2022-007188
喫煙品
- 審判番号
- 2022-007188
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-522346外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年05月13日
- 審決日
- 2023年03月06日
- 公報発行日
- 2023年08月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
- 【請求人代理人】池田 成人
- 【請求人代理人】酒巻 順一郎
- 【請求人代理人】野田 雅一
- 【請求人代理人】上村 勇太
- 分類
- P18 .121-WZ (A24D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 10項目
第1 手続の経緯
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本件に係る出願は、2018年(平成30年)11月15日(優先権主張外国庁受理 2017年11月24日 GB(グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国))を国際出願日とする出願であって、令和2年5月11日に手続補正がされ、令和3年6月16日付けで拒絶理由通知がされ、同年9月15日に意見書が提出されるとともに手続補正がされ、令和4年1月28日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされた。
これに対し、同年5月13日に拒絶査定不服審判の請求がされたが、当審から同年9月21日付けで拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由通知」という。)がされ、同年11月28日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1~15に係る発明は、令和4年11月28日にした手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~15に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】エアロゾル化可能材料と、前記エアロゾル化可能材料の周りに配置された被覆材料とを備えるエアロゾル生成品であって、前記被覆材料が不燃性材料を含み、前記被覆材料が、前記エアロゾル化可能材料の第1の端部から延びて前記エアロゾル化可能材料の第2の端部までの距離の10%~85%にわたって延びており、前記不燃性材料は、紙を含む外側層と、金属箔を含む内側層とを備える積層材料である、エアロゾル生成品。」
第3 当審拒絶理由通知の概要
当審拒絶理由通知の概要は、以下のとおりのものである。
理由1(明確性)
本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
理由2(進歩性)
本件出願の下記の請求項に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
○理由1(明確性)
・請求項11~14は、不明確である
○理由2(進歩性)
・請求項1~16に係る発明は、引用文献1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 引用文献1に記載された事項及び引用発明
引用文献1には、以下の事項が記載されている。
1.「【請求項1】発熱体を備えた電気的に動作するエアロゾル発生装置と併用するための加熱式エアロゾル発生物品であって、前記エアロゾル発生物品が、熱伝導性材料シートにより半径方向に取り囲まれたエアロゾル形成基体を含む、加熱式エアロゾル発生物品。・・・【請求項8】前記熱伝導性材料シートが金属箔であるかまたは金属箔を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の加熱式エアロゾル発生物品。【請求項9】前記熱伝導性材料シートが、紙とともに金属箔を一つに薄層形成することで形成された材料シート、または再構成たばことともに金属箔を一つに薄層形成することで形成されたシート材料である、請求項8に記載の加熱式エアロゾル発生物品。・・・」
2.「【0070】図2は、本明細書で描写したロッドを備えた加熱式エアロゾル発生物品1000の実施形態を図示したものである。物品1000は、エアロゾル形成基体1020と、中空のセルロースアセテートチューブ1030と、スペーサー要素1040と、マウスピースフィルター1050という4つの要素を含む。これら4つの要素は順に同軸に整列して配置され、紙巻たばこ用紙1060によって組み立てられ、エアロゾル発生物品1000を形成する。物品1000は口側の端1012を有し、ユーザーは使用中にその端を口の中に挿入し、遠位端1013は口側の端1012に対して物品の反対側の端に位置する。図2に図示したエアロゾル発生物品の実施形態は、エアロゾル形成基体を加熱するためのヒーターを備えた電気的に動作するエアロゾル発生装置との併用に特に適切である。【0071】組み立てられた時、物品1000は長さ約45ミリメートルであり、約7.2ミリメートルの外径と約6.9ミリメートルの内径を持つ。【0072】エアロゾル形成基体1020は、アルミ箔1222で包装されてプラグを形成する均質化されたたばこのシートを捲縮・集合させて形成されるロッドを含む。ユーザーは、遠位端1013に炎を当てるのと同時にマウスピースから空気を吸って、エアロゾル形成基体1020の点火を不注意に試みることがある。これが発生した場合、エアロゾル形成基体のアルミ箔成分が適用された熱をエアロゾル形成基体の半径方向先端に沿って素早く伝搬させて、それによって均質化されたたばこ成分が発火温度まで上昇するのをより困難なものにする。この発火傾向の低下は、ユーザーが物品の点火を試みることを断念するのに十分であると考えらえる。【0073】図2に図示したエアロゾル発生物品1000は、消費されるためにエアロゾル発生装置と勘合するように設計されている。こうしたエアロゾル発生装置は、エアロゾル形成基体1020を十分な温度に加熱してエアロゾルを形成する手段を含む。一般に、エアロゾル発生装置は、エアロゾル形成基体1020に隣接したエアロゾル発生物品1000を囲む発熱体、またはエアロゾル形成基体1020に挿入される発熱体を備えうる。【0074】エアロゾル発生装置と勘合されると、ユーザーは喫煙物品1000の口側端1012を吸い、エアロゾル形成基体1020が約375℃の温度に加熱される。この温度にて、揮発性化合物は、エアロゾル形成基体1020のキャストリーフたばこシートから放出される。これらの化合物は凝縮されてエアロゾルを形成する。エアロゾルはフィルター1050を通して引き出され、ユーザーの口に入る。」
3.「【図2】[図:0001400045000001.jpg]」
4. 【図2】から、熱伝導性材料シートに含まれる金属箔であるアルミ箔1222は、エアロゾル形成基体1020の遠位端1013から延びてエアロゾル形成基体1020の全領域に延びていることが看取できるから、熱伝導性材料シートがエアロゾル形成基体1020の遠位端1013から延びてエアロゾル形成基体の全領域にわたって延びているものと認められる。
5. 【図2】の記載及び摘記事項2.の【0070】及び【0072】の記載から見て、引用文献1に記載された金属箔であるアルミ箔1222が、紙巻たばこ用紙1060の内側に配置されているものと認められる。
以上の摘記事項1.~3.及び認定事項4.~5.から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。
(引用発明)
「熱伝導性材料シートにより半径方向に取り囲まれたエアロゾル形成基体を含む、加熱式エアロゾル発生物品であって、熱伝導性材料シートが金属箔を含み、熱伝導性材料シートがエアロゾル形成基体1020の遠位端1013から延びてエアロゾル形成基体の全領域にわたって延びており、熱伝導性材料シートが、紙とともに金属箔を一つに薄層形成することで形成された材料シートであり、金属箔が紙巻たばこ用紙1060の内側に配置されている、加熱式エアロゾル発生物品。」
第5 当審の判断
1.対比
本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「エアロゾル形成基体」、「加熱式エアロゾル発生物品」、「金属箔」は、本願発明の「エアロゾル化可能材料」、「エアロゾル生成品」、「金属箔」にそれぞれ相当する。
引用発明の「紙とともに金属箔を一つに薄層形成することで形成された材料シート」である「熱伝導性材料シート」と、本願発明の「紙を含む外層と、金属箔を含む内側層とを備える積層材料」である「不燃性材料」とは、「紙と金属箔とを含む積層材料」である「不燃性材料」の限りにおいて一致する。
引用発明の「紙巻たばこ用紙1060」と「熱伝導性材料シート」とは、「熱伝導性材料シートが金属箔を含み」、「紙とともに金属箔を一つに薄層形成することで形成された材料シートであり、金属箔が紙巻たばこ用紙1060の内側に配置される」ものであることを勘案すると、本願発明の「被覆材料」と「前記被覆材料が不燃性材料を含む」ことに相当するといえる。
してみると、請求項1に係る発明と引用発明とは、次の一致点で一致し、相違点1、2で相違する。
(一致点)
「エアロゾル化可能材料と、前記エアロゾル化可能材料の周りに配置された被覆材料とを備えるエアロゾル生成品であって、前記被覆材料が不燃性材料を含み、前記不燃性材料は、紙と金属箔を含む積層材料である、エアロゾル生成品。」
(相違点1)
本願発明では、「前記被覆材料が、前記エアロゾル化可能材料の第1の端部から延びて前記エアロゾル化可能材料の第2の端部までの距離の10%~85%にわたって延びて」いるのに対して、引用発明では、「熱伝導性材料シートがエアロゾル形成基体1020の遠位端1013から延びてエアロゾル形成基体の全領域にわたって延びて」いる点。
(相違点2)
「紙と金属箔とを含む積層材料」である「不燃性材料」に関して、本願発明では、「前記不燃性材料は、紙を含む外側層と、金属箔を含む内側層とを備える積層材料」であるのに対して、引用発明では、「熱伝導性材料シートが、紙とともに金属箔を一つに薄層形成することで形成された材料シートであり、金属箔が紙巻たばこ用紙1060の内側に配置されている」点。
2.判断
(1)上記相違点1について検討する。
引用文献1には、「・・・ユーザーは、遠位端1013に炎を当てるのと同時にマウスピースから空気を吸って、エアロゾル形成基体1020の点火を不注意に試みることがある。これが発生した場合、エアロゾル形成基体のアルミ箔成分が適用された熱をエアロゾル形成基体の半径方向先端に沿って素早く伝搬させて、それによって均質化されたたばこ成分が発火温度まで上昇するのをより困難なものにする。・・・」(段落【0072】)と記載されている。
してみると、引用発明の「金属箔」を含む「熱伝導性材料シート」の囲む範囲は、ユーザーが「エアロゾル形成基体」の遠位端に炎を当てた際に、当該炎が「エアロゾル形成基体」に直接当たらない範囲を囲んでいれば、その作用・機能を奏することが明らかであるから、「エアロゾル形成基体」の遠位端からどこまでの範囲を囲むかは、「エアロゾル形成基体」の「遠位端1013に炎を当てるのと同時にマウスピースから空気を吸って、エアロゾル形成基体1020の点火を不注意に試みる」際の「炎」の到達範囲に応じて、適宜設定し得る設計的事項というべきである。
よって、引用発明において、「熱伝導性材料シート」が「エアロゾル形成基体の遠位端」から延びて「エアロゾル形成基体の反対側の端部」までの距離の10%~85%にわたって延びるように構成することは、当業者が容易に想到し得たことである。
(2)上記相違点2について検討する。
本願発明の「不燃性材料」は、「被覆材料が不燃性材料を含」むものであるから、「不燃性材料」が「被覆材料」の一部として包含されるものと解される。
本願発明は、その上で「前記不燃性材料は、紙を含む外側層と、金属箔を含む内側層とを備える積層材料である」と特定しているのであるから、「不燃性材料を含」む「被覆材料」の構成は、その文言解釈から、外側層が「紙」で構成され、内側層が「金属箔」で構成された2層構造のものと認められる。
一方、引用発明も「熱伝導性材料シートが、紙とともに金属箔を一つに薄層形成することで形成された材料シートであり、金属箔が紙巻たばこ用紙1060の内側に配置されている」のであるから、少なくとも外側層が「紙巻たばこ用紙1060」で構成され、その内側に「金属箔」が配置された構成ということができる。
してみると、相違点2は、実質的な相違点ではないというほかない。
次に、本願発明の「被覆材料が不燃性材料を含」む構成について、「被覆材料」と「不燃性材料」とが別々の材料を意味する場合について検討する。
引用発明は、「熱伝導性材料シートが、紙とともに金属箔を一つに薄層形成することで形成された材料シートであり、金属箔が紙巻たばこ用紙1060の内側に配置されている」のであるから、「紙巻きたばこ用紙1060」が最も外側でたばこを被覆することが技術常識であることを勘案すると、「紙巻きたばこ用紙1060」の内側に「紙とともに金属箔を一つに薄層形成することで形成」された「熱伝導性材料シート」が配置されているものと解される。
そして、「熱伝導性材料シート」は、「エアロゾル形成基体のアルミ箔成分が適用された熱をエアロゾル形成基体の半径方向先端に沿って素早く伝搬させて、それによって均質化されたたばこ成分が発火温度まで上昇するのをより困難なものにする。」(段落【0072】)ように機能するのであるから、「熱伝導性材料シート」において「金属箔」と「紙」との組合せに関して、いずれを内側層とし他方を外側層としても、その機能になんら変わりはないから、相違点2は、当業者が適宜選択し得た選択的事項というほかない。
3.請求人の主張
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請求人は、令和4年11月28日に提出した意見書において「引用文献1において、紙巻たばこ用紙1060とアルミ箔1222とは、互いに異なる部材であることは明らかです。したがって、引用文献1に記載の発明を知見した当業者が、紙巻たばこ用紙1060とアルミ箔1222とを一つの積層材料とは通常みなさず、むしろ、これらは互いに別の部材とみなすことが自然であると考えます。ましてや、紙は通常燃焼するものであるから、引用文献1に記載の発明のみを知見した当業者が、紙巻たばこ用紙1060を、本願発明1に規定される不燃性材料の一部として解釈することは、困難と言わざるを得ません。もし上記解釈を維持なさるのであれば、その解釈は本願発明1を知見したからこそ可能なものであって、いわゆる不当な後知恵に基づくものと言わざるを得ません。」と主張する。
しかしながら、上記相違点2についての検討において論じたとおり、引用発明が「紙巻きたばこ用紙1060」の内側に「紙とともに金属箔を一つに薄層形成することで形成」された「熱伝導性材料シート」が配置されているものと解されるとした場合であっても、「熱伝導性材料シート」の「金属箔」と「紙」との組合せに関して、いずれを内側層とし他方を外側層としても、「エアロゾル形成基体のアルミ箔成分が適用された熱をエアロゾル形成基体の半径方向先端に沿って素早く伝搬させて、それによって均質化されたたばこ成分が発火温度まで上昇するのをより困難なものにする。」(段落【0072】)機能になんら変わりはないから、相違点2は、当業者が適宜選択し得た選択的事項というほかない。
また、請求人は、「引用文献1に記載の発明を知見した当業者であれば、上記熱伝導性材料を利用する場合、アルミ箔を外側層とし、アルミ箔の外側に2つの紙層(すなわち、紙及び紙巻たばこ用紙1060)が設けられる構成を避けることが自然であると考えます。これは、引用文献1の段落0005、0072などの記載から、アルミ箔による迅速な熱拡散を発生させ、それによりたばこ成分の発火防止を図るためには、アルミ箔を外側層にすることが明らかに有利であるからです。さらには、上記熱拡散の良好な発生のためには、熱伝導性材料が大きい(軸方向において長い)ほどよいことは、当業者であれば当然に理解できる事項です。実際、引用文献1の図2に示されるように、アルミ箔1222は、軸方向においてエアロゾル形成基体1020の全体を覆っております。このため引用文献1に記載の発明において、上記相違点1,2の両方を解消する設計変更を実施した場合、熱伝導性材料による熱拡散能力が低下することは自明であり、よってこのような設計変更はいわゆる阻害要因に該当すると考えます」と主張する。
しかしながら、引用文献2の【図2】において、「紙巻たばこ用紙1060」は、「アルミ箔1222」の外側に配置されているものであり、さらに、上記のとおり引用発明の「エアロゾル形成基体のアルミ箔成分が適用された熱をエアロゾル形成基体の半径方向先端に沿って素早く伝搬させて、それによって均質化されたたばこ成分が発火温度まで上昇するのをより困難なものにする。」(段落【0072】)機能は、「紙」を「アルミ箔1222」に対して内側に設けても外側に設けても変わらないものである以上、選択的事項にすぎないのであるから、阻害要因にはなり得ないものである。
また、請求人は、「さらに、本願明細書の段落[0060]によれば、上記相違点1,2を備えることによって、不燃性材料の表面が紙に因る摩擦係数を発揮できるので、公知のエアロゾル生成品製造プロセス及び製造機械にとって扱いやすくなりまるといった作用効果が奏されます。このような作用効果は、引用文献1においてはエアロゾル発生部品の製造方法の詳細について記載されていないことから、上記作用効果は、引用文献1からでは見出せない予想外なものであると言えます。」と主張するが、引用発明についても、最も外側の層に「紙巻たばこ用紙1060」が配置されていることから、請求人の主張する有利な効果は、予測し得ない効果であるとは認められない。
4.まとめ
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明である。
第6 むすび
以上のとおり、請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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