商標拒絶査定不服審判
2022-007457
インドリョーリレストランカラス、インドリョーリレストラン、カラス、インディアンレストランカラス、インディアンレストラン、カラシュ、カラッシュ
- 審判番号
- 2022-007457
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-030865
- 請求日
- 2022年05月18日
- 審決日
- 2023年06月27日
- 公報発行日
- 2023年09月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】中川 和大
- 【請求人代理人】日野 和将
- 審判長/審判官
- 審判長 旦 克昌
- 審判官 馬場 秀敏
- 審判官 山根 まり子
- 分類
- T18 .261-Z (W43) / T18 .262-Z (W43) / T18 .263-Z (W43)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021-30865拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和3年3月16日に登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年8月13日付け:拒絶理由通知書
令和3年10月13日付け:意見書
令和4年1月27日付け:拒絶査定
令和4年5月18日付け:審判請求書
第2 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第43類「インド料理の提供」を指定役務として、登録出願されたものである。
第3 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第4805045号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、平成16年2月5日に登録出願、第43類「飲食物の提供」を指定役務として、同年9月24日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
第4 当審の判断
1 本願商標について
(1)本願商標は、別掲1のとおり、上から「インド料理レストラン」、「カラス」、「Indian Restaurant」及び「Kalash」の各文字を4段に横書きしてなるところ、各段の文字は、改行により段を変え、文字の大きさを異にし、重なること無く間隔を空け、横幅を揃えることなく配置されていることからすれば、それらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど外観上密接不可分的に結合しているものということはできないものである。
(2)本願商標の構成中、4段目の「Kalash」の欧文字は、我が国で親しまれた成語や外来語ではなく、特定の意味合いが生じない造語と認められるものである。
そして、特定の意味合いが生じない欧文字からなる造語の場合、これに接する者は、我が国において親しまれたローマ字読み又は英語の発音に倣って読むのが通常である。
また、「Kalash」の文字は、それのみに着目した際には、「カラシュ」又は「カラス」と読まれる場合のいずれもあり得るものであるが、本願商標の構成においては、各段の表記の順番を踏まえると、3段目と4段目に欧文字で表された「Indian Restaurant」及び「Kalash」の文字部分が、1段目と2段目に日本語で表された「インド料理レストラン」及び「カラス」の文字部分を欧文字で代替し、3分の1以下の大きさで小さく表されたものと理解されることから、本願商標における「Kalash」の文字は、「カラス」と読むものと理解されるというのが自然であるというのが相当である。
(3)本願商標の構成全体から生じる「インドリョウリレストランカラスインディアンレストランカラス」の称呼は極めて冗長である。
そして、本願商標の構成中、2段目と4段目にそれぞれ表された「カラス」及び「Kalash」の各文字は、本願の指定役務との関係において、自他役務を識別する機能を果たし得ないとみるべき事情は見られないものである。
他方、3段目にごく小さく表された「Indian Restaurant」の文字は、1段目の「インド料理レストラン」の文字を欧文字で代替し、表されたものと直ちに理解させるものであるが、それらの文字は、本願の指定役務との関係では、「インド料理を提供するレストラン」であること、すなわち、当該役務を提供する業種、役務の質等を認識させるものであって、出所識別標識としての称呼、観念を生じさせるものとはいえないものである。
(4)本願商標の構成においては、2段目の「カラス」の文字が、他の段の文字に比して、少なくとも4倍以上の大きさで、一際大きく表されているものであって、当該文字は、本願商標のほぼ中央部に相当範囲を占め、相応に目立つ態様で、極めて読みとり易く表され、独立して看る者の注意をひくように構成されている。
(5)これらの事情を総合すると、本願商標の構成において、「カラス」の文字は、本願商標の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであり、当該文字部分を要部として抽出し、これを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるというべきである。
そして、「カラス」の文字は、「スズメ目カラス科カラス属およびそれに近縁の鳥の総称。日本では主としてハシブトガラスとハシボソガラスの2種。雌雄同色、黒くて光沢がある。多くは人家のある所にすみ雑食性。」(株式会社岩波書店「広辞苑第七版」)を意味する語であり、一般に親しみ深いものである。
したがって、本願商標は、その全体のほか、その要部の構成文字に相応して、「カラス」の称呼及び観念をも生じるものというのが相当である。
2 引用商標について
(1)引用商標は、別掲2のとおり、上段に、黒丸図形の中に白抜きの「炭」、黒色の「旬鮮市場」のややデザイン化し横書きされた漢字(以下「上段文字部分」という場合がある。)及び黒い鳥と思われる図形(以下「上段図形部分」という場合がある。)を表し、下段に黒色の「からす」のややデザイン化し横書きされた平仮名(以下「下段文字部分」という場合がある。)を大きく表してなる結合商標である。
(2)引用商標の構成中、上段図形部分は、下段の「からす」の文字における3文字目の「す」の真上に配され、また、その片仮名表記である「カラス」が、日本各地に生息し、一般に親しみ深い、くちばしが大きい黒い鳥であることを踏まえると、当該図形は「カラス」を表したものと容易に理解されるものである。
(3)引用商標の構成中、上段文字部分、上段図形部分及び下段文字部分は、改行により段を変え、大きさ、文字、文字種又は図形の構成要素等を異にし、重なること無く間隔を空けて、互いに独立した態様で配置されているところ、上段の「炭」及び「旬鮮市場」を構成する各文字部分は、黒い鳥である「カラス」と観念や称呼における具体的な関連性もないから、視覚上分離して認識されるものであり、それぞれが出所識別標識として独立した構成要素であるとの印象を与える。
そうすると、引用商標を構成する各部分は、分離、抽出して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいえない。
(4)引用商標の構成においては、下段の「からす」の文字が、他の構成要素に比して、おおよそ4倍程度の大きさで、一際大きく表されているものであって、当該文字は、引用商標の相当範囲を占め、相応に目立つ態様で、極めて読みとり易く表され、独立して看る者の注意をひくように構成されているから、当該文字部分を要部として抽出し、これを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるというべきである。
したがって、引用商標は、その全体のほか、その要部の構成文字に相応して、「カラス」の称呼及び観念を生じるものというのが相当である。
3 本願商標と引用商標との類否について
本願商標と引用商標の類否について検討すると、外観において、全体としては相違し、本願商標の要部である「カラス」の文字部分と引用商標の要部である「からす」の文字部分とは、文字の種類が片仮名と平仮名とで相違するとしても、両者は、いずれも平易な書体からなるものである。加えて、商標の構成文字を同一の称呼が生じる範囲内で文字種を相互に変換して表記することが一般的に行われていることからすると、それぞれの文字を置き換えたものとして、取引者、需要者に認識されるものであるから、両者における文字種の相違が、取引者、需要者に対し、出所識別標識としての外観上の顕著な差異として強い印象を与えるとまではいえないものである。
そして、本願商標と引用商標とは、「カラス」の称呼及び観念を共通にするものである。
そうすると、本願商標と引用商標とは、全体としての外観が相違するとしても、それぞれの要部の比較において、称呼及び観念を共通にするものであり、また、文字種の相違が、取引者、需要者に対し、出所識別標識としての外観上の顕著な差異として強い印象を与えるとまではいえないものであって、その相違が、称呼及び観念の共通性を凌駕するというべき事情はないことから、両商標は、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、役務の出所について誤認混同を生ずるおそれがある類似の商標と判断するのが相当である。
4 本願の指定役務と引用商標の指定役務との類否について
本願の指定役務は、引用商標の指定役務と、同一又は類似の役務である。
5 小括
以上のとおり、本願商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、引用商標の指定役務と同一又は類似の役務について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
6 請求人の主張について
請求人は、(1)「カラス」の名称は地名や人名など多くの普通名称や固有名称に見受けられる程に身近でありふれたものであるから、消費者はこれが店舗名としてもよく使用されているものであろうと認識していること、(2)飲食業界において他人同士による同名の店舗が存在することが珍しくはないことから、同じ「カラス」の名称を持つ複数の店舗を、消費者が直ちに同一の経営者によるものと認識することはなく、混同が生じる可能性は極めて低いこと、(3)本願商標には「インド料理レストラン」なる文字が配されていることから、提供する料理のカテゴリーがインド料理であることが認識できるのに対し、引用商標には「炭」、「旬鮮市場」の文字が配されていることから、提供する料理のカテゴリーが和食に属するものであることが認識できるところ、両カテゴリーは飲食業界においてはかけ離れたものであるため、専門料理を提供する店舗の分野において、これらが同一の経営者によって提供されるということは、普通は考えにくいこと等を述べ、本願商標と引用商標とは非類似の商標である旨主張している。
しかしながら、「カラス」の名称が店舗名としてよく使用されているものであろうと認識されていると認めるに足りる事情は見いだせず、その他、本願商標の構成中、「カラス」の文字部分が、自他役務を識別する機能を果たし得ないとみるべき事情は認められない。
そして、上記3のとおり、本願商標は、引用商標と類似する商標であるが、引用商標の指定役務は、第43類「飲食物の提供」であって、本願の指定役務である第43類「インド料理の提供」が含まれるものであるところ、商標の類否判断において考慮することのできる取引の実情とは、単に当該商標が現在使用されている役務についてのみの特殊的、限定的なそれを指すものではなく、その指定役務全体についての一般的・恒常的な実情を指すものと解すべきであり(最高裁昭和47年(行ツ)第33号参照)、請求人の主張する上記実情は、取引における一場面を抽出した特殊的、限定的なものといわざるを得ないものであり、商標の類否判断にあたり考慮すべき一般的、恒常的な取引の実情ということはできない。
したがって、請求人の主張は採用できない。
7 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、これを登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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