2022-006462
中性子捕捉治療用のビーム整形体
- 審判番号
- 2022-006462
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-572273外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年04月28日
- 審決日
- 2023年07月26日
- 公報発行日
- 2024年01月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】南京中硼▲聯▼康医▲療▼科技有限公司
- 【請求人代理人】村井 康司
- 【請求人代理人】石川 貴之
- 分類
- P18 .121-WZ (A61N)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 11項目
第1 手続の経緯
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本願は、2017年(平成29年) 7月13日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2017年 6月 5日、(CN)中華人民共和国、2017年 6月 5日、(CN)中華人民共和国)を国際出願日とする出願であって、その手続きの経緯は以下のとおりである。
第2 本願発明について
令和 5年 2月13日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりである。
「【請求項1】中性子捕捉治療用のビーム整形体であって、前記ビーム整形体は、ビーム入口と、ターゲットと、前記ターゲットに隣接する緩速体と、前記緩速体の外側を取り囲む反射体と、前記緩速体に隣接する熱中性子吸収体と、前記ビーム整形体内に配置された放射遮蔽体と、ビーム出口と、前記ビーム出口を形成する交換装置とを含み、前記ターゲットは、前記ビーム入口から入射された陽子ビームとの間の核反応により中性子を発生させ、前記中性子は中性子ビームを形成し、前記中性子ビームは主軸を画定し、続きを表示(全18行)前記緩速体は、前記ターゲットから発生された中性子を熱外中性子エネルギー領域に緩速させ、前記反射体は、熱外中性子を集中させるために前記主軸から逸脱した中性子を前記主軸に戻させ、前記熱中性子吸収体は、治療中に浅い正常組織での過剰な線量を避けるために熱中性子を吸収するために使用され、前記放射遮蔽体は、漏れた中性子および光子を遮蔽して非照射領域の正常組織線量を低減させるために使用され、前記交換装置は、前記中性子ビームの照射範囲を変更するために前記ビーム整形体から取り外し可能であり、前記交換装置は、前記ビーム整形体内において、前記ビーム整形体の内面、前記熱中性子吸収体、および、前記ビーム出口に囲まれている空間に取り付けられ、前記交換装置は、第一交換部材を含み、前記第一交換部材は、本体部を有し、前記ビーム整形体は、内面を有し、前記本体部の外面は、前記ビーム整形体の内面に接触し、前記第一交換部材は、前記陽子ビームの入射方向に沿って、前記緩速体の前側に設けられ、前記緩速体は、2つの互いに隣接する円錐部を含み、そのうちの1つの前記円錐部は、前記ビーム入口に隣接し、もう1つの前記円錐部は、前記ビーム出口に隣接し、前記第一交換部材は、前記緩速体の前記ビーム出口に隣接する前記円錐部の後側に隣接する、ことを特徴とする、中性子捕捉治療用のビーム整形体。」
第3 令和 4年11月 8日付け拒絶理由通知書の拒絶の理由の概要
令和 4年11月 8日付け拒絶理由通知書の拒絶の理由は、本願の請求項1に係る発明は、その優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1及び2に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。
第4 引用文献の記載事項、認定事項及び引用発明
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1 引用文献1の記載事項、認定事項及び引用発明
(1)引用文献1の記載事項
引用文献1には、以下の事項が記載されている(下線は当審にて付した。以下同様である。)。
「【0034】中性子源の放射フラックス及び品質を向上させるように、本発明の実施形態は、中性子捕捉療法用ビーム整形アセンブリの改良に関するものであり、好ましいものとして、加速器ホウ素中性子捕捉療法用ビーム整形アセンブリの改良に関するものである。図3に示すように、本発明の第1実施形態の中性子捕捉療法用ビーム整形アセンブリ10は、ビーム入口11と、ターゲット12と、ターゲット12に隣接する減速部13と、減速部13の周囲に配置される反射体14と、減速部13に隣接する熱中性子フィルター15と、ビーム整形アセンブリ10内において設置されている放射線遮蔽体16と、ビーム出口17と、を備える。ターゲット12とビーム入口11から入射した陽子ビームとの原子核反応により中性子が生成され、中性子により中性子ビームが形成され、中性子ビームは1つの主軸Xを定義する。減速部13により、ターゲット12からの中性子が熱外中性子エネルギー領域に減速される。反射体14は、熱外中性子ビーム強度を高めるため、主軸Xから逸れた中性子を主軸Xに導く。熱外中性子束を向上させるために減速部13と反射体14の間に隙間通路18が設けられる。熱中性子フィルター15は、治療時の表層の正常組織への過度の線量を避けるために熱中性子の吸収に用いられる。放射線遮蔽体16は、非照射領域における正常組織への線量を減らすために漏れた中性子と光子との遮蔽に用いられる。」
「【0036】減速部13は、互いに隣接する反対向きの2つのテーパ部を含む。具体的には、減速部13の外面は、第1のテーパ部と、第1のテーパ部と隣接する第2のテーパ部とを含む。第1のテーパ部の先細り方向は、第2のテーパ部の先細り方向と反対である。図3に示すように、減速部13の左側は、左側に向かって次第に小さくなるテーパ状であり、減速部13の右側は、右側に向かって次第に小さくなるテーパ状である。2つのテーパ部は互いに隣接する。好ましいものとして、減速部13の左側は左側に向かって次第に小さくなるテーパ状とするが、右側をその他の形状(例えば、柱状など)とし、テーパ部に隣接する形に設置することもできる。反射体14は減速部13の周囲に密接に配置され、減速部13と反射体14の間に隙間通路18が設けられる。いわゆる隙間通路18は、固体材料が充填されず、中性子ビームが容易に通過できる空のスペースである。当該隙間通路18は、空気通路或いは真空通路にすることができる。減速部13に隣接して設置される熱中性子フィルター15は、薄い6Li材料で製作される。放射線遮蔽体16におけるPbで製作した光子遮蔽体161は、反射体14と一体に設置でき、或いは別々に設置することもできる。また、放射線遮蔽体16におけるPEで製作した中性子遮蔽体162は、ビーム出口17に近い箇所に設置することができる。熱中性子フィルター15とビーム出口17との間に空気通路19が設けられ、継続的に主軸Xから逸れた中性子を主軸Xに導き熱外中性子ビーム強度を高めることができる。人工器官Bをビーム出口17から約1cm離れた箇所に設置する。この分野の技術者がよく知っていることとして、光子遮蔽体161はその他の材料で製作可能であり、光子を遮蔽する役割を果たせばよく、また、中性子遮蔽体162もその他の材料で製作可能であり、別の箇所に設置でき、漏れた中性子を遮蔽する役割を果たせばよい。」
【図3】
[図:0001405238000001.jpg]
【図7】
[図:0001405238000002.jpg]
(2)引用文献1からの認定事項
引用文献1の以下の記載事項から、引用文献1には、次の技術的事項が記載されていると認められる。
ア 段落【0034】の「中性子捕捉療法用ビーム整形アセンブリ10は、ビーム入口11と、ターゲット12と、ターゲット12に隣接する減速部13と、減速部13の周囲に配置される反射体14と、減速部13に隣接する熱中性子フィルター15と、ビーム整形アセンブリ10内において設置されている放射線遮蔽体16と、ビーム出口17と、を備える。」なる記載及び段落【0036】の「熱中性子フィルター15とビーム出口17との間に空気通路19が設けられ、」なる記載を踏まえて、図3をみると、ビーム整形アセンブリ10は、ビーム整形アセンブリ10内において、ビーム整形アセンブリ10の空気通路19に面する内面、熱中性子フィルター15、および、ビーム出口17に囲まれている空間を有していること及びビーム整形アセンブリ10は、空気通路19に面する内面を有することが看取できる。
イ 段落【0036】の「減速部13は、互いに隣接する反対向きの2つのテーパ部を含む。・・・図3に示すように、減速部13の左側は、左側に向かって次第に小さくなるテーパ状であり、減速部13の右側は、右側に向かって次第に小さくなるテーパ状である。」なる記載を踏まえて、図3をみると、減速部13は、互いに隣接する反対向きの2つのテーパ部を含み、そのうちの1つのテーパ部は、ビーム入口11に隣接し、もう1つのテーパ部は、ビーム出口17に隣接していることが看取できる。
(3)引用発明
上記(1)及び(2)を総合すると、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「中性子捕捉療法用ビーム整形アセンブリ10であって、ビーム整形アセンブリ10は、ビーム入口11と、ターゲット12と、ターゲット12に隣接する減速部13と、減速部13の周囲に配置される反射体14と、減速部13に隣接する熱中性子フィルター15と、ビーム整形アセンブリ10内において設置されている放射線遮蔽体16と、ビーム出口17とを含み、ターゲット12とビーム入口11から入射した陽子ビームとの原子核反応により中性子が生成され、中性子により中性子ビームが形成され、中性子ビームは1つの主軸Xを定義し、減速部13により、ターゲット12からの中性子が熱外中性子エネルギー領域に減速され、続きを表示(全11行)反射体14は、熱外中性子ビーム強度を高めるため、主軸Xから逸れた中性子を主軸Xに導き、熱中性子フィルター15は、治療時の表層の正常組織への過度の線量を避けるために熱中性子の吸収に用いられ、放射線遮蔽体16は、非照射領域における正常組織への線量を減らすために漏れた中性子と光子との遮蔽に用いられ、ビーム整形アセンブリ10は、ビーム整形アセンブリ10内において、ビーム整形アセンブリ10の空気通路19に面する内面、熱中性子フィルター15、および、ビーム出口17に囲まれている空間を有し、ビーム整形アセンブリ10は、空気通路19に面する内面を有し、減速部13は、互いに隣接する反対向きの2つのテーパ部を含み、そのうちの1つのテーパ部は、ビーム入口11に隣接し、もう1つのテーパ部は、ビーム出口17に隣接する、中性子捕捉治療用ビーム整形アセンブリ10。」
2 引用文献2の記載事項、引用文献2に記載された技術的事項
(1)引用文献2の記載事項
ア 第1ページ右下欄第10行~第2ページ左上欄第5行
「3 発明の詳細な説明この発明は中性子線コリメーターに関し、中性子による治療装置に使用するコリメーターに関する。中性子による治療装置に於いては、例えば制限横断面積を有する中性子線(ビーム)を生成する必要がある。この目的で、例えば中性子が通過することができ且つ中性子線の横断面積を限定する穴を有する適当な物質のボデーよりなる中性子コリメーターが使用される。このようなコリメーターは、中性子源を取囲むシールドの着脱自在な部分として形成することができる。このようにすれば種々なる横断面積の中性子線を生成するために、そのコリメーターを、種々異なる大きさの穴を有するコリメーターと交換することができる。」
イ 第3ページ左下欄第4~11行
「シールド12は穴22を有す。この穴22内に中性子線コリメーター24を嵌入し、コリメ-ター24は、装置から放出される中性子線28の断面積を限定する略々長方形の断面を有する穴26を有す。ビーム28の断面積を変えたい場合には、コリメーター24を、それと同様の、但し穴26の大きさが異なる他のコリメーターと交換すればよい。」
ウ 第1図
[図:0001405238000003.jpg]
(2)引用文献2からの認定事項
ア 上記(1)適示アの「この発明は中性子線コリメーターに関し、中性子による治療装置に使用するコリメーターに関する。」なる記載を踏まえて、第1図をみると、中性子による治療装置が、ビーム28の出口を形成するコリメーター24を含むことが看取できる。
イ 上記(1)摘示イの「ビーム28の断面積を変えたい場合には、コリメーター24を、それと同様の、但し穴26の大きさが異なる他のコリメーターと交換すればよい。」なる記載を踏まえると、「コリメーター24」は第一コリメーターと表現することができ、「但し穴26の大きさが異なる他のコリメーター」は第二コリメーターと表現できる。
ウ 上記(1)摘示アの「この目的で、例えば中性子が通過することができ且つ中性子線の横断面積を限定する穴を有する適当な物質のボデーよりなる中性子コリメーターが使用される。」なる記載を踏まえて、第1図をみると、コリメーター24は、ボデーを有することが看取できる。
エ 上記(1)摘示イの「シールド12は穴22を有す。この穴22内に中性子線コリメーター24を嵌入し、・・・」なる記載及び上記ウを踏まえて第1図をみると、シールド12は内面を有し、ボデーの外面は、シールド12の内面に接触していることが看取できる。
(3)引用文献2に記載された技術的事項
上記(1)及び(2)を総合すると、引用文献2には次の技術的事項が記載されていると認められる。
「中性子による治療装置が、ビーム28の出口を形成するコリメーター24を含み、コリメーター24は、ビーム28の断面積を変えたい場合には、コリメーター24を、それと同様の、但し穴26の大きさが異なる他のコリメーターと交換すればよく、コリメーター24は、第一コリメーターであり、コリメーター24は、ボデーを有し、シールド12は内面を有し、ボデーの外面は、シールド12の内面に接触していること。」
第5 対比・判断
1 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
・引用発明の「中性子捕捉療法用ビーム整形アセンブリ10」は、本願発明の「中性子捕捉療法用ビーム整形体」に相当し、以下同様に、
・「ビーム整形アセンブリ10」は「ビーム整形体」に、
・「ビーム入口11」は「ビーム入口」に、
・「ターゲット12」は「ターゲット」に、
・「減速部13」は「緩速体」に、
・「減速部13の周囲に配置される反射体14」は「緩速体の外側を取り囲む反射体」に、
・「熱中性子フィルター15」は、「治療時の表層の正常組織への過度の線量を避けるために熱中性子の吸収に用いられ」るから、「熱中性子吸収体」に、
・「ビーム整形アセンブリ10内において配置されている放射線遮蔽体16」は「ビーム整形体内に配置された放射遮蔽体」に、
・「ビーム出口17」は「ビーム出口」に、
・「ターゲット12とビーム入口11から入射した陽子ビームとの原子核反応により中性子が生成され」ることは「前記ターゲットは、前記ビーム入口から入射された陽子ビームとの間の核反応により中性子を発生させ」ることに、
・「中性子により中性子ビームが形成され」ることは「前記中性子は中性子ビームを形成」することに、
・「中性子ビームは1つの主軸Xを定義」することは「前記中性子ビームは主軸を画定」することに、
・「減速部13により、ターゲット12からの中性子が熱外中性子エネルギー領域に減速され」ることは「前記緩速体は、前記ターゲットから発生された中性子を熱外中性子エネルギー領域に緩速させ」ることに、
・「反射体14は、熱外中性子ビーム強度を高めるため、主軸Xから逸れた中性子を主軸Xに導」くことは「前記反射体は、熱外中性子を集中させるために前記主軸から逸脱した中性子を前記主軸に戻させ」ることに、
・「熱中性子フィルター15は、治療時の表層の正常組織への過度の線量を避けるために熱中性子の吸収に用いられ」ることは「前記熱中性子吸収体は、治療中に浅い正常組織での過剰な線量を避けるために熱中性子を吸収するために使用され」ることに、
・「放射線遮蔽体16は、非照射領域における正常組織への線量を減らすために漏れた中性子と光子との遮蔽に用いられ」ることは「前記放射遮蔽体は、漏れた中性子および光子を遮蔽して非照射領域の正常組織線量を低減させるために使用され」ることに、
・「ビーム整形アセンブリ10は、空気通路19に面する内面を有」することは「ビーム整形体は、内面を有」することに、
・「減速部13は、互いに隣接する反対向きの2つのテーパ部を含」むことは「前記緩速体は、2つの互いに隣接する円錐部を含」むことに、
・「そのうちの1つの前記テーパ部は、前記ビーム入口11に隣接し、もう1つの前記テーパ部は、前記ビーム出口17に隣接する」ことは、「そのうちの1つの前記円錐部は、前記ビーム入口に隣接し、もう1つの前記円錐部は、前記ビーム出口に隣接」することに、
それぞれ相当する。
以上より、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
【一致点】
「中性子捕捉治療用のビーム整形体であって、前記ビーム整形体は、ビーム入口と、ターゲットと、前記ターゲットに隣接する緩速体と、前記緩速体の外側を取り囲む反射体と、前記緩速体に隣接する熱中性子吸収体と、前記ビーム整形体内に配置された放射遮蔽体と、ビーム出口とを含み、前記ターゲットは、前記ビーム入口から入射された陽子ビームとの間の核反応により中性子を発生させ、前記中性子は中性子ビームを形成し、前記中性子ビームは主軸を画定し、前記緩速体は、前記ターゲットから発生された中性子を熱外中性子エネルギー領域に緩速させ、前記反射体は、熱外中性子を集中させるために前記主軸から逸脱した中性子を前記主軸に戻させ、前記熱中性子吸収体は、治療中に浅い正常組織での過剰な線量を避けるために熱中性子を吸収するために使用され、前記放射遮蔽体は、漏れた中性子および光子を遮蔽して非照射領域の正常組織線量を低減させるために使用され、前記ビーム整形体は、内面を有し、前記緩速体は、2つの互いに隣接する円錐部を含み、そのうちの1つの前記円錐部は、前記ビーム入口に隣接し、もう1つの前記円錐部は、前記ビーム出口に隣接する、中性子捕捉治療用のビーム整形体。」
【相違点】
本願発明は、ビーム整形体が「前記ビーム出口を形成する交換装置」を含み、「前記交換装置は、前記中性子ビームの照射範囲を変更するために前記ビーム整形体から取り外し可能であり、前記交換装置は、前記ビーム整形体内において、前記ビーム整形体の内面、前記熱中性子吸収体、および、前記ビーム出口に囲まれている空間に取り付けられ、前記交換装置は、第一交換部材を含み、前記第一交換部材は、本体部を有し、」「前記本体部の外面は、前記ビーム整形体の内面に接触し、前記第一交換部材は、前記陽子ビームの入射方向に沿って、前記緩速体の前側に設けられ、」「前記第一交換部材は、前記緩速体の前記ビーム出口に隣接する前記円錐部の後側に隣接する」のに対し、引用発明は、そのような交換装置を有しない点。
2 判断
(1)上記第4の2の(3)の引用文献2に記載された技術的事項を、本願発明の用語を用いて表現すると、
・「中性子による治療装置」は「中性子補足療法用のビーム整形体」に、
・「ビーム28の出口」は「ビーム出口」に相当し、以下同様に、
・「コリメーター24」は、他のコリメーターと交換可能であるから、「交換装置」に、
・「中性子線28の断面積を変えたい場合には」は「中性子ビームの照射範囲を変更するため」に、
・「シールド12」は、中性子による治療装置の一部であるから、「ビーム整形体」に、
・「コリメーター24を、それと同様の、但し穴26の大きさが異なる他のコリメーターと交換すればよ」いことは、コリメーター24は中性子による治療装置に含まれるから、「前記交換装置は、前記ビーム整形体から取り外し可能であ」ることに、
・「第一コリメーターであ」ることは「第一交換部材を含」むことに、
・「ボデー」は「本体部」に、
それぞれ相当するから、引用文献2に記載された技術的事項は、
「中性子補足療法用のビーム整形体は、ビーム出口を形成する交換装置を含み、前記交換装置は、中性子ビームの照射範囲を変更するために前記ビーム整形体から取り外し可能であり、前記交換装置は、第一交換部材を含み、前記第一交換部材は、本体部を有し、前記本体部の外面は、ビーム整形体の内面に接触していること。」と表現できる。
(2)一般に、中性子補足療法の技術分野において、病状に応じて中性子ビームの照射範囲を調整することは例示するまでもなく周知の課題であって、引用文献1において、第1実施形態として、図3にビーム出口が小さいものや、第4実施形態として、図7にビーム出口が大きいものが記載されているように、引用発明においても内在する課題である。
そして、引用発明は、ビーム整形アセンブリ10内において、ビーム整形アセンブリ10の空気通路19に面する内面、熱中性子フィルター15、および、ビーム出口17に囲まれている空間を有するものである。
また、引用文献2に記載された技術的事項は、シールド12の内面を、コリメーター24のボデーの外面が接触可能な、ビーム28の出口よりも大きな穴として形成しておき、その穴にコリメーター24を取り付けるものといえる。
そうすると、引用発明において、上記周知の課題である中性子ビームの照射範囲を調整するために、引用文献2に記載された技術的事項を採用し、ビーム整形アセンブリ10の空気通路19に面する内面、熱中性子フィルター15、および、ビーム出口17に囲まれている空間に、ビーム出口17よりも大きな穴を形成しておき、その穴にコリメーター24を取り付け、コリメーター24を減速体13の前側に設けるように構成し、それにより相違点に係る本願発明の構成とすることは、当業者が格別の創意を要することなく容易になし得た程度のことである。
また、本願発明の効果も、引用発明と引用文献2に記載された技術的事項から、当業者が予測し得た程度のものである。
(3)したがって、本願発明は引用発明と引用文献2に記載された技術的事項とに基き、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
3 請求人の主張について
請求人は、令和 5年 2月13日提出の意見書の3.(2)において、引用文献1の第1実施形態(図3)は、ビーム出口17の径が、ビーム入口(図中の参照番号15で示される部分)の径よりも小さいため、ビーム出口17から、本願発明の「第一交換部材」のような部材を出し入れしてビーム整形アセンブリ内部に設置することは、当業者であっても想到し得ないことである旨主張する。
しかしながら、上記2の(2)で述べたとおり、引用文献2に記載された技術的事項は、シールド12の内面を、コリメーター24のボデーの外面が接触可能な、ビーム28の出口よりも大きな穴として形成しておき、その穴にコリメーター24を取り付けるものということができるから、引用発明に引用文献2に記載された技術的事項を採用するに際し、コリメーター24のボデーの外面が接触可能な、ビーム出口17よりも大きな穴を形成しておき、その穴にコリメーター24を取り付けるように構成することは、当業者が格別の創意を要することなく容易になし得た程度のことである。
よって、上記請求人の主張は採用することができない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明は引用発明と引用文献2に記載された技術的事項とに基き、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-006462