審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2022-006281

提供装置、提供方法及び提供プログラム

審判番号
2022-006281
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-025718外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年04月25日
審決日
2022年12月08日
公報発行日
2023年02月24日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .575-Z (G06Q) / P18 .121-Z (G06Q)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第17条の2
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020- 25718「提供装置、提供方法及び提供プログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 9月 9日出願公開、特開2021-131648〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 11項目
理 由

第1 手続の経緯

本願は、2020年(令和2年)2月18日の出願であって、令和3年10月19日付けの拒絶理由の通知に対し、同年12月16日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたが、令和4年1月19日付けで拒絶査定がされ、これに対して同年4月25日に審判請求がされると同時に手続補正がされたものである。

第2 令和4年4月25日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和4年4月25日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 本件補正について

(1) 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明

本件補正は、特許請求の範囲の請求項1についての補正を含むものであり、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである(下線部は補正箇所を示す。以下、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明を「本件補正発明」という。)。

(本件補正発明)

「利用者が所定の決済手段を利用して行った決済の履歴を示す決済履歴情報に基づいて、当該所定の決済手段に関する所定の利益であって、所定の取引対象に関する利益を示す利益コンテンツの提供対象となる対象利用者を特定する特定部と、
前記特定部により特定された対象利用者に対し、前記利益コンテンツの提供主が前記利用者に提供する前記取引対象の特徴を示す対応コンテンツを提供し、対象利用者が当該対応コンテンツに対して所定の操作を行った場合に、前記取引対象に関する利益を示す前記利益コンテンツを対象利用者に提供する提供部と
を有することを特徴とする提供装置。」

(2) 本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明

本件補正前の令和3年12月16日の手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。

「利用者が所定の決済手段を利用して行った決済の履歴を示す決済履歴情報に基づいて、当該所定の決済手段に関する所定の利益を示す利益コンテンツの提供対象となる対象利用者を特定する特定部と、
前記特定部により特定された対象利用者に対し、前記利益コンテンツの提供主が前記利用者に提供する取引対象の特徴を示す対応コンテンツを提供し、対象利用者が当該対応コンテンツに対して所定の操作を行った場合に、当該取引対象に関する利益を示す前記利益コンテンツを対象利用者に提供する提供部と
を有することを特徴とする提供装置。」

2 補正の適否

上記1のとおり、補正前の請求項1に記載された発明に係る本件補正は、発明を特定するために必要な事項である「特定部」の「所定の利益」について、「所定の取引対象に関する利益」であることを付加して発明を限定するとともに、この限定に伴って、「提供部」に関する事項における「取引対象」を「前記取引対象」とするものである。

そして、当該付加して限定した事項は、出願当初明細書の【0059】に記載された事項であって、新規事項を追加するものではなく、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載された発明(本件補正発明)の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、補正前の請求項1に記載された発明に係る本件補正は、特許法17条の2・5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正発明が同条6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下検討する。

(1)本件補正発明

本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献1の記載、引用発明

ア 引用文献1の記載

原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願日前に公開された国際公開第2007/138945号(以下、「引用文献1」という。)には、次の記載がある(下線加筆。以下同じ。)。

「[0043] 図5は、電子マネーシステム2を構成する電子マネーサーバ1のハードウェア的な構成の一例を示した図である。
電子マネーサーバ1は、電子マネーを流通させる情報処理を行う情報処理装置として機能している。
・・・
電子マネーサーバ1は、CPU31、ROM32、RAM35、通信制御部33、記憶部36などがバスラインで接続されて構成されている。
[0044] CPU31は、所定のプログラムに従って各種の情報処理を行う。本実施の形態では、例えば、会員サイト51を運営したり、参加登録データベース53と取引データベース54をマッチングしてキャンペーンを利用したユーザにバリューギフトを還元したりなどの処理を行う。具体的な処理内容については後ほどフローチャートを用いて説明する。
・・・
[0045] 記憶部36は、例えばハードディスクなどの大容量の記憶装置を用いて構成されており、各種プログラムを格納したプログラム格納部38、データを格納したデータ格納部39などから構成されている。
プログラム格納部38には、電子マネーサーバ1を機能させるための基本的なプログラムであるOSや、会員サイト51を運営し、キャンペーンへの参加登録を行う登録プログラム、ユーザを認証するための認証プログラム、電子マネーカード6や携帯電話7と通信してチャージや決済を行う取引処理プログラム、参加登録データベース53と取引データベース54をマッチングし、キャンペーンの対象となる取引を抽出してバリューギフトの金額を計算するバリューギフト処理プログラム、その他のプログラムが格納されている。
[0046] データ格納部39には、会員サイト51に会員登録しているユーザの情報を記憶した会員データベース55、加盟店の情報を記憶した加盟店データベース56、キャンペーンに参加するユーザを登録した参加登録データベース53、携帯電話7や電子マネーカード6との取引情報を記憶した取引データベース54などが格納されている。」
「[0053] 図7(b)は、参加登録データベース53の論理的な構成の一例を示した図である。
参加登録データベース53は、「キャンペーンID」、「加盟店ID」、「キャンペーン内容」、「参加者」、「参加日時」などの項目から構成されている。
「キャンペーンID」は、加盟店3が電子マネーシステム2に依頼したキャンペーン告知を特定するID情報である。
「加盟店ID」は、キャンペーンを主催する加盟店3の加盟店IDである。
続きを表示(全18行)
[0054] 「キャンペーン内容」は、キャンペーンの具体的な内容であり、割引内容(例えば、決済代金の10%割引)、キャンペーン期間(例えば、5月1~5月20までの来店者)、キャンペーンの適用条件(例えば、10回以上来店、5000円以上決済、期間中何度でも利用可)などを登録することができる。
・・・
[0055] 図7(c)は、取引データベース54の論理的な構成の一例を示した図である。
取引データベース54には、電子マネーカード6や携帯電話7で行われたチャージや決済に関する取引情報が記憶されている。
・・・
取引情報は、電子マネー端末8が電子マネーカード6や携帯電話7などの決済端末にアクセスした履歴を記録した履歴情報として機能している。
[0056] 取引情報は、「電子マネー機能部ID」、「チャージ」、「決済」、その他の項目から構成されている。
電子マネー機能部IDは、電子マネー端末8が電子マネーカード6や携帯電話7にアクセスした際に読み取ったものである。
また、インターネット4を介して電子マネーシステム2と直接通信する場合は、通信により、電子マネーシステム2が電子マネーカード6や携帯電話7から読み取る。
[0057] 「チャージ」は、チャージを行った加盟店3の加盟店ID、電子マネー端末8の端末ID、チャージを行った日時(例えば、秒単位まで特定可能)、チャージしたバリューの金額などが記録されている。
また、インターネット4を介して電子マネーシステム2から直接チャージした場合は、電子マネーシステム2に電子マネー機能部IDが記録される。
「決済」も、「チャージ」と同様に、決済を行った加盟店3の加盟店ID、電子マネー端末8(あるいは電子マネーシステム2)の端末ID、決済日時、決済したバリューの金額などが記録されている。
[0058]・・・
なお、取引情報に、ユーザが決済を行った商品の商品コードを含めておき、これを取引データベース54に記憶すれば、ユーザが購入した商品を特定することもでき、商品ごとのキャンペーンの適用も可能となる。」
「[0059] 次に、図8のフローチャートを用いて、ユーザが会員登録してからキャンペーン広告に登録するまでの手順について説明する。
この例では、携帯電話7を用いているが、ユーザ端末9やその他の端末装置を用いて行うことができる。
まず、ユーザは、携帯電話7から会員サイト51にアクセスし、会員登録を要求する(ステップ5)。
[0060] ・・・
続きを表示(全34行)
電子マネーサーバ1は、携帯電話7からユーザ情報を受信して会員データベース55に記憶し、ユーザを会員サイト51の会員として登録する(ステップ10)。
[0061] 加盟店3は、インターネット4に接続可能な端末から電子マネーシステム2にアクセスしてキャンペーンに関する情報を送信し、キャンペーン告知の依頼を行う(ステップ15)。
なお、電子マネーシステム2は、加盟店3に向けてキャンペーン告知登録用のウェブサイトを運営しており、例えば、割引額、キャンペーン期間、キャンペーンの適用条件、会員抽出条件、その他の情報を入力できるようになっている。
[0062] 電子マネーシステム2は、加盟店の端末から送信されたキャンペーン広告の内容に対してキャンペーンIDを発行し、参加登録データベース53に記憶して、キャンペーンを登録する(ステップ20)。
・・・
[0063] 次に、電子マネーシステム2は、会員抽出条件に該当する会員を会員データベース55で検索し、該当する会員を抽出する(ステップ25)。
抽出条件としては、例えば、電子マネー機能部IDが所定の範囲のもの、イシュア、電子マネーカード6の発行主体(例えば、コンビニエンスストアなどの会員カードにICチップを組み込んで、会員カードに電子マネー機能を持たせるなどした場合のコンビニエンスストア)、郵便番号、特定の都道府県市町村、加盟店3が属する都道府県市町村、住所が加盟店3から所定距離内にあるもの、ユーザの性別、生年月日によるもの(特定の年齢、年代、誕生日、誕生日が属する週や月)、加盟店3での過去の決済回数や頻度を満たすユーザなどがある。また、これらの条件を行列の要素として掛け合わせてできる条件の組合せを用いることもできる。
次に、電子マネーシステム2は、キャンペーン通知メールを作成し、これを抽出した会員が会員データベース55に登録してある電子メールアドレスに宛てて送信する(ステップ30)。
[0064] 携帯電話7は、電子マネーシステム2からキャンペーン通知メールを受信し、これを携帯電話7のディスプレイに表示する。
ディスプレイに表示されたキャンペーン通知メールの一例を図9(a)に示す。この図に示したように、キャンペーン通知メールには、例えば、決済代金の10%をバリューにて還元するといったキャンペーン内容(図では、バリューギフトで還元するためバリュークーポンと命名されている)と、空メール送信ボタン60が表示される。
空メール送信ボタン60は、内容が空欄の電子メール(以下、空メール)を電子マネーシステム2に送信するためのボタンである。これは、携帯電話7が電子マネーシステム2に電子メールアドレスを通知するためのものである。
・・・
[0065] 図8に戻り、ユーザは、キャンペーン通知メールを閲覧し、キャンペーンに参加する場合は空メール送信ボタン60をクリックして空メールを電子マネーシステム2に送信する(ステップ35)。
電子マネーシステム2は、携帯電話7から空メールを受信すると、携帯電話7の電子メールアドレスを会員データベース55で検索する。そして、携帯電話7の電子メールアドレスに対応づけられている電子マネー機能部IDを特定する。
そして、携帯電話7にキャンペーン参加登録画面を表示するための電子メールを送信する(ステップ40)。
この電子メールには、会員サイト51へアクセスするためのURL(Uniform Resource Locators)や参加するキャンペーンのキャンペーンID、及び電子マネー機能部12の電子マネー機能部IDなどが付随している。
[0066] 携帯電話7は、電子マネーシステム2から電子メールを受信し、ディスプレイにキャンペーン参加登録画面を表示する。
ディスプレイに表示されたキャンペーン参加登録画面の一例を図9(b)に示す。キャンペーン参加登録画面には、キャンペーン期間や割引額などのキャンペーンの詳細な内容が表示される。
・・・
[0067] また、キャンペーン登録画面には、キャンペーンの内容と共にURL61が表示される。
・・・
ユーザがURL61をクリックすると、携帯電話7が会員サイト51にアクセスし、や電子マネー機能部IDなどが電子マネーシステム2に送信される。
[0068] 図8に戻り、ユーザは、URL61をクリックして会員サイト51にアクセスすることにより参加登録の要求を行う(ステップ45)。
・・・
そして、電子マネーシステム2は、参加登録データベース53においてキャンペーンIDで特定されるキャンペーンに電子マネー機能部IDを追加することにより、ユーザの参加登録を行う(ステップ50)。
・・・
[0069] 電子マネーシステム2は、キャンペーンへの参加登録が完了すると、会員サイト51に図9(c)に示したような参加登録通知画面を表示する。
・・・
以上のようにして、ユーザはキャンペーンへの参加登録を完了する。この後は、加盟店3に行き、電子マネーカード6や携帯電話7のバリューで通常と同様の決済を行うだけでバリューギフトによるバリューの還元を受けることができる。
このように、ユーザは、空メール送信ボタン60と登録画面URL61をクリックするだけでキャンペーンへの参加を登録することができると共に、割引券を印刷するなどの手続を経ることなく、キャンペーンによる利益を受けることができる。」
「
[図:0001393875000001.jpg]
」

上記引用文献1の記載によれば、次のことがいえる。

(ア) 電子マネーシステム2は、所定のプログラムに従って各種の情報処理を行うCPU31、各種プログラムを格納したプログラム格納部38やデータを格納したデータ格納部39などからなる記憶部36などがバスラインで接続されている電子マネーサーバ1から構成されている([0043]~[0044])。

(イ) プログラム格納部38には、参加登録データベース53と取引データベース54をマッチングし、キャンペーンの対象となる取引を抽出してバリューギフトの金額を計算するバリューギフト処理プログラムが格納されており、データ格納部39には、会員サイト51に会員登録しているユーザの情報を記憶した会員データベース55、キャンペーンに参加するユーザを登録した参加登録データベース53、携帯電話7や電子マネーカード6との取引情報を記憶した取引データベース54などが格納されている([0045])。

(ウ) 参加登録データベース53は、「キャンペーンID」、「キャンペーン内容」などの項目から構成されており、「キャンペーンID」は、加盟店3が電子マネーシステム2に依頼したキャンペーン告知を特定するID情報であり、「キャンペーン内容」は、割引内容(例えば、決済代金の10%割引)などを登録することができる([0053]~[0054])。

(エ) 取引データベース54には、電子マネーカード6や携帯電話7で行われたチャージや決済に関する取引情報であって、電子マネー端末8が電子マネーカード6や携帯電話7などの決済端末にアクセスした履歴を記録した履歴情報として機能する取引情報が記憶されており、取引情報は、決済を行った加盟店3の加盟店ID、電子マネー端末8(あるいは電子マネーシステム2)の端末ID、決済日時、決済したバリューの金額などが記録された「決済」やその他の項目から構成され、取引情報に、ユーザが決済を行った商品の商品コードを含めておき、これを取引データベース54に記憶すれば、ユーザが購入した商品を特定することもでき、商品ごとのキャンペーンの適用も可能である([0055]~[0058])。

(オ) 電子マネーシステム2は、割引額、キャンペーンの適用条件、会員抽出条件、その他の情報を入力できるようになっており、加盟店の端末から送信されたキャンペーン広告の内容に対してキャンペーンIDを発行し、参加登録データベース53に記憶して、キャンペーンを登録する([0061])。

(カ) 電子マネーシステム2は、加盟店3での過去の決済回数や頻度を満たすユーザなどを抽出条件として、会員抽出条件に該当する会員を会員データベース55で検索し、該当する会員を抽出し、キャンペーン通知メールを作成して、会員データベース55に登録してある電子メールアドレスに宛てて送信する([0063])。

(キ) 携帯電話7では、決済代金の10%をバリューにて還元するといったキャンペーン内容と、空メール送信ボタン60が表示されるキャンペーン通知メールを、電子マネーシステム2から受信してディスプレイに表示される([0064])。

(ク) ユーザは、キャンペーン通知メールを閲覧し、キャンペーンに参加する場合は空メール送信ボタン60をクリックして空メールを電子マネーシステム2に送信する([0065])。

(ケ) 電子マネーシステム2は、携帯電話7から空メールを受信すると、携帯電話7の電子メールアドレスを会員データベース55で検索し、会員サイト51へアクセスするためのURLや参加するキャンペーンのキャンペーンIDなどが付随しているキャンペーン参加登録画面を表示するための電子メールを携帯電話7に送信する([0065])。

(コ) 携帯電話7は、電子マネーシステム2から電子メールを受信し、キャンペーン期間や割引額などのキャンペーンの詳細な内容が表示されるキャンペーン参加登録画面をディスプレイに表示する([0066])。

(サ) 図9は、携帯電話に表示される画面を説明するための図であり、(a)はキャンペーン通知メール、(b)はキャンペーン参加登録画面、(c)は参加登録通知画面である。

イ 引用発明

上記アによれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

(引用発明)

「 所定のプログラムに従って各種の情報処理を行うCPU31、各種プログラムを格納したプログラム格納部38やデータを格納したデータ格納部39などからなる記憶部36などがバスラインで接続されている電子マネーサーバ1から構成される電子マネーシステム2において、
プログラム格納部38には、参加登録データベース53と取引データベース54をマッチングし、キャンペーンの対象となる取引を抽出してバリューギフトの金額を計算するバリューギフト処理プログラムが格納されており、データ格納部39には、会員サイト51に会員登録しているユーザの情報を記憶した会員データベース55、キャンペーンに参加するユーザを登録した参加登録データベース53、携帯電話7や電子マネーカード6との取引情報を記憶した取引データベース54などが格納されており、
参加登録データベース53は、「キャンペーンID」、「キャンペーン内容」などの項目から構成されており、「キャンペーンID」は、加盟店3が電子マネーシステム2に依頼したキャンペーン告知を特定するID情報であり、「キャンペーン内容」は、割引内容(例えば、決済代金の10%割引)などを登録することができ、
取引データベース54には、電子マネーカード6や携帯電話7で行われたチャージや決済に関する取引情報であって、電子マネー端末8が電子マネーカード6や携帯電話7などの決済端末にアクセスした履歴を記録した履歴情報として機能する取引情報が記憶されており、取引情報は、決済を行った加盟店3の加盟店ID、電子マネー端末8(あるいは電子マネーシステム2)の端末ID、決済日時、決済したバリューの金額などが記録された「決済」やその他の項目から構成され、取引情報に、ユーザが決済を行った商品の商品コードを含めておき、これを取引データベース54に記憶すれば、ユーザが購入した商品を特定することもでき、商品ごとのキャンペーンの適用も可能であって、
当該電子マネーシステム2は、割引額、キャンペーンの適用条件、会員抽出条件、その他の情報を入力できるようになっており、加盟店の端末から送信されたキャンペーン広告の内容に対してキャンペーンIDを発行し、参加登録データベース53に記憶して、キャンペーンを登録しており、
加盟店3での過去の決済回数や頻度を満たすユーザなどを抽出条件として、会員抽出条件に該当する会員を会員データベース55で検索し、該当する会員を抽出し、キャンペーン通知メールを作成して、会員データベース55に登録してある電子メールアドレスに宛てて送信し、
携帯電話7は、決済代金の10%をバリューにて還元するといったキャンペーン内容と、空メール送信ボタン60が表示されるキャンペーン通知メールを受信してディスプレイに表示し、ユーザが空メール送信ボタン60をクリックして空メールを送信し、
当該電子マネーシステム2は、携帯電話7から空メールを受信すると、携帯電話7の電子メールアドレスを会員データベース55で検索し、会員サイト51へアクセスするためのURLや参加するキャンペーンのキャンペーンIDなどが付随しているキャンペーン参加登録画面を表示するための電子メールを携帯電話7に送信し、
携帯電話7は、電子マネーシステム2から電子メールを受信し、キャンペーン期間や割引額などのキャンペーンの詳細な内容が表示されるキャンペーン参加登録画面をディスプレイに表示する、
電子マネーシステム2。」

(3)対比

本件補正発明と、引用発明とを対比する。

ア 引用発明の「電子マネーシステム2」は、「取引データベース54」に「電子マネーカード6や携帯電話7で行われたチャージや決済に関する取引情報であって、電子マネー端末8が電子マネーカード6や携帯電話7などの決済端末にアクセスした履歴を記録した履歴情報として機能する取引情報が記憶されて」おり、「加盟店3での過去の決済回数や頻度を満たすユーザなどを抽出条件として、会員抽出条件に該当する会員を会員データベース55で検索し、該当する会員を抽出」することによって、ユーザ(会員)に対し、「決済代金の10%をバリューにて還元する」というものである。

そして、引用発明の「決済回数や頻度」は、ユーザが、「電子マネーシステム2」における決済手段(所定の決済手段)を利用してバリューで決済を行った回数や頻度の決済履歴情報であるということができ、ユーザ(会員)に「決済代金の10%をバリューにて還元する」ことは、「所定の決済手段に関する所定の利益」を提供しているということができる。

また、引用発明の「キャンペーン参加登録画面を表示するための電子メール」は、「キャンペーン期間や割引額などのキャンペーンの詳細な内容が表示されるキャンペーン参加登録画面をディスプレイに表示する」ための電子メールであって、例えば、引用文献1の[図9](b)のように、「アウトバーガーでもれなく10%分のバリューギフトをプレゼント!」というような表示がされるものであるから、上述の「決済代金の10%をバリューにて還元する」ことを具体的に示したコンテンツであり、「所定の決済手段に関する所定の利益を示す利益コンテンツ」ということができる。

そうすると、引用発明における「加盟店3での過去の決済回数や頻度を満たすユーザなどを抽出条件として、会員抽出条件に該当する会員」、すなわち、「決済代金の10%をバリューにて還元する」会員を会員データベース55で検索し、該当する会員を抽出」するための構成と、本件補正発明の「利用者が所定の決済手段を利用して行った決済の履歴を示す決済履歴情報に基づいて、当該所定の決済手段に関する所定の利益であって、所定の取引対象に関する利益を示す利益コンテンツの提供対象となる対象利用者を特定する特定部」とは、「利用者が所定の決済手段を利用して行った決済の履歴を示す決済履歴情報に基づいて、当該所定の決済手段に関する所定の利益を示す利益コンテンツの提供対象となる対象利用者を特定する特定部」で共通する。

イ 引用発明の「電子マネーシステム2」は、上記アで述べた「特定部により特定された対象利用者」(会員データベース55を検索し抽出されたユーザ)が、「決済代金の10%をバリューにて還元するといったキャンペーン内容と、空メール送信ボタン60が表示されるキャンペーン通知メール」の「空メール送信ボタン60」をクリックした場合に、「利益コンテンツ」(キャンペーン参加登録画面を表示するための電子メール)をユーザの携帯電話7に送信(提供)するものである。

そうすると、引用発明の「キャンペーン通知メール」は、「利益コンテンツ」(キャンペーン参加登録画面を表示するための電子メール)に対応するコンテンツ(対応コンテンツ)であるということができる。

したがって、引用発明の「特定部により特定された対象利用者」(会員データベース55を検索し抽出されたユーザ)に対し、「対応コンテンツ」(キャンペーン通知メール)を提供(送信)し、「対応コンテンツ」(キャンペーン通知メール)の「空メール送信ボタン60」をクリックした場合に、「利益コンテンツ」(キャンペーン参加登録画面を表示するための電子メール)をユーザの携帯電話7に送信(提供)する構成と、本件補正発明の「前記特定部により特定された対象利用者に対し、前記利益コンテンツの提供主が前記利用者に提供する前記取引対象の特徴を示す対応コンテンツを提供し、対象利用者が当該対応コンテンツに対して所定の操作を行った場合に、前記取引対象に関する利益を示す前記利益コンテンツを対象利用者に提供する提供部」は、「前記特定部により特定された対象利用者に対し、対応コンテンツを提供し、対象利用者が当該対応コンテンツに対して所定の操作を行った場合に、前記利益コンテンツを対象利用者に提供する提供部」で共通する。

ウ 上記イのとおり、引用発明の「電子マネーシステム2」は、「利益コンテンツ」(キャンペーン参加登録画面を表示するための電子メール)をユーザの携帯電話7に送信(提供)するものであるから、「利益コンテンツ」を提供する「提供装置」であるといえる。

そうすると、引用発明の「電子マネーシステム2」は、後述の[相違点]を除き、本件補正発明の「提供装置」に相当する。

以上によれば、本件補正発明と引用発明とは、次の一致点及び相違点を有する。

[一致点]

利用者が所定の決済手段を利用して行った決済の履歴を示す決済履歴情報に基づいて、当該所定の決済手段に関する所定の利益を示す利益コンテンツの提供対象となる対象利用者を特定する特定部と、

前記特定部により特定された対象利用者に対し、対応コンテンツを提供し、対象利用者が当該対応コンテンツに対して所定の操作を行った場合に、前記利益コンテンツを対象利用者に提供する提供部と

を有することを特徴とする提供装置。

[相違点]

[相違点1]

「利益コンテンツ」が示す「利益」について、本件補正発明は「当該所定の決済手段に関する所定の利益であって、所定の取引対象に関する利益」であるのに対し、引用発明は「当該所定の決済手段に関する所定の利益」であるが、「所定の取引対象に関する利益」であるといえるのか特定されていない点。

[相違点2]

「対応コンテンツ」について、本件補正発明は「前記利益コンテンツの提供主が前記利用者に提供する前記取引対象の特徴を示す」ものであるのに対し、引用発明はそのようなものであるのか特定されていない点。

(4)判断

ア [相違点1]について

本件補正発明の「所定の取引対象に関する利益」について、「所定の取引対象」がどのようなものであるか具体的な特定はないから、「所定の取引対象」は「取引対象」とされていればよく、例えば、店舗で販売されている「1つの商品」や、「すべての商品」を含むものであると解される。

一方、上記(3)アのとおり、引用発明の「利益コンテンツ」(キャンペーン参加登録画面を表示するための電子メール)は、例えば、携帯電話7のディスプレイに、引用文献1の[図9](b)で図示されるように、「アウトバーガーでもれなく10%分のバリューギフトをプレゼント!」という表示がされるものである。

そうすると、引用発明の「バリューギフト」は、アウトバーガーにおいて、「決済代金の10%割引」を受けることができる「利益」であるところ、「アウトバーガーでもれなく」受けることができる利益であるから、アウトバーガーで販売している「すべての商品」を「取引対象」とする利益であるといえる。

なお、引用発明は、「取引情報に、ユーザが決済を行った商品の商品コードを含めておき、これを取引データベース54に記憶すれば、ユーザが購入した商品を特定することもでき、商品ごとのキャンペーンの適用も可能」であるから、「商品ごとのキャンペーンの適用」を行った場合、引用発明の「バリューギフト」は、「商品ごと」、すなわち、「1つの商品」を「取引対象」とする利益であるといえる。

したがって、引用発明の「バリューギフト」は、本件補正発明の「所定の取引対象に関する利益」であるといえるから、相違点1は実質的な相違点ではない。

イ [相違点2]について

上記アのとおり、携帯電話7のディスプレイには、引用文献1の[図9](b)で図示されるように、「アウトバーガーでもれなく10%分のバリューギフトをプレゼント!」という表示がされるものである。

一方、本願の出願当時、いわゆるスマートフォンが広く利用され、そのディスプレイは筐体全体に配置されており、引用文献1で図示された「携帯電話7」と比較して格段に広く、様々な情報を表示できるものであったことが技術常識として認められる。

そうすると、本願の出願時において、引用文献1に接した当業者であれば、スマートフォンのディスプレイに、「アウトバーガーでもれなく10%分のバリューギフトをプレゼント!」というような表示に加え、アウトバーガーで販売されている商品の詳細(特徴)や新商品の宣伝等、商品に興味を持ち、ユーザが商品を購入したいと思うような表示をさせることにより、本願明細書の発明の詳細な説明の【0058】に記載されている「利用者の射幸心を煽り、キャンペーンに効率的に誘導」するような構成とすることは普通に発想されることであって、何ら格別なことであるとはいえない。

したがって、引用発明における「対応コンテンツ」(キャンペーン通知メール)について、「利益コンテンツ」(キャンペーン参加登録画面を表示するための電子メール)の「提供主」(アウトバーガー)が「利用者」(ユーザ)に提供する「取引対象」(店舗で販売されている「すべての商品」や「1つの商品」)の特徴を示すように構成することは、当業者であれば容易に想到し得るものである。

ウ 小括

以上のとおり、本件補正発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

3 補正の却下の決定のむすび

以上によれば、本件補正は、特許法17条の2・6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。

したがって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1 本願発明の認定

令和4年4月25日にされた手続補正(本件補正)は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に記載された発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2の1(2)に記載したとおりのものである。

2 原査定における拒絶の理由

本願発明についての原査定の拒絶の理由は、概略、本願の出願日前に日本国内又は外国において頒布された引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

3 引用文献1の記載、引用発明

原査定の理由で引用された引用文献1の記載及び引用発明は、上記第2の2(2)のとおりである。

4 対比・判断

本願発明は、上記第2の2のとおり、本件補正発明から「特定部」及び「提供部」に付加された事項を削除したものである。

そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、上記第2の2のとおり、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび

以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2022-006281

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決336件(ヤフー株式会社)
  • 2023-007427拒絶査定不服審判 / 2023-10-12 / 原査定取消(特許/登録すべき)情報処理システム、情報処理方法、及び情報処理プログラム
    同じ当事者: ヤフー株式会社
  • 2022-006153拒絶査定不服審判 / 2023-10-11 / 原査定取消(特許/登録すべき)配送管理装置、配送管理方法および配送管理プログラム
    同じ当事者: ヤフー株式会社
  • 2023-000641拒絶査定不服審判 / 2023-10-11 / 原査定取消(特許/登録すべき)提供装置、提供方法及び提供プログラム
    同じ当事者: ヤフー株式会社
  • 2022-015815拒絶査定不服審判 / 2023-09-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム
    同じ当事者: ヤフー株式会社
  • 2022-019930拒絶査定不服審判 / 2023-09-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)生成装置、生成方法及び生成プログラム
    同じ当事者: ヤフー株式会社
検索でもっと見る →
同じ論点・分野の審決(審決分類)2,133件(121・G06Q、575・G06Q)
  • 2025-002862拒絶査定不服審判 / 2026-06-23 / 請求不成立推薦装置、システム、方法及びプログラム
    共通の審決分類: 121・G06Q、575・G06Q
  • 2025-001082拒絶査定不服審判 / 2026-06-18 / 請求不成立持参収容具利用システム
    共通の審決分類: 121・G06Q、575・G06Q
  • 2025-012705拒絶査定不服審判 / 2026-04-28 / 請求不成立処理装置、処理方法及びプログラム
    共通の審決分類: 121・G06Q、575・G06Q
  • 2025-006950拒絶査定不服審判 / 2026-03-23 / 請求不成立情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
    共通の審決分類: 121・G06Q、575・G06Q
  • 2025-004389拒絶査定不服審判 / 2026-02-16 / 原査定取消(特許/登録すべき)情報処理システム、情報処理方法、情報処理プログラム
    共通の審決分類: 121・G06Q、575・G06Q

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存