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特許無効審判

2024-800068

二環式化合物組成物およびその安定化方法

審判番号
2024-800068
法域
特許
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
特願2018-700478
登録番号
4332316
請求日
2024年05月21日
審決日
2026年05月18日
公報発行日
2026年07月31日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】沢井製薬 株式会社
  • 【請求人代理人】小山 秀
  • 【請求人代理人】中田 健一
  • 【請求人代理人】小松 栄二郎
  • 【請求人代理人】川端 さとみ
  • 【請求人代理人】藤野 睦子
  • 【請求人代理人】大住 洋
  • 【請求人代理人】原 悠介
  • 【請求人代理人】千葉 あすか
  • 【参加人】ヴィアトリス製薬合同会社
  • 【参加人代理人】山内 真之
  • 【参加人代理人】石井 昭仁
  • 【参加人代理人】谷川原 淑恵
  • 【参加人代理人】篠崎 慎一郎
  • 【参加人代理人】出野 智之
  • 【参加人代理人】坪倉 道明
  • 【参加人代理人】安藤 健司
  • 【参加人代理人】城山 康文
  • 【参加人代理人】大渕 哲也
  • 【参加人代理人】佐々木 公樹
  • 【参加人代理人】横山 勲
  • 【被請求人】スキャンポ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
  • 【被請求人代理人】田村 啓
  • 【被請求人代理人】松谷 道子
  • 【被請求人代理人】落合 康
  • 【被請求人代理人】田村 聖子
  • 【被請求人代理人】玄番 佐奈恵
  • 【被請求人代理人】坂田 啓司
  • 【被請求人代理人】林 康次郎
  • 【被請求人代理人】白江 雄介
  • 【被請求人代理人】高山 和也
審判長/審判官
  • 審判長 亀ヶ谷 明久
  • 審判官 吉田 佳代子
  • 審判官 齋藤 恵
分類
P115 .16 -Y (C07D)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第67条第2項、特許法第125条の2第1項第3号、特許法第169条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の特許第4332316号「二環式化合物組成物およびその安定化方法」の存続期間延長登録特願2018-700478無効審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第4332316号「二環式化合物組成物およびその安定化方法」は、平成12(2000)年10月13日を国際出願日とする特願2001-530318号として出願され、平成21年6月26日にその特許権(以下「本件特許権」という。)の設定登録がなされた。その後、平成30年12月20日に、本件特許権について存続期間の延長登録の出願(特許権存続期間延長登録出願2018-700478号)がなされ、令和元年10月16日に本件特許権の存続期間の延長登録がなされた(以下「本件延長登録」という。)。これに対して、請求人は令和6年5月21日に延長登録無効審判を請求した。 その後の主な手続の経緯は、以下のとおりである。 令和6年11月15日 審判事件答弁書及び営業秘密に関する申出書 の提出(被請求人) 同年11月29日 参加申請書の提出(参加人) 令和7年 2月10日付け 参加許否の決定 同年 3月17日 上申書の提出(参加人) 同年12月23日付け 審理事項通知 令和8年 2月 9日 口頭審理陳述要領書の提出 (請求人及び被請求人) 上申書の提出(参加人) 営業秘密に関する申出書及び 手続補正書の提出(被請求人) 同年 2月24日 営業秘密に関する申出書の提出(被請求人) 同年 3月 2日 口頭審理 同年 3月19日 上申書の提出(請求人及び被請求人) 手続補正書及び営業秘密に関する申出書 の提出(被請求人) 丙第10号証の提出(参加人) 同年 3月23日付け 審理終結通知 同年 4月 2日 営業秘密に関する申出書の提出(被請求人) 第2 本件特許権に係る発明及び本件延長登録 1 本件特許権に係る発明 本件特許権に係る発明は、本件特許の願書に添付した明細書の特許請求の範囲に記載されたとおりのものであり、そのうち請求項23及び29に係る発明(以下まとめて「本件特許発明」という。)は以下のとおりのものである。 「【請求項23】 下記一般式(I) 【化5】 [図:0001436880000001.jpg] [式中、 Aは、-CH2OH、-COOHまたはそれらの塩、エーテル、エステルまたはアミド; X1およびX2は、ハロゲン; V1およびV2は、炭素; W1およびW2は、 【化6】 [図:0001436880000002.jpg] (R4及びR5は、水素またはヒドロキシ。ただし、R4およびR5が同時にヒドロキシとなることはない。); Zは、炭素、酸素、イオウまたは窒素; R1は、二価の飽和または不飽和、低~中級脂肪族炭化水素残基; R2は、非置換またはハロゲン、オキソ、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルカノイルオキシ、低級シクロアルキル、低級シクロアルキルオキシ、アリール、アリールオキシ、複素環基または複素環-オキシ基で置換された、飽和または不飽和、低~中級脂肪族炭化水素残基; R3は、水素または低級アルキル] で表される二環式化合物。」、 「【請求項29】 二環式化合物が7-[(1R,3R,6R,7R)-3-(1,1-ジフルオロペンチル)-3-ヒドロキシ-2-オキサビシクロ[4.3.0]ノナン-8-オン-7-イル]ヘプタノイックアシッドである、請求項23記載の化合物。」 2 本件延長登録 本件延長登録に係る延長の期間及び特許法第67条第2項の政令で定める処分の内容は、次のとおりのものである。 (1)延長の期間 5年 (2)特許法第67条第2項の政令で定める処分の内容 ア 特許権の存続期間の延長登録の理由となる処分 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保などに関する法律(昭和35年法律第145号)第14条第1項に規定する医薬品に係る同項の承認 イ 処分を特定する番号 承認番号:23000AMX00816000 ウ 処分の対象となった物 販売名:アミティーザカプセル12μg 一般名:ルビプロストン エ 処分の対象となった物について特定された用途 慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く) なお、有効成分である「ルビプロストン」(後記(甲6-3)を参照。)が本件特許発明の化合物であることについては、当事者間に争いはない。 以下、上記アの処分を「本件処分」といい、当該処分の対象となった「アミティーザカプセル12μg」を「本件医薬品」という。 第3 当事者の主張及び証拠方法 1 請求人の主張及び証拠方法 請求人は、 「特許第4332316号の特許権存続期間延長登録出願2018-700478号に基づく特許権の存続期間の延長登録を無効とする 審判費用は被請求人の負担とする」 との審決を求め、下記(1)の無効理由を主張し、証拠方法として下記(2)の甲第1~33号証(枝番を含む。)(以下「甲1」等と略記する。)を提出した。 (1)無効理由の概要 本件延長登録は、本件特許発明の実施に「その延長登録により延長された期間がその特許発明の実施をすることができなかった期間を超えているとき」に該当し、本件延長登録の全期間に対し、特許法第125条の2第1項第3号規定の無効理由がある。 すなわち、本件処分は、販売名を「アミティーザカプセル24μg」(以下「24μgカプセル」ともいう。)とする医薬品(以下「先行医薬品」という。)に係る製造販売承認(以下「先行処分」という。)に対して、有効成分の含量のみが異なる申請区分「(8)剤形追加に係る医薬品(再審査期間中のもの)」として医薬品製造販売承認の申請がされたものであるところ、当該申請区分で求められる臨床試験は生物学的同等性試験のみであり、24μgカプセルを使用した試験は、本件処分と無関係である。 したがって、本件医薬品について、本件特許発明の実施をすることができなかった期間は、アミティーザカプセル12μg(以下「12μgカプセル」ともいう。)の生物学的同等性試験の開始日である●(省略)●から製造販売承認日の平成30(2018)年9月21日までの期間というべきであって、本件延長登録に係る「5年」の延長期間は上記期間を超えるものであるから、本件延長登録は、特許法第125条の2第1項第3号規定の無効理由がある。 (2)証拠方法 ・甲1:特許第4332316号 特許登録原簿謄本 ・甲2:特許第4332316号公報 ・甲3-1:独立行政法人工業所有権情報・研修館の提供する特許情報プラットフォーム 延長出願(特願2018-700478号)のウェブページの印刷物、R6.4.23出力 ・甲3-2:独立行政法人工業所有権情報・研修館の提供する特許情報プラットフォーム 延長登録(特願2018-700478号)のウェブページの印刷物、R6.4.23出力 ・甲4:「アミティーザ(R)カプセル12μg」「アミティーザ(R)カプセル24μg」の医薬品インタビューフォーム(2022年12月改訂第12版)、R4.12、ヴィアトリス製薬株式会社(原文で「(R)」は、Rの丸囲い文字。以下同様。) ・甲5:拒絶理由通知書(特願2018-700478号)、H31.3.22 ・甲6:「アミティーザ(R)カプセル12μg」「アミティーザ(R)カプセル24μg」の添付文書(2022年12月改訂第2版)、R4.12、ヴィアトリス製薬株式会社 ・甲7:面接記録(特願2018-700478号)、R1.6.19 ・甲8:意見書(特願2018-700478号)、R1.8.9、被請求人 ・甲9:手続補正書(特願2018-700478号)、R1.8.9、被請求人 ・甲10:アミティーザ(R)カプセル24μgの審査報告書、H24.5.15、独立行政法人医薬品医療機器総合機構 ・甲11:医薬品製造販売承認申請書(アミティーザカプセル12μg)及びアミティーザ(R)カプセル12μgに関するコモン・テクニカル・ドキュメント(以下「CTD」という。)「2. 第2部(モジュール2):CTDの概要(サマリー)」、H29.12.15、マイランEPD合同会社 ・甲12:薬食発1121第2号「医薬品の承認申請について」、H26.11.21、厚生労働省医薬食品局長 ・甲13:厚生労働省の提供する臨床研究等提出・公開システム 「jRCT2080223387」のウェブページの印刷物(https://jrct.niph.go.jp/detail/56583/jRCT/3)、R6.4.2 <以上、審判請求書に添付> ・甲14:薬食審査発0531第8号「治験の依頼をしようとする者による薬物に係る治験の計画の届出等に関する取扱いについて」、H25.5.31、厚生労働省医薬食品局審査管理課長 ・甲15:薬生発0831第11号「医療用医薬品の再審査期間について」、R2.8.31、 厚生労働省医薬・生活衛生局長 ・甲16:「再審査申請の手引き-ゲートウェイシステム利用編-」、R6.3、日本製薬工業協会編 ・甲17:知財管理、Vol.67、No.9、p.1323-1333、2017年 ・甲18:最判平11.10.22 平成10年(行ヒ)第43号 ・甲19:独立行政法人医薬品医療機器総合機構の提供する「PMDAの相談業務:対面助言と事前面談」のウェブページの印刷物、https://regulatory-j.com/pmda-consultation/、R7.7.28出力 ・甲20:独立行政法人医薬品医療機器総合機構の提供する「審査関連業務に概要について」のウェブページの印刷物、https://www.pmda.go.jp/review-services/outline/001.html、R7.7.28出力 ・甲21:薬食審査発0229第10号、「後発医薬品の生物学的同等性試験ガイドライン等の一部改正について」別紙1、H24.2.29、厚生労働省医薬食品局審査管理課長 ・甲22:事務連絡「後発医薬品の生物学的同等性試験ガイドラインに関する質疑応答集(Q&A)について」等の改正等について、H24.2.29、厚生労働省医薬食品局審査管理課 ・甲23:「詳説 改善多項制・特許権の存続期間の延長制度」初版 p.202-203、S63.8.25、社団法人発明協会 ・甲24:「最高裁判所判例解説民事篇 平成11年度(下)7月~12月分」、p.634-653頁、H14.10.10、財団法人法曹会 <以上、口頭審理陳述要領書に添付> ・甲25:口頭審理陳述概要、R8.3.2、請求人 ・甲26:医薬品製造販売指針 2012、p.474-483、H24.10.20、株式会社じほう ・甲27:科発0220第1号、「厚生労働省の所管する実施機関における動物実験等の実施に関する基本指針の一部改正について」、H27.2.20、厚生労働省大臣官房厚生科学課長 ・甲28:審決(不服2021-14479号(特願2020-700205号)、R5.10.11 ・甲29:拒絶理由通知書(不服2021-14479号(特願2020-700205号)、R5.5.16 ・甲30:拒絶査定(特願2020-700205号)、R3.6.10 ・甲31:「知っ得!豆知識 安定性試験」と題する日本ジェネリック製薬協会(JGA)ウェブサイト記事、https://www.jga.gr.jp/assets/uploads/2020/JGA-NEWS130-07.pdf、H31.2、日本ジェネリック製薬協会 ・甲32:薬審第四三号、「医薬品の製造(輸入)承認申請に際して添付すべき安定性試験成績の取扱いについて」、H3.2.15、厚生省薬務局審査・新医薬品課長連名 ・甲33:医薬審第666号、「安定性試験ガイドラインについて」、H11.4.8、厚生省薬務局新医薬品課長通知 <以上、令和8年3月19日提出の上申書に添付> 2 被請求人の主張及び証拠方法 被請求人は、 「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」 との審決を求め、請求人の主張する上記無効理由は理由がない旨主張し、証拠方法として下記の乙第1~80号証(枝番を含む。)(以下、「乙1」等と略記する。)を提出した。 ●(省略)● <以上、審判事件答弁書に添付> ●(省略)● <以上、口頭審理陳述要領書に添付> ●(省略)● <以上、令和8年3月19日提出の上申書に添付> 3 参加人の主張及び証拠方法 参加人は、 「請求人の主張はいずれも理由がなく、」「本件延長登録は有効に維持されるべきものである」旨を主張し、証拠方法として下記の丙第1~10号証(枝番を含む。)(以下、「丙1」等と略記する。)を提出した。 ●(省略)● <以上、令和8年2月9日提出の上申書に添付> ●(省略)● <以上、令和8年3月19日提出> 第4 証拠方法の記載事項 主な証拠方法の記載を摘記する。下線及び四角囲みには合議体が付したものが含まれる。 ●(省略)● 第5 当審合議体の判断 1 特許法第125条の2第1項第3号について 特許権の存続期間の延長登録の制度は、特許法第67条第2項の政令で定める処分を受けることが必要であったために特許発明の実施をすることができなかった期間を回復することを目的とするものであるところ、同法第125条の2第1項第3号における「その特許発明の実施をすることができなかった期間」は、医薬品に関しては、承認を受けるのに必要な試験を開始した日又は特許権の設定登録の日のうちのいずれか遅い方の日から、承認が申請者に到達することにより処分の効力が発生した日の前日までの期間であると解すべきものである(最二小判平成11年10月22日(平成10年(行ヒ)第43号)(甲18))。 ここで、上記「承認を受けるのに必要な試験を開始した日」については、第三者にとって、いつどのように開始され、継続されるのかが不明確な準備作業の開始日ではなく、臨床試験を実施することが治験計画届や治験を実施する医療機関との契約書等により「客観的に明確になった日」と解するのが相当である(平成20年(行ケ)第10487号(乙77))。 本件処分は、先行医薬品(24μgカプセル)と、有効成分、効能・効果及び用法・用量が同一の本件医薬品(12μgカプセル)(甲6-1)についての医薬品製造販売承認(乙13-1)である。本件においては、前記第3 1(1)で示したとおり、本件処分を受けるのに必要な試験に、24μgカプセルを使用した試験が含まれるか否かが主な争点となっていることを踏まえ、以下に検討する。 2 申請区分「(8)剤形追加に係る医薬品(再審査期間中のもの)」について承認を受けるのに必要な資料について (1) 本件医薬品は、先行医薬品である24μgカプセルとは有効成分については分量のみが異なる医薬品(甲6-1)であり、株式会社スキャンポファーマが申請区分「(8)剤形追加に係る医薬品(再審査期間中のもの)」として医薬品製造販売承認を申請し(甲11-3、乙13-1)、本件処分を受けたものである。 ●(省略)● (2) 申請区分「(8)剤形追加に係る医薬品(再審査期間中のもの)」の承認申請に際しては、「加速試験」及び「生物学的同等性」に関する資料に加え、「起原又は発見の経緯及び外国における使用状況等に関する資料」、「製造方法」及び「規格及び試験方法」並びに「添付文書等記載事項」の添付が必要とされるが、「臨床試験成績」の添付は原則として必要とされていない(甲12-2)。 しかしながら、剤形追加に係る医薬品においても、医薬品の承認申請にあたっては、「その時点における医学薬学などの学問水準に基づき、倫理性、科学性及び信頼性の確保された資料により、申請に係る医薬品の品質、有効性及び安全性を立証するための十分な根拠が示される」ことが必要であることに変わりはなく(甲12-1)、処方変更や含量・剤形違い製剤において、現行医薬品との生物学的同等性が証明されれば、現行医薬品の臨床データが承認申請資料として使用できる(乙21-1)。 (3) 生物学的同等性を示すための試験について 含量・剤形違い製剤の承認申請に際し添付すべき生物学的同等性に関する資料については、「後発医薬品の生物学的同等性試験ガイドライン」(甲21、乙22)及び「含量が異なる経口固形製剤の生物学的同等性試験ガイドライン」(乙17)(以下、両ガイドラインを合わせて、「ガイドライン」という。)に、生物学的同等性を示すための具体的な試験法及び判定基準が定められている。 試験法としては、溶出試験、生物学的同等性試験、薬力学的試験及び臨床試験がある(甲21-3)。 「含量が異なる経口固形製剤の生物学的同等性試験ガイドライン」によれば、「溶出試験結果から生物学的に同等とみなされなかった場合には,後発医薬品ガイドラインに従って生物学的同等性試験を行う」(乙17-4)こととされ、「後発医薬品の生物学的同等性試験ガイドライン」には、「通常は、」「バイオアベイラビリティを比較する」「生物学的同等性試験」が行われるが(甲21-2)、「血中又は尿中の未変化体又は活性代謝物の定量的測定が困難な医薬品,及びバイオアベイラビリティの測定が治療効果の指標とならない医薬品に対して」は「ヒトにおける薬理効果を指標」とする「薬力学的試験」が行われること、及び「臨床試験は・・・生物学的同等性試験及び薬力学的試験が困難あるいは適切でないときに適用される」(甲21-3)ことが定められている。 また、「下剤」のように、「有効成分が循環血流を介して作用部位に到達しない医薬品であって,作用が強くないもので,且つ,文献その他により動物試験が科学的に妥当であると判断される場合」には、例外的に「ヒト」ではなく、「動物による薬力学的試験」が生物学的同等性を示す試験として認められることがある(甲22-2)。 3 本件医薬品の開発の経緯 ●(省略)● 4 本件処分を受けるのに必要な試験 (1) 本件医薬品(12μgカプセル)の医薬品製造販売承認の申請時には、前記2(3)のガイドラインで規定される「生物学的同等性」に関する資料として、前記3(3)エのBE試験の結果が提出された(甲11-4~甲11-6)。 ●(省略)● (2) 加えて、前記3(3)エ(ウ)のとおり、●(省略)● (3) そうすると、本件医薬品について、「申請に係る医薬品の品質、有効性及び安全性を立証するための十分な根拠」(甲12-1)とされた試験には、●(省略)●が含まれていたものといえる。 (4) さらに、本件医薬品の医薬品製造販売承認の申請時には、●(省略)●が提出され、●(省略)●、承認を受けている。 ●(省略)● (5) そうすると、本件医薬品について、「申請に係る医薬品の品質、有効性及び安全性を立証するための十分な根拠」(甲12-1)とされた試験には、●(省略)●が含まれていたものといえる。 5 本件特許発明の実施をすることができなかった期間 (1) 本件特許発明の実施をすることができなかった期間の始期 ア 上記4に記載の本件医薬品について「申請に係る医薬品の品質、有効性及び安全性を立証するための十分な根拠」とされた各試験の開始日は以下のとおりである。 ●(省略)● イ したがって、本件医薬品について承認を受けるのに必要な試験は、●(省略)●において、遅くとも開始されたといえる。 ウ そして、本件特許権の設定登録の日は、平成21(2009)年6月26日であるから、●(省略)●「平成21(2009)年6月26日」が、本件特許発明の実施をすることができなかった期間の始期となる。 (2) 本件特許発明の実施をすることができなかった期間の終期 本件医薬品の承認は「平成30年9月21日」付け(乙13-1)であるから、その前日である「平成30(2018)年9月20日」が「承認が申請者に到達することにより処分の効力が発生した日の前日」であって、本件特許発明の実施をすることができなかった期間の終期となる。 (3) 本件特許発明の実施をすることができなかった期間 以上のとおりであるから、本件特許発明の実施をすることができなかった期間は、本件特許の設定登録の日の平成21(2009)年6月26日から、承認が申請者に到達することにより処分の効力が発生した日の前日である平成30(2018)年9月20日までであり、5年を超える。 6 請求人の主張について (1) 請求人は以下の主張をしている。 ア 本件処分に必要となる試験は12μgカプセルを使用した試験であり、分量の異なる24μgカプセルを使用した試験は本件処分と無関係であって、●(省略)●(審判請求書16頁4行~10行、口頭審理陳述要領書13頁7行~14頁14行)。 イ 「(8)剤形追加」の申請区分での承認申請の際には、先行処分の承認審査において当該医薬品の有効性・安全性等が確認済みであるから、先行処分の臨床試験の内容について実質的に検討が行われるものではない。現に、本件医薬品の承認申請時には、有効性及び安全性に関する臨床試験結果の報告書は添付されていない(口頭審理陳述要領書15頁9行~16頁5行)。 ウ 延長期間は、1件の特許につき、当該特許に基づいて承認申請される医薬品について、「延長登録の制度趣旨」と「特許権者と第三者との衡平」をはかり期間回復による不利益の解消という限度を超えない範囲で必要かつ十分な範囲でのみ認められるべきである。先行処分の試験結果を後行処分の承認手続きに援用できるような場合に、●(省略)●、特許権者に二重の開発コスト回収を許すに等しい(口頭審理陳述要領書17頁3行~18頁7行)。 エ ●(省略)●(口頭審理陳述要領書24頁14行~26頁14行)。 オ ●(省略)●(口頭審理陳述要領書27頁18行~28頁8行)。 カ ●(省略)●(口頭審理陳述要領書37頁9~19行、上申書25頁8~14行)。 キ ●(省略)●(口頭審理陳述要領書42頁3~16行)。 ク ●(省略)●(上申書29頁1~23行)。 (2) 検討 上記(1)の主張について検討する。 ア 主張ア、イ及びエについて ●(省略)●、請求人の主張を採用することはできない。 イ 主張ウについて 特許期間の延長制度では、「5年を限度」とする時間的制限、及び「処分の対象となった物についての実施以外の行為には及ばない」とする効力範囲の制限によって、特許権者と第三者の衡平を図るものであり、開発コストや処分に必要とされた試験の重複を理由とする請求人の主張は、法的な根拠がなく、採用することができない。 ウ 主張オ~クについて 前記1に説示したとおり、「その特許発明の実施をすることができなかった期間」は、医薬品に関しては、「承認を受けるのに必要な試験を開始した日又は特許権の設定登録の日のうちのいずれか遅い方の日から、承認が申請者に到達することにより処分の効力が発生した日の前日までの期間であると解すべきものとされる」ところ(最二小判平成11年10月22日(平成10年(行ヒ)第43号)(甲18))、●(省略)●請求人の主張を採用することはできない。 ●(省略)● エ 以上のとおりであるから、請求人の主張はいずれも採用することができない。 7 まとめ 以上のとおり、本件発明の実施をすることができなかった期間は、5年を超えるから、本件延長登録の期間5年は、本件発明の実施をすることができなかった期間を超えていない。 したがって、本件延長登録は、125条の2第1項第3号の「その延長登録により延長された期間がその特許発明の実施をすることができなかった期間を超えているとき」に該当するものではない。 第6 むすび 上記第5のとおり、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件延長登録を無効とすることはできない。 審判に関する費用については、特許法第169条第2項において準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。 よって、結論のとおり、審決する。

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2024-800068

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