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特許拒絶査定不服審判

2022-001503

サンドイッチ部品、サンドイッチ部品を製造するための方法、およびサンドイッチ部品の使用

審判番号
2022-001503
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-503749外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年02月01日
審決日
2023年02月28日
公報発行日
2023年08月25日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (B32B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019-503749「サンドイッチ部品、サンドイッチ部品を製造するための方法、およびサンドイッチ部品の使用」拒絶査定不服審判事件〔2018年(平成30年)2月1日国際公開、WO2018/019524、令和元年10月17日国内公表、特表2019-529155〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 8項目
理 由

第1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

本願は、2017年(平成29年)7月4日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2016年(平成28年)7月25日(EP)欧州特許庁)を国際出願日とする特許出願であって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。

令和3年 2月26日付け:拒絶理由通知書
令和3年 5月31日 :意見書、手続補正書の提出
令和3年 8月13日付け:拒絶理由通知書
令和3年11月 4日 :意見書、手続補正書の提出
令和3年11月30日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
令和4年 2月 1日 :審判請求書の提出

第2 本願発明

本願の請求項1~13に係る発明は、令和3年11月4日に提出された手続補正書により補正された請求項1~13に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1の記載は次のとおりである。

以下、請求項1に係る発明を「本願発明」という。

「 【請求項1】
サンドイッチ部品(1)であって、
第1の被覆層(11)および第2の被覆層(12)を備え、前記第1の被覆層(11)および/または前記第2の被覆層(12)は、開口部(31)を有し、前記サンドイッチ部品(1)はさらに、
前記第1の被覆層(11)と前記第2の被覆層(12)との間に位置決めされた少なくとも1つの中間層(13)と、
前記第1の被覆層(11)と前記第2の被覆層(12)との間で前記中間層(13)内に配置されたインサートを形成するポリマー組成物(21)とを備え、
前記少なくとも1つの中間層(13)と、前記ポリマー組成物(21)とは、前記第1の被覆層(11)および/または前記第2の被覆層(12)からこれを貫通する機械的な接続手段(41)が、前記ポリマー組成物(21)において固定されるように、または直接固定可能になるように備えられており、
前記機械的な接続手段(41)は、ねじ、ねじ切りされたロッド、クリップ、ボルト、ブッシング、シース、スペーサ、ピン、釘、フック、クランプ、ばね、リベット、止めくぎ、プロファイル、ブラケット、ヒンジ、マグネットからなる群より選択される、サンドイッチ部品(1)。」

第3 原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶の理由は、本願発明は、本願の優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明及び周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:特開2004-100944号公報
引用文献3:特表2011-511225号公報(周知技術を示す文献)
引用文献4:特開2014-234914号公報(周知技術を示す文献)
引用文献5:特開2008-157264号公報(周知技術を示す文献)
引用文献6:特開2004-340334号公報(周知技術を示す文献)

第4 当審の判断

1 引用文献の記載及び引用発明

(1) 引用文献1には、以下の事項が記載されている(下線は、当審で付与したものである。)。

ア 「【請求項1】
ブラインド式締結具を複合材料の中に固着させる方法であって、
複合材料の外壁に孔を形成する工程と、
液体接着剤を前記孔から流し込んで、前記孔の後方の前記複合材料の中に形成された室を充填する工程と、
前記ブラインド式締結具の頭部が前記外壁に係合するまで、前記ブラインド式締結具を前記孔から前記液体接着剤の中に挿入する工程と、
前記ブラインド式締結具の弱い領域を変形させ、この弱い領域を前記外壁の内面に係合させて、前記液体接着剤の硬化中、前記ブラインド式締結具を前記液体接着剤の中に支持する工程と、を有することを特徴とする方法。」
イ 「【請求項8】
内部ハニカム構造体を備えた複合材料中にブラインド式締結具を固着させるための、請求項1~7の何れか1項に記載の方法であって、前記室は、前記ハニカムの少なくとも1つから成る、方法。」
ウ 「【請求項10】
複合材料中に固着させるためのブラインド式締結具であって、
適当な固定要素を受け入れるための細長く且つ中空の管状本体と、
前記管状本体の一方の端部に設けられ且つ前記ブラインド式締結具の内部と連通させるために貫通させた孔を有する拡張頭部と、
前記頭部とこの頭部から離れた前記管状本体の端部との間に配置された前記管状本体の弱い領域と、を有し、
前記弱い領域は、前記管状本体の直径よりも大きい直径を有する膨らみ部を形成するように変形可能であり、前記管状本体は、前記弱い領域から離れたところの前記管状本体の外面に形成された少なくとも1つの接着剤受入れチャネルを有する、ことを特徴とするブラインド式締結具。」
エ 「【請求項14】
前記ブラインド式締結具は、前記弱い領域から離れたところにおいて、前記ブラインド式締結具内に挿入される適当なねじ付き部材と螺合する雌ねじを有する、請求項1~13の何れか1項に記載のブラインド式締結具。」
オ 「【請求項15】
締結具を固着させる複合材料であって、前記締結具は、拡張頭部及び変形領域を有し、前記拡張頭部及び前記変形領域は、これらの間で前記複合材料の外壁を圧縮し、前記複合材料は、接着剤材料で満たされた少なくとも1つの内部室を有し、前記頭部から遠くのところに前記締結具の追加の支持部を構成するために、前記接着剤材料は、前記接着剤材料の中に挿入された前記締結具の外面に形成された少なくとも1つのチャネルと係合することを特徴とする複合材料。」
カ 「【請求項18】
添付の図面を参照して実質的に説明したブラインド式締結具が固定された複合材料。」

キ 「【0001】

【発明の属する技術分野】

本発明は、あらかじめ形成された孔に挿入した後に変形させて、即ち、その孔に取付けて係合させ、確実な係合状態を得る種類のブラインド式締結具即ちアンカに関する。特に、本発明は、軽量複合壁構造体に用いられるブラインド式締結具に関する。

ク 「【0002】
【従来の技術】
壁の上に適正な固定部又は取付け部を配置することを可能にする壁用アンカ即ち締結具を設けることが望ましい場合がしばしばある。これらの締結具を変形させて壁構造体自体と係合させても良いし、或いは、壁材料が比較的薄い場合には、通常、壁の外側部分と係合可能な拡張フランジ頭部を備えた締結具を準備し、締結具の内側部分を変形させ、それを壁の内側部と係合させ、変形部分と拡張頭部との間で壁を圧縮しても良い。上記変形及び係合が作業者によって観察できない壁の内側領域で起こるので、かかるアンカ即ち締結具をブラインド式アンカ又は締結具としばしば称する。かかるブラインド式締結具の一例は、本出願人によって登録商標POPNUTの名称で市販されている。」
ケ 「【0017】
ブラインド式締結具は、弱い領域から遠くのところにおいて、締結具内に挿入された適当なねじ付き部材と協働的に螺合する雌ねじを更に有し、かかるねじ付き部材は、固定要素又は力伝達取付け工具として働くことができるのが通例である。」
コ 「【0030】
次に、図2を参照すると、建築業と製造業の両方に採用されている、軽量でしかも比較的高い強度及び剛性を維持した最新の複合材料を示す。軽量材料の利点は、重要である。一般的には、かかる複合材料は、2枚の比較的薄い金属シート40、特に今説明している実施形態では、厚さが1mm~5mmのアルミニウムシートからなる外層又は外壁と、2枚の向かい合ったシート40間に好ましい態様で延びる側壁を備えた薄いアルミニウム箔ハニカム横支持構造体42とを有する。アルミニウム箔ハニカム壁は、外壁間に一連の個々の室又はポケット44を形成し、そのうちの3つのポケットを図2に示している。ポケット44は、単に空気で満たされたものであってよいし、或いは、更に、軽量の断熱材、例えば、フォーム又は気泡プラスチックを有してもよい。この軽量断熱材は又、追加の強度を付与する。また、変形例として、或る特定の用途について2つの向かい合った外壁40間に十分な剛性を付与するために、アルミニウム箔ハニカムに代えて、フォーム又は気泡内側部材を用いてもよいことが理解されよう。」
サ 「【0033】
したがって、本発明は、液体接着剤材料、通常は、硬化剤と促進剤を含む二液系接着剤を、向かい合った壁40の間に形成された室44に注入して、追加の局所的な構造剛性部を複合材料に形成することによって、この特定の問題を解決する。液体接着剤材料は、複合材料中に形成された種々のハニカム室44に収容される。」
シ 「【0034】
図2に最もよく示されているように、最初、壁40のうちの1つに孔48をあけることによって、本発明方法を行う。孔48は、実質的にリブ22の最大直径に一致した直径を有していて、締結具10をこの孔の中に挿入することができるようになっている。孔48をいったん形成すると、今や、内部室44に接近することができ、次に、接着剤材料50をこの内部室に注入することができる。好ましい二液型接着剤の例として、エポキシ、ポリエステル又はアクリル系樹脂を基材とした接着剤が挙げられる。特に、この実施形態では、二液系エポキシアクリル系樹脂注入法を用いることが好ましい。」
ス 「【0035】
二液型接着剤をいったん混合したら、それを孔48から注入する。二液型接着剤は、ハニカム構造体42によって構成された室44内に残留するのに十分な粘性のものである。予めあけられた孔48が実際にハニカム構造体の支持壁42のうちの1つに実際に破れ目を作った場合、孔48をによって連通した全ての室を占めるのに十分な接着剤を注入する必要がある。」
セ 「【0037】
この種の締結具は、締結具本体の内部に挿入した部分を変形させて、この変形部分と締結具頭部との間で壁40を圧縮することが必要であるので、ブラインド式締結具として構成される。この特定の実施形態では、ボルト部材(図示せず)を挿入して、それを締結具10の雌ねじと従来方法で螺合させる。次に、図示のように、締結具を、拡張頭部14の肩部16が壁40の外面と当接するまで孔48から挿入する。次に、専用取付け工具を用いて、かかる締結具を取付ける。基本的には、かかるブラインド式締結具取付け工具は、従来型のものであり、拡張頭部14が工具に向かって移動しないように拡張頭部14の外周部に係合する外側ノーズを有し、他方、取付け工具のノーズの孔を貫通するねじ付き部材(図示せず)が、取付け工具のノーズに対して長手方向に移動可能な1組のジョーによってクランプされる。このように、取付け工具のノーズによって、拡張頭部14を壁40と係合した状態に保持し、ねじ付き部材をジョーによってクランプし、ねじ付き部材を拡張頭部14に対して図2における左から右の方向に移動させる。このように、締結具10の幅の狭い方の壁部分28が弱い部分を構成し、挿入されたねじ付き部材及び主本体部分26の移動によって十分な取付け力を伝達させるとき、取付け時に弱い部分がつぶれることが理解されよう。このように、壁28がつぶれて、図示のように拡張して、膨らみ部又は拡張円周方向リング62を形成し、この膨らみ部は、図2に示すように壁40の内面と係合し、それにより、壁40をフランジ肩部16と変形部分又は膨らみ部62との間で圧縮し、壁用締結具を壁40と係合させた状態でしっかりと保持する。これは、ブラインド式締結具で行われる従来の取付け作業である。」
ソ 「【0038】
次いで、接着剤材料50が一連の半径方向チャネル64に完全に係合し、接着剤を硬化させて、接着剤材料と50とチャネル64との強固な結合部を形成する。第2に、変形部分62と壁40との間で圧縮された接着剤材料50が、湿気の侵入を防止する実質的に水密且つ気密なシール変形部分62と壁40との間に形成する。このように、いったん接着剤50が硬化して剛性になると、接着剤は、この中に挿入されている締結具10の長手方向長さ全体にわたって追加の支持及び構造剛性部を締結具10に対して与えるのに役立つ。かくして、締結具10に付与される荷重は、締結具が接着剤によって壁40に結合させられているので、壁40の広い表面領域全体にわたって均一に分配され、それだけでなく更に、上記荷重は、凝固した接着剤50によって締結具がハニカム構造体と結合しているので、ハニカム構造体42にも均一に分配される。」
タ 「【0039】
図2から理解できるように、引続いて締結具10に挿入された固定要素に引抜き力Fを付与すると、この引き抜き力が変形領域62と薄壁40との間の境界面に直接予め伝えられ、硬化した接着剤材料全体により、壁40と係合するずっと大きい横断面領域を形成し、かくして、力がより均一に分配される。加えて、接着剤がハニカム室42の側壁と結合しているので、引抜き力は効果的に相互に連結されたハニカム構造体42全体に伝えられ、かくして、この力は次に図2に示す単一の室44よりも広い表面領域に分配される。この力の分配により、取付けられた締結具10の領域における薄い壁材料40の潜在的な破断又は破損が著しく防止される。加えて、締結具10は今やその長さ全体にわたって支持されているので、締結具10内に固定した要素に加えられる図2における下向きの力は、荷重全体を支持している締結具10と壁40との間の下側境界面だけではなく、広い表面領域全体にわたって均一に分配される。この場合も又、かかる力は、壁40の広い領域全体及びハニカム構造体42にわたって分配される。」
チ 「
[図:0001399936000001.jpg]
」

(2) 上記(1)を総合し、特に図2の実施形態に着目すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「ブラインド式締結具10が固定された複合材料であって、
当該複合材料は、2枚の比較的薄い金属シート40と、2枚の向かい合った前記金属シート40間に好ましい態様で延びる側壁を備えた薄いアルミニウム箔ハニカム横支持構造体42とを有し、
一方の金属シート40は孔48を有し、
ブラインド式締結具10は、適当な固定要素を受け入れるための細長く且つ中空の管状本体と、前記管状本体の一方の端部に設けられ且つ前記ブラインド式締結具10の内部と連通させるために貫通させた孔を有する拡張頭部14と、前記頭部14とこの頭部14から離れた前記管状本体の端部との間に配置された前記管状本体の弱い領域28と、を有し、前記弱い領域28から離れたところにおいて、前記ブラインド式締結具10内に挿入される適当なねじ付き部材と螺合する雌ねじを有し、前記弱い領域28は、前記管状本体の直径よりも大きい直径を有する膨らみ部62を形成するように変形可能であり、前記管状本体は、前記弱い領域28から離れたところの前記管状本体の外面に形成された少なくとも1つの接着剤受入れチャネル64を有し、前記拡張頭部14の肩部16が一方の金属シート40の外面と当接するまで孔48から挿入されるものであり、
接着剤材料50が、孔48から注入され、複合材料中に形成された種々のハニカム室44に収容され、接着剤を硬化させて、接着剤材料50とブラインド式締結具10のチャネル64との強固な結合部を形成するとともに、凝固した接着剤材料50によってブラインド式締結具10がハニカム構造体42と結合した、
ブラインド式締結具10が固定された複合材料。」

2 対比

(1) 本願発明と引用発明とを対比する。

ア 引用発明の「ブラインド式締結具10が固定された複合材料」は、「2枚の比較的薄い金属シート40」の間に「ハニカム構造体42」を有した構造であることを考慮すれば、引用発明の「ブラインド式締結具10が固定された複合材料」、「2枚の比較的薄い金属シート40」、「孔48」、「アルミニウム箔ハニカム横支持構造体42」は、それぞれ本願発明の「サンドイッチ部品(1)」、「第1の被覆層(11)および第2の被覆層(12)」、「開口部」、「中間層(13)」に相当する。

イ そして、引用発明は、「接着剤材料50が、孔48から注入され、複合材料中に形成された種々のハニカム室44に収容され、接着剤を硬化」されており、ハニカム室44が「2枚の比較的薄い金属シート40」の間に位置する「アルミニウム箔ハニカム横支持構造体42」に形成されていることを考慮すれば、「アルミニウム箔ハニカム横支持構造体42」は、「2枚の比較的薄い金属シート40」の間に位置決めされた構成であるといえる。

ウ さらに、引用発明は、「接着剤材料50」が、「2枚の比較的薄い金属シート40」の「一方の金属シート40」の「孔48から注入され、複合材料中に形成された種々のハニカム室44に収容され、接着剤を硬化させて、接着剤材料50とブラインド式締結具10のチャネル64との強固な結合部を形成するとともに、凝固した接着剤材料50によってブラインド式締結具10がハニカム構造体42と結合した」構成であることから、「接着剤材料50」は、「2枚の比較的薄い金属シート40」の間で「アルミニウム箔ハニカム横支持構造体42」内に配置された「インサートを形成」している「部材」であるといえる。

よって、引用発明の「接着剤材料50」と本願発明の「ポリマー組成物」とは、「インサートを形成する部材」との限りで一致する。

(2) 以上のことから、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

【一致点】

「サンドイッチ部品であって、
第1の被覆層および第2の被覆層を備え、前記第1の被覆層または前記第2の被覆層は、開口部を有し、前記サンドイッチ部品はさらに、
前記第1の被覆層と前記第2の被覆層との間に位置決めされた1つの中間層と、
前記第1の被覆層と前記第2の被覆層との間で前記中間層内に配置されたインサートを形成する部材とを備えた、サンドイッチ部品。」

【相違点1】

第1の被覆層と第2の被覆層との間で中間層内に配置されたインサートを形成する部材が、本願発明は「ポリマー組成物(21)」であるのに対して、引用発明は「接着剤材料50」であり、当該「接着剤材料50」が「ポリマー組成物」に該当するか不明な点。

【相違点2】

中間層とインサートを形成する部材について、本願発明は「インサートを形成する部材」が「ポリマー組成物」であり、「前記少なくとも1つの中間層(13)と、前記ポリマー組成物(21)とは、前記第1の被覆層(11)および/または前記第2の被覆層(12)からこれを貫通する機械的な接続手段(41)が、前記ポリマー組成物(21)において固定されるように、または直接固定可能になるように備えられており、前記機械的な接続手段(41)は、ねじ、ねじ切りされたロッド、クリップ、ボルト、ブッシング、シース、スペーサ、ピン、釘、フック、クランプ、ばね、リベット、止めくぎ、プロファイル、ブラケット、ヒンジ、マグネットからなる群より選択される」のに対して、引用発明は、「適当な固定要素」を受け入れる「ブラインド式締結具10」を有している構成であるものの、当該構成が本願発明の特定に相当するものであるか不明な点。

3 判断

以下、相違点について検討する。

(1) 相違点1について

接着剤としてポリマー組成物から構成されたものは広く一般的である。また、上記1(1)シに記載したとおり、引用文献1の段落【0034】に、接着剤の例としてエポキシ、ポリエステル、アクリル系樹脂の例が挙げられていることを勘案すれば、引用発明の「接着剤材料50」を「ポリマー組成物」とすることは当業者が容易に想到し得たものである。

(2) 相違点2について

ア 検討その1

引用発明の「ブラインド式締結具10」は、「適当な固定要素を受け入れるための細長く且つ中空の管状本体と、前記管状本体の一方の端部に設けられ且つ前記ブラインド式締結具10の内部と連通させるために貫通させた孔を有する拡張頭部14と、前記頭部14とこの頭部14から離れた前記管状本体の端部との間に配置された前記管状本体の弱い領域28と、を有し、前記弱い領域28から離れたところにおいて、前記ブラインド式締結具10内に挿入される適当なねじ付き部材と螺合する雌ねじを有し、前記弱い領域28は、前記管状本体の直径よりも大きい直径を有する膨らみ部62を形成するように変形可能であり、前記管状本体は、前記弱い領域28から離れたところの前記管状本体の外面に形成された少なくとも1つの接着剤受入れチャネル64を有し」ており、「適当な固定要素」を受け入れるものであるから、「機械的な接続手段」といえる。

そして、引用発明の「ブラインド式締結具10」は「一方の金属シート40」の「孔48」を貫通していると共に、「凝固した接着剤材料50によってブラインド式締結具10がハニカム構造体42と結合した」態様であるから、当該態様は、本願発明の「前記少なくとも1つの中間層(13)と、前記ポリマー組成物(21)とは、前記第1の被覆層(11)または前記第2の被覆層(12)からこれを貫通する機械的な接続手段(41)が、前記ポリマー組成物(21)において固定されるように」、「備えられた」態様に相当する。

さらに、引用発明の「ブラインド式締結具10」は、「中空の管状本体」を有するとともに、「ねじ付き部材」である「固定要素」と「螺合する」ものであることを勘案すれば、本願発明の「ブッシング」又は「シース」に相当するといえる。

そうしてみると、上記相違点1は、実質的な相違点ではない。

イ 検討その2

引用発明の「ブラインド式締結具10」は、「適当な固定要素」を受け入れるものであり、当該「固定要素」によって、引用発明の「複合材料」と対象の物体とを接続することは明らかである。

そうしてみれば、「ブラインド式締結具10」と「適当な固定要素」とが本願発明における「機械的な接続手段」に相当するといえる。

そして、「機械的な接続手段」の一部である「ブラインド式締結具10」については上記アの「検討その1」で検討したとおりである。

ウ 検討その3

本願発明は「前記少なくとも1つの中間層(13)と、前記ポリマー組成物(21)とは、・・・機械的な接続手段(41)が、前記ポリマー組成物(21)において固定されるように、または直接固定可能になるように備えられて」いるものである。当該「・・・固定されるように、または直接固定可能になるように」との特定に関し、本願明細書の段落【0012】~【0013】には以下の事項が記載されている(下線は、当審で付与したものである。)。

「【0012】
本発明の目的について、「直接」とは、接続手段がポリマー組成物と直接接触しており、たとえばポリマー組成物の別のインサートを介して固定可能ではない、または固定されていないことを意味する。
【0013】
ここおよび以下では、「固定されている」とは、接続手段がポリマー組成物内に導入される、またはこれに塗布されることを意味する。ここおよび以下では、「固定可能」または「固定できる」とは、接続手段がポリマー組成物内に導入可能である、またはこれに塗布可能であることを意味する。」

そして、本願発明は「・・・機械的な接続手段(41)が、前記ポリマー組成物(21)において固定されるように、または直接固定可能になるように備えられて」と、並列した事柄を接続する「または」という接続詞が用いられており、後者の構成が「直接固定可能になるように」と特定されている。

そうすると、上述した本願明細書の段落【0012】及び段落【0013】の記載も勘案すれば、前者の構成は、「機械的な接続手段」が「ポリマー組成物」において間接的に「固定されるように」備えられている構成であるといえる。

一方、平板上の部材に設けた締結具に対し、ボルトを挿入して何らかの部材を固定することは、本願の優先日前に周知技術(必要であれば、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献5の段落【0025】、段落【0027】、図9及び図10(D)の記載を参照されたい。)である。

そして、引用発明の「ブラインド式締結具10」は、「適当な固定要素」を受け入れるものであることを勘案すれば、引用発明に上記周知技術を適用して、「ブラインド式締結具10」に固定要素であるボルトを挿入して何らかの部材を固定する構成とすることは当業者が容易に想到し得たものである。

そのように構成した際には、挿入したボルトが「一方の金属シート40」の「孔48」を貫通して、「ブラインド式締結具10が固定された複合材料」と何らかの部材を接続することから、本願発明の「機械的な接続手段」に相当する。

また、ボルトは「ブラインド式締結具10」を介して間接的に「接着剤材料50」において固定されているといえる。

つまり、上述したように周知技術を参照し、引用発明にボルトを挿入して部材を固定する構成とした際の態様は、本願発明の「前記少なくとも1つの中間層(13)と、前記ポリマー組成物(21)とは、前記第1の被覆層(11)または前記第2の被覆層(12)からこれを貫通する機械的な接続手段(41)が、前記ポリマー組成物(21)において固定されるように備えられており、前記機械的な接続手段(41)は、ボルト」である態様に相当する。

(3) 本願発明の効果について

上述した相違点1及び2を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

(4) したがって、本願発明は、引用発明に基いて、又は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第5 むすび

以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-001503

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  • 2020-012849拒絶査定不服審判 / 2023-04-17 / 原査定取消(特許/登録すべき)タイ層を有するフィルムを備える複合材製品
    同じ当事者: ノラックス・アクチェンゲゼルシャフト
同じ根拠条文の審決7,656件(特許法29条2項)
  • 2024-017993拒絶査定不服審判 / 2026-07-17 / 請求不成立ガスバリア性積層体、包装材料用積層体および包装材料
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2024-014527拒絶査定不服審判 / 2026-06-30 / 請求不成立包装材料用ポリエチレン積層体及び該積層体からなる包装材料
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2024-019399拒絶査定不服審判 / 2026-06-25 / 請求不成立包装材料及び包装製品
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2023-015798拒絶査定不服審判 / 2026-06-16 / 請求不成立包装材料用積層体および包装材料
    共通の条文: 特許法29条2項
  • 2024-015415拒絶査定不服審判 / 2026-05-12 / 請求不成立積層体および包装体
    共通の条文: 特許法29条2項
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同じ論点・分野の審決(審決分類)823件(121・B32B)
  • 2023-015794拒絶査定不服審判 / 2026-08-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)積層基材、包装材料用積層体および包装材料
    共通の審決分類: 121・B32B
  • 2025-004448拒絶査定不服審判 / 2026-08-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)積層ポリエステルフィルムの機能層除去方法
    共通の審決分類: 121・B32B
  • 2024-020598拒絶査定不服審判 / 2026-08-20 / 原査定取消(特許/登録すべき)熱融着性積層フィルム
    共通の審決分類: 121・B32B
  • 2024-019022拒絶査定不服審判 / 2026-08-18 / 原査定取消(特許/登録すべき)包装材料及び包装製品
    共通の審決分類: 121・B32B
  • 2025-002662拒絶査定不服審判 / 2026-07-30 / 原査定取消(特許/登録すべき)積層中わた
    共通の審決分類: 121・B32B

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