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特許拒絶査定不服審判

2022-006756

遊技機

審判番号
2022-006756
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-213948外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年05月06日
審決日
2022年12月26日
公報発行日
2023年03月31日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (A63F) / P18 .575-Z (A63F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019-213948「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 2月27日出願公開、特開2020- 28751〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 13項目
理 由

第1 手続の経緯

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本願は、平成27年10月19日(以下「遡及日」という。)に出願した特願2015-205720の一部を令和1年11月27日に新たな特許出願(特願2019-213948)としたものであって、令和2年12月21日付けで拒絶の理由が通知され、令和3年3月4日に意見書及び手続補正書が提出され、同年8月12日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年10月14日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、令和4年2月2日付け(送達日:同月8日)で、令和3年10月14日付け手続補正が却下されるとともに拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、令和4年5月6日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 令和4年5月6日に提出された手続補正書による補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和4年5月6日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 補正の内容

本件補正は、特許請求の範囲についてする補正を含むものであって、本件補正前の請求項2を削除し、請求項1に、

(補正前:令和3年3月4日提出の手続補正書でした手続補正)

「【請求項1】
前面に遊技球が流下可能な遊技領域が形成され、透明性を有する遊技盤と、当該遊技盤より遊技機後方側となる位置に配置される第1演出用手段とを含んで構成される演出構成手段と、
前記演出構成手段の遊技機後方となる位置に配置され、前記演出構成手段における所定領域を介して遊技機前方から視認される第2演出用手段と、
前記演出構成手段と前記第2演出用手段との間に配置される可動手段と、
前記可動手段を前記演出構成手段と前記第2演出用手段との間の空間にて移動させることが可能な駆動手段と、
前記第2演出用手段を制御する演出制御手段と、
を備え、
前記可動手段は、前記第2演出用手段と前後方向に重なる第1位置と、前記第1位置よりも前記第2演出用手段と前後方向に重なる面積が小さくなる又は重ならない第2位置とに移動可能であり、
前記第1演出用手段の状態を、所定のキャラクタを遊技機前方から視認し易い又は視認可能な第1状態と、当該第1状態よりも前記所定のキャラクタを視認しにくい又は視認不可能な第2状態とに切り換えることが可能となっていることを特徴とする遊技機。」とあったものを、

(補正後:令和4年5月6日提出の手続補正書でした手続補正)

「【請求項1】
前面に遊技球が流下可能な遊技領域が形成され、透明性を有する遊技盤と、当該遊技盤より遊技機後方側となる位置に配置される第1演出用手段とを含んで構成される演出構成手段と、
前記演出構成手段の遊技機後方となる位置に配置され、前記演出構成手段における所定領域を介して遊技機前方から視認される第2演出用手段と、
前記演出構成手段と前記第2演出用手段との間に配置される可動手段と、
前記可動手段を前記演出構成手段と前記第2演出用手段との間の空間にて移動させることが可能な駆動手段と、
前記第2演出用手段を制御する演出制御手段と、
を備え、
前記可動手段は、前記第2演出用手段と前後方向に重なる第1位置と、前記第1位置よりも前記第2演出用手段と前後方向に重なる面積が小さくなる又は重ならない第2位置とに移動可能であり、
前記第1演出用手段の状態を、所定のキャラクタを遊技機前方から視認し易い又は視認可能な第1状態と、当該第1状態よりも前記所定のキャラクタを視認しにくい又は視認不可能な第2状態とに切り換えることが可能となっており、
前記可動手段に対して光を照射可能な発光手段を備え、当該発光手段からの光が、前記可動手段の表面の所定の反射領域にて反射され、前記第1演出用手段における前記所定のキャラクタが視認可能となる領域を介して遊技機前方へ向けて照射される構成であることを特徴とする遊技機。」とする補正を含むものである(下線は補正前後の箇所を明示するために当審において付した。)。

2 補正の目的

本件補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「所定のキャラクタを」「視認」させる手段について、「前記可動手段に対して光を照射可能な発光手段を備え、当該発光手段からの光が、前記可動手段の表面の所定の反射領域にて反射され、前記第1演出用手段における前記所定のキャラクタが視認可能となる領域を介して遊技機前方へ向けて照射される構成である」とする限定を含むものであって、本件補正後の請求項1に係る発明は、本件補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。

3 新規事項について

本件補正は、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面における【0329】、【0340】、【0342】~【0344】、図32、図33等の記載に基づくものであり、新たな技術的事項を導入するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。

4 独立特許要件について

本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の減縮を目的とするものであるので、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下検討する。

(1) 本件補正発明

本件補正発明を再掲すると、次のとおりのものである(A~Eは、分説するため当審において付した。)。

「A 前面に遊技球が流下可能な遊技領域が形成され、透明性を有する遊技盤と、当該遊技盤より遊技機後方側となる位置に配置される第1演出用手段とを含んで構成される演出構成手段と、
前記演出構成手段の遊技機後方となる位置に配置され、前記演出構成手段における所定領域を介して遊技機前方から視認される第2演出用手段と、
前記演出構成手段と前記第2演出用手段との間に配置される可動手段と、
前記可動手段を前記演出構成手段と前記第2演出用手段との間の空間にて移動させることが可能な駆動手段と、
前記第2演出用手段を制御する演出制御手段と、
を備え、
B 前記可動手段は、前記第2演出用手段と前後方向に重なる第1位置と、前記第1位置よりも前記第2演出用手段と前後方向に重なる面積が小さくなる又は重ならない第2位置とに移動可能であり、
C 前記第1演出用手段の状態を、所定のキャラクタを遊技機前方から視認し易い又は視認可能な第1状態と、当該第1状態よりも前記所定のキャラクタを視認しにくい又は視認不可能な第2状態とに切り換えることが可能となっており、
D 前記可動手段に対して光を照射可能な発光手段を備え、当該発光手段からの光が、前記可動手段の表面の所定の反射領域にて反射され、前記第1演出用手段における前記所定のキャラクタが視認可能となる領域を介して遊技機前方へ向けて照射される構成である
E ことを特徴とする遊技機。」

(2) 引用文献1に記載された発明

ア 記載事項

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原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、遡及日前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2015-155055号公報(平成27年8月27日出願公開、以下「引用文献1」という。)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている(下線は引用発明等の認定に関連する箇所を明示するために当審において付した。以下同様。)

(ア) 「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、画像が表示されていない領域が透明となる表示装置を備える遊技機において、当該表示装置を用いた演出の演出効果の向上を図ることにある。」
(イ) 「【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明にかかる実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明における平面方向とは遊技盤92の平面方向に沿う(平行な)方向を、前後方向とは遊技盤92の平面方向に直交する方向(遊技者側を前、その反対側を後とする)を、上下方向とは図1における上下方向をいうものとする。
【0009】
続きを表示(全11行)
まず、図1~図4等を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。遊技機1は、額縁形状の機枠90を有し、この機枠90には前面枠91が回動自在に支持されている。前面枠91には、前側から遊技盤92を視認可能とする透明な板が設けられている。
【0010】
遊技盤92は、ほぼ正方形の合板により成形されており、前面枠91に着脱可能に取り付けられている。この遊技盤92には、発射装置94(ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域922に案内する金属製の薄板からなる帯状のガイドレール923が略円弧形状となるように設けられている。
【0011】
遊技領域922には、第一始動入賞口924、第二始動入賞口925、大入賞口926、アウト口927などが設けられている。主表示装置20は、大当たりの当否を報知する識別図柄等が表示される。かかる主表示装置20の表示画面は、遊技盤92に形成された開口921を通じて視認可能である。
【0012】
また、遊技領域922には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘(図示せず)が複数設けられている。遊技領域922を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。」
(ウ) 「【0013】
図3に示すように、遊技盤92より後方かつ主表示装置20より前方には、遊技の興趣を向上させるための演出動作を行う可動体10が設けられている。また、この可動体10を動作させるための駆動装置(駆動源や動力伝達機構)なども設けられている。」
(エ) 「【0016】
図1、図6(a)等に示す可動体10は、上記主表示装置20よりも前方で動作するいわゆる役物である。具体的には、主表示装置20の表示面よりも前に位置する平面に沿って、待機位置と演出位置との間を往復動作する。可動体10およびその駆動装置は、遊技盤92の後方に設けられるセンターベース93に固定されている。遊技盤92の後方の待機位置に位置する可動体10は、その大部分が遊技盤92の上側に覆われて、遊技者が視認困難な状態にある。可動体10を用いた演出を実行するとき以外のときには、可動体10は待機位置に位置する。当該待機位置から下方に移動し、演出位置に到達すると、可動体10の大部分は主表示装置20に対し前後方向で重なる(図1参照)。この可動体10の形状や駆動方法は特定の方法に限定されるものではない。演出位置において可動体10の少なくとも一部が主表示装置20に重なるものであればよい。」
(オ) 「【0018】
図3に示すように、可動体10の前方(動作する可動体10が沿う平面よりも前方)には第一副表示装置30が位置する。第一副表示装置30は、可動体10を模した第一演出画像31(図6(b)参照)が表示可能な表示装置であって、画像が表示されていない領域が透明となるものである。すなわち、全く画像が表示されていないときには主表示装置20や演出位置に位置する可動体10の前方に透明な板が存在する状態ということであるから、主表示装置20や演出位置に位置する可動体10をそのままの態様で視認することができる。一方、可動体10を模した第一演出画像31が表示されているときであっても、画像が表示されていない領域は透明であるから、主表示装置20や演出位置に位置する可動体10における当該画像非表示領域に前後方向で重なる部分については視認可能である。また、本実施形態では、第一演出画像31の色は、白、青、黄、赤に変化させることができる。
【0019】
第一副表示装置30のさらに前方には、第二副表示装置40が位置する。第二副表示装置40は、第一副表示装置30と同様に、可動体10を模した第二演出画像41(図6(c)参照)が表示可能な表示装置であって、画像が表示されていない領域が透明となるものである。第二副表示装置40は、遊技盤92の開口921を覆うように当該遊技盤92に支持されている。
【0020】
なお、これら副表示装置30、40に表示される画像は、当該画像(色彩)が表示された箇所の後方を視認することができない不透明なものであってもよいし、当該箇所の後方を多少視認することができる半透明なものであってもよい。」
(カ) 「【0025】
なお、第一副表示装置30や第二副表示装置40には、公知の透過型ディスプレイ(例えば、イルミパネル(株式会社フジクラの登録商標)や透過型ELディスプレイ)を適用することができる。第一副表示装置30および第二副表示装置40は、例えば図5に示されるように装置側方に設けられる点灯制御装置50によって制御される。点灯制御装置50は、各副表示装置が、「演出画像を表示した状態」と「演出画像を表示しない状態(透明な板の状態)」のいずれかの状態となるように制御する。」
(キ) 「【0027】
第一特別演出は、可動体10と第一副表示装置30によって実行される。サブ制御基板96によって第一特別演出を実行することが決定され、実行する段になったときには、可動体10の駆動源を駆動し、待機位置に位置する可動体10を演出位置に移動させる(図1、図7(a)参照)。可動体10が演出位置に位置した状態で、第一副表示装置30を表示させる。これにより、可動体10に第一演出画像31が重なって両者が組み合わされた(なお、ここでいう「組み合わされた」とは視覚的にあたかも組み合わされて見えるという意である。以下同じ)第一特別演出態様が形成される(図7(b)参照)。第一演出画像31は、演出位置に位置する可動体10の発光部12の少なくとも一部に重ならない領域、および演出位置に位置する可動体10の装飾部11の少なくとも一部に重ならない領域を有するものであるから、画像が表示されていない領域を通じて可動体10の発光部12や装飾部11の少なくとも一部を視認することができる。そのため、可動体10と第一演出画像31が組み合わされたような形態として視認される。」
(ク) 「【0030】
第二特別演出(本発明における切替演出に相当する)は、可動体10、第一副表示装置30、および第二副表示装置40によって実行される。サブ制御基板96によって第二特別演出を実行することが決定され、実行する段になったときには、可動体10の駆動源を駆動し、待機位置に位置する可動体10を演出位置に移動させる。可動体10が演出位置に位置した状態で、第一副表示装置30を表示させる。これにより、可動体10に第一演出画像31が重なって両者が組み合わされた第一特別演出態様が形成される(図8(a)参照)。
【0031】
所定時間(例えば0.1秒)経過後、第一副表示装置30を非表示とし、第二副表示装置40に第二演出画像41を表示する。これにより、可動体10に第二演出画像41が重なって両者が組み合わされた第二特別演出態様が形成される(図8(b)参照)。第二演出画像41は、第一演出画像31と同様に、演出位置に位置する可動体10の発光部12の少なくとも一部に重ならない領域、および演出位置に位置する可動体10の装飾部11の少なくとも一部に重ならない領域を有するものであるから、画像が表示されていない領域を通じて可動体10の発光部12や装飾部11の少なくとも一部を視認することができる。そのため、可動体10と第二演出画像41が組み合わされたような形態として視認される。」
(ケ) 「【0036】
連続演出について説明する。連続演出は、主表示装置20、副表示装置の一方(本実施形態では第一副表示装置30)、および可動体10(後述のように可動体10が用いられない場合もある)を用いた演出である。
・・・
【0042】
また、本連続演出では、図13に示すように、第一演出画像31が表示された直後、(識別図柄が再変動すると見せかけて)待機位置に位置していた可動体10が演出位置に移動することがある。つまり、可動体10の画像(可動体10を模した画像)が表示された状態から、連続的に画像ではない実物の可動体10が下降する演出の流れとなる。このようにすれば、画像であった可動体10が実物の可動体10に置き換わったような印象を遊技者に与えることになり、演出の趣向性が高まる。」
(コ) 「【図2】
[図:0001394984000001.jpg]
」
(サ) 「【図4】
[図:0001394984000002.jpg]
」
(シ) 「【図7】
[図:0001394984000003.jpg]
」
(ス) 「【図13】
[図:0001394984000004.jpg]
」

(セ) 認定事項1

【0010】の「遊技盤92は、ほぼ正方形の合板により成形されており」、【0012】の「遊技領域922を流下する遊技球」との記載から、図中符号92は「遊技盤」、同922は「遊技領域」を表し、【0007】には、「【図2】遊技盤の正面図である。」と記載されているから、図2を見ると、遊技盤92の正面、すなわち前面に「遊技領域922」が設けられていることが看取される。

したがって、引用文献1には、「前面に遊技領域922が形成された遊技盤92」が記載されていると認められる。

(ソ) 認定事項2

【0015】の「サブ制御基板96」との記載から、図中符号96は「サブ制御基板」を表し、図4には、「サブ制御基板96」を表す矩形の内部に位置する「出力回路」から符号20が付された「特別図柄表示装置」に向けた矢印が記載されている。遊技機分野の技術常識を考慮すると当該矢印は、「サブ制御基板96」に設けられた「出力回路」から符号20が付された「特別図柄表示装置」に向けて制御用の信号が出力されていること、すなわち、サブ制御基板96が特別図柄表示装置20を制御していることを示していると解される。また、【0011】に「主表示装置20」と記載されており、符号20は「主表示装置」にも付されているので、「特別図柄表示装置」を「主表示装置」と言い換えることができる。

したがって、引用文献1には、「主表示装置20を制御するサブ制御基板96」が記載されていると認められる。

(タ) 認定事項3

【0007】には、「【図13】第一演出画像が表示された後、可動体が演出位置に移動する連続演出例を説明するための図である。」と記載され、【0020】には、「これら副表示装置30、40に表示される画像は、当該画像(色彩)が表示された箇所の後方を視認することができない不透明なものであってもよいし、当該箇所の後方を多少視認することができる半透明なものであってもよい。」と記載され、【0042】には、「本連続演出では、図13に示すように、第一演出画像31が表示された直後、(識別図柄が再変動すると見せかけて)待機位置に位置していた可動体10が演出位置に移動することがある。つまり、可動体10の画像(可動体10を模した画像)が表示された状態から、連続的に画像ではない実物の可動体10が下降する演出の流れとなる。このようにすれば、画像であった可動体10が実物の可動体10に置き換わったような印象を遊技者に与える」と記載されている。また、図13を見ると、矢印で順に結ばれた図のうち6番目の図に、「第一副表示装置30」の符号を付された破線が看取されるとともに「第一演出画像31」の符号を付された破線が看取され、矢印で順に結ばれた領域のうち7番目の図に、「主表示装置20」の符号を付された実線が看取されるとともに「可動体10」の符号を付された実線が看取される。

【0042】及び図13の当該記載から、連続演出の演出位置にある可動体10は、第一副表示装置30にて表示されている第一演出画像31そのものと前後方向に重なるかどうかは不明であるが、少なくとも、第一副表示装置30において第一演出画像31が遊技者に視認可能となる領域とは、前後方向に重なる部分が存在するといえる。また、連続演出において可動体10を演出位置に移動させたとき、可動体10が画像から実部に置き換わったような印象を遊技者に与えるものであるから、このときには第一副表示装置30において第一演出画像31を非表示とするか、非表示とされないとしても十分な透明度で表示するといった手段により、遊技者が可動体10を視認可能となるようにすると解される。

したがって、引用文献1には、「連続演出において、演出位置にある可動体10には、第一副表示装置30において第一演出画像31が遊技者に視認可能となる領域と、前後方向で重なる部分が存在し、可動体10が当該演出位置にあるとき、遊技者が可動体10を視認可能となるようにする」ことが記載されていると認められる。

イ 引用発明

前記アに基づき、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。(符号a~c、eは本件補正発明のA~C、Eに、符号d1及びd2は本件補正発明のDに概ね対応させて当審において付与し、引用箇所の段落番号等を併記した。)。

「a 前面に遊技球が流下する遊技領域922が形成され、合板により成形された遊技盤92と(【0010】、【0012】、図2、認定事項1)、
遊技盤92の開口921を覆うように当該遊技盤92に支持され、「演出画像を表示した状態」と「演出画像を表示しない状態(透明な板の状態)」のいずれかの状態となり、第二特別演出に用いられる第二副表示装置40と(【0019】、【0025】、【0030】)、
前方に第二副表示装置40が位置し、「演出画像を表示した状態」と「演出画像を表示しない状態(透明な板の状態)」のいずれかの状態となり、第一特別演出、第二特別演出、連続演出に用いられる第一副表示装置30と(【0019】、【0025】、【0027】、【0030】、【0036】)、
表示画面が遊技盤92に形成された開口921を通じて視認可能であり、大当たりの当否を報知する識別図柄等が表示され、連続演出に用いられる主表示装置20と(【0011】、【0036】)、
続きを表示(全13行)
遊技盤92より後方かつ主表示装置20より前方に設けられ、前方(動作する可動体10が沿う平面よりも前方)に第一副表示装置30が位置し、第一特別演出、第二特別演出、連続演出に用いられ、遊技の興趣を向上させるための演出動作を行う可動体10と(【0013】、【0018】、【0027】、【0030】、【0036】)、
主表示装置20の表示面よりも前に位置する平面に沿って、待機位置と演出位置との間を往復動作する可動体10を動作させるための駆動装置と(【0013】、【0016】)、
主表示装置20を制御するサブ制御基板96と(図4、認定事項2)、
を備え、
b 待機位置に位置する可動体10は、その大部分が遊技盤92の上側に覆われて、遊技者が視認困難な状態にあり、当該待機位置から下方に移動し、演出位置に到達すると、可動体10の大部分は主表示装置20に対し前後方向で重なるものであり(【0016】)、
c 第一副表示措置30は、可動体10を模した第一演出画像31が表示可能であって、全く画像が表示されていないときには主表示装置20や演出位置に位置する可動体10の前方に透明な板が存在する状態となり、主表示装置20や演出位置に位置する可動体10をそのままの態様で視認することができ、点灯制御装置50によって、「演出画像を表示した状態」と「演出画像を表示しない状態(透明な板の状態)」のいずれかの状態となるように制御され(【0018】、【0025】)、
d1 第一特別演出は、待機位置に位置する可動体10を演出位置に移動させ、可動体10が演出位置に位置した状態で、第一副表示装置30を表示させ、これにより、可動体10に第一演出画像31が重なって両者が視覚的にあたかも組み合わされて見える第一特別演出態様が形成されるものであって、第一副表示装置30に表示される画像は、表示される画像が後方を多少視認することができる半透明な画像であってもよく(【0020】、【0027】、図7)、
d2 連続演出は、第一副表示装置30において第一演出画像31が表示された直後、待機位置に位置していた可動体10が演出位置に配置され、画像であった可動体10が実物の可動体10に置き換わったような印象を遊技者に与えるものであって、当該演出位置にある可動体10には、第一副表示装置30において第一演出画像31が遊技者に視認可能となる領域と、前後方向に重なる部分が存在し、可動体10が当該演出位置にあるとき、遊技者が可動体10を視認可能となるようにする(【0042】、図13、認定事項3)
e 遊技機1(【0009】)。」

(3) 周知技術

ア 周知技術1

(ア) 周知例1

新たに提示する遡及日前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2008-142194号公報(平成20年6月26日公開、以下「周知例1」という。)には、次の事項が図とともに記載されている。

a 「【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明に係る弾球遊技機の最適な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
続きを表示(全12行)
図1は本発明に係る弾球遊技機の正面図、図2は本発明に係る弾球遊技機の縦断面図、図3は本発明に係る弾球遊技機の背面から見た分解斜視図である。本発明に係る弾球遊技機は、これらの図に示すように、矩形状の外枠1を有し、この外枠1の前側に上下一対のヒンジ3を介して開閉自在に枢着された前枠2を備えている。
・・・
【0017】
遊技盤12は、透明のプラスチック製であり、前枠2の窓孔6に対応するように、前枠2の裏側の遊技盤装着枠13に裏側から着脱自在に装着され、窓孔6の下部側で前枠2の裏側に装着された下部支承板14の支持枠41により下側から支持されている。
【0018】
また、遊技盤12の背面側に所定の間隔を開けて設けられる電子ペーパー50、さらに電子ペーパー50の背面側に電子ペーパー50の一部の領域に重ねて設けられる液晶表示装置24の両方は支持板65に取り付けられ、この支持板65も前枠2の窓孔6に対応するように、前枠2の裏側の遊技盤装着枠13に裏側から着脱自在に装着され、窓孔6の下部側で前枠2の裏側に装着された下部支承板14の支持枠41により下側から支持されている。
【0019】
電子ペーパー50は遊技盤に形成された少なくとも遊技領域の全面に亘って前記遊技盤の前面側から透視できるように支持板65の前面側に貼り付けられる。液晶表示装置24は支持板65の液晶表示装置24を取り付けるために刳り貫かれた部分に液晶表示装置24の表示部を位置させ液晶表示装置支持カバー26によって支持板65の背面側に取り付けられる。」
b 「【0022】
電子ペーパー50は、液晶表示装置24が位置される電子ペーパー50の一部分の領域を除いて、遊技盤の背面から当該遊技盤を装飾するための画像すなわちセル画が表示される。・・・」
c 「【0025】
遊技盤12の前側には遊技領域16が形成されており、その遊技領域16内には、演出表示装置17、特別図柄始動手段18、大入賞手段19、普通図柄始動手段20、普通入賞手段21等の各種遊技部品が配置されている。また、遊技領域16の最下部にはアウト口22が設けられている。
【0026】
遊技盤12は、透明のアクリル製の板材によって構成され、その前面側には図示省略の遊技釘が複数本固着される。遊技盤12の前側からは、その後ろ側に配置されている電子ペーパー50に表示されている画像を透かして見ることができるようになっている。
【0027】
演出表示装置17は、遊技盤12に前面側から装着された表示ケース23と、この表示ケース23の略中央かつ電子ペーパー50の後ろ面に配置された例えば特別図柄表示手段として機能する液晶表示装置24と、表示ケース23の例えば上部側に配置された例えば7セグメント式の普通図柄表示手段25とを備えている。
・・・
【0046】
なお、本実施形態では遊技盤12の遊技領域16の全部が透明に形成されているが、遊技領域16の一部の領域のみ(例えば液晶表示装置24の周囲数センチメートルの領域や遊技領域16の上、下、左、右何れか半分の領域等)を透明とし、他は不透明領域としても良い。その場合、不透明領域は木製合板とし透明領域は樹脂にて成型して、その透明樹脂に遊技釘や入賞装置等を配置するのも好ましい。更に、透明樹脂の部分のみを合板部分に対して着脱可能に構成すれば、遊技釘や入賞装置等に故障等の不具合が発生した場合に、透明樹脂ごと交換することができる。」
d 「【図3】
[図:0001394984000005.jpg]
」

e 前記a~dからみて、周知例1には、次の技術的事項が記載されている。

「遊技盤12の背面側に、液晶表示装置24が位置される一部分の領域を除いて、遊技盤12に形成された少なくとも遊技領域の全面に亘って設けられ、遊技盤12を装飾するための画像を表示する電子ペーパー50を設け、
さらに電子ペーパー50の背面側に電子ペーパー50の一部の領域に重ねて、特別図柄表示手段として機能する液晶表示装置24を設けた
弾球遊技機において、
遊技盤12の前側からその後ろ側に配置されている電子ペーパー50に表示されている画像を透かして見ることができるように、
遊技盤12の遊技領域16の全部を透明に形成するか、遊技領域16の一部領域のみを透明として他は木製合板からなる不透明領域とし、
遊技盤12の透明領域を透明のアクリル製の板材によって構成すること。」(以下「周知例1に記載の技術的事項」という。)

(イ) 周知例2

新たに提示する遡及日前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2015-33624号公報(平成27年2月19日公開)(以下「周知例2」という。)には、次の事項が図とともに記載されている。

a 「【発明が解決しようとする課題】
【0006】
・・・ところで、近年では、遊技機に設けられる表示装置の大型化が進んでいる。上記した遊技機では、表示装置を大きくすることにより遊技球が転動可能な領域が狭まる。そのため、装飾部材を小さくすることで遊技球の転動領域を確保しなければならず、装飾効果が低下する虞があった。これらの問題を解決するために転動領域にペイントを施す等が考えられるが、のっぺりしているため装飾部材を配置した場合に比べて装飾効果を高められなかった。
【0007】
続きを表示(全11行)
本発明は、上記した事情に鑑みなされたもので、その目的とするところは、装飾効果を低下させない遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(解決手段1)
遊技球が打ち込まれる遊技領域が前面に形成される遊技盤と、所定条件の成立にもとづいて所定の表示結果を導出表示する表示装置と、を備え、遊技者に有利な特定遊技状態に制御するときに前記表示装置に予め定められた特定表示結果を導出表示する遊技機において、前記遊技盤は、背部を視認可能な板状部材によって形成され、前記遊技盤の後面側に設けられ、前記表示装置によって表示される領域以外であって、遊技者が背部を視認可能な遊技領域を装飾する全体装飾部材を備えたことを特徴とする。
【0009】
なお、遊技領域は、遊技領域12であり、本実施形態では、遊技盤4の盤面に立設する案内レール11の内側領域である。また、遊技盤は、遊技盤4であり、本実施形態では、遊技盤セット枠4aと、該遊技盤セット枠4aに開設された開口4dに嵌合され且つ遊技領域12の一部または全部を構成する透明樹脂板4bと、前記遊技盤セット枠4aの前面に固定され且つ前記遊技領域12の外側の外周を装飾する遊技盤装飾部材4cと、から構成される。また、表示装置は、画像表示装置42であり、この実施の形態では、液晶表示装置(LCD)によって構成される。背部を視認可能な板状部材とは、透明な合成樹脂、ガラスなどによって形成された板状の部材であり、この実施の形態では、アクリル樹脂材、ポリカーボネート樹脂材、ポリアリレート樹脂材などの透明な合成樹脂を使用している。全体装飾部材とは、フィルムや板状パネル等にデザインを施したものや、立体的に形成される背面装飾部材50である。」
b 「【0053】
また、遊技領域12を流下する遊技球が上始動口72、または、下始動口73に入賞すると、特別図柄表示器41にて特別図柄の変動表示を開始可能な状態(例えば、大当り遊技中でない状態、および、特別図柄および装飾図柄の変動表示中でない状態)であれば、特別図柄表示器41にて特別図柄の変動表示を開始するとともに、画像表示装置42にて装飾図柄の変動表示を開始し、所定期間経過後に特別図柄表示器41における特別図柄の変動表示、および、画像表示装置42における装飾図柄の変動表示を停止して表示結果を導出する。」
c 「【0066】
図5において、遊技盤4は、遊技盤装着枠9に装着し得る合成樹脂製の遊技盤セット枠4aと、該遊技盤セット枠4aに開設された開口4dに嵌合され且つ遊技領域12の一部または全部を構成する透明樹脂板4bと、前記遊技盤セット枠4aの前面に固定され且つ前記遊技領域12の外側の外周を装飾する遊技盤装飾部材4cと、から構成されている。
・・・
【0069】
遊技盤セット枠4aの後面側(遊技領域12が形成されない側)に取り付けられる背面装飾部材50は、遊技盤セット枠4aに形成された変形多角形状の開口4dの外周形状と同等若しくは該外周形状よりも大きな外周形状となるように形成され、遊技盤セット枠4aの四隅の隅角部分の裏面に背面装飾部材50の四隅部分をビス等で固着し、遊技盤セット枠の後面側から取り付けられることにより遊技盤セット枠4aに形成された変形多角形状の開口4dを塞いでいる。また、背面装飾部材50の中央部分には開口50aが開設され、図6に示すように該開口50aの後面側から画像表示装置42が取り付けられる。なお、画像表示装置42は、該画像表示装置42の後面側(画像表示しない側)に位置するとともに該画像表示装置42を表示制御する液晶表示基板120と一体的に形成される。
・・・
【0075】
遊技盤セット枠4aに嵌合される透明樹脂板4bは、前記遊技盤セット枠4aの開口4dに内側形状に沿った外周形状を有して透明な合成樹脂によって形成される。透明な合成樹脂としては、アクリル樹脂材、ポリカーボネート樹脂材、ポリアリレート樹脂材などが挙げられる。これらの合成樹脂は、透明度が高く硬質なものとして知られている。また、透明樹脂板4bにおいて、画像表示装置42の前方に対応する中央部分に開口4fが開設され、画像表示装置42に表示される画像の鮮明度を向上させている。・・・なお、この例では、透明樹脂板4bを透明な合成樹脂によって形成するが、遊技盤セット枠4aも透明な合成樹脂によって形成してもよいし、透明樹脂板4bを透明な合成樹脂によって形成し、遊技盤セット枠4aを従来の合板で形成してもよい。」
d 「【0084】
しかして、前面側に規制壁部材40および板状パネル70を取り付けた透明樹脂板4bを遊技盤セット枠4aの開口4dに嵌合し、遊技盤装飾部材4cを遊技盤セット枠4aの前方から固着するとともに、遊技盤セット枠4aの後面側から画像表示装置42および液晶表示基板120を取り付けた背面装飾部材50と、主制御基板101と、を取り付けることにより遊技盤4が形成され、図7に示すように、遊技盤4の正面側から透明樹脂板4bの後面側に位置する背面装飾部材50および画像表示装置42に表示される画像を視認可能となる。・・・」
e 「【図5】
[図:0001394984000006.jpg]
」

f 前記a~eからみて、周知例2には、次の技術的事項が記載されている。

「遊技盤4の後面側に、画像表示装置42によって表示される領域以外であって遊技者が背部を視認可能な遊技領域12を装飾する背面装飾部材50を設け、
背面装飾部材50の中央部分の開口50aの後面側から、装飾図柄を変動表示する画像表示装置42が取り付けられた
遊技機において、
遊技盤4の正面側から後面側に位置する背面装飾部材50を視認可能にして遊技領域を装飾するために、
遊技盤4を、透明な合成樹脂または合板で形成された遊技盤セット枠4aと、該遊技盤セット枠4aに開設された開口4dに嵌合され、遊技領域12の一部または全部を構成する透明樹脂板4bとで構成し、
透明樹脂板4bを透明な合成樹脂で形成すること。」(以下「周知例2に記載の技術的事項」という。)

(ウ) 周知例1に記載の技術的事項(前記(ア)e)及び周知例2に記載の技術的事項(前記(イ)f)を総合すると、

「遊技盤より遊技機後方となる位置に、図柄表示装置の表示領域以外の領域で遊技盤を装飾する演出用手段を備え、
遊技盤より遊技機後方となる位置に、図柄表示装置を備えた
遊技機において、
前記演出用手段を遊技者に視認可能にして、前記演出用手段によって遊技領域を装飾する演出を実行するために、
遊技盤を透明板で構成する技術」

は、遊技機の技術分野において、遡及日前に周知(以下「周知技術1」という。)であると認められる。

イ 周知技術2

(ア) 周知例3

新たに提示する遡及日前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2010-104493号公報(平成22年5月13日公開、以下「周知例3」という。)には、次の事項が図とともに記載されている。

a 「【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機、アレンジボール機その他の弾球遊技機、スロットマシン等の遊技機に関し、発光基板の両側方の光照射対象部に対応して発光素子を発光基板の両面に装着したものである。」
b 「【0061】
図9、図10は本発明の第2の実施例を例示する。この実施例では、第1演出体90を備えた第1演出手段91と、第2演出体92を備えた第2演出手段93とが片側に上下に配置され、その両演出手段91,93に対応して上下方向に1個の発光手段28を設けたものである。
【0062】
第2演出体92は基板ケース55から後方に遠く離れて配置されており、発光素子54の後方を光照射対象部Dとしても、その光照射対象部Dは遊技盤10の前方の略中央に位置する遊技者の視野内にあり、基板ケース55を含む前飾り枠22側で遮られることがないので、この第2演出体92に対応する発光素子54は後向き発光式となっている。
【0063】
一方、第1演出体90は基板ケース55に近接して配置されており、発光素子53の直ぐ後方は基板ケース55を含む前飾り枠22側で遮られるため、その基板ケース55を含む前飾り枠22よりも内側で遊技者の視野内に入る位置を光照射対象部Cとし、この光照射対象部Cに対して光を照射するように、これに対応する発光素子53を横向き発光式としている。他の構成は第1の実施例と同様である。」
c 「【0072】
発光基板50の発光素子51~54から演出手段27,91,93に光を照射する場合にも、発光基板50を1個とし、演出手段27,91,93を複数としてもよいし、発光基板50を複数とし、演出手段27,91,93を1個としてもよい。また発光基板50と演出手段27,91,93とを同数としてもよい。また演出手段27,91,93は可動体を有する可動式とし、その可動体が所定の演出動作をしたときに発光素子51~54から光を照射するようにしてもよい。」
d 「【図10】
[図:0001394984000007.jpg]
」

e 認定事項

【0063】には「第1演出体90は・・・遊技者の視野内に入る位置を光照射対象部Cとし、この光照射対象部Cに対して光を照射するように、これに対応する発光素子53を横向き発光式としている。」と記載されている。

前記【0063】の記載から、図10中の符号90は「第1演出体」を表し、符号Cは「光照射対象部」を表しており、【0076】には「【図10】同遊技盤の平面断面図である。」と記載され、図10には符号90が付された細長い領域が看取されるとともに、当該領域の下縁に符号Cが付されている点が看取されるから、「光照射対象部C」は「第1演出体90」の表面の所定の領域である。

ここで、遊技者が遊技機前方に位置することは当然であり、また、光に関する技術常識によれば、物体の表面に光が照射されたときに、照射を受けた当該表面の所定の領域が、当該物体に対向する者の視野内に入るのは、照射光が当該領域にて反射されて、当該者が位置する方向へ向けて照射されるからである。そして、当該領域は、そこで光が反射されるから、反射領域であるといえる。

そうすると、前記【0063】に記載の「発光素子53」から「光照射対象部Cに」対して「照射」された光は、当該「光照射対象部C」からなる反射領域にて反射されて、遊技機前方へ向けて照射されるといえる。

したがって、周知例3には、「発光素子53からの光が、第1演出手段91に備えられた第1演出体90の表面の領域である光照射対象部Cに照射され、当該発光素子53からの光が光照射対象部Cからなる反射領域にて反射され、当該反射された光が遊技機前方へ向けて照射されること。」が記載されていると認められる。

f 前記a~eからみて、周知例3には、次の技術的事項が記載されている。

「可動式の第1演出手段91を備えた遊技機において、第1演出手段91が備える第1演出体90を遊技者の視野内に入れるために、第1演出手段91が有する可動体が所定の演出動作をしたときに光を照射する発光素子53を備え、当該発光素子53からの光が第1演出体90の表面の領域である光照射対象部Cに照射され、当該発光素子53からの光が光照射対象部Cからなる反射領域にて反射され、当該反射された光が遊技機前方へ向けて照射されること。」(以下「周知例3に記載の技術的事項1」という。)

(イ) 周知例4

新たに提示する遡及日前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2007-89822号公報(平成19年4月12日公開)(以下「周知例4」という。)には、次の事項が図とともに記載されている。

a 「【0048】
図1に示すように、遊技機としてのパチンコ機1は、外枠2、本体枠3、遊技盤4、前面枠5等を備えて構成されている。」
b 「【0084】
可動体124は非作動時に左右で4つずつのグループに分かれ、遊技者から視認されない位置(遊技板4aの背後で開口部4fよりも下方の位置)に隠れて待機している。そして作動時に個々の可動体124はそれぞれ角度の異なる作動位置まで変位し、全体として扇を象るようにして配置される。なお、個々の可動体124の表面には「鳳凰の羽根」を象った緻密な造形が施されており、これにより球誘導装飾体66のデザインとの統一が図られている。
【0085】
この状態を遊技者の視点からみると、先ず最も手前側に球誘導装飾体66の装飾面(前面)が位置し、これより少し奧の位置に遊技球が左右方向に揺れ動くステージ部66iや内縁部の装飾面が位置し、次に保護板120を挟んで奧の空間部内に可動体124が位置し、そして可動体124よりもさらに奧に液晶表示ユニット150の表示画面が位置することになる。したがって、遊技者が最も奧の表示画面に視線を送るとき、その手前側に空間部や可動体124、保護板120、球誘導装飾体66の装飾面やステージ部66i等を視界の中に認めることとなり、これらの前後方向への重なりによって視覚的な奥行き感や立体感が強調される。」
c 「【0089】
図5は、遊技盤4を構成部品に分けた状態で示している。上記のように、遊技板4aの前面には各種入賞口等の他に球誘導装飾体66やサイド装飾部材82等の装飾部品が取り付けられている・・・
【0090】
一方、遊技板4aの背面には大型の背面取付ユニット100が取り付けられている。この背面取付ユニット100は、遊技領域12内での演出動作に関する全ての電装品を1つに集合させたユニットとして構成されている。ここでいう演出動作には、例えば画像の表示や各種の発光動作、可動体の動作等が含まれる。本実施形態において、背面取付ユニット100は上記の球誘導装飾体66とともにパチンコ遊技機1の演出動作を行う構成要素である。・・・
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【0092】
背面取付ユニット100は大きく分けて2つのパーツから構成されており、具体的には上側のアッパーパーツ100aおよび下側のロワーパーツ100bを有する。このうちアッパーパーツ100aは球誘導装飾体66に対応する電装品が組み込まれた部分であり、一方のロワーパーツ100bは左右のサイド装飾部材82に対応する電装品が組み込まれた部分となっている。
【0093】
・・・そしてアッパーパーツ100aの下縁部の中央位置には、センター下LED基板116が設置されている。これらLED基板は球誘導装飾体66の背後から前方または側方に向けて光を発することで、球誘導装飾体66の発光領域を装飾的に発光させることができる。また、センター下LED基板116には、保護板120の後方で上向きに光を発するLEDが実装されており、これら上向きのLEDから発せられた光は、表示画面の前面側で可動体124を照射する。
・・・
【0097】
またアッパーパーツ100aの下縁部には、保護板120より背後の位置に左右の可動体124が設置されている。・・・」
d 「【図4】
[図:0001394984000008.jpg]
」
e 「【図5】
[図:0001394984000009.jpg]
」

f 認定事項1

【0097】には「アッパーパーツ100aの下縁部には、・・・左右の可動体124が設置されている。」と記載され、【0092】には「背面取付ユニット100は・・・、具体的には上側のアッパーパーツ100a・・・を有する。」と記載され、【0090】には「この背面取付ユニット100は、遊技領域12内での演出動作に関する全ての電装品を1つに集合させたユニットとして構成されている。ここでいう演出動作には、例えば画像の表示や各種の発光動作、可動体の動作等が含まれる。」と記載されている。これらの記載から、「可動体124」は、演出動作に関する電装品を集合させた背面取付ユニット100に設けられた、演出に用いられる部材である。

したがって、周知例4には「可動体124を用いた演出が実行される」点が記載されていると認められる。

g 認定事項2

【0085】には「遊技者が最も奧の表示画面に視線を送るとき、その手前側に・・・可動体124・・・等を視界の中に認める」という記載があり、【0093】には「センター下LED基板116には、保護板120の後方で上向きに光を発するLEDが実装されており、これら上向きのLEDから発せられた光は、表示画面の前面側で可動体124を照射する」という記載がある。

光に関する技術常識によれば、物体に光が照射されたときに、照射を受けた当該物体が、当該物体に対向する者の視界の中に認められるのは、当該物体の表面の当該照射光が照射される所定の領域にて当該照射光が反射され、当該反射光が当該物体に対向する者が位置する方向へ向けて照射されるからである。そして、当該領域は、そこで光が反射されるから、反射領域であるといえる。

また、遊技者が遊技機に対して前方に位置することは当然である。

そうすると、前記【0093】に記載の「センター下LED基板」に「実装され」た「LED」から発せられ」「可動体124を照射する」「光」は、遊技機前方へ向けて照射されるといえる。

したがって、周知例4には、「可動体124を照射する光を発するLEDが実装され、当該LEDから発せられた光が、前記可動体124の表面の光が照射される所定の領域にて反射され、このため当該領域が反射領域となり、当該反射された光が遊技機前方へ向けて照射されるようにする」ことが記載されていると認められる。

h 前記a~gからみて、周知例4には、次の技術的事項が記載されている。

「可動体124が演出に用いられる遊技機において、可動体124を遊技者が視界の中に認めるために、可動体124を照射する光を発するLEDが実装され、当該LEDからの光が、前記可動体124の表面の光が照射される所定の反射領域にて反射され、当該反射された光が遊技機前方へ向けて照射されるようにすること。」(以下「周知例4に記載の技術的事項」という。)

(ウ) 周知例3に記載の技術的事項1(前記(ア)f)及び周知例4に記載の技術的事項(前記(イ)h)を総合すると、「可動手段を用いた演出を行う遊技機が、当該可動手段を遊技者に視認可能にするために、可動手段に対して光を照射可能な発光手段を備え、当該発光手段からの光が、前記可動手段の表面の光が照射される所定の反射領域にて反射され、当該反射された光が遊技機前方へ向けて照射されるようにする技術」は、遊技機の技術分野において、遡及日前に周知(以下「周知技術2」という。)であると認められる。

ウ 周知技術3

(ア)周知例3

周知例3には、次の事項が記載されている。

a 「【0020】
遊技盤10の前面には、図3に示すように表示窓24を外周から取り囲む前飾り枠22が遊技盤10の開口34に対応して装着されている。遊技盤10の開口34はガイドレール11と反対側の下部が特別図柄始動手段15、大入賞手段16の側方に達する形状を有する。そして、この開口34はガイドレール11と反対側の上部と下部との間では遊技領域12の外周に沿って略上下方向の円弧状に形成され、その部分の上下方向の略中央に画像表示手段13の上下両側にわたる大型の演出手段27が配置されている。
・・・
【0023】
演出手段27の外周面には、発光素子53,54からの光を反射するように鏡面加工が施されている。この演出手段27の鏡面加工は、その外周面の全体でもよいし、光照射対象部C~Eのみ、又は光照射対象部C~Eとその周辺部分を含む一部でもよい。従って、鏡面加工は、演出手段27の外周面の内、少なくとも光照射対象部C~Eに施されておれば十分である。
【0024】
勿論、発光素子53,54が所定の広がりのある部分に光を照射する場合には、その照射領域の略全体を光照射対象部C~Eとして鏡面加工を施してもよいし、その照射領域の一部分を光照射対象部C~Eとしてスポット的に鏡面加工を施してもよい。また光の反射方向は遊技盤10の中央側の前方、即ち遊技者側とし、光照射対象部C~Eで反射された光が遊技者の視野に入るようにする。なお、演出手段27の光照射対象部C~Eで光を乱反射させて、その光照射対象部C~Eを発光させる場合には、演出手段27の鏡面加工と同様の領域に粗面加工を施してもよい。」
b 「【0072】
発光基板50の発光素子51~54から演出手段27,91,93に光を照射する場合にも、発光基板50を1個とし、演出手段27,91,93を複数としてもよいし、発光基板50を複数とし、演出手段27,91,93を1個としてもよい。また発光基板50と演出手段27,91,93とを同数としてもよい。また演出手段27,91,93は可動体を有する可動式とし、その可動体が所定の演出動作をしたときに発光素子51~54から光を照射するようにしてもよい。」

c 認定事項

【0024】には「発光素子53,54が・・・光を照射する」、「光の反射方向は遊技盤10の中央側の前方、即ち遊技者側とし、光照射対象部C~Eで反射された光が遊技者の視野に入るようにする。」と記載されている。遊技機に関する技術常識によれば、上記記載の「遊技盤10の中央側の前方、即ち遊技者側」とは、遊技機前方のことである。そして、上記記載のとおり「発光素子」から「照射」され「反射された光が遊技者の視野に入る」ことから、当該反射光は遊技機前方へ向けて照射されている。また、当該光照射対象部C~Eは、そこで光が反射される領域であるから、反射領域が光照射対象部C~Eからなるといえる。

したがって、周知例3には、「光照射対象部C~Eからなる反射領域で反射された光が遊技機前方へ向けて照射されること」が記載されていると認められる。

d 前記a~cからみて、周知例3には、次の技術的事項が記載されている。

「可動式の演出手段27を備えた遊技機が、演出手段27の可動体が演出動作をしたときに演出手段27の光照射対象部C~Eからの光が遊技者の視野に入るようにするために、前記演出動作をしたときに光を照射する発光素子53、54を備え、演出手段27の光照射対象部C~Eには発光素子53、54からの光を反射するように鏡面加工が施され、光照射対象部C~Eからなる反射領域で反射された光が遊技機前方へ向けて照射されること。」(以下「周知例3に記載の技術的事項2」という。)

(イ) 周知例5

新たに提示するする遡及日前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2013-236709号公報(平成25年11月28日公開)(以下「周知例5」という。)には、次の事項が図とともに記載されている。

a 「【0001】
本発明は、板部材と裏ユニットとを備える遊技盤が取り付けられた遊技機に関するものである。」
b 「【0050】
(4)装飾部材141の構成
図3~図11に示されるように、裏ユニット41において左側装飾部材78の裏側となる位置よりも外周側の領域であって、本体部42において表示装置取付孔47よりも左側となる領域には、装飾部材141が設けられている。即ち、装飾部材141は、本体部42の中央領域A1を包囲する位置に取り付けられている。・・・装飾部材141を構成する装飾部材本体142は、本体部42における表示装置取付孔47の上側から表示装置取付孔47の下側まで延びている。また、装飾部材本体142は、正面視で円弧状をなし、裏ユニット41の壁部45側に凸となる湾曲形状をなしている。
・・・
【0053】
また、装飾部材本体142には発光基板152が収容されている。具体的に言うと、発光基板152は、実装面153を前板部143側に向けた状態で装飾部材本体142に収容されている。なお、発光基板152の実装面153には、複数の発光ダイオード(図示略)が実装されている。そして、装飾部材本体142の前板部143には、3つのレンズ部材154が発光ダイオードの前側を覆うように取り付けられている。各レンズ部材154は、発光ダイオードが発する光の進行方向を装飾部材本体142の前側と内周側とに変更する機能を有している。・・・」
c 「【0058】
(5)第1上部可動体68の構成
図3~図10に示されるように、第1上部可動体68は、正面視で円弧状をなす一対の可動体本体101を備えている。・・・両可動体本体101は、樹脂材料(例えば、黒色に着色したABS樹脂等)の射出成形によって形成され、表面には鏡面処理(本実施形態では金色のめっき)が施されている。・・・」
d 「【0075】
(2)本実施形態では、第1上部可動体68が備える一対の可動体本体101が、露出位置にある場合に正面視で円環状をなすようになっている(図4,図5,図12参照)。このため、両可動体本体101が露出位置に移動した場合であっても、両可動体本体101の内側領域には図柄表示装置の表示画面が露出するようになる。その結果、遊技者は、両可動体本体101に邪魔されずに、図柄表示装置の表示画面を常時視認することができる。ゆえに、第1上部可動体68を用いた演出を行ったにもかかわらず、逆に興趣が低下してしまう、といった問題を解消することができる。
【0076】
(3)本実施形態では、第1上部可動体68が備える一対の可動体本体101の表面に鏡面処理(金色のめっき)が施されている。従って、両可動体本体101が露出位置に移動する際に、左側の可動体本体101が装飾部材141に映り込むだけでなく、装飾部材141が左側の可動体本体101に映り込むようにもなる。しかも、装飾部材141には複数のレンズ部材154が設けられ、各レンズ部材154は、発光基板152に実装された発光ダイオードが発する光の進行方向を装飾部材本体142の内周側、即ち、露出位置にある左側の可動体本体101側に変更する機能を有している。このため、両可動体本体101が露出位置に移動する際に、単に装飾部材141が左側の可動体本体101に映り込むだけではなく、レンズ部材154からの光を左側の可動体本体101に映し込むことができる。その結果、遊技者により強いインパクトを与えることが可能となるため、パチンコ機10のさらなる興趣の向上を図ることができる。」
e 「【図4】
[図:0001394984000010.jpg]
」

f 認定事項

【0076】には「第1上部可動体68が備える一対の可動体本体101の表面に鏡面処理(金色のめっき)が施されている。従って、・・・装飾部材141が左側の可動体本体101に映り込むようにもなる。しかも、装飾部材141には複数のレンズ部材154が設けられ、各レンズ部材154は、発光基板152に実装された発光ダイオードが発する光の進行方向を装飾部材本体142の内周側、即ち、露出位置にある左側の可動体本体101側に変更する機能を有している。このため、両可動体本体101が露出位置に移動する際に、・・・レンズ部材154からの光を左側の可動体本体101に映し込むことができる。その結果、遊技者により強いインパクトを与えることが可能となる」と記載されている。

ここで、光に関する技術常識によれば、物体の表面に形成された鏡面への光の映り込みは、光源から発された光が、当該鏡面によって反射され、当該反射光が鏡面を視認している者の方向へ向けて照射される事象である。

また、遊技者が遊技機前方に位置していることは当然であるから、【0076】に記載の「遊技者により強いインパクトを与える」こととなる「左側の可動体本体101に映し込」まれた光は、遊技機前方へ向けて進むものである。

以上から、上記記載の「左側の可動体本体101に映し込」まれた光は、「可動体本体101の表面に」形成された「鏡面」によって反射されて遊技機前方へ向けて照射されるといえる。

したがって、周知例5には、「発光ダイオードが発する光が、左側の可動体本体101の表面の所定の領域において鏡面処理によって形成された鏡面によって反射され、当該反射された光が遊技機前方へ向けて照射される」ことが記載されていると認められる。

g a~fからみて、周知例5には、次の技術的事項が記載されている。

「第1上部可動体68を用いた演出を行う遊技機において、当該演出によって遊技者に強いインパクトを与えるために、装飾部材141に発光ダイオードが実装され、第1上部可動体68が備える可動体本体101の表面に鏡面処理が施され、可動体本体101が露出位置に移動する際に、左側の可動体本体101に、発光ダイオードの前側に取り付けられたレンズ部材154からの光を映し込み、前記発光ダイオードが発する光が、左側の可動体本体101の表面の所定の領域において前記鏡面処理によって形成された鏡面によって反射され、当該反射された光が遊技機前方へ向けて照射されるようにすること。」(以下「周知例5に記載の技術的事項」という。)

(ウ) 周知例3に記載の技術的事項2(前記(ア)d)及び周知例5に記載の技術的事項(前記(イ)g)を総合すると、「可動手段を用いた演出を実行する遊技機が、当該演出の効果を高めるために、当該可動手段に対して光を照射可能な発光手段を備え、当該発光手段からの光が、前記可動手段の表面の光が照射される所定の反射領域に設けた反射手段によって反射され、当該反射された光が遊技機前方へ向けて照射されるようにする技術」は、遊技機の技術分野において、遡及日前に周知(以下「周知技術3」という。)であると認められる。

(4) 対比

本件補正発明と引用発明とを対比する。

ア 構成Aについて

(ア) 引用発明の構成aの「遊技盤92」は、本件補正発明の構成Aの「遊技盤」に相当する。そうすると、引用発明の構成aの「前面に遊技球が流下する遊技領域922が形成され、合板により成形された遊技盤92」と本件補正発明の構成Aの「前面に遊技球が流下可能な遊技領域が形成され、透明性を有する遊技盤」とは、「前面に遊技球が流下可能な遊技領域が形成され」た「遊技盤」である点で共通する。

(イ) 引用発明の構成aの「第一特別演出、第二特別演出、連続演出に用いられる第一副表示装置30」は、本件補正発明の「第1演出用手段」に相当する。

また、引用発明の構成aの「第一副表示装置30」は、「第二副表示装置40」より遊技機後方側となる位置に配置されるといえる。ここで、引用発明の構成aの「第二副表示装置40」は「遊技盤92に支持され」るものである。そうすると、引用発明の構成aにおいて上記のとおり「第一副表示装置30」が「第二副表示装置40」より遊技機後方側となる位置に配置されることは、本件補正発明の構成Aの「第1演出用手段」が「当該遊技盤より遊技機後方側となる位置に配置される」ことに相当する。

(ウ) 前記(イ)のとおり「第一副表示装置30」は「遊技盤92」より後方に配置されるから、「第一副表示装置30」に表示される「演出画像」は、「遊技盤92」を介して遊技者から視認可能となる。そうすると、引用発明の構成aは、遊技者に視認可能な前記「演出画像」を提供する手段として、「遊技盤92」と「第一副表示装置30」とを含んで構成された手段を備えているといえる。そして、引用発明の構成aの当該手段は、本件補正発明の構成Aの「演出構成手段」に相当する。

(エ) 引用発明の構成aの「大当たりの当否を報知する識別図柄等が表示され、連続演出に用いられる主表示装置20」は、本件補正発明の構成Aの「第2演出用手段」に相当する。

また、引用発明の構成aの「主表示装置20」は、「第一副表示装置30」の遊技機後方となる位置に配置されているといえる。ここで、前記(イ)より、引用発明の構成aの「第一副表示装置30」が本件補正発明の構成Aの「第1演出用手段」に相当し、本件補正発明の構成Aの「演出構成手段」は当該「第1演出用手段」を含んで構成される。そうすると、引用発明の構成aの「主表示装置20」が上記のとおり「第一副表示装置30」の遊技機後方となる位置に配置されることは、本件補正発明の構成Aの「第2演出用手段」が「前記演出構成手段の遊技機後方となる位置に配置され」ることに相当する。

また、引用発明の構成aの「遊技盤92に形成された開口921」は、本件補正発明の構成Aの「前記演出構成手段における所定領域」に相当し、引用発明の構成aの「表示画面が遊技盤92に形成された開口921を通じて視認可能」であることは、本件補正発明の構成Aの「前記演出構成手段における所定領域を介して遊技機前方から視認される」ことに相当する。

(オ) 引用発明の構成aの「可動体10」は、本件補正発明の構成Cの「可動手段」に相当する。

また、引用発明の構成aの「可動体10」は、「主表示装置20より前方に設けられ、前方に第一副表示装置30が位置」するものである。ここで、前記(イ)より、引用発明の構成aの「第一副表示装置30」が本件補正発明の構成Aの「第1演出用手段」に相当し、本件補正発明の構成Aの「演出構成手段」は当該「第1演出用手段」を含んで構成される。また、前記(ウ)より、引用発明の構成aの「主表示装置20」が本件補正発明の構成Aの「第2演出用手段」に相当する。そうすると、引用発明の構成aの「可動体10」が上記のとおり「主表示装置20より前方に設けられ、前方に第一副表示装置30が位置」することは、本願発明の構成Aの「可動手段」が「前記演出構成手段と前記第2演出用手段との間に配置される」ことに相当する。

(カ) 引用発明の構成aの「往復動作する可動体10を動作させるための駆動装置」は、本件補正発明の構成Aの「前記可動手段を」「移動させることが可能な駆動手段」に相当する。

また、引用発明の構成aの「可動体10」の配置は前記(オ)のとおりであるから、引用発明の構成aの「主表示装置20より前方に設けられ、前方に第一副表示装置30が位置」する「可動体10」を「主表示装置20の表示面よりも前に位置する平面に沿って、待機位置と演出位置との間を往復動作」させることは、本件補正発明の構成Aの「前記可動手段を前記演出構成手段と前記第2演出用手段との間の空間にて移動させること」に相当する。

(キ) 引用発明の構成aの「サブ制御基板96」は、本件補正発明の構成Aの「演出制御手段」に相当し、引用発明の構成aの「主表示装置20を制御する」ことは、本件補正発明の構成Aの「前記第2演出用手段を制御する」ことに相当する。

(ク) 前記(ア)~(キ)から、引用発明の構成aと本件補正発明の構成Aとは、

「前面に遊技球が流下可能な遊技領域が形成された遊技盤と、当該遊技盤より遊技機後方側となる位置に配置される第1演出用手段とを含んで構成される演出構成手段と、
前記演出構成手段の遊技機後方となる位置に配置され、前記演出構成手段における所定領域を介して遊技機前方から視認される第2演出用手段と、
前記演出構成手段と前記第2演出用手段との間に配置される可動手段と、
前記可動手段を前記演出構成手段と前記第2演出用手段との間の空間にて移動させることが可能な駆動手段と、
前記第2演出用手段を制御する演出制御手段と、
を備え」る点で共通する。

イ 構成Bについて

引用発明の構成bの「到達すると、可動体10の大部分は主表示装置20に対し前後方向で重なる」「演出位置」は、本件補正発明の構成Bの「前記可動手段」が「前記第2演出用手段と前後方向に重なる第1位置」に相当する。

また、引用発明の構成bは、「当該待機位置から下方に移動し、演出位置に到達すると、可動体10の大部分は主表示装置20に対し前後方向で重なる」ものであるので、待機位置においては、可動体10の主表示装置20に対する前後方向の重なりが前記演出位置よりも少ないといえる。そうすると、引用発明の構成bの「待機位置」は、本件補正発明の構成Bの「前記第1位置よりも前記第2演出用手段と前後方向に重なる面積が小さくなる又は重ならない第2位置」に相当する。

そして、引用発明の構成bの「可動体10」が「待機位置と演出位置との間を往復動作」することは、本件補正発明の構成Bの「前記可動手段」が「第1位置と」「第2位置とに移動可能」であることに相当する。

したがって、引用発明の構成bは、本件補正発明の構成Bに相当する構成を備えている。

ウ 構成Cについて

引用発明の構成cの「可動体10を模した第一演出画像31」は、本件補正発明の構成Cの「所定のキャラクタ」に相当し、引用発明の構成cの「演出画像を表示した状態」は、本件補正発明の構成Cの「所定のキャラクタを遊技機前方から視認し易い又は視認可能な第1状態」に相当し、引用発明の構成cの「演出画像を表示しない状態(透明な板の状態)」は、本件補正発明の構成Cの「当該第1状態よりも前記所定のキャラクタを視認しにくい又は視認不可能な第2状態」に相当し、引用発明の構成cの「第一副表示装置30」が「「演出画像を表示した状態」と「演出画像を表示しない状態(透明な板の状態)」のいずれかの状態となるように制御される」ことは、本件補正発明の構成Cの「前記第1演出用手段の状態を」「第1状態と」「第2状態とに切り換えることが可能となって」いることに相当する。

したがって、引用発明の構成cは、本件補正発明の構成Cに相当する構成を備えている。

エ 構成Dについて

(ア) 本件補正発明の構成Dと引用発明の構成d1との対比

引用発明の構成d1は、「可動体10が演出位置に位置した状態で、第一副表示装置30を表示させ、これにより、可動体10に第一演出画像31が視覚的にあたかも組み合わされて見える第一特別演出態様が形成され」るものであって、「第一副表示装置30に表示される画像は、表示される画像が後方を多少視認することができる半透明な画像」であるから、当該「第一特別演出態様」において「第一副表示装置30」の後方に位置する「可動体10」を「多少視認することができる」ようにするものである。

そうすると、当該「第一特別演出態様」では、「可動体10」を「多少視認することができる」程度には、光が可動体10から遊技機前方へ向けて進むといえる(そうでなければ、遊技者は可動体10を視認することができない。)。そして、上記の「可動体10」を「多少視認することができる」程度には遊技機前方へ向けて進む光は、光に関する技術常識に基づくと、「可動体10」の周囲から「可動体10」に届いた光が、「可動体10」の表面の所定の領域において反射されたものである。そして、当該領域は、そこで光が反射するから、反射領域であるといえる。

また、引用発明の構成d1は、「可動体10に第一演出画像31が重なって両者が視覚的にあたかも組み合わされて見える」ものであるから、前記可動体10から遊技機前方へ向けて進む光は、第一副表示装置30において遊技者に視認可能な第一演出画像31が表示されている領域を介するといえる。そして、前記「第一副表示装置30において遊技者に視認可能な第一演出画像31が表示されている領域」は、本件補正発明の構成Dの「第1演出用手段における前記所定のキャラクタが視認可能となる領域」に相当する。

そうすると、引用発明の構成d1と本件補正発明の構成Dとは、「可動手段」の周囲の光源が発した「光」が、「可動手段の表面の所定の反射領域にて反射され、」「第1演出用手段における前記所定のキャラクタが視認可能となる領域を介して遊技機前方へ向けて」進む点で共通する。

(イ) 本件補正発明の構成Dと引用発明の構成d2との対比

引用発明の構成d2は、「待機位置に位置していた可動体10が演出位置に配置され」ているときに「遊技者が可動体10を視認可能となるようにする」ものであるから、「待機位置に位置していた可動体10が演出位置に配置され」ているときには少なくとも「遊技者が可動体10を視認可能となるようにする」程度には、光が可動体10から遊技機前方へ向けて進むといえる(そうでなければ、遊技者は可動体10を視認することができない。)。そして、当該光は、(ア)と同様に、「可動体10」の周囲から「可動体10」に届いた光が、「可動体10」の表面の所定の反射領域にて反射されたものである。

また、引用発明の構成d2は、「演出位置にある可動体10には、第一副表示装置30において第一演出画像31が遊技者に視認可能となる領域と、前後方向で重なる部分が存在」することから、前記可動体10から遊技機前方へ向けて進む光は、第一副表示装置30において第一演出画像31が遊技者に視認可能となる領域を介するといえる。そして、引用発明の構成d2の「第一副表示装置30において第一演出画像31が遊技者に視認可能となる領域」は、本件補正発明の構成Dの「第1演出用手段における前記所定のキャラクタが視認可能となる領域」に相当する。

そうすると、引用発明の構成d2と本件補正発明の構成Dとは、「可動手段」の周囲の光源が発した「光」が、「可動手段の表面の所定の反射領域にて反射され、」「第1演出用手段における前記所定のキャラクタが視認可能となる領域を介して遊技機前方へ向けて」進む点で共通する。

(ウ) 前記(ア)、(イ)から、引用発明の構成d1又は構成d2と本件補正発明の構成Dとは、「可動手段」の周囲の光源が発した「光」が、「可動手段の表面の所定の」「領域にて反射され、」「第1演出用手段における前記所定のキャラクタが視認可能となる領域を介して遊技機前方へ向けて」進む点で共通する。

オ 構成Eについて

引用発明の構成eの「遊技機1」は、本件補正発明の構成Eの「遊技機」に相当する。

したがって、引用発明の構成eは、本件補正発明の構成Eに相当する構成を備えている。

カ 前記ア~オからみて、本件補正発明と引用発明とは、

「A′ 前面に遊技球が流下可能な遊技領域が形成されている遊技盤と、当該遊技盤より遊技機後方側となる位置に配置される第1演出用手段とを含んで構成される演出構成手段と、
前記演出構成手段の遊技機後方となる位置に配置され、前記演出構成手段における所定領域を介して遊技機前方から視認される第2演出用手段と、
前記演出構成手段と前記第2演出用手段との間に配置される可動手段と、
前記可動手段を前記演出構成手段と前記第2演出用手段との間の空間にて移動させることが可能な駆動手段と、
前記第2演出用手段を制御する演出制御手段と、
を備え、
B 前記可動手段は、前記第2演出用手段と前後方向に重なる第1位置と、前記第1位置よりも前記第2演出用手段と前後方向に重なる面積が小さくなる又は重ならない第2位置とに移動可能であり、
C 前記第1演出用手段の状態を、所定のキャラクタを遊技機前方から視認し易い又は視認可能な第1状態と、当該第1状態よりも前記所定のキャラクタを視認しにくい又は視認不可能な第2状態とに切り換えることが可能となっている
D′ 光が前記可動手段から前記第1演出用手段における前記所定のキャラクタが視認可能となる領域を介して遊技機前方へ向けて進む
E 遊技機。」である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1](構成A)

「遊技盤」が、

本件補正発明では、「透明性を有する」のに対し、

引用発明では、合板により成形され、透明性を有しない点。

[相違点2](構成D)

「可動手段」の周囲から届く「光」が、「可動手段の表面の所定の反射領域にて反射され、」「第1演出用手段における前記所定のキャラクタが視認可能となる領域を介して遊技機前方へ向けて」進むようにする構成が、

本件補正発明は、「可動手段に対して光を照射可能な発光手段を備え、当該発光手段からの光が、」上記のとおり反射され、「遊技機前方へ向けて照射される構成である」のに対し、

引用発明は、そのような発光手段を備えた構成を備えていない点。

(5) 判断

ア 相違点1について

周知技術1の「演出用手段」は、遊技盤より遊技機後方側となる位置に配置されるものであるから、本件補正発明の「第1演出用手段」に相当する。

また、周知技術1の「図柄表示装置」は、遊技機より遊技機後方側となる位置に配置され、上記「演出用手段」における所定領域を介して遊技機前方から視認されるものであるから、本件補正発明の「第2演出用手段」に相当する。

そして、引用発明と周知技術1は、遊技盤より遊技機後方となる位置に第1演出用手段を配置した遊技機である点で共通し、かつ、引用発明と周知技術1は、当該演出用手段を用いた効果的な演出を実行するという自明な課題を有するから、引用発明の遊技領域においても第1演出用手段を用いた演出を実行するために、遊技盤を透明板で構成する周知技術1を採用することにより、当該相違点1に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

イ 相違点2について

(ア) 判断1

引用発明と周知技術2は、可動手段を用いた演出を実行する遊技機の技術分野に属し、かつ、引用発明と周知技術2は、可動手段を遊技者に視認可能にするという課題が共通するから、引用発明において光が可動手段の表面の所定の反射領域にて反射され、第1演出用手段における前記所定のキャラクタが視認可能となる領域を介して遊技機前方へ向けて進む構成に、周知技術2を適用して、可動手段に光を照射する発光手段を設けて、当該相違点2に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

(イ) 判断2

本件補正発明の構成Hの「可動手段の表面の所定の反射領域」という事項は、本願の明細書の【0342】段落の記載を参酌すると、「可動手段の表面において反射手段を設けた所定の領域」ということを特定する趣旨であるとも解釈する余地があるので、念のため、本件補正発明の構成Hの当該事項が、「可動手段の表面において反射手段を設けた所定の領域」を意味すると解釈した場合について以下に検討する。

この場合、本件補正発明と引用発明とは、前記(4)カに示した相違点1の他に、以下の点で相違する(以下「相違点2′」という。)。

[相違点2′](構成D)

「可動手段」の周囲の光源が発した「光」が、「可動手段の表面の所定の反射領域にて反射され、」「第1演出用手段における前記所定のキャラクタが視認可能となる領域を介して遊技機前方へ向けて」進むようにする構成が、

本件補正発明は、「可動手段に対して光を照射可能な発光手段を備え、当該発光手段からの光が、」可動手段の表面において反射手段を設けた所定の領域にて反射され、「遊技機前方へ向けて照射される構成である」のに対し、

引用発明は、そのような発光手段及び反射手段を備えた構成を備えていない点。

相違点2′について検討する。

引用発明と周知技術3は、可動手段を用いた演出を実行する遊技機の技術分野に属し、かつ、引用発明と周知技術3は、可動手段を用いた演出の効果を高めるという課題が共通するから、引用発明において光が可動手段の表面にて反射され、第1演出用手段における前記所定のキャラクタが視認可能となる領域を介して遊技機前方へ向けて進む構成に、周知技術3を適用して、可動手段に光を照射する発光手段を設け、反射手段を可動手段に設けて、当該相違点2′に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

ウ 効果について

本件補正発明により奏される効果は、当業者が、引用発明及び周知技術1、2から、又は、引用発明及び周知技術1~3から予測し得た範囲内のものであって、格別なものではない。

エ 請求人の主張について

(ア) 請求人は、審判請求書において、特に、次の主張をするところである。

a 主張1

「本願発明においては、上記のような可動手段を介する光の照射を、可動手段に設けられた反射領域からの反射光によって実現する構成としていることから、可動手段に発光手段を設ける必要がなく、可動手段への電力供給の配線を単純化することが可能となるし、発光手段を配置する箇所の自由度が圧倒的に向上する。・・・それだけでなく、可動手段における前後方向の厚みも発光手段を設けない分だけ薄くすることが可能となり、遊技盤と第1演出用手段とを含む演出構成手段と、可動手段と、第2演出用手段とが重畳配置される構成を遊技機の規格サイズ等の変更を要することなく好適に実現することができるようにもなる。」

b 主張2

「反射光を用いることにより、発光手段からの光が反射される角度も、可動手段の位置によって異ならせることが可能となる。つまり、可動手段に対して発光手段を設ける構成においては、当該発光手段からの光が第1演出用手段に対して照射される照射位置は可動手段の位置によって変化するものの、光が照射される角度は可動手段の位置によらず固定化される。これに対して、反射光を用いる構成とすることで、反射光の照射位置とともに照射角度も可動手段の位置によって変化する構成となり、可動手段が移動してその反射光が所定のキャラクタの表示される位置に照射されると、当該所定のキャラクタが視認可能となる、という演出の演出効果をより高めることが可能となる。」

c 主張3

「本願の基本的構成が開示されているとされた引用文献1には、可動体10に対して光を照射するような構成は開示されていないし、その反射光が、第一副表示装置30や第二副表示装置40の第一演出画像31や第二演出画像41を介して前方へ照射されるような構成は開示されておらず、そのようにすることの動機付けとなるような記載もない。
・・・
付け加えると、引用文献1においては、第一副表示装置30や第二副表示装置40は透過型ディスプレイやイルミパネルが例示されており(0025)、本願のように後方から光を照射することで第一演出画像31や第二演出画像41が視認されるようなものではなく、本願のようにすることの必要性もなく、そうすると、引用文献1に触れた当業者が、本願発明のように、可動手段を介して光を第1演出用手段に向けて照射させるような発想を思い至るとは到底考えられない。」

(イ) 上記主張について検討する。

a 主張1について

請求人は、上記のとおり、「本願発明においては、上記のような可動手段を介する光の照射を、可動手段に設けられた反射領域からの反射光によって実現する構成としていることから、可動手段に発光手段を設ける必要がなく、可動手段への電力供給の配線を単純化することが可能となるし、発光手段を配置する箇所の自由度が圧倒的に向上する。」、「可動手段における前後方向の厚みも発光手段を設けない分だけ薄くすることが可能」と作用効果を主張する。

しかしながら、本件補正発明において、可動手段に発光手段を設けない点は特定されておらず、上記主張は、特許請求の範囲の記載に基づくものではない。

仮に本件補正発明において、可動手段に発光手段を設けない点が特定されていると解釈しても、周知例3には、第1演出手段91が有する可動体に発光手段を設ける点の記載はなく(前記3(2)イ(ア))、また、周知例4には、可動体124に発光手段を設ける点の記載はない(前記3(2)イ(イ))。そうすると、周知例3の記載事項及び周知例4の記載事項を総合して導かれる周知技術2は、可動手段を演出に用いる遊技機において、可動手段を遊技者に視認可能にする手段として、可動手段に対して光を照射可能な発光手段を備える一方で、可動手段に発光手段を設けないこととしたものを含んでいる。

そうすると、前記イ(ア)のとおり引用発明に周知技術2を適用することにより、可動手段に発光手段を設けないものとなる。

そして、請求人主張の前記作用効果は、引用発明及び周知技術1、2から、又は、引用発明及び周知技術1~3から予測し得た範囲内のものであって、格別なものでない。

以上のとおりであるから、請求人の当該主張1は採用することができない。

b 主張2について

(a) 請求人の「可動手段が移動してその反射光が所定のキャラクタの表示される位置に照射されると、当該所定のキャラクタが視認可能となる」という主張は、「可動手段において反射された光の、所定のキャラクタの表示される位置への照射の有無によって、所定のキャラクタの視認可否が切り換えられる」ことを主張したものであると解される。

しかしながら、本件補正発明は、「前記第1演出用手段の状態を、所定のキャラクタを遊技機前方から視認し易い又は視認可能な第1状態と、当該第1状態よりも前記所定のキャラクタを視認しにくい又は視認不可能な第2状態とに切り換えることが可能となって」(構成C)いるものであって、第1演出用手段の状態を、所定のキャラクタの視認可否が第1演出用手段の状態に応じて切り換えられる点は特定されているが、当該切り換えの手段が第1演出用手段において所定のキャラクタが表示される位置への照射の有無であるとは特定されていない。

また、本件補正発明は、「前記可動手段に対して光を照射可能な発光手段を備え、当該発光手段からの光が、前記可動手段の表面の所定の反射領域にて反射され、前記第1演出用手段における前記所定のキャラクタが視認可能となる領域を介して遊技機前方へ向けて照射される構成」(構成D)であって、可動手段における反射光が、第1演出用手段における所定のキャラクタが視認可能となる領域を介して照射される点は特定されているが、当該反射光が前記領域を介して照射されていないときに所定のキャラクタが視認しにくい又は視認不可能な状態であるとは特定されていない。このため、前記照射の有無によって前記所定のキャラクタの視認可否が切り換えられるとは特定されていない。

そうすると、本件補正発明は、「可動手段において反射された光の、所定のキャラクタの表示される位置への照射の有無によって、所定のキャラクタの視認可否が切り換えられる」ものとは特定されていない。したがって、上記主張は、特許請求の範囲の記載に基づくものではない。

(b) さらに検討すると、請求人が主張する「可動手段が移動してその反射光が所定のキャラクタの表示される位置に照射されると、当該所定のキャラクタが視認可能となる」という作用効果は、以下のi~vに示すとおり、本願の明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本願明細書等」という。)の記載をみても、本件補正発明が奏する作用効果であると認めることができない。

i 本願明細書等の記載事項

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本願明細書等には、以下の記載がある。

(i) 「【0009】
<第1の実施形態>
以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
・・・
【0017】
図6及び図7に示すように、遊技盤24は、透明樹脂により形成された透明盤300と、当該透明盤300に対して演出用の光を後方から照射する照射板400と、透明盤300と照射板400との間に配置され装飾用の図柄(絵柄)等が施された装飾シート350と、を備えている。また、照射板400の後方には、これら装飾シート350及び照射板400を透明盤300に対して取り付ける取付ベース450が設けられている。これら透明盤300、装飾シート350、照射板400及び取付ベース450はいずれも略矩形状をなしており、装飾シート350と照射板400とを挟み込んだ状態で、透明盤300に対して取付ベース450が組み付けられている。」

(ii) 「【0047】

図8に示すように、装飾シート350は複数のシート材により構成されており、より具体的には、前方から第1図柄シート351、遮蔽シート352、第2図柄シート353の順で積層されている。

【0048】

照射板400は、装飾シート350の後方に配置されており、前面に発光手段としてのLED410が複数配設されている。LED410は、演出制御装置82に接続されており、演出制御装置82のMPU242によりそれぞれ個別に発光制御が行われる。

【0049】

第1図柄シート351には、図8(b1)に示すように、例えば遊技機の遊技内容を示す第1図柄P1が略全面に施されている。なお、以下の説明では、第1図柄P1のうちの代表的な図柄(イルカ)を第1装飾図柄P1aと表現する(図では、センターフレーム42の左右上方に示している)。第1図柄シート351において第1装飾図柄P1aは彩度の低い紺色系の色が施されており、また、第1図柄シート351において第1装飾図柄P1a以外の領域(背景、第1図柄P1全体)も紺色系の色が施されている。ここで、彩度の低い色が施される図柄は、光が照射されると(特に図柄間の境界が)見えにくくなる特性を有している。そのため、第1図柄シート351に光が照射されると、第1装飾図柄P1aやその背景(第1図柄P1)は見えにくくなる。」

(iii) 「【0065】

さらに本実施形態では、第2図柄シート353だけでなく、第1図柄シート351の図柄の視認性を向上させる工夫も施されている。・・・

【0066】

図10に示すように、透明盤300の周縁部には後方に向けて起立させた前方周縁部310が形成されており、照射板400の後方の取付ベース450の周縁部には前方に向けて起立させた後方周縁部460が形成されている。そして、これら前後の周縁部310,460を重ね合わせて形成されるハウジング内に、装飾シート350と照射板400とが取り付けられている。

【0067】

後方周縁部460は装飾シート350及び照射板400の厚みをあわせた長さよりも長くなるように前方に起立させて形成されている。装飾シート350の前面は後方周縁部460の前端と面一となるように配設され、照射板400の後面は後方周縁部460の後端(取付ベース450において前方を向く取付面451の前端)と面一となるように配設されている。このような配置によって、装飾シート350と照射板400との間に、上記の第1空間E1が設けられている。

【0068】

前方周縁部310の後方への起立量は上記第1空間E1の厚みよりも若干短くなっている。この前方周縁部310の後端と、上記の後方周縁部460の前端と、を当接させて、透明盤300と取付ベース450とが組み付けられることによって、後方周縁部460の前端(装飾シート350の前面)から透明盤300の後面までの間に、所定の間隔(本実施形態では約1.0cm)により第2空間E2が形成されている。

【0069】

前方周縁部310の内側(センターフレーム42側)には、側方基板500が取り付けられており、当該側方基板500には内側に向けて側方LED510が配設されている。より詳しくは、図5に示すように、側方LED510は左右一対設けられており、上下方向に延びて端部を除く全体に亘って配置されている。側方LED510は、第2空間E2内に光を照射するものであり、特に、第1図柄シート351の前面に対して光を照射するものである。・・・」

(iv) 「【0324】

<第2の実施形態>

本実施形態では、透明盤300と装飾シート350との間の第2空間E2を利用して、所定の演出を実行する。

【0325】

図32(a)に示すように、本実施形態においては、第2空間E2に可動役物600が設けられている。・・・図32(c)に示すように、可動役物600は、遊技盤24の左上部に設けられており、より具体的には、センターフレーム42の左上方に配置されている。

【0326】

可動役物600には、可動役物駆動部610が接続されている。また、可動役物駆動部610は、演出制御装置82に接続されている。演出制御装置82のMPU242により可動役物駆動部610が駆動制御されることによって、可動役物600は、上記のセンターフレーム42の左上方に配置される待機位置(第1位置)と、当該待機位置から右下方に移動して図柄表示装置41の表示画面Gと前後方向に重なる演出位置(第2位置)と、に移動可能となっている。

・・・

【0329】

装飾シート350の第2図柄シート353において、可動役物600が待機位置に配置される状況にて当該可動役物600と前後方向に重なる位置には、第5図柄P5が施されている。第5図柄P5は遊技回の遊技結果を教示する内容の図柄となっており、具体的には「当」の文字が表示されている。第1の実施形態で説明したとおり、第2図柄シート353の後方に配置される照射板400から所定強度以上の光が照射されると、第2図柄シート353に施された図柄が前方から視認可能となり、同光が照射されないと、第2図柄シート353に施された図柄は視認できない。なお、第2図柄シート353に施された図柄が視認できない状態では、上記の第1図柄シート351における第1装飾図柄Pa1が視認可能となっている。なお、上記のとおり、可動役物600が不透明樹脂により形成されていることから、可動役物600が待機位置に配置されている状況においては、仮に照射板400から所定強度以上の光が照射されていても、第5図柄P5は前方から視認できない。

・・・

【0342】

なお、可動役物600の側面に、センターフレーム42の外周面421のように鏡面加工を施してもよい。このようにすれば、側方LED510からの光を可動役物600の側面によって反射させることが可能となる。ここで、センターフレーム42の外周面421は固定である一方、可動役物600は動作可能であることから、可動役物600の側面にて反射した反射光が装飾シート350へ照射される位置も可動役物600の位置によって変化する。そのため、センターフレーム42の外周面421からの反射光のような効果だけでなく、可動役物600の動作によって照射させる位置を変化させ、視認可能とする図柄を変化させる、といった効果も期待することができる。」

(v) 「【0343】
<可動役物の配置の変形例>
可動役物を第1空間E1に設けてもよい。以下、可動役物を第1空間E1に設ける変形例について説明する。
【0344】
第1の変形例としては、図33に示すように、装飾シート350と照射板400との間の第1空間E1に、上記実施形態と同様の可動役物600を設ける。上記実施形態と同様に、可動役物600は、可動役物駆動部610を駆動制御することにより、第1空間E1内に配置される待機位置と、表示画面Gと前後方向に重なる演出位置とに移動可能となっている。
【0345】
これにより、例えば、(1)可動役物600を待機位置に配置するとともに、照射板400のLED410をOFF制御する(第1図柄P1が視認可能)、(2)可動役物600を演出位置に配置するとともに、照射板400のLED410をOFF制御する(第1図柄P1が視認可能)、(3)可動役物600を演出位置に配置するとともに、照射板400のLED410をON制御(第5図柄が視認可能)、(4)可動役物600を待機位置に配置するとともに、照射板400のLED410をON制御する(第1図柄P1が視認可能)、といった様々な演出パターンを実現することができる。
【0346】
特に本変形例によれば、照射板400をON制御しても可動役物600が待機位置に配置されていれば第5図柄P5を視認することができず((4)のパターン)、また、可動役物600が待機位置から演出位置に移動しても照射板400をON制御しなければ第5図柄P5を視認することができない((2)のパターン)。すなわち、可動役物600を装飾シート350の背後において視認不可の状況で移動させることができ、照射板400をON制御して第5図柄P5が視認可能となる際の驚きをより増すことが可能となる。」

(vi) 「【図8】

[図:0001394984000011.jpg]

」

(vii) 「【図32】

[図:0001394984000012.jpg]

」

(viii) 「【図33】

[図:0001394984000013.jpg]

」

(ix) 認定事項1

【0065】には「第1図柄シート351の図柄の視認性を向上させる」と記載され、【0069】には「側方LED510は、第2空間E2内に光を照射するものであり、特に、第1図柄シート351の前面に対して光を照射する」と記載されている。

ここで、装飾シート350を構成する第1図柄シート351の図柄は、遊技者が位置する遊技機前方にて視認されるものであるから、遊技機前方にて図柄を視認させるための光が、当該図柄から遊技機前方へ向けて進むといえる。

そうすると、第1図柄シート351の図柄の視認性向上のために、側方LED510から第1図柄シート351の前面に対して光を照射したときには、照射された光は、第1図柄シート351を含んで構成される装飾シート350においてその進む方向が遊技機前方に変更されて進むといえる。

したがって、本願明細書等には、「装飾シート350が、側方LED510から照射された光の進む方向を遊技機前方に変化させる」ことが記載されていると認められる。

ii 本願の「第1の実施形態」

前記iの(i)~(iii)及び(vi)より、本願明細書等には、「第1の実施形態」に係る事項として、次の事項が記載されている。

「遊技機が(【0009】)、
透明樹脂により形成された透明盤300と、当該透明盤300に対して演出用の光を後方から照射する照射板400と、透明盤300と照射板400との間に配置され装飾用の図柄(絵柄)等が施された装飾シート350と、を備え(【0017】)、
透明盤300の周縁部には後方に向けて起立させた前方周縁部310が形成され、照射板400の後方の取付ベース450の周縁部には前方に向けて起立させた後方周縁部460が形成され、これら前後の周縁部310、460を重ね合わせて形成されるハウジング内に、装飾シート350と照射板400とが取り付けられ(【0066】)、
装飾シート350は、前方から第1図柄シート351、遮蔽シート352、第2図柄シート353の順で積層されて構成され(【0047】)、
第1図柄シート351には、遊技機の遊技内容を示す第1図柄P1が略全面に施され、第1図柄P1のうちの代表的な図柄である第1装飾図柄P1aにも、第1装飾図柄P1a以外の領域にも、彩度の低い紺色系の色が施され、照射板400から光が照射されると第1装飾図柄P1aやその背景の図柄は見えにくくなり(【0049】、図8)、
第1空間E1が、装飾シート350と照射版400との間に設けられ(【0067】)、
第2空間E2が、後方周縁部460の前端から透明盤300の後面までの間に形成され(【0068】)、
前方周縁部310の内側に側方LED510が配設され、側方LED510が、第2空間E2内に光を照射し、第1図柄シート351の前面に対して光を照射することにより、第1図柄シート351の図柄の視認性を向上させ(【0065】、【0069】)、
装飾シート350は、側方LED510から第1図柄シート351の前面に照射された光の進む方向を遊技機前方に変化させること(認定事項1)。」

iii 本件補正発明に対応する実施形態

(i) 本件補正発明の「可動手段」について

本件補正発明の構成Aのうち「前記可動手段と前記第2演出用手段との間に配置される可動手段」という構成は、令和3年3月4日提出の手続補正書でされた補正によって特許請求の範囲の記載に追加され、同日に提出された意見書によれば補正の根拠は明細書【0343】~【0345】及び図33の記載である。したがって、本件補正発明の当該構成の「可動手段」に対応する可動役物600は、当初明細書等の【0343】~【0345】段落及び図33に記載されている、「第2の実施形態」の「可動役物の配置の変更例」にあるように、第1空間E1に配置されていると解される。

(ii) 本件補正発明の「発光手段」及び「反射領域」について

本件補正発明の構成Dの「前記可動手段に対して光を照射可能な発光手段を備え、当該発光手段からの光が、前記可動手段の表面の所定の反射領域にて反射され、前記第1演出用手段における前記所定のキャラクタが視認可能となる領域を介して遊技機前方へ向けて照射される構成である」という構成は、審判請求書と同日に提出された手続補正書でされた補正によって、特許請求の範囲の記載に追加され、審判請求書によれば補正の根拠は明細書【0342】等の記載である。したがって、本件補正発明の当該構成の「発光手段」には、明細書【0342】段落に記載の側方LED510が対応し、本件補正発明の当該構成の「反射領域」には、明細書【0342】段落に記載の「鏡面加工を施し」た「可動役物600の側面」が対応すると解される。

(iii) 「第1の実施形態」との関係について

前記(i)の「第2の実施形態」は、前記i(iv)にあるとおり、明細書の【0324】段落以降に記載されており、【0325】段落に「本実施形態においては、・・・可動役物600が設けられている。・・・」と記載されていることから、第2の実施形態及びその変形例は、第1の実施形態に可動役物600及びそれに関連する事項を付加してなるものである。

(iv) 前記(i)~(iii)に基づくと、本件補正発明に対応する実施形態として、本願明細書等には次の事項が記載されている(下線は前記iiの「第1の実施形態」に係る本願明細書等の記載事項に対して付加された事項に付した。α~εは分説するため付した。)。

「α 遊技機が(【0009】)、
透明樹脂により形成された透明盤300と、当該透明盤300に対して演出用の光を後方から照射する照射板400と、透明盤300と照射板400との間に配置され装飾用の図柄(絵柄)等が施された装飾シート350と、を備え(【0017】)、
透明盤300の周縁部には後方に向けて起立させた前方周縁部310が形成され、照射板400の後方の取付ベース450の周縁部には前方に向けて起立させた後方周縁部460が形成され、これら前後の周縁部310、460を重ね合わせて形成されるハウジング内に、装飾シート350と照射板400とが取り付けられ(【0066】)、
装飾シート350は、前方から第1図柄シート351、遮蔽シート352、第2図柄シート353の順で積層されて構成され(【0047】)、
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第1図柄シート351には、遊技機の遊技内容を示す第1図柄P1が略全面に施され、第1図柄P1のうちの代表的な図柄である第1装飾図柄P1aにも、第1装飾図柄P1a以外の領域にも、彩度の低い紺色系の色が施され、照射板400から光が照射されると第1装飾図柄P1aやその背景の図柄は見えにくくなり(【0049】、図8)、
第1空間E1が、装飾シート350と照射版400との間に設けられ(【0067】)、
第2空間E2が、後方周縁部460の前端から透明盤300の後面までの間に形成され(【0068】)、
前方周縁部310の内側に側方LED510が配設され、側方LED510が、第2空間E2内に光を照射し、第1図柄シート351の前面に対して光を照射することにより、第1図柄シート351の図柄の視認性を向上させ(【0065】、【0069】)、
β 装飾シート350は、側方LED510から第1図柄シート351の前面に照射された光の進む方向を遊技機前方に変化させ(認定事項1)、
γ 可動役物600が第1空間E1に配置され(本件補正発明の構成A、【0344】、図33)、
側方LED510からの光が、可動役物600の鏡面加工を施した側面によって反射され(本件補正発明の構成D、【0342】)、
δ 可動役物600の側面にて反射した反射光が装飾シート350へ照射され、図柄が視認可能となり(【0342】)、
ε 可動役物600は動作可能であることから、可動役物600の側面にて反射した反射光が装飾シート350へ照射される位置も可動役物600の位置によって変化し、可動役物600の動作によって照射させる位置を変化させ、視認可能とする図柄を変化させること(【0342】)。」

ここで、上記事項εは、請求人が主張する前記作用効果に相当する。また、当該事項εの作用効果は、上記事項δが実現され、その上で可動役物600を動作させることによって奏されるものである。

iv 判断

前記事項γの「側方LED510からの光が、可動役物600の鏡面加工を施した側面によって反射され」るためには、側方LED510からの光が、装飾シート350を透過して、第1空間E1に進み当該側面にまで届く必要があることが、図33(前記i(viii))から明らかである。

しかしながら、前記事項βのとおり「装飾シート350は、第1図柄シート351の図柄の視認性が向上するように、側方LED510から照射された光の進む方向を遊技機前方に変化させ」る構成を有するのであるから、側方LED510から照射された光が透過する構成を有するとはいえない。

そうすると、側方LED510から照射された光が、可動役物600の鏡面加工を施した側面に届くとしても、装飾シート350によって進む方向が変化して遊技機前方に進む光から漏れた光のみが届くこととなる。そして、そのような漏れた光は、装飾シート350にて進む方向が変化して遊技機前方に進む光に比べて、ごく弱いと解される。このように他の照射光に比べてごく弱い光で、前記事項δのように「反射光が装飾シート350へ照射され、図柄が視認可能」となると認めることができない。このため、請求人が主張する前記事項εの作用効果を奏すると認めることもできない。

v 小括

上記i~ivより、本願明細書等の記載をみても、本件補正発明が請求人主張の前記作用効果を奏すると確認することができない。

(c) 仮に本件補正発明が、請求人主張の前記作用効果を奏するとしても、当該作用効果は、当業者が、引用発明及び周知技術1~3から予測し得た範囲内のものであって、格別なものではない。

前記(a)~(c)より、請求人の当該主張2を採用することはできない。

c 主張3について

引用発明は、前記(2)イの構成h1又はh2に示したとおり、第一特別演出では、半透明な第一演出画像31の後方にある可動体10を多少視認することができるようにするものであり、また、連続演出では、可動体10が画像から実物に置き換わったかのような印象を遊技者に与えるものであって、可動体10を遊技者に視認させることを課題としている。そうすると、引用発明の可動体10に対して光を照射することには、可動体10を遊技者が視認し易い状態にするという動機付けが存在するというべきである。

よって、請求人の当該主張3を採用することはできない。

オ 小括

前記ア~エから、本件補正発明は、引用発明及び周知技術1、2に基いて、又は、引用発明及び周知技術1~3に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。

(6) むすび

前記(1)~(5)より、本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たさないものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について

1 本願発明

本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和3年3月4日提出の手続補正書により補正された、前記第2の1で示した補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶の理由は、概略、次のとおりである。

(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布され、又は、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった次の引用文献に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>

1.特開2015-155055号公報

2.特開2014-4167号公報(周知技術を示す文献)

3 引用文献1の記載事項、引用発明

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1の記載事項及び引用発明は、前記第2の4(2)に記載したとおりである。

4 周知技術1

周知技術1は、前記第2の4(3)アに記載したとおりである。

5 対比・判断

本願発明は、前記「第2の1 補正の内容」において検討したとおり、本件補正発明において、

「前記可動手段に対して光を照射可能な発光手段を備え、当該発光手段からの光が、前記可動手段の表面の所定の反射領域にて反射され、前記第1演出用手段における前記所定のキャラクタが視認可能となる領域を介して遊技機前方へ向けて照射される構成である」

という相違点2または2′に係る限定事項を省くものである。このため、本願発明と引用発明との相違点は、相違点1(前記第2の4(4)カ)のみである。

そして、前記相違点1を引用発明との相違点とする本願発明は、前記「第2の4(5)での相違点1に係る検討により、引用発明及び周知技術1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

6 むすび

以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないので、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-006756

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