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特許拒絶査定不服審判

2023-003423

光線療法用照明エンジン

審判番号
2023-003423
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-055671外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2023年02月28日
審決日
2024年01月16日
公報発行日
2024年06月28日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (A61N)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2021- 55671号「光線療法用照明エンジン」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 8月 5日出願公開、特開2021-112573号〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 11項目
理 由

第1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

本願は、2016年(平成28年) 3月30日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2015年 4月10日 (US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする特許出願である特願2017-548298号の一部を令和 3年 3月29日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は概ね以下のとおりである。

令和 3年 4月21日提出 翻訳文

令和 3年 4月26日提出 手続補正書

令和 4年 1月24日付け 拒絶理由通知

令和 4年 7月29日提出 意見書、手続補正書

令和 4年10月20日付け 拒絶査定

令和 5年 2月28日提出 審判請求書、手続補正書

令和 5年 4月12日提出 審判請求書の手続補正書(方式)

第2 令和 5年 2月28日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和 5年 2月28日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 補正の内容

(1)本件補正後の特許請求の範囲

本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線は、補正箇所を示す。)

「光線療法システムであって、該光線療法システムは
a.)光線療法用の成分である波長を含む光を放射するための複数の発光ダイオード(LED)であって、複数のLEDから放射された熱を吸収するための熱伝導性コア基板に連結する、複数の発光ダイオード(LED)、
b.)前記複数のLEDを駆動させるように構成された多重チャネル電流ドライバ、
c.)前記多重チャネル電流ドライバに連結されたマイクロプロセッサであって、前記多重チャネル電流ドライバの電流出力を制御する、マイクロプロセッサ、
d.)前記マイクロプロセッサに連結されたユーザーインターフェースであって、ユーザーに前記複数のLEDの制御を提供するように構成された、ユーザーインターフェース、
e.)コンピューティング装置から無線信号によって情報を受信するための構成された無線受信器、
f.)放射された光をフィルター処理するために窓を含むハウジング、および
g.)複数のLEDのパフォーマンスデータを送信する送信器、
を含む、光線療法システム。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲

本件補正前の令和 4年 7月29日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。

「光線療法システムであって、該光線療法システムは
a.)光線療法用の成分である波長を含む光を放射するための複数の発光ダイオード(LED)であって、複数のLEDから放射された熱を吸収するための熱伝導性コア基板に連結する、複数の発光ダイオード(LED)、
b.)前記複数のLEDを駆動させるように構成された多重チャネル電流ドライバ、
c.)前記多重チャネル電流ドライバに連結されたマイクロプロセッサであって、前記多重チャネル電流ドライバの電流出力を制御する、マイクロプロセッサ、
d.)前記マイクロプロセッサに連結されたユーザーインターフェースであって、ユーザーに前記複数のLEDの制御を提供するように構成された、ユーザーインターフェース、
e.)コンピューティング装置から無線信号によって情報を受信するための構成された無線受信器、および
f.)放射された光をフィルター処理するために窓を含むハウジング、
を含む、光線療法システム。」

2 補正の適否

本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された光線療法システムに係る発明において、「g.)複数のLEDのパフォーマンスデータを送信する送信器」を含む点を限定するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項で準用する同法126条第7項の規定を満たすかについて、以下に検討する。

(1)本件補正発明

本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献の記載事項及び引用発明

折りたたみ中(クリックで表示)

ア 引用文献1の記載事項

原査定の拒絶の理由で引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特表2012-502696号公報(原査定の引用文献2 以下、「引用文献1」という。)には、図面と共に、次の記載がある。

(ア)「【0002】
(発明の分野)
本発明は、一般に皮膚科学的処置の装置および方法に関し、より詳細には、光学技術を用いてアクネを処置するための装置および方法に関する。」
(イ)「【0027】
(第1の実施形態)
次に図3および図4を参照すると、本発明による処置装置の第1の実施形態について、より適切に理解することができる。特に、図4の分解斜視図に示す装置300はハウジング305を備え、一実施形態において、ハウジング305は、頂部ハウジング305A、底部ハウジング305B、通気孔305C、および出力開口部305Eを形成するノーズピース305Dからなる。図示した実施形態の場合、ハウジングは、手持ち式であるように構成される。他の実施形態では完全に手持ち式である必要はなく、連結物または任意の他の適切な物理的装置によって接続された、基部ステーションおよび手持ち式のヘッドユニットを備えることが可能であることが理解されるであろう。
【0028】
図示した実施形態のハウジング305の内部には、光源310が取り付けられる回路基板315があり、光源310は、例えばLED、LEDアレイ、あるいは1つまたは複数のレーザダイオード、閃光ランプもしくは他の発光デバイスを含めた他の適切な光源など、1つまたは複数のデバイスとすることができる。少なくともいくつかの実施形態では、光源310によって放出される光は380~500nmの範囲内であり、また一実施形態では、例えば413nmなど400~420nmの範囲内である。光源310のサイズは、開口部のサイズおよび出力される所望の出力密度によって決まる。いくつかの実施形態では、現在のところ、出力される出力密度が高まると、少なくとも患者の快適さの限界までは、処置の有効性が不均衡な形で高まると考えられる。光源310および回路基板315は、以下に論じる図5においてさらに詳しく示される。
【0029】
図示した実施形態では、所与の光出力での最大許容露光量(MPE)の時間に対して目の安全性を最適化するために、光源310によって放出された光は、任意選択の光混合器320を通過し、次いでディフューザ325を通る。いくつかの実施形態の場合、光学フィルタ70はハウジングの中に、通常はディフューザ325と一列に並べて配置することができる。次いで前方に伝わる光は、出力ウィンドウ330を通過する。出力ウィンドウ330は、ガラス、サファイア、または石英、ダイヤモンドなどの他の同様の材料とすることができる。さらにウィンドウ330は、TiO2など透明な抗菌性の層で被覆することができる。前述の要素のすべてがあらゆる実施形態で必要とされるわけではなく、いくつかの実施形態では、これらの要素はどれも不要であることが理解されるであろう。」
(ウ)「【0035】
いくつかの実施形態では、ハウジング305の中に、スイッチ370を支持するボード365も収容される。2つのスイッチのみを示しているが、正確な数は特定の実装形態のみによって決まり、1つまたは複数とすることができる。図示した例では、スイッチ370は、頂部の把持部380の上に位置決めされたボタン375によって作動される。実施形態に応じて、スイッチを用いて装置に電源を入れる、かつ/または光源310に光を放出させることができる。あるいは他の実施形態では、スイッチ375の機能を、先に論じたセンサ355によって実施することができる。(1つまたは複数の)オン-オフスイッチ370および/またはセンサ355は、直接的または間接的に回路基板345に接続される。便宜上、底部の把持部385を設けることもでき、また都合のよい任意の手段によって、それをハウジングの底部305Bに取り付けることができる。
【0036】
次に図5を参照すると、熱伝導性回路基板315および光源310について、より適切に理解することができる。回路基板315は、BeOもしくはAlNなどのセラミック、またはダイヤモンド、または本開示の装置の熱的環境に適した任意の他の材料で構成することができる。一般的には、回路基板315は熱伝導性であると同時に非導電性とすべきである。図示した実施形態では、回路基板315は3つの基板315A~Cからなるが、任意の都合のよい数の基板を用いることができる。図示される3つの基板それぞれの上の6つのLEDのアレイなど、1つまたは複数の光源を、様々な都合のよい配置で回路基板315の各基板に取り付けることができる。先に言及したように、光源の数は、主として所望の開口部のサイズおよび出力される出力密度によって決まる。適切な波長および出力での放出を伴うLEDは、Medical Lighting Solutions,Inc.(フロリダ州ジャクソンビル)、Cree,Inc.(ノースカロライナ州ダラム)、またはNichia Corporation(日本、東京)を含むいくつかの供給源から入手することができる。」
(エ)「【0038】
次に図6を参照すると、図3および図4に示す実施形態の制御回路の態様について、より適切に理解することができる。特に、高出力光源310のための駆動電子部品は、バック、ブースト、またはバック-ブースト構成を含むことが可能であることが理解されるであろう。こうした構成は、LEDに対する電流を制御するために、比較的高いエネルギーのインダクタを使用している。しかしながら、図6に示す本発明の他の態様として、図3および図4の処置装置のいくつかの実施形態では、基板315A~mそれぞれの上の1つまたは複数のLED310A~nに対するLED電流を、線形モードで動作する個々のFET600(m個の基板についてFET600A~mとして示す)を用いて制御することも可能である。電流制御FET600は、そうした構成の低い熱インピーダンスを利用するために、1つまたは複数のLED310を取り付けた同じセラミック基板315の上に離して配置することができる。残りの回路の構成要素は過度の熱を放散せず、したがって、特別な熱に関する考慮を必要とせずに、それらを従来型のFR4プリント回路基板345の上に組み立てることができる。
【0039】
単純かつ安価なマイクロコントローラ605は、電流制御FET600のゲートを駆動するのに適したアナログ出力を提供する機能を有していないことがしばしばである。一実施形態では、ローパスフィルタとしての単一のコンデンサ610および抵抗器615と共に、パルス幅変調を用いるマイクロコントローラ605からの単純なデジタル出力を使用して、各FET600のゲートを駆動する適切な擬似DC制御信号を発生させることができる。したがって図示した実施形態では、m個の基板に対してコンデンサ610A~mおよび抵抗器615A~mを用いることができるが、この配置がすべての実施形態で必要とされない。適切な電流の設定値のために、LEDと直列の、620A~mとして示す電流検出抵抗器を用いて、マイクロコントローラにフィードバックを提供することができる。図6の回路図から、この回路構成により、電圧源Vsupply645によって与えられる電圧とは別の異なる電圧を与えることが可能な電圧源Vdd650によって電力を供給される、共通の低電圧のマイクロコントローラの使用も可能になることを理解することができる。電圧源Vsupply645は、高出力光源310を備える(1つまたは複数の)LEDの(1つまたは複数の)順電圧の合計より大きい電圧を与える。2~3個より多い直列のLEDの順電圧に打ち勝つのに必要な電圧は、共通の低電圧マイクロコントローラを損傷する。高出力光源をインターフェースで連結して制御するのに、マイクロコントローラの2つのピンしか必要としないため、とりわけ小さく安価なマイクロコントローラの使用が可能になる。それでも、複数の光学出力の設定、遅いターンオンおよびターンオフならびに調光など、精巧な機能が実施可能である。Vsupplyの値を注意深く選択することにより、この単純かつ安価な構成によって、より複雑なバック-ブースト構成と同様の電気効率を得ることが可能であり、したがって、電流制御FET600の両端でわずかな電圧しか降下しない。」
(オ)「【0041】
電子工学分野の当業者は、この点について論じられた回路を、1つまたは複数のLEDアレイ組立体310に対する複数の制御FETを用いて、複数のLEDまたは複数のLEDアレイを並行に独立して制御するように、適切に重複して行うことが可能であることを理解することができる。必要とされる追加の構成要素は、少数の抵抗器および単一のコンデンサ(すべて低出力かつ安価)である。並列のアレイはそれぞれ、大きくない数の追加のマイクロプロセッサピンを利用できることが必要である。追加の並列なLEDアレイは、同じ波長のものとすること、または同じ装置の中に異なる光波長に対して提供することが可能である。」
(カ)「【図3】
[図:0001410882000001.jpg]
」
(キ)「【図4】
[図:0001410882000002.jpg]
」
(ク)「【図5】
[図:0001410882000003.jpg]
」
(ケ)「【図6】
[図:0001410882000004.jpg]
」

(コ)上記(イ)の下線部の記載及び(カ)の図面の記載からすれば、出力ウィンドウ330は、ハウジング305の中の光学フィルタ70から前方に伝わる光が通過するものである。

イ 引用発明

上記(ア)~(オ)の特に下線部の記載、(カ)~(ケ)の図面の記載及び(コ)の認定からすれば、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「光学技術を用いてアクネを処置するための装置300であって、当該装置300は、
所望の出力密度の光を放出する複数のLED310A~nであって、熱伝導性である回路基板315に取り付けられる、複数のLED310A~n、
前記複数のLED310A~nを制御する電流制御FET600、
マイクロコントローラ605からの単純なデジタル出力を使用して、各電流制御FET600のゲートを駆動する適切な擬似DC制御信号を発生させることができるマイクロコントローラ605、
スイッチ370を作動させるボタン375であって、光源310に光を放出させるボタン375、および
ハウジング305の中の光学フィルタ70から前方に伝わる光が通過する出力ウィンドウ330を含むハウジング305、
を含む、光学技術を用いてアクネを処置するための装置300。」

ウ 引用文献2の記載事項

原査定の拒絶の理由で引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特表2008-528188号公報(原査定の引用文献3 以下、「引用文献2」という。)には、図面と共に、次の記載がある。

(ア)「【0089】
光源126が所定の期間にわたって作動するように、電源110からの電力出力を制御するように構成された制御装置136も設けることができる。制御装置136は、装置の外側で制御される切り換え機構を含んでよい。このような外部制御は、例えば無線周波連絡機構などの様々な機構のいずれかによって実現することができる。制御装置136は、光学治療装置100の誤使用または過剰使用を回避するのに役立つ。制御装置136は、医師が装置に命令することによって最適化を実行可能にすることもできる。別の実施形態では、制御装置136は予め設定された線量および周波数を提供する。これらのパラメータは、患者の医師、制御装置、看護師、介護士、患者、または他の個人が設定するか、医師によって規定された命令に従って設定することができる。
【0090】
光学治療装置100は、患者への光エネルギーの線量を制御するソフトウェア(図示せず)を含むように構成されてもよい。したがって、光出力のエネルギー、パワー、強度および/またはフルエンスを調節することができる。その後は、調節値および設定値を光学治療装置100に保存するか、それにロードして、特定の患者または臨床結果の要件に対応することができる。
【0091】
治療の線量は、タイミングの制御を含むように構成することができる。タイミング制御は、治療のために光学治療装置100の光源126を作動させる時間の量を含んでよい。タイミング制御は、1つまたは複数の光源126から放射される光のパルス幅、光パルスのタイミング、またはパルスの相対的シーケンスなどのパルスパラメータを含む。したがって光源126は、連続的な(パルス状でない)光出力を提供するように構成されてもよく、タイミング制御は治療の継続時間、治療と治療の間の時間、および例えば1日という特定の期間に許容された治療の回数を含む。」
(イ)「【0100】
光学治療システム200が図2に図示されている。光学治療システム200は光学治療装置100、制御ユニット202、および少なくとも1つのコンピュータ204を含む。制御ユニット202は、図1に関して上述した電力結合部114などの電力結合部114を介して光学治療装置100と連絡する。電力結合部114は、制御ユニット202と光学治療装置100との間に電力および電子制御信号の連絡を提供することができる。制御ユニット202は、コンピュータ結合部206を介して少なくとも1つのコンピュータ204とも結合される。コンピュータ結合部206は、コンピュータまたは計算装置間の連絡を可能にし、当業者に知られている様々な構造、装置または方法のいずれかでよい。例えばコンピュータ結合部206は、USBまたはイーサネット(登録商標)ケーブルなどのケーブルである。コンピュータ結合部206は無線リンクでもよい。コンピュータ204は、PC、Appleコンピュータなどのパーソナルコンピュータを含むか、個人情報端末(PDA)、携帯電話、ブラックベリー(BLACKBERRY)(商標)、または他の計算装置などの様々な計算装置のいずれかを含むことができる。
【0101】
コンピュータ結合部206は、ブルートゥース(商標)赤外線(例えばIR)、無線周波(例えばRF)、またはIEEE802.11(a)、(b)または(g)標準接続を含む任意の有線または無線計算接続部を含んでよい。制御ユニット202およびコンピュータ204は、その中に複数のコンピュータ204または計算装置、又は制御ユニット202を含むネットワークを形成することができる。」

(3)対比

本件補正発明と引用発明を対比する。

ア 引用発明の「光学技術を用いてアクネを処置するための装置300」は、LEDを用いたアクネの光線療法に用いられるものであるから、本件補正発明の「光線療法システム」に相当する。

イ 引用発明の「所望の出力密度の光を放出する複数のLED310A~n」は、アクネの光線療法のための光を放射するものであるから、本件補正発明の「光線療法用の成分である波長を含む光を放射するための複数の発光ダイオード(LED)」に相当する。

また、引用発明の「熱伝導性である回路基板315」は、「複数のLED310A~n」が「取り付けられる」ものであって、複数のLED310A~nの熱を吸収することは自明であるから、本件補正発明の「複数のLEDから放射された熱を吸収するための熱伝導性コア基板」に相当する。

よって、引用発明の「所望の出力密度の光を放出する複数のLED310A~nであって、熱伝導性である回路基板315に取り付けられる、複数のLED310A~n」は、本件補正発明の「光線療法用の成分である波長を含む光を放射するための複数の発光ダイオード(LED)であって、複数のLEDから放射された熱を吸収するための熱伝導性コア基板に連結する、複数の発光ダイオード(LED)」に相当する。

ウ 引用発明の「複数のLED310A~nを制御する電流制御FET600」は、上記(2)ア(オ)の記載からすれば、複数のLEDアレイを並行に独立して制御するものであるから、多重チャネル電流ドライバであり、本件補正発明の「複数のLEDを駆動させるように構成された多重チャネル電流ドライバ」に相当する。

エ 引用発明の「単純なデジタル出力を使用して、各電流制御FET600のゲートを駆動する適切な擬似DC制御信号を発生させることができるマイクロコントローラ605」は、電流制御FET600が多重チャネル電流ドライバを構成するから、本件補正発明の「多重チャネル電流ドライバに連結されたマイクロプロセッサであって、前記多重チャネル電流ドライバの電流出力を制御する、マイクロプロセッサ」に相当する。

オ 引用発明の「ボタン375」は、ユーザーの操作により「スイッチ370」を作動させ、電源を入れるものであるから、マイクロコントローラ605に連結されているものと認められ、「マイクロプロセッサに連結されたユーザーインターフェース」であり、また、光源310としての複数のLEDに光を放出させるものであるから、当該複数のLEDの制御を提供するものである。

よって、引用発明の「スイッチ370を作動させるボタン375であって、光源310に光を放出させるボタン375」は、本件補正発明の「マイクロプロセッサに連結されたユーザーインターフェースであって、ユーザーに前記複数のLEDの制御を提供するように構成された、ユーザーインターフェース」に相当する。

カ 引用発明の「出力ウィンドウ330」は、「光学フィルタ70」を「通過」した光が通過するから、本件補正発明の「窓」に相当し、引用発明の「ハウジング305の中の光学フィルタ70から前方に伝わる光が通過する出力ウィンドウ330を含むハウジング305」は、本件補正発明の「放射された光をフィルター処理するために窓を含むハウジング」に相当する。

してみれば、本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点は、次のとおりである。

【一致点】

光線療法システムであって、該光線療法システムは

a.)光線療法用の成分である波長を含む光を放射するための複数の発光ダイオード(LED)であって、複数のLEDから放射された熱を吸収するための熱伝導性コア基板に連結する、複数の発光ダイオード(LED)、

b.)前記複数のLEDを駆動させるように構成された多重チャネル電流ドライバ、

c.)前記多重チャネル電流ドライバに連結されたマイクロプロセッサであって、前記多重チャネル電流ドライバの電流出力を制御する、マイクロプロセッサ、

d.)前記マイクロプロセッサに連結されたユーザーインターフェースであって、ユーザーに前記複数のLEDの制御を提供するように構成された、ユーザーインターフェース、及び

f.)放射された光をフィルター処理するために窓を含むハウジング、

を含む、光線療法システム。

【相違点】

1 本件補正発明は、「e.)コンピューティング装置から無線信号によって情報を受信するための構成された無線受信器」を含むのに対し、引用発明はそのような無線受信器を含まない点。

2 本件補正発明は、「g.)複数のLEDのパフォーマンスデータを送信する送信器」を含むのに対し、引用発明はそのような送信器を含まない点。

(4)判断

以下、相違点1及び2を合わせて検討する。

光学治療システム(すなわち、光学療法システム)において、光学治療装置と制御ユニットを無線で結合して制御信号を連絡することは、例えば、引用文献2(上記(2)ウ(イ)参照。)に記載されているように周知の技術にすぎず、光学治療装置にあたる引用発明の「光学技術を用いてアクネを処置するための装置300」に、別に設けた制御ユニットと制御信号を連絡するための無線受信機及び送信機を設けて、当該制御ユニットと情報の送受信をすることは当業者が容易になし得ることである。

そして、引用文献2記載の光学治療システムは、上記(2)ウ(ア)に記載されているように、光源の制御を行うものであるから、光学治療装置から別に設けた制御ユニットに送信する制御信号には、制御対象である複数のLEDの状態を示す信号(すなわち、パフォーマンスデータ)が含まれているものと認められる。そして、そのための送信手段は「複数のLEDのパフォーマンスデータを送信する送信器」と表現できるから、引用発明に上記周知の技術を適用するにあたって、送信器から送信する制御信号に複数のLEDのパフォーマンスデータを含めることは、引用文献2の記載に基づけば当業者にとって容易である。

してみれば、引用発明に周知の技術及び引用文献2の記載事項を適用して、相違点1及び相違点2に係る事項とすることは当業者であれば容易になし得たことである。

そして、本件補正発明の作用効果は、引用発明、周知の技術及び引用文献2の記載事項から当業者が予測しうる程度のものであって、格別のものとはいえない。

(5)小括

したがって、本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができたものではない。

3 本件補正についてのむすび

以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反してなされたものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定によって却下すべきものである。

よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1 本願発明

本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1~25に係る発明は、令和 4年 7月29日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~25に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2の1(2)に記載したとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定は、拒絶の理由として概ね次の理由を含むものである。

本願発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された引用文献1及び2(原査定の引用文献2及び3)に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

3 引用文献

引用文献1及び2並びにその記載事項は、上記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。

4 対比・判断

本願発明は、上記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、相違点2に係る「g.)複数のLEDのパフォーマンスデータを送信する送信器」を含むとの特定を削除したものである。

そうすると、本願発明と引用発明とは、上記第2の[理由]2で検討した本件補正発明と引用発明との相違点1で相違し、その余の点で一致する。

そして、相違点1の判断について、変わりはない。

よって、本願発明は、引用発明、周知の技術及び引用文献2の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

5 むすび

以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2023-003423

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