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特許無効審判

2021-800098

ワイヤレススカッフプレート

審判番号
2021-800098
法域
特許
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
特願2017-203553外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
登録番号
6279803
請求日
2021年11月25日
審決日
2023年01月10日
公報発行日
2024年04月26日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P1113.121-YAA(B60R) / P1113.536-YAA(B60R) / P1113.537-YAA(B60R) / P1113.853-YAA(B60R)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法169条2項民事訴訟法61条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第2号、特許法第134条の2第1項、特許法第134条の2第9項、特許法第29条第2項、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第1号、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第169条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の特許第6279803号発明「ワイヤレススカッフプレート」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論
特許第6279803号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔12、13〕について訂正することを認める。
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする

理由

目次 ▾ 20項目
理 由

第1 手続きの経緯

本件特許第6279803号(以下「本件特許」という。)は、平成26年11月6日(優先権主張外国庁受理 2014年2月14日 台湾、2014年4月30日 米国)を出願日とする実願2014-5888号の実用新案登録である実用新案登録第3195493号に基づいて、平成29年10月20日に特許出願(特願2017-203553号)としたものであって、平成30年1月26日にその特許権の設定登録がなされた。

そして、本件無効審判に係る手続きの経緯の概要は、以下のとおりである。

令和3年11月25日 審判請求書、証拠説明書提出(請求人)

令和4年 4月 5日 訂正請求書、答弁書、証拠説明書提出(被請

求人)

同年 6月15日付け 審理事項通知

同年 7月14日 口頭審理陳述要領書提出(被請求人)

同年 7月19日 口頭審理陳述要領書提出(請求人)

同年 7月21日付け 審理事項通知

同年 8月 9日 口頭審理陳述要領書(2)提出(請求人)

同日 口頭審理陳述要領書2提出(被請求人)

同年 8月 9日 口頭審理

同年 8月26日 上申書、証拠説明書提出(請求人)

同年 9月 9日 上申書提出(被請求人)

第2 訂正の適否

1 訂正の内容

令和4年4月5日付け訂正請求書に訂正(以下「本件訂正」という。)は、本件特許の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項12、13について訂正することを求めるものであり、訂正事項は以下のとおりである(なお、下線部が訂正箇所である。)。

・訂正事項1

特許請求の範囲の請求項12に「前記底板本体の下表面と前記凹槽の下表面間に高低差があることを特徴とする」と記載されているのを、「前記凹槽の下表面は、前記底板本体の下表面よりも下方に突出しており、前記底板本体の下表面と前記凹槽の下表面間に高低差があることを特徴とする」に訂正する(請求項12の記載を引用する請求項13も同様に訂正する)。

なお、上記訂正事項1に係る本件訂正は、一群の請求項〔12、13〕に対して請求されたものである。

2 訂正の適否についての判断

(1)訂正の目的、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更について

訂正事項1は、「前記凹槽の下表面は、前記底板本体の下表面よりも下方に突出しており、前記底板本体の下表面と前記凹槽の下表面間に高低差がある」と訂正することにより、訂正前では、底板本体の下表面と凹槽の下表面との間の高低差がどちらの下表面が他の下表面により突出することで生じるのか明瞭ではなかったものを、凹槽の下表面が底板本体の下表面よりも下方に突出することによって生じることを明瞭とするものであるから、訂正事項1は、特許法第134条の2第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

そして、願書に添付した明細書又は図面(以下「明細書等」という。)の段落【0017】には、「底板2の本体の下表面22と凹槽211の下表面2111間に、高低差xがあり」との記載があり、図5から、凹槽211の下表面2111が底板2の本体の下表面22よりも下方に突出している点が看取できるから、訂正事項1による訂正は、明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであって、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

図5「

[図:0001408228000001.jpg]

」

また、訂正事項1は、「高低差」が生じる「前記凹槽の下表面」と「前記底板本体の下表面」との位置関係を限定するものとも認められ、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、訂正事項1による訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

(2)請求人の主張

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ア 請求人は、令和4年7月19日付け口頭審理陳述要領書の第3ページ第14行~第4ページ第21行において、以下の点を主張する。

請求項1の記載では、凹槽は底板の上表面に存在するから、「凹槽の下表面」とは、底板のどの部分を意味しているのか不明である。

また、段落【0017】には「底板2の本体の下表面22と凹槽211の下表面2111間に、高低差xがあり」と記載され、段落【0022】の符号の説明では符号2111は「底部の下表面」と定義されており、「底部」とは、ワイヤレススカッフプレートのどの部分を指しているか不明である。

また、図5では底カバー7が係合する底板部分に符号22が付されていることからみて、段落【0017】における「底板2の下表面22」とは、この部分を意味するものと解されるが、底カバー7が係合する下表面22の部分は、段落【0014】に「底カバー7は、取り外し可能な方式で、底板2の下表面22から電源収容孔23を覆い、電源モジュール4を密封する」と記載され、図3にも示されているように電源収容孔23が形成されている部分である。請求項1の「上表面と下表面を有し、前記上表面は、少なくとも一つの凹槽を有し、且つ、前記凹槽の少なくとも一側は、電源収容孔を有し、及び、定位部が、少なくとも一側上に定義される底板」との記載からは、電源収容孔23は凹槽の一部であるから、電源収容孔23が形成されている部分の下表面は凹槽211の下表面2111となる、

したがって、底板2の本体の下表面22と凹槽211の下表面2111との間には高低差xが存在しないことになり、訂正事項1は不明瞭な記載をより不明瞭な記載とするものであって、不明瞭な記載の釈明となっていないから、訂正事項1は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものではない。

イ 請求人の上記主張について検討する。

請求人の主張は、請求項1の記載から電源収容孔23は凹槽の一部であることを前提に、図5の(電源収容孔23を覆う)底カバー7の設けられた部分を凹槽211の下表面2111とすべきものと主張していると解されるが、請求項12が引用する請求項1には、「凹槽の少なくとも一側は、電源収容孔を有し」という記載と共に、「凹槽に収容され、且つ、少なくとも一つの回路板を有するバックライトモジュール」という記載があり、凹槽にはバックライトモジュールが収納される箇所があることが特定されている。そして、訂正事項1は、凹槽のこの箇所の下表面について特定されるものと理解できるのであって、このことは、図5において(バックライトモジュールの構成要素である)導光板32が位置する箇所が「下表面2111」と示されていることとも整合する。

よって、請求人の上記主張は採用できない。

3 まとめ

以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

したがって、本件特許の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔12、13〕について訂正することを認める。

第3 本件発明

本件特許の請求項1~13に係る発明は、令和4年4月5日付け訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項1~13により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
ワイヤレススカッフプレートであって、
上表面と下表面を有し、前記上表面は、少なくとも一つの凹槽を有し、且つ、前記凹槽の少なくとも一側は、電源収容孔を有し、及び、定位部が、少なくとも一側上に定義される底板と、
前記凹槽に収容され、且つ、少なくとも一つの回路板を有するバックライトモジュールと、
続きを表示(全35行)
少なくとも一つのバッテリーと少なくとも一つの導電ストリップを有し、前記バッテリーが、前記電源収容孔に設置され、前記導電ストリップが、前記バッテリーと前記回路板を電気的に接続する電源モジュールと、
前記回路板上に設置されると共に、感応信号を感知する近接センサーモジュールと、
前記回路板上に設置されると共に、前記バックライトモジュール及び前記近接センサーモジュールと電気的に接続し、前記感応信号に従って前記バックライトモジュールをそのオンとオフ状態の時間間隔を調整可能に開閉する制御モジュールと、
取り外し可能な方式で、前記底板の前記下表面から、前記電源収容孔を覆う少なくとも一つの底カバーと、
前記底板の前記上表面に設置されると共に、少なくとも前記バックライトモジュールと前記電源モジュールを被覆し、前記バックライトモジュール上に、少なくとも一つの光透過領域を有する上カバーと、
を含むことを特徴とする、前記ワイヤレススカッフプレート。
【請求項2】
少なくとも一つのスナップ孔が、前記定位部に設置されることを特徴とする、請求項1に記載のワイヤレススカッフプレート。
【請求項3】
スカッフプレート固定素子が、前記スナップ孔下方に設置されると共に、取り外し可能な方式で前記スナップ孔に固定されることを特徴とする、請求項2に記載のワイヤレススカッフプレート。
【請求項4】
少なくとも一つのスナップフックが、前記スカッフプレート固定素子上表面から突出して、前記スナップ孔中に係合されることを特徴とする、請求項3に記載のワイヤレススカッフプレート。
【請求項5】
前記バックライトモジュールは、前記回路板上に設置される導光板及び前記回路板上に設置され、前記導光板両側に位置する複数の発光素子を有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のワイヤレススカッフプレート。
【請求項6】
前記近接センサーモジュールは、誘導的近接センサー、容量性近接センサー、光電子近接センサー、非接触タッチセンサー又は磁気センサーであることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のワイヤレススカッフプレート。
【請求項7】
前記近接センサーモジュールは、前記磁気センサーであり、且つ、磁石は、乗り物のドア又は前記ワイヤレススカッフプレートに取り付けられることを特徴とする、請求項6に記載のワイヤレススカッフプレート。
【請求項8】
フランジが、前記下表面の前記電源収容孔の縁に沿って設置されると共に、下方に突出し、及び、前記底カバーは、前記フランジと係合する封止溝を有することを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のワイヤレススカッフプレート。
【請求項9】
前記上カバーは、デジタル印刷プレートであることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のワイヤレススカッフプレート。
【請求項10】
さらに、前記上カバー上に設置されるレーザー光学プラスチック板を有し、ステンレス鋼板が、前記底板に設置されると共に、前記レーザー光学プラスチック板の一部を露出することを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載のワイヤレススカッフプレート。
【請求項11】
前記ワイヤレススカッフプレートの全厚は、3mm以上5mm以下であることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載のワイヤレススカッフプレート。
【請求項12】
前記凹槽の下表面は、前記底板本体の下表面よりも下方に突出しており、
前記底板本体の下表面と前記凹槽の下表面間に高低差があることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載のワイヤレススカッフプレート。
【請求項13】
前記回路板は、メンブレン回路板であることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載のワイヤレススカッフプレート。」

第4 請求人の主張の概要及び証拠方法

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1 無効理由

請求人は、「特許第6279803号の特許請求の範囲の請求項1ないし請求項13に係る発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求め、甲第1~16号証を添付した令和3年11月25日付け審判請求書、甲第17~19号証を添付した令和4年7月19日付け口頭審理陳述要領書、同年8月9日付け口頭審理陳述要領書(2)、甲第20号証を添付した同年8月26日付け上申書を提出し、以下に示す無効理由1~5により本件特許を無効とすべきと主張している。なお、以下、証拠については「甲〇」等と略記する。

(1)無効理由1(甲1発明に基づく進歩性の欠如)

本件特許の請求項1~13に係る発明は、甲1に記載された発明、周知技術及び技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

(2)無効理由2(甲2発明に基づく進歩性の欠如)

本件特許の請求項1~4、6~7、9、11~13に係る発明は、甲2に記載された発明、周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、また、本件特許の請求項5、8、10に係る発明は、甲2に記載された発明、周知技術及び技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

(3)無効理由3

本件特許の請求項1~13に係る発明の「前記感応信号に従って前記バックライトモジュールをそのオンとオフ状態の時間間隔を調整可能に開閉する制御モジュール」との記載は不明であるから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、その特許は、同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。

本件特許の請求項9~13に係る発明の「デジタル印刷プレート」、請求項10~13に係る発明の「レーザー光学プラスチック板」、請求項13に係る発明の「メンブレン回路板」との記載は不明であるから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、その特許は、同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。

(4)無効理由4

本件特許の請求項1~13に係る発明について、本件明細書の発明の詳細な説明の記載は、「オンとオフ状態の時間間隔を調整可能」に関して、当業者が発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしておらず、その特許は、同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。

(5)無効理由5

本件特許の請求項1~13に係る発明の「前記感応信号に従って前記バックライトモジュールをそのオンとオフ状態の時間間隔を調整可能に開閉する制御モジュール」との構成は、発明の詳細な説明において、発明の課題が解決できることを認識できるように記載された範囲を超えているから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしておらず、その特許は、同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。

本件特許の請求項12及び13に係る発明の「前記底板本体の下表面と前記凹槽の下表面間に高低差がある」は、高低差がどちらの下表面が他の下表面よりも高いのかが特定されていないため、発明の課題が解決できることを認識できるように記載された範囲を超えているから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしておらず、その特許は、同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。

2 証拠方法

請求人が提出した証拠方法は、以下のとおりである。

甲1:実用新案登録第3179184号公報

甲2;中国実用新案第202624049号明細書

甲3:台湾実用新案登録第M433993号公報(なお、甲3のページの

並び順は、最初の2枚に続いて、明細書が下部のページ番号の数字

の順序で並びその後に図面という並びである。)

甲4:台湾実用新案登録第M439595号公報(なお、甲4のページの

並び順は、最初の2枚に続いて、明細書が下部のページ番号の数字

の順序で並びその後に図面という並びである。)

甲5:中国実用新案第203237152号明細書
甲6:台湾実用新案登録第M322349号公報(なお、甲6のページの

並び順は、下部のページ番号の数字の順序という並びである。)

甲7:中国実用新案第2686928号明細書
甲8:特開2008-288174号公報
甲9:特開2011-180094号公報
甲10:中国実用新案第2778611号明細書
甲11:中国実用新案第2552765号明細書
甲12:特開2011-88532号公報
甲13:中国実用新案第203093903号明細書
甲14:特開2008-265377号公報
甲15:知的財産侵害物品に対する輸入差止申立て事件における請求人に

よる令和3年11月11日付け補足意見書

甲16:本件特許の審査時に提出された早期審査に関する事情説明書
甲17:特開2009-248617号公報
甲18:実願昭58-53797号(実開昭59-158540号)のマ

イクロフィルム

甲19:実願昭60-176753号(実開昭62-83746号)のマ

イクロフィルム

甲20:大阪地裁 平成15年(ワ)第3179号 特許権侵害差止等請

求事件判決文

第5 被請求人の主張の概要及び証拠方法

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1 被請求人の主張の概要

被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする」との審決を求め、乙1~10を添付した令和4年4月5日付け審判事件答弁書、令和4年7月14日付け口頭審理陳述要領書、同年8月9日付け口頭審理陳述要領書2、乙11~12を添付した同年9月9日付け上申書を提出し、請求人の主張には理由がなく、本件特許は無効理由を有しないと主張している。

2 証拠方法

被請求人が提出した証拠方法は、以下のとおりである。

乙1:広辞苑第6版 「に<<助詞>>」の項目
乙2:デジタル印刷の技術と将来展望に関する調査研究報告書、社団法人

日本印刷産業連合会、平成20年3月

乙3:特開2009-226863号公報
乙4:特開2007-302344号公報
乙5:特開平8-106257号公報
乙6:特開2001-73158号公報
乙7:特開2011-171110号公報
乙8:特開2010-129420号公報
乙9:特開2005-236137号公報
乙10:特開平8-125305号公報
乙11:大阪地裁 平成26年(行ケ)第10254号 審決取消請求事

件判決文

乙12:知財高裁 令和元年(ネ)第100074号 特許権侵害差止等

請求控訴事件判決文

第6 当審の判断

1 各甲号証の記載事項等

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(1)甲1

ア 記載事項

本件特許の優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に日本国内又は外国で頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて利用可能となった甲1には、図面とともに以下の記載がある。

(ア)「【0001】
本考案は自動車スカッフプレートに適用される発光モジュールに係わり、特に、発光モジュール内には発光素子に必要な電力を供給することができる電池を有し、かつ完全に外部電源を不要とする発光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
続きを表示(全11行)
近年、各メーカーの車両において多くの自動車のドア敷居上には発光スカッフプレートが配置され、自動車のドアを開ける際に該発光スカッフプレートが明るい光を発光し、自動車の品質を向上させる。
【0003】
従来の発光スカッフプレートは、電源コードを介して車両内の給電システムと接続され、発光スカッフプレートに必要な電力を供給している。電線の接続作業が専門性を有するため、一定の難易度が存在している。台湾実用新案の登録番号M322349の公報には外部電池ケースを用いた車両ドア敷居における発光スカッフプレートが開示され、電池が電池ケース内に取り付けられているため、発光スカッフプレートに必要な電力を供給し、その結果、自動車ドア敷居上に取り付けられている発光スカッフプレートに対して外部電源が不要になっている。しかしながら、電池ケースは、外部から発光プレートに接続される付属品に属し、車内には電池ケースの適切な固定位置が必要となる以外に、電池ケースと発光プレートとの間が電源コードを介してお互いに接続されているため、デザイン性および安全面を考慮すると、コードの整理作業が必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本考案は従来技術の欠点を克服するため、外部電源が完全に不要で、自動車スカッフプレートに適用される発光モジュールを提供する。」
(イ)「【0013】
図1は、本考案の発光モジュールの立体図であり、図2は、本考案の発光モジュールの立体分解図である。図1と図2を参照すると、該発光モジュールは、主に導光板10と、導光板10内に埋設されて組み込まれる複数の発光素子20と、リードスイッチ30と、少なくとも1つの電池とを含む。
【0014】
前記導光板10は表示面11を有し、該表示面11は、第1凸模様12と第2凸模様13とを有する。第1凸模様12と第2凸模様13とは、該表示面11から突出する各種の文字、符号または図形であってもよい。
続きを表示(全22行)
【0015】
前記複数の発光素子20は、ランプ板50上に設けられて該ランプ板50と共に該導光板10内に埋設され、これらの発光素子20は、少なくとも第1凸模様12に向かって光源を照射する発光素子21、及び第2凸模様13に向かって光源を照射する他の発光素子22を有する。ここで、これらの発光素子20は、発光ダイオードまたはランプである。
【0016】
同様に、前記リードスイッチ30は該導光板10内に設けられ、該発光素子20と電気的に接続される。本実施例において、リードスイッチ30は、すべての発光素子20と共にランプ板50上に設けられている。
【0017】
前記電池40も導光板10内に埋設され、電線60を介してランプ板50に接続され、さらに同時にこれらの発光素子20およびリードスイッチ30と電気的に接続される。実施する際、軽量化を図るため、該電池は、図に示されたような薄いコイン形状を呈するボタン電池を選択して使用してもよい。
【0018】
図3は、本考案の発光モジュールの別の立体分解図である。図2と図3に示すように、該導光板10の底面には、すべての発光素子20と、ランプ板50と、リードスイッチ30と、電池40とを収容するための収容溝14が設けられる。それ以外に、導光板10内に収容される部品の位置決めを保持するため、導光板10の底面には、これらの当該発光素子20と、該ランプ板50と、該リードスイッチ30と、該電池40とを導光板10の内部に密封するための収容溝カバー70がさらに内蔵されている。実施する際、前記収容溝カバー70は、薄板シートまたは粘着性を持つ防水貼付シートであってもよい。
【0019】
上述したように、本考案の発光モジュールは、導光板10の内部に発光素子20に必要な電力を供給することができる電池40を設置するため、完全に外部電源が不要となる。
【0020】
図4は、本考案の発光モジュールの使用を示す図である。リードスイッチ30をオンにすると、すべての発光素子21,22は電池40により給電されると同時に光源を照射し、かつ導光板10における第1凸模様12と第2凸模様13とを点灯させる。
【0021】
図5と図6は、それぞれ自動車スカッフプレートに適用される本考案の発光モジュールの分解図と組立図である。図に示すように、自動車スカッフプレートは、スカッフプレート80と遮光蓋板90とを含む。前記スカッフプレート80は、導光板10が収容されて組み込まれるように用いられ、スカッフプレート80には複数の係合穴81が設けられるとこにより、スカッフプレート80を自動車のドア敷居の表面に係合させる。また、スカッフプレート80の底面に複数の磁石100が内蔵されていることにより、スカッフプレート80を自動車のドア敷居の表面に直接に吸着させる。
【0022】
前記遮光蓋板90は、金属板片または樹脂板片である。遮光蓋板90は、導光板10に内蔵されている表示面11を覆い、かつ該第1凸模様12と該第2凸模様13とを外部に露出可能に通過させる複数の抜き穴91を設けている。その結果、導光板10において、遮光蓋板90に遮蔽されていない第1凸模様12と第2凸模様13のみが明るくなる。
【0023】
上述したように、本考案は自動車スカッフプレートに適用可能の外部電源が不要の発光モジュールに関する。以上に明かされた本考案の実施例は、本考案の好ましい実施例であり、本考案に何らの制限を加わるものではない。よって、本考案の実用新案登録請求の範囲および明細書に記載された内容に基づいて行った等価の変更や修正に関する全ては、本考案の実用新案登録請求の範囲内に含まれる。」

イ 図示事項

(ア)図1「

[図:0001408228000002.jpg]

」

(イ)図3「

[図:0001408228000003.jpg]

」

(ウ)図5「

[図:0001408228000004.jpg]

」

ウ 認定事項

(ア)段落【0021】の「前記スカッフプレート80は、導光板10が収容されて組み込まれる」との記載及び図5から、スカッフプレート80は、上面に凹部を有し、当該凹部に導光板10が収容されるものと認められる。

(イ)段落【0021】の「スカッフプレート80には複数の係合穴81が設けられる」との記載及び図5から、スカッフプレートの長手方向における前記凹部を挟んだ両側に係合穴81が設けられるものと認められる。

エ 甲1発明

上記ア~ウを踏まえると、甲1には次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。

「外部電源が不要の発光モジュールを含む自動車スカッフプレートであって
上面に凹部を有し、長手方向における前記凹部を挟んだ両側に係合穴81が設けられるスカッフプレート80と、
上記凹部に収容され、ランプ板50を埋設する導光板10と
電池40と電線60を有し、電池40は導光板10内に埋設され、電線60を介してランプ板50に接続され、
ランプ板50上に設けられるリードスイッチ30と、
リードスイッチ30をオンにすると、発光素子21、22は光源を照射し、導光板10の第1凸模様と第2凸模様とを点灯させ、
導光板10の底面には、発光素子21、22、ランプ板50、リードスイッチ30、電池40を内部に密封するための収容溝カバー70が内蔵され、
導光板10に内蔵されている表示面11を覆い、第1凸模様12と第2凸模様13とを外部に露出可能に通過させる複数の抜き穴91を設けている遮光蓋板90と
を含む、自動車スカッフプレート。」

(2)甲2

本件特許の優先日前に日本国内又は外国で頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて利用可能となった甲2には、図面とともに以下の記載がある。なお、括弧内には、請求人の作成した日本語訳を示す(以下、同様。)。

ア 記載事項

(ア)「
[図:0001408228000005.jpg]
[図:0001408228000006.jpg]
」

(日本語訳:[0004]本実用新案の目的は無線車両発光ペダルを提供する。

[0005]本実用新案が解決しようとする課題は、現在、発光ペダルが取り付けられていない自動車について、発光ペダルを追加する必要がある時に、取付の作業工程が非常に煩雑で、不便で、且つ費用が高いことである。

[0006]本実用新案が技術課題を解決するために採用する技術案では、1つの表板、1つのバックライトモジュール、1つの電池モジュール、1つの制御器、1つの固定装置、1つの磁石を備える無線車両発光ペダルにおいて、前記表板には少なくとも1つの光透過可能部が設けられ、前記バックライトモジュールは該表板の背面に設けられ、その射出する光は該表板の光透過可能部から射出可能であり、前記電池モジュールは該表板の背面に設けられ、前記制御器は該表板の背面に設けられ、且つ、該電池モジュールと該バックライトモジュールが電気的に接続され、その電気的に接続された回路上には1つの常閉接点スイッチが設けられ、前記固定装置は、該表板の背面に設けられた1つの第一固定座と、車両の床のサイドシルに固設可能な1つの第二固定座を含み、該第一固定座と第二固定座の間に互いにリンクする連結構造を有し、前記磁石は車両のドアの下方に設けられ、ドアが閉められた時、該磁石は該常閉接点スイッチに応じて、その磁気吸引力を利用して該常閉接点スイッチを吸引してオフすることで電気を遮断し、ドアが開けられた時、該磁石は該常閉接点スイッチに応じず、該常閉接点スイッチを自動的にオンに復帰させて通電させることである。

[0007]本実用新案の有益な効果は、直接に電池モジュールを発光ペダル構造の一部とし、電池を利用して、発光ペダルのバックライトモジュールに必要の電力を独立に供給し、電池の電量がなくなった時、独立に交換することができるため、発光ペダルを取り付ける時に別途電源ケーブルを接続する必要がなく、取付プロセスを簡略化することができ、取付の便利さを向上でき、取付費用を低減できる。また、発光ペダルに便利に取り外し及び取付可能な固定装置が設けられ、該固定装置を利用して車両サイドシルに取り付けた後、後日に電池を交換する必要がある時、適宜に力を入れれば発光ペダルを取り外すことができ、電池の交換が完成した後、非常に便利に発光ペダルをサイドシルに戻して取り付けることができる。)

(イ)「
[図:0001408228000007.jpg]
[図:0001408228000008.jpg]
[図:0001408228000009.jpg]
[図:0001408228000010.jpg]
[図:0001408228000011.jpg]
[図:0001408228000012.jpg]
」

(日本語訳:[0018]図に示すように、本実用新案が提供する無線車両発光ペダルは、車両の床のサイドシルの適宜に位置に取り付けられ、1つの表板1、1つのバックライトモジュール2、1つの電池モジュール3、1つの制御器4、少なくとも1つの固定装置5、1つの磁石6を備える。表板1には少なくとも1つの光透過可能部11が設けられ、該光透過可能部11は自動車のブランドを示す文字又は図形でもよく、様々に設計されてもよい。該バックライトモジュール2、電池モジュール3、制御器4、固定装置5は何れも表板1の背面に設けられ、且つ、バックライトモジュール2は光透過可能部11の位置に対応する。前記光透過可能部11は透かし彫り孔でもよく、光透過可能な材料(例えば、ガラス、アクリル)で製造されてもよい。

[0019]前記バックライトモジュール2は、1つの導光板21及び導光板の側辺に設けられた光源(未図示)を備える。該光源にはLEDの使用はベストであり、これによりバックライトモジュール2の体積を低減でき、導光板21は対応する光透過可能部11の位置に設けられる。光源に電流が流れて発光する時、光線は導光板に入射でき伝達され、最終的に導光板から射出し発光効果を形成する。導光板から射出された光線は、表板1の光透過可能部11を射出し、光透過可能部11を発光させる。

[0020]前記電池モジュール3は、回路が設けられた電池座31、該電池座31をカバーすることに用いられる電池カバー32、少なくとも1つの電池33を備える。電池座31は、接着方式で表板1の背面に固設でき、電池33を電池座31内に置いた後、該回路を電気的に接続できる。電池カバー32は電池座31をカバーした後、電池座31内の電池33及び回路を保護することができる。

[0021]前記制御器4は接着方式で表板1の背面に固定されることができ、且つ、電源ケーブルを用いて、制御器4を電池モジュール3の電池座31とバックライトモジュール2の光源22に電気的に接続する。制御器4の本体内には、常閉接点スイッチ41を有する回路が設置され、磁石6を介して制御器4の外部から該常閉接点スイッチ41を吸引することで、電気を遮断し、光源22が発光しなくなる。磁石6が常閉接点スイッチに作用を与えない時、該常閉接点スイッチ41はオンになり電流が流れ、光源22が発光する。

[0022]前記固定装置5は1つの第一固定座51と1つの第二固定座52を備える。該第一固定座51は接着方式で表板1の背面に固設され、第二固定座52は接着方式で車両の床のサイドシルに設けられる。第一固定座51と第二固定座52の間に互いリンクする連結構造を有する。前記固定装置の第一固定座51には少なくとも1つのホックが設けられ、該連結構造は、第一固定座51に設置された2つの対称するホック511を備え、第二固定座52には2つのホック511の間に入れる突部521が設けられ、且つ、突部521の相対両側にそれぞれ1つの凸縁522が設けられる。これにより、第二固定座52がサイドシルに固定された後、表板1の2つのホック511の間を該突部521に合わせればよく、更に表板1に下に力を入れて押すと、突部521を2つのホック511の間に入ることができる。そうすると、ホック511を突部521の両側の凸縁522に係合させることができる。電池33の電量がなくなり、新しい電池を交換する必要の時、適宜に作用力を調整して表板1を上に引っ張れば、ホック511と凸縁522を離させることができる。電池を交換した後、前記方式で表板を戻し、全体的に取付と使用は非常に便利である。

[0023]前記磁石6がドアの下方に取り付けられ、ドアが閉められた時、ドアの下方に設けられた磁石6は丁度制御器4に対向して接近する。この時、その磁気吸引力を利用して常閉接点スイッチ41 をオフすることで電気を遮断し、バックライトモジュール2の光源22が発光しなくなる。ドアが開けられた時、磁石6は制御器4から離れるため、その常閉接点スイッチ41 を自動的にオンに復帰させ、回路が通電になり、バックライトモジュール2の光源22が発光する。)

イ 図示事項

(ア)図1「

[図:0001408228000013.jpg]

」

(イ)図3「

[図:0001408228000014.jpg]

」

(ウ)図4「

[図:0001408228000015.jpg]

」

(エ)図5「

[図:0001408228000016.jpg]

」

(オ)図6「

[図:0001408228000017.jpg]

」

ウ 認定事項

段落[0020]の「該電池座31をカバーすることに用いられる電池カバー32」との記載、段落[0022]の「電池33の電量がなくなり、新しい電池を交換する必要の時、適宜に作用力を調整して表板1を上に引っ張れば、ホック511と凸縁522を離させることができる。電池を交換した後、前記方式で表板を戻し、全体的に取付と使用は非常に便利である」との記載から、電池カバー32は、そのカバーを外すことにより電池を交換できることは明らかであるから、電池33を交換できる、電池座31をカバーする電池カバー32と認められる。

エ 甲2発明

上記ア~ウを踏まえると、甲2には次の発明(以下「甲2発明」という)が記載されている。

「無線車両発光ペダルであって、
バックライトモジュール2、電池座31を備える電池モジュール3、制御器4、固定装置5が背面に設けられた表板1と、
電池33を備え、電源ケーブルを用いて、制御器4を電池モジュール3の電池座31とバックライトモジュール2の光源22に接続する、電池モジュール3と、
常閉接点スイッチ41を有する回路が設置され、ドアの下方に設けられた磁石6を介して制御器4の外部から常閉接点スイッチ41を吸引することで、電気を遮断し、光源22が発光しなくなり、磁石6が常閉接点スイッチに作用を与えないとき、該常閉接点スイッチはオンになり電流が流れ、光源22が発光するように制御する制御器4と、
電池33を交換できる、電池座31をカバーする電池カバー32と、
バックライトモジュール2と電池モジュール3を背面に設け、光透過可能部11が設けられ、バックライトモジュール2は光透過可能部11の位置に対応する、表板1と、
を備える、無線車両発光ペダル。」

(3)甲3

本件特許の優先日前に日本国内又は外国で頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて利用可能となった甲3には、図面とともに以下の記載がある。

ア 記載事項

(ア)明細書第3ページ第5~12行

「
[図:0001408228000018.jpg]
」

(日本語訳:【従来技術】

ウェルカムペダルの一般的に知られている構造は、磁気ボタンスイッチ、赤外線スイッチ、または超音波スイッチを使用して、ランプ本体(例えば、照明ランプや発光ダイオードなど)のオンとオフを制御する。

磁気ボタンスイッチで制御する構造は、車両ドア内に磁石が取り付けられているため、ペダルが車両ドアを開けると見える低い位置にあり、両者は磁気誘導により開閉される。これにより節電できるが、誘導スイッチに対応する位置に磁石の取り付けが容易ではなく、動きやすいため、誘導が不正確になる恐れがある。)

(イ)明細書第5ページ第15~18行

「
[図:0001408228000019.jpg]
」

(日本語訳:回路基板3も略長尺状であり、第1蓋体2に収容されている。回路基板3には、各貫通穴21に対応する位置に収容穴31がそれぞれ設けられており、各収容穴31は水銀電池7を収容し、且つ各水銀電池7に電気的に接続された1組の接触点32は、収容穴31の少なくとも1つに隣接して設けられる。)

イ 図示事項

(ア)図1「

[図:0001408228000020.jpg]

」

(イ)図3「

[図:0001408228000021.jpg]

」

(4)甲4

本件特許の優先日前に日本国内又は外国で頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて利用可能となった甲4には、図面とともに以下の記載がある。

ア 記載事項

(ア)明細書第3ページ第6~15行

「
[図:0001408228000022.jpg]
」

(日本語訳:【従来技術】

自動車産業の発展は、今まで業者は自動車の性能、外観に対して継続的に研究してきており、内装部品も洗練されてきており、自動車の内装にさらに質感を持たせるために、通常、自動車サイドシル(すなわち、ドア枠の下縁)の部位に商標模様や文字などを有するサイドシルペダルを取り付けて、自動車ブランド、質感を表現すると同時に、運転者、乗客に乗降中に自動車の装飾の美観を感じさせることができる。さらに、自動車ペダルの顕著性を増やすために、自動車ペダルの特定部位(例えば、商標模様など)がドアの開閉時に自動的に点灯して装飾的な発光効果を得ることができるように、LEDや冷光板などの発光部材を設けることもある。)

(イ)明細書第5ページ第18~24行

「
[図:0001408228000023.jpg]
」

(日本語訳:収容空間23に収容され、複数組の発光ユニット41(発光ユニット41は1組とみなす)と感知部材42と作動電力を供給する電源43を含み、発光ユニット41の位置が導光部30に対応し、また、本発明の電源43はバッテリボックスの形態であり、且つ電源43は給電回路44を介して各発光ユニット41及び感知部材42に電気接続されている発光部材40と、)

(ウ)明細書第6ページ第13~19行

「
[図:0001408228000024.jpg]
」

(日本語訳:図1、2に示すように、感知部材42が板状本体20の収容空間23の、自動車ドアAの下方に対応する位置に設けられ、ドアAを開けると感知部材42が電源オン状態(発光ユニット41が点灯)となり、ドアAを閉じると電源オフ状態(発光ユニット41が消灯)となるように、ドアAを開閉することで感知部材42の動作状態を制御できる。この感知部材42はリードスイッチまたは光感知スイッチであることが好ましいが、これらに限定されるものではない。)

(エ)請求の範囲第5~6項

「
[図:0001408228000025.jpg]
」

(日本語訳:5.前記感知部材は、前記板状本体の収容空間の、自動車ドアの下方に対応する位置に設けられ、ドアを開閉することで前記感知部材の動作状態を制御できる、請求項1に記載の繰り返し磁気吸引による位置決め機能を有する自動車発光ペダル

6.前記感知部材は、リードスイッチまたは光感知スイッチである、請求項1または5に記載の繰り返し磁気吸引による位置決め機能を有する自動車発光ペダル)

イ 図示事項

図2「

[図:0001408228000026.jpg]

」

(5)甲5

本件特許の優先日前に日本国内又は外国で頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて利用可能となった甲5には、図面とともに以下の記載がある。

ア 記載事項

(ア)「
[図:0001408228000027.jpg]
」

(日本語訳:技術領域

[0001]本実用新案はペダルに関わり、具体的に新型自動車磁気制御LED発光ペダルに関わる。)

(イ)「
[図:0001408228000028.jpg]
」

(日本語訳:[0015]図1、図2に示すように、新型自動車磁気制御LED発光ペダルであって、発光板5が固定される底板1と、前記底板1とネジで接続されるパネル2と、LED発光管3と、表示板4とを備え、前記底板1に第一放置溝6と第二放置溝7が設けられ、前記第一放置溝6に電池8が設けられ、前記第二放置溝7に磁気制御配線板9が設けられ、前記磁気制御配線板9の上表面はパネル2と接触し、前記磁気制御配線板9はLED発光管(3)とケーブルで接続される。

[0016]前記LED発光管3は発光板5の両側に固定される。

[0017]前記パネル2に凹み溝21が設けられ、前記凹み溝21に第一放置溝6とマッチングする通孔22が設けられ、前記凹み溝21に電池蓋板10が設けられる。

[0018]前記底板1に凸リンク11が延伸し、前記パネル2に表示孔23が設けられ、前記表示板4に表示部41が延伸し、前記表示板4は凸リンク11とマッチングし、前記表示部41は表示孔23とマッチングする。

[0019]前記表示部は、中央に文字又は図形が設けられたプラスチック板である。

[0020]前記パネル2に磁石12が固定され、前記磁石12は磁気制御配線板9の上方に位置する。)

(ウ)「
[図:0001408228000029.jpg]
」

(日本語訳:[0021]本実用新案は具体的に次のように使用する。ドアが閉められた時、ドアの中の磁石がペダル磁石12の吸引力を相殺し、磁気制御配線板9のバネ管の接点がオフし、回路が遮断され、LED発光管3が発光しなくなる。また、ドアが開かれた時、ドアの中の磁石が機構から離れ、磁気制御配線板9のバネ管の接点がオンし、回路が導通され、電池8に電気が供給され、LED発光管3が発光し、表示板4における文字が表示される。同時に、機構における遅延モジュールが作動し、一定期間の発光後に、機構における遅延モジュールの動作により、回路が遮断され、LED発光管3が発光しなくなる。

[0022]実用新案の有益な効果は、ペダルの中で、電池を設置し、且つ、磁気制御配線板を配置するため、取付時に元の車両の電源ケーブルを破る必要がなく、車内のセンサスイッチにも頼らず、磁気制御スイッチでLED発光管をオン/オフを制御することで、取付を簡略させ、車体を保護する。)

イ 図示事項

図1「

[図:0001408228000030.jpg]

」

(6)甲6

本件特許の優先日前に日本国内又は外国で頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて利用可能となった甲6には、図面とともに以下の記載がある。

ア 記載事項

(ア)明細書第5ページ第5~12行「

[図:0001408228000031.jpg]

」

(日本語訳:【従来技術】

自動車に質感をさらに持たせるために、通常、自動車のドア枠の下縁(すなわち、サイドシル)の部位に殆どペダルが設けられている。第4図に示すように、自動車の中に入ろうとする時、ドア(81)を開けて、車体サイドシルの枠(83)にペダル(80)が設けられており、該ペダル(80)は殆ど金属製であり、その表面に、該自動車ブランドの高品質を表現させるように自動車ブランドの文字又は図形が印刷された滑り止めの模様は設けられている。しかしながら、台湾の消費者にとって、該ペダル(80)内に投射光が設置され、パネル(82)上の光透過孔又はランプカバーから出射されることにより、夜間でより神秘的な雰囲気を作ることが好みである。)

(イ)明細書第7ページ第11~17行「

[図:0001408228000032.jpg]

」

(日本語訳:第1、3図を併せて参照して、発光ペダル(10)が車体サイドシルの枠(70)に敷設されている場合、該電源線(40)は車体サイドシルの枠(70)の内側に沿って配置されてもよく(第3図に示すように)、第3図に示すように座席の底部のパッドペダルの下などの凹み部に埋め込まれてもよい(図示せず)。バッテリボックス(30)もその間に設けられて、車体サイドシルの枠(70)の縁部に磁気バネスイッチ(20)が設けられているため、ドア(71)を開けると、磁気バネスイッチ(20)を起動させ、バッテリボックス(30)から電力が供給され、それにより、発光ペダル(10)が多色の光を射出し、その優れた照明効果を表すことができる。)

イ 図示事項

第1図「

[図:0001408228000033.jpg]

」

(7)甲7

本件特許の優先日前に日本国内又は外国で頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて利用可能となった甲7には、図面とともに以下の記載がある。

ア 記載事項

(ア)明細書第3ページ第2~4行「

[図:0001408228000034.jpg]

」

(日本語訳:技術分野

本実用新案は、自動車のドアが開く車体サイドシルの位置に応用されるサイドシルペダルの導光装置であり、特にその構造に対する改良に関わる。)

(イ)明細書第3ページ第5~14行「

[図:0001408228000035.jpg]

」

(日本語訳:従来技術

通常自動車では、ドアが開く車体サイドシルの位置に、特別に装飾を提供しない。しかし、自動車工業が、数十年の発展により、性能的進歩と向上の幅が、既に徐々に壁に直面しているが、全体の外観、品質、配置と豪華の面では、極大の発展空間がある。したがって、数多くのブランドの自動車にそのサイドシル上方にウェルカムペダルと称するサイドシルを装飾し、ドアが開く際に車室内に進入する前に、自動車の豪華な装飾を感じ取れる。この種のウェルカムサイドシルペダルは大体プラスチック、ステンレス板を使用し、ひいては自動車の車名又はロゴを追加し、ひいては又は冷光又はその他の光源を利用して装飾性的発光を生じさせる。発光の面において現在の既存技術としては、冷光板(E.L.)及び発光ダイオード(L.E.D.)を、光源とする自動車サイドシルウェルカムペダルがあり、既に公開された実用新案ZL98225145.9号「自動車に用いられる隆起型発光体の構造」のように、即ち冷光を利用し光源とするサイドシルペダルである。)

(ウ)明細書第5ページ末行~第6ページ第5行「

[図:0001408228000036.jpg]

[図:0001408228000037.jpg]

」

(日本語訳:そのうち、表板10は薄金属板又はプラスチック板で一体に成形され自動車サイドシルのペダルを構成するもので、該表板面に特定の字型又は図形の開孔11が設けられている。

そのうち、光透過板20は光透過プラスチックで一体に成形され、表面凸起が開孔11に対応し表板10表面を通過し露出した突起字型21以外に、光透過板20の板体下方の両端に、下向きに突き出す位置決めピン22が設けられ、拡散膜30と導光板40を順次に通過して位置決める作用を果たし、且つ組み立ての後、位置決めピン22の露出した端部を熱圧溶融して固定ヘッドエンドを形成する。)

(エ)明細書第5ページ第22~25行「

[図:0001408228000038.jpg]

」

(日本語訳:図4の一部分解に如く、そのうち、導光板40の両端に、光源体42が嵌め込み可能な凹槽48が設けられ、凹槽48の壁面に光源体42の発光ダイオード41に対応する導光曲面49が設けられ、凹槽48の両側に突起アーム47を有し、且つ定位穴43’が設けられて光源体42の開孔43に対応し、位置決めピン22が貫通しその間に位置付けるためにある。)

イ 図示事項

図2「

[図:0001408228000039.jpg]

」

(8)甲8

本件特許の優先日前に日本国内又は外国で頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて利用可能となった甲8には、図面とともに以下の記載がある。

ア 記載事項

(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーを電源とする電子機器におけるバッテリー保持装置、及び、これを備えた携帯電子機器に関する。」
(イ)「【0013】
以下、本発明の実施形態を携帯電話を例に挙げて説明する。携帯電話1000は、通話等の機能を実現するための電源であるバッテリーを保持し、その防水を可能にする。
【0014】
携帯電話1000は、図1に示すように、本体100と、バッテリーカバー200と、バッテリー300と、から構成される。」
(ウ)「【0029】
以下、図6,7を参照しながら、上記構成の携帯電話1000において、実際に本体100にバッテリーカバー200とバッテリー300とを装着した際の態様に関する説明を行う。
【0030】
ここで、図6は、本体100とバッテリーカバー200との正面図である。図7は、本体100にバッテリー300を収納し、バッテリーカバー200を取り付けた時の、図6のA-A線における模式的な矢視断面図である。ただし、A-A線は、引掛部117,121とフック部214,218とを通過するように設定されている。
【0031】
図7(a)(b)に示すように、本体100にバッテリー300を収納し、バッテリーカバー200を取り付けた際、引掛部121,117は、それぞれ、フック部214,218に引掛けられ、環状四角形の突起部221は環状四角形の溝111に圧入される。図7(b)に示すように、その際に溝111の両側面に弾性体223が密着し、防水パッキン220はバッテリー300を収納したバッテリー収納部112を覆うので、バッテリー収納部112の内部に水その他の異物が入り込めないようになる。」

イ 図示事項

(ア)図1「

[図:0001408228000040.jpg]

」

(イ)図7「

[図:0001408228000041.jpg]

」

(9)甲9

本件特許の優先日前に日本国内又は外国で頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて利用可能となった甲9には、以下の記載がある。

「【0042】
このような第2の導光層31は、たとえば本体部30の表面に対する印刷、および第2の導光層31の前駆体である導光シートを本体部30の表面への貼付などよって形成される。第2の導光層31を印刷する場合は、デジタル印刷による印刷工程よって、透光性を有するアクリル樹脂等から形成される。デジタル印刷は、インクジェットプリントとも呼ばれ、たとえば無色透明なアクリル樹脂系のインクを、図示しないヘッドに設けられているノズルと呼ばれる小さな穴から、ピエゾジェット方式やサーマルジェット方式で小さなドットとして繰り返し発射する印刷方式である。ポインタ部材27への印刷位置によってインクの量などを調節することによって、透過率が部分的に異なる第2の導光層31を形成することができる。」

(10)甲10

本件特許の優先日前に日本国内又は外国で頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて利用可能となった甲10には、図面とともに以下の記載がある。

ア 記載事項

明細書第4ページ第25行~第5ページ第7行「

[図:0001408228000042.jpg]

[図:0001408228000043.jpg]

」

(日本語訳:まず、図1、2、3は、それぞれ本考案の外観の模式図、分解図、断面図である。図に示すように、本考案の自動車ドアシルの発光スカッフプレート装置を、ドアシル保護蓋10上に孔部11が設けられている自動車ドアシルの上方に設けることで、警告及び装飾効果を奏し得る。スカッフプレート装置は、上部の中央に内凹溝21が設けられ、内凹溝21の一側面の中央に切欠22が延設されている透明な外蓋20と、上面にハイコントラスト色31が直接設けられ、上面に模様、文字または噴霧の態様の透明なパターン32が印刷により直接形成され、一端面に凸板33が形成され、凸板33に直流電線が接続されるELシート30と、一端面に凸板41が形成されている底板40とを含み、これにより、外蓋20の内凹溝21に底板40、ELシート30を挟んで設ける時、これらがシリコン接着剤によって結合され、ハイコントラスト色31及びパターン32が外蓋20を介して明らかに表示される。)

イ 図示事項

図2「

[図:0001408228000044.jpg]

」

(11)甲11

本件特許の優先日前に日本国内又は外国で頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて利用可能となった甲11には、図面とともに以下の記載がある。

ア 記載事項

(ア)明細書第3ページ第2~3行「

[図:0001408228000045.jpg]

」

(日本語訳:(1)技術分野

本実用新案は、乗用車、ステーションワゴンの装飾用のサイドシル発光ペダル構造に関わる。)

(イ)明細書第4ページ第19~21行「

[図:0001408228000046.jpg]

」

(日本語訳:発光体は図案(浮いた凸図案など)付きのものである。発光体の光透過板2の表面は、所定図案又は字体で設定した透光浮突体22を有し、その他の部分には、ペンキが塗布されてもよく、対応図案又は字体で溝孔が設けられるステンレス等の金属片6で遮蔽されてもよい。該浮突体22は溝孔と対応し、且つ溝孔に挿入可能である。)

イ 図示事項

図1「

[図:0001408228000047.jpg]

」

(12)甲12

本件特許の優先日前に日本国内又は外国で頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて利用可能となった甲12には、図面とともに以下の記載がある。

ア 記載事項

(ア)「【0001】
本発明は、サイドシルガーニッシュに関するものである。」
(イ)「【0021】
保護プレート6は、金属製、例えば、アルミニウム製やステンレス製からなり、ガーニッシュ本体5の設置凹部13に貼着部材12により固定されている。また、保護プレート6には、厚さ方向に貫通してなる開口部15が設けられている。」
(ウ)「【0025】
このように構成されたサイドシルガーニッシュ1には、裏面側に照明装置21が貼着部材12により固定されている。照明装置21は、図示しない光源と、ケース22と、導光体23と、レンズ24とを備え、光源から出射された光を導光体23を通じてレンズ24から外部へ光を照射し得るように構成されている。この照明装置21は、ガーニッシュ本体5の挿入部14に挿入され、レンズ24を開口部15から表出される。この状態で、照明装置21は、保護プレート6の裏面に形成された貼付部16において貼着部材12によって保護プレート6に固定されている。なお、光源は、図示しないが、車両2に搭載されているバッテリに電気的に接続されている。」

イ 図示事項

図2「

[図:0001408228000048.jpg]

」

(13)甲13

本件特許の優先日前に日本国内又は外国で頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて利用可能となった甲13には、図面とともに以下の記載がある。

ア 記載事項

(ア)「
[図:0001408228000049.jpg]
」

(日本語訳:技術領域

[0001]本実用新案は、自動車装飾技術領域に関わり、具体的に電子紙付きのウェルカムペダルに関わる。)

(イ)「
[図:0001408228000050.jpg]
」

(日本語訳:[0028]具体的に、図1~3に示すように、本実用新案のウェルカムペダルの主な部材は、基体1であり、自動車車体の表面にマッチングし、且つ、その背面に設けられた両面テープ条6により自動車車体の表面に貼り付けられる。基体1の上表面の中部には標識の取り付け用の凹み溝2が設置され、凹み溝2内に標識付きの文字及び/又は図案の電子紙3が配置され、該電子紙3の底部は両面テープ条5又は他の方式で基体1の凹み溝2内に固設され、且つ、電子紙3の上の文字又は図案の内容はクライアントの使用ニーズに基づいて変更可能である。

[0029]そのうち、図3に示すように、本実用新案の基体1は、ステンレス材料又はアルミ合金材料又はチタン合金材料で作られ、基体1はステンレス材料で作られることが好ましい。例えば、SUS304ステンレスを採用し、ステンレスの厚さは通常に2mmであり、その表面のレベルは82級の高級鏡面である。基体の曲面は自動車車体の曲面で作られ、且つ、自動車車体とマッチングする隙間は0.2mm未満である。基体の曲面を設計する前に、3Dスキャン技術を採用し、自動車車体曲面に対して密集なマトリックススキャンを行い、取得したポイントクラウドデータに基づき専門ソフトウェア処理により、自動車車体局面の3Dモデルを形成し、更に該3Dデータに基づいて、自動車車体曲面とマッチングする基体を設計?生産する。

[0030]基体の4つの側辺に折り辺4がそれぞれ設けられ、該折り辺の高さは2mm~5mmであり、折り辺の高さは3mm~4mmであることが好ましい。基体中部で標識が設置される区域はプレス成型により凹み溝2を形成し、且つ、凹み溝のサイズはクライアントのニーズに応じて設計され、凹み溝の深さは1.5mm~4mmでもよく、凹み溝深さは2mm~3mmであることが好ましい。基体が自動車車体上に設けられる必要がある時、基体の背面に両面テープ条6を貼り付け、両面テープ条表面の保護膜を剥がせば、自動車車体上に貼り付けることができる。)

イ 図示事項

図2「

[図:0001408228000051.jpg]

」

(14)甲14

本件特許の優先日前に日本国内又は外国で頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて利用可能となった甲14には、以下の記載がある。

「【0024】
検知電極10は、背もたれ部102に設けられた際に、後方シート109に着座した人体108の近接状態を十分に検知できる大きさおよび形状に形成され、ここでは、例えば図2に示すような楕円ドーナツ形に形成されている。この検知電極10は、メンブレン回路、フレキシブルプリント回路(FPC)、電線、銅板などの導電性部材からなり、背もたれ部102と人体108との距離に応じた静電容量を示す検知信号を制御装置20に対して出力する。」

(15)甲17

本件特許の優先日前に日本国内又は外国で頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて利用可能となった甲17には、図面とともに以下の記載がある。

ア 記載事項

(ア)「【0001】
本発明は、所望の形状(文字、数字など)を発光表示するスカッフプレートに関する。」
(イ)「【0025】
スカッフプレート1は、カバー2、文字板3、光学シート4、導光板5、一組の光源ユニット6及びケース7からなる。文字板3、光学シート4及び導光板5は積層するようにケース7内に収容される。ケース7内に収容されたとき、文字板3の下に光学シート4が配置され、光学シート4の下に導光板5が配置される。光源ユニット6はケース7内の左右端部に収容される。スカッフプレート1を組み立てる際には、このように各部材をケース7に収容した後、文字板3の上からカバー2を被せる。」

イ 図示事項

図1「

[図:0001408228000052.jpg]

」

(16)甲18

本件特許の優先日前に日本国内又は外国で頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて利用可能となった甲18には、以下の記載がある。

(ア)明細書第1ページ第3~12行

「実用新案登録請求の範囲
ドアの開閉に応動するドアスイッチからのドア信号に応じてルームランプの点滅制御を行なわせ、ドア閉成後も一定時間ランプを点灯保持させるルームランプ制御回路からなるものにおいて、そのルームランプ制御回路の制御出力側に、ドアロックに応動するスイッチからのドアロック信号を論理ゲートを介してわり込ませ、ドアロック時にルームランプを強制的に消灯させるようにしたことを特徴とする車両用残光式ルームランプ。」

(イ)明細書第1ページ第14行~第2ページ第9行

「技術分野
本考案は自動車などの車両におけるルームランプに係り、特にドアと連動してその閉成後も一定時間ルームランプを点灯状態に保持させておく車両用残光式ルームランプに関する。
従来技術
従来、この種の車両用残光式ルームランプにあっては、運転席側のドアの開、閉によってオン、オフするドアスイッチの状態に応じて、ドアが開放されている間ルームランプを点灯させ、ドアが閉成されたときにその後タイマによって設定された一定時間ルームランプを点灯させるようにしている。」

(ウ)明細書第2ページ第17行~第3ページ第3行

「目的
本考案は以上の点を考慮してなされたもので、ドアの開閉状態のみならずドアのロック状態をもルームランプの点滅条件に加えて、ドアがロックされたときはルームランプを即時消灯させるようにした車両用残光式ルームランプを提供するものである。」

(17)甲19

本件特許の優先日前に日本国内又は外国で頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて利用可能となった甲19には、以下の記載がある。

(ア)明細書第1ページ第4~15行

「2.実用新案登録請求の範囲
(1)ドア開放で点灯開始し、ドアの閉止から所定時間の遅延後に消灯する残光式ルームランプの制御装置であって、
ドアの閉止状態を検出するドア閉止検出手段と、
ドアのロック操作を検出するドアロック検出手段と、
前記ドア閉止検出手段および前記ドアロック検出手段の双方からの出力信号があつたときにのみ前記遅延の動作を禁止する遅延禁止手段
とを備えた車両用の残光式ルームランプ制御装置。」

(イ)明細書第1ページ第17行~第2ページ第3行

「(考案の分野)
本考案は、車両用の残光式ルームランプ制御装置に関する。
(従来技術とその問題点)
従来の車両用の残光式ルームランプ制御装置は、ドア開放で点灯開始し、ドアの閉止から所定時間の遅延後に消灯するように構成されている。」

(ウ)明細書第2ページ第20行~第3ページ第9行

「(考案の目的)
本考案は、このような事情に鑑みてなされたものであって、降車して、ドアの閉止操作とロック操作(施錠操作)をすると、直ちにルームランプが消灯するように構成することによって、前記の煩わしさから運転手を解放するとともに、半ドア、あるいは、マニュアルスイッチのOFF操作のし忘れはもちろん、ドアロックの不完全さをも直ちに判断することができるようにすることを目的とする。」

2 無効理由1(甲1発明に基づく進歩性の欠如)

(1)本件発明1と甲1発明との対比

本件発明1と甲1発明とを対比する。

ア 後者の「凹部」及び「スカッフプレート80」は、前者の「凹槽」及び「底板」に相当する。また、「係合穴81」は「定位部」に相当する。そうすると、後者の「上面に凹部を有し、長手方向における前記凹部を挟んだ両側に係合穴81が設けられるスカッフプレート80」と、前者の「上表面と下表面を有し、前記上表面は、少なくとも一つの凹槽を有し、且つ、前記凹槽の少なくとも一側は、電源収容孔を有し、及び、定位部が、少なくとも一側上に定義される底板」とは、「上表面と下表面を有し、前記上表面は、少なくとも一つの凹槽を有し、及び、定位部が、少なくとも一側上に定義される底板」の点で共通する。

イ 後者の「上記凹部に収容され、ランプ板50を埋設する導光体10」は、前者の「前記凹槽に収容され、且つ、少なくとも一つの回路板を有するバックライトモジュール」に相当する。

後者の「電池40」及び「電線60」は、前者の「バッテリー」及び「導電ストリップ」に相当する。そして、後者の「電池40と電線60を有し、電池40は導光板10内に埋設され、電線60を介してランプ板50に接続され」る構成は、前者の「少なくとも一つのバッテリーと少なくとも一つの導電ストリップを有し、前記バッテリーが、前記電源収容孔に設置され、前記導電ストリップが、前記バッテリーと前記回路板を電気的に接続する電源モジュール」と、「少なくとも一つのバッテリーと少なくとも一つの導電ストリップを有し、前記導電ストリップが、前記バッテリーと前記回路板を電気的に接続する電源モジュール」で共通する。

ウ 後者の「ランプ板50上に設けられるリードスイッチ30」は、リードスイッチ30は、一般に、磁力の作用によってオンオフするスイッチであって、磁石の近接を感知して動作するものであるから、前者の「前記回路板上に設置されると共に、感応信号を感知する近接センサーモジュール」に相当する。

エ 後者の「ランプ板50上に設けられるリードスイッチ」は、「リードスイッチ30をオンにすると、発光素子21、22は光源を照射し、導光板10の第1凸模様と第2凸模様とを点灯させ」るものであるが、リードスイッチ30をオフにすると、光源がオフにされるのは自明なことであるから、前者の「前記回路板上に設置されると共に、前記バックライトモジュール及び前記近接センサーモジュールと電気的に接続し、前記感応信号に従って前記バックライトモジュールをそのオンとオフ状態の時間間隔を調整可能に開閉する制御モジュール」と、「前記回路板上に設置されると共に、前記バックライトモジュール及び前記近接センサーモジュールと電気的に接続し、前記感応信号に従って前記バックライトモジュールを開閉する制御モジュール」の点で共通する。

オ 後者の「導光板10の底面に内蔵される、発光素子21、22、ランプ板50、リードスイッチ30、電池40を内部に密封するための収容溝カバー70」は、前者の「取り外し可能な方式で、前記底板の前記下表面から、前記電源収容孔を覆う少なくとも一つの底カバー」と、「下表面から、電源収容孔を覆う少なくとも一つの底カバー」を有する点で共通する。

カ 後者の「抜き穴91」は前者の「光透過領域」に相当する。また、後者において遮光蓋板90は導光板10を覆うものであるが、導光板10内に埋設される電池40及び電線60も覆っているといえる。しれみれば、後者の「導光板10に内蔵されている表示面11を覆い、第1凸模様12と第2凸模様13とを外部に露出可能に通過させる複数の抜き穴91を設けている遮光蓋板90」は、前者の「前記底板の前記上表面に設置されると共に、少なくとも前記バックライトモジュールと前記電源モジュールを被覆し、前記バックライトモジュール上に、少なくとも一つの光透過領域を有する上カバー」に相当する。

キ 後者の「外部電源が不要の発光モジュールを含む自動車スカッフプレート」は、前者の「ワイヤレススカッフプレート」に相当する。

以上を踏まえると、両者の一致点は次のとおりである。

「ワイヤレススカッフプレートであって、
上表面と下表面を有し、前記上表面は、少なくとも一つの凹槽を有し、及び、定位部が、少なくとも一側上に定義される底板と、
前記凹槽に収容され、且つ、少なくとも一つの回路板を有するバックライトモジュールと、
少なくとも一つのバッテリーと少なくとも一つの導電ストリップを有し、前記導電ストリップが、前記バッテリーと前記回路板を電気的に接続する電源モジュールと、
前記回路板上に設置されると共に、感応信号を感知する近接センサーモジュールと、
前記回路板上に設置されると共に、前記バックライトモジュール及び前記近接センサーモジュールと電気的に接続し、前記感応信号に従って前記バックライトモジュールを開閉する制御モジュールと、
下表面から、電源収容孔を覆う少なくとも一つの底カバーと、
前記底板の前記上表面に設置されると共に、少なくとも前記バックライトモジュールと前記電源モジュールを被覆し、前記バックライトモジュール上に、少なくとも一つの光透過領域を有する上カバーと、
を含む、前記ワイヤレススカッフプレート」

そして、両者の相違点の抽出を、その技術的なまとまりを考慮して行うと、次のとおりである。

(相違点1)電源収容孔及びバッテリーが設けられる箇所及び底板と底カバーとの関係について、本件発明1では、底板の「前記凹槽の少なくとも一側は、電源収容孔を有し」、「バッテリーが」該凹槽の「電源収容孔に設置され」るものであり、底カバーは、「底板の」下表面から電源収容孔を覆い、かつ「取り外し可能な方式」であるのに対し、甲1発明では、電池40が設置されるのは、導光板10内であって、スカッフプレート80が有する凹部は、電源収容孔を有しておらず、収容溝カバー70は導光板10の底面から電池40を覆うものであり、取り外し可能か不明である点。

(相違点2)制御モジュールに関し、本件発明1は、「そのオンとオフ状態の時間間隔を調整可能に」開閉するのに対し、甲1発明では、「オンとオフ状態の時間間隔を調整可能」であることが特定されていない点。

(2)判断

相違点1について検討する。

ア 甲1の段落【0004】には、「外部電源が完全に不要で、自動車スカッフプレートに適用される発光モジュールを提供する。」ことを解決しようとする課題とすることが記載されている。そして、甲1の段落【0013】の「図1は、本考案の発光モジュールの立体図であり、図2は、本考案の発光モジュールの立体分解図である。図1と図2を参照すると、該発光モジュールは、主に導光板10と、導光板10内に埋設されて組み込まれる複数の発光素子20と、リードスイッチ30と、少なくとも1つの電池とを含む。」との記載から、甲1発明の電池40や発光素子21、22等が埋設される導光板10が発光モジュールであり、甲1発明は、この外部電源が不要の発光モジュール、すなわち導光板10をスカッフプレート80に収容している。すなわち、電池40は、自動車スカッフプレートの内部に収容された導光板10のさらに内部に埋設される構成になっている。そして、このように設けられた電池40について、自動車スカッフプレートの外部から交換することは、甲1には、記載も示唆もない。

それどころか、甲1には、発光モジュール、すなわち導光板10内に埋設された電池40を交換することについても、記載も示唆もない。むしろ、甲1の段落【0018】には、「導光板10の底面には、これらの当該発光素子20と、該ランプ板50と、該リードスイッチ30と、該電池40とを導光板10の内部に密封するための収容溝カバー70がさらに内蔵されている。実施する際、前記収容溝カバー70は、薄板シートまたは粘着性を持つ防水貼付シートであってもよい。」と記載され、収容溝カバー70は粘着性を持つ防水貼付シートであることを許容するものと理解でき、一般に、粘着性のものの取り外し・取り付けを繰り返し行うと粘着力が低下することは常識であって、取り付け・取り外しを前提としたものとは考えられないから、甲1には、収容溝カバー70は取り外さないものであることが示唆されているといえる。

そうすると、甲1発明において、導光板10内に埋設された電池40を交換する理由は見いだせないし、まして、自動車スカッフプレートの外部から交換するようなことは、当業者であっても、まったく想起し得ない。

イ 一方、電池を内蔵する機器において、電池を交換可能にすることは周知技術であることから、甲1発明において、電池を交換可能にするという課題を着想し、相違点1に係る本件発明1の構成とすることができるかについて検討すると、仮にそのような課題を着想し得たとして、相違点1に係る本件発明1の構成が容易想到であったということはできない。

すなわち、甲1発明の自動車スカッフプレートは、電池40を導光板10の内部に埋設して、導光板10の底面に電池40を密封する収容溝カバー70を設け、この導光板10をスカッフプレート80の内部に収容している構成(以下「甲1電池収容構成」という。)を有するところ、甲1発明において、相違点1に係る本件発明1の構成とするには、(a)収納溝カバー70を除いた上で、(b)導光板10に代えて、スカッフプレート80に電池40を収容する収容孔を設けるとともに、当該電池収容孔を底面側から開口するものとし、(d)該収容孔を覆うカバーを設けて、該カバーを取り外すことで電池40を交換可能とし、合わせて(e)スカッフプレート80に収容することになった電池と、導光板10内に埋設されているランプ板50等との電気接続を行う、という変更が必要になるが、そのような変更を行うことは、甲1には記載も示唆もない。また、甲1発明の甲1電池収容構成と機能的に等価で置換可能であり、かつ、相違点1に係る本件発明1の構成を含む構成は、以下に示すとおり、いずれの証拠にも示されていない。

(ア)甲2には、電池交換に関する構成として、表板1の背面に電池座31を固置し、電池座31をカバーする電池カバー32を設けることが記載されている。しかしながら、スカッフプレート80に相当する、上面に導光板10を収容する凹部を有する部材が設けられるものではなく、当然、スカッフプレート80の底面から開口する電池40を収容する収容孔を設けることについては記載も示唆もない。

(イ)甲3には、第1蓋体2に貫通孔21を設けることが記載されている。しかしながら、当該貫通孔21が電池交換のための構成であるとは記載も示唆もされていない。むしろ、甲3の図3から、水銀電池7の第2蓋体6に隣接する部分の大きさは、回路基板3の収容孔31(図3には符号なし)よりも大きく、また、貫通孔21と認められる開口部(図3には符号なし)よりも大きいものであることが看取でき、そうすると、水銀電池7は貫通孔21を通過することができないから、貫通孔21が電池交換のためのものであるということはできない。

(ウ)甲5には、電池8が底板1に設けられた第一放置溝6に設けられ、底板1に接続されるパネル2に凹み溝21が設けられ、凹み溝21に第一放置溝6にマッチングする通孔22が設けられ、凹み溝21に電池蓋板10が設けられることが記載されている。しかしながら、甲5の電池蓋板10は表面側のパネル2に設けられるものであって、仮に、甲1発明に適用したとすると、遮光蓋板90に通孔22及び電池蓋板10を設けることになるのであって、底板1に設けることにはならない。また、甲5は、底板1に電池8を設ける(収容する)第一放置溝6を設けるものではあるが、当該第一放置溝6は溝であって、底板1の底面に貫通するものでも底面側からこれを覆うカバーを設けるものではないことは明らかである。

(エ)甲8は、スカッフプレートに関する技術ではないが、バッテリーを収納する電子機器において、本体100の表示部とは反対側にバッテリーカバー200を設けることが記載されている。そして、甲8のように、携帯電話や、時計、リモコンのように表示部を有する電池を電源とする電子機器において、電池を取り換える際に、表示部を有する電子機器の表側とは反対の裏側に、取り外し可能な方式で電池の収容孔を覆うカバーを設けることは、様々な製品で広く行われている技術常識であるといえる。しかしながら、当該技術常識は、電子機器の裏側から電池を交換することを抽象的に示すに過ぎず、甲1発明の自動車スカッフプレートは、上記甲1電池収容構成を有するところ、このような電子機器の内部に独立したモジュールが設けられた構成において、電子機器の裏側からモジュールの内部の電池を交換する具体的構造までが技術常識であったということはできない。

(オ)そのほか、甲4には、電源43を収容空間23に収容することが記載されるが、当該電池の交換については言及がなく、甲6に記載されるバッテリボックス30はスカッフプレートの内部に設けられるものではない。また、甲7、9~14、17~19はスカッフプレートの電池交換について記載も示唆もない。

ウ 以上のとおりであるから、相違点1について、当業者が容易に想到できたものとはいえない。

そうすると、相違点2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び周知技術、慣用技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

エ 請求人は、「甲第1号証の明細書に記載がないからといって、それのみで、「電池40のための収容溝14の部分のみを、導光板10に代えて下側(底側)のスカッフプレート80の上表面にある凹部に形成する」動機づけがないことにはならない。そして、請求人陳述要領書(1)(当審注;令和4年7月19日付け口頭審理陳述要領書)で述べたとおり、甲1発明において、電池40を容易に交換するために、スカッフプレート80の下表面に、電池40が収容された収容溝14を覆うように、取り外し可能な方式で電池40用のカバーを形成する場合には、当然に、電池40のための収容溝14の部分のみを、導光板10に代えて下側(底側)のスカッフプレート80の上表面にある凹部に形成することを採用するはずであるから、「電池40のための収容溝14の部分のみを、導光板10に代えて下側(底側)のスカッフプレート80の上表面にある凹部に形成する」動機づけは十分に存在する。

[図:0001408228000053.jpg]

また、その際、スカッフプレート80の凹部にある収容溝14に収容された電池40と、導光板10内に埋設されているランプ板50との電気的接続は、収容溝14を形成する壁に切り込み溝や孔を設けること等で必要により適宜行えることは技術常識であるから、阻害要因となるものではない。」(令和4年8月26日付け上申書第4ページ第12~第5ページ第4行)と主張する。

しかしながら、甲1発明において、仮に電池を容易に交換するという課題を着想し得たとしても、電池交換の構成としては、例えば、上記甲2、甲5で示されるように種々の手法が考えらえるところ、スカッフプレート80の下表面から電池を交換しなければならないことにはならない。甲8のような、表示部を有する電子機器の表側とは反対の裏側に、取り外し可能な方式で電池の収容孔を覆うカバーを設けることは技術常識であるとしても、当該技術常識は、上記イ(エ)で説示したように、甲1電池収容構成を置換可能な電池収容構成までを教示するものではない。

よって、請求人の主張は採用できない。

(3)本件発明2~15について

本件発明2~15は、本件発明1の構成を全て含み、さらに構成を付加したものであるから、本件発明1と同様に、甲1発明及び周知技術、慣用技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(4)小括

よって、本件発明1~15は、甲1発明及び周知技術、慣用技術に基いて、当業者が容易に発明をすることできたものとはいえない。

3 無効理由2(甲2発明に基づく進歩性の欠如)

(1)本件発明1と甲2発明との対比

本件発明1と甲2発明とを対比する。

ア 後者の「バックライトモジュール2」は前者の「バックライトモジュール」に相当し、以下同様に「電池座31」は「電源収容孔」に、「電池モジュール3」は「電源モジュール」に、「制御器4」は「制御モジュール」に、「固定装置5」は「定位部」にそれぞれ相当する。

イ 後者の、「バックライトモジュール2、電池座31を備える電池モジュール3、制御器4、固定装置5が背面に設けられ」る態様は、前者の「上表面と下表面を有し、前記上表面は、少なくとも一つの凹槽を有し、且つ、前記凹槽の少なくとも一側は、電源収容孔を有し、及び、定位部が、少なくとも一側上に定義される底板と、前記凹槽に収容され、かつ、少なくとも一つの回路板を有するバックライトモジュール」と、「電源収容孔を有し、定位部が定義され、少なくとも一つの回路板を有するバックライトモジュール」を含む点で共通する。

ウ 後者の「電池33を備え、電源ケーブルを用いて、制御器4を電池モジュール3の電池座31とバックライトモジュール2の光源22を接続する電源モジュール3」は、前者の「少なくとも一つのバッテリーと少なくとも一つの導電ストリップを有し、前記バッテリーが、前記電源収容孔に設置され、前記導電ストリップが、前記バッテリーと前記回路板を電気的に接続する電源モジュール」に相当する。

エ 後者の「常閉接点スイッチ41を有する回路が設置され、ドアの下方に設けられた磁石6を介して制御器4の外部から常閉接点スイッチ41を吸引することで、電気を遮断し、光源22が発光しなくなり、磁石6が常閉接点スイッチに作用を与えないとき、該常閉接点スイッチはオンになり電流が流れ、光源22が発光するように制御する制御器4」は、前者の「前記回路板上に設置されると共に、感応信号を感知する近接センサーモジュールと、前記回路板上に設置されると共に、前記バックライトモジュール及び前記近接センサーモジュールと電気的に接続し、前記感応信号に従って前記バックライトモジュールをそのオンとオフ状態の時間間隔を調整可能に開閉する制御モジュール」とは、「前記回路板上に設置されると共に、感応信号を感知する近接センサーモジュールと、前記回路板上に設置されると共に、前記バックライトモジュール及び前記近接センサーモジュールと電気的に接続し、前記感応信号に従って前記バックライトモジュールを開閉する制御モジュール」の点で共通する。

オ 後者の「電池33を交換できる、電池座31をカバーする電池カバー32」について、電池の交換のために電池カバーを取り外し可能とすることは当然である。そうすると、後者の「電池33を交換できる、電池座31をカバーする電池カバー32」と、前者の「取り外し可能な方式で、前記底板の前記下表面から、前記電源収容孔を覆う少なくとも一つの底カバー」とは、「取り外し可能な方式で、前記電源収容孔を覆う少なくとも一つの底カバー」の点で共通する。

カ 後者の「バックライトモジュール2と電池モジュール3を背面に設け、光透過可能部11が設けられ、バックライトモジュール2は光透過可能部11の位置に対応する、表板1と」と、前者の「前記底板の前記上表面に設置されると共に、少なくとも前記バックライトモジュールと前記電源モジュールを被覆し、前記バックライトモジュール上に、少なくとも一つの光透過領域を有する上カバー」とは、「少なくとも前記バックライトモジュールと前記電源モジュールを被覆し、前記バックライトモジュール上に、少なくとも一つの光透過領域を有する上カバー」の点で共通する。

キ 後者の「無線車両発光ペダル」は前者の「ワイヤレススカッフプレート」に相当する。

以上を踏まえると、両者の一致点は次のとおりである。

「ワイヤレススカッフプレートであって、
電源収容孔を有し、定位部が定義され、
少なくとも一つの回路板を有するバックライトモジュールと、
少なくとも一つのバッテリーと少なくとも一つの導電ストリップを有し、前記バッテリーが、前記電源収容孔に設置され、前記導電ストリップが、前記バッテリーと前記回路板を電気的に接続する電源モジュールと、
前記回路板上に設置されると共に、感応信号を感知する近接センサーモジュールと、
前記回路板上に設置されると共に、前記バックライトモジュール及び前記近接センサーモジュールと電気的に接続し、前記感応信号に従って前記バックライトモジュールを開閉する制御モジュールと、
取り外し可能な方式で、前記電源収容孔を覆う少なくとも一つの底カバーと、
少なくとも前記バックライトモジュールと前記電源モジュールを被覆し、前記バックライトモジュール上に、少なくとも一つの光透過領域を有する上カバーと
を含むワイヤレススカッフプレート」

そして、両者の相違点の抽出を、その技術的なまとまりを考慮して行うと、次のとおりである。

(相違点3)

本件発明1は、底板を含むものであり、これに関連して、「底板」が「上表面と下表面を有し、前記上表面は、少なくとも一つの凹槽を有し、且つ、前記凹槽の少なくとも一側は、電源収容孔を有し、及び、定位部が、少なくとも一側上に定義され」ており、「バックライトモジュール」は「前記凹槽に収容され」ており、「底カバー」は「底板の下表面から電源収容孔を覆」い、「上カバー」は「底板の上表面に設置される」のに対し、甲2発明では、底板を含むものではなく、電池座31、固定部5及びバックライトモジュール2は、表板1の背面に設けられ、電池カバー32は、底板の下表面から電源収容孔を覆うものではなく、表板1は、底板の上表面に設置されるものではない点。

(相違点4)

制御モジュールについて、本件発明1は、「そのオンとオフ状態の時間間隔を調整可能」に開閉するのに対し、甲2発明では、「オンとオフ状態の時間間隔を調整可能」であることが特定されていない点。

(2)判断

相違点3について検討する。

ア 甲2発明は、表板1の背面にバックライトモジュール2及び電池座31を設け、電池座31を電池カバー32で覆うものであって、底板を含むものではない。そして、甲2発明において、相違点3に係る本件発明1の構成とするには、電池カバー32を排除した上で、少なくとも一つの凹槽を有し、凹槽の少なくとも一側に電源収容孔を有する底板を設けつつ、底板の下表面から電源収容孔を覆うカバーを設けることが必要であるが、そのようなことを記載や示唆をする証拠はない。

すなわち、

(ア)甲3には、第1蓋体2に回路基板3及び水銀電池7を収容する凹部を設けることが記載され、甲5には、底板1に電池8を収容する第一放置溝6と、LED発光管3及び発光板5を収容する凸リンク11とを形成することが記載され、両者とも底板にバックライトモジュール及び電池を設けるものといえる。しかしながら、甲3の貫通孔21は電池交換のためのものではないし(上記3(2)イ(イ)参照)、甲5の電池蓋板10は表面側のパネル2に設けられるものであるから(上記3(2)イ(ウ)参照)、甲3、甲5は、甲2発明の電池カバー32を排除し、底板の下表面から電源収容孔を覆うカバーを設けることを教示するものではない。また、甲2発明に、甲3、甲5のような電池カバーを有しない底板を設けるとすると、電池カバー32をさらに底板で覆うことになり、電池交換の手間が増えるから、甲3、甲5のような底板を設ける技術が周知技術であるとしても、これを甲2発明に適用する積極的な動機づけは見いだせない。

(イ)また、甲8のように、携帯電話や、時計、リモコンのように表示部を有する電池を電源とする電子機器において、電池を取り換える際に、表示部を有する電子機器の表側とは反対の裏側に、取り外し可能な方式で電池の収容孔を覆うカバーを設けることは、様々な製品で広く行われている技術常識である(上記3(2)イ参照)としても、甲2発明は、表板1の背面に電池座31及びこれを覆う電池カバー32を備えるものであるから、既に電子機器の裏側に取り外し可能な方式で電池の収容孔を覆うカバーを設けるものといえ、甲2発明において、さらに、当該技術常識を採用する動機づけは見いだせない。

そうすると、たとえ甲8のように、電子機器における表示部の裏側に電池カバーを設けることが技術常識であるとしても、これを採用して、相違点3に係る本件発明1の構成とするには、甲2発明において、まずは、甲3、甲5で示されるような底板を備える構成に変更した上で、さらに、電池の交換を、例えば、甲5のように表面から行うのではなく、底板の裏面から行うという新たな課題を認識して、上記技術常識を採用することが必要である。しかしながら、上記(ア)で説示したように甲3、甲5で示されるような底板を設ける構成を適用することの積極的な動機づけがない上、仮に底板を設ける構成とすることができたとしても、甲2の段落[0005]の「本実用新案が解決しようとする課題は、現在、発光ペダルが取り付けられていない自動車について、発光ペダルを追加する必要がある時に、取付の作業工程が非常に煩雑で、不便で、且つ費用が高いことである。」との記載、段落[0007]の「本実用新案の有益な効果は、直接に電池モジュールを発光ペダル構造の一部とし、電池を利用して、発光ペダルのバックライトモジュールに必要の電力を独立に供給し、電池の電量がなくなった時、独立に交換することができるため、発光ペダルを取り付ける時に別途電源ケーブルを接続する必要がなく、取付プロセスを簡略化することができ、取付の便利さを向上でき、取付費用を低減できる。」との記載等、甲2からは、電池の交換を、特に底板の裏面から行う必然性も示唆も見いだせない。したがって、甲2発明において、電池カバー32を排除した上で、少なくとも一つの凹槽を有し、凹槽の少なくとも一側に電源収容孔を有する底板を設けつつ、底板の下表面から電源収容孔を覆うカバーを設けることは、当業者であっても容易に想到し得たということはできない。

(ウ)そのほか、甲1は導光板10内に電池40を埋設するものであって、スカッフプレート80に電池カバーを設けるものではなく、甲4には、電源43を収容空間23に収容することが記載されるが、収容空間23は底板に設けられるものではなく、甲6に記載されるバッテリボックス30はスカッフプレートの内部に設けられるものではない。また、甲7、9~14、17~19はスカッフプレートの電池交換について記載も示唆もない。

イ 以上のとおりであるから、相違点3について、当業者が容易に想到できたものとはいえない。

そうすると、相違点4について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2発明及び周知技術、慣用技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

ウ 請求人は、「発光ペダル(スカッフプレート)において、発光ペダルの底側に電池やバックライトモジュールを収容する凹部を有する底板を設けることは、例えば、甲第3号証の第1蓋体2及び甲第5号証における底板1のように、従来周知の技術である。そうすると、甲2発明において、底板を設けずに、バックライトモジュール2、電池モジュール3、制御器4、及び固定装置5を別々に形成し、表板1に個別に接着する構成を採用したことに格別の理由がある訳ではないから、甲2発明に上記周知技術を適用し、電池やバックライトモジュールを収容する凹部を有する底板を設けることには、格別の困難性は存在しない。」(審判請求書第52ぺージ第27行~第53ページ第3行)、「また、底板を設けるのであれば、「電池カバー32」が底板の下表面から電池座31を覆うようにすること、及び、「表板1」が底板の上表面に設置されるようにすることも、当然に採用することができる事項である。」(審判請求書第53ページ第7~9行)と主張する。

しかしながら、甲2発明において、バックライトモジュール2、電池モジュール3、制御器4、及び固定装置5を別々に形成し、表板1に個別に接着する構成を採用したことに格別の理由がないからといって、また、発光ペダル(スカッフプレート)において、発光ペダルの底側に電池やバックライトモジュールを収容する凹部を有する底板を設けることが周知技術であるからといって、甲2発明において、当該周知技術を直ちに採用することにはならないのは、上記ア(ア)及び(イ)で説示したとおりである。

また、請求人は「電池交換を便利に行うという甲2発明の課題からみて、バックライトモジュール2、電池モジュール3、制御器4、固定装置の第一固定座51は、単に表板1の背面に存在すればよいものであり、接着方式で固設すること(下記左図参照)は一実施形態にすぎない。そして、バックライトモジュール2、電池モジュール3、制御器4、固定装置の第一固定座51をまとめて一つの「底板」として製造し、一回の接着方式で表板1の背面に固設した方(下記右図参照)が、部品数の削減、製造工程数の削減となるから、個別に固設することに代えて、「底板」を採用することには動機づけが存在する。」(令和4年8月26日付け上申書第9ページ第11~19行)と主張する。

[図:0001408228000054.jpg]

しかしながら、電池交換を便利に行うという課題に対してその解決手段は種々存在するところ、甲2発明の表板1の背面に電池座31を設け、電池座31を覆う電池カバー32を設けた構成を、「単に表板1の背面に存在すればよい」と上位概念化することは恣意的であって根拠が見いだせない。このことは措くとしても、甲2発明は、表板1、電池モジュール3、バックライトモジュール4という3つの部品であり、表板1に電池モジュール3を固設し、バックライトモジュール4を固設するという2つの製造工数であるところ、底板を設けることとすると、表板1、電池モジュール3、バックライトモジュール4、底板という4つの部品であり、電池モジュール3を底板に固設し、バックライトモジュール4を底板に固設し、底板を表板に固設するという3つの製造工数になり、必ずしも部品数の削減、製造工程数の削減にはならない。そうすると、「部品数の削減、製造工程数の削減となるから、個別に固設することに代えて、「底板」を採用することには動機づけが存在する」という請求人の主張は採用できない。

(3)本件発明2~15について

本件発明2~15は、本件発明1の構成を全て含み、さらに構成を付加したものであるから、本件発明1と同様に、甲2発明及び周知技術、慣用技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(4)小括

よって、本件発明1~15は、甲2発明及び周知技術、慣用技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

4 無効理由3

特許法第36条第6項第2号は、特許請求の範囲の記載に関し、特許を受けようとする発明が明確でなければならない旨規定するが、同号がこのように規定した趣旨は、特許請求の範囲に記載された発明が明確でない場合には、特許が付与された発明の技術的範囲が不明確となり、権利者がどの範囲において独占権を有するのかについて予測可能性を奪うなど第三者の利益が不当に害されることがあり得るので、そのような不都合な結果を防止することにある。そして、特許を受けようとする発明が明確であるか否かは、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願当時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきであるところ、この観点から検討する。

(1)本件発明1~13の「前記感応信号に従って前記バックライトモジュールをそのオンとオフ状態の時間間隔を調整可能に開閉する制御モジュール」との記載は不明であるとの点について

ア 上記記載は、制御モジュールが、感応信号に従って、バックライトモジュールのオンとオフ状態の時間間隔を調整可能に開閉するものとして、明確に理解できるから、発明は明確である。

イ 請求人は、「制御モジュールが、どのようにしてバックライトモジュールのオンとオフ状態の時間間隔を調整可能にしているのかは不明である。すなわち、バックライトモジュールがオン状態である状況において、人がドアを閉める行為を行ったときの感応信号により、バックライトモジュールがオフ状態となる場合は、人がバックライトモジュールのオンとオフ状態の時間間隔を調整しているのであって、制御モジュールがバックライトモジュールのオンとオフ状態の時間間隔を調整しているのではない。したがって、人の行為以外に、制御モジュールが、どのようにしてバックライトモジュールのオンとオフ状態の時間間隔を調整可能にしているのかは不明であり、「そのオンとオフ状態の時間間隔を調整可能に」という構成を特許請求の範囲に自ら補正して入れておきながら、その構成を含まないもの(人によるドアの開閉だけで時間が調整されるもの)に対しても権利が及ぶということになるから、特許請求の範囲の記載が不明瞭となり、明瞭性違反である。」(審判請求書第60ページ第25行~第61ページ第8行)と主張する。

請求人のこの主張は、人がドアを閉める行為を行うのであるから、バックライトモジュールのオンとオフ状態の時間間隔を調整するのは人であって制御モジュールではないことを論拠としている。しかしながら、人がドアを閉める行為を行うとしても、当該ドアを閉める行為を検出するために感応信号が用いられ、当該感応信号に従って、制御モジュールが、バックライトモジュールのオンとオフ状態の時間間隔を調整するのであり、ドアの開閉という人の行為が起因となるものとしても、感応信号に従ってバックライトモジュールのオンとオフ状態の時間間隔を調整するのは制御モジュールであるから、請求人の主張は採用できない。

ウ さらに、請求人は、早期審査に関する事情説明書における「制御モジュールの「感応信号に従って前記バックライトモジュールをそのオンとオフ状態の時間間隔を調整可能に開閉する」という機能は、先行技術1から全く予想できない」との主張をもとに(令和4年7月19日付け口頭審理陳述要領書第26ページ第13行~第27ページ第18行)、さらには平成15年(ワ)第3179号判決(甲20)の判示から、早期審査に関する事情説明書における主張も信義誠実の原則又は禁反言の法理に照らして許されないことを根拠に(令和4年8月26日付け上申書第12ページ第11行~第13ページ第4行)、本件特許1の明確性要件違反を主張する。しかしながら、早期審査の事情説明書における主張は、先行技術1との相違点に関するものであって、明確性要件に関わりのないことであるし、平成15年(ワ)第3179号判決は、侵害訴訟に関するものであって明確性要件に関するものではないから、請求人の主張は、その前提において失当であって、採用できない。

(2)本件発明9~13の「デジタル印刷プレート」、本件発明10~13の「レーザー光学プラスチック板」、本件発明13の「メンブレン回路板」との記載は不明であるとの点について

ア 本件特許の優先日前に日本国内又は外国で頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて利用可能となった乙2~4には、次の記載がある。

乙2の表紙に「デジタル印刷の技術と将来展望に関する調査研究報告書」と、乙3の段落【0004】に「一方で近年印刷分野では、版を用いないデジタル(オンデマンド)印刷機が、小ロット時に低コスト、短いリードタイムの観点から、各種方式(電子写真・インクジェット)によるデジタル印刷機のシェアが増加している。」と、乙4の段落【0001】、【0010】に「特にデジタル印刷されたベースコートをその上に有するプラスチック容器に関するものである。」、「デジタル印刷された所望のベースコートまたはアンダーコートが施される。これは、オンデマンド型のインクジェットのヘッドからの直接滴下、あるいはオンデマンド型のインクジェット・パッドの間接的な滴下によりなされる。」と記載されている。

これらの記載に鑑みれば、「デジタル印刷」とは、本件特許の優先日当時において、インクジェット方式を含む無版方式の印刷技術として既に当業者に一般的に知られていることが理解できるとともに、「デジタル印刷プレート」は、その技術を用いて印刷されたプレートであると理解することができ、「デジタル印刷プレート」との記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるということはできない。

イ 本件特許の優先日前に日本国内又は外国で頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて利用可能となった乙5~7には、次の記載がある。

乙5の段落【0012】に「前記貫通口2は、氏の山本という漢字を切り抜いたものであるが、その他にも、種々の文字、図形、模型などの外輪郭形状に合わせて嵌め板3を切り抜いて貫通口2を形成できる。・・・貫通口2を形成する場合には、レーザビームを用いて加工を行うと、正確に且つ仕上りがきれいに行うことができる。」と、乙6の段落【0048】、【0049】に、「次に、その外周面を活性化処理したキートップベース成形材の上に形成したプライマー層をレーザマーカを利用して印字加工する。」、「このレーザマーカ印字作業によりプライマー層が除去された部分は、キートップベース成形材の樹脂表面が露出した状態となる。」と、乙7の段落【0003】には「従来より用いられる光透過性文字板は、所定の文字色を有する文字色層の上(または、基材となる樹脂層が所定の文字色を有する場合には、その樹脂層の上)に、遮蔽用の黒塗装層および外観色を有する外観色層の2層が積層され、これら黒塗装層および外観色層がレーザ加工によって所定の文字部分だけ除去された構造である。」と記載されている。

これらの記載を鑑みれば、レーザー光学技術を用いて文字や模様を表示させる加工技術は、本件特許の優先日当時において、既に当業者に一般的に知られている技術常識と認められる。そして、本件明細書の段落【0017】に「レーザー光学プラスチック板82は、カスタマイズされて、所望の字形、キャラクター、文字、フレーズ又はパターンを有する。レーザー光学プラスチック板82は、さらに、所望の色の字形、キャラクター、語句、フレーズ又はパターンを有することもできる。」と記載されており、上記技術常識に基づけば、「レーザー光学プラスチック板」は、レーザー光学技術を用いて所望の字形などを施すことができるプラスチック板であると理解することができ、「レーザー光学プラスチック板」との記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえない。

ウ 本件特許の優先日前に日本国内又は外国で頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて利用可能となった乙8~10には、次の記載がある。

乙8の段落【0002】に「メンブレン回路基板は、優れた変形自由度を有しており、キーボード等のメンブレンスイッチ、折りたたみ可能な携帯電話、ノート型パソコン等の種々の電子機器に利用されている。」と、乙9の段落【0002】に「ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム等のプラスチックフィルムからなる可撓性基材を備えたメンブレン回路基板は、優れた変形自由度を有しており、キーボード等のメンブレンスイッチ、折りたたみ可能な携帯電話、ノート型パソコン等の種々の電子機器に利用されている。」と、乙10の段落【0002】に「従来、このようなメンブレン基板は、例えば図2に示すように構成されている。即ち、図2において、メンブレン基板1は、PETから成る基材2と、該基材2の表面に形成された配線層3と、該配線層3の上から該基材2上に形成されたレジスト層4と、該レジスト層4の切欠穴4a内に露出した部品実装部の配線層3に実装されたチップ部品5と、該チップ部品5の端子部と配線層3との接続部の領域に塗布された導電性接着剤6を覆うように塗布された封止剤7と、から構成されている。」と記載されている。

これらの記載を鑑みれば、「メンブレン回路板」は、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどの可撓性基材を有するものであって、変形自由度を高めた回路板であると理解でき、「メンブレン回路板」との記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえない。

(3)小括

よって、本件発明1~13は、明確である。

5 無効理由4

特許法第36条第4項第1号は、発明の詳細な説明の記載は、発明が解決しようとする課題及びその解決手段その他のその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が発明の技術上の意義を理解するために必要な事項をその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものでなければならないことを規定するものであり、同号の要件を充足するためには、明細書の発明の詳細な説明に、当業者が、明細書の発明の詳細な説明の記載及び出願当時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その発明を実施することができる程度に発明の構成等の記載があることを要すると解するのが相当であるので、これに従って判断する。

(1)本件特許の請求項1~13に係る発明について、本件明細書の発明の詳細な説明の記載は、「オンとオフ状態の時間間隔を調整可能」に関して、当業者が発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないとの点について

ア 「前記感応信号に従って前記バックライトモジュールをそのオンとオフ状態の時間間隔を調整可能に開閉する制御モジュール」に関して、本件明細書には以下の記載がある。

「【0014】・・・制御モジュール6は、近接センサーモジュール5により感知される感応信号に従ってバックライトモジュール3を開閉する。一実施態様において、バックライトモジュール3は、常にオンでも常にオフ状態でもない。制御モジュール6は、感応信号に従ってオンとオフ状態の時間間隔を知的に調整することができる。・・・」

「【0019】・・・本発明の特徴は、近接センサー又は非接触タッチセンサーにより、従来のセンサー代替をすることである。磁石が用いられるかどうかにかかわらず、近接センサー、又は、非接触タッチセンサーを用いて、乗り物又は家のドアが開いているかどうかを感知すると共に、制御モジュールが、光線を開閉する、又は発光持続時間を制御することができる。」

イ 上記アによれば、本件明細書には、バックライトモジュールは常にオンでも常にオフ状態でもなく、制御モジュール6が感応信号に従ってバックライトモジュール3を開閉すること、また、制御モジュールが発光持続時間を制御することができることが記載されている。そして、出願当時の技術常識によれば、感応信号に従いバックライトモジュールの開閉を行うこと、制御モジュールにより発光持続時間の制御を行うことは特段の説明を要する必要があるともいえないから、制御モジュールは感応信号に従ってバックライトモジュールのオンとオフ状態の時間間隔を調整可能に開閉することが実施可能な程度に記載されているといえる。

(2)小括

よって、本件発明1~13について、発明の詳細な説明は、当業者が発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものである。

6 無効理由5

特許請求の範囲の記載が、明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断するのが相当であると解されるので、これに合致するか否か検討する。

(1)本件特許1~13の「前記感応信号に従って前記バックライトモジュールをそのオンとオフ状態の時間間隔を調整可能に開閉する制御モジュール」との構成は、発明の詳細な説明において、発明の課題が解決できることを認識できるように記載された範囲を超えているとの点について

ア 本件明細書には、発明が解決しようとする課題として次の記載がある。

「【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、薄型、防水、節電、インストールしやすい、及び、バッテリー交換が便利であるワイヤレススカッフプレートを提供することを目的とする。」

そして、本件発明1は、電源収容孔及び底カバー等の構成を有することで、「バッテリー交換が便利である」ということができるから、この点で、解決しようとする課題を解決していると認識できる。

また、本件発明1は、「前記感応信号に従って前記バックライトモジュールをそのオンとオフ状態の時間間隔を調整可能に開閉する制御モジュール」の構成を有している。本件明細書の段落【0014】には「制御モジュール6は、近接センサーモジュール5により感知される感応信号に従ってバックライトモジュール3を開閉する。一実施態様において、バックライトモジュール3は、常にオンでも常にオフ状態でもない。制御モジュール6は、感応信号に従ってオンとオフ状態の時間間隔を知的に調整することができる。」との記載があり、本件発明1は、「前記感応信号に従って前記バックライトモジュールをそのオンとオフ状態の時間間隔を調整可能に開閉する」ことにより、バックライトモジュール3は、常にオンである構成と比較して、発光を抑制することができ、「節電」を実現していると認識できる。

したがって、本件特許発明1~13は、発明の課題を解決できるものであって、サポート要件を満たしているといえる。

イ 請求人は、審判請求書において、本件特許の審査手続きで提出された早期審査に関する事情説明書(甲16)の記載を根拠として、「本件発明1の「前記感応信号に従って前記バックライトモジュールをそのオンとオフ状態の時間間隔を調整可能に開閉する」という機能は、先行技術1から予測できないと被請求人が主張する本件発明1ないし本件発明13の本質的部分である。」とした上で、「しかしながら、本件発明1ないし本件発明13の「前記感応信号に従って前記バックライトモジュールをそのオンとオフ状態の時間間隔を調整可能に開閉する」が、単に人の行為によりドアの開閉状態を検知してバックライトモジュールをオンオフすることを意味するのであれば、その部分に関しては、既に甲第2号証ないし甲第6号証に記載されている従来周知の技術にすぎない。そうすると、この本件発明における本質的部分が従来技術に開示された事項と同じであるならば、本件発明1ないし本件発明13は、従来技術と比較して本質的部分を有さず、何ら技術的に新しい価値をもたらすものではないことになり、その結果、少なくとも節電可能なワイヤレススカッフプレートを提供するという課題を解決できないことになるから、本件発明1ないし本件発明13の課題を達成できない従来技術にまで一般化ないし拡張できるものではない。」(審判請求書第64ページ第3~17行)と主張する。

しかしながら、発見された従来技術との比較において本質的部分を有するか否かは、進歩性の判断にかかわるものであって、サポート要件の判断に影響を与えるものではないから、請求人の主張は採用できない。

(2)本件特許12及び13の「前記底板本体の下表面と前記凹槽の下表面間に高低差がある」は、高低差がどちらの下表面が他の下表面よりも高いのかが特定されていないため、発明の課題が解決できることを認識できるように記載された範囲を超えているとの点について

本件訂正による訂正後の本件特許発明12は、「前記凹槽の下表面は、前記底板本体の下表面よりも下方に突出しており」との構成を備えている。これにより、「前記凹槽の下表面」が「前記底板本体の下表面」よりも下方に突出していることが特定されている。したがって、「高低差」に係るサポート要件違反は解消されている。

(3)小括

よって、本件特許1~13は、発明の詳細な説明に記載されたものである。

第7 むすび

以上のとおりであるから、請求人の主張する無効理由及び証拠方法によっては、本件特許の請求項1~13に係る特許を無効とすることはできない。

審判に関する費用については、特許法第169条第2項において準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人の負担とする。

よって、結論のとおり審決する。

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2021-800098

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