審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2022-001045

美容機器

審判番号
2022-001045
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-104043外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年01月24日
審決日
2023年05月30日
公報発行日
2023年08月25日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .536-WZ (A61H) / P18 .537-WZ (A61H)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法36条4項1号特許法36条6項1号特許法36条6項2号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2021-104043「美容機器」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 7月28日出願公開、特開2022-109854〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和 3年 1月15日に出願した特願2021-4732号の一部を、令和 3年 6月23日に新たな特許出願としたものであって、その後の手続の経緯は以下のとおりである。 令和 3年 6月23日提出 手続補正書及び上申書 令和 3年 6月30日付け 拒絶理由通知書 令和 3年 9月 2日提出 意見書 令和 3年10月 5日付け 拒絶理由通知書 令和 3年12月 7日提出 意見書及び手続補正書 令和 3年12月13日付け 拒絶査定 令和 4年 1月24日提出 審判請求書、同時に手続補正書 令和 4年 8月24日付け 拒絶理由通知書 令和 4年11月29日提出 意見書及び手続補正書 第2 本願発明 本願の請求項1-2に係る発明は、令和 4年11月29日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1-2に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 使用者が把持する把持部と、 前記把持部の一端に設けられ、コンプレッサーにより圧送され皮膚の角質層を貫通して表皮層に浸透され得る液体が噴射される直径が1.0mm以下の噴射口を有する噴射部と、 前記噴射部に接続され、前記噴射口と使用者の皮膚との間に一定の空間を形成し、着脱または交換可能な空間形成部と、 前記空間形成部の側面に設けられ、前記噴射部により噴射された気体または液体の一部が漏れる開口部と、 を含み、 前記噴射部から噴射される液体は、顔の皮膚に対して噴射されるものである美容機器。」 第3 拒絶の理由 令和 4年 8月24日付けで当審が通知した拒絶理由のうち、本願発明に対する理由1-3は、概略次のとおりである。 理由1(実施可能要件)この出願は、発明の詳細な説明の記載が、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 理由2(サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の請求項1の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 理由3(明確性)この出願は、特許請求の範囲の請求項1の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 第4 当審の判断 1 理由1(実施可能要件)について (1)本願発明には、「コンプレッサーにより圧送され皮膚の角質層を貫通して表皮層に浸透され得る液体が噴射される直径が1.0mm以下の噴射口を有する噴射部」と記載されている。 一方、この事項に関連して、本願の発明の詳細な説明には、以下の記載がある。 「【0001】 本発明は、皮膚に空気を注入して、まるで鍼治療のように皮膚を刺激して血行促進を図り、また、皮膚に溶液を透過させる美容機器に関するものである。」 「【0006】 ここで、引用文献1,2に開示されている発明は、あくまで皮膚の表面を刺激するものである。そのため、鍼治療のような、もっと皮膚に刺激を与える治療を実現できるものではない。しかし、近年はサービスの多様化により、街の美容院のような場所でも、鍼治療のようなサービスの提供が求められている。つまり、誰でも簡単に、鍼治療のような美容サービスの提供を実現することができる機器が求められている。よって、本発明は、誰でも簡単に、鍼治療のような美容サービスの提供を実現することができる美容機器の提供を目的とする。」 「【0021】 噴射口111は微細な孔であるため、噴射口111により噴射された非常に強い勢いの空気は、皮膚Hの一点に集中して当たる。そのため、その空気が当たった場所は、まるで鍼を打たれたような刺激が与えられる。具体的には、噴射された空気は、皮膚の角質層を貫通し、表皮、真皮まで到達する。 【0022】 空気ではなく液体(溶液)を皮膚に注入させる場合も同様で、噴射された液体は、皮膚の角質層を貫通し、表皮、真皮まで到達する。ここで、その液体が当たった場所が皮膚の毛穴や汗腺だった場合、付属器官経路により液体が吸収される。液体が当たった場所が皮膚の毛穴や汗腺でなくても、細胞間隙経路(細胞と細胞の間を通過する)や、細胞実質透過経路(細胞内を通過する)により、液体が吸収される。つまり、毛穴のないところに穴を開け得るという効果を奏することができる。 【0023】 このように、噴射口111から噴射された空気は、使用者の皮膚に対して、鍼治療のような刺激を与えることができる。また、噴射口111から液体が噴射される場合は、皮膚の内側まで十分に液体を浸透させることができる。」 と記載されている。これらの記載を踏まえると、本願発明の「噴射部」は、使用者の皮膚に鍼治療のような刺激を与えつつ、噴射口と皮膚との距離が近過ぎて皮膚を傷めることを防ぎ、誰が使用しても安全にかつ十分な効果を得ることができるように、皮膚の角質層を貫通して表皮層に浸透され得るよう液体を噴射するものである。 しかし、発明の詳細な説明には、噴射口の直径を1.0mm以下とすることは記載されているものの、流体を噴射する噴射部に係る具体的なメカニズム、圧力及び流量等の噴射の形態、及び、噴射の形態と角質層の貫通と液体の表皮層における浸透との関係を示す実験結果等は記載されていない。 また、噴射口の直径を、単に1.0mm以下として液体を噴射すれば、使用者の皮膚に鍼治療のような刺激を与えつつ、噴射口と皮膚との距離が近過ぎて皮膚を傷めることを防ぎ、誰が使用しても安全にかつ十分な効果を得ることができるように、皮膚の角質層を貫通することが技術常識であることや、上記貫通ができることが技術常識であることは、何ら明らかにされていない。 また、上記実験において上記貫通を検出するためには、何を以て上記貫通が成されたと判別し、どのような検出方法で検出するのかについて、本願の発明の詳細な説明には「皮膚の角質層を貫通して、表皮、真皮まで到達し」と記載されているだけで、上記貫通の形態(大きさや深さ等)やその検出方法は実質的に記載されていない。また、これらがどのようなものであればよいのか把握し得るような技術常識も存在しない。 したがって、本願の発明の詳細な説明は、当業者が本願発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでない。 2 理由2(サポート要件)について 本願の発明の詳細な説明の段落【0006】、【0021】及び【0022】には「本発明は、誰でも簡単に、鍼治療のような美容サービスの提供を実現することができる美容機器の提供を目的」として、空気や液体で皮膚の角質層を貫通させることを課題とすることが記載されている。しかしながら、上記1に記載のとおり、本願の発明の詳細な説明は、当業者が本願発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでなく、本願発明が、上記課題を解決できることを裏付けるものではない。 したがって、本願発明は、上記課題を解決することができると当業者が認識できるように、本願の発明の詳細な説明に記載されたものとはいえないから、本願の発明の詳細な説明に記載したものでない。 3 理由3(明確性)について 本願の請求項1には「コンプレッサーにより圧送され皮膚の角質層を貫通して表皮層に浸透され得る液体が噴射される直径が1.0mm以下の噴射口を有する噴射部」と記載されており、「液体」の「噴射」について、「皮膚の角質層を貫通して表皮層に浸透され得る液体が噴射」という達成すべき結果で特定している。 しかしながら、一般的に皮膚の特徴は人によって様々であるところ、「皮膚の角質層を貫通」する「噴射」とは具体的にどのような形態のものであるのか、また、上記「噴射」を行う「噴射部」とは具体的にどのようなものであるのか、明確に特定することができない。 また、噴射口の直径を単に1.0mm以下とすれば、「皮膚の角質層を貫通」する「噴射」、及び上記「噴射」を行う「噴射部」を具体的に把握することができる技術常識は存在しない。 よって、本願発明は、明確でない。 第5 請求人の主張について 令和 4年11月29日提出の意見書において請求人は、 「人の皮膚の厚さや硬さは、性別や身体的特徴などで大きく異なるため、人の皮膚の角質層を貫通し得る程度の条件も、一意に特定できるものではない。従って、噴射された液体が、皮膚の角質層を貫通して表皮層に浸透し得るための条件は個々に異なる対象(液体が噴射される皮膚)に合わせて、使用者が適宜設計し得る事項である。 なお、本願発明は、出願当初明細書の段落0024~0026に記載されているように、噴射口の直径やコンプレッサーの圧力などを適宜調整し得るものである。そのため、例えばこのツイートで紹介されているように、通常用いる注射針が力士に使えなかった場合は、注射針の長さを変えたり(長くしたり)と、本願発明においても、液体が皮膚の角質層を貫通することができない程度の厚さである場合は、噴射口の直径を細くしたりコンプレッサーの圧力を上げたりするなど、当業者であれば適宜調整することで実施することができる。そして、ある使用者に対して、一度その条件(液体が皮膚の角質層を貫通し得る噴射口の直径やコンプレッサーの圧力の設定など)が決まれば、空間形成部により噴射口と使用者の皮膚との間に一定の空間が形成されるため、噴射口と使用者の皮膚との距離が遠すぎるため貫通できなかったり、逆に近すぎるため皮膚にダメージを与えてしまうといったおそれはない。 以上より、本願発明は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たすものである。」 と主張している。 しかしながら、上記「第4 1」に示したとおり、使用者の皮膚に鍼治療のような刺激を与えることができつつ、噴射口と皮膚との距離が近過ぎて皮膚を傷めることを防ぎ、誰が使用しても安全にかつ十分な効果を得ることができるように、皮膚の角質層を貫通して表皮層に浸透され得るよう液体を噴射する噴射部について、本願の発明の詳細な説明には、当業者が本願発明を実施することができる程度に十分かつ明確に記載されていない。 よって、上記請求人の主張は採用することができない。 第6 むすび 以上のとおり、本願の発明の詳細な説明は、当業者が本願発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 また、本願発明は、本願の発明の詳細な説明に記載したものでないから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 さらに、本願発明は、明確でないから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 上記のとおり、本願発明は、特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2022-001045

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ根拠条文の審決1,701件(特許法36条4項1号、特許法36条6項1号、特許法36条6項2号)
  • 2024-011384拒絶査定不服審判 / 2026-04-09 / 請求不成立ガイドワイヤ検出を伴うアテレクトミーシステム
    共通の条文: 特許法36条4項1号、特許法36条6項1号、特許法36条6項2号
  • 2024-010988拒絶査定不服審判 / 2026-03-03 / 請求不成立疾患の治療及び/又は予防のための物質、並びにその設計方法及び製造方法
    共通の条文: 特許法36条4項1号、特許法36条6項1号、特許法36条6項2号
  • 2023-021562拒絶査定不服審判 / 2025-12-10 / 請求不成立気孔率が調整された材料ならびにその作製および使用方法
    共通の条文: 特許法36条4項1号、特許法36条6項1号、特許法36条6項2号
  • 2023-003462拒絶査定不服審判 / 2025-10-22 / 請求不成立プロタンパク質コンベルターゼスブチリシンケクシン9型(PCSK9)に対する抗原結…
    共通の条文: 特許法36条4項1号、特許法36条6項1号、特許法36条6項2号
  • 2023-006404拒絶査定不服審判 / 2024-12-13 / 請求不成立複製されたタスク結果を使用してコンピュータクラスタを管理すること
    共通の条文: 特許法36条4項1号、特許法36条6項1号、特許法36条6項2号
同じ論点・分野の審決(審決分類)140件(536・A61H、537・A61H)
  • 2024-015520拒絶査定不服審判 / 2026-08-19 / 原査定取消(特許/登録すべき)視覚情報およびサンプリングを領域ごとに変化させるための光制御デバイスおよび方法
    共通の審決分類: 536・A61H、537・A61H
  • 2024-010464拒絶査定不服審判 / 2026-02-03 / 原査定取消(特許/登録すべき)ライトタッチ維持装置、ライトタッチ維持方法、及びプログラム
    共通の審決分類: 536・A61H、537・A61H
  • 2024-002213拒絶査定不服審判 / 2025-09-16 / 原査定取消(特許/登録すべき)アシストウェアの評価システム、方法、及び、プログラム
    共通の審決分類: 536・A61H、537・A61H
  • 2024-000609拒絶査定不服審判 / 2025-09-02 / 請求不成立前庭異常を治療するシステム、デバイス及び方法
    共通の審決分類: 536・A61H、537・A61H
  • 2023-019122拒絶査定不服審判 / 2025-06-30 / 原査定取消(特許/登録すべき)視覚的処理および知覚の疾患を含む神経学的疾患の評価および修正のための拡張現実ディ…
    共通の審決分類: 536・A61H、537・A61H

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存