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特許拒絶査定不服審判

2023-020445

タバコシートを含むエアロゾル発生物品、及びそれを用いたエアロゾル発生システム

審判番号
2023-020445
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-572949
請求日
2023年12月01日
審決日
2025年10月08日
公報発行日
2026年03月27日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】ケーティー アンド ジー コーポレイション
  • 【請求人代理人】弁理士法人太陽国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 平瀬 知明
  • 審判官 竹下 和志
  • 審判官 槙原 進
分類
P18 .121-WZ (A24D)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2021-572949「タバコシートを含むエアロゾル発生物品、及びそれを用いたエアロゾル発生システム」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 6月17日国際公開、WO2021/118186、令和4年8月26日国内公表、特表2022-537509〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本件に係る出願(以下「本願」という。)は、2020年(令和2年)12月7日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2019年12月10日、韓国(KR))を国際出願日とする出願であって、令和5年1月24日付けで拒絶理由通知がされ、同年4月28日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたが、同年7月19日付けで拒絶査定がされた。 これに対し、令和5年12月1日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、令和6年7月25日に上申書が提出され、令和7年3月28日付けで令和5年12月1日の手続補正について補正の却下の決定がされるとともに拒絶理由通知(以下「当審拒絶理由通知」という。)がされ、令和7年6月30日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1-8に係る発明は、令和7年6月30日にした手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-8に記載された事項により特定されるとおりのものであり、そのうち請求項1に係る発明(以下「本願発明1」という。)は、以下のとおりである。 「【請求項1】 エアロゾル発生物品において、 エアロゾル発生物質を含む第1部分と、 タバコシート状のタバコ物質を含む第2部分と、 前記第1部分及び前記第2部分を通過する気流を冷却させる第3部分と、 フィルタ物質を含む第4部分と、を含み、 前記第1部分、前記第2部分、前記第3部分、及び前記第4部分は、前記エアロゾル発生物品の長手方向を基準に順次に整列され、 前記第2部分は、1枚の前記タバコシートを含み、 前記タバコシートの横長に対する縦長の比率が10:1~30:1であり、前記タバコシートは、縦方向が前記エアロゾル発生物品の長手方向に沿うように前記第2部分に配置され、 前記第2部分の長手方向と垂直に切り取った断面は、前記タバコシートの2領域が当接することで形成される少なくとも1つの閉曲線を有し、 前記エアロゾル発生物品の吸引抵抗が20~60mmH2Oである、エアロゾル発生物品。」 第3 当審拒絶理由通知の概要 当審拒絶理由通知の概要は、次のとおりのものである。 (進歩性)本願の請求項1-9に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において頒布された次の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1.国際公開第2019/151687号 引用文献2.特表2017-524368号公報 引用文献3.特表2015-517817号公報 引用文献4.特表2015-504667号公報 第4 当審の判断 1 引用文献1について (1)引用文献1の記載事項 引用文献1には、次の記載事項及び図示事項がある。 和訳については、日本語のファミリー文献である特表2021-511798号公報の記載及び段落を当審訳として採用している(下線は、当審において付した。以下同様。)。 ア 「 [図:0001432415000001.jpg] 」 (当審訳:「【技術分野】 【0001】 本発明は、エアロゾル発生システム提供に関する。」) イ 「 [図:0001432415000002.jpg] 」 (当審訳:「【0032】 タバコ媒質収容部11a,11bは、タバコ媒質と、それを覆い包むタバコラッパとを含んでもよい。タバコ媒質収容部11a,11bは、円柱形状を有することができ、タバコ媒質から、煙及び/またはエアロゾルが発生し、発生した煙及び/またはエアロゾルは、フィルタ部12a,12bを介して、ユーザに吸入されるのである。 【0033】 タバコ媒質収容部120は、板状葉タバコ、刻みタバコ、再構成タバコノヨウニ(当審注:「再構成タバコのように」の誤記と認められる。)、タバコ原料を基にする固体物質を含んでもよい。一実施形態において、タバコ媒質収容部120は、しわの入った板状葉シートによっても充填される。板状葉シートは、円筒軸に、実質的に横長方向にロールされているか、折り畳まれているか、圧縮されるか、あるいは収縮されることにより、しわが形成されるのである。しわの入った板状葉シートの谷間隔などを調節することにより、多孔度を決定することができる。」) ウ 「 [図:0001432415000003.jpg] [図:0001432415000004.jpg] [図:0001432415000005.jpg] [図:0001432415000006.jpg] [図:0001432415000007.jpg] [図:0001432415000008.jpg] 」 (当審訳:「【0065】 図4Aを参照すれば、シガレットは、タバコ媒質収容部410、保湿剤収容部420及びフィルタ部430を含んでもよい。一実施形態において、保湿剤収容部420は、タバコ媒質収容部410の上流末端に位置することができる。 【0066】 図4Aに図示されていないが、シガレットは、少なくとも1枚のラッパによっても包装される。また、保湿剤収容部420は、それを覆い包む防水性、撥水(油)性及び耐熱性の特徴を有する素材(例えば、アルミニウムホイル)をさらに含んでもよい。その場合、該アルミニウムホイルは、ラッパと保湿剤収容部420との間に位置することができる。 【0067】 タバコ媒質収容部410は、刻みタバコ、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール及びオレイルアルコールを含んでもよい。また、タバコ媒質収容部410は、風味剤及び/または有機酸のような他の添加物質を含んでもよい。 【0068】 保湿剤収容部420は、保湿剤を含んでもよい。該保湿剤は、グリセリン、プロピレングリコール(PG)及び水を含んでもよい。また、該保湿剤は、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール及びオレイルアルコールのうち少なくとも一つをさらに含んでもよい。 【0069】 フィルタ部430は、少なくとも1つのセグメントによっても構成され、少なくとも1つのセグメントを覆い包むタバコフィルタラッパを含んでもよい。フィルタ部430は、チューブフィルタ、冷却構造物及びリセスフィルタのうち少なくとも一つを含んでもよいが、それらに制限されるものではない。 【0070】 保湿剤に含まれたグリセリンは、分子量が多いので、グリセリンをエアロゾル化させるためには、保湿剤を高温で加熱しなければならない。シガレットは、保湿剤を含んだ保湿剤収容部420を含むことにより、タバコ媒質収容部410に含有された保湿剤の量を減らしたり、保湿剤をタバコ媒質収容部410から除去したりすることができ、それにより、タバコ媒質収容部410の加熱温度を低くすることができる。一方、保湿剤収容部420に含まれた保湿剤は、シガレット加熱時に発生するエアロゾル内の水分を適正レベルに維持し、タバコ固有の味を柔らかくし、霧化量が豊かにすることができる。 【0071】 エアロゾル発生装置は、第1ヒータ41a及び第2ヒータ42aを利用し、タバコ媒質収容部410及び保湿剤収容部420を個別的に加熱することができる。シガレットに、保湿剤収容部420が別途のセグメントとして含まれ、タバコ媒質収容部410に含有された保湿剤の量が減るか、あるいは保湿剤が除去されるのである。第1ヒータ41aは、タバコ媒質収容部410に含まれたニコチンがエアロゾル化されるように、タバコ媒質収容部410を第1温度範囲で加熱することができる。該第1温度範囲は、150℃ないし200℃の範囲でもある。また、第2ヒータ42aは、保湿剤収容部を、第1温度範囲より高い第2温度範囲で加熱することができる。第2温度範囲は、200℃ないし300℃の範囲、望ましくは、200℃ないし250℃の範囲でもある。しかし、第1温度範囲及び第2温度範囲は、それらに制限されるものではない。 【0072】 図4Aに図示されているように、第1ヒータ41a及び第2ヒータ42aは、円筒状構造でもある。第1ヒータ41aは、タバコ媒質収容部410を少なくとも部分的に取り囲むことにより、タバコ媒質収容部410の外部を加熱し、第2ヒータ42aは、保湿剤収容部420を少なくとも部分的に取り囲むことにより、保湿剤収容部420の外部を加熱することができる。 【0073】 保湿剤収容部420は、タバコ媒質収容部410の上流末端に位置しているので、ユーザがシガレットを吸引するとき、シガレットの上流末端から流入された空気が保湿剤収容部420を通過しながら、第2ヒータ42aによって加熱され、保湿剤(例えば、グリセリン)がエアロゾル化される。また、保湿剤収容部420を通過した空気は、タバコ媒質収容部410を通過しながら、第1ヒータ41aによって加熱され、タバコ媒質(例えば、ニコチン)が追加してエアロゾル化される。このとき、タバコ媒質収容部410に流入される空気は、第2ヒータ42aによって加熱された高温の空気であるので、タバコ媒質収容部410は、第1ヒータ41aだけではなく、高温の空気から熱を吸収して、エアロゾル化がなされるのである。」) エ 「 [図:0001432415000009.jpg] 」(図4a) (2)上記(1)から認められる事項 ア 記載事項ウから、引用文献1に記載されているシガレットは、保湿剤を含む保湿剤収容部420、タバコ媒質収容部410、フィルタ部分430とを含んでいるといえる。 また、図4aの図示事項から、タバコ媒質収容部410とフィルタ部分430との間に存在する部分は、図4aの上下方向にシガレットの長手方向に延びる壁部が看取され、シガレットが円柱状であることが技術常識であること(上記(1)イを参照。)を踏まえると、チューブ構造の部分であるといえる。 また、図4aの図示事項から、保湿剤収容部420、タバコ媒質収容部410、上記認定のチューブ構造の部分、フィルタ部分430がシガレットの長手方向を基準に順次に整列していることが看取できる。 イ 記載事項イから、タバコ媒質収容部120に含まれる、板状葉タバコ、刻みタバコ、再構成タバコは、タバコ原料を基にする固体物質であり、しわの入った板状葉シートの形状で充填されることが記載されているから、記載事項ウにおいて「タバコ媒質収容部410は、刻みタバコ、・・・を含んでも良い。」とされているタバコ媒質収容部410は、タバコ原料を基にする固体物質を含むしわの入った板状葉シートからなるものといえる。 (3)引用文献1に記載された発明 上記(1)及び(2)を踏まえると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 〔引用発明〕 「シガレットにおいて、 保湿剤を含む保湿剤収容部420と、 タバコ原料を基にする固体物質を含むしわの入った板状葉シートからなるタバコ媒質収容部410と、 チューブ構造の部分と、 フィルタ部分430と、を含み、 前記保湿剤収容部420、前記タバコ媒質収容部410、前記チューブ構造の部分、及び前記フィルタ部分430は、前記シガレットの長手方向を基準に順次に整列される、シガレット。」 2 引用文献2について (1)引用文献2の記載事項 引用文献2には、次の記載事項及び図示事項がある。 ア 「【技術分野】 【0001】 本出願は、加熱式エアロゾル発生物品内でエアロゾル形成基体として使用するためのロッドを作製する方法、およびその方法によって作製されたロッドに関連する。その結果得られるロッドは、所定の空隙率および空隙率分布値を持つ。本出願はまた、こうしたロッドを備えた加熱式エアロゾル発生物品にも関連するが、ここで空隙率および空隙率分布は、加熱式エアロゾル発生物品のエアロゾル属性を制御するために最適化される。」 イ 「【0016】 「エアロゾル形成材料シート」という用語は、2つ以上のエアロゾル形成材料シートを意味しうる。例えば、2つのたばこ材料シートを1つに集めてロッドを形成したり、またはたばこ材料シートと非たばこ材料シートを1つに集めてロッドを形成したりしてもよい。2つ以上のシートが存在する場合、それらのシートのうち1つ以上は、シートを集合してロッドを形成するのを促進するために処理が施されてもよい。」 ウ 「【0057】 本明細書で使用される「ロッド」という用語は、実質的に円形、長円形または楕円形の断面の一般的に円筒形の要素を示すために使用される。ロッドの直径は、5mm~10mm、好ましくは6mm~9mm、または7mm~8mmであることが好ましい。 【0058】 本明細書で使用される「シート」という用語は、実質的にその厚さより大きい幅および長さを有する薄層状の要素を意味する。エアロゾル形成材料シートは、集合される前に120mm~300mm、例えば130mm~170mmの幅を持つことが好ましい。エアロゾル形成材料シートは、50マイクロメートル~300マイクロメートル、好ましくは150マイクロメートル~250マイクロメートルの厚さを持つことが好ましい。 【0059】 本明細書で使用される「ロッド長さ」という用語は、本明細書で描写したロッドの円筒軸方向の寸法を示す。ロッド長さは、5mm~20mm、好ましくは8mm~15mmとしうる。」 エ 「【図面の簡単な説明】 【0064】 ・・・(当審注:中略)・・・ 【図4】 図4は、多孔性のたばこロッドの横断エリアの画像であり、画像はサブエリアを重ね合わせた状態で示されている。 ・・・」 オ 「【0066】 図1は、本発明の具体的な実施形態によるロッドを形成するために使用される装置を図示したものである。図1は一般的に、均質化したたばこ材料の連続的なシートを供給する供給手段と、均質化したたばこ材料の連続的なシートを捲縮する捲縮手段と、均質化したたばこ材料の連続的に捲縮したシートを集合させて、均質化したたばこ材料の連続的に捲縮したシートの集合体をラッパーで囲んで連続的なロッドを形成するロッド形成手段と、連続的なロッドを複数の個々のロッドに切断する切断手段とを含む。装置はまた、均質化したたばこ材料の連続的なシートを、装置を通して下流に、供給手段からロッド形成手段へ捲縮手段を経由して搬送する搬送手段を含む。 【0067】 供給手段はボビン4上に取り付けられた均質化したたばこ材料2の連続的なシートを備え、捲縮手段は1対の回転可能な捲縮ローラー6を備える。均質化したたばこ材料の連続シートは幅および厚さを持つ。使用中、均質化したたばこ材料2の連続的なシートはボビン4から引き出され、1対の捲縮ローラー6まで、一連のガイドおよびテンションローラーを経由して搬送機構によって下流に搬送される。均質化したたばこ材料2の連続的なシートが1対の捲縮ローラー6間に供給されると、捲縮ローラーが噛み合い、均質化したたばこ材料2の連続的なシートを捲縮して、装置を通して、均質化したたばこ材料シートの長軸方向軸に対して実質的に平行な複数の間隙を介した隆起または波型形状を持つ、均質化したたばこ材料の連続的に捲縮したシート8を形成する。 【0068】 図2は、一対の捲縮ローラーの歯の噛み合いを示す概略図である。一対の捲縮ローラーは、上側ローラー31および下側ローラー32で構成される。各ローラーは、ローラーが合わさった時に噛み合うようにオフセットされた一組の規則的な間隔のある捲縮歯33を持つ。上側ローラー31は固定されているが、捲縮の深さまたは捲縮の振幅を変化させるために、下側ローラー32は上側ローラー31に対して移動しうる。歯は捲縮周期34に合わせた間隔であり、具体的な例では1mmである。捲縮の深さ35は、ローラーが噛み合った時に、捲縮歯の先端が重なる距離である。捲縮の深さは、所定の深さ、例えば150マイクロメートルに設定されうる。 【0069】 図3は、捲縮したシート36の一部分を図示したものである。捲縮周期34および捲縮の深さ35は捲縮したシート36上に示されている。捲縮の深さ35は、1つの波型形状の内側から次の波型形状39の内側まで測定される。 【0070】 均質化したたばこ材料の連続的に捲縮したシート8は、搬送機構によって1対の捲縮ローラー6からロッド形成手段へと下流に搬送され、そこで先細の漏斗またはホーン10を通して供給される。先細の漏斗10は、均質化したたばこ材料の連続的に捲縮したシート8を、均質化したたばこ材料シートの長軸方向軸に対して横断する方向に集合させる。均質化したたばこ材料の連続的に捲縮したシート8は、先細の漏斗10を通過する際は実質的に円筒形の構造であると想定される。 【0071】 先細の漏斗10を出ると、均質化したたばこ材料の連続的に捲縮したシートの集合体は、包装材料12の連続的なシートで包まれる。包装材料の連続的なシートはボビン14から供給され、エンドレスベルトコンベアまたは装具によって、均質化したたばこ材料の連続的に捲縮したシートの集合体の周りで包まれる。図1に示す通り、ロッド形成手段は、包装材料の連続的なシートの対向にある長軸方向の端が接触し互いに接着して連続的なロッドを形成するように、包装材料の連続的なシートの長軸方向の端のうち片方に接着剤を塗布する接着剤塗布手段16を含む。 【0072】 ロッド形成手段は、接着剤塗布手段16の下流にある乾燥手段18をさらに含むが、これは使用中に、連続的なロッドがロッド形成手段から切断手段へと下流に搬送される際に、連続的なロッドの継ぎ目に塗布された接着剤を乾燥させる。 【0073】 切断手段は、連続的なロッドを単位長さまたは複数単位長さの複数の個々のロッドに切断するロータリーカッター20を含む。 【0074】 一つの好ましい実施形態で、個別のロッドの直径は約7mmである。シートの幅、シートの厚さ、および捲縮の深さは、0.15~0.45の範囲内に入る所定の断面空隙率、および0.05~0.22の断面空隙率分布の値となるように選択される。断面空隙率分布の値は、ロッド内の空隙率の均一性の尺度である。 【0075】 図4は、上述の均質化したたばこ材料シートを捲縮して集合させるプロセスによって形成されたたばこプラグ110の端面を図示したものである。図4の画像は、すべての白いピクセルがたばこ120に対応し、ロッド130の外周の外側の黒いピクセルが背景に関連し、プラグ140の周内の黒いピクセルが空孔または空隙に対応するように処理された、デジタル画像である。画像は、たばこプラグの端面の画像を撮影し、ロッドの横断エリア内にあるピクセルを識別するためにプラグの横断エリアの画像をデジタル処理することにより得られる。次に、横断エリア内のピクセルが、たばこ材料を表す白かまたは空孔を表す黒のどちらかとなるように、閾値が画像に適用される。図4で、たばこプラグは実質的に円形であり、直径は約7mmである。たばこプラグの外周内の領域全体が、横断断面積である。図4は、横断エリア内に位置する第一のサブエリア100を図示する。第一のサブエリアは、寸法が1mm×1mmの長方形の領域である。従って、サブエリアの辺は、ロッドの直径の約七分の一である。」 カ 「【図1】 [図:0001432415000010.jpg] 」 キ 「【図3】 [図:0001432415000011.jpg] 」 ク 「【図4】 [図:0001432415000012.jpg] 」 (2)上記(1)から認められる事項 ア 記載事項ウから、エアロゾル形成材料シートは、幅が120mm~300mmであるものといえる。 イ 記載事項イ及びウから、エアロゾル形成材料シートを集合して形成したロッドの長さが8mm~15mmであることから、エアロゾル形成材料シートの長さも8mm~15mmであるといえる。 ウ 図4の図示事項に示される多孔性のたばこロッドの横断エリアの状態から、ロッドを形成するエアロゾル形成材料シートが、ロッドの内部の横断面において、複数の領域が当接することで形成される閉曲線を有していることが看取できる。 エ 上記ウで認定したロッドを形成するエアロゾル形成材料シートは、記載事項オの段落【0075】から、記載事項オ及び図1の図示事項に示される製造過程により製造されるものであって、ボビン4から引き出された均質化したたばこ材料2の連続的なシートを、捲縮ローラー6間に供給することで、たばこ材料シートの長軸方向軸に対して実質的に平行な複数の間隙を介した隆起または波型形状を持つ、均質化したたばこ材料の連続的に捲縮したシート8とし、均質化したたばこ材料の連続的に捲縮したシート8を、先細の漏斗10を通過させることで、たばこ材料シートの長軸方向軸に対して横断する方向に集合させて、円筒形の構造に形成することにより得られるものである。 (3)引用文献2技術的事項 上記(1)及び(2)を踏まえると、引用文献2には、次の技術的事項(以下「引用文献2技術的事項」という。)が記載されているものと認められる。 〔引用文献2技術的事項〕 「多孔性のたばこロッドを形成するエアロゾル形成材料シートについて、幅を120mm~300mmとし、長さを8mm~15mmとし、ロッドを形成するエアロゾル形成材料シートが、ボビン4から引き出された均質化したたばこ材料2の連続的なシートを、捲縮ローラー6間に供給することで、たばこ材料シートの長軸方向軸に対して実質的に平行な複数の間隙を介した隆起または波型形状を持つ、均質化したたばこ材料の連続的に捲縮したシート8とし、均質化したたばこ材料の連続的に捲縮したシート8を、先細の漏斗10を通過させることで、たばこ材料シートの長軸方向軸に対して横断する方向に集合させて、円筒形の構造に形成することにより得られるものであって、ロッドの内部の横断面において、複数の領域が当接することで形成される閉曲線を有していること。」 3 引用文献4について (1)引用文献4の記載事項 引用文献4には、次の記載事項及び図示事項がある。 ア 「【0009】 本明細書で用いる場合、用語「エアロゾル発生物品」又は「喫煙物品」は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出することができるエアロゾル形成基材を備える物品を指す。例えば、エアロゾル発生物品は、ユーザの口腔を通してユーザの肺に吸入されるエアロゾルを形成する喫煙物品とすることができる。エアロゾル発生物品は、廃棄することができる。用語「喫煙物品」は、以下において一般に用いる。喫煙物品は、タバコスティックであり又はこれを含むことができる。」 イ 「【0015】 装置は、複数の空気入口を備えることができる。空気流入口の数及び寸法は、装置を通じて所望の引き込み抵抗をもたらすように選択することができる。電気式喫煙装置において、装置及び基材を通じた引き込み抵抗(RTD)は、従来のシガレットの引き込み抵抗に近いことが望ましい。 【0016】 また、引き込み抵抗は、吸引抵抗、引き出し抵抗、吸煙抵抗、吸煙性として知られており、22℃及び760Torr(101kPa)における流量17.5ml/secでの試験の下で物品の全長を通って空気を送り込むのに必要な圧力である。一般に単位mmH2Oで表され、ISO6565:2011に基づいて測定される。好都合には、エアロゾル形成物品及びエアロゾル発生装置は一緒になって第1及び第2の空気流チャンネルを通じて80から120mmH2Oの間のRTDをもたらす。これは従来のシガレットのRTDに近い。好都合には、エアロゾル形成物品が接続されていないエアロゾル形成装置のRTDは5mmH2Oから20mmH2Oの間とすることができる。単独のエアロゾル形成物品のRTDは40mmH2Oから80mmH2Oの間とすることができる。」 (2)引用文献4技術的事項 上記(1)を総合すると、引用文献4には、以下の技術的事項(以下「引用文献4技術的事項」という。)が記載されていると認められる。 〔引用文献4技術的事項〕 「エアロゾル形成物品の引き込み抵抗を40mmH2Oから80mmH2Oの間とすること。」 4 対比・判断 (1)対比 本願発明1と、引用発明とを対比すると、引用発明の「シガレット」は、その機能、構成又は技術的意義から見て、本願発明1の「エアロゾル発生物品」に相当する。以下同様に、「保湿剤」、「保湿剤収容部420」、「タバコ原料を基にする固体物質を含むしわの入った板状葉シート」及び「タバコ媒質収容部410」は、「エアロゾル発生物質」、「第1部分」、「タバコシート状のタバコ物質」及び「第2部分」に相当する。 また、引用発明の「チューブ構造の部分」は、当該部分において、保湿剤収容部420及びタバコ媒質収容部410を通過する気流が冷却されることが技術常識から明らかであるから、本願発明1の「前記第1部分及び前記第2部分を通過する気流を冷却させる第3部分」に相当する。 また、引用発明の「フィルタ部分430」が、フィルタ物質を含むことは、技術常識から明らかであるから、本願発明1の「フィルタ物質を含む第4部分」に相当する。 よって、本願発明1と引用発明とは、次の一致点で一致し、相違点で相違する。 〔一致点〕 「エアロゾル発生物品において、 エアロゾル発生物質を含む第1部分と、 タバコシート状のタバコ物質を含む第2部分と、 前記第1部分及び前記第2部分を通過する気流を冷却させる第3部分と、 フィルタ物質を含む第4部分と、を含み、 前記第1部分、前記第2部分、前記第3部分、及び前記第4部分は、前記エアロゾル発生物品の長手方向を基準に順次に整列される、エアロゾル発生物品」 〔相違点1〕 本願発明1では、「前記第2部分は、1枚の前記タバコシートを含み、前記タバコシートの横長に対する縦長の比率が10:1~30:1であり、前記タバコシートは、縦方向が前記エアロゾル発生物品の長手方向に沿うように前記第2部分に配置され、前記第2部分の長手方向と垂直に切り取った断面は、前記タバコシートの2領域が当接することで形成される少なくとも1つの閉曲線を有し」ているのに対して、引用発明では、そのような構成を備えていない点。 〔相違点2〕 本願発明1では、「前記エアロゾル発生物品の吸引抵抗が20~60mmH2Oである」のに対して、引用発明では、そのような構成を備えていない点。 (2)判断 相違点1について検討する。 引用文献2技術的事項の「エアロゾル形成材料シート」は、「ボビン4から引き出された均質化したたばこ材料2の連続的なシートを、捲縮ローラー6間に供給することで、たばこ材料シートの長軸方向軸に対して実質的に平行な複数の間隙を介した隆起または波型形状を持つ、均質化したたばこ材料の連続的に捲縮したシート8とし、均質化したたばこ材料の連続的に捲縮したシート8を、先細の漏斗10を通過させることで、たばこ材料シートの長軸方向軸に対して横断する方向に集合させて、円筒形の構造に形成することにより得られるもの」である。 そして、喫煙物品に用いるたばこシートを単層とすることが、喫煙物品の技術分野において技術常識(必要であれば、特表2018-537083号公報(特に、段落【0140】-【0143】及び図8)を参照されたい。)であり、また、引用文献2の図1及び図3から、たばこ材料2の連続的なシート及び均質化したたばこ材料の連続的に捲縮したシート8が1枚の連続的なシートとして供給されていることが看取できるから、引用文献2技術的事項には、相違点1に係る本願発明1の「1枚の前記タバコシートを含」む構成が開示されているといえる。 また、引用文献2技術的事項では、幅を120mm~300mmとし、長さを8mm~15mmとすることから、エアロゾル形成材料シートの幅に対する長さの比率は、8:1~37.5:1の範囲となり、本願発明1の「タバコシートの横長に対する縦長の比率は、10:1~30:1である」ものと重複する範囲を持つものである。また、引用文献2の記載事項ウでは、ロッドの長さを好ましくは8mm~15mmとしうることが示されており、ロッドの長さとエアロゾル形成材料シートの長さが一致する範囲である。そして、ロッドの長さと一致するエアロゾル形成材料シートの長さがたばこ材料シートの長軸方向軸に対して横断する方向に集合されて形成されるものといえるから、エアロゾル形成材料シートの長さがロッドの長手方向に沿うように配置されるものといえる。 したがって、引用文献2技術的事項には、相違点1に係る本願発明1の「前記タバコシートの横長に対する縦長の比率が10:1~30:1であり、前記タバコシートは、縦方向が前記エアロゾル発生物品の長手方向に沿うように前記第2部分に配置され」構成が開示されているといえる。 また、引用文献2技術的事項には、相違点1に係る本願発明1の「前記第2部分の長手方向(たばこ材料シートの長軸方向)と垂直に切り取った断面は、前記タバコシート(エアロゾル形成材料シート)の2領域が当接する(図4にエアロゾル形成材料シートの2領域が当接している状態が示されていること参照)ことで形成される少なくとも1つの閉曲線を有」する構成が開示されているといえる。 そして、引用発明のタバコ原料を基にする固体物質を含むしわの入った板状葉シートからなるタバコ媒質収容部410と、引用文献2技術的事項とは、エアロゾル発生物品の技術分野で共通するとともに、タバコシートとしての機能も共通している。 してみると、引用発明のタバコ原料を基にする固体物質を含む板状葉シートとして、引用文献2技術的事項を適用して、相違点1に係る本願発明1の「前記第2部分は、1枚の前記タバコシートを含み、前記タバコシートの横長に対する縦長の比率が10:1~30:1であり、前記タバコシートは、縦方向が前記エアロゾル発生物品の長手方向に沿うように前記第2部分に配置され、前記第2部分の長手方向と垂直に切り取った断面は、前記タバコシートの2領域が当接することで形成される少なくとも1つの閉曲線を有し」ている構成を得ることは、当業者が容易になし得た事項である。 次に、相違点2について検討する。 引用文献4技術的事項の引き込み抵抗は、本願発明1の「エアロゾル発生物品の吸引抵抗が20~60mmH2Oの間とすること」と重複する範囲を持つものであり、引用文献4の記載事項イから、従来のシガレットの引き込み抵抗に近いものといえる。 そして、引用発明のシガレットと、引用文献4技術的事項とは、エアロゾル発生物品の技術分野で共通するとともに、エアロゾルを発生させる機能も共通している。 してみると、引用発明のシガレットに対して、従来のシガレットの引き込み抵抗に近い引用文献4技術的事項を適用することは、当業者が容易になし得た事項である。また、その際に、相違点2に係る本願発明1の「エアロゾル発生物品の吸引抵抗が20~60mmH2Oである」範囲を選択することは、技術の具体化に伴う設計的事項にすぎない。 また、本願発明1は、全体としてみても引用発明並びに引用文献2及び引用文献4技術的事項とから予測し得ない格別な効果を奏するものではない。 したがって、本願発明1は、引用発明並びに引用文献2及び引用文献4技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 5 審判請求人の主張について 審判請求人は、令和7年6月30日に提出した意見書の「4.進歩性について」において、以下のように主張する。 ・「しかし、本願請求項1は、「1つ」のタバコシートの2領域が当接することで形成される少なくとも1つの閉曲線を有すると共に、タバコシートの横長に対する縦長の比率が10:1~30:1であり、エアロゾル発生物品の吸引抵抗が20~60mm H2Oであることを特徴とします。 その反面、引用文献2は、「エアロゾル形成材料シートという用語は、2つ以上のエアロゾル形成材料シートを意味しうる」と明示しています。即ち、引用文献2のエアロゾル形成ロッドは複数のシートが集合されて形成されることを特徴としますので(引用文献2の明細書段落[0016]、[0042]などをご参照ください)、本願請求項1と引用文献2は構成上の相違が明確であります。」 しかしながら、上記4(2)で説示したとおり、喫煙物品に用いるたばこシートを単層とすることが、喫煙物品の技術分野において技術常識であり、また引用文献2の図1及び図3から、たばこ材料2の連続的なシート及び均質化したたばこ材料の連続的に捲縮したシート8は、1枚のシートとして供給されていることが看取できるものである。 確かに、引用文献2の段落【0016】には、「「エアロゾル形成材料シート」という用語は、2つ以上のエアロゾル形成材料シートを意味しうる」と明示されているが、この記載は、「エアロゾル形成材料シート」が、2つ以上のエアロゾル形成材料シートでなければならないことを限定するものではないことは、段落【0016】の字義から明らかであって、図1及び図3に示される実施例が1枚のシートを供給していることとも矛盾しない。また、段落【0042】には、「エアロゾル形成材料シート」の枚数について何らの開示もない。 また、本願発明1において、「前記第2部分は、1枚の前記タバコシートを含み」という発明特定事項は、「1枚のタバコシート」の構成に限定されていないと共に、請求項1を引用する請求項5において、「前記第2部分は、複数の前記タバコシートを含む」と特定されていることからも明らかなとおり、「第2部分」に含まれる「タバコシート」を「1枚」のみとする構成を特定するものといえない。 よって、上記2つの理由を踏まえれば、上記主張を採用することはできない。 第5 むすび 以上のとおりであるから、本願発明1は、引用発明並びに引用文献2及び引用文献4技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-020445

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