審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2022-005555

空気中の粒子の質量濃度を計測するためのセンサシステム

審判番号
2022-005555
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-563798外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年04月13日
審決日
2022年11月21日
公報発行日
2023年05月26日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (G01N) / P18 .575-Z (G01N)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-563798「空気中の粒子の質量濃度を計測するためのセンサシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年12月28日国際公開、WO2017/220618、令和 1年 9月12日国内公表、特表2019-526037〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 11項目
理 由

第1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

本願は、2017年(平成29年)6月20日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2016年6月20日 オランダ)を国際出願日とする出願であって、令和3年5月21日付けで拒絶理由が通知され、同年8月26日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年12月8日付けで拒絶査定(原査定)された(謄本の送達日:同月13日)ところ、令和4年4月13日に拒絶査定不服審判の請求がされ、それと同時に手続補正がされたものである。

その後、令和4年9月6日に上申書(以下「請求人上申書」という。)が提出された。

第2 令和4年4月13日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和4年4月13日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 本件補正について

(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載

本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線は、補正箇所を示す。)

「 【請求項1】
空気流内の所定の閾値よりも小さい粒子の質量濃度を計測するためのセンサシステム(1)であって、前記センサシステムは、
粒子を有する空気の総流量(4)を受け入れるための入口(2)であって、前記入口は、
空気の前記総流量を主流(5)および副流(6)に分離するための、
続きを表示(全12行)
前記主流を第1のダクト(7)に導くための、および
前記副流を第2のダクト(8)に導くための第1のスプリッタ(3)、に接続されており、
前記主流は前記所定の閾値よりも小さい粒子を含み、
前記副流は前記所定の閾値よりも大きい粒子を含む、入口と、
前記第1のダクトと前記第2のダクトとが一体となる接合部(9)および前記接合部に結合された出口(10)と、
前記主流に含まれる前記所定の閾値よりも小さい粒子の量を測定するために、前記第1のダクト内に配置されたセンサ(11)と、
前記総流量を引き込んで前記システムに通すための第1のフローファン(12)とを含み、
前記主流の流量の前記副流の流量に対する比が1:5から1:20であり、前記所定の閾値は実質的にPM2.5であることによって特徴付けられる、センサシステム。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載

本件補正前の、令和3年8月26日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。

「 【請求項1】
空気流内の所定の閾値よりも小さい粒子の質量濃度を計測するためのセンサシステム(1)であって、前記センサシステムは、
粒子を有する空気の総流量(4)を受け入れるための入口(2)であって、前記入口は、
空気の前記総流量を主流(5)および副流(6)に分離するための、
続きを表示(全12行)
前記主流を第1のダクト(7)に導くための、および
前記副流を第2のダクト(8)に導くための第1のスプリッタ(3)、に接続されており、
前記主流は前記所定の閾値よりも小さい粒子を含み、
前記副流は前記所定の閾値よりも大きい粒子を含む、入口と、
前記第1のダクトと前記第2のダクトとが一体となる接合部(9)および前記接合部に結合された出口(10)と、
前記主流に含まれる前記所定の閾値よりも小さい粒子の量を測定するために、前記第1のダクト内に配置されたセンサ(11)と、
前記総流量を引き込んで前記システムに通すための第1のフローファン(12)とを含み、
前記主流の流量の前記副流の流量に対する比が1:5から1:20であることによって特徴付けられる、センサシステム。」

2 補正の適否

本件補正のうち、請求項1に係る補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「前記所定の閾値」を、「前記所定の閾値は実質的にPM2.5である」と限定するものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(1)本件補正発明

本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献について

ア 引用文献の記載

原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された刊行物又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である、特開2015-114176号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに次の記載がある。(下線は当審において付与した。)

(引1ア)

「【背景技術】
【0002】
大気中に浮遊する微粒子を粗大粒子と分離し、分離した微粒子の量を測定する粒子測定装置として、例えば特許文献1に開示された装置が挙げられる。特許文献1に開示された微粒子の分離方法では、流体中に浮遊する粒子を加速して慣性力によって分離している。
【0003】
続きを表示(全17行)
詳細には、特許文献1に開示された粒子測定装置100では、図13に示すように、ロート状のサンプリング管110における粗大粒子排出用直管部111に同心に該粗大粒子排出用直管部111よりも小径の微粒子採取用直管120が近接して設けられている。
【0004】
上記粒子測定装置100では、大気中に浮遊する微粒子を粗大粒子と分離するときには、粗大粒子排出用直管部111の吸引側111aから図示しないポンプにて吸引する。また、微粒子採取用直管120においても吸引側121から図示しないポンプにて吸引する。
【0005】
これにより、大気中に浮遊する微粒子及び粗大粒子を含む含粒子流体101が、サンプリング管110のテーパー部112に沿って流入される。このため、ノズル部113にて加速された後、粗大粒子排出用直管部111の入り口近傍及び微粒子採取用直管120の入り口近傍に排出される。尚、図13においては右半分の流路線を省略している。
【0006】
このとき、粗大粒子101aは慣性力が大きいので、主流102に搬送されて粗大粒子排出用直管部111から除去される。一方、微小粒子101bは慣性力が小さいので、微粒子採取用直管120に向けて反転して逆方向の支流103に搬送されて微粒子採取用直管120へ送り込まれる。
【0007】
これによって、含粒子流体101に含まれる粗大粒子101aと微小粒子101bとが分離されることになる。特許文献1の分離方法では、主流102及び支流103の流量調整、及び微粒子採取用直管120の上下移動にてノズル部113の全長とその間隔を調整することによって、粒子の分級特性を変えることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004-89898号公報(2004年3月25日公開)」

(引1イ)

「【0018】
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1~図5に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0019】
続きを表示(全61行)
本実施の形態における粒子測定装置は、外部から空気等の気体を吸引し、該気体に含まれる粒子を慣性力によって分級する粒子分離装置を備え、微粒子から粗大粒子までの量を測定し得る装置である。
【0020】
〔粒子分離装置を備えた粒子測定装置の構成〕
本実施の形態の粒子分離装置を備えた粒子測定装置の構成について、図1及び図2に基づいて説明する。図1は、本実施の形態の粒子分離装置を備えた粒子測定装置の構成を示す断面図である。図2は、本実施の形態の粒子分離装置を備えた粒子測定装置の構成を示す斜視図である。
【0021】
本実施の形態の粒子測定装置10Aは、図2に示すように、粒子検出部としてのセンサ1と、吸気部2と、分粒部3と、流体駆動部としてのファン4とを備えている。粒子測定装置10Aは、単一のファン4を駆動することによって、吸気部2から外部の空気を導入するようになっている。
【0022】
粒子測定装置10A内に導入された空気は、図1に示すように、該粒子測定装置10A内に形成された気体流路を通過して、ファン4を介して外部へ排出される。センサ1は、粒子測定装置10A内に形成された気体流路の途中に設けられており、通過する空気中に含まれる微粒子の量を測定する。
【0023】
図1に示すように、粒子測定装置10A内に形成された気体流路5は、導入流路5aと、主流路5bと、支流路5cと、主流排出路5dと支流排出路5eとから構成されている。
【0024】
導入流路5aは、吸気部2に形成されており、外部から空気等の気体を導入するための流路である。主流路5b及び支流路5cは、導入流路5aから分岐部Aにて2方向に分岐した流路である。また、主流路5bに連結している主流排出路5d、及び支流路5cに連結している支流排出路5eは、いずれも気体を外部へ排出するための流路である。
【0025】
本実施の形態では、粒子測定装置10Aにおける粒子分離装置20Aは、上記ファン4と気体流路5と電力供給部21と駆動制御部22とから構成されている。そして、ファン4を駆動することにより、導入流路5aから導入された気体に含まれる粒子を、その慣性力によって、分岐部Aにおいて粗大粒子が含まれる主流路5bと微小粒子が含まれる支流路5cとへ分離つまり分粒させる。尚、導入流路5aから導入された気体に含まれる粒子の分粒の原理については、後述する。
【0026】
微小粒子を測定する測定部であるセンサ1は、支流路5cの途中に設けられており、支流路5cを通過する気体中の微小粒子の量を測定する。具体的には、このセンサ1は、例えば、通過する気流中の微粒子に光を照射し、微粒子から散乱した光を検出するという光散乱法によって、気体中の微小粒子の量を測定する。ただし、センサ1は、必ずしも光散乱法に限らず、重量法によって気体中の微小粒子の量を測定するものであってもよい。また、微小粒子を測定する測定部である粒子検出部は、センサ1に限定されず、例えば、微小粒子を捕集するフィルターを備え、該フィルターによって捕集された微小粒子を測定するものであってもよい。すなわち、粒子検出部は、例えば光散乱を利用した濃度測定装(当審注:「濃度測定装」は、「濃度測定装置」の誤記と認める。)や、成分分析装置、又はフィルターによる粒子捕集装置でもよい。
【0027】
ファン4は、本実施の形態では、ただ1つ設けられている。そして、導入流路5aから主流路5bを通して主流排出路5dへ向かう気流と、導入流路5aから支流路5cを通して主流排出路5dへ向かう気流とを発生させる流体駆動部として機能する。ファン4における前面の気体吸入面4aは、主流排出路5d及び支流排出路5eに接続されている。
【0028】
尚、本実施の形態では、上述したように、支流路5cを通る気流についても、支流排出路5eを介してファン4にて排出しており、これによって、流体駆動部を1つのファン4にて構成している。しかし、本発明においては、必ずしもこれに限らず、例えば、支流路5cに別途のファン4を設けることにより、流体駆動部を2つのファン4にて構成することも可能である。
・・・
【0032】
〔粒子分離方法及び粒子測定方法〕
上記構成の粒子分離装置20Aを備えた粒子測定装置10Aにおける粒子の分離方法及び粒子測定方法について、図1及び図3に基づいて説明する。図3は、導入流路5aを通して系内へ導入された含粒子流体の分岐部Aにおける分粒の状態を模式的に示した断面図である。
【0033】
本実施の形態の粒子分離装置20Aを備えた粒子測定装置10Aでは、図1に示すように、ファン4の駆動によって、浮遊粒子を含んだ空気の流体(以下、「含粒子流体」と記す)は、錐状に傾斜した導入流路5aを通って粒子測定装置10A内に気流7aとして導入される。導入流路5aは、気流7aの方向に対して垂直な断面形状において、分岐部Aへ向かうに伴い、流路断面積が小さくなる構成になっている。このため、導入流路5aに導入された含粒子流体は、気流7aに沿って分岐部Aに向かうに伴って加速することになる。そこで、導入流路5aは、流体加速部ともいう。
【0034】
含粒子流体の気流7aは、分岐部Aにおいて主流7bと支流7cとに分岐する。主流7b及び支流7cは、それぞれ、ファン4によって吸引される主流路5b及び支流路5cを通る。1つのファン4にて主流7b及び支流7cに分岐して吸引することによって、大気等の含粒子流体を、導入流路5aを通して系内へ導入することができる。
【0035】
系内へ吸引された含粒子流体は、図3に示すように、気流7aが分岐部Aにおいて主流7bと支流7cとに分岐したときに、所望粒径の微小粒子8bを含む含粒子流体と所望粒径以外の粗大粒子8aを含む含粒子流体とに分粒される。このとき、主流7bには、所望粒径以外の粗大粒子8aを含む含粒子流体が含まれる。一方、支流7cには、所望粒径の微小粒子8bを含む含粒子流体が含まれる。
【0036】
上述した粒子の分粒原理について説明する。
【0037】
ファン4によって系内に吸引された含粒子流体は、図3に示すように、導入流路5aの分岐部Aへ向かうに伴い加速する。分岐部Aにおいて、含粒子流体に含まれる粒子が気流7aの方向に沿う主流7bに沿って運動するか否かは、ストークスの式より、粒子の密度、直径、速度、及び含粒子流体の粘性に依存する。
【0038】
したがって、含粒子流体に含まれる粒子は、粒径が大きい程速い速度を有するので、含粒子流体の運動方向に沿う。このため、粒径が比較的大きい粗大粒子8aは、慣性力が大きいので、気流7aの方向に沿う主流7bに搬送されて主流路5bから主流排出路5dへ排出される。この結果、支流7c側へは入り込み難くなる。
【0039】
一方、粒径が比較的小さい微小粒子8bは、慣性力が小さい。それゆえ、微小粒子8bの移動は、含粒子流体の粘性によって支配される。このため、微小粒子8bは、主として主流7bとは逆方向の支流7cに搬送されて、支流路5cへ送り込まれる。尚、一部は、主流7bに搬送されて、主流路5bへ送り込まれる。このように、分岐部Aにおける粒子の速度によって特定粒径以下の粒子のみを支流7cへ導くことが可能になる。
【0040】
このように、本実施の形態における粒子分離装置20Aでは、上述の流路構成及びファン4の配置等によって、ファン4によって吸引される含粒子流体に含まれる粗大粒子8aは、ファン4が必要駆動電力にて駆動しているときには、分岐部Aにおいて主流路5bに対して逆方向に延びた支流路5cへは混入しないようになっている。一方、微小粒子8bは、主流路5b及び支流路5cの両方に存在する。
【0041】
次に、支流路5cへ送り込まれた微小粒子8bを含む含粒子流体は、図1に示すように、支流7cに搬送されてセンサ1を通過する。このようにセンサ1を通過することによって、含粒子流体に含まれる微小粒子8bの量が測定される。
【0042】
支流路5cにおいてセンサ1を通過した微小粒子8bを含む含粒子流体は、支流排出路5eへ向かって流出することになる。
【0043】
一方、導入流路5a、主流路5b及びファン4は、略同一方向に配列して設けられている。このような構成とすることによって、粗大粒子8aは、支流路5cへ逆流することなく、主流路5bへの分岐後、主流排出路5dを介して外部へ排出され易くなる。それゆえ、測定対象でない粗大粒子8aを、効率的に除去することができる。
【0044】
このように、粗大粒子8aを含む含粒子流体の主流7bは、分岐部Aから下側に配された主流排出路5dへ向かって最短距離になるように延びる主流路5bを通って、主流排出路5dから排出される。一方、微小粒子8bを含む含粒子流体の支流7cは、分岐部Aから、主流路5bとは逆方向に延びセンサ1を介して迂回して支流排出路5eに合流する支流路5cを通って、支流排出路5eから排出される。このように、分岐部Aにて粗大粒子8aと微小粒子8bとが分粒されるので、外部から吸引された含粒子流体のうち、粗大粒子8aを含む含粒子流体は、センサ1を通過することなく外部へ排出される。一方、微小粒子8bを含む含粒子流体は、センサ1にて量が測定された後、外部へ排出されることになる。
【0045】
上述したように、本実施の形態における粒子分離装置20A及び粒子測定装置10Aにおいては、外部から吸引される含粒子流体の気流7aを、分岐部Aにおいて主流7bと支流7cとに分岐し、この分岐に際し、粗大粒子8aと微小粒子8bとの分粒を行っている。さらに、主流7b及び主流排出路5dと支流7c及び支流排出路5eとを、一つの気体吸入面4aに合流させて外部へ排出している。また、主流7bと支流7cとの分岐は、単一のファン4によって実現されている。そして、支流路5cの途中にセンサ1を設けたことによって、支流7cの含粒子流体中の微小粒子8bの量を測定している。
・・・
【0048】
また、主流7b及び支流7cの流速に対しファン4の排気速度を十分に活かすためには、ファン4における気体吸入面4aの面積を可能な限り広くし、排気に利用する形態とすることが望ましい。このような形態をとるために、粒子測定装置10Aでは、主流路5b及び主流排出路5dと支流路5c及び支流排出路5eとを合流させた気体吸入面4aをファン4に接続した構成となっている。
【0049】
このような構成において、ファン4の気体吸入面4aが塞がれている場合、抵抗が大きくなりファン4の駆動源としての性能を十分に発揮することができない。それゆえ、ファン4の性能を十分に発揮するため、粒子測定装置10Aでは、ファン4における吸気側の真上の部分に、気体吸入面4aと同程度の面積を有する空間を設けている。すなわち、気体吸入面4aと主流排出路5d及び支流排出路5eとにより形成された空間を確保している。この結果、主流7bは、主流排出路5dと気体吸入面4aとにより形成された空間を通って外部に排出される。一方、支流7cは、支流排出路5eと気体吸入面4aとにより形成された空間を通って外部に排出される。
【0050】
ここで、図3に示すように、本実施の形態の粒子測定装置10Aでは、支流路5cの流路長は、主流路5bの流路長よりも長くなっている。このため、主流7bよりも支流7cの方が、流路抵抗が大きい。この結果、分岐部Aでの支流7cの流速を低くすることができる。」

(引1ウ)

「【0191】
本発明の態様5における粒子測定装置10Cは、態様1、2又は3の粒子分離装置20A・20C・20Eと、上記粒子分離装置20A・20C・20Eにて分離された気体に含まれる粒子を検出する粒子検出部(センサ1)とを備えた粒子測定装置であって、上記粒子分離装置20A・20Eが間欠駆動モードにて駆動するときの該粒子分離装置20A・20C・20Eの第1電圧駆動状態と第2電圧駆動状態との連続的な繰り返しにおける各繰り返しの時間の中で、複数の異なる検出条件の間で該検出条件を1回以上切り替えて、複数の異なる検出条件にて上記粒子検出部(センサ1)に粒子を検出させる検出条件切替部11cを備えているとすることができる。尚、検出条件とは、例えば、光散乱を利用した大気中粒子の質量濃度を測定する装置の場合、粒子検出部の出力値を質量濃度に変換するための換算式が挙げられる。同一質量濃度でも、粒子分布が異なると光散乱強度が変化する。このため、間欠駆動モードの状態に応じて換算式を切り替えることによって、精度の高い測定が可能となる。例えば、粒子の検出情報を電気信号として検出し、検出した電気信号強度と係数との積を換算式として粒子の濃度を算出する粒子検出装置において、流体駆動部(ファン4)の駆動出力の大きさの異なる粒子範囲に対応して異なる係数値を用いるようにしてもよい。」

(引1エ)

「【産業上の利用可能性】
【0203】
本発明は、大気中に浮遊する微粒子を分離し分離した微粒子の量を測定する、微粒子測定装置や微粒子センサに利用することができる。したがって、例えば、PM2.5(Particulate Matter:微小粒子状物質)等の微小粒子やほこり等の粗大粒子の測定に適用することができる。」

(引1オ)図1

[図:0001396896000001.jpg]

(引1カ)図2

[図:0001396896000002.jpg]

(引1キ)図3

[図:0001396896000003.jpg]

(引1ク)図13

[図:0001396896000004.jpg]

イ 引用文献1に記載された発明

(ア)上記(引1イ)の【0026】「微小粒子を測定する測定部であるセンサ1は、支流路5cの途中に設けられており、支流路5cを通過する気体中の微小粒子の量を測定する。具体的には、このセンサ1は、例えば、通過する気流中の微粒子に光を照射し、微粒子から散乱した光を検出するという光散乱法によって、気体中の微小粒子の量を測定する。・・・粒子検出部は、例えば光散乱を利用した濃度測定装(当審注:「濃度測定装」は、「濃度測定装置」の誤記と認める。)・・・でもよい。」との記載、及び上記(引1ウ)の【0191】「上記粒子分離装置20A・・・にて分離された気体に含まれる粒子を検出する粒子検出部(センサ1)とを備えた粒子測定装置であって、・・・。尚、検出条件とは、例えば、光散乱を利用した大気中粒子の質量濃度を測定する装置の場合、粒子検出部の出力値を質量濃度に変換するための換算式が挙げられる。」との記載、並びに図3から、引用文献1に記載された「センサ1」は、気流中の微小粒子8bの質量濃度を測定する、光散乱を利用した濃度測定装置であることが読み取れる。

(イ)上記(引1イ)の【0035】「系内へ吸引された含粒子流体は、・・・気流7aが分岐部Aにおいて主流7bと支流7cとに分岐したときに、所望粒径の微小粒子8bを含む含粒子流体と所望粒径以外の粗大粒子8aを含む含粒子流体とに分粒される。」との記載、及び上記(引1エ)の【0203】「本発明は、大気中に浮遊する微粒子を分離し分離した微粒子の量を測定する、微粒子測定装置や微粒子センサに利用することができる。したがって、例えば、PM2.5(Particulate Matter:微小粒子状物質)等の微小粒子・・・の測定に適用することができる。」との記載から、引用文献1に記載された「所望粒径の微小粒子8b」は、PM2.5以下の微小粒子8bであってもよいことが読み取れる。

(ウ)(引1オ)の図1から、粒子測定装置10Aは、センサ1、ファン4及び気体流路5を備えていること、主流路5bは、主流排出路5dへ向かうに伴い、流路断面積が大きくなる構成になっていること、並びに、主流7bと支流7cは、ファン4における排気側の気体排出面から排出されることが見て取れる。

(エ)上記(引1イ)の【0034】に記載された「大気等の含粒子流体を、導入流路5aを通して系内へ導入する」の「系内」、上記(引1イ)の【0035】に記載された「系内へ吸引された含粒子流体」の「系内」は、上記(引1イ)の【0033】に記載された「導入流路5aを通って粒子測定装置10A内に気流7aとして導入される」の「粒子測定装置10A内」を意味するから、以下では上記「系内」との記載を「粒子測定装置10A内」と記載する。また、上記(引1イ)に記載された、導入流路5aに導入される「空気等の気体」、「空気」、「気体」、「浮遊粒子を含んだ空気の流体(以下、「含粒子流体」と記す)」などについては、以下では「含粒子流体」と記載する。

(オ)上記(ア)ないし(エ)を踏まえると、上記(引1イ)ないし(引1キ)から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「センサ1、ファン4及び気体流路5を備える粒子測定装置10Aであって、
粒子測定装置10A内に形成された気体流路5は、導入流路5aと、主流路5bと、支流路5cと、主流排出路5dと支流排出路5eとから構成され、
導入流路5aは、外部から含粒子流体を導入するための流路であり、主流路5b及び支流路5cは、導入流路5aから分岐部Aにて2方向に分岐した流路であり、主流路5bに連結している主流排出路5d、及び支流路5cに連結している支流排出路5eは、いずれも含粒子流体を外部へ排出するための流路であり、
ファン4を駆動することにより、導入流路5aから導入された含粒子流体に含まれる粒子を、その慣性力によって、分岐部Aにおいて粗大粒子8aが含まれる主流路5bと微小粒子8bが含まれる支流路5cとへ分離つまり分粒させ、
続きを表示(全14行)
センサ1は、支流路5cの途中に設けられ、支流路5cを通過する含粒子流体中の微小粒子8bの量を測定するもので、具体的には、このセンサ1は、気流中の微小粒子8bの質量濃度を測定する、光散乱を利用した濃度測定装置であり、
ファン4は、ただ1つ設けられ、導入流路5aから主流路5bを通して主流排出路5dへ向かう気流と、導入流路5aから支流路5cを通して主流排出路5dへ向かう気流とを発生させる流体駆動部として機能し、
粒子測定装置10Aでは、流体駆動部を1つのファン4にて構成しているが、支流路5cに別途のファン4を設けることにより、流体駆動部を2つのファン4にて構成することも可能であり、
粒子測定装置10Aでは、主流路5b及び主流排出路5dと支流路5c及び支流排出路5eとを合流させた気体吸入面4aをファン4に接続した構成となっており、このような構成において、ファン4における吸気側の部分に、気体吸入面4aと同程度の面積を有する空間を設け、この結果、主流7bは、主流排出路5dと気体吸入面4aとにより形成された空間を通ってファン4における排気側の気体排出面から外部に排出され、支流7cは、支流排出路5eと気体吸入面4aとにより形成された空間を通ってファン4における排気側の気体排出面から外部に排出され、
粒子測定装置10Aでは、ファン4の駆動によって、含粒子流体は、導入流路5aを通って粒子測定装置10A内に気流7aとして導入され、導入流路5aは、分岐部Aへ向かうに伴い、流路断面積が小さくなる構成になっており、このため、導入流路5aに導入された含粒子流体は、分岐部Aに向かうに伴って加速することになり、主流路5bは、主流排出路5dへ向かうに伴い、流路断面積が大きくなる構成になっており、
含粒子流体の気流7aは、分岐部Aにおいて主流7bと支流7cとに分岐し、主流7b及び支流7cは、それぞれ、ファン4によって吸引される主流路5b及び支流路5cを通り、1つのファン4にて主流7b及び支流7cに分岐して吸引することによって、含粒子流体を、導入流路5aを通して粒子測定装置10A内へ導入することができ、
粒子測定装置10A内へ吸引された含粒子流体は、気流7aが分岐部Aにおいて主流7bと支流7cとに分岐したときに、所望粒径の微小粒子8bを含む含粒子流体と所望粒径以外の粗大粒子8aを含む含粒子流体とに分粒され、このとき、主流7bには、所望粒径以外の粗大粒子8aを含む含粒子流体が含まれ、支流7cには、所望粒径の微小粒子8bを含む含粒子流体が含まれ、
ファン4によって吸引される含粒子流体に含まれる粗大粒子8aは、分岐部Aにおいて主流路5bに対して逆方向に延びた支流路5cへは混入しないようになっており、導入流路5a、主流路5b及びファン4は、略同一方向に配列して設けられ、このような構成とすることによって、粗大粒子8aは、支流路5cへ逆流することなく、主流路5bへの分岐後、主流排出路5dを介して外部へ排出され易くなり、
所望粒径の微小粒子8bは、PM2.5以下の微小粒子8bである、
粒子測定装置10A。」

(3)本件補正発明と引用発明との対比

ア

(ア)引用発明の「所望粒径の微小粒子8bは、PM2.5以下の微小粒子8bである」から、引用発明の「所望粒径の微小粒子8b」は、本件補正発明の「所定の閾値よりも小さい粒子」に相当する。また、引用発明の「センサ1」「を備える粒子測定装置10A」は、本件補正発明の「センサシステム(1)」に相当する。

(イ)上記(ア)を踏まえると、引用発明の「含粒子流体」における「気流中の」「所望粒径の微小粒子8b」「の質量濃度を測定する」「センサ1」「を備える粒子測定装置10A」は、本件補正発明の「空気流内の所定の閾値よりも小さい粒子の質量濃度を計測するためのセンサシステム(1)」に相当する。

イ

(ア)引用発明の「支流7c」、「主流7b」、「支流路5c及び支流排出路5e」、及び「主流路5b及び主流排出路5d」は、それぞれ、本件補正発明の「主流(5)」、「副流(6)」、「第1のダクト(7)」、及び「第2のダクト(8)」に相当する。また、引用発明の「所望粒径以外の粗大粒子8a」は、「所望粒径の微小粒子8b」よりも大きい粒子であるから、本件補正発明の「所定の閾値よりも大きい粒子」に相当する。

(イ)引用発明の「導入流路5a」の吸気端(以下「導入流路5a吸気端」という。)は、本件補正発明の「入口(2)」に相当する。

(ウ)引用発明の「導入流路5a吸気端」を除いた「導入流路5a」(以下「導入流路5a本体」という。)と「主流路5b及び支流路5c」は、「気流7a」を「分岐部Aにおいて主流7bと支流7cとに分岐」する部分であるから、本件補正発明の「第1のスプリッタ(3)」に相当する。

(エ)引用発明において、「気流7a」は、「導入流路5aを通って粒子測定装置10A内に」「導入」される全流量であるから、上記(イ)を踏まえると、引用発明の「含粒子流体を」「気流7aとして導入」する「導入流路5a吸気端」は、本件補正発明の「粒子を有する空気の総流量(4)を受け入れるための入口(2)」に相当する。

(オ)引用発明において、「導入流路5a吸気端」と「導入流路5a本体」は、本件補正発明の発明特定事項と対比するために、「導入流路5a」を便宜的に区分しただけであるから、「導入流路5a吸気端」は、「導入流路5a本体」に接続されていると見ることができる。よって、引用発明の「導入流路5a吸気端」が、「導入流路5a本体」に接続されていることは、本件補正発明の「前記入口は、」「第1のスプリッタ(3)、に接続されて」いることに相当する。

(カ)上記(ア)及び(ウ)を踏まえると、引用発明の「含粒子流体の気流7a」を「分岐部Aにおいて主流7bと支流7cとに分岐し、主流7b及び支流7c」を「それぞれ」「主流路5b及び主流排出路5dと支流路5c及び支流排出路5eと」に「通」す、「導入流路5a本体」と「主流路5b及び支流路5c」は、本件補正発明の「空気の前記総流量を主流(5)および副流(6)に分離するための、前記主流を第1のダクト(7)に導くための、および前記副流を第2のダクト(8)に導くための第1のスプリッタ(3)」に相当する。

(キ)上記ア(ア)及び(ア)を踏まえると、引用発明の「支流7c」は「所望粒径の微小粒子8bを含む」ことは、本件補正発明の「前記主流は前記所定の閾値よりも小さい粒子を含」むことに相当する。

(ク)上記(ア)を踏まえると、引用発明の「主流7b」は「所望粒径以外の粗大粒子8aを含む」ことは、本件補正発明の「前記副流は前記所定の閾値よりも大きい粒子を含む」ことに相当する。

(ケ)上記(ア)ないし(ク)の対比から、

引用発明の「含粒子流体を」「気流7aとして導入」する「導入流路5a吸気端」であって、「導入流路5a吸気端」は、

「含粒子流体の気流7a」を「分岐部Aにおいて主流7bと支流7cとに分岐し、主流7b及び支流7c」を「それぞれ」「主流路5b及び主流排出路5dと支流路5c及び支流排出路5eと」に「通」す、「導入流路5a本体」と「主流路5b及び支流路5c」に、接続されており、

「支流7c」は「所望粒径の微小粒子8bを含」み、

「主流7b」は「所望粒径以外の粗大粒子8aを含む」、「導入流路5a吸気端」は、

本件補正発明の「粒子を有する空気の総流量(4)を受け入れるための入口(2)であって、前記入口は、

空気の前記総流量を主流(5)および副流(6)に分離するための、前記主流を第1のダクト(7)に導くための、および前記副流を第2のダクト(8)に導くための第1のスプリッタ(3)、に接続されており、

前記主流は前記所定の閾値よりも小さい粒子を含み、

前記副流は前記所定の閾値よりも大きい粒子を含む、入口」に相当する。

ウ

(ア)引用発明の「気体吸入面4aと同程度の面積を有する空間」及び「ファン4における排気側の気体排出面」は、それぞれ、本件補正発明の「接合部(9)」及び「出口(10)」に相当する。

(イ)上記(ア)を踏まえると、引用発明の「ファン4における吸気側の部分に」「設け」られた、「主流路5b及び主流排出路5dと支流路5c及び支流排出路5eとを合流させた」「気体吸入面4aと同程度の面積を有する空間」は、本件補正発明の「前記第1のダクトと前記第2のダクトとが一体となる接合部(9)」に相当する。

(ウ)上記(ア)を踏まえると、引用発明の「気体吸入面4aと同程度の面積を有する空間」を「吸気側の部分に」「設け」た「ファン4における排気側の気体排出面」は、本件補正発明の「前記接合部に結合された出口(10)」に相当する。

(エ)上記(ア)ないし(ウ)の対比から、引用発明の「ファン4における吸気側に」「設け」られた、「主流路5b及び主流排出路5dと支流路5c及び支流排出路5eとを合流させた」「気体吸入面4aと同程度の面積を有する空間」、及び「気体吸入面4aと同程度の面積を有する空間」を「吸気側の部分に」「設け」た「ファン4における排気側の気体排出面」は、本件補正発明の「前記第1のダクトと前記第2のダクトとが一体となる接合部(9)および前記接合部に結合された出口(10)」に相当する。

エ

(ア)引用発明の「センサ1」は、本件補正発明の「センサ(11)」に相当する。

(イ)上記(ア)を踏まえると、引用発明の「支流路5cの途中に設けられ、」「支流7cに」「含」まれる「所望粒径の微小粒子8b」「の量を測定」する「センサ1」は、本件補正発明の「前記主流に含まれる前記所定の閾値よりも小さい粒子の量を測定するために、前記第1のダクト内に配置されたセンサ(11)」に相当する。

オ

(ア)引用発明の「ファン4」は、本件補正発明の「フローファン(12)」に相当する。

(イ)上記(ア)を踏まえると、引用発明の「含粒子流体を」「吸引することによって」、「粒子測定装置10A内へ気流7aとして導入」し、「主流7b」、「支流7c」として「外部に排出」する「ファン4」は、本件補正発明の「前記総流量を引き込んで前記システムに通すための第1のフローファン(12)」に相当する。

カ 引用発明の「所望粒径の微小粒子8bは、PM2.5以下の微小粒子8bである」ことは、「PM2.5」が「所望粒径以外の粗大粒子8a」と「分離」するための基準であることから、本件補正発明の「前記所定の閾値は実質的にPM2.5である」ことに相当する。

(4)一致点・相違点

そうすると、本件補正発明と引用発明とは、次の点で一致し、次の点で相違する。

(一致点)

「空気流内の所定の閾値よりも小さい粒子の質量濃度を計測するためのセンサシステム(1)であって、前記センサシステムは、
粒子を有する空気の総流量(4)を受け入れるための入口(2)であって、前記入口は、
空気の前記総流量を主流(5)および副流(6)に分離するための、
前記主流を第1のダクト(7)に導くための、および
続きを表示(全11行)
前記副流を第2のダクト(8)に導くための第1のスプリッタ(3)、に接続されており、
前記主流は前記所定の閾値よりも小さい粒子を含み、
前記副流は前記所定の閾値よりも大きい粒子を含む、入口と、
前記第1のダクトと前記第2のダクトとが一体となる接合部(9)および前記接合部に結合された出口(10)と、
前記主流に含まれる前記所定の閾値よりも小さい粒子の量を測定するために、前記第1のダクト内に配置されたセンサ(11)と、
前記総流量を引き込んで前記システムに通すための第1のフローファン(12)とを含み、
前記所定の閾値は実質的にPM2.5である、センサシステム。」

(相違点1)

本件補正発明では、「前記主流の流量の前記副流の流量に対する比が1:5から1:20であ」るのに対し、引用発明では、「支流7c」の流量の「主流7b」の流量に対する比についての特定がない点。

(5)判断

上記相違点1について検討する。

ア 上記相違点1について

(ア)(引1ア)の背景技術には、「【0002】

大気中に浮遊する微粒子を粗大粒子と分離し、分離した微粒子の量を測定する粒子測定装置として、例えば特許文献1に開示された装置が挙げられる。特許文献1に開示された微粒子の分離方法では、流体中に浮遊する粒子を加速して慣性力によって分離している。

【0003】

詳細には、特許文献1に開示された粒子測定装置100では、図13に示すように、ロート状のサンプリング管110における粗大粒子排出用直管部111に同心に該粗大粒子排出用直管部111よりも小径の微粒子採取用直管120が近接して設けられている。

【0004】

上記粒子測定装置100では、大気中に浮遊する微粒子を粗大粒子と分離するときには、粗大粒子排出用直管部111の吸引側111aから図示しないポンプにて吸引する。また、微粒子採取用直管120においても吸引側121から図示しないポンプにて吸引する。

・・・

【0006】

このとき、粗大粒子101aは慣性力が大きいので、主流102に搬送されて粗大粒子排出用直管部111から除去される。一方、微小粒子101bは慣性力が小さいので、微粒子採取用直管120に向けて反転して逆方向の支流103に搬送されて微粒子採取用直管120へ送り込まれる。

【0007】

これによって、含粒子流体101に含まれる粗大粒子101aと微小粒子101bとが分離されることになる。特許文献1の分離方法では、主流102及び支流103の流量調整、及び微粒子採取用直管120の上下移動にてノズル部113の全長とその間隔を調整することによって、粒子の分級特性を変えることができるようになっている。」と記載されている。

(イ)上記(ア)(引1ア)の背景技術に記載されているように、慣性力を利用して大気中に浮遊する粒子を、微小粒子と粗大粒子とに分離する分粒装置において、粒子の分級特性を変えるために、微小粒子が含まれる支流の流量と粗大粒子が含まれる主流の流量、及び、支流の流路形状と主流の流路形状を調整・設計することは、本願の優先日における技術常識である。

(ウ)上記技術常識を踏まえると、引用発明も、ファン4を駆動することにより、導入流路5aから導入された含粒子流体に含まれる粒子を、その慣性力によって、分岐部AにおいてPM2.5より大きい粗大粒子8aが含まれる主流路5bと、PM2.5以下の微小粒子8bが含まれる支流路5cとに、分離つまり分粒させるものであるから、引用発明において、支流路5cに、PM2.5以下の微小粒子8bを含み、PM2.5より大きい粗大粒子8aが混入しないように、支流7cの流量と主流7bの流量、及び、支流路5cの形状と主流路5bの形状を調整・設計することは、当然のことである。

(エ)また、上記(引1イ)の【0050】の記載を踏まえれば、粒子測定装置10Aでは、主流7bよりも流速が低い支流7cは、主流7bよりも少ない流量であることが想定されるところ、下記(6)イで説示したとおり、本件補正発明において、支流7cの流量の主流7bの流量に対する比を「1:5から1:20」の範囲とすることに、本願明細書の記載を踏まえても、いわゆる臨界的意義を有するとはいえない。

(オ)そうすると、引用発明において、支流路5cに、PM2.5以下の微小粒子8bを含み、PM2.5より大きい粗大粒子8aが混入しないように、支流7cの流量と主流7bの流量、及び、支流路5cの形状と主流路5bの形状を調整・設計する際、測定効率の向上のために、導入される気流7aの全流量に対して支流7cの流量を少なくすることにより、センサ1で測定するPM2.5以下の微小粒子8bの濃縮率が大きい支流7cとすること、センサ1で測定可能な、支流7cに含まれるPM2.5以下の微小粒子8bの必要量を確保することなどを考慮して、支流7cの流量の主流7bの流量に対する比を「1:5から1:20」の範囲にすることは、当業者が適宜なし得る設計的事項といえる。

(カ)してみると、引用発明において、上記技術常識を踏まえて、上記相違点1に係る本件補正発明の発明特定事項を備えたものとすることは、当業者であれば容易に想到し得ることである。

イ 本件補正発明の奏する作用効果

そして、本件補正発明によってもたらされる効果は、引用文献1の記載事項及び上記技術常識から当業者が予測し得る程度を超えるものとはいえない。

ウ 小括

したがって、本件補正発明は、引用発明及び上記技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

よって、本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(6)請求人の主張について

ア 請求人は審判請求書において、「主流および副流の総流量(3L/分)を分割するスプリッタ(バーチャルインパクタ)のシミュレーション結果を以下に提供し、それにより、主流の流量の副流の流量に対する様々な比における粒子カットオフがどのようになるかをシミュレートする。バーチャルインパクタはスプリッタとして使用されている。バーチャルインパクタは、実質的に本願請求項8および9で特定されるような設計を有しており、シミュレーションに使用される形状を以下に示す。

形状の正確なサイズは特に重要ではなく、所定の総流量(3L/分など)で同じ流量比を達成するスプリッタの他の同等の形状を得ることができる。

シミュレーション結果におけるスプリッタの「カットオフ」は、本願請求項1で定義されている「所定の閾値」を指す。スプリッタのカットオフは、Particulate Matter(PM)を指す。Particulate Matter 2.5またはPM2.5粒子は、2.5μmの空気力学的直径を有する粒子として定義される。PM2.5のカットオフを有する粒子センサは、2.5μmより小さい空気力学的直径の粒子を測定することを目的としている。

【図1】

[図:0001396896000005.jpg]

・・・(中略)・・・

上記の結果から、主流の流量の副流の流量に対する比が1:5から1:20であると、1:5から1:20の範囲の間の流量比の変動にもかかわらず、実質的に約PM2.5の安定した粒子カットオフが保証されると結論付けることができる。

上述したシミュレーション結果に関連して、本願請求項1では「前記所定の閾値は実質的にPM2.5である」との発明特定事項が補正により追加されている。

補正後の本願請求項1に記載の発明における特徴およびそれに関連した上述した内容を含む効果は、引用文献1および2において開示および示唆されていないと思量する。」(「4.本願発明が特許されるべき理由」の欄)と主張している。

イ 請求人は審判請求書において、要するに、スプリッタのシミュレーション結果を示し、主流の流量の副流の流量に対する比が1:5から1:20であることにより、PM2.5の安定したカットオフが得られるという顕著な効果を奏する旨主張する。

しかしながら、本件補正発明には、支流路5cの形状と主流路5bの形状に関する特定がないところ、上記シミュレーション結果は、審判請求書の図1に記載されるスプリッタにおけるものである。そして、上記(5)アに示した技術常識によれば、支流路と主流路の形状がどのようなスプリッタであっても、主流の流量の副流の流量に対する比が1:5から1:20でありさえあれば、PM2.5の安定したカットオフが得られるという顕著な効果を奏するとは考えることができないから、本件補正発明において、支流7cの流量の主流7bの流量に対する比を「1:5から1:20」の範囲とすることに、本願明細書の記載を踏まえても、いわゆる臨界的意義を有するとはいえず、請求人の上記主張は、本件補正発明の構成に基づくものとはいえない。

よって、請求人の上記主張は採用できない。

なお、請求人が請求人上申書において提示した補正案(以下「補正案1」という。)及びさらなる補正案(以下「補正案2」という。)における請求項1に係る発明について、念のため検討したが、以下のとおり、請求人上申書の記載を参酌しても上記判断を覆すべき事情はない。

ア 補正案1及び補正案2として提示された請求項1に係る発明(以下、それぞれ「本件補正案1発明」及び「本件補正案2発明」という。)は、次のとおりである。(下線は、本件補正発明から追加・変更された箇所を示す。)

(本件補正案1発明)

「 【請求項1】
空気流内の所定の閾値よりも小さい粒子の質量濃度を計測するためのセンサシステム(1)であって、前記センサシステムは、
粒子を有する空気の総流量(4)を受け入れるための入口(2)であって、前記入口は、
空気の前記総流量を主流(5)および副流(6)に分離するための、
続きを表示(全15行)
前記主流を第1のダクト(7)に導くための、および
前記副流を第2のダクト(8)に導くための第1のスプリッタ(3)、に接続されており、
前記主流は前記所定の閾値よりも小さい粒子を含み、
前記副流は前記所定の閾値よりも大きい粒子を含む、入口と、
前記第1のダクトと前記第2のダクトとが一体となる接合部(9)および前記接合部に結合された出口(10)と、
前記主流に含まれる前記所定の閾値よりも小さい粒子の量を測定するために、前記第1のダクト内に配置されたセンサ(11)と、
前記総流量を引き込んで前記システムに通すための第1のフローファン(12)とを含み、
前記第1のスプリッタは、バーチャルインパクタであり、前記総流量の第1の方向を規定する第1のスプリッタ入口と、少なくとも平行分岐部(16)および垂直分岐部(17)であって、前記総流量を、前記垂直分岐部を経て前記第1のダクトに導く前記主流と、前記平行分岐部を経て前記第2のダクトに導く前記副流とに分割するための平行分岐部(16)および垂直分岐部(17)への分岐を含む第1のスプリッタ出口とを含み、
前記第1のスプリッタは、前記第1のスプリッタの入口に配置された、前記総流量を加速するための加速ノズル(151)を含み、
前記第1のスプリッタの出口は、少なくとも1つの減速ノズルを含み、
前記総流量は、1L/分から10L/分の間であり、前記主流の流量の前記副流の流量に対する比が1:5から1:20であり、前記所定の閾値は実質的にPM2.5であることによって特徴付けられる、センサシステム。」

(本件補正案2発明)

「 【請求項1】
空気流内の所定の閾値よりも小さい粒子の質量濃度を計測するためのセンサシステム(1)であって、前記センサシステムは、
粒子を有する空気の総流量(4)を受け入れるための入口(2)であって、前記入口は、
空気の前記総流量を主流(5)および副流(6)に分離するための、
続きを表示(全15行)
前記主流を第1のダクト(7)に導くための、および
前記副流を第2のダクト(8)に導くための第1のスプリッタ(3)、に接続されており、
前記主流は前記所定の閾値よりも小さい粒子を含み、
前記副流は前記所定の閾値よりも大きい粒子を含む、入口と、
前記第1のダクトと前記第2のダクトとが一体となる接合部(9)および前記接合部に結合された出口(10)と、
前記主流に含まれる前記所定の閾値よりも小さい粒子の量を測定するために、前記第1のダクト内に配置されたセンサ(11)と、
前記総流量を引き込んで前記システムに通すための第1のフローファン(12)とを含み、
前記第1のスプリッタは、バーチャルインパクタであり、前記総流量の第1の方向を規定する第1のスプリッタ入口と、少なくとも平行分岐部(16)および垂直分岐部(17)であって、前記総流量を、前記垂直分岐部を経て前記第1のダクトに導く前記主流と、前記平行分岐部を経て前記第2のダクトに導く前記副流とに分割するための平行分岐部(16)および垂直分岐部(17)への分岐を含む第1のスプリッタ出口とを含み、
前記第1のスプリッタは、前記第1のスプリッタの入口に配置された、前記総流量を加速するための加速ノズル(151)を含み、
前記第1のスプリッタ出口は、前記平行分岐部において減速ノズルおよび前記垂直分岐部において減速ノズルを含み、
前記総流量は、1L/分から10L/分の間であり、前記主流の流量の前記副流の流量に対する比が1:5から1:20であり、前記所定の閾値は実質的にPM2.5であることによって特徴付けられる、センサシステム。」

イ 本件補正案1発明と引用発明との対比

ここでは、本件補正案1発明から変更・追加された本件補正案1発明の発明特定事項について、引用発明と対比する。変更・追加がない発明特定事項については、上記(3)「本件補正発明と引用発明との対比」の欄を参照のこと。

(ア)引用発明は、「ファン4を駆動することにより、導入流路5aから導入された含粒子流体に含まれる粒子を、その慣性力によって、分岐部Aにおいて粗大粒子8aが含まれる主流路5bと微小粒子8bが含まれる支流路5cとへ分離つまり分粒させ」るものであるから、引用発明の「導入流路5a本体」と「主流路5b及び支流路5c」は、バーチャルインパクタであり、本件補正案1発明の「前記第1のスプリッタは、バーチャルインパクタであ」ることに相当する。

(イ)

a 引用発明の「導入流路5a本体」、「主流路5b及び支流路5c」は、それぞれ、本件補正案1発明の「第1のスプリッタ入口」、「第1のスプリッタ出口」に相当する。

b 引用発明の「導入流路5a」と「略同一方向に配列して設けられ」る「主流路5b」における「分岐部A」(以下「主流路5b分岐部A」という。)は、本件補正案1発明の「平行分岐部(16)」に相当する。

c 引用発明の「主流路5bに対して逆方向に延び」る「支流路5c」における「分岐部A」(以下「支流路5c分岐部A」という。)と、本件補正案1発明の「垂直分岐部(17)」とは、「非平行分岐部(17)」の点で共通する。

d 上記aを踏まえると、引用発明の「含粒子流体」が「気流7aとして導入され」る「導入流路5a本体」は、「気流7a」を「導入流路5a本体」の流路方向に規定することから、本件補正案1発明の「前記総流量の第1の方向を規定する第1のスプリッタ入口」に相当する。

e 上記cを踏まえると、引用発明の「気流7a」を、「支流路5c分岐部A」を経て「支流路5c及び支流排出路5e」に「通」す「支流7c」と、本件補正案1発明の「前記総流量を、前記垂直分岐部を経て前記第1のダクトに導く前記主流」とは、「前記総流量を、前記非平行分岐部を経て前記第1のダクトに導く前記主流」の点で共通する。

f 上記bを踏まえると、引用発明の「気流7a」を、「主流路5b分岐部A」を経て「主流路5b及び主流排出路5d」に「通」す「主流7b」は、本件補正案1発明の「前記総流量を、」「前記平行分岐部を経て前記第2のダクトに導く前記副流」に相当する。

g 上記a、e、fを踏まえると、引用発明の「主流路5b分岐部A」及び「支流路5c分岐部A」であって、「気流7a」を、「支流路5c分岐部A」を経て「支流路5c及び支流排出路5e」に「通」す「支流7c」と、「主流路5b分岐部A」を経て「主流路5b及び主流排出路5d」に「通」す「主流7b」とに「分離」するための「主流路5b分岐部A」及び「支流路5c分岐部A」への「分岐」を含む「主流路5b及び支流路5c」と、本件補正案1発明の「少なくとも平行分岐部(16)および垂直分岐部(17)であって、前記総流量を、前記垂直分岐部を経て前記第1のダクトに導く前記主流と、前記平行分岐部を経て前記第2のダクトに導く前記副流とに分割するための平行分岐部(16)および垂直分岐部(17)への分岐を含む第1のスプリッタ出口」とは、「少なくとも平行分岐部(16)および非平行分岐部(17)であって、前記総流量を、前記非平行分岐部を経て前記第1のダクトに導く前記主流と、前記平行分岐部を経て前記第2のダクトに導く前記副流とに分割するための平行分岐部(16)および非平行分岐部(17)への分岐を含む第1のスプリッタ出口」の点で共通する。

h 上記aないしgの対比から、

引用発明の「導入流路5a本体」と「主流路5b及び支流路5c」は、「含粒子流体」が「気流7aとして導入され」る「導入流路5a本体」と、「主流路5b分岐部A」及び「支流路5c分岐部A」であって、「気流7a」を、「支流路5c分岐部A」を経て「支流路5c及び支流排出路5e」に「通」す「支流7c」と、「主流路5b分岐部A」を経て「主流路5b及び主流排出路5d」に「通」す「主流7b」とに「分離」するための「主流路5b分岐部A」及び「支流路5c分岐部A」への「分岐」を含む「主流路5b及び支流路5c」とを含むことと、

本件補正案1発明の「前記第1のスプリッタは、」「前記総流量の第1の方向を規定する第1のスプリッタ入口と、少なくとも平行分岐部(16)および垂直分岐部(17)であって、前記総流量を、前記垂直分岐部を経て前記第1のダクトに導く前記主流と、前記平行分岐部を経て前記第2のダクトに導く前記副流とに分割するための平行分岐部(16)および垂直分岐部(17)への分岐を含む第1のスプリッタ出口とを含」むこととは、

「前記第1のスプリッタは、」「前記総流量の第1の方向を規定する第1のスプリッタ入口と、少なくとも平行分岐部(16)および非平行分岐部(17)であって、前記総流量を、前記非平行分岐部を経て前記第1のダクトに導く前記主流と、前記平行分岐部を経て前記第2のダクトに導く前記副流とに分割するための平行分岐部(16)および非平行分岐部(17)への分岐を含む第1のスプリッタ出口とを含」むことの点で共通する。

(ウ)

a 引用発明の「導入流路5a本体」が「分岐部Aへ向かうに伴い、流路断面積が小さくなる構成」は、「気流7a」を「分岐部Aに向かうに伴って加速」させることから、本件補正案1発明の「前記総流量を加速するための加速ノズル(151)」に相当する。

b 上記aを踏まえると、引用発明の「導入流路5a本体」と「主流路5b及び支流路5c」は、「導入流路5a本体」が「分岐部Aへ向かうに伴い、流路断面積が小さくなる構成になって」いることを含むことは、本件補正案1発明の「前記第1のスプリッタは、前記第1のスプリッタの入口に配置された、前記総流量を加速するための加速ノズル(151)を含」むことに相当する。

(エ)

a 引用発明の「主流路5b」が「主流排出路5dへ向かうに伴い、流路断面積が大きくなる構成」は、主流7bを主流排出路5dに向かうに伴って減速させることが明らかであるから、本件補正案1発明の「少なくとも1つの減速ノズル」に相当する。

b 上記aを踏まえると、引用発明の「導入流路5a本体」と「主流路5b及び支流路5c」は、「主流路5b」が「主流排出路5dへ向かうに伴い、流路断面積が大きくなる構成になって」いることを含むことは、本件補正案1発明の「前記第1のスプリッタの出口は、少なくとも1つの減速ノズルを含」むことに相当する。

ウ 一致点・相違点

そうすると、本件補正案1発明と引用発明とは、次の点で一致し、上記相違点1に加えて次の各点で相違する。

(一致点)

「 空気流内の所定の閾値よりも小さい粒子の質量濃度を計測するためのセンサシステム(1)であって、前記センサシステムは、
粒子を有する空気の総流量(4)を受け入れるための入口(2)であって、前記入口は、
空気の前記総流量を主流(5)および副流(6)に分離するための、
前記主流を第1のダクト(7)に導くための、および
続きを表示(全14行)
前記副流を第2のダクト(8)に導くための第1のスプリッタ(3)、に接続されており、
前記主流は前記所定の閾値よりも小さい粒子を含み、
前記副流は前記所定の閾値よりも大きい粒子を含む、入口と、
前記第1のダクトと前記第2のダクトとが一体となる接合部(9)および前記接合部に結合された出口(10)と、
前記主流に含まれる前記所定の閾値よりも小さい粒子の量を測定するために、前記第1のダクト内に配置されたセンサ(11)と、
前記総流量を引き込んで前記システムに通すための第1のフローファン(12)とを含み、
前記第1のスプリッタは、バーチャルインパクタであり、前記総流量の第1の方向を規定する第1のスプリッタ入口と、少なくとも平行分岐部(16)および非平行分岐部(17)であって、前記総流量を、前記非平行分岐部を経て前記第1のダクトに導く前記主流と、前記平行分岐部を経て前記第2のダクトに導く前記副流とに分割するための平行分岐部(16)および非平行分岐部(17)への分岐を含む第1のスプリッタ出口とを含み、
前記第1のスプリッタは、前記第1のスプリッタの入口に配置された、前記総流量を加速するための加速ノズル(151)を含み、
前記第1のスプリッタの出口は、少なくとも1つの減速ノズルを含み、
前記所定の閾値は実質的にPM2.5である、センサシステム。」

(相違点2)

非平行分岐部(17)が、本件補正案1発明では、「垂直分岐部(17)」であるのに対し、引用発明では、「主流路5bに対して逆方向に延び」る「支流路5c」の「分岐部A」(「支流路5c分岐部A」)である点。

(相違点3)

本件補正案1発明では、「前記総流量は、1L/分から10L/分の間であ」るのに対し、引用発明では、「気流7a」の具体的な流量についての特定がない点。

エ 判断

上記相違点2及び3について検討する。上記相違点1の判断は、上記(5)「判断」の欄を参照のこと。

(ア)上記相違点2について

引用発明において、支流路5cに、PM2.5以下の微小粒子8bを含み、PM2.5より大きい粗大粒子8aが混入しないように、支流7cの流量と主流7bの流量、及び、支流路5cの形状と主流路5bの形状を調整・設計する際、主流路5bに対して逆方向、すなわち垂直より大きい角度方向に延びる支流路5cの角度を、「垂直」に変更することは、当業者が適宜なし得る設計的事項といえる。

してみると、引用発明において、上記相違点2に係る本件補正案1発明の発明特定事項を備えたものとすることは、当業者であれば容易に想到し得ることである。

(イ)上記相違点3について

引用発明において、支流路5cに、PM2.5以下の微小粒子8bを含み、PM2.5より大きい粗大粒子8aが混入しないように、支流7cの流量と主流7bの流量、及び、支流路5cの形状と主流路5bの形状を調整・設計する際、測定効率の向上のために、導入される気流7aの全流量に対して支流7cの流量を少なくすることにより、センサ1で測定するPM2.5以下の微小粒子8bの濃縮率が大きい支流7cとすること、センサ1で測定可能な、支流7cに含まれるPM2.5以下の微小粒子8bの必要量を確保することなどを考慮して、気流7aの流量を、具体的に「1L/分から10L/分」の間にすることは、当業者が適宜なし得る設計的事項といえる。

してみると、引用発明において、上記相違点3に係る本件補正案1発明の発明特定事項を備えたものとすることは、当業者であれば容易に想到し得ることである。

(ウ)本件補正案1発明の奏する作用効果

そして、本件補正案1発明によってもたらされる効果は、引用文献1の記載事項及び上記技術常識から当業者が予測し得る程度を超えるものとはいえない。

(エ)したがって、本件補正案1発明は、引用発明及び上記技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

オ 本件補正案2発明と引用発明との対比

ここでは、本件補正案1発明から変更・追加された本件補正案2発明の発明特定事項について、引用発明と対比する。変更・追加がない発明特定事項については、上記(3)「本件補正発明と引用発明との対比」及び上記イ「本件補正案1発明と引用発明との対比」の欄を参照のこと。

(ア)引用発明の「導入流路5a本体」と「主流路5b及び支流路5c」は、「主流路5b」が「主流排出路5dへ向かうに伴い、流路断面積が大きくなる構成になって」いることを含むことと、本件補正案2発明の「前記第1のスプリッタ出口は、前記平行分岐部において減速ノズルおよび前記垂直分岐部において減速ノズルを含」むこととは、「前記第1のスプリッタ出口は、前記平行分岐部において減速ノズルを含」むことの点で共通する。

カ 一致点・相違点

そうすると、本件補正案2発明と引用発明とは、次の点で一致し、上記相違点1ないし3に加えて次の点で相違する。

(一致点)

「 空気流内の所定の閾値よりも小さい粒子の質量濃度を計測するためのセンサシステム(1)であって、前記センサシステムは、
粒子を有する空気の総流量(4)を受け入れるための入口(2)であって、前記入口は、
空気の前記総流量を主流(5)および副流(6)に分離するための、
前記主流を第1のダクト(7)に導くための、および
続きを表示(全14行)
前記副流を第2のダクト(8)に導くための第1のスプリッタ(3)、に接続されており、
前記主流は前記所定の閾値よりも小さい粒子を含み、
前記副流は前記所定の閾値よりも大きい粒子を含む、入口と、
前記第1のダクトと前記第2のダクトとが一体となる接合部(9)および前記接合部に結合された出口(10)と、
前記主流に含まれる前記所定の閾値よりも小さい粒子の量を測定するために、前記第1のダクト内に配置されたセンサ(11)と、
前記総流量を引き込んで前記システムに通すための第1のフローファン(12)とを含み、
前記第1のスプリッタは、バーチャルインパクタであり、前記総流量の第1の方向を規定する第1のスプリッタ入口と、少なくとも平行分岐部(16)および非平行分岐部(17)であって、前記総流量を、前記非平行分岐部を経て前記第1のダクトに導く前記主流と、前記平行分岐部を経て前記第2のダクトに導く前記副流とに分割するための平行分岐部(16)および非平行分岐部(17)への分岐を含む第1のスプリッタ出口とを含み、
前記第1のスプリッタは、前記第1のスプリッタの入口に配置された、前記総流量を加速するための加速ノズル(151)を含み、
前記第1のスプリッタ出口は、前記平行分岐部において減速ノズルを含み、
前記所定の閾値は実質的にPM2.5である、センサシステム。」

(相違点4)

本件補正案2発明では、第1のスプリッタ出口は、「前記垂直分岐部において減速ノズルを含」むのに対し、引用発明では、「主流路5bに対して逆方向に延び」る「支流路5c」の「分岐部A」(「支流路5c分岐部A」)において減速ノズルを含むことについての特定がない点。

キ 判断

上記相違点4について検討する。上記相違点1の判断は、上記(5)「判断」、上記相違点2及び3の判断は、上記エ「判断」の欄を参照のこと。

(ア)上記相違点4について

引用発明において、支流路5cに、PM2.5以下の微小粒子8bを含み、PM2.5より大きい粗大粒子8aが混入しないように、支流7cの流量と主流7bの流量、及び、支流路5cの形状と主流路5bの形状を調整・設計する際、主流路5bが主流排出路5dへ向かうに伴い、流路断面積が大きくなる構成になっていることは、主流7bを主流排出路5dに向かうに伴って減速させるためであるから、測定効率の向上のために、導入される気流7aの全流量に対して支流7cの流量を少なくすることにより、センサ1で測定するPM2.5以下の微小粒子8bの濃縮率が大きい支流7cとすること、センサ1で測定可能な、支流7cに含まれるPM2.5以下の微小粒子8bの必要量を確保することなどを考慮して、支流7cを支流排出路5eに向かうに伴って減速させるために、主流路5bと同様に、支流路5cを支流排出路5eへ向かうに伴い、流路断面積が大きくなる構成とすることは、当業者が適宜なし得る設計的事項といえる。

してみると、引用発明において、上記相違点4に係る本件補正案2発明の発明特定事項を備えたものとすることは、当業者であれば容易に想到し得ることである。

(イ)本件補正案2発明の奏する作用効果

そして、本件補正案2発明によってもたらされる効果は、引用文献1の記載事項及び上記技術常識から当業者が予測し得る程度を超えるものとはいえない。

(ウ)したがって、本件補正案2発明は、引用発明及び上記技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

ク 小括

以上のとおりであるから、請求人が、請求人上申書において提示した補正案(補正案1)及びさらなる補正案(補正案2)を採用することはできない。

3 本件補正についてのむすび

以上のとおり、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1 本願発明

令和4年4月13日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和3年8月26日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし21に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、上記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶の理由は、本願の請求項1に係る発明は、本願の優先日前に頒布された刊行物又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である、下記の引用文献1に記載された発明に基づいて、本願の優先権主張の日前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:特開2015-114176号公報

3 引用文献

原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項及び引用発明は、上記第2[理由]2(2)ア及びイに記載したとおりである。

4 対比・判断

本願発明は、実質的に、前記第2[理由]2で検討した本件補正発明から、「前記所定の閾値」に係る限定事項を削除したものである。

そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2[理由]2(3)ないし(5)に記載したとおり、引用発明及び上記技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び上記技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび

以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2022-005555

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ根拠条文の審決7,656件(特許法29条2項)
  • 2024-018981拒絶査定不服審判 / 2026-01-27 / 請求不成立X線検査装置及びプログラム
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2024-013307拒絶査定不服審判 / 2025-10-21 / 請求不成立不妊治療成功の予測のための子宮内膜液
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2024-016157拒絶査定不服審判 / 2025-10-20 / 請求不成立スライド上にプリントされたバイオマーカーおよびロマノフスキー型染色サンプルを調製…
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2024-014568拒絶査定不服審判 / 2025-10-15 / 請求不成立キャピラリ電気泳動のためのレーザ照明技法
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2024-013594拒絶査定不服審判 / 2025-08-20 / 請求不成立液滴生成、核酸増幅、及び検出のための一体型のマイクロ流体システム
    共通の条文: 特許法29条2項
検索でもっと見る →
同じ論点・分野の審決(審決分類)934件(121・G01N、575・G01N)
  • 2024-018705拒絶査定不服審判 / 2026-03-25 / 請求不成立試験標本のステージングを制御する方法及び装置
    共通の審決分類: 121・G01N、575・G01N
  • 2025-003854拒絶査定不服審判 / 2026-02-03 / 請求不成立生体組織成分の検出方法、装置及びウェアラブル機器
    共通の審決分類: 121・G01N、575・G01N
  • 2024-018981拒絶査定不服審判 / 2026-01-27 / 請求不成立X線検査装置及びプログラム
    共通の審決分類: 121・G01N、575・G01N
  • 2024-014730拒絶査定不服審判 / 2025-11-04 / 原査定取消(特許/登録すべき)情報処理システム及びその制御方法並びにプログラム
    共通の審決分類: 121・G01N、575・G01N
  • 2024-013307拒絶査定不服審判 / 2025-10-21 / 請求不成立不妊治療成功の予測のための子宮内膜液
    共通の審決分類: 121・G01N、575・G01N

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存