物、アルカリ炭酸塩、アルカリ土類酸化物、アルカリ土類水酸化物、アルカリ土類炭酸塩およびこれらの混合物からなる群から選ばれる請求の範囲第1項記載の方法。【請求項10】 アルカリ金属鉄硫酸塩水酸化物を生成するのに十分な量のアルカリ金属含有化合物を添加することをさらに含む請求の範囲第1項記載の方法。【請求項11】 3価鉄をナトリウム鉄硫酸塩水酸化物の生成によって沈降させる請求の範囲第10項記載の方法。【請求項12】 上記鉱石が銅イオンを含み、上記方法が、イオン交換樹脂と接触させる前の浸出溶液から銅イオンを除去する追加の工程を含む請求の範囲第1項記載の方法。【請求項13】 銅イオンを、少なくとも1種の可溶性硫化物含有化合物を上記浸出スラリーに添加することによって浸出溶液から沈降させる請求の範囲第12項記載の方法。【請求項14】 硫化物含有化合物が、H2S、NaHSおよびこれらの混合物からなる群から選ばれる請求の範囲第13項記載の方法。【請求項15】 銅イオンを、浸炭剤を上記浸出スラリーに添加することによって浸出溶液から沈降させる請求の範囲第12項記載の方法。【請求項16】 浸炭剤が、鉄粉、アルミニウム金属、マグネシウム金属およびこれらの混合物からなる群から選ばれる請求の範囲第15項記載の方法。【請求項17】 鉱石がクロム(VI)イオンを含有し、上記方法が、供給溶液をイオン交換樹脂と接触させる前に還元剤と反応させることによって供給溶液からクロム(VI)イオンを除去する追加の工程を含む請求の範囲第1項記載の方法。【請求項18】 還元剤が、SO2、H2SO3、Na2SO3、H2S、鉄(II)、鉄(0)、アルミニウム(0)、マグネシウム(0)およびこれらの混合物からなる群から選ばれる請求の範囲第17項記載の方法。【請求項19】 イオン交換樹脂が、2-ピコリルアミン、ビス-(2-ピコリル)アミン、N-メチル-2-ピコリルアミン、N-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピコリルアミン、N-(2-ヒドロキシプロピル)-2-ピコリルアミンおよびこれらの混合物からなる群から選ばれたキレート化基を含有する請求の範囲第1項記載の方法。【請求項20】 中和剤を上記金属抽出工程中に添加する請求の範囲第1項記載の方法。【請求項21】 中和剤が、アルカリ酸化物、アルカリ水酸化物、アルカリ炭酸塩、アルカリ土類酸化物、アルカリ土類水酸化物、アルカリ土類炭酸塩およびこれらの混合物からなる群から選ばれる請求の範囲第20項記載の方法。【請求項22】 上記金属担持イオン交換樹脂から、硫酸、塩酸、硝酸およびこれらの混合物からなる群から選ばれる酸によって金属を溶出させる工程をさらに含む請求の範囲第1項記載の方法。」
(2)「(技術分野)本発明は、ニッケル含有鉱またはコバルト含有鉱の湿式精錬法、とりわけ、イオン交換樹脂で抽出し、その後、イオン交換樹脂を浸出スラリーから物理的に分離することによるラテライト浸出スラリーからのニッケルおよびコバルトの直接回収法に関する。」(第5ページ第2~6行)
(3)「明澄な含有浸出溶液からのニッケルおよびコバルトの回収は、種々の方法で実施できるが、銅、鉄およびマンガンのような多くの不純物の存在により複雑となる。」(段落【0002】)
(4)「金工業においては、炭素を樹脂で置換えることの1つの利点は、イオン交換樹脂の増大された耐磨耗性であり、この耐摩耗性は、その消費に関連して操作コストを節減する。ラテライト浸出スラリーにおいては、クレーの存在により、樹脂の磨耗は低減されることが想定されている。ラテライト浸出スラリーの流動性は、固形鉱石粒子を超微細クレー粒子と水からなる流体媒中に懸濁させるようである。結果として、樹脂もスラリー中に懸濁される。この現象は、機械的磨耗に基づく樹脂の分解を有意に低減させる。提案された方法においては、比較的粗いイオン交換樹脂を、イオン交換樹脂ビーズよりもかなり小さい鉱石粒子を含有する浸出スラリーに直接加えている。所望の金属(1種以上)は樹脂上に抽出され、次いで、樹脂を、スクリーニングまたは他の適切な方法により、欠乏(抽出済み)浸出スラリーから分離している。従って、本発明は、コスト高なCCDサーキットを削減しラテライト鉱からのニッケルおよびコバルトを選択的に抽出することによる酸ラテライト浸出スラリーからの新規な直接金属回収方法を提供する。」(段落【0004】)
(5)「(発明の開示)本発明は、イオン交換によるニッケル含有および/またはコバルト含有酸化物鉱浸出スラリーからのニッケルおよびコバルトの直接回収方法を提供する。本発明の1つの実施態様においては、ニッケル含有鉱を鉱酸で浸出処理して金属類を溶解させ、含有溶液と浸出残渣のスラリーを調製する。ニッケル含有鉱は、ラテライト鉱、酸化物鉱およびこれらの混合物から選択する。このニッケル含有鉱は、ニッケル、コバルトまたはこれらの混合物からなる群から選ばれた第1金属と銅、鉄、クロム、」マグネシウム、マンガン、アルミニウム、カルシウムおよびこれらの混合物からなる群から選ばれた第2金属とを一緒に含有する。得られた含有浸出スラリーをイオン交換樹脂と接触させ、このイオン交換樹脂がパルプからニッケルとコバルトを選択的に担持する。好ましくは、イオン交換樹脂はスラリーに加える。イオン交換樹脂とスラリーとの接触中、pHは、中和剤の添加により調整できる。このことは、イオン交換抽出過程におけるその場でのpH調整がpH依存性である金属抽出の最適化を可能にするので、本発明の大きな利点である。もう1つの実施態様においては、含有浸出スラリーを、イオン交換樹脂と接触させる前に、部分的に中和する。」(段落【0005】)
(6)「イオン交換樹脂は、浸出残渣スラリーからスクリーニングにより分離する。」(段落【0006】)
(7)「本発明は、イオン交換によるニッケル、コバルトおよびこれらの混合物のニッケル含有および/またはコバルト含有鉱、とりわけラテライト浸出スラリーからの直接回収方法である。図1においては、ニッケル含有鉱を鉱酸で浸出処理している。ニッケル含有鉱は、ラテライト鉱、酸化物鉱およびこれらの混合物からなる群から選択する。このニッケル含有鉱は、ニッケル、コバルトまたはこれらの混合物からなる群から選ばれた第1金属と銅、鉄、クロム、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、カルシウムおよびこれらの混合物からなる群から選ばれた第2金属とを含有する。浸出処理は、当業者にとって公知の種々の方法で実施できる。浸出処理としては、高圧浸出処理、撹拌浸出処理、堆積(heap)浸出処理およびこれら方法の組合せがある。浸出処理の目的は、鉱石中の金属価値物を溶解させて含有溶液を含む浸出残渣スラリーを調製することである。例えば、浸出処理は、硫酸、塩酸、硝酸およびこれらの混合物からなる群から選ばれる鉱酸を使用して実施することができる。スラリーは、鉱石の硫酸加圧浸出により生成し得る。さらにもう1つの変法においては、スラリーは、ニッケルおよびコバルトを含有する鉱石の大気圧浸出処理により生成し得る。スラリーは、硫化物および混合酸化物-硫化物からなる群から選ばれる鉱石または濃縮物の2元酸化(bioxidation)によっても生成し得る。」(段落【0007】)
(8)「浸出反応終了時に、含有浸出スラリーを大気圧でイオン交換樹脂と接触させる。溶解ニッケルとコバルトは、イオン交換樹脂上に選択的に吸収させる。この提案方法においては、キレート化性樹脂を、米国特許第4,098,867号および第5,141,965号に記載されているようにして使用する。好ましい樹脂は、2-ピコリルアミン、ビス-(2-ピコリル)アミン、N-メチル-2-ピコリルアミン、N-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピコリルアミン、N-(2-ヒドロキシプロピル)-2-ピコリルアミンおよびこれらの混合物からなる群から選ばれる官能基を含有する。この官能基は、マンガン、マグネシウム、アルミニウムおよびカルシウムのような他の金属類よりも、ニッケルおよびコバルトに高選択性を示す。適切な樹脂としては、ローム アンド ハース(Rohm and Haas)社のIR 904、アンバーライト(Amberlite) XE 318、ダウ(Dow) XFS-43084、ダウ XFS-4195およびダウ XFS-4196がある。ダウ XFS-4196はN-(2-ヒドロキシエチル)-2-ピコリルアミンを含有し、XFS-43084はN-(2-ヒドロキシプロピル)-2-ピコリルアミンを含有する。好ましいキレート化性樹脂は、Dow Chemical社製のダウ XFS-4195である。これは、第1キレート化基として、ビス-(2-ピコリル)アミンを含有する。XFS-4195を使用しての各種元素における分布係数を下記表に示す。pH=2の硫酸塩溶液中でのXFS-4195に対する吸収定数[図:0001401164000001.jpg]好ましくは接触中に、pHを石灰石または他の中和剤の添加により調整して金属抽出を最適化し、樹脂上へのニッケルおよびコバルトの最適の選択的担持を得る。一般に、スラリーのpHは、約1~約5、好ましくは約3に維持する。」(段落【0008】)
(9)「金属を樹脂上に担持させた後、担持樹脂を、金属欠乏浸出スラリー(浸出残渣スラリー)から分離する。この分離は、大きい樹脂粒子を微細な浸出残渣固形分と欠乏液からスクリーニングすることによって物理的に達成できる。その後、浸出残渣は廃棄できる。担持樹脂を洗浄し、各金属を個々のサーキットにおいて溶出させる。金属は、HClまたはH2SO4のような希鉱酸溶液を使用して溶出し得る。酸溶液の強度は、約0.5~4M、好ましくは約1Mである。得られた溶出液は、精製され濃縮されたニッケルおよびコバルト溶液であり、この溶液から、ニッケルおよび/またはコバルト製品を当業者にとって公知の方法により回収できる。ストリッピングした樹脂は、本発明方法の接触工程に戻す。」(段落【0010】)
(10)「(発明を実施するための最良の形態)以下、限定するものではないが、実施例により本発明を具体的に説明する。特に断らない限り、すべての部およびパーセントは、質量による。実施例1本実施例は、本発明の方法に従う高圧ラテライト浸出溶液からのニッケルおよびコバルトの回収を例示する。1リットルの24質量%固形分高鉄ラテライトスラリーを硫酸(A:O=0.26)で1.5時間、268℃で浸出処理した。浸出処理後、スラリーを急冷し、石灰石でpH 3.0に中和した。650mlの湿潤沈降ダウ XFS-4195樹脂をスラリーに加え、周囲温度で2時間緩やかに混合させた。樹脂を30メッシュスクリーン上でパルプから分離した。樹脂を洗浄し、100g/lの硫酸でストリッピング処理した。中和前の浸出スラリー(リーチャート(leachate))および樹脂と接触させた後のラフィネート(raffinate)中の溶液組成を表1に示す。100g/lの硫酸でストリッピングすることにより得られた溶出液も表1に示す。データは、ほんの僅かな鉄とクロムの共抽出を伴う極めて高いニッケルとコバルトの回収を示している。表1:溶液組成[図:0001401164000002.jpg]」(段落【0011】)
4 引用文献1に記載された発明
(1)ア 引用文献1には、「a.ニッケル、コバルトおよびこれらの混合物からなる群から選ばれる第1金属とこの第1金属と異なる第2金属を一緒に含有するニッケル含有またはコバルト含有酸化物鉱の水性パルプを含むスラリーを調製すること;
b.上記水性パルプを、鉱酸を加えることによって浸出処理して、含有金属類を溶解させ且つ含有溶液と浸出残渣をスラリーとして調製すること;
c.イオン交換樹脂を上記スラリーと混合して上記第1金属をイオン交換樹脂上に担持させること;および、
d.金属担持イオン交換樹脂を上記スラリーから分離すること;
を特徴とする湿式精錬方法。」に関する発明が記載されている(請求項1)。
イ 上記アに記載された発明の技術分野は、ラテライト浸出スラリーからのニッケルおよびコバルトの直接回収法に関するものである(第5ページ第2~6行)。
ウ ニッケル含有酸化物およびラテライト鉱からのニッケルおよびコバルトを抽出する方法では、鉱酸により金属価値物を溶解し、次いで、最終金属を回収する前に固/液分離されるが、ニッケル含有酸化物鉱は、スメクタイトクレー(緑粘土)を含有する50μm未満の粒度の極めて微細な物質が生成するため、固/液分離プロセスとしての濾過が不可能であり、また、ラテライト浸出残渣の重力分離のためのシックナー(沈降濃縮装置)は、効率的に実施されるものの、シックナーに必要な面積や資本コストが問題となっている(段落【0001】)。
エ そこで、上記アに記載された発明は、ラテライト鉱からのニッケルおよびコバルトを選択的に抽出することによるラテライト浸出スラリーからの新規な直接金属回収方法を提供するものであり(段落【0004】)、他の方法での困難でコストが必要な固/液分離を排除するものである(段落【0006】)。
オ そして、上記アに記載された発明の具体例と解される実施例1には、「本発明の方法に従う高圧ラテライト浸出溶液からのニッケルおよびコバルトの回収」の例示として、「1リットルの24質量%固形分高鉄ラテライトスラリーを硫酸(A:O=0.26)で1.5時間、268℃で浸出処理した。浸出処理後、スラリーを急冷し、石灰石でpH 3.0に中和した。650mlの湿潤沈降ダウ XFS-4195樹脂をスラリーに加え、周囲温度で2時間緩やかに混合させた。樹脂を30メッシュスクリーン上でパルプから分離した。樹脂を洗浄し、100g/lの硫酸でストリッピング処理した。中和前の浸出スラリー(リーチャート(leachate))および樹脂と接触させた後のラフィネート(raffinate)中の溶液組成を表1に示す。100g/lの硫酸でストリッピングすることにより得られた溶出液も表1に示す。データは、ほんの僅かな鉄とクロムの共抽出を伴う極めて高いニッケルとコバルトの回収を示している。
[図:0001401164000003.jpg]
」との事項も記載されている。
(2)そうすると、引用文献1には、特に実施例1に着目すると、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
<引用発明>
高圧ラテライト浸出溶液からのニッケルおよびコバルトの回収方法であって、
1リットルの24質量%固形分高鉄ラテライトスラリーを硫酸で1.5時間、268℃で浸出処理し、浸出処理後、スラリーを急冷し、浸出スラリー(リーチャート)中の溶液組成を、ニッケル4.19g/l、コバルト0.84g/l、鉄0.23g/l、クロム0.63g/l、アルミニウム0.52g/lとし、石灰石でpH 3.0に中和し、650mlの湿潤沈降ダウ XFS-4195樹脂をスラリーに加え、周囲温度で2時間緩やかに混合させ、樹脂と接触させた後のラフィネート(抽残物)中の溶液組成を、ニッケル0g/l、コバルト0g/l、鉄0g/l、クロム0.04g/l、アルミニウム0.29g/lとし、樹脂を30メッシュスクリーン上でパルプから分離し、樹脂を洗浄し、100g/lの硫酸でストリッピング処理することにより、ニッケル2.83g/l、コバルト0.41g/l、鉄0.05g/l、クロム0.10g/l、アルミニウム0.04g/lの溶出液が得られる、ほんの僅かな鉄とクロムの共抽出を伴う極めて高いニッケルとコバルトの回収方法。
5 本願発明と引用発明との対比・判断
(1)対比
ア 引用発明は、上記4(1)アに記載された発明(引用文献1の請求項1に記載された発明)の具体例と解される実施例1に着目して認定したものであるところ、引用発明における、「高圧ラテライト浸出溶液からのニッケルおよびコバルトの回収方法」は、「1リットルの24質量%固形分高鉄ラテライトスラリーを硫酸で1.5時間、268℃で浸出処理」した溶液から、「ニッケルおよびコバルト」を「回収」する方法である。
引用発明における「高圧ラテライト浸出溶液」は、引用文献1の記載(請求項5、段落【0007】)によれば、1リットルの「24質量%固形分高鉄ラテライトスラリー」を硫酸(水溶液であることは、当業者にとって明らかである。)で1.5時間、268℃で「高圧浸出」処理して得られた水溶液であると解される。
引用発明は、上記のとおり、高圧ラテライト浸出溶液からニッケルおよびコバルトを回収するものである以上、引用発明における「高圧ラテライト浸出溶液」は、少なくとも「ニッケルおよびコバルト」を含むものと認められる。
そして、「ニッケルおよびコバルト」の「回収」時に、「ニッケルおよびコバルト」が「高圧ラテライト浸出溶液」から「分離」されることは自明である。
そうすると、引用発明の、「1リットルの24質量%固形分高鉄ラテライトスラリーを硫酸で1.5時間、268℃で浸出処理」した溶液から、「ニッケルおよびコバルト」を「回収」する方法である、「高圧ラテライト浸出溶液からのニッケルおよびコバルトの回収方法」は、本願発明の「固形分を含み、ニッケル、コバルト及び不純物を含むスラリー状の水溶液から、ニッケルとコバルトを選択的に分離する方法」と、「ニッケル、コバルトを含む水溶液から、ニッケルとコバルトを分離する方法」である点で共通する。
イ 引用文献1には、引用発明における「ダウ XFS-4195樹脂」が、イオン交換樹脂(キレート化性樹脂)であって、溶解ニッケルとコバルトを選択的に吸収する樹脂であることが記載されており(段落【0008】)、また、引用発明において、ニッケル4.19g/l、コバルト0.84g/l、鉄0.23g/l、クロム0.63g/l、アルミニウム0.52g/lであった浸出スラリー(リーチャート)中の溶液組成が、ダウ XFS-4195樹脂と接触させた後のラフィネート(抽残物)中の溶液組成では、ニッケル0g/l、コバルト0g/l、鉄0g/l、クロム0.04g/l、アルミニウム0.29g/lとなったことから、浸出スラリー(リーチャート)中の少なくともニッケル及びコバルトがダウ XFS-4195樹脂に吸収されたものと認められるから、引用発明における、急冷したスラリーを「石灰石でpH 3.0に中和し、650mlの湿潤沈降ダウ XFS-4195樹脂をスラリーに加え、周囲温度で2時間緩やかに混合させ」る工程では、スラリー中のニッケルおよびコバルトがダウ XFS-4195樹脂に選択的に吸収され、その後、ダウ XFS-4195樹脂とスラリーとの混合物は、ニッケルおよびコバルトを吸収したダウ XFS-4195樹脂とスラリーとの混合物になるといえる。
そして、引用発明のスラリーと接触させた後の「ダウ XFS-4195樹脂」は、ニッケルおよびコバルトを吸着させた樹脂であるともいえるから、本願発明の、「ニッケルとコバルトをイオン交換樹脂に吸着させ」た「吸着樹脂」に相当する。
そうすると、引用発明における、急冷したスラリーを「石灰石でpH 3.0に中和し、650mlの湿潤沈降ダウ XFS-4195樹脂をスラリーに加え、周囲温度で2時間緩やかに混合させ」る工程は、本願発明の「(1)固形分を含み、ニッケル、コバルト及び不純物を含むスラリー状の水溶液とイオン交換樹脂をpH調整しながら混合してニッケルとコバルトをイオン交換樹脂に吸着させて吸着樹脂を形成し、前記吸着樹脂と前記吸着樹脂以外の吸着後液からなる混合溶液を得る吸着工程。」と、「(1)ニッケル、コバルトを含む水溶液とイオン交換樹脂を混合してニッケルとコバルトをイオン交換樹脂に吸着させて吸着樹脂を形成し、前記吸着樹脂と前記吸着樹脂以外の吸着後液からなる混合溶液を得る吸着工程。」である点で共通する。
ウ 引用発明における、「樹脂を30メッシュスクリーン上でパルプから分離し、樹脂を洗浄」する工程について、上記「パルプ」は、水性パルプを意味することは明らかである(上記4(1)ア)。そして、当該水性パルプは、上記イにおいて得られた、ニッケルおよびコバルトを吸収したダウ XFS-4195樹脂とスラリーとの混合物におけるスラリーにも含まれるものであるから(上記4(1)ア)、引用発明において、「樹脂を30メッシュスクリーン上でパルプから分離し、樹脂を洗浄」することは、上記イにおいて得られた、ニッケルおよびコバルトを吸収したダウ XFS-4195樹脂とスラリーとの混合物から30メッシュスクリーン(網状のふるい)により当該樹脂を分離し、30メッシュスクリーン上に得られた当該樹脂を洗浄する工程であるといえる。
そうすると、引用発明における、「樹脂を30メッシュスクリーン上でパルプから分離し、樹脂を洗浄」する工程は、本願発明の、「(2)前記混合溶液を、前記固形分より目開きが大きく、前記イオン交換樹脂より目開きが小さい網やスリットを用いて固液分離して前記網やスリット上に得られた固体成分の吸着樹脂を洗浄する固液分離工程。」と、「(2)前記混合溶液を、前記イオン交換樹脂より目開きが小さい網やスリットを用いて固液分離して前記網やスリット上に得られた固体成分の吸着樹脂を洗浄する固液分離工程。」である点で共通する。
エ 引用発明における、「100g/lの硫酸でストリッピング処理」する工程は、引用文献1の請求項22の「上記金属担持イオン交換樹脂から、硫酸、塩酸、硝酸およびこれらの混合物からなる群から選ばれる酸によって金属を溶出させる工程をさらに含む」との記載、同段落【0010】の「担持樹脂を洗浄し、各金属を個々のサーキットにおいて溶出させる。金属は、HClまたはH2SO4のような希鉱酸溶液を使用して溶出し得る。酸溶液の強度は、約0.5~4M、好ましくは約1Mである。得られた溶出液は、精製され濃縮されたニッケルおよびコバルト溶液であり、この溶液から、ニッケルおよび/またはコバルト製品を当業者にとって公知の方法により回収できる。ストリッピングした樹脂は、本発明方法の接触工程に戻す。」との記載によれば、イオン交換樹脂に吸収されたニッケルとコバルトを溶出する工程であるから、本願発明の、「(3)前記吸着樹脂に、硫酸溶液を接触させてニッケルとコバルトをイオン交換樹脂から溶離する溶離工程。」に相当する。
オ そうすると、本願発明と引用発明とは、以下の一致点において一致するとともに、以下の相違点1~相違点5において相違する。
<一致点>
「ニッケル、コバルトを含む水溶液から、ニッケルとコバルトを分離する方法であって、下記(1)から(3)の工程を含む水溶液からのニッケルとコバルトの回収方法。(1)ニッケル、コバルトを含む水溶液とイオン交換樹脂を混合してニッケルとコバルトをイオン交換樹脂に吸着させて吸着樹脂を形成し、前記吸着樹脂と前記吸着樹脂以外の吸着後液からなる混合溶液を得る吸着工程。(2)前記混合溶液を、前記イオン交換樹脂より目開きが小さい網やスリットを用いて固液分離して前記網やスリット上に得られた固体成分の吸着樹脂を洗浄する固液分離工程。(3)前記吸着樹脂に、硫酸溶液を接触させてニッケルとコバルトをイオン交換樹脂から溶離する溶離工程。」である点。
<相違点1>
ニッケル、コバルトを含む水溶液について、本願発明は、「固形分を含み」、「スラリー状の」ものであるのに対して、引用発明は、「固形分を含み」、「スラリー状の」ものであるか不明である点。
<相違点2>
ニッケル、コバルトを含む水溶液について、本願発明は、「不純物」を含むのに対し、引用発明は、「不純物」を含むのか不明である点。
<相違点3>
本願発明は、ニッケルとコバルトを「選択的に」分離する方法であるのに対し、引用発明は、ニッケルとコバルトを「選択的に」分離するか不明である点。
<相違点4>
水溶液とイオン交換樹脂を混合する際に、本願発明では、「pH調整しながら」混合するのに対し、引用発明では、「pH調整しながら」混合するのか不明である点。
<相違点5>
混合溶液を網やスリットを用いて固液分離する際に、本願発明は、「前記固形分より目開きが大き」い網やスリットを用いるのに対して、引用発明は、「前記固形分より目開きが大き」い網やスリットを用いるか不明である点。
(2)判断
ア 相違点1について
(ア)上記(1)アで述べたとおり、引用発明は、上記4(1)アに記載された発明(引用文献1の請求項1に記載された発明)の具体例と解される実施例1に着目して認定したものであるところ、引用発明における、「高圧ラテライト浸出溶液からのニッケルおよびコバルトの回収方法」は、「1リットルの24質量%固形分高鉄ラテライトスラリーを硫酸で1.5時間、268℃で浸出処理」した溶液から、「ニッケルおよびコバルト」を「回収」する方法である。
(イ)引用発明における「24質量%固形分高鉄ラテライトスラリー」は、引用文献1の記載(請求項1~3、段落【0005】)によれば、上記4(1)アに記載された発明における「ニッケル含有またはコバルト含有酸化物鉱」が「高鉄」(高い含有量の鉄)を含む「ラテライト」鉱である場合の、水性パルプを含む「スラリー」に相当するものであって、「24質量%」の「固形分」を含むものと解される。
ここで、上記「水性パルプ」は、本願出願時の技術常識(例えば、特表2003-514110号公報の段落【0015】を参照。)に照らして、鉱石と水との混合物を意味するものであることは明らかである。
(ウ)また、上記(1)アで述べたとおり、引用発明における「高圧ラテライト浸出溶液」は、引用文献1の記載(請求項5、段落【0007】)によれば、上記(イ)のような「24質量%固形分高鉄ラテライトスラリー」1リットルを硫酸(水溶液であることは、当業者にとって明らかである。)で1.5時間、268℃で「高圧浸出」処理して得られた水溶液であると解される。
(エ)さらに、引用発明においては、「浸出処理後」は「スラリー」状態の「浸出スラリー」となっていることから、当該「浸出処理後」の上記「高圧ラテライト浸出溶液」は、「スラリー」状態の「浸出スラリー」となっていると解される。
ここで、上記「スラリー」は、本願出願時の技術常識に照らして、液体と固体粒子との混合物を意味するものであることは明らかであるところ、上記「高圧ラテライト浸出溶液」は「24質量%固形分高鉄ラテライトスラリー」を浸出処理することにより得られたものであり、また、引用文献1の記載(請求項1)によれば、「浸出処理後」の「スラリー」は浸出残渣(固形分)を含むものであるから、上記「高圧ラテライト浸出溶液」は、上記固形分及び浸出残渣(固形分)を含むことで「スラリー」状態の「浸出スラリー」となっていると解される。
(オ)以上によれば、引用発明における「高圧ラテライト浸出溶液からのニッケルおよびコバルトの回収方法」は、「1リットルの24質量%固形分高鉄ラテライトスラリーを硫酸で1.5時間、268℃で浸出処理」した溶液から、「ニッケルおよびコバルト」を「回収」する方法であるところ、引用文献1の記載及び本願出願時の技術常識を踏まえると、「ニッケル含有またはコバルト含有酸化物鉱である高鉄を含むラテライト鉱と水との混合物である水性パルプを含むスラリーであって、24質量%の固形分を含むスラリー1リットルを、硫酸で1.5時間、268℃で高圧浸出処理して得られた、上記固形分及び浸出残渣(固形分)を含むことでスラリー状態の浸出スラリーとなっている水溶液である高圧ラテライト浸出溶液から、ニッケルおよびコバルトを回収する方法」であるといえる。
そうすると、引用発明における「高圧ラテライト浸出溶液」は、上記のとおり、「24質量%固形分高鉄ラテライトスラリー」に含まれる「固形分」及び「浸出残渣(固形分)」を含む、「スラリー」状態の「水溶液」であると認められる。
(カ)以上によれば、相違点1は実質的な相違点ではない。
仮にそうでないとしても、引用発明における「高圧ラテライト浸出溶液」において、「固形分を含み」、「スラリー状の」ものと特定することは、当業者が容易に想到することである。
イ 相違点2について
(ア)本願発明は、「固形分を含み、ニッケル、コバルト及び不純物を含むスラリー状の水溶液から、ニッケルとコバルトを選択的に分離する」ことで、「スラリー状の水溶液から」「ニッケルとコバルト」を「回収」するものである。
令和 3年12月 3日提出の手続補正書により補正された本願明細書の記載(段落【0021】)によれば、鉱石には、ニッケル、コバルト及び不純物が含まれており、当該鉱石を酸により浸出することで、ニッケル、コバルト及び不純物が水溶液に溶出し、当該水溶液と浸出残渣(固形分)が混合することで、浸出スラリー(スラリー状の水溶液)が得られるものと解される。
本願発明は、このようにして得られた浸出スラリー(スラリー状の水溶液)を処理対象として、当該浸出スラリー(スラリー状の水溶液)から、ニッケルとコバルトを選択的に分離し、回収するものである。
すなわち、本願発明は、浸出スラリー(スラリー状の水溶液)から、当該浸出スラリー(スラリー状の水溶液)に含まれる「固形分」、「ニッケル」、「コバルト」、「不純物」のうち、「ニッケル」、「コバルト」を選択的に分離し、回収しようとするものであって、「固形分」、「ニッケル」、「コバルト」以外の成分である「不純物」を分離し、回収しようとするものではない。
そうすると、本願発明における「不純物」は、鉱石に含まれている成分(元素)が当該鉱石を酸により浸出することで水溶液に溶出した成分(元素)のうち、選択的に分離し、回収しようとする対象であるニッケル、コバルト以外の成分(元素)、すなわち、選択的に分離し、回収しようとする対象ではない成分(元素)を意味するものと解される。
(イ)一方、引用発明は、「高圧ラテライト浸出溶液からのニッケルおよびコバルトの回収方法」であって、「ほんの僅かな鉄とクロムの共抽出を伴う極めて高いニッケルとコバルトの回収方法」である。
引用発明は、上記のとおり、ニッケルとコバルトを回収しようとするものであり(引用文献1にも、「ラテライト鉱からのニッケルおよびコバルトを選択的に抽出することによる酸ラテライト浸出スラリーからの新規な直接金属回収方法を提供する。」(段落【0004】)との記載がある。)、「ほんの僅かな鉄とクロムの共抽出を伴」っているが、鉄とクロムは回収目的となる元素ではないから、高鉄ラテライトスラリーに含まれていたこれらの元素は、本願発明における「不純物」に相当するものと認められる。
また、引用発明における「高圧ラテライト浸出溶液」である「浸出スラリー(リーチャート)」には、ニッケルとコバルト以外の元素として、上記の鉄、クロムのほかに、アルミニウムも含まれているが、このアルミニウムも回収目的となる元素ではないから、本願発明における「不純物」に相当するものと認められる。
この点、引用文献1の段落【0002】には、背景技術として、「明澄な含有浸出溶液からのニッケルおよびコバルトの回収は、種々の方法で実施できるが、銅、鉄およびマンガンのような多くの不純物の存在により複雑となる。」ことが記載されており、回収目的となる元素であるニッケルとコバルト以外の元素は、不純物であるとされている。
また、引用発明における「溶出液」には、「鉄0.05g/l」、「クロム0.10g/l」、「アルミニウム0.04g/l」が含まれるだけであり、引用発明における、各元素の浸出スラリー(リーチャート)中の濃度に対する溶出液の濃度の比をみると、ニッケル:0.675、コバルト:0.488、鉄:0.217、クロム:0.159、アルミニウム:0.077となり、鉄、クロム、アルミニウムが回収目的となる元素ではないことが裏付けられる。
そうすると、上記ア(オ)のとおり、引用発明における「高圧ラテライト浸出溶液」は、本願発明における「不純物」に相当する元素を含むものと認められる。
(ウ)よって、相違点2は実質的な相違点ではない。
仮にそうでないとしても、引用発明における「高圧ラテライト浸出溶液」において、「不純物」に相当する元素を含むものと特定することは、当業者が容易に想到することである。
ウ 相違点3について
(ア)本願発明は、上記イ(ア)で述べたとおり、浸出スラリー(スラリー状の水溶液)から、当該浸出スラリー(スラリー状の水溶液)に含まれる「固形分」、「ニッケル」、「コバルト」、「不純物」のうち、「固形分」や「不純物」ではなく、「ニッケル」、「コバルト」を選択的に分離し、回収しようとするものである。
(イ)一方、引用発明は、上記イ(イ)で述べたとおり、「高圧ラテライト浸出溶液からのニッケルおよびコバルトの回収方法」であって、「ほんの僅かな鉄とクロムの共抽出を伴う極めて高いニッケルとコバルトの回収方法」であり、ニッケルとコバルトを回収しようとするものである(引用文献1にも、「ラテライト鉱からのニッケルおよびコバルトを選択的に抽出することによる酸ラテライト浸出スラリーからの新規な直接金属回収方法を提供する。」(段落【0004】)との記載がある。)。
引用発明における「高圧ラテライト浸出溶液」である「浸出スラリー(リーチャート)」には、ニッケルとコバルト以外の元素として、鉄、クロム、アルミニウムも含まれているが、これらの元素を含む「高圧ラテライト浸出溶液」から、ニッケルとコバルトを回収しようとするものであるから、引用文献1の上記記載(段落【0004】)も踏まえると、引用発明は、ニッケルとコバルトを選択的に回収しようとするものといえる。
また、上記(1)イで述べたとおり、引用発明の「ダウ XFS-4195樹脂」は、「溶解ニッケルとコバルトを選択的に吸収する樹脂」である。また、上記イで述べたとおり、「高圧ラテライト浸出溶液」である「浸出スラリー(リーチャート)」に含まれる鉄、クロム、アルミニウムは、本願発明における「不純物」に相当するものであり、選択的に分離される元素ではない。
そして、引用発明において、「ニッケルおよびコバルト」の「回収」時に、「ニッケルとコバルト」が「高圧ラテライト浸出溶液」から「分離」されることが自明であることは、上記(1)アで述べたとおりである。
(ウ)以上によれば、引用発明は、「ニッケルとコバルトを選択的に分離する方法」であると認められる。
よって、相違点3は実質的な相違点ではない。
仮にそうでないとしても、引用発明において、「ニッケルとコバルトを選択的に分離する方法」であると特定することは、当業者が容易に想到することである。
エ 相違点4について
引用文献1の段落【0005】には、「イオン交換樹脂とスラリーとの接触中、pHは、中和剤の添加により調整できる。このことは、イオン交換抽出過程におけるその場でのpH調整がpH依存性である金属抽出の最適化を可能にするので、本発明の大きな利点である。もう1つの実施態様においては、含有浸出スラリーを、イオン交換樹脂と接触させる前に、部分的に中和する。」と記載され、同段落【0008】には、浸出スラリーとイオン交換樹脂を接触させるに当たり、「接触中に、pHを石灰石または他の中和剤の添加により調整して金属抽出を最適化し、樹脂上へのニッケルおよびコバルトの最適の選択的担持を得る。一般に、スラリーのphは、約1~約5、好ましくは約3に維持する。」と記載されている。
引用発明は、「650mlの湿潤沈降ダウ XFS-4195樹脂をスラリーに加え、周囲温度で2時間緩やかに混合させ」る前に、「石灰石でpH 3.0に中和」するものであるところ、引用文献1の記載(段落【0005】)によれば、引用発明においては、スラリーをイオン交換樹脂と接触させる前に、「石灰石でpH 3.0に中和」することで部分的に中和するものと解される。
そうすると、引用発明において、樹脂上へのニッケルおよびコバルトの最適の選択的担持を得ることを目的として、「石灰石でpH 3.0に中和」することで部分的に中和することに加えてさらに、650mlの湿潤沈降ダウ XFS-4195樹脂とスラリーとを「pH調整しながら」混合することは、当業者が容易に想到することである。
オ 相違点5について
スラリーが液体と固体粒子との混合物であることは当該技術分野における技術常識であるところ、引用発明において、急冷したスラリーを「石灰石でpH 3.0に中和し、650mlの湿潤沈降ダウ XFS-4195樹脂をスラリーに加え、周囲温度で2時間緩やかに混合させ」ることにより得られた、ニッケルおよびコバルトを吸収したダウ XFS-4195樹脂とスラリーとの混合物におけるスラリーにも、「24質量%固形分高鉄ラテライトスラリー」に含まれる「固形分」及び「浸出残渣(固形分)」(上記ア(エ))が含まれるものの、この工程では、樹脂とパルプ(スラリー)とを分離するものであるから、30メッシュスクリーンの目開きは、パルプ(スラリー)中の固体粒子(固形分)よりも大きく、樹脂よりも小さいことは明らかである。
以上によれば、引用発明においては、「前記固形分より目開きが大き」い網やスリットが用いられていると認められる。
よって、相違点5は実質的な相違点ではない。
仮にそうでないとしても、引用発明において、「前記固形分より目開きが大き」い網やスリットが用いることは、当業者が容易に想到することである。
カ 本願発明の効果について
令和 3年12月 3日提出の手続補正書により補正された本願明細書の記載(段落【0016】)によれば、本願発明は、「ニッケル、コバルト、および不純物を含む水溶液からイオン交換樹脂を用いて、大掛かりな設備を必要とせずに、簡素且つ効率的にニッケルおよびコバルトを分離、回収することができる」という効果を奏するものと解されるが、このような効果は、引用文献1の記載及び出願時の技術常識から、当業者であれば予測し得るものであり、格別顕著なものとはいえない。
(3)小括
以上のとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
6 付記
(1)審判請求人は、令和 4年10月28日に提出された上申書において、「補正する用意があります」と述べているので、上記上申書に記載された特許請求の範囲のうち、独立項である請求項1に記載された発明(以下、「補正案発明」という。)の進歩性について、念のため検討する。
上記上申書に記載された特許請求の範囲の請求項1に記載された発明(補正案発明)は、以下のとおりのものである(下線は、本願発明からの変更箇所を示す。)。
「固形分を含み、ニッケル、コバルト及び不純物を含むスラリー状の水溶液から、ニッケルとコバルトを選択的に分離する方法であって、下記、下記(1)から(3)の工程を含むことを特徴とするスラリー状の水溶液からのニッケルとコバルトの回収方法。(1)固形分を含み、ニッケル、コバルト及び不純物を含むpHが、1~5のスラリー状の水溶液とイオン交換樹脂をpH調整しながら混合してニッケルとコバルトをイオン交換樹脂に吸着させて吸着樹脂を形成し、前記吸着樹脂と前記吸着樹脂以外の吸着後液からなる混合溶液を得る吸着工程。(2)前記混合溶液を、前記固形分より目開きが大きく、前記イオン交換樹脂より目開きが小さい網やスリットを用いて固液分離して前記網やスリット上に得られた固体成分の吸着樹脂を洗浄する固液分離工程。(3)前記吸着樹脂に、pHが0~3である硫酸溶液を接触させてニッケルとコバルトをイオン交換樹脂から溶離し、前記ニッケル及びコバルトが溶離している溶離液を作製する際に、前記吸着樹脂を構成するイオン交換樹脂と前記硫酸溶液の量を調整することで、前記溶離液中のニッケル濃度とコバルト濃度を調整する溶離工程。」
(2)補正案発明と引用発明との対比
補正案発明と引用発明とを対比すると、引用発明における浸出処理後のスラリーは、「石灰石で、pH3.0に中和」されているので、この点は、補正案発明の「pHが、1~5のスラリー状の水溶液」と一致する。
そうすると、補正案発明と引用発明とは、上記5(1)における相違点1~5に加え、以下の相違点6、7において相違する。
<相違点6>
吸着樹脂に硫酸溶液を接触させてニッケルとコバルトをイオン交換樹脂から溶離する際に、補正案発明では、「pHが0~3」である硫酸溶液を用いるのに対し、引用発明では、ストリッピングに用いる硫酸の濃度が、100g/l(1.02mol/l)であるものの、「pHが0~3」であるかどうか不明である点。
<相違点7>
補正案発明では、「ニッケル及びコバルトが溶離している溶離液を作製する際に、吸着樹脂を構成するイオン交換樹脂と硫酸溶液の量を調整することで、前記溶離液中のニッケル濃度とコバルト濃度を調整する」のに対し、引用発明では、そのように調整しているか不明である点。
(3)判断
ア 相違点6について
引用発明においてストリッピングに用いる「100g/lの硫酸」のpHは、約-0.01となる(硫酸が完全に電離していると仮定すると、pHの値は、log(2(価)×100(g)/98(硫酸の分子量))=約-0.3となるが、実際は、完全に電離しているわけではなく、[H+]2+(K-c)[H+]-2cK=0の解(硫酸の第二電離定数K=1.02×10-2mol/l、硫酸濃度c(mol/l))から計算すると約-0.01となる)。
一方、引用文献1の段落【0010】には、「酸溶液の強度は、約0.5~4M、好ましくは約1Mである。」と記載されているから、硫酸の濃度を約0.5M、すなわち、pHを約0.29(硫酸が完全に電離していると仮定すると、pHは約0であるが、上記と同様の計算を行うと、約0.29となる)とすることは、当業者が容易に想到することである。
イ 相違点7について
引用発明においても、硫酸でストリッピング処理する際に、少なくともニッケルとコバルトを吸収したダウ XFS-4195樹脂の量に応じて、硫酸の量が適量に調整され、溶出液中のニッケル濃度とコバルト濃度が適量に調整されていると認められる。
よって、相違点7は実質的な相違点ではない。
仮にそうでないとしても、処理対象のスラリーに混合するイオン交換樹脂の量を調整すると、吸着するイオンの量が増減し、また、イオン交換樹脂の量及び硫酸溶液の量を調整すると、溶離するイオンの量が増減し、溶離液中のイオンの濃度が増減することは自明であり、当業者であれば適宜なし得ることであるから、引用発明において、処理対象の浸出スラリーである高圧ラテライト浸出溶液に応じて、イオン交換樹脂の量及び硫酸溶液の量を調整し、溶出液中のニッケル濃度とコバルト濃度を調整することは、当業者が容易に想到することである。
ウ 相違点1~5について
上記5(2)ア~オで述べたとおりである。
(4)小括
以上のとおり、補正案発明は、引用文献1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、上記上申書に記載された補正案発明の内容を勘案したとしても、上記5で示した進歩性欠如との判断に影響を与えるものではない。
第4 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-008146