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特許拒絶査定不服審判

2022-003847

レンズ駆動装置

審判番号
2022-003847
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-136906外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年03月14日
審決日
2023年02月06日
公報発行日
2023年04月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (G02B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第39条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-136906号「レンズ駆動装置」拒絶査定不服審判事件〔令和2年1月23日出願公開、特開2020-13064号〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 14項目
理 由

1 手続の経緯

本願は、平成30年7月20日を出願日とする出願であって、その手続の概要は、以下のとおりである。

令和3年 8月17日付け:拒絶理由の通知、指令書(特許法第39条)
令和3年10月21日 :意見書、手続補正書の提出
令和3年12月 6日付け:拒絶査定
令和4年 3月14日 :審判請求書

2 本願発明

本願の請求項1ないし7に係る発明は、令和3年10月21日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定されるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。

「【請求項1】
下側支持部材と、
前記下側支持部材の上側に位置し、レンズが取り付けられるレンズ枠体と、
前記下側支持部材の上側に重ねられて、前記下側支持部材との間に前記レンズ枠体を収容する上側支持部材と、
前記レンズ枠体の外周において前記レンズの光軸方向に沿って延在し、前記レンズの光軸方向に伸縮可能であり、下端部が前記下側支持部材に接着されたアクチュエータと、
前記レンズ枠体の外周に沿って延在し、前記アクチュエータの上端部を前記レンズ枠体側に付勢するように該上端部の外周に摩擦係合される第1の端部と、前記レンズ枠体に取り付けられる第2の端部とを有する板バネ部材と
を備え、
前記上側支持部材が、前記アクチュエータの上端部が入り込む開口部を有し、該開口部の上端開口が下端開口より広い、レンズ駆動装置。」

3 原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶の理由1は、この出願の請求項1ないし6に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

記

1.特開2012-233971号公報

2.特許第6024798号公報

4 引用文献の記載及び引用発明

(1)引用文献1について

ア 原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2012-233971号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある(下線は当審が付した。以下同じ。)。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話の撮像装置等に好適に用いられる小型の撮像装置、特にオートフォーカスやズームなどの機能を実現するために、駆動機構にSIDM(Smooth Impact Drive Mechanism(登録商標))から成るアクチュエータ(アクチュエータ)を使用する撮像装置の製造方法に関する。」
「【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の製造方法により製造した一実施の形態に係る撮像装置1の斜視図、図2は、図1の分解斜視図である。この撮像装置1は、図1、図2に示すように、移動レンズユニットである第2群ユニット2と、固定レンズユニットである第3群ユニット3a及び第1群ユニット3bと、第2群ユニット2を光軸方向に駆動するアクチュエータ(超音波リニアアクチュエータ)4と、それらの第1~第3群ユニット2,3a,3bおよびアクチュエータ4を収容する筐体51,52,53と、センサー基板7とを備えている。この撮像装置1は、例えば携帯電話の端末装置に好適に搭載される。
【0019】
第2群ユニット2は、移動レンズ群を構成する光学素子21,22と、光学素子21,22間に配設された遮光板24aと、光学素子21,22を保持した第2群ユニット用ホルダー25とを備えている。
【0020】
光学素子21,22は、例えばプラスチックレンズから成り、光路を形成する径内側のレンズ部211と、前記レンズ部211を外周側から保持した保持部212とを備え、それらが一体成型されて成る。」
「【0028】
アクチュエータ4は、移動レンズ群21,22を備えた第2群ユニット2の駆動機構を構成するもので、例えば本件出願人が先に特開2001-268951号公報などで提案した小型化に好適なものであり、SIDM(Smooth Impact Drive Mechanism(登録商標))アクチュエータと称される。このアクチュエータ4は、軸方向に伸縮する電気機械変換素子である圧電素子41の他端に錘43が接続され、圧電素子41の一端に駆動軸42が接続され、そして、圧電素子41の軸方向の振動によって駆動軸42が往復移動し、第2群ユニット2の保持部材24が駆動軸42に所定の摩擦力で係合していることによって、第2群ユニット2が光軸方向に移動される。」
「【0033】
駆動軸42は、円柱状のものから構成されている。この駆動軸42には、図5に示すように、第2群ユニット2の第2群ユニット用ホルダー25が、図1に示すL字状のバネ部材6を介して、所定の摩擦力で摺動可能に係合されている。
【0034】
筐体は、図2に示すようにフレーム51,52と、前カバー53とを備えて構成される。フレームは、樹脂成型品である後フレーム51と、その後フレーム51と組合わされた前フレーム52とを備えており、それらが相互に係止されて箱体を形成し、その内部に第2群ユニット2および第3群ユニット3aならびにアクチュエータ4を少なくとも収容する。」
「【0036】
後フレーム51は、大略的に、矩形状のものから構成されており、軸方向を前後方向に延ばされた保持筒514が設けられている。保持筒514の内周側は、嵌合孔511となって、第3群ユニット3aを保持する。
【0037】
又、保持筒514の外周側には、アクチュエータ4の錘43を嵌挿する嵌挿凹部515が設けられている。この嵌挿凹部515は、その内径が錘43の外径と略同じに設定され、嵌挿凹部515に錘43がちょうど入り込んで実質的に間隙ができないようになっている。」
「【0040】
この側壁521には、後フレーム51に係止するための係止部としての弾性を有する係止片521bが設けられている
又、前面板522には、第1群ユニット3bが配置されて外部に臨む開口523が形成されている。又、開口523の外周側における前フレーム52の1つの隅角部には、アクチュエータ4の一端をなす駆動軸42の先端部が挿入される調整用孔526が設けられている。
【0041】
この調整用孔526は、図3(c)に示すように、その径R2が駆動軸42の外径R1よりも大きく設定されており、調整用孔526に挿入された駆動軸42の先端部の外周と調整用孔526の内周壁との間に所定の間隙526aが形成されて駆動軸42の先端部が径方向(外周方向)に移動できるようになっている。」
「【0043】
又、上記間隙526aには、接着剤8が充填され、後述するようにセンサー基板7に対する傾き調整を終えた後の駆動軸42が保持されるようになっている。この接着剤8としては、例えば紫外線硬化性のもの或いは熱硬化性のものが挙げられる。ただし、接着剤は、これら例示のものに限定されずに種々のものを使用できる。」
「【0058】
そして、傾き調整後、上記充填した充填剤8に紫外線を照射して硬化させる。これにより、アクチュエータ4の軸方向の一端側である駆動軸42の先端を前フレーム52に保持できる。この状態で、前カバー53が装着されていない状態の撮像装置1を得ることができる。」

イ 図1、2、3、5及び6は次のとおりである。

[図:0001395981000001.jpg]

[図:0001395981000002.jpg]

ウ 上記アの記載をふまえて、上記イの図1、2、3、5及び6を見ると、下記各点が見てとれる。

(ア)第2群ユニット用ホルダー25は、後フレーム51の上側に位置すること(図2、3、5及び6)。

(イ)前フレーム52は、後フレーム51の上側に重ねられて、後フレーム51との間に第2群ユニット用ホルダー25を収容すること(図2、3、5及び6)。

(ウ)アクチュエータ4は、第2群ユニット用ホルダー25の外周においてレンズ部211の光軸方向に沿って延在し、下端部が後フレーム51に嵌挿(【0037】・【0047】)される点(図2、3、5及び6)。

(エ)「第2群ユニット2の第2群ユニット用ホルダー25が、図1に示すL字状のバネ部材6を介して、所定の摩擦力で摺動可能に係合されている。」(【0033】)との記載、及び、「バネ」の作用を踏まえると、L字状のバネ部材6(【0033】)は、第2群ユニット用ホルダー25の外周にあり、アクチュエータ4の上端部を第2群ユニット用ホルダー25側に付勢する点(図1、2及び3)。

エ 上記アないしウから、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる(なお、参考までに図面番号を付してある。また、括弧内は、認定の根拠とした箇所を示す。)。

「移動レンズユニットである第2群ユニット2と、固定レンズユニットである第3群ユニット3a及び第1群ユニット3bと、第2群ユニット2を光軸方向に駆動するアクチュエータ4と、それらの第1~第3群ユニット2,3a,3bおよびアクチュエータ4を収容する筐体51,52,53と、センサー基板7とを備えている撮像装置1であって(【0018】)、
前記第2群ユニット2は、光学素子21,22を保持した第2群ユニット用ホルダー25とを備え(【0019】)、前記光学素子21,22は、レンズ部211と、保持部212とを備え(【0020】)、
前記アクチュエータ4は、軸方向に伸縮する電気機械変換素子である圧電素子41の他端に錘43が接続され、圧電素子41の一端に駆動軸42が接続され、そして、圧電素子41の軸方向の振動によって駆動軸42が往復移動し、前記第2群ユニット2の保持部材24が駆動軸42に所定の摩擦力で係合していることによって、第2群ユニット2を光軸方向に移動させ(【0028】)、
前記駆動軸42には、前記第2群ユニット2の第2群ユニット用ホルダー25が、L字状のバネ部材6を介して、所定の摩擦力で摺動可能に係合され(【0033】)、
続きを表示(全12行)
前記筐体は、後フレーム51、前フレーム52と、前カバー53とを備えて構成され(【0034】)、
前記後フレーム51は、軸方向を前後方向に延ばされた保持筒514が設けられ(【0036】)、前記保持筒514の外周側には、アクチュエータ4の錘43を嵌挿する嵌挿凹部515が設けられ、前記嵌挿凹部515は、その内径が錘43の外径と略同じに設定され、嵌挿凹部515に錘43がちょうど入り込んで実質的に間隙ができないようになっていて(【0037】)、
前記前フレーム52の1つの隅角部には、前記アクチュエータ4の一端をなす駆動軸42の先端部が挿入される調整用孔526が設けられ(【0040】)、
前記調整用孔526に挿入された駆動軸42の先端部の外周と調整用孔526の内周壁との間に所定の間隙526aが形成され(【0041】)、
上記間隙526aには、接着剤8が充填され、傾き調整を終えた後の駆動軸42が保持され(【0043】)、
傾き調整後、上記充填した充填剤8に紫外線を照射して硬化させ(【0058】)、
前記第2群ユニット用ホルダー25は、後フレーム51の上側に位置し(上記ウ(ア))、前記前フレーム52は、前記後フレーム51の上側に重ねられて、後フレーム51との間に前記第2群ユニット用ホルダー25を収容し(上記ウ(イ))、前記アクチュエータ4は、前記第2群ユニット用ホルダー25の外周において前記レンズ部211の光軸方向に沿って延在し、下端部が前記後フレーム51に嵌挿され(上記ウ(ウ))、前記バネ部材6は、前記第2群ユニット用ホルダー25の外周にあり、前記アクチュエータ4の上端部を第2群ユニット用ホルダー25側に付勢する(上記ウ(エ))、
撮像装置1(【0018】)。」

(2)引用文献2について

ア 原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特許第6024798号公報(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに、次の記載がある。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズを駆動するレンズ駆動装置に関する。」

【背景技術】

【0002】

ベースと、ベースに配置されているシャフトと、シャフトと当接するようにベース上に配置されるレンズホルダと、レンズホルダを移動させるようにシャフトに駆動力を付与する圧電アクチュエータと、シャフトとレンズホルダとを当接させるようにシャフトに付勢力を付与するバネ部材と、を備えているレンズ駆動装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。」

「【0007】
本発明は、レンズホルダの振動を抑制することが可能なレンズ駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るレンズ駆動装置は、平面視で矩形状を呈し、互いに対角に位置する第一及び第二角部と互いに対角に位置する第三及び第四角部とを有するベースと、第一角部に配置されているシャフトと、シャフトと当接するようにベース上に配置され、レンズが保持されるレンズホルダと、第一角部に配置され、レンズホルダに保持されるレンズの光軸方向にレンズホルダを移動させるようにシャフトに駆動力を付与する圧電アクチュエータと、レンズホルダの側方にレンズホルダに沿うように配置されていると共にレンズホルダに固定される一端部とシャフトに当接する他端部とを有し、シャフトとレンズホルダとを当接させるように他端部からシャフトに付勢力を付与するバネ部材と、を備え、レンズホルダは、筒状を呈している胴部と、胴部の外周面に位置し且つシャフトと当接する平面をそれぞれ有する第一及び第二当接部と、を有し、バネ部材の一端部は、レンズホルダに保持されるレンズの光軸方向から見たときに、第二角部乃至第三角部の間に位置し、バネ部材の他端部は、付勢力がレンズホルダに保持されるレンズの光軸に向かうようにシャフトに当接している。」

イ 図1ないし6は次のとおりである。

[図:0001395981000003.jpg]

[図:0001395981000004.jpg]

[図:0001395981000005.jpg]

ウ 上記ア及びイから、引用文献2には、次の事項(以下、「引用文献2に記載された技術的事項」という。)が記載されていると認められる(なお、括弧内は、認定の根拠とした箇所を示す。)。

「ベースと、ベースに配置されているシャフトと、シャフトと当接するようにベース上に配置されるレンズホルダと、レンズホルダを移動させるようにシャフトに駆動力を付与する圧電アクチュエータと、シャフトとレンズホルダとを当接させるようにシャフトに付勢力を付与するバネ部材と、を備えているレンズ駆動装置において(【0002】)、前記バネ部材を、レンズホルダの側方にレンズホルダに沿うように配置されていると共にレンズホルダに固定される一端部とシャフトに当接する他端部とを有するものとなし、シャフトとレンズホルダとを当接させるように他端部からシャフトに付勢力を付与することでバネ部材の付勢力が適切に作用する点(【0008】)。」

5 対比・判断

(1)本願発明と引用発明との対比

ア 引用発明の「後フレーム51」は、本願発明の「下側支持部材」に相当する。

イ 引用発明の「後フレーム51の上側に位置」し、「光学素子21,22を保持した2群ユニット用ホルダー25」であって、「前記光学素子21,22は、レンズ部211と、保持部212とを備え」る「第2群ユニット用ホルダー25」は、本願発明の「下側支持部材の上側に位置し、レンズが取り付けられるレンズ枠体」に相当する。

ウ 引用発明の「前記後フレーム51の上側に重ねられて、後フレーム51との間に前記第2群ユニット用ホルダー25を収容」する「前フレーム52」は、本願発明の「前記下側支持部材の上側に重ねられて、前記下側支持部材との間に前記レンズ枠体を収容する上側支持部材」に相当する。

エ 引用発明にける「アクチュエータ4」の「下端部が後フレーム51に嵌挿され」ることは、本願発明における下端部が後フレーム51に「接着される」ことと、下端部が後フレーム51に「取り付けられる」点で一致するから、引用発明の「前記第2群ユニット用ホルダー25の外周において前記レンズ部211の光軸方向に沿って延在し、下端部が前記後フレーム51に嵌挿され」る「前記アクチュエータ4」は、本願発明の「前記レンズ枠体の外周において前記レンズの光軸方向に沿って延在し、前記レンズの光軸方向に伸縮可能であり、下端部が前記下側支持部材に接着されたアクチュエータ」と、「前記レンズ枠体の外周において前記レンズの光軸方向に沿って延在し、前記レンズの光軸方向に伸縮可能であり、下端部が前記下側支持部材に取り付けられたアクチュエータ」の点で一致する。

オ 引用発明の「前記第2群ユニット用ホルダー25の外周にあり、前記アクチュエータ4の上端部を第2群ユニット用ホルダー25側に付勢する」「バネ部材6」は、本願発明の「前記レンズ枠体の外周に沿って延在し、前記アクチュエータの上端部を前記レンズ枠体側に付勢するように該上端部の外周に摩擦係合される第1の端部と、前記レンズ枠体に取り付けられる第2の端部とを有する板バネ部材」と、「前記レンズ枠体の外周にあり、前記アクチュエータの上端部を前記レンズ枠体側に付勢する板バネ部材」の点で一致する。

カ 引用発明の「前記前フレーム52の1つの隅角部には、前記アクチュエータ4の一端をなす駆動軸42の先端部が挿入される調整用孔526が設けられ」ることは、本願発明の「前記上側支持部材が、前記アクチュエータの上端部が入り込む開口部を有」することに相当する。

キ 引用発明の「後フレーム51」と「第2群ユニット用ホルダー25」と「前フレーム52」と「アクチュエータ4」と「L字状のバネ部材6」とを備える「撮像装置1」は、本願発明の「下側支持部材と、」「レンズ枠体と、」「上側支持部材と、」「アクチュエータと、」「板バネ部材とを備え」る「レンズ駆動装置」に相当する。

ク 以上アないしキによれば、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

【一致点】

「下側支持部材と、
前記下側支持部材の上側に位置し、レンズが取り付けられるレンズ枠体と、
前記下側支持部材の上側に重ねられて、前記下側支持部材との間に前記レンズ枠体を収容する上側支持部材と、
前記レンズ枠体の外周において前記レンズの光軸方向に沿って延在し、前記レンズの光軸方向に伸縮可能であり、下端部が前記下側支持部材に取り付けられたアクチュエータと、
前記レンズ枠体の外周にあり、前記アクチュエータの上端部を前記レンズ枠体側に付勢する板バネ部材と
を備え、
前記上側支持部材が、前記アクチュエータの上端部が入り込む開口部を有する、
レンズ駆動装置。」

【相違点】

(ア)相違点1

アクチュエータの下端部が下側支持部材に、本願発明は「接着」されているのに対して、引用発明は「取り付けられ」ている点。

(イ)相違点2

板バネ部材が、本願発明は、「アクチュエータの上端部」「の外周に摩擦係合される第1の端部」と「レンズ枠体に取り付けられる第2の端部」とを有し、「レンズ枠体の外周に沿って延在」するのに対して、引用発明は、このような「第1の端部」及び「第2の端部」を有し、「レンズ枠体の外周に沿って延在」するものであるのか明らかではない点。

(ウ)相違点3

開口部が、本願発明は、「該開口部の上端開口が下端開口より広い」と特定されるのに対して、引用発明はこのように特定されない点。

(2)判断

以下、各相違点について検討する。

ア 相違点1について

引用発明の「アクチュエータ4」の下端部にある「錘43」は、「後フレーム51は、軸方向を前後方向に延ばされた保持筒514が設けられ、前記保持筒514の外周側には、アクチュエータ4の錘43を嵌挿する嵌挿凹部515が設けられ、前記嵌挿凹部515は、その内径が錘43の外径と略同じに設定され、嵌挿凹部515に錘43がちょうど入り込んで実質的に間隙ができないようになってい」ることに照らして、後フレーム51の嵌挿凹部515に取り付けられて固定されているといえる。

ここで、固定手段の1つとして、接着することは周知の技術的手段であるから、引用発明において、アクチュエータ4の錘43を「嵌挿凹部515にちょうど入り込んで実質的に間隙ができないようにな」して固定するに際して、周知の技術的手段である接着することを採用することは、当業者が容易に想到し得たことである。

以上によれば、引用発明に、周知の技術的手段を適用して、上記相違点1に係る本願発明の構成となすことは当業者が容易になし得たことである。

イ 相違点2について

引用発明のバネ部材6は、L字状と特定される以外の具体的な構造が明らかではないが、「第2群ユニット用ホルダー25」が「駆動軸42」に、「バネ部材6を介して、所定の摩擦力で摺動可能に係合され」るものであることを踏まえて上記図2(上記4(1)イ)を見ると、バネ部材6の一方の端部が「第2群ユニット用ホルダー25」に位置し、また、バネ部材6の他方の端部が「駆動軸42」に位置することで、「所定の摩擦力で摺動可能に係合され」るものであるといえる。

そして、ホルダーと駆動軸とを所定の摩擦力で摺動可能に係合するバネ部材の構成として、「バネ部材」を、「レンズホルダの側方にレンズホルダに沿うように配置されていると共にレンズホルダに固定される一端部とシャフトに当接する他端部とを有するものとなし、シャフトとレンズホルダとを当接させるように他端部からシャフトに付勢力を付与することでバネ部材の付勢力が適切に作用する」構成(引用文献2に記載された技術的事項)が公知であった。

したがって、引用発明を実施するに際して、バネ部材6の具体的な構成として、引用文献2に記載された技術的事項の「バネ部材」の構成を適用して、「アクチュエータ4の上端部」「の外周に摩擦係合される第1の端部」と「第2群ユニット用ホルダー25(レンズ枠体)に取り付けられる第2の端部」とを有し、「第2群ユニット用ホルダー25(レンズ枠体)の外周に沿って延在」する構成となすことは当業者が容易に想到し得たことである。

以上によれば、引用発明に、引用文献2に記載された技術的事項を適用して、上記相違点2に係る本願発明の構成となすことは当業者が容易になし得たことである。

ウ 相違点3について

引用発明の「調整孔526」の「内周壁」は、「アクチュエータ4の一端をなす駆動軸42の先端部が挿入される」ことができる範囲で適宜の形状であればよいといえるところ、当該「内周壁」の形状は、一般に単純な形状として、「開口部の上端開口と下端開口が同じ径」である形状、「テーパー形状」が周知であったといえる。

また、引用発明の「調整穴526」は、「前記調整用孔526に挿入された駆動軸42の先端部の外周と調整用孔526の内周壁との間に所定の間隙526aが形成され、上記間隙526aには、接着剤8が充填され、傾き調整を終えた後の駆動軸42が保持され、傾き調整後、上記充填した充填剤8に紫外線を照射して硬化させ」ることに照らして、充填剤8への紫外線の照射を妨げ得る形状は想定し得ず、充填剤8への紫外線の照射を妨げない、「開口部の上端開口が下端開口より広い」テーパー形状となすべきことは当業者が容易に想到し得たことである。

したがって、引用発明の「調整孔526」の「内周壁」を、「傾き調整後、上記充填した充填剤8に紫外線を照射して硬化させる」ことを想定して、「開口部の上端開口が下端開口より広い」形状となし、上記相違点3に係る本願発明の構成となすことは当業者が容易になし得たことである。

エ したがって、本願発明は引用発明に引用文献2に記載された事項及び周知の技術的事項を適用することにより当業者が容易に想到し得たものである。

(3)本願発明の奏する効果について

そして、上記相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明及び引用文献2に記載された事項及び周知の技術的事項の作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

(4)審判請求人の主張について

ア 審判請求人は、令和4年3月14日付けの審判請求書の【請求の理由】「(3)本願が特許されるべき理由」において、次のように主張する。

(ア)引用文献1は、傾斜した部分が調整用孔526の面取りであることについて何ら言及されておらず、この図面のみから面取りされていると認めることには無理がある。つまり、図3-6に示された断面形状はいずれも同一断面によるものであり、他の断面における断面形状は示されておらず、一断面から面取りを看取することはできない。

(イ)引用文献1の発明は「間隙526aは下側が広くなるように面取りされている」構成ではないため、本願請求項1の発明は、開口部の上端開口が下端開口より広くなっているため、アクチュエータの上端部と開口部の内側面との間の接触や摩擦が生じにくくなっている。それにより、接触や摩擦に起因する塵埃が生じにくく、塵埃がレンズ駆動装置の特性に悪影響を及ぼす事態が有意に抑制されている。

イ 上記主張について検討する。

(ア)上記ア(ア)の点については、上記5(2)ウで検討したとおりである。

(イ)上記ア(イ)の点については、上記5(3)で述べた通りであって、このような形状となした際に、当然予測し得た効果にすぎない。

(ウ)したがって、請求人の審判請求書の主張は採用できない。

6 むすび

以上のとおり、本願発明は、引用発明に引用文献2に記載された事項及び周知の技術的事項を適用することにより当業者が容易に想到し得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-003847

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