特許拒絶査定不服審判
2022-006323
画素駆動回路及び画素駆動方法、アレイ基板及び表示装置
- 審判番号
- 2022-006323
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-505459
- 請求日
- 2022年04月26日
- 審決日
- 2023年01月23日
- 公報発行日
- 2023年07月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
- 【請求人代理人】村山 靖彦
- 【請求人代理人】実広 信哉
- 【請求人】合肥▲シン▼晟光▲電▼科技有限公司
- 【請求人代理人】村山 靖彦
- 【請求人代理人】実広 信哉
- 審判長/審判官
- 審判長 波多江 進
- 審判官 濱本 禎広
- 審判官 濱野 隆
- 分類
- P18 .575-Z (G09G) / P18 .121-Z (G09G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2018-505459「画素駆動回路及び画素駆動方法、アレイ基板及び表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 3月22日国際公開、WO2018/049866、令和 元年10月17日国内公表、特表2019-529960〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2017年(平成29年)6月28日を国際出願日とする外国語特許出願であって(パリ条約による優先権主張外国庁受理2016年9月14日、中国)、その手続の経緯の概略は、以下のとおりである。
令和2年 9月17日付け:拒絶理由通知書(最初)
同年12月28日 :意見書、手続補正書の提出
令和3年 5月31日付け:拒絶理由通知書(最後)
同年 9月 7日 :意見書の提出
同年12月23日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(令和4年 1月 4日 :原査定の謄本の送達)
同年 4月26日 :審判請求書、手続補正書の提出
同年 5月26日付け:前置報告書
同年 6月16日 :上申書の提出
同年 9月 5日 :上申書の提出
第2 令和4年4月26日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和4年4月26日にされた手続補正を却下する。
[補正の却下の決定の理由]
1 補正の内容
令和4年4月26日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についてした補正であり、この補正により、次の(1)に示す本件補正前の請求項1が、後記の(2)に示す本件補正後の請求項1に補正された。下線は、補正箇所を示す。
(1) 本件補正前の請求項1
「 【請求項1】
駆動制御モジュール、第1の駆動モジュール及び第2の駆動モジュールを含む画素駆動回路であって、
前記駆動制御モジュールは、データ線、第1の走査線、第2の走査線及び第1の電圧信号端子に接続され、そして、第1のノード及び第2のノードを介して夫々前記第1の駆動モジュール及び前記第2の駆動モジュールに接続され、且つ、前記第1の走査線が実効電圧信号を出力する場合、前記第1の駆動モジュールと前記第2の駆動モジュールとの中の一つをオンするように制御し、前記第2の走査線が実効電圧信号を出力する場合、前記第1の駆動モジュールと前記第2の駆動モジュールとの中のもう一つをオンするように制御し、
前記第1の駆動モジュールは、前記駆動制御モジュール、第2の電圧信号端子及び発光モジュールに接続され、且つ、前記駆動制御モジュールによって制御されて前記発光モジュールを発光させ、
前記第2の駆動モジュールは、前記駆動制御モジュール、前記第2の電圧信号端子及び前記発光モジュールに接続され、且つ、前記駆動制御モジュールによって制御されて前記発光モジュールを発光させ、
前記駆動制御モジュールが第1のトランジスタ、第2のトランジスタ、第3のトランジスタ、第4のトランジスタ、第1のコンデンサ及び第2のコンデンサを含み、
前記第1のトランジスタの制御極が第1の走査線に結合され、前記第1のトランジスタの第1の極が前記データ線に結合され、前記第1のトランジスタの第2の極が前記第1のノードに結合され、
前記第2のトランジスタの制御極が前記第2の走査線に結合され、前記第2のトランジスタの第1の極が前記データ線に結合され、前記第2のトランジスタの第2の極が前記第2のノードに結合され、
前記第3のトランジスタの制御極が前記第2の走査線に結合され、前記第3のトランジスタの第1の極が前記第1の電圧信号端子に結合され、前記第3のトランジスタの第2の極が前記第1のノードに結合され、
前記第4のトランジスタの制御極が前記第1の走査線に結合され、前記第4のトランジスタの第1の極が前記第1の電圧信号端子に結合され、前記第4のトランジスタの第2の極が前記第2のノードに結合され、
前記第1のコンデンサの第1の端子が前記第1のノードに結合され、前記第1のコンデンサの第2の端子が前記第2のコンデンサの第2の端子に結合され、
前記第2のコンデンサの第1の端子が前記第2のノードに結合され、前記第2のコンデンサの第2の端子が前記第1のコンデンサの第2の端子に結合され、
前記第1の駆動モジュールが第1の駆動トランジスタを含み、前記第1の駆動トランジスタのゲートが前記第1のノードに結合され、前記第1の駆動トランジスタの第1の極が前記第2の電圧信号端子に結合され、前記第1の駆動トランジスタの第2の極が前記発光モジュールに結合され、
前記第2の駆動モジュールが第2の駆動トランジスタを含み、前記第2の駆動トランジスタのゲートが前記第2のノードに結合され、前記第2の駆動トランジスタの第1の極が前記第2の電圧信号端子に結合され、前記第2の駆動トランジスタの第2の極が前記発光モジュールに結合され、
前記第1のコンデンサの第2の端子、前記第2のコンデンサの第2の端子、前記第1の駆動トランジスタの第2の極及び前記第2の駆動トランジスタの第2の極は共通に前記発光モジュールに結合される、
画素駆動回路。」
(2) 本件補正後の請求項1
「 【請求項1】
駆動制御モジュール、第1の駆動モジュール及び第2の駆動モジュールを含む画素駆動回路であって、
前記駆動制御モジュールは、データ線、第1の走査線、第2の走査線及び第1の電圧信号端子に接続され、そして、第1のノード及び第2のノードを介して夫々前記第1の駆動モジュール及び前記第2の駆動モジュールに接続され、且つ、前記第1の走査線が実効電圧信号を出力する場合、前記第1の駆動モジュールと前記第2の駆動モジュールとの中の一つをオンするように制御し、前記第2の走査線が実効電圧信号を出力する場合、前記第1の駆動モジュールと前記第2の駆動モジュールとの中のもう一つをオンするように制御し、
前記第1の駆動モジュールは、前記駆動制御モジュール、第2の電圧信号端子及び発光モジュールに接続され、且つ、前記駆動制御モジュールによって制御されて前記発光モジュールを発光させ、
前記第2の駆動モジュールは、前記駆動制御モジュール、前記第2の電圧信号端子及び前記発光モジュールに接続され、且つ、前記駆動制御モジュールによって制御されて前記発光モジュールを発光させ、
前記駆動制御モジュールが第1のトランジスタ、第2のトランジスタ、第3のトランジスタ、第4のトランジスタ、第1のコンデンサ及び第2のコンデンサを含み、
前記第1のトランジスタの制御極が第1の走査線に結合され、前記第1のトランジスタの第1の極が前記データ線に結合され、前記第1のトランジスタの第2の極が前記第1のノードに結合され、
前記第2のトランジスタの制御極が前記第2の走査線に結合され、前記第2のトランジスタの第1の極が前記データ線に結合され、前記第2のトランジスタの第2の極が前記第2のノードに結合され、
前記第3のトランジスタの制御極が前記第2の走査線に結合され、前記第3のトランジスタの第1の極が前記第1の電圧信号端子に結合され、前記第3のトランジスタの第2の極が前記第1のノードに結合され、
前記第4のトランジスタの制御極が前記第1の走査線に結合され、前記第4のトランジスタの第1の極が前記第1の電圧信号端子に結合され、前記第4のトランジスタの第2の極が前記第2のノードに結合され、
前記第1のコンデンサの第1の端子が前記第1のノードに結合され、前記第1のコンデンサの第2の端子が前記第2のコンデンサの第2の端子に結合され、
前記第2のコンデンサの第1の端子が前記第2のノードに結合され、前記第2のコンデンサの第2の端子が前記第1のコンデンサの第2の端子に結合され、
前記第1の駆動モジュールが第1の駆動トランジスタを含み、前記第1の駆動トランジスタのゲートが前記第1のノードに結合され、前記第1の駆動トランジスタの第1の極が前記第2の電圧信号端子に結合され、前記第1の駆動トランジスタの第2の極が前記発光モジュールに結合され、
前記第2の駆動モジュールが第2の駆動トランジスタを含み、前記第2の駆動トランジスタのゲートが前記第2のノードに結合され、前記第2の駆動トランジスタの第1の極が前記第2の電圧信号端子に結合され、前記第2の駆動トランジスタの第2の極が前記発光モジュールに結合され、
前記第1のコンデンサの第2の端子、前記第2のコンデンサの第2の端子、前記第1の駆動トランジスタの第2の極及び前記第2の駆動トランジスタの第2の極は共通に前記発光モジュールに結合され、
前記第1のコンデンサと前記第2のコンデンサとの容量値は同じであり、前記第1の駆動トランジスタと前記第2の駆動トランジスタとのチャネルパラメータは同じである、
画素駆動回路。」
2 補正の目的
本件補正は、本件補正前の「第1のコンデンサ」及び「第2のコンデンサ」について、「前記第1のコンデンサと前記第2のコンデンサとの容量値は同じであ[る]」ものに限定するとともに、本件補正前の「第1の駆動トランジスタ」及び「第2の駆動トランジスタ」について、「前記第1の駆動トランジスタと前記第2の駆動トランジスタとのチャネルパラメータは同じである」ものに限定するものである。
そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
したがって、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする補正である。
3 独立特許要件の判断
前記2のとおり、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする補正である。そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下検討する。
(1) 本件補正発明
本件補正発明は、前記1(2)の本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。
(2) 引用文献に記載された発明の認定等
ア 引用文献2に記載された事項と引用発明の認定
(ア) 引用文献2に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に発行された特開2009-80199号公報(以下、原査定において引用された順番に従って、この文献を「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている。下線は当合議体が付したものであり、以下同様である。
a 【0004】、【0005】
「【0004】
アクティブマトリクス方式の表示装置は、各画素が表示素子としてのOLEDと、表示素子へ駆動電流を供給する画素回路とから構成される。有機EL表示装置は、表示素子の発光輝度を制御することにより表示動作を行う。画素回路は、例えば、表示素子に直列に接続された駆動トランジスタ(以下、「駆動TFT」ともいう)と、データ線と駆動TFTのゲートとの間に接続されたスイッチトランジスタ(以下、「スイッチTFT」ともいう)と、駆動トランジスタのゲート-ソース間に接続され映像信号に応じた電圧を保持するキャパシタ等を備えている。
【0005】
ところで、液晶セルと異なり、OLEDは電流駆動型自発光素子であるため、表示素子と直列に接続した駆動TFTは絶えずON状態となって、電流を流し続ける必要がある。そのため、時間が経過すると駆動TFTには移動度の低下や閾値電圧Vthの増加といった特性劣化が観察されるようになる。通常、これらTFTの特性劣化は動作時の電流量に変化を及ぼし、有機EL表示装置の動作時に各画素の輝度ムラや焼き付きとなって認識されてしまう。とりわけアモルファスシリコンなど結晶性の低いシリコンから形成されたTFTは、閾値電圧シフトの程度が非常に大きく、実用化の大きな妨げとなっている。」
b 【0015】~【0021】、【図1】
「【0015】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による表示装置の回路図を図1に示す。本実施形態の表示装置は、アクティブマトリクス型表示装置であって、画素アレイ部2と、データ線駆動回路30、走査線駆動回路40と、これら駆動回路30,40の同期をとるコントローラ50とを備えている。
【0016】
画素アレイ部2は、マトリクス状に配置された複数の画素20を有している。図1においては、1個の画素20のみを示している。各画素20は、表示素子21と、2個の駆動TFT22a、22bと、2個の信号スイッチTFT23a、23bと、2個の逆バイアススイッチTFT24a、24bと、2個のキャパシタ25a、25bとを備えている。
【0017】
同一の行方向(図中で横方向)に配列された画素には2本の走査線11,12が設けられ、同一の列方向(図中で縦方向)に配列された画素に1本のデータ線15が設けられている。
【0018】
表示素子21の一端は電源Vddに接続され、他端が駆動TFT22aおよび駆動TFT22bのドレインに接続される。駆動TFT22aおよび駆動TFT22bのソースは接地電源Vssに接続される。
【0019】
信号スイッチTFT23aは、ソースおよびドレインの一方がノードAを介して駆動TFT22aのゲートに接続され、他方がデータ線15に接続され、ゲートが走査線11に接続される。また信号スイッチTFT23bは、ソースおよびドレインの一方がノードBを介して駆動TFT22bのゲートに接続され、他方がデータ線15に接続され、ゲートが走査線12に接続される。
【0020】
逆バイアススイッチTFT24aは、ソースおよびドレインの一方が逆バイアス電源Vrbに接続され、他方はノードAを介して駆動TFT22aのゲートに接続されるとともにキャパシタ25aを介して接地電源Vssに接続され、ゲートが走査線12に接続される。逆バイアススイッチTFT24bは、ソースおよびドレインの一方が逆バイアス電源Vrbに接続され、他方はノードBを介して駆動TFT22bのゲートに接続されるとともにキャパシタ25bを介して接地電源Vssに接続され、ゲートが走査線11に接続される。
【0021】
走査線11および12には、走査線駆動回路40からそれぞれ走査制御信号Vscan1およびVscan1が送出される。データ線15にはデータ線駆動回路30からデータ制御信号Vdataが送出される。」
「【図1】
[図:0001398920000001.jpg]
」(当審注:図1に示された「Vrd」という符号は、【0020】の記載からみて、「Vrb」の誤記であることは明らかである。)
c 【0022】~【0025】、【図2】
「【0022】
次に、本実施形態の表示装置の駆動方法を、図2を参照して説明する。図2は本実施形態の表示装置の駆動波形を示すタイミングチャートである。
【0023】
まず、第1フレームでは、書き込み期間t1に走査線11に走査線駆動回路40から走査パルスVscan1が印加されるとともにデータ線15にデータ線駆動回路30からデータパルスVdataが印加される。この書き込み期間t1では信号スイッチTFT23aと逆バイアススイッチTFT24bがON状態になる。信号スイッチTFT23aがON状態となることによりノードAの電位が上昇し、キャパシタ25aに信号電圧が記憶される。一方、逆バイアススイッチTFT24bがON状態となることにより、ノードBの電位が低下し、キャパシタ25bには逆バイアス電源Vrbの電位が記憶される。このため、書き込み期間t1に続く発光期間t2では、駆動TFT22aが表示素子21に駆動電流を供給することができ、表示素子21が発光する。一方、この発光期間t2では、駆動TFT22bには逆バイアス(信号電圧と逆極性の電圧)が印加され、閾値電圧シフトの抑制が行われる。
【0024】
次に、第2フレームでは、今度は書き込み期間t3に走査線駆動回路40から走査線12に走査パルスVacan2が印加されるとともに(当審注:「Vacan2」は「Vscan2」の誤記であることは明らかである。)、データ線15にデータ線駆動回路30からデータパルスVdataが印加される。このパルス印加期間t3(当審注:「パルス印加期間t3」は「書き込み期間t3」の誤記と認められる。)では、逆バイアススイッチTFT24aと信号スイッチTFT23bがON状態になる。逆バイアススイッチTFT24aがON状態となることにより、ノードAの電位は低下して、キャパシタ25aには逆バイアス電源Vrbの電位が記憶される。一方、信号スイッチTFT23bがON状態となることにより、ノードBの電位が上昇し、キャパシタ25bには信号電圧が記憶される。このため、書き込み期間t3に続く発光期間T4(当審注:「発光期間T4」は「発光期間t4」の誤記と認められる。)では、駆動TFT22bが表示素子21への駆動電流を供給することができ、駆動TFT22aには逆バイアスが印加されて閾値電圧シフトが抑制される。
【0025】
上述した第1フレームと第2フレームとの駆動を交互に行うことによって、デューティ比の低下を起こすことなく、閾値電圧シフトを抑制することができる。」
「【図2】
[図:0001398920000002.jpg]
」
(イ) 引用発明の認定
a 引用文献2から読み取れる事項
(a) 【0004】及び【0016】から、各画素20は、2個の駆動TFT22a、22bと、2個の信号スイッチTFT23a、23bと、2個の逆バイアススイッチTFT24a、24bと、2個のキャパシタ25a、25bを備える画素回路を備えていると認められる。
(b) 【図1】から、キャパシタ25aの一端がノードAに接続され、キャパシタ25bの一端がノードBに接続され、キャパシタ25aの他端がキャパシタ25bの他端及び接地電源Vssに接続されている構成が読み取れる。
b 引用発明の認定
前記(ア)の記載事項及び前記aの認定事項を総合すると、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
<引用発明>
「各画素20が備える、2個の駆動TFT22a、22bと、2個の信号スイッチTFT23a、23bと、2個の逆バイアススイッチTFT24a、24bと、2個のキャパシタ25a、25bを備える画素回路であって(認定事項(a))、
各画素20は、表示素子21を備え(【0016】)、
表示素子21の一端は電源Vddに接続され、他端が駆動TFT22aおよび駆動TFT22bのドレインに接続され、駆動TFT22aおよび駆動TFT22bのソースは接地電源Vssに接続され(【0018】)、
信号スイッチTFT23aは、ソースおよびドレインの一方がノードAを介して駆動TFT22aのゲートに接続され、他方がデータ線15に接続され、ゲートが走査線11に接続され(【0019】)、
信号スイッチTFT23bは、ソースおよびドレインの一方がノードBを介して駆動TFT22bのゲートに接続され、他方がデータ線15に接続され、ゲートが走査線12に接続され(【0019】)、
逆バイアススイッチTFT24aは、ソースおよびドレインの一方が逆バイアス電源Vrbに接続され、他方はノードAを介して駆動TFT22aのゲートに接続されるとともにキャパシタ25aを介して接地電源Vssに接続され、ゲートが走査線12に接続され(【0020】)、
逆バイアススイッチTFT24bは、ソースおよびドレインの一方が逆バイアス電源Vrbに接続され、他方はノードBを介して駆動TFT22bのゲートに接続されるとともにキャパシタ25bを介して接地電源Vssに接続され、ゲートが走査線11に接続され(【0020】)、
キャパシタ25aの一端がノードAに接続され、キャパシタ25bの一端がノードBに接続され、キャパシタ25aの他端がキャパシタ25bの他端及び接地電源Vssに接続され(認定事項(b))、
第1フレームでは、書き込み期間t1に走査線11に走査パルスVscan1が印加され、この書き込み期間t1では信号スイッチTFT23aと逆バイアススイッチTFT24bがON状態になり、信号スイッチTFT23aがON状態となることによりノードAの電位が上昇し、キャパシタ25aに信号電圧が記憶され、書き込み期間t1に続く発光期間t2では、駆動TFT22aが表示素子21に駆動電流を供給することができ、表示素子21が発光し、駆動TFT22bには逆バイアス(信号電圧と逆極性の電圧)が印加され、閾値電圧シフトの抑制が行われ(【0023】)、
第2フレームでは、書き込み期間t3に走査線12に走査パルスVscan2が印加され、この書き込み期間t3では、逆バイアススイッチTFT24aと信号スイッチTFT23bがON状態になり、信号スイッチTFT23bがON状態となることにより、ノードBの電位が上昇し、キャパシタ25bには信号電圧が記憶され、書き込み期間t3に続く発光期間t4では、駆動TFT22bが表示素子21への駆動電流を供給することができ、駆動TFT22aには逆バイアスが印加されて閾値電圧シフトが抑制され(【0024】)、
上述した第1フレームと第2フレームとの駆動を交互に行う(【0025】)、
画素回路。」
イ 引用文献3及び引用文献4に記載された事項と周知技術の認定
(ア) 引用文献3に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に発行された特開2003-271095号公報(以下、原査定において引用された順番に従って、この文献を「引用文献3」という。)には、以下の事項が記載されている。
「【0024】この例の電流制御素子の駆動回路は、図1に示すように、電源線1と接地線2と信号線3との間に接続された、選択ゲートトランジスタ4と、保持容量5と、駆動トランジスタ6と、電流制御素子7と、寄生容量8とから概略構成されている。選択ゲートトランジスタ4は、Nチャネル電界効果トランジスタからなり、ゲート電極を選択線(不図示)に接続され、ドレイン電極を信号線3に接続され、ソース電極を駆動トランジスタ6のゲート電極に接続されている。保持容量5は、駆動トランジスタ6のゲート電極とソース電極の間に接続されてる。駆動トランジスタ6は、Nチャネル電界効果トランジスタからなり、ゲート電極を選択ゲートトランジスタ4のソース電極と保持容量5の一端に接続され、ドレイン電極を電源線1に接続され、ソース電極を電流制御素子7のアノードに接続されている。電流制御素子7は、駆動トランジスタ6のソース電極と接地線2との間に接続され、駆動トランジスタ6の電流ILに応じた輝度で発光する。寄生容量8は、電流制御素子7の両端の寄生容量である。」
「【図1】
[図:0001398920000003.jpg]
」
(イ) 引用文献4に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に発行された特開2008-3542号公報(以下、原査定において引用された順番に従って、この文献を「引用文献4」という。)には、以下の事項が記載されている。
「【0050】
図13及び図14は、図8に示す画素84の第3の実施の形態としての詳細回路と駆動波形を示す図面である。
… (中略) …
【0060】
図15は、図8に示す画素84の第4の実施の形態を示す図面である。
【0061】
図15を参照すると、画素84は、前述の図13の第3の実施の形態に比べて、ストレージキャパシタCstの接続関係のみが異なり、その外の回路構成は図9と実質的に同一である。ストレージキャパシタCstは、第1ノードn1と有機発光ダイオード素子OLEDのアノード電極との間に接続される。このような画素84の駆動波形は図14に示すようであり、その動作は前述の第3の実施の形態と実質的に同一であるため、それについての詳細な説明は省略する。
… (中略) …
【0066】
図18は、図8に示す画素84の第7の実施の形態を示す図面である。
【0067】
図18を参照すると、画素84は、前述の図13の第3の実施の形態に比べて、有機発光ダイオード素子OLED、ストレージキャパシタCst及び第2TFTPM2(当審注:第2TFTNM2の誤記であると認められる。)の接続関係のみが異なり、その外の回路構成は図13と実質的に同一である。有機発光ダイオード素子OLEDのアノード電極は高電位駆動電圧源VDDに接続され、有機発光ダイオード素子OLEDのキャソード電極は第2TFTNM2のドレイン電極に接続される。ストレージキャパシタCstは、第1ノードn1と基底電圧源GNDとの間に接続される。第2TFTNM2は、第1ノードn1に接続されたゲート電極、有機発光ダイオード素子OLEDのキャソード電極に接続されたドレイン電極、及び基底電圧源GNDに接続されたソース電極を含む。このような画素84の駆動波形は図14に示すようであり、その動作は前述の図13の第3の実施の形態と実質的に同一であるため、それについての詳細な説明は省略する。
【0068】
図19は、図8に示す画素84の第8の実施の形態を示す図面である。
【0069】
図19を参照すると、画素84は、前述の図18の第7の実施の形態に比べて、ストレージキャパシタCstの接続関係のみが異なり、その外の回路構成は図18と実質的に同一である。ストレージキャパシタCstは、第1ノードn1と有機発光ダイオード素子OLEDのキャソード電極との間に、即ち、第2TFTNM2のゲート電極とドレイン電極との間に接続される。このような画素84の駆動波形は図14に示すようであり、その動作は前述の図13の第3の実施の形態と実質的に同一であるため、それについての詳細な説明は省略する。」
「【図13】
[図:0001398920000004.jpg]
」
「【図14】
[図:0001398920000005.jpg]
」
「【図15】
[図:0001398920000006.jpg]
」
「【図18】
[図:0001398920000007.jpg]
」
「【図19】
[図:0001398920000008.jpg]
」
(ウ) 周知技術の認定
a 引用文献3の【図1】及び引用文献4の【図15】、【図19】に例示されるように、次の事項は周知技術であると認める。
<周知技術A>
「画素回路において、一端を駆動トランジスタのゲートに接続した保持容量の他端を発光素子に接続する構成。」
b 引用文献4の【0069】、【図18】及び【図19】に例示されるように、次の事項は周知技術であると認める。
<周知技術B>
「画素回路において、一端を駆動トランジスタのゲートに接続した保持容量の他端を、発光素子に接続する構成と接続しない構成において、その回路動作は実質的に同じであり、両者は代替的な関係にあること。」
c 引用文献4の【0061】、【0067】、【図15】及び【図18】に例示されるように、次の事項は周知技術であると認める。
<周知技術C>
「画素回路において、駆動トランジスタと電源VDDの間に発光素子を設ける構成と、駆動トランジスタとGNDの間に発光素子を設ける構成において、その回路動作は実質的に同じであり、両者は代替的な関係にあること。」
(3) 対比・判断A
ア 対比分析
本件補正発明と引用発明を対比する。
(ア)a 引用発明の「信号スイッチTFT23a」は、本件補正発明の「第1のトランジスタ」に相当する。
b 引用発明の「信号スイッチTFT23a」は、ソースおよびドレインの一方がノードAを介して駆動TFT22aのゲートに接続され、他方がデータ線15に接続され、ゲートが走査線11に接続されている。
c 引用発明の前記bに示された構成における、「ソースおよびドレインの一方」、「ノードA」、「(ソースおよびドレインの)他方」、「データ線15」、「ゲート」及び「走査線11」は、それぞれ本件補正発明の「第1のトランジスタの第2の極」、「第1のノード」、「第1のトランジスタの第1の極」、「データ線」、「第1のトランジスタの制御極」及び「第1の走査線」に相当する。
d よって、本件補正発明と引用発明は、「前記第1のトランジスタの制御極が第1の走査線に結合され、前記第1のトランジスタの第1の極が前記データ線に結合され、前記第1のトランジスタの第2の極が前記第1のノードに結合され[る]」構成を備える点で一致する。
(イ)a 引用発明の「信号スイッチTFT23b」は、本件補正発明の「第2のトランジスタ」に相当する。
b 引用発明の「信号スイッチTFT23b」は、ソースおよびドレインの一方がノードBを介して駆動TFT22bのゲートに接続され、他方がデータ線15に接続され、ゲートが走査線12に接続されている。
c 引用発明の前記bに示された構成における、「ソースおよびドレインの一方」、「ノードB」、「(ソースおよびドレインの)他方」、「データ線15」、「ゲート」及び「走査線12」は、それぞれ本件補正発明の「第2のトランジスタの第2の極」、「第2のノード」、「第2のトランジスタの第1の極」、「データ線」、「第2のトランジスタの制御極」及び「第2の走査線」に相当する。
d よって、本件補正発明と引用発明は、「前記第2のトランジスタの制御極が前記第2の走査線に結合され、前記第2のトランジスタの第1の極が前記データ線に結合され、前記第2のトランジスタの第2の極が前記第2のノードに結合され[る]」構成を備える点で一致する。
(ウ)a 引用発明の「逆バイアススイッチTFT24a」は、本件補正発明の「第3のトランジスタ」に相当する。
b 引用発明の「逆バイアススイッチTFT24a」は、ソースおよびドレインの一方が逆バイアス電源Vrbに接続され、他方はノードAを介して駆動TFT22aのゲートに接続されるとともにキャパシタ25aを介して接地電源Vssに接続され、ゲートが走査線12に接続されている。
c 引用発明の前記bに示された、「逆バイアススイッチTFT24aは、ソースおよびドレインの一方が逆バイアス電源Vrbに接続され[る]」構成における、「ソースおよびドレインの一方」は、本件補正発明の「第3のトランジスタの第1の極」に相当する。
ここで、通常、TFTのソース又はドレインが、電源と接続する場合は、端子を介して接続されることになるところ、この「逆バイアス電源Vrb」に接続される「端子」は、本件補正発明の「第1の電圧信号端子」に相当する。
d 引用発明の前記bに示された構成における、「(ソースおよびドレインの)他方」、「ノードA」、「ゲート」及び「走査線12」は、それぞれ本件補正発明の「第3のトランジスタの第2の極」、「第1のノード」、「第3のトランジスタの制御極」及び「第2の走査線」に相当する。
e よって、本件補正発明と引用発明は、「前記第3のトランジスタの制御極が前記第2の走査線に結合され、前記第3のトランジスタの第1の極が前記第1の電圧信号端子に結合され、前記第3のトランジスタの第2の極が前記第1のノードに結合され[る]」構成を備える点で一致する。
(エ)a 引用発明の「逆バイアススイッチTFT24b」は、本件補正発明の「第4のトランジスタ」に相当する。
b 引用発明の「逆バイアススイッチTFT24b」は、ソースおよびドレインの一方が逆バイアス電源Vrbに接続され、他方はノードBを介して駆動TFT22bのゲートに接続されるとともにキャパシタ25bを介して接地電源Vssに接続され、ゲートが走査線11に接続されている。
c 引用発明の前記bに示された、「逆バイアススイッチTFT24bは、ソースおよびドレインの一方が逆バイアス電源Vrbに接続され[る]」構成における、「ソースおよびドレインの一方」は、本件補正発明の「第4のトランジスタの第1の極」に相当する。
ここで、通常、TFTのソース又はドレインが、電源と接続する場合は、端子を介して接続されることになるところ、この「逆バイアス電源Vrb」に接続される「端子」は、本件補正発明の「第1の電圧信号端子」に相当する。
d 引用発明の前記bに示された構成における、「(ソースおよびドレインの)他方」、「ノードB」、「ゲート」及び「走査線11」は、それぞれ本件補正発明の「第4のトランジスタの第2の極」、「第2のノード」、「第4のトランジスタの制御極」及び「第1の走査線」に相当する。
e よって、本件補正発明と引用発明は、「前記第4のトランジスタの制御極が前記第1の走査線に結合され、前記第4のトランジスタの第1の極が前記第1の電圧信号端子に結合され、前記第4のトランジスタの第2の極が前記第2のノードに結合され[る]」構成を備える点で一致する。
(オ)a 引用発明の「キャパシタ25a」、「キャパシタ25aの一端」、「ノードA」及び「キャパシタ25aの他端」は、それぞれ本件補正発明の「第1のコンデンサ」、「第1のコンデンサの第1の端子」、「第1のノード」及び「第1のコンデンサの第2の端子」に相当する。
b 引用発明の「キャパシタ25b」、「キャパシタ25bの一端」、「ノードB」及び「キャパシタ25bの他端」は、それぞれ本件補正発明の「第2のコンデンサ」、「第2のコンデンサの第1の端子」、「第2のノード」及び「第2のコンデンサの第2の端子」に相当する。
c 引用発明は、「キャパシタ25aの一端がノードAに接続され、キャパシタ25bの一端がノードBに接続され、キャパシタ25aの他端がキャパシタ25bの他端及び接地電源Vssに接続され[る]」ものである。
d よって、本件補正発明と引用発明は、「前記第1のコンデンサの第1の端子が前記第1のノードに結合され、前記第1のコンデンサの第2の端子が前記第2のコンデンサの第2の端子に結合され、前記第2のコンデンサの第1の端子が前記第2のノードに結合され、前記第2のコンデンサの第2の端子が前記第1のコンデンサの第2の端子に結合され[る]」構成を備える点で一致する。
(カ)a 引用発明の「駆動TFT22a」は、ゲートがノードAを介して信号スイッチTFT23aのソースおよびドレインの一方に接続されているから、ゲートがノードAに接続されていることは明らかである。
また、引用発明の「駆動TFT22a」は、ドレインが表示素子21の他端に接続され、ソースが接地電源Vssに接続されている。
b そして、引用発明の「駆動TFT22a」、「(駆動TFT22aの)ドレイン」、「(駆動TFT22aの)ソース」、「ノードA」及び「表示素子21」は、それぞれ本件補正発明の「第1の駆動トランジスタ」、「第1の駆動トランジスタの第2の極」、「第1の駆動トランジスタの第1の極」、「第1のノード」及び「発光モジュール」に相当する。
c ここで、通常、TFTのソース又はドレインが、電源と接続する場合は、端子を介して接続されることになるところ、「接地電源Vss」に接続される「端子」は、本件補正発明の「第2の電圧信号端子」に相当する。
d また、引用発明の「駆動TFT22a」は、本件補正発明の「第1の駆動トランジスタ」を含む「第1の駆動モジュール」にも相当する。
e よって、本件補正発明と引用発明は、「前記第1の駆動モジュールが第1の駆動トランジスタを含み、前記第1の駆動トランジスタのゲートが前記第1のノードに結合され、前記第1の駆動トランジスタの第1の極が前記第2の電圧信号端子に結合され、前記第1の駆動トランジスタの第2の極が前記発光モジュールに結合され[る]」構成を備える点で一致する。
(キ)a 引用発明の「駆動TFT22b」は、ゲートがノードBを介して信号スイッチTFT23bのソースおよびドレインの一方に接続されているから、ゲートがノードBに接続されていることは明らかである。
また、引用発明の「駆動TFT22b」は、ドレインが表示素子21の他端に接続され、ソースが接地電源Vssに接続されている。
b そして、引用発明の「駆動TFT22b」、「(駆動TFT22bの)ドレイン」、「(駆動TFT22bの)ソース」、「ノードB」及び「表示素子21」は、それぞれ本件補正発明の「第2の駆動トランジスタ」、「第2の駆動トランジスタの第2の極」、「第2の駆動トランジスタの第1の極」、「第2のノード」及び「発光モジュール」に相当する。
c ここで、「接地電源Vss」に接続される「端子」が、本件補正発明の「第2の電圧信号端子」に相当することは、前記(カ)cで説示したとおりである。
d また、引用発明の「駆動TFT22b」は、本件補正発明の「第2の駆動トランジスタ」を含む「第2の駆動モジュール」にも相当する。
e よって、本件補正発明と引用発明は、「前記第2の駆動モジュールが第2の駆動トランジスタを含み、前記第2の駆動トランジスタのゲートが前記第2のノードに結合され、前記第2の駆動トランジスタの第1の極が前記第2の電圧信号端子に結合され、前記第2の駆動トランジスタの第2の極が前記発光モジュールに結合され[る]」構成を備える点で一致する。
(ク)a 引用発明においては、「駆動TFT22a…のドレイン」及び「駆動TFT22bのドレイン」は、共通に表示素子21の他端に接続されている。
b 前記(カ)及び(キ)に示したとおり、引用発明の「駆動TFT22a」及び「駆動TFT22b」は、それぞれ本件補正発明の「第1の駆動トランジスタ」及び「第2の駆動トランジスタ」に相当する。
また、前記(カ)b及び(キ)bに示したとおり、引用発明の「駆動TFT22a…のドレイン」及び「駆動TFT22bのドレイン」は、それぞれ本件補正発明の「第1の駆動トランジスタの第2の極」及び「第2の駆動トランジスタの第2の極」に相当する。
c よって、本件補正発明と引用発明は、「前記第1の駆動トランジスタの第2の極及び前記第2の駆動トランジスタの第2の極は共通に前記発光モジュールに結合され[る]」構成を備える点で共通する。
(ケ) 前記(ア)~(オ)を踏まえると、引用発明の「2個の信号スイッチTFT23a、23b」、「2個の逆バイアススイッチTFT24a、24b」及び「2個のキャパシタ25a、25b」からなる構成は、本件補正発明の「第1のトランジスタ、第2のトランジスタ、第3のトランジスタ、第4のトランジスタ、第1のコンデンサ及び第2のコンデンサを含[む]」「駆動制御モジュール」に相当する。
(コ)a 前記(ア)~(エ)及び(ケ)の検討事項を踏まえると、本件補正発明と引用発明は、「前記駆動制御モジュールは、データ線、第1の走査線、第2の走査線及び第1の電圧信号端子に接続され[る]」構成を備える点で一致する。
b(a) 引用発明では、「信号スイッチTFT23aは、ソースおよびドレインの一方がノードAを介して駆動TFT22aのゲートに接続され」ており、引用発明の「信号スイッチTFT23a」、「ノードA」及び「駆動TFT22a」は、それぞれ本件補正発明の「駆動制御モジュール」に含まれる「第1のトランジスタ」、「第1のノード」及び「第1の駆動モジュール」に相当することは先に説示したとおりである。
(b) また、引用発明では、「信号スイッチTFT23bは、ソースおよびドレインの一方がノードBを介して駆動TFT22bのゲートに接続され」ており、引用発明の「信号スイッチTFT23b」、「ノードB」及び「駆動TFT22b」は、それぞれ本件補正発明の「駆動制御モジュール」に含まれる「第2のトランジスタ」、「第2のノード」及び「第2の駆動モジュール」に相当することは先に説示したとおりである。
(c) よって、本件補正発明と引用発明は、「前記駆動制御モジュール」は、「第1のノード及び第2のノードを介して夫々前記第1の駆動モジュール及び前記第2の駆動モジュールに接続され[る]」構成を備える点で一致する。
c 引用発明の第1フレームでは、書き込み期間t1に走査線11に走査パルスVscan1が印加され、信号スイッチTFT23aと逆バイアススイッチTFT24bがON状態となることにより、キャパシタ25aに信号電圧が記憶され、書き込み期間t1に続く発光期間t2では、駆動TFT22aが表示素子21に駆動電流を供給し、駆動TFT22bには逆バイアス(信号電圧と逆極性の電圧)が印加される。
よって、本件補正発明と引用発明は、「前記駆動制御モジュール」は、「前記第1の走査線が実効電圧信号を出力する場合、前記第1の駆動モジュールと前記第2の駆動モジュールとの中の一つをオンするように制御[する]」構成を備える点で一致する。
d 引用発明の第2フレームでは、書き込み期間t3に走査線12に走査パルスVscan2が印加され、逆バイアススイッチTFT24aと信号スイッチTFT23bがON状態になることにより、キャパシタ25bには信号電圧が記憶され、書き込み期間t3に続く発光期間t4では、駆動TFT22bが表示素子21への駆動電流を供給し、駆動TFT22aには逆バイアスが印加される。
よって、本件補正発明と引用発明は、「前記駆動制御モジュール」は、「前記第2の走査線が実効電圧信号を出力する場合、前記第1の駆動モジュールと前記第2の駆動モジュールとの中のもう一つをオンするように制御[する]」構成を備える点で一致する。
e 前記a~dをまとめると、本件補正発明と引用発明は、「前記駆動制御モジュールは、データ線、第1の走査線、第2の走査線及び第1の電圧信号端子に接続され、そして、第1のノード及び第2のノードを介して夫々前記第1の駆動モジュール及び前記第2の駆動モジュールに接続され、且つ、前記第1の走査線が実効電圧信号を出力する場合、前記第1の駆動モジュールと前記第2の駆動モジュールとの中の一つをオンするように制御し、前記第2の走査線が実効電圧信号を出力する場合、前記第1の駆動モジュールと前記第2の駆動モジュールとの中のもう一つをオンするように制御[する]」構成を備える点で一致する。
(サ)a 本件補正発明の「第1の駆動モジュール」に相当する引用発明の「駆動TFT22a」(前記(カ)d参照)は、ゲートが本件補正発明の「駆動制御モジュール」に含まれる「第1のトランジスタ」に相当する信号スイッチTFT23a(前記(ア)a、(ケ)参照)のソースおよびドレインの一方に接続され、ソースが本件補正発明の「第2の電圧信号端子」に相当する接地電源Vssに接続される端子(前記(カ)c参照)に接続され、ドレインが本件補正発明の「発光モジュール」に相当する表示素子21(前記(カ)b参照)の他端に接続されている。
b 引用発明において、第1フレームでは、信号スイッチTFT23aがON状態となることにより、キャパシタ25aに信号電圧が記憶され、駆動TFT22aが表示素子21に駆動電流を供給することができ、表示素子21が発光することは、本件補正発明の、「第1の駆動モジュールは…駆動制御モジュールによって制御されて前記発光モジュールを発光させ[る]」ことに相当する。
c 前記a及びbをまとめると、本件補正発明と引用発明は、「前記第1の駆動モジュールは、前記駆動制御モジュール、第2の電圧信号端子及び発光モジュールに接続され、且つ、前記駆動制御モジュールによって制御されて前記発光モジュールを発光させ[る]」構成を備える点で一致する。
(シ)a 本件補正発明の「第2の駆動モジュール」に相当する引用発明の「駆動TFT22b」(前記(キ)d参照)は、ゲートが本件補正発明の「駆動制御モジュール」に含まれる「第2のトランジスタ」に相当する信号スイッチTFT23b(前記(イ)a、(ケ)参照)のソースおよびドレインの一方に接続され、ソースが本件補正発明の「第2の電圧信号端子」に相当する接地電源Vssに接続される端子(前記(キ)c参照)に接続され、ドレインが本件補正発明の「発光モジュール」に相当する表示素子21(前記(キ)b参照)の他端に接続されている。
b 引用発明において、第2フレームでは、信号スイッチTFT23bがON状態となることにより、キャパシタ25bに信号電圧が記憶され、駆動TFT22bが表示素子21に駆動電流を供給させることは、本件補正発明の、「第2の駆動モジュールは…駆動制御モジュールによって制御されて前記発光モジュールを発光させ[る]」ことに相当する。
c 前記a及びbをまとめると、本件補正発明と引用発明は、「前記第2の駆動モジュールは、前記駆動制御モジュール、第2の電圧信号端子及び発光モジュールに接続され、且つ、前記駆動制御モジュールによって制御されて前記発光モジュールを発光させ[る]」構成を備える点で一致する。
(ス) 引用発明の「2個の駆動TFT22a、22bと、2個の信号スイッチTFT23a、23bと、2個の逆バイアススイッチTFT24a、24bと、2個のキャパシタ25a、25bを備える画素回路」は、前記(ケ)、(カ)d及び(キ)dの検討事項を踏まえると、本件補正発明の「駆動制御モジュール、第1の駆動モジュール及び第2の駆動モジュールを含む画素駆動回路」に相当する。
イ 一致点及び相違点
前記アの対比分析の検討結果を総合すると、本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点は、それぞれ次に示すとおりである。
(ア) 一致点
駆動制御モジュール、第1の駆動モジュール及び第2の駆動モジュールを含む画素駆動回路であって、
前記駆動制御モジュールは、データ線、第1の走査線、第2の走査線及び第1の電圧信号端子に接続され、そして、第1のノード及び第2のノードを介して夫々前記第1の駆動モジュール及び前記第2の駆動モジュールに接続され、且つ、前記第1の走査線が実効電圧信号を出力する場合、前記第1の駆動モジュールと前記第2の駆動モジュールとの中の一つをオンするように制御し、前記第2の走査線が実効電圧信号を出力する場合、前記第1の駆動モジュールと前記第2の駆動モジュールとの中のもう一つをオンするように制御し、
前記第1の駆動モジュールは、前記駆動制御モジュール、第2の電圧信号端子及び発光モジュールに接続され、且つ、前記駆動制御モジュールによって制御されて前記発光モジュールを発光させ、
前記第2の駆動モジュールは、前記駆動制御モジュール、前記第2の電圧信号端子及び前記発光モジュールに接続され、且つ、前記駆動制御モジュールによって制御されて前記発光モジュールを発光させ、
前記駆動制御モジュールが第1のトランジスタ、第2のトランジスタ、第3のトランジスタ、第4のトランジスタ、第1のコンデンサ及び第2のコンデンサを含み、
前記第1のトランジスタの制御極が第1の走査線に結合され、前記第1のトランジスタの第1の極が前記データ線に結合され、前記第1のトランジスタの第2の極が前記第1のノードに結合され、
前記第2のトランジスタの制御極が前記第2の走査線に結合され、前記第2のトランジスタの第1の極が前記データ線に結合され、前記第2のトランジスタの第2の極が前記第2のノードに結合され、
前記第3のトランジスタの制御極が前記第2の走査線に結合され、前記第3のトランジスタの第1の極が前記第1の電圧信号端子に結合され、前記第3のトランジスタの第2の極が前記第1のノードに結合され、
前記第4のトランジスタの制御極が前記第1の走査線に結合され、前記第4のトランジスタの第1の極が前記第1の電圧信号端子に結合され、前記第4のトランジスタの第2の極が前記第2のノードに結合され、
前記第1のコンデンサの第1の端子が前記第1のノードに結合され、前記第1のコンデンサの第2の端子が前記第2のコンデンサの第2の端子に結合され、
前記第2のコンデンサの第1の端子が前記第2のノードに結合され、前記第2のコンデンサの第2の端子が前記第1のコンデンサの第2の端子に結合され、
前記第1の駆動モジュールが第1の駆動トランジスタを含み、前記第1の駆動トランジスタのゲートが前記第1のノードに結合され、前記第1の駆動トランジスタの第1の極が前記第2の電圧信号端子に結合され、前記第1の駆動トランジスタの第2の極が前記発光モジュールに結合され、
前記第2の駆動モジュールが第2の駆動トランジスタを含み、前記第2の駆動トランジスタのゲートが前記第2のノードに結合され、前記第2の駆動トランジスタの第1の極が前記第2の電圧信号端子に結合され、前記第2の駆動トランジスタの第2の極が前記発光モジュールに結合され、
前記第1の駆動トランジスタの第2の極及び前記第2の駆動トランジスタの第2の極は共通に前記発光モジュールに結合される、
画素駆動回路、である点。
(イ) 相違点
a 相違点1
本件補正発明においては、「前記第1のコンデンサの第2の端子、前記第2のコンデンサの第2の端子、前記第1の駆動トランジスタの第2の極及び前記第2の駆動トランジスタの第2の極は共通に前記発光モジュールに結合され[る]」のに対して、
引用発明においては、表示素子21の他端が、駆動TFT22a及び駆動TFT22bのドレインに接続されているが、キャパシタ25a及びキャパシタ25bの他端には接続されていない点。
b 相違点2
本件補正発明においては、「前記第1のコンデンサと前記第2のコンデンサとの容量値は同じであり、前記第1の駆動トランジスタと前記第2の駆動トランジスタとのチャネルパラメータは同じである」のに対して、
引用発明においては、キャパシタ25aとキャパシタ25bの容量値が同じであるか不明であり、駆動TFT22aと駆動TFT22bのチャネルパラメータが同じであるか不明な点。
ウ 当審の判断
(ア) 相違点1について
前記相違点1について検討する。
前記(2)イ(ウ)において、周知技術Aとして示したとおり、画素回路において、一端を駆動トランジスタのゲートに接続した保持容量の他端を発光素子に接続する構成は周知であり、また周知技術Bとして示したとおり、一端を駆動トランジスタのゲートに接続した保持容量の他端を、発光素子に接続する構成と発光素子に接続しない構成の両方において、その回路動作は実質的に同じであり、両者は代替的な関係にあることも周知である。
よって、引用発明において、前記周知技術A及びBを適用し、キャパシタ25aの他端とキャパシタ25bの他端を、表示素子21の他端に接続することにより、「駆動TFT22a及び駆動TFT22bのドレイン」、「キャパシタ25aの他端」及び「キャパシタ25bの他端」を共通に「表示素子21」の他端に接続する構成として、前記相違点1に係る構成とすることは、当業者が適宜になし得たことである。
(イ) 相違点2について
前記相違点2について検討する。
引用文献2の【図1】に図示されているように、表示素子21の左側及び右側において、駆動TFT22a及び22b、信号スイッチTFT23a及び23b、逆バイアススイッチTFT24a及び24b、キャパシタ25a及び25bは対称に配置されているから、引用発明において、走査パルスVscan1及びVscan2により、連続する第1フレームと第2フレームで発光期間と逆バイアス印加期間を交互に実現するためには、表示素子21の左側と右側において、駆動回路を構成する回路要素のパラメータを同一のものに設定することは当然要請されるべき事項であるといえる。
さらに、表示装置においては、同じ画像データが入力された場合に、同じ輝度の画像を表示することは当然に求められている機能であるから、当該観点からみても、連続する第1フレームと第2フレームで同じ画像データが入力された場合に、同じ輝度の画像を表示するように、両駆動回路を構成する回路要素のパラメータを同一のものに設定すべきことは明らかである。
そして、引用文献2の全記載をみても、引用発明において、キャパシタ25aとキャパシタ25bの容量値や、駆動TFT22aと駆動TFT22bのチャネルパラメータが異なると解すべき事情は存在しない。また、キャパシタ25aとキャパシタ25bの容量値や、駆動TFT22aと駆動TFT22bのチャネルパラメータを同じにすることは、当業者が当然に考慮すべき設計事項にすぎない。
よって、引用発明において、前記相違点2は実質的な相違点ではないか、実質的な相違点であったとしても、前記相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(ウ) 総合検討
前記(ア)及び(イ)において検討したとおり、引用発明において前記相違点1及び相違点2に係る構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
そして、前記相違点1及び相違点2を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明並びに周知技術A及びBから予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
したがって、本件補正発明は、引用発明並びに周知技術A及びBに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(4) 対比・判断B
ア 対比分析
本件補正発明と引用発明を対比する。
前記(3)アの対比分析においては、
引用発明の「駆動TFT22a」の「ドレイン」及び「ソース」が、本件補正発明の「第1の駆動トランジスタ」の「第2の極」及び「第1の極」に相当し、引用発明の「駆動TFT22b」の「ドレイン」及び「ソース」が、本件補正発明の「第2の駆動トランジスタ」の「第2の極」及び「第1の極」に相当し、引用発明の「接地電源Vss」に接続される「端子」が、本件補正発明の「第2の電圧信号端子」に相当するものとしたが、
引用発明の「駆動TFT22a」の「ドレイン」及び「ソース」が、本件補正発明の「第1の駆動トランジスタ」の「第1の極」及び「第2の極」に相当し、引用発明の「駆動TFT22b」の「ドレイン」及び「ソース」が、本件補正発明の「第2の駆動トランジスタ」の「第1の極」及び「第2の極」に相当し、引用発明の「電源Vdd」に接続される「端子」が、本件補正発明の「第2の電圧信号端子」に相当すると考えることも可能である。
その場合、前記(3)アの(カ)、(キ)、(ク)、(サ)及び(シ)の相当関係は、下記の(カ’)、(キ’)、(ク’)、(サ’)及び(シ’)の相当関係となる。その他の箇所については、前記(3)アと同様である。
(カ’)a 引用発明の「駆動TFT22a」は、ゲートがノードAを介して信号スイッチTFT23aのソースおよびドレインの一方に接続されているから、ゲートがノードAに接続されていることは明らかである。
また、引用発明の「駆動TFT22a」は、ドレインが表示素子21の他端に接続され、ソースが接地電源Vssに接続されている。
b そして、引用発明の「駆動TFT22a」、「(駆動TFT22aの)ドレイン」、「(駆動TFT22aの)ソース」、「ノードA」及び「表示素子21」は、それぞれ本件補正発明の「第1の駆動トランジスタ」、「第1の駆動トランジスタの第1の極」、「第1の駆動トランジスタの第2の極」、「第1のノード」及び「発光モジュール」に相当する。
c また、引用発明の「駆動TFT22a」は、本件補正発明の「第1の駆動トランジスタ」を含む「第1の駆動モジュール」にも相当する。
d よって、本件補正発明と引用発明は、「前記第1の駆動モジュールが第1の駆動トランジスタを含み、前記第1の駆動トランジスタのゲートが前記第1のノードに結合され[る]」構成を備える点で共通する。
(キ’)a 引用発明の「駆動TFT22b」は、ゲートがノードBを介して信号スイッチTFT23bのソースおよびドレインの一方に接続されているから、ゲートがノードBに接続されていることは明らかである。
また、引用発明の「駆動TFT22b」は、ドレインが表示素子21の他端に接続され、ソースが接地電源Vssに接続されている。
b そして、引用発明の「駆動TFT22b」、「(駆動TFT22bの)ドレイン」、「(駆動TFT22bの)ソース」、「ノードB」及び「表示素子21」は、それぞれ本件補正発明の「第2の駆動トランジスタ」、「第2の駆動トランジスタの第1の極」、「第2の駆動トランジスタの第2の極」、「第2のノード」及び「発光モジュール」に相当する。
c また、引用発明の「駆動TFT22b」は、本件補正発明の「第2の駆動トランジスタ」を含む「第2の駆動モジュール」にも相当する。
d よって、本件補正発明と引用発明は、「前記第2の駆動モジュールが第2の駆動トランジスタを含み、前記第2の駆動トランジスタのゲートが前記第2のノードに結合され[る]」構成を備える点で共通する。
(ク’)a 引用発明においては、「キャパシタ25aの他端がキャパシタ25bの他端及び接地電源Vssに接続され」、「駆動TFT22aおよび駆動TFT22bのソースは接地電源Vssに接続され[る]」構成を備えているから、「キャパシタ25aの他端」、「キャパシタ25bの他端」、「駆動TFT22aのソース」及び「駆動TFT22bのソース」は、共通に接地電源Vssに接続されている。
b 前記(オ)~(キ’)に示したとおり、引用発明の「キャパシタ25a」、「キャパシタ25b」、「駆動TFT22a」及び「駆動TFT22b」は、それぞれ本件補正発明の「第1のコンデンサ」、「第2のコンデンサ」、「第1の駆動トランジスタ」及び「第2の駆動トランジスタ」に相当する。
c 前記(オ)a、bに示したとおり、引用発明の「キャパシタ25aの他端」及び「キャパシタ25bの他端」は、それぞれ本件補正発明の「第1のコンデンサの第2の端子」及び「第2のコンデンサの第2の端子」に相当する。
d 前記(カ’)b及び(キ’)bに示したとおり、引用発明の「駆動TFT22a…のソース」及び「駆動TFT22bのソース」は、それぞれ本件補正発明の「第1の駆動トランジスタの第2の極」及び「第2の駆動トランジスタの第2の極」に相当する。
e よって、本件補正発明と引用発明は、「前記第1のコンデンサの第2の端子、前記第2のコンデンサの第2の端子、前記第1の駆動トランジスタの第2の極及び前記第2の駆動トランジスタの第2の極は共通に結合され[る]」構成を備える点で共通する。
(サ’)a 本件補正発明の「第1の駆動モジュール」に相当する引用発明の「駆動TFT22a」(前記(カ’)c参照)は、ゲートが本件補正発明の「駆動制御モジュール」に含まれる「第1のトランジスタ」に相当する信号スイッチTFT23a(前記(ア)a、(ケ)参照)のソースおよびドレインの一方に接続され、ソースが接地電源Vssに接続され、ドレインが本件補正発明の「発光モジュール」に相当する表示素子21(前記(カ’)b参照)の他端に接続されている。
b 引用発明の「表示素子21」の一端は、電源Vddに接続されている。
ここで、通常、OLED等の表示素子が、電源と接続する場合は、端子を介して接続されることになるから、引用発明の「表示素子21」の一端は、端子を介して電源Vddに接続されることになり、この「端子」が、本件補正発明の「第2の電圧信号端子」に相当する。
よって、前記aを踏まえると、引用発明の「駆動TFT22a」のドレインと、本件補正発明の「第2の電圧信号端子」に相当する「電源Vdd」に接続される「端子」は、表示素子21を介して接続されており、直接、接続されていない。
c 引用発明において、第1フレームでは、信号スイッチTFT23aがON状態となることにより、キャパシタ25aに信号電圧が記憶され、駆動TFT22aが表示素子21に駆動電流を供給することができ、表示素子21が発光することは、本件補正発明の、「第1の駆動モジュールは…駆動制御モジュールによって制御されて前記発光モジュールを発光させ[る]」ことに相当する。
d 前記a~cをまとめると、本件補正発明と引用発明は、「前記第1の駆動モジュールは、前記駆動制御モジュール及び発光モジュールに接続され、且つ、前記駆動制御モジュールによって制御されて前記発光モジュールを発光させ[る]」構成を備える点で共通する。
(シ’)a 本件補正発明の「第2の駆動モジュール」に相当する引用発明の「駆動TFT22b」(前記(キ’)c参照)は、ゲートが本件補正発明の「駆動制御モジュール」に含まれる「第2のトランジスタ」に相当する信号スイッチTFT23b(前記(イ)a、(ケ)参照)のソースおよびドレインの一方に接続され、ソースが接地電源Vssに接続され、ドレインが本件補正発明の「発光モジュール」に相当する表示素子21(前記(キ’)b参照)の他端に接続されている。
b 引用発明の「表示素子21」の一端は、端子を介して電源Vddに接続されることになり、この「端子」が、本件補正発明の「第2の電圧信号端子」に相当することは、前記(サ’)bで説示したとおりである。
よって、前記aを踏まえると、引用発明の「駆動TFT22b」のドレインと、本件補正発明の「第2の電圧信号端子」に相当する「電源Vdd」に接続される「端子」は、表示素子21を介して接続されており、直接、接続されていない。
c 引用発明において、第2フレームでは、信号スイッチTFT23bがON状態となることにより、キャパシタ25bに信号電圧が記憶され、駆動TFT22bが表示素子21に駆動電流を供給させることは、本件補正発明の、「第2の駆動モジュールは…駆動制御モジュールによって制御されて前記発光モジュールを発光させ[る]」ことに相当する。
d 前記a~cをまとめると、本件補正発明と引用発明は、「前記第2の駆動モジュールは、前記駆動制御モジュール及び前記発光モジュールに接続され、且つ、前記駆動制御モジュールによって制御されて前記発光モジュールを発光させ[る]」構成を備える点で共通する。
イ 一致点及び相違点
前記アの対比分析の検討結果を総合すると、本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点は、それぞれ次に示すとおりである。
(ア) 一致点
駆動制御モジュール、第1の駆動モジュール及び第2の駆動モジュールを含む画素駆動回路であって、
前記駆動制御モジュールは、データ線、第1の走査線、第2の走査線及び第1の電圧信号端子に接続され、そして、第1のノード及び第2のノードを介して夫々前記第1の駆動モジュール及び前記第2の駆動モジュールに接続され、且つ、前記第1の走査線が実効電圧信号を出力する場合、前記第1の駆動モジュールと前記第2の駆動モジュールとの中の一つをオンするように制御し、前記第2の走査線が実効電圧信号を出力する場合、前記第1の駆動モジュールと前記第2の駆動モジュールとの中のもう一つをオンするように制御し、
前記第1の駆動モジュールは、前記駆動制御モジュール及び発光モジュールに接続され、且つ、前記駆動制御モジュールによって制御されて前記発光モジュールを発光させ、
前記第2の駆動モジュールは、前記駆動制御モジュール及び前記発光モジュールに接続され、且つ、前記駆動制御モジュールによって制御されて前記発光モジュールを発光させ、
前記駆動制御モジュールが第1のトランジスタ、第2のトランジスタ、第3のトランジスタ、第4のトランジスタ、第1のコンデンサ及び第2のコンデンサを含み、
前記第1のトランジスタの制御極が第1の走査線に結合され、前記第1のトランジスタの第1の極が前記データ線に結合され、前記第1のトランジスタの第2の極が前記第1のノードに結合され、
前記第2のトランジスタの制御極が前記第2の走査線に結合され、前記第2のトランジスタの第1の極が前記データ線に結合され、前記第2のトランジスタの第2の極が前記第2のノードに結合され、
前記第3のトランジスタの制御極が前記第2の走査線に結合され、前記第3のトランジスタの第1の極が前記第1の電圧信号端子に結合され、前記第3のトランジスタの第2の極が前記第1のノードに結合され、
前記第4のトランジスタの制御極が前記第1の走査線に結合され、前記第4のトランジスタの第1の極が前記第1の電圧信号端子に結合され、前記第4のトランジスタの第2の極が前記第2のノードに結合され、
前記第1のコンデンサの第1の端子が前記第1のノードに結合され、前記第1のコンデンサの第2の端子が前記第2のコンデンサの第2の端子に結合され、
前記第2のコンデンサの第1の端子が前記第2のノードに結合され、前記第2のコンデンサの第2の端子が前記第1のコンデンサの第2の端子に結合され、
前記第1の駆動モジュールが第1の駆動トランジスタを含み、前記第1の駆動トランジスタのゲートが前記第1のノードに結合され、
前記第2の駆動モジュールが第2の駆動トランジスタを含み、前記第2の駆動トランジスタのゲートが前記第2のノードに結合され、
前記第1のコンデンサの第2の端子、前記第2のコンデンサの第2の端子、前記第1の駆動トランジスタの第2の極及び前記第2の駆動トランジスタの第2の極は共通に結合される、
画素駆動回路、である点。
(イ) 相違点
a 相違点1
本件補正発明においては、
「前記第1の駆動モジュール」及び「前記第1の駆動トランジスタの第1の極」が「前記第2の電圧信号端子」に結合され、「前記第1の駆動トランジスタの第2の極」が「前記発光モジュール」に結合され、
「前記第2の駆動モジュール」及び「前記第2の駆動トランジスタの第1の極」が「前記第2の電圧信号端子」に結合され、「前記第2の駆動トランジスタの第2の極」が「前記発光モジュール」に結合され、
「前記第1のコンデンサの第2の端子、前記第2のコンデンサの第2の端子、前記第1の駆動トランジスタの第2の極及び前記第2の駆動トランジスタの第2の極は共通に前記発光モジュールに結合され[ている]」
のに対して、
引用発明においては、
「駆動TFT22aのドレイン」及び「駆動TFT22bのドレイン」は、電源Vddでなく、表示素子21に接続され、
「駆動TFT22aのソース」及び「駆動TFT22bのソース」は、表示素子21でなく、接地電源Vssに接続され、
「キャパシタ25aの他端」、「キャパシタ25bの他端」、「駆動TFT22aのソース」及び「駆動TFT22bのソース」は共通に接続されているものの、表示素子21でなく、接地電源Vssに接続されている点。
b 相違点2
本件補正発明においては、「前記第1のコンデンサと前記第2のコンデンサとの容量値は同じであり、前記第1の駆動トランジスタと前記第2の駆動トランジスタとのチャネルパラメータは同じである」のに対して、
引用発明においては、キャパシタ25aとキャパシタ25bの容量値が同じであるか不明であり、駆動TFT22aと駆動TFT22bのチャネルパラメータが同じであるか不明な点。
ウ 当審の判断
(ア) 相違点1について
前記相違点1について検討する。
前記(2)イ(ウ)において、周知技術Aとして示したとおり、画素回路において、一端を駆動トランジスタのゲートに接続した保持容量の他端を発光素子に接続する構成は周知であり、周知技術Cとして示したとおり、画素回路において、駆動トランジスタと電源VDDの間に発光素子を設ける構成と、駆動トランジスタとGNDの間に発光素子を設ける構成について、その回路動作は実質的に同じであり、両者の回路が代替的な関係にあることは周知である。
よって、引用発明において、前記周知技術A及びCを適用し、駆動TFT22a及び22bのドレインと電源Vddの間に接続された表示素子21を、駆動TFT22a及び22bのソースと接地電源Vssの間に接続することにより、「駆動TFT22a…のドレイン」及び「駆動TFT22bのドレイン」を「電源Vdd」に接続し、「キャパシタ25aの他端」、「キャパシタ25bの他端」、「駆動TFT22a…のソース」及び「駆動TFT22bのソース」を共通に「表示素子21」に接続して、前記相違点1に係る構成とすることは、当業者が適宜になし得たことである。
(イ) 相違点2について
前記相違点2について検討する。
前記(3)ウ(イ)に示した理由と同じ理由により、引用発明において前記相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(ウ) 総合検討
前記(ア)及び(イ)において検討したとおり、引用発明において前記相違点1及び相違点2に係る構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
そして、前記相違点1及び相違点2を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明並びに周知技術A及びCから予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
したがって、本件補正発明は、引用発明並びに周知技術A及びCに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(5) 請求人の主張について
審判請求の理由及び令和4年9月5日付け上申書における請求人の主張、及び当該主張に対する当合議体の見解は、次のとおりである。
ア 主張1
(ア) 請求人の主張(審判請求の理由)
審判請求人は、手続補正書により、請求項1に「前記第1のコンデンサと前記第2のコンデンサとの容量値は同じであり、前記第1の駆動トランジスタと前記第2の駆動トランジスタとのチャネルパラメータは同じである」という技術的特徴を追加した。この技術的特徴によれば、同じデータ電圧下の有機発光ダイオード発光輝度は同じになる。
これに対して、引用文献1、2のいずれにも、「前記第1のコンデンサと前記第2のコンデンサとの容量値は同じであり、前記第1の駆動トランジスタと前記第2の駆動トランジスタとのチャネルパラメータは同じである」という技術的特徴は一切開示も示唆もされていない。
(イ) 主張1についての当合議体の見解
前記(3)ウ(イ)において示したとおり、引用発明には、キャパシタの容量値や駆動TFTのチャネルパラメータが同じであることは自明であるか、又は、同じにする動機付けが認められるから、引用発明において、前記相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
よって、前記主張1は、前記(3)ウ、(4)ウの結論を左右するものではない。
イ 主張2
(ア) 請求人の主張(審判請求の理由及び上申書)
引用文献4は、図12(下図参照)に示すように、キャパシタCstの一端が有機発光ダイオード素子OLEDのアノードに接続されていることが開示されている。しかしながら、実際には、引用文献4に開示されているのは、1つのキャパシタCstの一端がOLEDに接続されたことだけである。すなわち、本願の請求項1に係る発明のように、2つのコンデンサが互いに接続され且つそれらの接続点が発光モジュールに接続されているという構成ではない。
また、引用文献4の図9、13、15~19についても同様である。つまり、引用文献4は、引用文献1と本願の請求項1に係る発明との相違点を開示していない。ゆえに、引用文献4に記載された発明を引用文献1又は引用文献2に適用することは当業者であったとしても想到し得ない。
【図12】
[図:0001398920000009.jpg]
(イ) 主張2についての当合議体の見解
引用発明は、一つの画素に二つの駆動回路を備え、フレーム毎に交互に発光素子を駆動するものであるから、引用発明に、周知技術A及びB、又は、A及びCを適用すれば、二つのキャパシタが互いに接続され且つそれらの接続点が表示素子に接続されたものとなることは、前記(3)ウ(ア)、(4)ウ(ア)で検討したとおりである。
よって、前記主張2は、前記(3)ウ、(4)ウの結論を左右するものではない。
ウ 主張3(審判請求の理由)
(ア) 請求人の主張
引用文献2において、図1(下図参照)に示すように、キャパシタ25aは、駆動TFT22aのゲート(ノードA)とソースとの間に接続され、キャパシタ25bは、駆動TFT22bのゲート(ノードB)とソースとの間に接続され、駆動TFT22aと駆動TFT22bのソースとが接地電源Vssに接続され、駆動TFT22aと駆動TFT22bのドレインとが表示素子21に接続されている。
【図1】
[図:0001398920000010.jpg]
引用文献2には、走査線11に走査パルスVscan1が印加される場合、キャパシタ25aに信号電圧が記憶され、走査線12に走査パルスVscan2が印加される場合、キャパシタ25bに信号電圧が記憶される。しかしながら、引用文献2の上記構造を変更して、キャパシタ25aを、駆動TFT22aのゲート(ノードA)と表示素子21のカソードとの間に接続し、且つキャパシタ25bを、駆動TFT22bのゲート(ノードB)と表示素子21のカソードとの間に接続した場合、キャパシタ25aとキャパシタ25bとが上記作用を依然として有するか否かを確定できない。
そのため、引用文献4において、キャパシタの一端が発光素子に接続されたことが開示されるとしても、当業者にとって、引用文献2におけるキャパシタ25aを駆動TFT22aのゲートと表示素子21のカソードとの間に接続し、且つキャパシタ25bを駆動TFT22bのゲートと表示素子21のカソードとの間に接続するという動機付けは成り得ない。
(イ) 主張3についての当合議体の見解
前記(2)イ(ウ)で周知技術Bとして認定したとおり、「画素回路において、一端を駆動トランジスタのゲートに接続した保持容量の他端を、発光素子に接続する構成と接続しない構成において、その回路動作は実質的に同じであり、両者は代替的な関係にあること。」は周知技術であり、引用発明において、二つのキャパシタの位置を、対応するそれぞれの駆動TFTのゲートと接地電源Vssの間に代えて、対応するそれぞれの駆動TFTのゲートと表示素子のカソードの間に接続するようにしても、その回路動作は実質的に同じであり、両者は代替的な関係にあると解され、引用発明において、二つのキャパシタの位置を、対応するそれぞれの駆動TFTのゲートと表示素子のカソードの間に接続することにより、キャパシタが信号電圧を記憶しないと当業者が認識するような特段の事情も見当たらない。
よって、前記主張3は、前記(3)ウの結論を左右するものではない。
エ まとめ
前記ア~ウに示したとおり、前記主張1~3はいずれも前記(3)ウ及び(4)ウの結論を左右するものではない。
(6) 独立特許要件についてのまとめ
以上検討のとおり、本件補正発明は、引用発明並びに周知技術A及びB、又は、引用発明並びに周知技術A及びCに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
4 本件補正の適否についてのまとめ
前記3において検討したとおり、本件補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法17条の2第6項で準用する同法126条7項の規定に違反するものであり、同法159条1項で読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されるべきものである。
よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明の認定
本件補正は、前記第2に示したとおり却下したので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和2年12月28日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項(前記第2の1(1)参照)により特定されるとおりのものである。
2 原査定における拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由のうち、本願発明についての理由は、次のとおりである。
本願発明は、下記引用文献2に記載された発明及び下記引用文献3及び4に示された周知技術に基づいて、本願の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献2 特開2009-80199号公報
引用文献3 特開2003-271095号公報(周知技術を示す文献)
引用文献4 特開2008-3542号公報(周知技術を示す文献)
3 引用文献2~4に記載された事項、引用発明及び周知技術の認定
引用文献2~4に記載された事項、引用発明及び周知技術A~Cの認定は、前記第2の3(2)において示したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、本件補正発明の「第1のコンデンサ」及び「第2のコンデンサ」について、「前記第1のコンデンサと前記第2のコンデンサとの容量値は同じであ[る]」との限定を省くとともに、本件補正発明の「第1の駆動トランジスタ」及び「第2の駆動トランジスタ」について、「前記第1の駆動トランジスタと前記第2の駆動トランジスタとのチャネルパラメータは同じである」との限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、当該発明特定事項の一部を限定したものに相当する本件補正発明が、前記第2の3(3)、(4)において説示したとおり、引用発明並びに周知技術A及びB、又は、引用発明並びに周知技術A及びCに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同様の理由により、本願発明も、引用発明並びに周知技術A及びB、又は、引用発明並びに周知技術A及びCに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明並びに周知技術A及びB、又は、引用発明並びに周知技術A及びCに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-006323