特許拒絶査定不服審判
2024-001153
喫煙物品フィルタ
- 審判番号
- 2024-001153
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-113125
- 請求日
- 2024年01月23日
- 審決日
- 2025年07月02日
- 公報発行日
- 2025年12月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】フィルトローナ プライベート リミテッド
- 【請求人代理人】杉村 憲司
- 【請求人代理人】色部 暁義
- 審判長/審判官
- 審判長 水野 治彦
- 審判官 竹下 和志
- 審判官 槙原 進
- 分類
- P18 .121-Z (A24D) / P18 .575-Z (A24D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021-113125「喫煙物品フィルタ」拒絶査定不服審判事件〔令和3年11月18日出願公開、特開2021-177763〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2018年10月1日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2017年10月2日(US)アメリカ合衆国、2017年11月6日(GB)グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)を国際出願日とする出願である特願2020-508315号の一部を、令和3年7月7日に新たな特許出願としたものであって、その手続の主な経緯は以下のとおりである。
令和3年 9月21日 :上申書及び手続補正書の提出
令和4年10月17日付け:拒絶理由通知
令和5年 3月22日 :意見書及び手続補正書の提出
令和5年 4月11日付け:拒絶理由通知(最後)
令和5年 7月 6日 :意見書及び手続補正書の提出
令和5年 9月25日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
令和6年 1月23日 :拒絶査定不服審判の請求及び手続補正書の提出
令和6年 5月27日 :上申書の提出
第2 令和6年1月23日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和6年1月23日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線は、補正箇所を示すために請求人が付したものである。)
「 【請求項1】
喫煙物品と共に使用するための、マウスピースまたはフィルタであり、
前記マウスピースまたはフィルタの全長に沿って延在する1つの長手方向に延在するとともに前記マウスピースまたはフィルタの全長に沿って延在するフィルタ材料によって囲まれるチャネルを含む、長手方向に延在し、断面がその全長に沿って均一であり、フィルタ材料でできている単一のロッドのみから成り、
前記チャネルは半円筒形であり、
喫煙物品はタバコを含まず、カンナビス属の植物から調整される1つ以上の喫煙可能材料を含む、マウスピースまたはフィルタ。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、令和5年7月6日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。
「 【請求項1】
喫煙物品と共に使用するための、マウスピースまたはフィルタであり、
前記マウスピースまたはフィルタの全長に沿って延在する1つの長手方向に延在するとともに前記マウスピースまたはフィルタの全長に沿って延在するフィルタ材料によって囲まれるチャネルを含む、長手方向に延在し、断面がその全長に沿って均一であり、フィルタ材料でできているロッドを備え、
前記チャネルは半円筒形であり、
喫煙物品はタバコを含まず、カンナビス属の植物から調整される1つ以上の喫煙可能材料を含む、マウスピースまたはフィルタ。」
2 補正の適否
本件補正後の請求項1において、「フィルタ材料でできているロッドを備え」との発明特定事項について、「フィルタ材料でできている単一のロッドのみから成り」とする補正(以下「補正事項」という。)は、本願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)における、段落【0043】及び【0044】並びに図2及び3に記載又は図示されているといえるものであるから、本件補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものであって、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たすものである。
また、本件補正は、上記補正事項により、マウスピースまたはフィルタが備えるフィルタ材料でできているロッドの構成を限定するものであって、本件補正前の請求項1に係る発明と本件補正後の請求項1に係る発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)の請求項1に記載した事項により特定されるとおりのものである。
(2)引用文献
ア 引用文献1
(ア)引用文献1の記載
原査定の拒絶理由で引用された文献であって、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった国際公開第2016/147246号(以下「引用文献1」という。)には、次の記載事項及び図示事項がある(下線は当審で付した。以下同様。)。
a 「[0005] 本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、香喫味を任意のタイミングで可逆的に変化させることができるたばこ製品用フィルタおよびたばこ製品に関する技術を提供することにある。
課題を解決するための手段
[0006] 本発明は、上記課題を解決するために、フィルタにおける吸い口端側に配置される吸い口端側フィルタ材において、その横断面の一部に低通気抵抗部を配置すると共に残部に高通気抵抗部を配置し、少なくとも吸い口端側フィルタ材の後端面において、低通気抵抗部を、吸い口端側フィルタ材の横断面を2分割する一方の半円領域内のみに配置することとした。
[0007] より詳しくは、本発明に係る第一の態様として、吸い口端側に配置される吸い口端側フィルタ材と、前記吸い口端側フィルタ材の前段に配置され、主流煙を濾過する前段フィルタ材と、を備え、前記吸い口端側フィルタ材は、前端面から後端面に亘って横断面の一部に配置されると共に相対的に通気抵抗の低い低通気抵抗部と、前端面から後端面に亘って横断面の残部に配置されると共に前記低通気抵抗部よりも通気抵抗が高い高通気抵抗部と、を有し、少なくとも前記吸い口端側フィルタ材の後端面において、前記低通気抵抗部は、前記吸い口端側フィルタ材の横断面を2分割する一方の半円領域内のみに配置される、たばこ製品用フィルタが提供される。本発明によれば、喫煙者がフィルタを当該フィルタの長手軸を中心に回転することで、口腔内に吸引された主流煙の当たる部位を変化させることができるたばこ製品用フィルタを提供できる。」
b 「[0009] また、前記高通気抵抗部が単一材料によって形成されていてもよい。これによれば、高通気抵抗部を複数材料で形成する場合に比べてフィルタの製造プロセスの工数を減らすことができ、製造コストを低くすることが可能である。」
c 「[0016] <実施形態1>
図1は、実施形態1に係るたばこ製品の一例としてのシガレット1の縦断面図である。図2は、実施形態1に係るシガレット1の外観図である。シガレット1は、たばこロッド2、このたばこロッド2の一端にチップペーパ3を介して接続されたたばこ製品用フィルタの一例としてのフィルタ4を備えている。
[0017] たばこロッド2は、たばこ刻21を巻紙22で巻き取って円柱状(棒形状)に成形したものであり、「単巻」とも呼ばれる。フィルタ4は、シガレット1の喫煙時に発生する主流煙を通過させた際に、主流煙に含まれる煙成分を濾過(ろか)するための部材であり、たばこロッド2と実質的に同径の円柱状に成形されている。
[0018] フィルタ4は、喫煙中の任意のタイミングでシガレット1の香喫味を可逆的に変更可能な香喫味可変フィルタである。フィルタ4は、チップペーパ3によって巻装されており、このチップペーパ3を介してたばこロッド2の後端側に接続されている。チップペーパ3は、たばこロッド2の端部とフィルタ4を一体に巻き取ることで、これらを接続(連結)する。以下、フィルタ4の長手方向(軸方向)において、たばこロッド2と接続される方の端部を「前端」と呼び、前端と反対側の端部を「吸い口端(後端)」と呼ぶ。また、フィルタ4を長手方向(軸方向)に沿って切断した断面を「縦断面」と定義し、それとは直交する方向に切断した断面を「横断面」と定義する。また、図1に示す符号CLは、シガレット1(たばこロッド2、フィルタ4)の中心軸を示す。
[0019] フィルタ4の内部には、前端側から前段フィルタ材41、キャビティ部42、吸い口端側フィルタ材43がこれらの順に並んで配置されている。キャビティ部42は空洞状の中空空間であり、前段フィルタ材41および吸い口端側フィルタ材43の間に配設されている。
[0020] 前段フィルタ材41は、円柱状に成形したセルロースアセテートの繊維束を巻取紙によって巻き取ったフィルタ材である。但し、本実施形態における前段フィルタ材41は、セルロースアセテートの繊維束に限られず、種々の素材を採用することができる。例えば、前段フィルタ材41は主流煙の煙成分を吸着する吸着材(例えば、活性炭)やその他の添加剤を含んでいてもよい。また、前段フィルタ材41は、主流煙濾過に加え、たばこ刻21やその細粉の吸い口への流入を阻止するメッシュ的な役割を果たす構造としてもよい。また、前段フィルタ材41に香味素材や植物葉(例えば、香料エキス、ミント葉)を含んでいてもよい。
[0021] 吸い口端側フィルタ材43は、フィルタ4の吸い口端側に配置されており、円柱状に成形されると共に軸方向に沿って中空路431が形成されたセルロースアセテートの繊維束を巻取紙によって巻き取ったフィルタ材である。吸い口端側フィルタ材43は、前端面43aから後端面43bに亘って中空路431が形成されている。
[0022] 図3は、実施形態1に係る吸い口端側フィルタ材43の横断面を示す図である。図3に示すように、吸い口端側フィルタ材43は、その横断面の一部に中空路431が形成されており、横断面の一部に繊維束からなる高通気抵抗部432が形成されている。図示のように、中空路431は半円形状の横断面を有している貫通孔である。中空路431は、成形された繊維束が占有する高通気抵抗部432に比べて相対的に通気抵抗が低く、本発明に係る低通気抵抗部に相当する。尚、本実施形態1では、低通気抵抗部を中空路431とした構成であるが、高通気抵抗部432に対して相対的に通気抵抗が低い、例えばセルロースアセテートの繊維束で構成することができる。
[0023] 図3に示すように、吸い口端側フィルタ材43は、その横断面を2分割する一方の第1半円領域A1内のみに配置されており(存在し)、他方の第2半円領域A2内には配置されていない(存在しない)ことを特徴とする。ここで、第1半円領域A1および第2半円領域A2は、吸い口端側フィルタ材43の横断面を、中心軸CLを中心にして2分割することでそれぞれ得られる平面領域である。図3に示す例では、吸い口端側フィルタ材43における横断面は、第1半円領域A1の全体が中空路431によって占有され、第2半円領域A2の全体が高通気抵抗部432によって占有されている。そして、このように、吸い口端側フィルタ材43における中空路431が第1半円領域A1内のみに位置付けられることで、中空路431は、吸い口端側フィルタ材43の横断面方向において偏心配置されることになる。
[0024] なお、本実施形態においては、吸い口端側フィルタ材43における高通気抵抗部432は単一の材料によって形成されており、これによって、高通気抵抗部432の通気抵抗が、横断面方向において一様となっている。つまり、高通気抵抗部432の横断面方向において通気抵抗が変化しないことを意味する。」
d 「[0027] 以上のように構成されるシガレット1は、喫煙時において、たばこロッド2の火種部で生成された主流煙がフィルタ4を通過してから喫煙者に喫煙される。たばこロッド2からフィルタ4に流入した主流煙は、前段フィルタ材41、キャビティ部42、吸い口端側フィルタ材43を順次通って吸い口端から喫煙者の口腔内に吸引される。その際、フィルタ4に流入した主流煙は、前段フィルタ材41を通過する際にタールやニコチンなどの煙中成分が濾過される。また、チップペーパ3に穿設された通気孔31を通じてフィルタ4の内部に導入された外部の空気は、前段フィルタ材41を通過する主流煙と混ざることで主流煙に含まれるタール、ニコチン、CO等が希釈される。
[0028] そして、前段フィルタ材41およびキャビティ部42を通過した主流煙は、吸い口端側フィルタ材43の中空路431を流通してから喫煙者の口腔内に吸入される。本実施形態においては、吸い口端側フィルタ材43は中空路431が横断面方向に偏心配置されているため、ある程度の指向性をもって喫煙者の口腔内に主流煙を導くことができる。したがって、シガレット1の喫煙時に喫煙者がフィルタ4を咥える姿勢(方向、位置)を変更することで、口腔内に導入された主流煙が当たる部位を任意に変更することができる。具体的には、喫煙者が、フィルタ4をその長手軸(中心軸CL)を中心に回転させる(つまり、フィルタ4を周方向に回転させる)ことで、口腔内に吸引された主流煙の当たる部位を変化させることができる。特に、本実施形態においては、中空路431を、吸い口端側フィルタ材43の横断面を2分割する一方の第1半円領域A1内のみに配置し、他方の第2半円領域A2内には配置しないようにしたので、喫煙者が長手軸(中心軸CL)を中心にフィルタ4を回転させた際に、口腔内に吸引された主流煙の当たる部位をより顕著に変更することができる。
[0029] 例えば、図4Aに示すように、吸い口端側フィルタ材43の中空路431を上あごから喉の方向に位置付けた姿勢(以下、「煙上向き姿勢」という)でフィルタ4を咥えて喫煙することで、主流煙を口腔内に上向きに流入させることができ、主として上あごに主流煙が導かれる。一方、図4Bは、図4Aに示す煙上向き姿勢からシガレット1(フィルタ4)の上下を反転させ、吸い口端側フィルタ材43の中空路431を舌の方向に位置付けた姿勢(以下、「煙下向き姿勢」という)でフィルタ4を咥えた状態を示す。図4Bに示すように煙下向き姿勢でフィルタ4を咥えて喫煙すると、主流煙を口腔内に下向きに流入させることができ、主として舌に主流煙が導かれる。なお、喫煙時における煙上向き姿勢および煙下向き姿勢への切り替えは、シガレット1を咥える向きをシガレット1(フィルタ4)の長手軸を中心に180°反転させることで行うことができる。
[0030] ここで、人の上あごには、香り(におい)を感じる嗅覚受容体が多く存在する。一方、人の舌には味を感じる味覚受容体が多く存在する。本実施形態に係るシガレット1によれば、喫煙者は、自身の嗜好や気分に応じて、長手軸(中心軸CL)を中心にフィルタ4を回転させることで、口腔内に導入された主流煙が当たる部位を自由に変更することができる。即ち、上記の例では、図4Aに示す煙上向き姿勢でフィルタ4を咥えた状態で喫煙することで、喫煙者は、香り・上あごおよび喉への刺激(体性感覚)を強く感じることができる。一方、図4Bに示す煙下向き姿勢でフィルタ4を咥えた状態で喫煙することで、喫煙者は、味・舌への刺激(体性感覚)を強く感じることができる。」
e 「[0034] 更に、本実施形態に係るフィルタ4によれば、吸い口端側フィルタ材43における高通気抵抗部432は単一の材料によって形成されており、その通気抵抗が横断面方向において一様となっている。このため、高通気抵抗部432を、複数の材料によって形成する場合に比べてフィルタ4の製造プロセスの工数を減らすことができ、製造コストを低くすることが可能である。」
f 「[図1]
[図:0001429443000001.jpg]
[図2]
[図:0001429443000002.jpg]
[図3]
[図:0001429443000003.jpg]
」
(イ)上記(ア)の記載から認められる事項
a 上記(ア)の段落[0016]-[0019]及び[0027]の記載事項並びに図1及び図2の図示事項から、たばこロッド2と共に使用するための、フィルタ4の吸い口端側フィルタ材43が認められる。
b 上記(ア)の段落[0018]及び[0021]の記載事項並びに図1の図示事項から、フィルタ4の吸い口端側フィルタ材43は、フィルタ4の吸い口端側フィルタ材43の全長に沿って延在する中心軸CLの軸方向に延在する中空路431を含む、中心軸CLの軸方向に延在し、セルロースアセテートの繊維束によって形成された円柱状のフィルタ材であることが認められる。
そして、段落[0021]の記載事項から、フィルタ材を形成するセルロースアセテートの繊維束は、巻取紙によって巻き取られたものであり、フィルタ4の吸い口端側フィルタ材43の全長に沿って延在することが認められる。
c 上記b、上記(ア)の段落[0022]の記載事項並びに図1及び図3の図示事項から、中空路431は、図3に図示されるとおりの、円柱状の形状を有したフィルタ4の吸い口端側フィルタ材43の領域A1に備えられた、セルロースアセテートの繊維束によって囲まれた半円状の横断面を有する貫通孔と認められる。
そして、上記(ア)の段落[0023]には、「図3に示すように」及び「図3に示す例では」と記載されていることを踏まえると、段落[0023]の記載事項から、図3に図示される貫通孔である中空路431が、領域A1全体を占有しているものといえる。
d 上記(ア)の段落[0018]、[0021]及び[0024]の記載事項並びに図1及び3の図示事項から、フィルタ4の吸い口端側フィルタ材43は、中心軸CLの軸方向に延在し、高通気抵抗部432の通気抵抗が、横断面方向において一様となっているフィルタ材であることが認められる。
e 上記(ア)の図1及び図3の図示事項から、フィルタ4の吸い口端側フィルタ材43が、単一の部材のみから成ることが見て取れることから、上記bのフィルタ4の吸い口端側フィルタ材43は、単一の円柱状のフィルタ材のみから成ることが認められる。
f 上記(ア)の段落[0017]の記載事項から、たばこロッド2はたばこ刻21を含むことが認められる。
(ウ)引用発明
上記(ア)及び(イ)から、本件補正発明に倣って整理すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「たばこロッド2と共に使用するための、フィルタ4の吸い口端側フィルタ材43であり、
前記フィルタ4の吸い口端側フィルタ材43の全長に沿って延在する中心軸CLの軸方向に延在するとともに前記フィルタ4の吸い口端側フィルタ材43の全長に沿って延在するセルロースアセテートの繊維束によって囲まれる中空路431を含む、中心軸CLの軸方向に延在し、高通気抵抗部432の通気抵抗が、横断面方向において一様となっており、セルロースアセテートの繊維束によって形成された単一の円柱状のフィルタ材のみから成り、
前記中空路431は半円形状の横断面を有しており、
たばこロッド2はタバコ刻21を含む、フィルタ4の吸い口端側フィルタ材43。」
イ 引用文献2
(ア)引用文献2の記載
原査定の拒絶理由で引用された文献であって、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった米国特許出願公開第2017/0027219号明細書(以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある。なお、翻訳は当審によるものである。
a 「[0002] The present invention generally relates to a smoking device, and more specifically to a single dose smoking device.」
[翻訳]
「[0002] 本発明は、一般に、喫煙装置、より具体的には、単回用量の喫煙装置に関する。」
b 「[0033] As shown in FIG. 1, the preferred embodiment of the simple, yet highly effective single dose pipe aesthetically resembles a conventional cigarette. As can be readily seen, the single dose pipe is comprised of two primary components. The first primary component is a stem 100 with a draw end 102 and a pack end 104. The second primary component is an insertable bowl 150 with a draw end 252 and a pack end 254, which fits precisely into the pack end 104 of the stem 100. The two components are configured and produced individually with the intention of an accurate match when assembled together to accomplish the desired function of the single dose pipe.」
[翻訳]
「[0033] 図1に示すように、簡単で、しかも高度に有効な単回用量のパイプの好ましい実施例は、美的に従来のシガレットに類似する。容易に理解できるように、単回用量のパイプは、2つの主要部品から成る。第1の主要部品は、引き込み端部102と詰め込み端部104を有するステム100である。第2の主要部品は、ステム100の詰め込み端部104に正確に嵌合する、引き込み端部252と詰め込み端部254を備えた挿入可能なボウル150である。2つの部品は、単回用量のパイプの所望の機能を達成するために、組み合わされたときに正確に一致することを意図して、個別に構成され、製造される。」
c 「[0036] The insertable bowl 150 has a draw end 352 and a pack end 354. The insertable bowl 150 is designed such that when inserted, the draw end 352 faces toward the draw end of the stem 302, and the pack end 354 of the insertable circular bowl 150 faces in the direction of the pack end of stem 304. The draw end 352 is closed, except for a series of small holes 756 that comprise a screening system. The pack end is open, and like the stem, the insertable bowl is also hollow, thereby creating a minor chamber designed to receive a variety of smoking materials.」
[翻訳]
「[0036] 挿入可能なボウル150は、引き込み端部352と詰め込み端部354を有している。挿入可能なボウル150は、挿入されたとき、引き込み端部352は、ステム302の引き込み端部の方へ向き、挿入可能な円形のボウル150の詰め込み端部354は、ステム304の詰め込み端部の方向に向くように設計されている。引き込み端部352は閉鎖され、スクリーニングシステムを構成する一連の小孔756を除いて閉じている。詰め込み端部は開放され、ステムと同様に、挿入可能なボウルも中空であり、それによって様々な喫煙材料を受容するように構成された小室を形成している。」
d 「[0049] The stem 100 may feature a filter option to be fitted inside the stem initially at the far draw end of the stem, but may be located anywhere along the internal length of the stem. Stem filter may be permanently fixed in its location or may be removable. The filter in the stem 100 may also be located outside of the stem to be fitted as needed to the draw end. Stem may be constructed of a variety of disposable materials, including organic and inorganic materials.」
[翻訳]
「[0049] ステム100は、ステムの内側に装着されるフィルタオプションを、最初はステムの一番奥の引き込み端部に備えてもよいが、ステムの内側の長さに沿ってどこに配置してもよい。ステムフィルタはその位置に永久的に固定されていてもよいし、取り外し可能であってもよい。ステム100内のフィルタは、必要に応じて引き込み端部に取り付けられるよう、ステムの外側に配置することもできる。ステムは、有機材料や無機材料を含む様々な使い捨て可能な材料で構成することができる。」
e 「14. The single dose smoking device of claim 1, wherein the smoking material is any of tobacco, herbs, cannabis, or a combination thereof.」(請求項14)
[翻訳]
「14. 喫煙材料は、タバコ、ハーブ、カンナビス、またはそれらの組み合わせのいずれかである、請求項1に記載の単回用量の喫煙装置。」
f 「17. The single dose smoking device of claim 1, further comprising: at least one filter disposed inside the tubular stem.」(請求項17)
[翻訳]
「17. 前記管状ステムの内部に配置された少なくとも1つのフィルタを備えることを特徴とする、請求項1に記載の単回用量の喫煙装置。」
g 「
[図:0001429443000004.jpg]
」(FIG.1)
h 「
[図:0001429443000005.jpg]
」(FIG.3)
(イ)引用文献2の技術事項
上記(ア)から、引用文献2には、次の技術事項(以下「引用文献2の技術事項」という。)が記載されていると認められる。
「単回用量のパイプにおいて、フィルタを備えたステム100と共に使用されるボウル150に受容される喫煙材料は、タバコ、ハーブ、カンナビス、またはそれらの組み合わせのいずれかであること。」
(3)対比
本件補正発明と引用発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
ア 後者の「たばこロッド2」は、前者の「喫煙物品」に相当する。
また、後者の「フィルタ4の吸い口端側フィルタ材43」は、フィルタとして機能し、引用文献1の段落[0027]及び[0028]に記載されているとおり、主流煙は、吸い口端側フィルタ材43を経て喫煙者の口腔内に吸引されるものである。そして、本願明細書の段落【0012】には「本発明のマウスピースは、フィルタと呼ばれる場合がある。」と記載されていることを踏まえると、当該後者の「フィルタ4の吸い口端側フィルタ材43」は、前者の「マウスピースまたはフィルタ」に相当する。
そうすると、後者の「たばこロッド2と共に使用するための、フィルタ4の吸い口端側フィルタ材43」は、前者の「喫煙物品と共に使用するための、マウスピースまたはフィルタ」に相当する。
イ 後者の「中心軸CLの軸方向」は、前者の「1つの長手方向」に相当し、同様に、「セルロースアセテートの繊維束」は「フィルタ材料」に、「中空路431」は「チャネル」に、それぞれ相当する。
そして、後者の「前記フィルタ4の吸い口端側フィルタ材43の全長に沿って延在する中心軸CLの軸方向に延在するとともに前記フィルタ4の吸い口端側フィルタ材43の全長に沿って延在するセルロースアセテートの繊維束によって囲まれる中空路431を含む」ことは、前者の「前記マウスピースまたはフィルタの全長に沿って延在する1つの長手方向に延在するとともに前記マウスピースまたはフィルタの全長に沿って延在するフィルタ材料によって囲まれるチャネルを含む」ことに相当する。
ウ 後者の「フィルタ4の吸い口端側フィルタ材43」が「中心軸CLの軸方向に延在」することは、前者の「マウスピースまたはフィルタ」が「長手方向に延在」することに相当する。
そして、後者の「フィルタ4の吸い口端側フィルタ材43」が「中心軸CLの軸方向に延在し、高通気抵抗部432の通気抵抗が、横断面方向において一様となって」いることは、通気抵抗が、横断面方向において一様であることにより、断面が均一であるといえることであり、「セルロースアセテートの繊維束」が「フィルタ4の吸い口端側フィルタ材43の全長に沿って延在」していることは、長手方向に延在するフィルタ4の吸い口端側フィルタ材43は、断面が均一である状態が全長に沿っているものといえる。
そうすると、後者の「フィルタ4の吸い口端側フィルタ材43」が「中心軸CLの軸方向に延在し、高通気抵抗部432の通気抵抗が、横断面方向において一様となっており」、「セルロースアセテートの繊維束」が「フィルタ4の吸い口端側フィルタ材43の全長に沿って延在」していることは、前者の「マウスピースまたはフィルタ」が「長手方向に延在し、断面がその全長に沿って均一であ」ることに相当する。
エ 後者の「セルロースアセテートの繊維束」は、前者の「フィルタ材料」に相当し、同様に、「単一の円柱状のフィルタ材」は、「単一のロッド」に相当する。
そして、後者の「フィルタ4の吸い口端側フィルタ材43」が「セルロースアセテートの繊維束によって形成された単一の円柱状のフィルタ材のみから成」ることは、前者の「マウスピースまたはフィルタ」が「フィルタ材料でできている単一のロッドのみから成」ることに相当する。
オ 後者の「前記中空路431は半円形状の横断面を有して」いることは、中空路431が筒形であること、及び横断面が半円形状であることを踏まえると、半円筒形の形状といえるから、前者の「前記チャネルは半円筒形であ」ることに相当する。
以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「喫煙物品と共に使用するための、マウスピースまたはフィルタであり、
前記マウスピースまたはフィルタの全長に沿って延在する1つの長手方向に延在するとともに前記マウスピースまたはフィルタの全長に沿って延在するフィルタ材料によって囲まれるチャネルを含む、長手方向に延在し、断面がその全長に沿って均一であり、フィルタ材料でできている単一のロッドのみから成り、
前記チャネルは半円筒形である、マウスピースまたはフィルタ。」
[相違点]
「喫煙物品」に関し、本件補正発明では、「喫煙物品はタバコを含まず、カンナビス属の植物から調整される1つ以上の喫煙可能材料を含む」のに対して、引用発明では、「たばこロッド2はたばこ刻21を含む」点。
(4)判断
ア 相違点について
引用文献2の技術事項と、引用発明とは、フィルタと共に使用される喫煙物品に含まれる喫煙可能材料について、技術分野及び機能が共通し、引用発明に引用文献2の技術事項を適用する動機付けが認められる。
そして、引用文献2の技術事項は、喫煙可能材料として、タバコ、ハーブ、カンナビス、またはそれらの組み合わせのいずれかを示すものであるから、タバコを含まず、カンナビス、すなわち、カンナビス属の植物から調整されるものを含んでいる。
そうすると、引用発明のタバコロッド2に含まれるタバコ刻21に替えて、引用文献2の技術事項を適用して、カンナビス属の植物から調整される1つ以上の喫煙可能材料とし、上記相違点に係る本件補正発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
イ 請求人の主張について
(ア)審判請求書の主張
請求人は、審判請求書の「4.本願発明が特許されるべき理由」の「(3)補正後の請求項1に係る発明の進歩性について」において、次の主張をする。
a 「補正後の請求項1に係る発明と、引用文献1に記載された発明とを比較すると、少なくとも、補正後の請求項1に係る発明では、マウスピースまたはフィルタが単一のロッドのみから成るのに対し、引用文献1に記載された発明では、フィルタ材料でできている2つのロッド(41)及び(43)が存在する点で相違する(相違点1)。
また、重要なことには、仮に審査官が認定するように、チャネルまたは低通気抵抗部(431)が、マウスピースの端部(43)の全長に沿って延びているとしても、チャネルまたは低通気抵抗部(431)は、タバコ端部フィルタ材(41)を貫通していない(すなわち、フィルタ材料によって囲まれていない、引用文献1の図1参照)点でも相違する(相違点2)。
したがって、上述した相違点1及び2について、引用文献1は、1つの長手方向に延在するとともに前記マウスピースまたはフィルタの全長に沿って延在するチャネルを含む、長手方向に延在し、フィルタ材料でできている単一のロッドのみから成る、マウスピースまたはフィルタを開示していない。」(4ページ15行-5ページ2行)
b 「審判請求人は、当業者が、補正後の請求項1に係る発明に最も近い先行技術である引用文献1からの技術的問題に直面した場合に、請求項1によって定められるような、(a)引用文献1の喫煙材料(タバコ)をカンナビスに置き換える動機がなく、(b)フィルタの全長に延びる半円筒形チャネルを提供するために、チャネル/低通気抵抗部(431)をフィルタに通すこともないと主張する。
引用文献1において、任意のタイミングでタバコの香喫味を可逆的に変化させることができるシガレット製品用のフィルタを提供することが、明確に教示されている(段落[0004]-[0005])。さらに、引用文献1のフィルタは、タバコ煙の有害成分を濾過して取り除く必要があるため、(要素41による)フィルタリング効果を常に発揮しなければならない。したがって、引用文献1は、請求項1が定める、カンナビスの使用とは明らかに反対の教示を行い、また、相違点1及び2として示した、単一のフィルタの全長を延在するチャネルとは明らかに反対の教示を行っている。したがって、請求項1に係る発明が、引用文献1に記載された発明に対して進歩性を有することは明らかである。さらに、引用文献1は当業者に、引用文献1のフィルタ構造が最適な煙ろ過および味を提供すると教示している。したがって、当業者に、引用文献1のフィルタを変更する動機はない。」(6ページ16行-7ページ6行)
c 「さらに、審判請求人は、仮に当業者が引用文献1及び引用文献2に記載された発明を組み合わせたとしても、請求項1によって定められる喫煙物品に想到しないと主張する。請求項1は、マウスピースまたはフィルタの全長に沿って延在する1つの長手方向に延在するチャネルを含む長手方向に延在する単一のロッドのみから成るマウスピースまたはフィルタを明確に定める。引用文献1は濾過要素(41)を必要とし、したがって、開示されるチャネルは、フィルタの全長を通って延在しない。
引用文献2は、濾過効果を徐々に増加させることによるカンナビスの煙の制御された分量を必要とする。したがって、引用文献2は、低通気抵抗部を有する引用文献1のようなチャネルの使用とは明らかに反対の教示を行っている。引用文献2におけるフィルタリング効果の増加は、引用文献1の低通気抵抗部と両立できない。当業者にとって、引用文献1のフィルタを引用文献2の喫煙材料と組み合わせることは困難である。
さらに、引用文献1も引用文献2も、相違点1及び2に関して、フィルタを完全に貫通するチャネルを有することを示唆すらしていない。したがって、当業者が引用文献1の低通気抵抗部および高通気抵抗部と共に、引用文献2のカンナビスを喫煙材に採用する場合、製造されるフィルタは、フィルタまたはマウスピースを完全に通って延びるチャネルが存在しないため、依然として、請求項1に記載の喫煙物品の必要な効果を発揮できない。」(7ページ7行-25行)
(イ)令和6年5月27日に提出された上申書の主張
a 「本発明と引用文献1に記載された発明との相違点は、本発明が、フィルタに含まれるフィルタ材料の全長に沿って延在するチャネルを含む点です。
言い換えれば、引用文献1のチャネル、すなわち低通気抵抗部431は、フィルタ(4)の全長に沿って延在していません。なぜならば、チャネルは、フィルタ(4)の一部としてタバコ端部に存在するフィルタ材(41)及びフィルタ材(43)を通っていない(引用文献1の図1参照)からです。したがって、引用文献1において、マウスピース又はフィルタが単一の長手方向に延在するロッドのみから成り、ロッドがフィルタ材料から成り、フィルタ材料がマウスピース又はフィルタの全長に沿って長手方向に延在する1つのチャネルを含む構成が、開示されていないことは明らかです。」(2ページ4行-12行)
b 「引用文献1の段落[0019]には、シガレット1のフィルタ4が、フィルタ材41、キャビティ部42及びフィルタ材43を含むことが記載されています(図1参照)。フィルタ材43は、単独でフィルタとして利用されるものではありません。
本願発明1では、マウスピースまたはフィルタにおいて、その全長に沿って、長手方向に延在するチャネルが形成されています。これに対し、引用文献1の図1を参照して、フィルタ4のフィルタ材43のみに長手方向に延在するチャネルが形成されているものの、フィルタ材41には、長手方向に延在するチャネルは形成されていません。さらに、引用文献の段落[0020]には、「前段フィルタ材41は、主流煙濾過に加え、たばこ刻21やその細粉の吸い口への流入を阻止するメッシュ的な役割を果たす構造としてもよい。」と記載されています。フィルタ材41に、仮に長手方向に延在するチャネルを形成すると、当該効果を発揮できなくなります。このように、当業者にとって、引用文献1のチャネル4において、その全長に沿って、長手方向に延在するチャネルを形成することは困難です。」(2ページ14行-26行)
(ウ)検討
a 上記(ア)a、上記(イ)a及び上記(イ)bの各主張について
上記(3)アで検討したとおり、引用発明の「フィルタ4の吸い口端側フィルタ材43」は、フィルタ又はマウスピースとして機能しており、後者の「マウスピースまたはフィルタ」に相当するものである。
そうすると、上記(ア)aにおける相違点1及び相違点2に係る請求人の主張、並びに、上記(イ)aにおける相違点に係る請求人の主張は採用できない。
また、引用発明の「中空路431」は、「フィルタ4の吸い口端側フィルタ材43の全長に沿って延在するセルロースアセテートの繊維束によって囲まれる」ものであり、フィルタ4の吸い口端側フィルタ材43の全長に沿って、長手方向に延在するチャネルを形成するものといえるから、請求人の上記(イ)bの主張も採用できない。
b 上記(ア)bの主張について
上記(4)アの相違点についての検討で述べたとおり、引用発明に引用文献2の技術事項を適用する動機付けが認められるから、請求人の上記(ア)bの主張は採用できない。
c 上記(ア)cの主張について
引用文献2の技術事項も、喫煙材料がフィルタと共に使用されるものであり、引用発明の「フィルタ4の吸い口端側フィルタ材43」は、フィルタ又はマウスピースであるから、引用発明に引用文献2の技術事項を適用することが困難であるとは認められない。
なお、上記(2)ア(ウ)において、引用発明として認定した、「フィルタ4の吸い口端側フィルタ材43」は、「吸い口端側フィルタ材43」は、単独でフィルタ又はマウスピースとして機能するものである。
そして、引用発明の「吸い口端側フィルタ材43」の「中空路431」は、「フィルタ4の吸い口端側フィルタ材43の全長に沿って延在するセルロースアセテートの繊維束によって囲まれる」ものであり、引用文献1の図1にも示されているように、「フィルタ4の吸い口端側フィルタ材43」を貫通するものといえる。
したがって、請求人の上記(ア)cの主張は採用することができない。
ウ 効果について
そして、本件補正発明は、全体としてみても、引用発明及び引用文献2の技術事項から予測される以上の格別な効果を奏するものではない。
エ まとめ
したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献2の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
なお、上記(3)の相違点に係る本件補正発明の発明特定事項は、本件補正発明である「マウスピースまたはフィルタ」について、「マウスピースまたはフィルタ」を技術的に特定するものではない「喫煙物品」に関する特定事項であるから、上記相違点は実質的な相違点ではないということもでき、本件補正発明は、相違点の検討を要することなく、特許出願の際独立して特許を受けることができないものでもある。
3 本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし8に係る発明は、令和5年7月6日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2の[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由1における請求項1についての理由は、以下のとおりである。
<理由1(特許法第29条第2項)について>
本願の請求項1に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1:国際公開第2016/147246号
引用文献2:米国特許出願公開第2017/0027219号明細書
3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及び引用文献2の記載並びに引用発明及び引用文献2の技術事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明において、「フィルタ材料でできている単一のロッドのみから成り」との発明特定事項を、「フィルタ材料でできているロッドを備え」としたものである。
そして、本願発明と引用発明は、上記第2[理由]2(3)の「引用発明との対比」で示した相違点で相違し、その余の点で一致する。
そうすると、上記第2[理由]2(4)の「判断」の検討のとおり、本願発明は、引用発明及び引用文献2の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-001153