2021-700679
磁粉探傷装置、及び磁粉探傷方法
- 審判番号
- 2021-700679
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2016-177758外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 6815140
- 請求日
- 2021年07月14日
- 審決日
- 2022年11月28日
- 公報発行日
- 2023年03月31日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】マークテック株式会社
- 【権利者代理人】渡邊 敏
- 【異議申立人】電子磁気工業 株式会社
- 【異議申立人代理人】弁理士法人相原国際知財事務所
- 分類
- P1651.121-YAA(G01N)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第2項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 42項目
第1.手続の経緯
特許第6815140号の請求項1~6に係る特許(以下、総称して「本件特許」という。)についての出願は、平成28年9月12日に出願され、令和2年12月24日にその特許権の設定登録がされ、令和3年1月20日に特許掲載公報が発行された。
その後、本件特許に対して特許異議申立人「電子磁気工業株式会社」(以下「申立人」という。)により本件特許異議の申立てがあり、次のとおりに手続が行われた。
・令和3年 7月14日 :申立人による本件特許に対する特許異議の申立て(本件特許異議申立書の提出)
・令和3年10月27日付け:取消理由通知書
・令和3年12月28日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
・令和4年 2月25日付け:訂正拒絶理由通知書
・令和4年 3月31日 :特許権者による意見書の提出
・令和4年 4月25日付け:取消理由通知書(決定の予告)
・令和4年 7月 4日 :特許権者による訂正請求書(以下「本件訂正請求書」といい、これによる訂正請求を以下「本件訂正請求」という。)の提出
・令和4年 9月29日 :申立人による意見書の提出(以下「申立人意見書」という。)
第2.訂正の適否についての判断
1 本件訂正請求の内容
本件訂正請求の請求の趣旨は、明細書及び特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~6について訂正することを求めるものであって、以下の訂正事項1ないし訂正事項9からなる(なお、下線は、請求人が付したものである。)。
訂正前の各請求項において、請求項2~3は請求項1を、請求項5~6は請求項4を、それぞれ直接的又は間接的に引用するものであるから、訂正前の請求項1~3、4~6はそれぞれ、一群の請求項である。そして、本件訂正請求書による訂正は、一群の請求項1~3についてなされる訂正事項1~3・7・8と、一群の請求項4~6についてなされる訂正事項4~6・9とからなるものである。前者の訂正事項1~3及び後者の訂正事項4~6は、特許法120条の5第4項で規定する当該一群の請求項ごとに請求されているものであり、前者の訂正事項7・8及び後者の訂正事項9は、同法120条の5第9項で読み替えて準用する同法126条第4項で規定する一群の請求項の全てにおいてなされているものである。
(1)一群の請求項1~3に係る訂正
ア 訂正事項1
特許権者は、訂正事項1として、下記(ア)のとおりの本件訂正請求による訂正前の請求項1を、下記(イ)に記載した事項により特定されるとおりの請求項1として訂正することを請求する。
(ア)訂正前の請求項1
「 【請求項1】水平方向を軸にして被検査物を回転可能に支持する支持部と、前記被検査物を磁化する磁化部と、前記被検査物に磁粉液を塗布する塗布部と、前記被検査物を撮像する撮像部とを備え、前記磁化部は、前記被検査物が軸方向において前記磁化部近傍の表層部を全周にわたって磁化可能に構成され、一定速度で回転する回転状態の前記被検査物の表面に下方側で前記磁粉液を塗布し、上方側で撮像するように構成されることを特徴とする、磁粉探傷装置。」
(イ)訂正後の請求項1
「【請求項1】水平方向を軸にして被検査物を回転可能に支持する支持部と、前記被検査物を磁化する磁化部と、前記被検査物に磁粉液を塗布する塗布部と、続きを表示(全11行)前記被検査物を撮像する撮像部とを備え、前記磁化部は、前記被検査物が軸方向において前記磁化部近傍の表層部を全周にわたって磁化可能に構成され、一定速度で回転する回転状態の前記被検査物の表面に下方側で前記磁粉液を途布し、上方側で撮像するように構成される磁粉探傷装置において、前記磁化部は、互いの先端が平行状態から対向する状態となるように折り曲げた2つの爪を設け、前記磁化部の2つの爪の間を結ぶ直線は、前記被検査物の軸方向と直交する方向に延びており、前記磁化部の2つの爪は、前記被検査物が軸方向において前記磁化部近傍の表層部を全周にわたって磁化可能に構成され、前記塗布部は、前記被検査物の鉛直線上の真下に配置し、前記磁化部の前記2つの爪の内の1つの爪を、他の1つの爪と比較して前記被検査物の一定速度で回転する回転方向の前記塗布部より上流側で前記塗布部に近接して設けて、前記塗布部から前記磁粉液を被検査物に対し鉛直線上真上に塗布することを特徴とする、磁粉探傷装置。」
イ 訂正事項2
特許権者は、訂正事項2として、下記(ア)のとおりの本件訂正請求による訂正前の請求項2を、下記(イ)に記載した事項により特定されるとおりの請求項2に訂正することを請求する。
(ア)訂正前の請求項2
「【請求項2】前記塗布部と前記撮像部との間に洗浄部を更に備え、前記被検査物を撮像する前に余分な磁粉を除去するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の磁粉探傷装置。」
(イ)訂正後の請求項2
「【請求項2】前記塗布部と前記撮像部との間に洗浄部を更に備え、前記被検査物を撮像する前に余分な磁粉を除去するように構成されるものであって、前記磁化部の前記2つの爪の内の他の1つの爪を、前記1つの爪と比較して前記被検査物が一定速度で回転する回転方向下流側に設け、前記他の1つの爪を前記洗浄部のノズルに近接して設け、前記洗浄部のノズルの先端の吐出口が被検査物の軸心へ向けられて設けたことを特徴とする、請求項1記載の磁粉探傷装置。」
ウ 訂正事項3
特許権者は、訂正事項3として、下記(ア)のとおりの本件訂正請求による訂正前の請求項3を、下記(イ)に記載した事項により特定されるとおりの請求項3として訂正することを請求する。
(ア)訂正前の請求項3
「【請求項3】前記被検査物を撮像する際に前記支持部が前記被検査物の回転を停止するように構成されることを特徴とする、請求項1または2に記載の磁粉探傷装置。」
(イ)訂正後の請求項3
「【請求項3】前記被検査物を撮像する際に前記支持部が前記被検査物の回転を停止するように構成されるものであって、前記支持部に回転角度センサを設けて、前記被検査物の回転角度の検出値を前記画像に関連付けて格納することを特徴とする、請求項2記載の磁粉探傷装置。」
エ 訂正事項7
特許権者は、請求項1~3に関連し、訂正事項7として、下記(ア)のとおりの本件訂正請求による訂正前の本件特許明細書の【0009】~【0011】・【0015】~【0017】を、下記(イ)に記載した事項により特定されるとおりの【0009】~【0011】・【0015】~【0017】として訂正することを請求する。
(ア)訂正前の【0009】~【0011】・【0015】~【0017】
「 【0009】上記課題を解決するために、本発明の磁粉探傷装置は、水平方向を軸にして被検査物を回転可能に支持する支持部と、前記被検査物を磁化する磁化部と、続きを表示(全13行)前記被検査物に磁粉液を塗布する塗布部と、前記被検査物を撮像する撮像部とを備え、前記磁化部は、前記被検査物が軸方向において前記磁化部近傍の表層部を全周にわたって磁化可能に構成され、一定速度で回転する回転状態の前記被検査物の表面に下方側で前記磁粉液を塗布し、上方側で撮像するように構成されることを特徴とする。【0010】更に、前記塗布部と前記撮像部との間に洗浄部を更に備え、前記被検査物を撮像する前に余分な磁粉を除去するように構成されることを特徴とする。【0011】更に、前記被検査物を撮像する際に前記支持部が前記被検査物の回転を停止するように構成されることを特徴とする。」
「 【0015】本発明によれば、水平方向を軸にして被検査物を回転可能に支持する支持部と、前記被検査物を磁化する磁化部と、前記被検査物に磁粉液を塗布する塗布部と、前記被検査物を撮像する撮像部とを備え、前記磁化部は、前記被検査物が軸方向において前記磁化部近傍の表層部を全周にわたって磁化可能に構成され、一定速度で回転する回転状態の前記被検査物の表面に下方側で前記磁粉液を塗布し、上方側で撮像するように構成されるので、傷部の検出確度が高く円周方向の検出力が一定な磁粉探傷装置を提供することができる。【0016】更に、前記塗布部と前記撮像部との間に洗浄部を更に備え、前記被検査物を撮像する前に余分な磁粉を除去するように構成されるので、傷部の誤検出が防止され、傷部の検出確度がより高い磁粉探傷装置を提供することができる。【0017】更に、前記被検査物を撮像する際に前記支持部が前記被検査物の回転を停止するように構成されるので、撮像される画像が流れることがなく、鮮明な磁粉指示模様を撮像することができ、傷部の検出確度が向上される。また、撮像時の画像取り込み時間を長くすることができ、安価な構成で傷部の検出確度が高い磁粉探傷装置を提供することができる。」
(イ)訂正後の【0009】~【0011】・【0015】~【0017】
「【0009】上記課題を解決するために、本発明の磁粉探傷装置は、(請求項1)水平方向を軸にして被検査物を回転可能に支持する支持部と、続きを表示(全24行)前記被検査物を磁化する磁化部と、前記被検査物に磁粉液を塗布する塗布部と、前記被検査物を撮像する撮像部とを備え、前記磁化部は、前記被検査物が軸方向において前記磁化部近傍の表層部を全周にわたって磁化可能に構成され、一定速度で回転する回転状態の前記被検査物の表面に下方側で前記磁粉液を塗布し、上方側で撮像するように構成される磁粉探傷装置において、前記磁化部は、互いの先端が平行状態から対向する状態となるように折り曲げた2つの爪を設け、前記磁化部の2つの爪の間を結ぶ直線は、前記被検査物の軸方向と直交する方向に延びており、前記磁化部の2つの爪は、前記被検査物が軸方向において前記磁化部近傍の表層部を全周にわたって磁化可能に構成され、前記塗布部は、前記被検査物の鉛直線上の真下に配置し、前記磁化部の前記2つの爪の内の1つの爪を、他の1つの爪と比較して前記被検査物の一定速度で回転する回転方向の前記塗布部より上流側で前記塗布部に近接して設けて、前記塗布部から前記磁粉液を被検査物に対し鉛直線上真上に塗布することを特徴とする。【0010】(請求項2)請求項1記載の磁粉探傷装置であって前記塗布部と前記撮像部との間に洗浄部を更に備え、前記被検査物を撮像する前に余分な磁粉を除去するように構成されるものであって、前記磁化部の前記2つの爪の内の他の1つの爪を、前記1つの爪と比較して前記被検査物が一定速度で回転する回転方向下流側に設け、前記他の1つの爪を前記洗浄部のノズルに近接して設け、前記洗浄部のノズルの先端の吐出口が被検査物の軸心へ向けられて設けたことを特徴とする。【0011】(請求項3)上記請求項2の磁粉探傷装置であって、前記被検査物を撮像する際に前記支持部が前記被検査物の回転を停止するように構成されるものであって、前記支持部に回転角度センサを設けて、前記被検査物の回転角度の検出値を前記画像に関連付けて格納することを特徴とする。」
「【発明の効果】【0015】本発明によれば、水平方向を軸にして被検査物を回転可能に支持する支持部と、続きを表示(全21行)前記被検査物を磁化する磁化部と、前記被検査物に磁粉液を塗布する塗布部と、前記被検査物を撮像する撮像部とを備え、前記磁化部は、前記被検査物が軸方向において前記磁化部近傍の表層部を全周にわたって磁化可能に構成され、一定速度で回転する回転状態の前記被検査物の表面に下方側で前記磁粉液を塗布し、上方側で撮像するように構成される磁粉探傷装置において、前記磁化部は、互いの先端が平行状態から対向する状態となるように折り曲げた2つの爪を設け、前記磁化部の2つの爪の間を結ぶ直線は、前記被検査物の軸方向と直交する方向に延びており、前記磁化部の2つの爪は、前記被検査物が軸方向において前記磁化部近傍の表層部を全周にわたって磁化可能に構成され、前記塗布部は、前記被検査物の鉛直線上の真下に配置し、前記磁化部の前記2つの爪の内の1つの爪を、他の1つの爪と比較して前記被検査物の一定速度で回転する回転方向の前記塗布部より上流側で前記塗布部に近接して設けて、前記塗布部から前記磁粉液を被検査物に対し鉛直線上真上に塗布するので、傷部の検出確度が高く円周方向の検出力が一定な磁粉探傷装置を提供することができる。【0016】更に前記塗布部と前記撮像部との間に洗浄部を更に備え、前記被検査物を撮像する前に余分な磁粉を除去するように構成されるものであって、前記磁化部の前記2つの爪の内の他の1つの爪を、前記1つの爪と比較して前記被検査物が一定速度で回転する回転方向下流側に設け、前記他の1つの爪を前記洗浄部のノズルに近接して設け、前記洗浄部のノズルの先端の吐出口が被検査物の軸心へ向けられて設けたので、傷部の誤検出が防止され、傷部の検出確度がより高い磁粉探傷装置を提供することができる。【0017】更に、前記被検査物を撮像する際に前記支持部が前記被検査物の回転を停止するように構成され、前記支持部に回転角度センサを設けて、前記被検査物の回転角度の検出値を前記画像に関連付けて格納するので、撮像される画像が流れることがなく、鮮明な磁粉指示模様を撮像することができ、傷部の検出確度が向上される。また、撮像時の画像取り込み時間を長くすることができ、安価な構成で傷部の検出確度が高い磁粉探傷装置を提供することができる。又回転角度センサを設けたので、前記被検査物の回転角度の検出値を前記画像に関連付けて格納可能である。」
オ 訂正事項8
特許権者は、請求項1~3に関連し、訂正事項8として、本件訂正請求による訂正前の本件特許明細書の【0070】及び【0118】の「支持部10」を「支持部11」と(誤記の)訂正をし、下記に記載した事項により特定されるとおりの【0070】及び【0118】として訂正することを請求する。
「 【0070】また、磁粉探傷装置1は、撮像部15によって撮像された画像と、この画像が撮像された際の支持部11の回転角度センサの検出値とを関連付けるように構成されても良い。このような構成にすることで、被検査物10の円周方向において、どの部位が撮像部15によって撮像されたかが分かり、傷部の有無だけでなく、傷部の位置を把握することが可能となり、使い勝手が良い。ここで、被検査物10の円周方向における基準点を例えば目視可能なマーキングン等によって被検査物10に設けることが好ましい。そして、この基準点が回転角度センサのゼロ位置に対応するように被検査物10を支持部11に装着させたり、基準点を認識するセンサを更に備えてこの基準点をトリガーとして撮像を開始するような構成にしたりすることで、被検査物10が支持部11から取り外された後であっても傷部の位置を把握することが可能となる。なお、基準点は特に限定されるものではなく、被検査物10の円周方向における形状の変化点、例えばキー溝等とすることができる。」
「 【0118】また、磁粉探傷方法は、ステップS7において傷部が有ると判定された場合(ステップS7:YES)において、被検査物10の全周が撮像されたかどうかに関わらず探傷が終了されるのではなく、被検査物10の全周が撮像されるまでステップS6~ステップS9が繰り返されても良い。このような方法にすることで、傷部が複数ある場合であっても、それぞれの傷部の位置を把握することが可能となり、使い勝手が良い。なお、このような場合には、ステップS6で撮像した際の被検査物10の回転角度を回転角度センサによって検出し、この検出値と撮像した原画像を関連付けて格納する。ここで、被検査物10の円周方向における基準点を例えば目視可能なマーキングン等によって被検査物10に設けることが好ましい。そして、この基準点が回転角度センサのゼロ位置に対応するように被検査物10を支持部11に装着させたり、基準点を認識するセンサを更に備えてこの基準点をトリガーとして撮像を開始するような構成にしたりすることで、被検査物10が支持部11から取り外された後であっても傷部の位置を把握することが可能となる。なお、基準点は特に限定されるものではなく、被検査物10の円周方向における形状の変化点、例えばキー溝等とすることができる。」
(2)一群の請求項4~6に係る訂正
ア 訂正事項4
特許権者は、訂正事項4として、下記(ア)のとおりの本件訂正請求による訂正前の請求項4を、下記(イ)に記載した事項により特定されるとおりの請求項4として訂正することを請求する。
(ア)訂正前の請求項4
「 【請求項4】水平方向を軸にして被検査物を回転させる工程と、前記被検査物に磁粉液を塗布する工程と、前記被検査物を磁化する工程と、前記被検査物を撮像する工程とを備え、前記被検査物を一定速度で回転させながら、前記被検査物の表面に下方側で前記磁粉液を塗布し、上方側で撮像することを特徴とする、磁粉探傷方法。」
(イ)訂正後の請求項4
「 【請求項4】水平方向を軸にして被検査物を回転させる工程と、前記被検査物に磁粉液を塗布する工程と、前記被検査物を磁化する工程と、続きを表示(全11行)前記被検査物を撮像する工程とを備え、前記被検査物を一定速度で回転させながら、前記被検査物の表面に下方側で前記磁粉液を塗布し、上方側で撮像する磁粉探傷方法であって前記被検査物を磁化する工程は、互いの先端が平行状態から対向する状態となるように折り曲げた2つの爪を設け、前記磁化部の2つの爪の間を結ぶ直線は、前記被検査物の軸方向と直交する方向に延びており、前記2つの爪により、前記磁化部近傍の表層部の軸方向に延びる傷を磁化する工程であり、前記被検査物を磁化する工程の次に、被検査物の表面への紫外線の照射する工程を備え前記被検査物を撮像する工程の前に余分な磁粉を除去する工程を更に備え前記被検査物を撮像する際に更に前記被検査物の回転を停止する工程を備え、前記被検査物を回転させる工程で、回転角度センサにより前記被検査物の回転角度を検出した検出値を前記検査物を撮像する工程で撮像された画像と関連付けて格納する工程を更に備えたことを特徴とする、磁粉探傷方法。」
イ 訂正事項5
特許権者は、訂正事項5として、本件特許請求の範囲の請求項5を削除することを請求する。
ウ 訂正事項6
特許権者は、訂正事項6として、本件特許請求の範囲の請求項6を削除することを請求する。
エ 訂正事項9
特許権者は、請求項4~6に関連し、訂正事項9として、下記(ア)のとおりの本件訂正請求による訂正前の本件特許明細書の【0012】~【0014】・【0018】~【0020】を、下記(イ)に記載した事項により特定されるとおりの【0012】~【0014】・【0018】~【0020】として訂正することを請求する。
(ア)訂正前の【0012】~【0014】・【0018】~【0020】
「 【0012】更に、本発明の磁粉探傷方法は、水平方向を軸にして被検査物を回転させる工程と、前記被検査物に磁粉液を塗布する工程と、続きを表示(全11行)前記被検査物を磁化する工程と、前記被検査物を撮像する工程とを備え、前記被検査物を一定速度で回転させながら、前記被検査物の表面に下方側で前記磁粉液を塗布し、上方側で撮像することを特徴とする。【0013】更に、前記被検査物を撮像する前に余分な磁粉を除去する工程を更に備えることを特徴とする。【0014】更に、前記被検査物を撮像する際に更に前記被検査物の回転を停止する工程を含むことを特徴とする。」
「 【0018】更に、本発明の磁粉探傷方法は、水平方向を軸にして被検査物を回転させる工程と、前記被検査物に磁粉液を塗布する工程と、前記被検査物を磁化する工程と、前記被検査物を撮像する工程とを備え、前記被検査物を一定速度で回転させながら、前記被検査物の表面に下方側で前記磁粉液を塗布し、上方側で撮像するので、傷部の検出確度が高く円周方向の検出力が一定な磁粉探傷方法を提供することができる。【0019】更に、前記被検査物を撮像する前に余分な磁粉を除去する工程を更に備えるので、傷部の誤検出が防止され、傷部の検出確度がより高い磁粉探傷方法を提供することができる。【0020】更に、前記被検査物を撮像する際に更に前記被検査物の回転を停止する工程を含むので、撮像される画像が流れることがなく、鮮明な磁粉指示模様を撮像することができ、傷部の検出確度が向上される。また、撮像時の画像取り込み時間を長くすることができ、安価な構成で傷部の検出確度が高い磁粉探傷方法を提供することができる。」
(イ)訂正後の【0012】~【0014】・【0018】~【0020】
「 【0012]上記課題を解決するために、本発明の磁粉探傷方法は、(請求項4)水平方向を軸にして被検査物を回転させる工程と、前記被検査物に磁粉液を塗布する工程と、前記被検査物を磁化する工程と、前記被検査物を撮像する工程とを備え、前記被検査物を一定速度で回転させながら、前記被検査物の表面に下方側で前記磁粉液を塗布し、上方側で撮像する磁粉探傷方法であって続きを表示(全12行)前記被検査物を磁化する工程は、互いの先端が平行状態から対向する状態となるように折り曲げた2つの爪を設け、前記磁化部の2つの爪の間を結ぶ直線は、前記被検査物の軸方向と直交する方向に延びており、前記2つの爪により、前記磁化部近傍の表層部の軸方向に延びる傷を磁化する工程であり、前記被検査物を磁化する工程の次に、被検査物の表面への紫外線の照射する工程を備え前記被検査物を撮像する工程の前に余分な磁粉を除去する工程を更に備え前記被検査物を撮像する際に更に前記被検査物の回転を停止する工程を備え、前記被検査物を回転させる工程で、回転角度センサにより前記被検査物の回転角度を検出した検出値を前記被検査物を撮像する工程で撮像された画像と関連付けて格納する工程を更に備えたことを特徴とする。【0013】(削除)【0014】(削除)」
「 【0018】更に、本発明の磁粉探傷方法は、水平方向を軸にして被検査物を回転させる工程と、前記被検査物に磁粉液を塗布する工程と、前記被検査物を磁化する工程と、前記被検査物を撮像する工程とを備え、前記被検査物を一定速度で回転させながら、前記被検査物の表面に下方側で前記磁粉液を塗布し、上方側で撮像するので、傷部の検出確度が高く円周方向の検出力が一定な磁粉探傷方法を提供することができる。更に前記被検査物を磁化する工程は、互いの先端が平行状態から対向する状態となるように折り曲げた2つの爪を設け、前記磁化部の2つの爪の間を結ぶ直線は、前記被検査物の軸方向と直交する方向に延びており、前記2つの爪により、前記磁化部近傍の表層部の軸方向に延びる傷を磁化する工程であるので、被検査物の軸方向に延びる傷を容易に磁化できる。更に前記被検査物を磁化する工程の次に、被検査物の表面への紫外線の照射する工程を備えたので、紫外線が照射されている領域に磁粉指示模様がある場合、磁粉指示模様を形成する蛍光磁粉の蛍光体が励起して発光し、傷部を検出する。更に、前記被検査物を撮像する前に余分な磁粉を除去する工程を更に備えるので、傷部の誤検出が防止され、傷部の検出確度がより高い磁粉探傷方法を提供することができる。更に、前記被検査物を撮像する際に更に前記被検査物の回転を停止する工程を含むので、撮像される画像が流れることがなく、鮮明な磁粉指示模様を撮像することができ、傷部の検出確度が向上される。また、撮像時の画像取り込み時間を長くすることができ、安価な構成で傷部の検出確度が高い磁粉探傷方法を提供することができる。更に前記被検査物を回転させる工程で、回転角度センサにより前記被検査物の回転角度を検出した検出値を前記被検査物を撮像する工程で撮像された画像と関連付けて格納する工程により、傷部が複数ある場合であっても、それぞれの傷部の位置を把握することが可能となる。【0019】(削除)【0020】(削除)」
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項1が備える「磁化部」及び「塗布部」について、該「磁化部」の形状・配置・被検査物の磁化に関する機能、前記「塗布部」の配置・磁粉液の塗布形態、並びに前記「磁化部」及び「塗布部」相互の位置関係に関する特定事項を付加する訂正を行うものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。また、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
そして、訂正事項1により加入された前記特定事項は、主として願書に添付した明細書(特許時のもの;以下「本件特許明細書」という。)の【0036】~【0039】及び【図1】・【図5】の記載事項により裏付けられるものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものであり、新規事項の追加に該当しない。
(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の請求項2に係る発明が備える「磁化部」及び「洗浄部」について、該両者の位置関係及び「洗浄部」のノズルの配置・配向に関する特定事項を付加する訂正を行うものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。また、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
そして、訂正事項2により加入された前記特定事項は、主として本件特許明細書の【0077】・【0091】及び【図5】の記載事項により裏付けられるものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、新規事項の追加に該当しない。
(3)訂正事項3について
訂正事項3は、訂正前の請求項3に係る発明が備える「支持部」について、「回転角度センサ」及びその機能に関する特定事項を付加する訂正を行うものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。また、訂正事項3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
そして、訂正事項3により加入された前記特定事項は、主として本件特許明細書の【0028】・【0077】の記載事項により裏付けられるものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、新規事項の追加に該当しない。
(4)訂正事項7について
訂正事項7は、訂正事項1~3による特許請求の範囲の訂正に伴う明細書の訂正である。そうすると、訂正事項7は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であって、上記(1)~(3)によれば、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(5)訂正事項8について
訂正事項8は、訂正前の本件特許明細書における「支持部」なる要素の図面における符号に関する誤記を請求項1~3について訂正することを目的とするものであり、訂正前の本件特許明細書における「支持部10」が「支持部11」の誤記であることは、願書に最初に添付した明細書の【0070】・【0118】の訂正対象箇所以外の記載や、同【0124】における符号の説明の記載からも明らかである。
そうすると、訂正事項8は、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に掲げる誤記の訂正を目的とする訂正であって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(6)訂正事項4について
訂正事項4は、訂正前の請求項4に係る発明が備える「磁化する工程」について、該工程を担う磁化部に関する特定事項を付加し、
該「磁化する工程」と、同じく訂正前の請求項4に係る発明が備える「撮像する工程」との間に、「紫外線の照射する工程」及び「余分な磁粉を除去する工程」を付加し、
前記「撮像する工程」について、「前記被検査物の回転を停止する工程」及び「回転角度センサにより前記被検査物の回転角度を検出した検出値を前記被検査物を撮像する工程で撮像された画像と関連付けて格納する工程」を付加する訂正を行うものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。また、訂正事項4は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
そして、訂正事項4により加入された前記特定事項は、主として訂正前の請求項5・6、本件特許明細書の【0028】・【0038】・【0077】・【0097】の記載事項により裏付けられるものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、新規事項の追加に該当しない。
(7)訂正事項5・6について
訂正事項5・6はそれぞれ、訂正前の請求項5・6を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、新規事項を加入するものでも、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(8)訂正事項9について
訂正事項9は、訂正事項4~6による特許請求の範囲の訂正に伴う明細書の訂正である。そうすると、訂正事項9は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であって、上記(6)・(7)によれば、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(9)小括
以上(1)~(8)のとおりであるから、上記の訂正請求による訂正事項1~9は、特許法第120条の5第2項ただし書第1~3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
よって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-3〕、〔4-6〕について訂正することを認める。
第3.本件特許発明
本件訂正請求により訂正された請求項1~6に係る発明(以下、それぞれ「本件特許発明1」~「本件特許発明6」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~6に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。(下線は省略した。また、各構成単位冒頭の「1A」などは当審にて付した分説番号であり、以下、当該各構成単位について該分説番号を用い「構成1A」などということがある。以下、引用発明についても同様。)
「【請求項1】1A 水平方向を軸にして被検査物を回転可能に支持する支持部と、1B 前記被検査物を磁化する磁化部と、1C 前記被検査物に磁粉液を塗布する塗布部と、続きを表示(全42行)1D 前記被検査物を撮像する撮像部とを備え、1E 前記磁化部は、前記被検査物が軸方向において前記磁化部近傍の表層部を全周にわたって磁化可能に構成され、1F 一定速度で回転する回転状態の前記被検査物の表面に下方側で前記磁粉液を途布し、1G 上方側で撮像するように構成される1H 磁粉探傷装置において、1I 前記磁化部は、互いの先端が平行状態から対向する状態となるように折り曲げた2つの爪を設け、1J 前記磁化部の2つの爪の間を結ぶ直線は、前記被検査物の軸方向と直交する方向に延びており、1K 前記磁化部の2つの爪は、前記被検査物が軸方向において前記磁化部近傍の表層部を全周にわたって磁化可能に構成され、1L 前記塗布部は、前記被検査物の鉛直線上の真下に配置し、1M 前記磁化部の前記2つの爪の内の1つの爪を、他の1つの爪と比較して前記被検査物の一定速度で回転する回転方向の前記塗布部より上流側で前記塗布部に近接して設けて、1N 前記塗布部から前記磁粉液を被検査物に対し鉛直線上真上に塗布することを特徴とする、1H’磁粉探傷装置。【請求項2】2A 前記塗布部と前記撮像部との間に洗浄部を更に備え、前記被検査物を撮像する前に余分な磁粉を除去するように構成されるものであって、2B 前記磁化部の前記2つの爪の内の他の1つの爪を、前記1つの爪と比較して前記被検査物が一定速度で回転する回転方向下流側に設け、2C 前記他の1つの爪を前記洗浄部のノズルに近接して設け、2D 前記洗浄部のノズルの先端の吐出口が被検査物の軸心へ向けられて設けたことを特徴とする、2E 請求項1記載の磁粉探傷装置。【請求項3】3A 前記被検査物を撮像する際に前記支持部が前記被検査物の回転を停止するように構成されるものであって、3B 前記支持部に回転角度センサを設けて、前記被検査物の回転角度の検出値を前記画像に関連付けて格納することを特徴とする、3C 請求項2記載の磁粉探傷装置。【請求項4】4A 水平方向を軸にして被検査物を回転させる工程と、4B 前記被検査物に磁粉液を塗布する工程と、4C 前記被検査物を磁化する工程と、4D 前記被検査物を撮像する工程とを備え、4E 前記被検査物を一定速度で回転させながら、前記被検査物の表面に下方側で前記磁粉液を塗布し、4F 上方側で撮像する4G 磁粉探傷方法であって4H 前記検査物を磁化する工程は、互いの先端が平行状態から対向する状態となるように折り曲げた2つの爪を設け、前記磁化部の2つの爪の間を結ぶ直線は、前記被検査物の軸方向と直交する方向に延びており、前記2つの爪により、前記磁化部近傍の表層部の軸方向に延びる傷を磁化する工程であり、4I 前記被検査物を磁化する工程の次に、被検査物の表面への紫外線の照射する工程を備え4J 前記被検査物を撮像する工程の前に余分な磁粉を除去する工程を更に備え4K 前記被検査物を撮像する際に更に前記被検査物の回転を停止する工程を備え、4L 前記被検査物を回転させる工程で、回転角度センサにより前記被検査物の回転角度を検出した検出値を前記被検査物を撮像する工程で撮像された画像と関連付けて格納する工程を更に備えたことを特徴とする、4G’ 磁粉探傷方法。【請求項5】 (削除)【請求項6】 (削除)」
第4.取消理由の概要
訂正前の請求項1~6に係る特許に対して、当審が令和4年4月25日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の要旨は、次のとおりである。
1 取消理由1
請求項1~6に係る発明は、下記甲1号証(引用文献1)に記載された発明、及び下記甲2~5号証(それぞれ引用文献2~5)に記載された事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
2 引用文献等
引用文献は次のとおり。併記した甲号証番号は、対応する本件特許異議申立人が提出した甲号証等の番号である。下記引用文献等は何れも本件特許の出願日前に公知となったものである。
引用文献1(甲第1号証):中国特許出願公開第104062354号
引用文献2(甲第2号証):米国特許第4694247号明細書
引用文献3(甲第3号証):特開昭50-18087号公報
引用文献4(甲第4号証):特開昭62-25253号公報
引用文献5(甲第5号証):特開2010-197366号公報
第5.当審の判断
1 引用文献の記載事項
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(1)引用文献1の記載事項
ア 甲1には次の記載がある。特許請求の範囲、明細書の記載事項については当審訳にて認定した。また、下線は当審にて付与した(以下同様)。
。
・特許請求の範囲(2頁)
「[図:0001395175000001.jpg]」
(当審訳:「1.鋼管磁粉探傷蛍光画像検査装置であって、鋼管運動制御システムと、カメラとを備え、さらに、その前面に紫外線フィルタが装着された紫外線フラッシュランプと、前記カメラのレンズの前面に装着された蛍光フィルタと、前記鋼管運動制御システムに接続された磁粉画像電気制御システムと、前記磁粉画像電気制御システムに接続された監視用コンピュータとを備え、前記磁粉画像電気制御システムは、前記カメラ、レンズにさらに接続され、前記監視コンピュータは、前記カメラおよび生産管理システムにさらに接続される、装置。
・・・
4.前記磁粉画像電気制御システムは、前記カメラに接続された電源・I/Oモジュールと、前記可視フラッシュランプに接続された電源・トリガーインターフェースと、前記紫外線フラッシュランプに接続された電源・トリガーインターフェースと、中央制御装置とからなり、前記中央制御装置は、前記各モジュールおよびインターフェースにそれぞれ接続されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の鋼管磁粉探傷蛍光画像検査装置。
5.前記磁粉画像電気制御システムが、運動制御システムに接続されたI/O光電絶縁モジュールと、中央制御装置に接続された通信インターフェースと、レンズ・フォーカスドライバに接続された電源・動作制御モジュールと、照明制御装置とをさらに備えていることを特徴とする、請求項4に記載の鋼管用磁粉画像検査装置。
6.前記鋼管磁粉蛍光画像検査装置が、鋼管駆動装置、鋼管磁化装置、磁性体懸濁液吹き付け装置と組み合わされて、鋼管用磁粉蛍光検査システムを構成していることを特徴とする、請求項5に記載の鋼管磁粉蛍光画像検査装置。」)
・[0030]
「[図:0001395175000002.jpg]」
(当審訳:「[0030]図1は、本発明の一実施形態の鋼管の磁粉探傷用蛍光画像検査装置のシステムレイアウトである。」)
・[0038]~[0039]
「[図:0001395175000003.jpg]」
(当審訳:「[0038]図1は、本発明の一実施形態の鋼管磁粉探傷用蛍光画像検査装置のシステム構成レイアウト、図2は、本発明の一実施形態の鋼管磁粉探傷用蛍光画像検出装置の紫外線光源と蛍光の分光特性、図5は、図1の一実施形態の鋼管磁粉探傷用蛍光画像検出装置における磁性粉画像の電気制御系の構造模式図である。
[0039]図1および図5に示すように、鋼管磁粉探傷蛍光画像検査装置の発明の実施形態では、鋼管動作(移動)制御システム6に元の鋼管人工磁粉蛍光検出装置(図1の破線枠に示すようなその構成)が含まれており、(本発明中、その紫外線ランプ5をキャンセルした)、これに基づいて、本発明実施例では追加の鋼管画像取得装置を有し、鋼管画像取得装置は、紫外線フラッシュランプ7、可視光フラッシュランプ12、レンズとフォーカスドライバー(アクチュエータ)10、レンズ前の蛍光フィルター11、カメラ9、磁粉画像電気制御装置13、ソフトウェアを含む監視コンピュータ14を含む。」)
・[0045]~[0047]
「[図:0001395175000004.jpg]」
(当審訳:「[0045]本発明の鋼管用磁粉探傷蛍光画像検査装置は、鋼管駆動装置2、鋼管磁化装置3、磁気懸濁液噴霧装置4と組み合わせて、鋼管用磁粉蛍光探傷装置を構成することができる。
[0046]上記の各機器の機能を以下に説明する。
[0047]鋼管駆動装置2は、鋼管1を回転させることにより、鋼管1の円周を完全にスキャンすることができる。磁化装置3と磁性体懸濁液(磁性粉液)吹き付け装置4は、欠陥部に磁性粉の付着物を生成することができる。」)
・[0061]~[0064])
「[図:0001395175000005.jpg]」
(当審訳:「[0061]鋼管駆動装置2で鋼管を回転させ、鋼管1の回転が正常かどうかを判断し、正常であれば、
[0062]システムは、カメラ9のパラメータを、ゲインや露光時間など、蛍光モードまたは蛍光状態に設定し、
[0063]カメラ9を起動して画像を撮影し、フラッシュを発光させ、
[0064]カメラの画像を受信して監視用コンピュータ14のハードディスクに保存し、画像が転送されて保存されるまでわずかな時間だけ待機し、」)
・図1
「[図:0001395175000006.jpg]」
イ 看取・認定事項
上記アの記載事項を合わせ読めば、引用文献1の図1から、
「被検体である大径・小径の鋼管1(いずれか)が2つのローラから成る鋼管駆動装置2に載置されて鋼管の円形断面図上で左回りに回転駆動され、鋼管の或る円形断面を示す図上で、磁化装置3は鋼管1の最下部に面して配置され、磁性体懸濁液(磁性粉液)吹き付け装置は、前記磁化装置3にほぼ隣接して鋼管1の最下部からその回転方向(下流側)にオフセットした、鋼管1表面に面して鋼管の下方位置に配置され、さらに磁化装置及び磁性体懸濁液(磁性粉液)吹き付け装置に対し鋼管1の回転方向側であって、磁化装置3や磁性体懸濁液(磁性粉液)吹き付け装置4の上方、下限規格の鋼管1の斜め上方に、蛍光フィルタ11が取り付けられたカメラ9及び紫外フラッシュランプ7、可視フラッシュランプ12からなる鋼管画像取得装置が配置され、さらにその上方であって鋼管1の回転方向側には、紫外線ランプ5が配置されること」
を看取できる(以下「看取事項1」という。)。
ウ 引用発明
引用文献1から、次の各発明を認定できる。各構成単位末尾の括弧内には根拠記載箇所を示す。
(ア)引用発明1-1
「a 鋼管が載置されて、鋼管の円周を完全にスキャンすることができるように鋼管を回転駆動する、2つのローラからなる鋼管駆動装置と、([0047]、看取事項1)b 磁化装置と、([0047])c 磁性体懸濁液(磁性粉液)吹き付け装置と、([0047])d 鋼管画像取得装置とを備え、([0039])続きを表示(全11行)e 磁化装置は、鋼管の円周を完全にスキャンすることができるように回転駆動される鋼管の円形断面における最下部に面して配置され、(看取事項1)f 鋼管の最下部に面して配置される磁化装置と、それにほぼ隣接して鋼管の下方位置に配置される磁性体懸濁液(磁性粉液)吹き付け装置は、鋼管の欠陥部に磁性粉の付着物を生成し、(看取事項1、[0063])g 磁化装置及び磁性体懸濁液(磁性粉液)吹き付け装置の上方であって、下限規格の鋼管の斜め上方に配置される、蛍光フィルタを取り付けたカメラを含む鋼管画像取得装置のカメラにより画像を撮影する、(看取事項1、[0063])h 鋼管用磁粉蛍光探傷装置であって、(看取事項1、[0063])i 磁化装置は前記鋼管の最下部に面して配置され、(看取事項1)l 磁性体懸濁液(磁性粉液)吹き付け装置は、前記磁化装置にほぼ隣接して鋼管の最下部から回転方向(下流側)にオフセットした鋼管の下方位置に配置される、(看取事項1)h’鋼管用磁粉蛍光探傷装置。」
(イ) 引用発明1-2
「4a 鋼管の円周を完全にスキャンすることができるように鋼管を回転駆動し、([0047]、看取事項1)4b 鋼管に磁性体懸濁液(磁性粉液)吹き付け装置で磁性体懸濁液(磁性粉液)を吹き付け、([0047])4c 鋼管を磁化装置で磁化し、([0047])4d 蛍光フィルタを取り付けたカメラを含む鋼管画像取得装置で鋼管の画像を取得し、([0039])4e 鋼管の円周を完全にスキャンすることができるように鋼管駆動部により回転駆動され、4f 鋼管の最下部に面して配置される磁化装置と、それにほぼ隣接して鋼管の下方位置に配置される磁性体懸濁液(磁性粉液)吹き付け装置とにより、鋼管の欠陥部に磁性粉の付着物を生成し、(看取事項1、[0063])4g 磁化装置及び磁性体懸濁液(磁性粉液)吹き付け装置に対し鋼管1の回転方向側であって、磁化装置3や磁性体懸濁液(磁性粉液)吹き付け装置4の上方、下限規格の鋼管1の斜め上方に配置された、蛍光フィルタ11が取り付けられたカメラ9及び紫外フラッシュランプ7、可視フラッシュランプ12からなる鋼管画像取得装置により画像を撮影する、(看取事項1、[0063])4h 鋼管の磁粉蛍光探傷方法。」
(2)引用文献2の記載事項
甲2には次の記載がある。甲1と同様、記載事項の認定は当審訳にて行った。
ア 「FIG. 1 shows a ferromagnetic part 1 which is an elongated rod having a circular cross-sectional outline and advancing longitudinally in the direction of arrow 4. At the same time, the part 1 rotates about its longitudinal axis X--X as indicated by the arrow 6 so that each point at the periphery of the part 1 travels along a helical path P (indicated by a broken line). The drive means for rotating the part 1 about the axis X--X and for simultaneously advancing the part 1 longitudinally in the direction of arrow 4 comprises a first set 2 of driven rolls 5 ahead of the testing station T and a second set 3 of driven rolls 5 downstream of the station T, as considered in the direction of arrow 4. The exact orientation of the rolls 5 constituting the sets 2 and 3 with reference to the elongated (preferably horizontal or substantially horizontal) path of longitudinal movement of the part 1 is shown in greater detail in FIGS. 11 and 12. While FIG. 1 shows a part 1 with a circular outline, the improved apparatus can be used with equal or similar advantage for the testing of elongated ferromagnetic parts having an oval, partly circular or oval and partly polygonal outline, or a strictly polygonal outline. All that counts is to ensure that the drive means is designed to rotate the part to be tested about an axis which extends in the longitudinal direction of the part and that the drive means be preferably also capable of advancing the part longitudinally.」(5欄36~62行)
(当審訳:「図1は、断面が円形の細長い棒である強磁性体部品1を示しており、矢印4の方向に長手方向に進んでいる。同時に、部品1は、矢印6で示すように、その長手方向の軸X-Xを中心に回転し、部品1の外周部の各点が螺旋状の経路P(破線で示す)に沿って移動するようになっている。部品1を軸線X-Xを中心に回転させ、同時に部品1を矢印4の方向に長手方向に前進させるための駆動手段は、矢印4の方向から見て、試験ステーションTの前方にある駆動ロール5の第1のセット2と、ステーションTの下流にある駆動ロール5の第2のセット3とから構成されている。部品1の長手方向の細長い(好ましくは水平または実質的に水平な)移動経路を基準とした、セット2および3を構成するロール5の正確な向きは、図11および図12にさらに詳細に示されている。図1は円形の輪郭を持つ部品1を示しているが、改良された装置は、楕円形、一部が円形、楕円形と一部が多角形の輪郭、または厳密に多角形の輪郭を持つ細長い強磁性部品の試験にも、同等または同様の利点で使用することができる。重要なことは、駆動手段が、試験される部品をその部品の長手方向に延びる軸を中心に回転させるように設計されていること、および駆動手段が、好ましくは部品を長手方向に前進させることもできることを保証することだけである。」)
イ 「FIGS. 2 and 3 show that the electromagnet 8 comprises two elongated parallel legs 10 and 11 which extend in parallelism with the axis of the part 1, i.e., in the longitudinal direction of the path which is defined by the sets 2 and 3 of rolls 5. The main magnetic field between the elongated poles of the legs 10 and 11 is shown at 9 and the minor or subordinate flux is shown at 12. The exciting windings (see the windings 19 and 20 in FIG. 10) are omitted in FIGS. 2 and 3 for the sake of clarity. The main field 9 extends along the shortest path between the poles of the legs 10 and 11 and along the lower portion of the periphery of the part 1. The minor or subordinate flux 12 is much less pronounced than the field 9 but it suffices to develop a stray field in the region of each defect and ensure that accumulations of pulverulent magnetic material are adequately attracted to the respective (defective) portions of the part 1.Such pulverulent material is withdrawn from the cushion 7 (see particularly FIGS. 4 and 5) which accumulates primarily in the region of the pole of the leg 10, i.e., of that leg which is located downstream of the other leg as considered in the direction (arrow 6) of rotation of the ferromagnetic part 1 about its axis.」(6欄23~45行)
(当審訳:「図2および図3は、電磁石8が、部品1の軸と平行に、すなわちロール5のセット2および3によって定義される経路の長手方向に延びる2つの細長い平行な脚部10および11からなることを示している。脚部10、11の細長い極の間の主磁界を9で示し、小磁界または従属磁界を12で示す。励磁巻線(図10の巻線19および20を参照)は、明確にするために、図2および図3では省略されている。主磁界9は、脚部10、11の極の間の最短経路に沿って、部品1の周縁部の下部に沿って延びている。マイナーまたはサブの磁束12は、磁界9よりもはるかに顕著ではないが、各欠陥の領域に漂遊磁界を発生させ、微粉状の磁性材料の蓄積が部品1のそれぞれの(欠陥のある)部分に十分に引き付けられるようにするには十分である。このような微粉状の材料は、クッション7(特に図4および図5参照)から取り出され、主に脚部10の極の領域、すなわち、強磁性部品1の軸線を中心とした回転方向(矢印6)で考えると、他の脚部の下流に位置する脚部の領域に蓄積される。」)
ウ 「Referring to FIGS. 11 and 12, there is shown one form of a complete apparatus which can be utilized for the practice of the improved method.The ferromagnetic part 1 is advanced longitudinally (arrow 4) and is simultaneously rotated about its axis X--X (arrow 6) by the two sets 2 and 3 of rolls 5 (only one roll of each of these sets is actually shown l whose axes make oblique angles with the axis X--X. The unit defining the testing station is denoted by the character 22. The rolls 5 are or can be formed with elastic rims 5a which is desirable on several grounds. Thus, such rolls are less likely to damage the peripheral surface of the part 1 and they can be used for longitudinal advancement and simultaneous rotation of workpieces (e.g., semifinished goods made of steel or other ferromagnetic material) having a circular, oval, square or other polygonal outline. Furthermore, the utilization of rolls with peripheral portions 5a made of a suitable elastomeric material contributes to a reduction of noise during transport of the parts to be tested. For example, the rolls 5 can have rims 5a which are made of hard rubber or an elastomeric synthetic plastic material.It is also possible to employ rolls or wheels with pneumatic tires 5a which are filled with air or another gaseous fluid.The magnet 8 or the magnets 8 and 18 are installed in the lower portion of the unit 22 in the same way as described in connection with FIGS. 2 to 10, and the unit 22 further accommodates the aforedescribed means for establishing and maintaining a cushion 7 of dry pulverulent magnetic material adjacent to the pole of the downstream leg 10 of the electromagnet 8, as viewed in the direction (arrow 6) of rotation of the part 1 about its axis X--X. FIG. 11 further shows a light source 23 (e.g., a lamp which is pivotably mounted on the frame of the unit 22) which illuminates the rotating and longitudinally advancing part 1 so as to allow for immediate visual detection of pinpointed defects. Visual detection can be resorted to in lieu of or in addition to automatic detection by optoelectronic monitoring means (shown schematically at 24) which can include or constitute a suitable camera. A material removing device 25 is provided in or on the frame of the unit 22 to remove pulverulent material which has pinpointed the defects. The material removing means 25 can utilize a grinding machine or the like and can be actuated by hand or in response to signals from the camera 24. The material removing means 25 can also employ one or more chisels (tools) which are designed to remove pulverulent material as well as some material of the tested part 1.」(9欄19~68行)
(当審訳:「図11および図12を参照すると、改良された方法の実施のために利用することができる完全な装置の一形態が示されている。強磁性部品1は、長手方向に進められ(矢印4)、同時に、軸線が軸線X-Xと斜角をなす2組のロール5(これらの組のそれぞれの1つのロールのみが実際に示されている)によって、その軸線X-X(矢印6)を中心に回転させられる。テストステーションを定義するユニットは、文字22で示されている。ロール5は、弾性リム5aで形成されているか、または形成することができ、これはいくつかの理由で望ましい。したがって、このようなロールは、部品1の周辺表面を損傷する可能性が低く、円形、楕円形、正方形、または他の多角形の外形を有するワークピース(例えば、鋼または他の強磁性材料からなる半製品)の長手方向の前進および同時回転に使用することができる。さらに、適切なエラストマー材料で作られた周辺部分5aを有するロールの利用は、テストされる部品の輸送中の騒音の低減に寄与する。例えば、ロール5は、硬質ゴムまたはエラストマー合成樹脂材料で作られたリム5aを有することができる。また、空気または別の気体流体が充填されている空気タイヤ5aを有するロールまたはホイールを採用することも可能である。
磁石8または磁石8および18は、図2~図10に関連して説明したのと同様に、ユニット22の下部に設置され、ユニット22は、軸X-Xを中心とした部品1の回転方向(矢印6)で見て、電磁石8の下流側の脚部10の極に隣接する乾燥した微粉状の磁性体のクッション7を確立して維持するための前述の手段をさらに収容する。図11はさらに、ピンポイントの欠陥を即座に視覚的に検出できるように、回転して長手方向に進む部品1を照らす光源23(例えば、ユニット22のフレームに揺動可能に取り付けられたランプ)を示している。視覚的な検出は、適切なカメラを含むまたは構成することができる光電子監視手段(24で概略的に示す)による自動検出の代わりに、またはそれに加えて頼ることができる。材料除去装置25は、ユニット22のフレーム内または上に設けられ、欠陥をピンポイントで検出した微粉状の材料を除去する。材料除去手段25は、研削機などを利用することができ、手でまたはカメラ24からの信号に応じて作動させることができる。また、材料除去手段25は、被検査部品1の一部の材料だけでなく、微粉状の材料を除去するように設計された1つ以上のチゼル(工具)を採用することもできる。」)
エ 「An additional important advantage of the improved method and apparatus is that the pulverulent magnetic material need not be propelled against the surface of the advancing and rotating part 1. This not only reduces the energy requirements of the apparatus but it also contributes to reliability of the testing operation because the periphery of the part 1 advances and rotates relative to a stationary cushion 7 of pulverulent material whose mass is preferably constant so as to ensure that the circumstances are the same for the testing of each and every portion of the ferromagnetic part. In many conventional testing apparatus, pulverulent magnetic material or an emulsion of such material is propelled against the periphery of the advancing ferromagnetic part which renders it practically impossible to ensure that the propelled material can impinge with equal force and at the same angle upon each and every portion of the part. The angle of impingement must vary if the ferromagnetic part to be tested advances longitudinally past one or more nozzles which spray a dry or an emulsified magnetic material. While the conduit or conduits 13 which are used in the illustrated testing apparatus can also direct dry pulverulent magnetic material against the periphery of the advancing and rotating part 1, they merely serve to replenish the supply of pulverulent material in the cushion 7 so that the angle at which the admitted pulverulent material initially impinges upon the part 1 is of no consequence.」(10欄43行~11欄2行)
(当審訳:「改良された方法および装置のさらなる重要な利点は、微粉状の磁性材料を前進および回転する部品1の表面に対して推進する必要がないことである。これは、装置のエネルギー要件を低減するだけでなく、試験操作の信頼性にも寄与する。なぜなら、部品1の周縁部は、強磁性部品の各部分の試験のために状況が同じであることを保証するために、好ましくは質量が一定である微粉状の材料の静止したクッション7に対して前進および回転するからである。多くの従来の試験装置では、微粉状の磁性材料またはそのような材料のエマルジョンが、前進する強磁性部品の周辺に対して推進されるが、これでは、推進された材料が部品の各部分に同じ力で同じ角度で衝突することを保証することは実質的に不可能である。テストされるべき強磁性部品が、乾燥または乳化した磁性材料を噴霧する1つまたは複数のノズルを長手方向に通過する場合、衝突の角度は変化しなければならない。図示された試験装置で使用されている導管または導線13は、前進して回転する部品1の外周に対して乾燥した微粉状の磁性材料を導くこともできるが、それらは単にクッション7内の微粉状の材料の供給を補充する役割を果たしているだけであるので、受け入れられた微粉状の材料が最初に部品1に衝突する角度は重要ではない。」)
オ 「[図:0001395175000007.jpg]」(図1)
カ 「[図:0001395175000008.jpg]」(図7)
(3)引用文献3の記載事項
引用文献3には次の記載がある。
ア 「丸鋼材1はローラーテーブル上を該丸鋼材1の軸線周りに回転しながら長さ方向(矢印B方向)に、すなわちスパイラル運動をしながら送られてくる。」(2ページ左上欄11行~13行、第1図、第4図)
イ 「上記のように構成された磁化装置3は、磁極4aが丸鋼材1に近接し、かつ、丸鋼材1の側部またはこれより下方の部分に向かうように配置してある。第1図および第2図は、それぞれ磁化装置3を丸鋼材1の直下および側方に配置した場合を示すが、これに限ることなく、斜下方に配置したものであってもよい。丸鋼材1が磁化装置3を通過するとき丸鋼材1は第3図に示すように交流磁化される。すなわち、磁力線Mは丸鋼材1の上部附近すなわちX-Yより上部では該丸鋼材表面に平行である。従って丸鋼材の上部すなわちX-Yの上部では丸鋼材1の長さ方向の欠陥があれば、磁力線Mは該欠陥部の深さ方向にほぼ直角となり、該欠陥部にかなり強い漏洩磁束を生ずる。そして、該漏洩磁束に前述のように丸鋼材1の全面に散布された磁粉液の磁粉が吸引されて、欠陥を示す磁粉模様Aを形成する。」(2ページ右上欄1行~17行、第1図~第3図)
ウ 第1図、第2図
「[図:0001395175000009.jpg]」
エ 第3図、第4図
「[図:0001395175000010.jpg]」
(4)引用文献4の記載事項
引用文献4には次の記載がある。
ア 「2.特許請求の範囲(1)蛍光物質を被着させた磁粉を用いて被検査材の表面疵を探傷する磁粉探傷方法において、被検査材を磁化してその表面に磁粉溶液を散布した後、この被検査材を磁化させた状態で被検査材の表面に散水して被検査材表面に付着している不要磁粉を洗い流し、この後被検査材表面の残存磁粉を検査して被検査材の表面疵を探傷することを特徴とする磁粉探傷方法。」
イ 「まず、第1図(a)に示した磁粉溶液散布工程について説明すると、この磁粉溶液の散布は、従来の湿式磁粉探傷方法と同様に、被検査材1を飽和磁化させた状態で行われる。なお、この実施例では被検査材1の磁化方法として、被検査材1に通電棒2を挿通し、この通電棒2に磁化電流を流して被検査材1を磁化させる貫通法を採用している。また、被検査材1を飽和磁化させるのに必要な磁化電流は・・・長さ300~500mmの鋼管の場合は、1000A程度で十分である。一方、被検査材表面への磁粉溶液の散布は、被検査材1を飽和磁化させた状態(磁化電流を通電したままの状態)で被検査材1を回転させながら行われる。」(2頁左下~右下欄)
ウ 「そこで、この磁粉探傷方法では、被検査材1の表面に磁粉溶液4を散布した後に、被検査材表面に付着している不要磁粉を水による洗浄で除去してから疵検査を行うようにしている。」(3頁左上欄~右上欄)
エ 「そして、被検査材表面への散水は、磁粉溶液の散布時における被検査材1の磁化電流値と同じ磁化電流を通電棒7に通電して通電被検査材1を飽和磁化させた後に、磁化電流の通電を続行して飽和磁化状態を維持しながら行われる。また、被検査材表面への散水は、被検査材1を回転させるとともに散水ノズル10を被検査材1の長さ方向に移動させながら行われる。」(3頁左下欄)
オ 「例えば被検査材1が直径35mmの鋼管である場合は、被検査材1を約2sec/rpmで回転させ、散水ノズル10を約50mm/secで移動させれば、同一部分への散水時間を0.2秒にすることができる。」(4頁左上欄)
カ なお、上記実施例では、磁粉溶液散布時および不要時粉除去時の被検査材1の磁化を貫通法によって行っているが、この被検査材1の磁化は直接通電法やコイル法等によって行ってもよく、また不要磁粉を除去する際の被検査材の磁化は、磁粉溶液散布部においてこの磁粉溶液散布部の磁化装置を利用して行ってもよい。」(4頁左下欄~右下欄)
(5)引用文献5の記載事項
引用文献5には次の記載がある。
「【特許請求の範囲】【請求項1】ローラの被測定部に音波振動を与える音波振動発生装置と、前記音波振動により被測定部が加熱され、前記ローラの被測定部から放射される赤外線を所定の方向に反射する反射板と、該反射板から反射される赤外線によって前記ローラの被測定部に発生する温度分布を撮影する赤外線カメラと、該赤外線カメラの熱画像から前記ローラの被測定部の温度分布状態を分析して亀裂等を検出する分析装置とを有することを特徴とするローラの亀裂診断装置。・・・【請求項16】前記ローラを1/n回転させ、前記各工程を繰り返すことでローラの全周について検査することを特徴とする請求項10から15のいずれかに記載のローラの亀裂診断方法。」
「【発明の詳細な説明】【技術分野】【0001】本発明は、各種のローラに発生する亀裂や傷等を診断する診断方法と診断装置とに関し、特に、材料の亀裂に対して超音波振動を与えた場合に発生する亀裂の温度変動を、赤外線サーモグラフィ装置で検出する亀裂診断装置及び方法に関するものである。」
「【0037】保護カバー3がテーブルローラ1のほぼ半周を覆っているので、赤外線カメラ12で撮影できるのは、ネック部1cの半周だけである。したがって、テーブルローラ1を180度回転して上記の手順を2回繰り返すことで、ネック部1cの全体の赤外線画像を得ることができる。1/2ずつの撮影では無理な場合には、1/3回転ずつ、あるいは1/4回転ずつ、一般には、1/n回転ずつテーブルローラ1を回転して繰り返し撮影してもよい。このようにすることで、保護カバー3を取り外すことなく、ネック部1cの全体を測定できる。」
2 申立人が提出した追加の参考資料
申立人は本件訂正請求により新たに生じた引用発明との相違点に関し、申立人意見書において参考資料1~6として新たな証拠を提示した。
(1)参考資料の一欄
上記参考資料1~6は次のとおり。何れも、本件特許の出願日前に公知となったものである。
(2)参考資料1の記載事項
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参考資料1には次の記載がある。
ア 1頁左上欄
「この発明は磁粉探傷機の改良とくに製鉄、製鋼における管体または棒体の磁粉探傷機の改良に関するものである。」
イ 2頁右上欄
「つぎに実施例を図面によって説明する。第2図、第3図はそれぞれこの発明の正面図、側面図を示している。図において(1)は被検管体を示し、(2)は磁極、(3)は励磁コイル、(4)は磁気ヨーク、(5)は支持枠、(6)はエアシリンダー(7)は磁気ヨーク鉄心を示している。また(8)はタテ磁化用電磁コイルである。磁極(2)は被検管体(1)の表面に近接して対向設置され矢印線で示したように磁束(7)を被検体に通ずる。」
ウ 第2図
「[図:0001395175000011.jpg]」
(3)参考資料2の記載事項
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参考資料2の80頁右欄以下には次の記載がある。なお、○の中に数字を記載した番号表記については、「○2」などと分かち書きした。
「8.3 極間式磁粉探傷装置による指示書の例極間式磁粉探傷装置を用いた磁粉探傷試験指示書として、配管溶接部の保守点検における例を示す。・・・3.試験装置及び材料続きを表示(全20行)・・・(3)極間式磁化器に使用する補助磁極は、取り付けた状態で安定して磁化できるものを使用する。・・・5.試験方法・・・(2)磁化方法交流を用いた極間法によって磁化し、磁粉の適用時期は連続法とする。(3)磁化条件・・・○2 補助磁極の使用方法磁極部に、補助磁極をしっかりと固定する。補助磁極を取り付けた場合の磁極間隔は図8.2に示すように、もとの磁極間隔より狭くなるようにして使用する。○3 磁極の配置磁極の配置は図8.2に示すように、溶接線に直交及び平行の二方向とする。[図:0001395175000012.jpg]・・・」
(4)参考資料3の記載事項
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参考資料3には次の記載がある。
「【0001】【産業上の利用分野】本発明は、磁粉探傷における磁粉模様形成方法と装置に関するものである。・・・【0029】【発明の効果】・・・被検査材表面の余剰磁粉液を除去するための水の散水時に磁粉液の散布時より被検査材の励磁力を上げると同時に散布する水の粒子の粒径を小さくすることで余剰磁粉を完全に除去できると同時に従来、余剰磁粉と共に除去されてしまっていた疵部に付着した磁粉を除去することなく残すことができるため、疵検査を行う際の誤認をなくすことができる。・・・[図:0001395175000013.jpg][図:0001395175000014.jpg]」
(5)参考資料4の記載事項
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参考資料4には次の記載がある。
「1 はじめに近年,視眼立体視できる3Dテレビの普及により,立体視の技術を用いた多くの応用が提案されている.その中で我々は大量の商品をショーケースに並べている展示物をデジタル化し,立体的に表示する展示ンステムの開発と,それを保存するための多視点立体視画象データベースを作成に取り組んでいる.・・・2.3データベースについて続きを表示(全11行)このデータベースは商品毎に,回転台に乗せた撮影の対象物を複数の角度から撮影した動画像のファイルパス,その映像中に対象吻が1回転するときの開始フレーム番号と終了フレーム番号,撮影された映像の位置ずれを補正する平行移動量,そして角度間の補間処理によって求めた動画像ファイルのパスが保存されている.・・・.3 実験3.1撮影器具と撮影手順・・・角度毎に動画像の撮影を行った.・・・一つの角度毎に対象物を1周分撮影した動画像を得るため,1度に2周半の映像を撮影した.・・・.[図:0001395175000015.jpg]4 実験結果多視点立体画像データベースを作成するために,15度刻みで対象物を撮影した後に,その刻み幅の間に存在する画像を補間処理によって求めることで,対象物を半球内の自由視点から観察できる展示システムを作成した.」
(6)参考資料5の記載事項
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参考資料5には次の記載がある。
「1.はじめにスポーツのテレビ中継では、あるシーンをリプレイする際、360度周囲からの視点を用いることがある。しかしこれには、多数のカメラを配置するなどの大がかりな設備が必要とする事が多い。本研究では、カメラ付きスマートデジタルデバイスであるiPadを用いて、360度周囲からの多視点写真(ラウンドビュー写真)を取得する方式を提案する。搭載されている、磁気センサ(電子コンパス)、加速度センサおよびジャイロセンサを利用して、ラウンドビュー写真を簡易に取得する方法を検討した。・・・4.ラウンドビュー写真の取得写真の撮影には、iPadのカメラ、地磁気センサ、加速度センサ、ジャイロセンサを用いて撮影する。地磁気センサでは、撮影時の方位を取得する。加速度センサとジャイロセンサは、組み合わせて使用する。加速度センサでは端末の向き(縦、上下逆、右、左)を取得する。ジャイロセンサでは、加速度センサで取得した向きの地面に対して水平な軸を基準に、端末の傾き角度を取得する。角度はラウンドビュー写真を作成する際、写真の角度を補正する際に使用する。前提条件として、撮影する位置はわかっているものとし、撮影時の端末の高さは自分で調整する。」
(7)参考資料6の記載事項
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参考資料6には次の記載がある。
「【技術分野】【0001】本発明は、試験体の表面の割れなどの欠陥検査及びその支援に係り、特に、磁粉探傷,浸透探傷といった非破壊検査法に基づく欠陥検査方法,欠陥検査装置及び欠陥検査支援方法に関する。・・・【0019】図lにおいて、試験体1が図示しない検査台上に載置されている。ここでは、この試験第1の表面には割れ欠陥2aが存在し(但し、この割れ欠陥2aは、表面に開口があるものでもよいし、また、開口がなくて表面には現われていない表面近くのものであってもよい)、既に蛍光磁粉の溶液が散布されて磁化されているものとする。照明電源6から紫外線照明手段4a,4bに電源を供給してこの試験体1を紫外線で照明すると、この試験体1の表面の割れ欠陥2aに集まった蛍光磁粉が緑色に発光する。このため、カラーテレビカメラ3でこの試験体Iの表面を撮像すると、割れ欠陥2aは濃い緑色の線として見える。・・・[図:0001395175000016.jpg]」
3 本件特許発明1について
(1)本件特許発明1と引用発明1-1との対比
ア 構成aの「鋼管が載置されて、鋼管の円周を完全にスキャンすることができるように鋼管を回転駆動し回転駆動する、2つのローラから成る鋼管駆動装置」は、構成1Aの「被検査物を回転可能に支持する支持部」に相当する。
イ 構成bの「磁化装置」は、構成1Bの「前記被検査物を磁化する磁化部」に相当する。
ウ 構成cの「磁性体懸濁液(磁性粉液)」、「磁性体懸濁液(磁性粉液)吹き付け装置」はそれぞれ、構成1Cの「磁粉液」、「前記被検査物に磁粉液を塗布する塗布部」に相当する。
エ 構成dの「鋼管画像取得装置」は構成1Dの「前記被検査物を撮像する撮像部」に相当する。
オ 構成eで、「磁化装置」が「鋼管の円形断面における最下部に面して配置され」ていることは、当該「円形断面」が設定された鋼管の軸方向(座標)の特定位置に「磁化装置」も位置しているのであるから、それによる鋼管の磁化も軸方向の特定位置に対して行われることが明らかである。
加えて、鋼管の回転駆動により(鋼管磁粉蛍光探傷装置は)「鋼管の円周を完全にスキャンすることができる」のであるから、これらをあわせ、構成eの「磁化装置」は、鋼管の軸方向の特定座標位置で、鋼管の回転駆動により「鋼管の円周を完全にスキャン」できるといえる。
さらに、鋼管表面が「磁化装置」と対面することで磁化されることは明らかである。
よって、前記総合すると、構成eにおいて、「磁化装置」は鋼管の軸方向の特定位置において「鋼管の円周を完全にスキャン」し、鋼管表面を当該鋼管の円周にわたり磁化する機能を備えるといえる。
この機能は、構成1Eの「前記磁化部は、前記被検査物が軸方向において前記磁化部近傍の表層部を全周にわたって磁化可能に構成され」るとの機能に相当する。
カ(ア)構成fの「鋼管の最下部に面して配置される磁化装置と、それにほぼ隣接して鋼管の下方位置に配置される磁性体懸濁液(磁性粉液)吹き付け装置は、鋼管の欠陥部に磁性粉の付着物を生成」する機能は、構成1Fの「被検査物の表面に下方側で前記磁粉液を塗布」する機能に相当する。
(イ)構成gの「磁化装置及び磁性体懸濁液(磁性粉液)吹き付け装置の上方であって、下限規格の鋼管の斜め上方に配置される、蛍光フィルタを取り付けたカメラを含む鋼管画像取得装置のカメラにより画像を撮影する」機能は、「鋼管の最下部に面して配置される磁化装置と、それにほぼ隣接して鋼管の下方に配置される磁性体懸濁液(磁性粉液)吹き付け装置」の位置を「下方側」とした場合、「カメラ」がそれより上方にあたり、また、下限規格の鋼管に対しても「斜め上方」すなわち上方側にあたるから、構成1Gの「上方側で撮像する」機能に相当する。
(ウ)構成aで、「鋼管の円周を完全にスキャンすることができるように鋼管を回転駆動」されていることは、構成1Fで「被検出物」が「回転する回転状態」にあることに相当する。
キ 構成h・h’の「鋼管用磁粉蛍光探傷装置」は、構成1H・1H’の「磁粉探傷装置」に相当する。
(2)本件特許発明1と引用発明1-1との一致点・相違点
本件特許発明1と引用発明1-1とは下記アの点で一致し、イの各点で相違する。
ア 一致点
「1A’被検査物を回転可能に支持する支持部と、1B 前記被検査物を磁化する磁化部と、1C 前記被検査物に磁粉液を塗布する塗布部と、1D 前記被検査物を撮像する撮像部とを備え、1E 前記磁化部は、前記被検査物が軸方向において前記磁化部近傍の表層部を全周にわたって磁化可能に構成され、1F’回転する回転状態の前記被検査物の表面に下方側で前記磁粉液を途布し、1G 上方側で撮像するように構成される1H 磁粉探傷装置。」
イ 相違点
(ア)相違点1(構成A)
本件特許発明1は、「水平方向を軸にして」被検査物を回転可能に支持するものであるのに対し、引用発明1-1では、被検査物である鋼管を回転駆動、すなわち回転可能に支持しているものの、それを水平方向を軸にしているとは明示的に特定されていない点。
(イ)相違点2(構成E)
本件特許発明1では、磁粉液の塗布と撮像とが行われる被検査物の回転が「一定速度」であるのに対し、引用発明1-1では、回転速度について特定が
ない点。
(ウ)相違点3(構成1I~1K)
「磁化部」に関し、本件特許発明1では、「互いの先端が平行状態から対向する状態となるように折り曲げた2つの爪を設け」ることを前提とし、該「2つの爪の間を結ぶ直線は、前記被検査物の軸方向と直交する方向に延びており」、該「2つの爪は、前記被検査物が軸方向において前記磁化部近傍の表層部を全周にわたって磁化可能に構成され」るとの特定事項を備えるのに対し、引用発明1-1は、前提構成となる前記「2つの爪」に相当する構成を備えず、よって、これを前提とする前記特定事項に相当する構成も備えない点。
(エ)相違点4(構成1L~1N)
「塗布部」の配置や機能に関し、本件特許発明1は、「被検査物の鉛直線上の真下に配置し」、「磁化部の前記2つの爪の内の1つの爪を、他の1つの爪と比較して前記被検査物の一定速度で回転する回転方向の前記塗布部より上流側で前記塗布部に近接して設けて」、「前記磁粉液を被検査物に対し鉛直線上真上に塗布する」との特定事項を備えるのに対し、引用発明1-1は該特定事項に相当する構成を備えない点。
(3)相違点について
ア 相違点1について
(ア)引用文献1において、鋼管の軸方向の姿勢について特定されず、引用文献1全体を通じ、鋼管をあえて軸方向に傾斜させるとの、または傾斜させることを許容するとの言及は見出せないから、当該姿勢には水平である場合と傾斜する場合とが含まれるといえる。
また、引用発明1-1において、鋼管をあえて軸方向に傾斜させることの技術的意義は見出せない。かえって、引用発明1が鋼管下方の2つのローラで鋼管を回転支持するもので軸方向の移動を規制または制御する構造を明示的に伴わないものであることに照らし、鋼管を軸方向に有意に傾斜させることは、ローラによる鋼管の回転に際し鋼管が傾斜方向にずれ動く懸念を想起させ、また、吹き付けた磁性体懸濁液(磁性粉液)も傾斜方向に流れ伝って鋼管表面を汚染したり、磁粉の付着状態・量の制御を困難にしたりすることを想起させ、逆に、そうした傾斜により得られ得る効果は容易に想起されない。
よって、引用発明1-1において、鋼管が軸方向に水平配置されると理解することが自然であり、少なくとも該水平配置される態様を(第一義的に)含むといえるから、相違点1は実質的なものではない。
(イ)仮に、相違点1が実質的な相違点であるとしても、引用発明1-1と同様に断面円形の長尺部品を円周方向に回転させながら磁粉探傷する際に、水平である部品の長手方向の軸を中心に回転させることは、引用文献2にも記載されるとおり(上記第2の3(1)アの記載事項参照。)周知であるから、引用発明1-1において相違点1の構成とすることは当業者が容易になし得たことである。
イ 相違点2について
(ア)引用発明1-1に探傷時の鋼管の回転速度について特定はなく、引用文献1全体を通じ特段の言及もない。そして、引用発明1-1において当然に探傷時に鋼管の回転速度を変動させるべき技術的な事情も理由もなく、回転駆動制御として定速回転が最も単純な制御であることから、引用発明1-1は少なくとも、探傷時の鋼管の回転速度を一定速度とする態様を含み、その選択は当業者にとって容易であるといえる。
よって、相違点2は実質的なものではないし、引用発明1-1において相違点2の構成とすることは当業者が容易になし得たことでもある。
(イ)仮に相違点2が実質的な相違点であるとしても、例えば引用文献4に、鋼管を回転させながら磁粉溶液散布部で磁化させながら磁粉溶液を散布し、同部で不要磁粉を散水により除去する際に、鋼管の回転速度を定まった値とすることが記載されているとおり(上記第2の4(1)の特にア、イ、オ、カ参照。)、磁粉探傷時の被検材の定速回転は周知の技術にすぎない。
よって、引用発明1-1において相違点2の構成とすることは、周知技術
の採用によっても当業者が容易になし得たことである。
ウ 相違点3について
相違点3の前提構成である、磁化部に対し「互いの先端が平行状態から対向する状態となるように折り曲げた2つの爪を設け」ることについて、本件特許異議申立書において証拠として挙げられた引用文献2~5の何れにも開示がない。
しかし、鋼管に対する磁粉探傷装置として、磁化部にコの字型の磁石を採用した極間式であって、該磁化部の2つの磁極を結ぶ直線が鋼管の軸方向と直交する方向に延びるように配置するものは引用文献2・3にも記載されたとおり周知である(上記1(2)カ、1(3)ウ、1(3)エ参照)し、鋼管の磁粉探傷に用いる同種の磁化部として、各磁極の先端に互いの先端が平行状態から対向する状態となるように折り曲げた2つの爪を設けて磁力線を鋼管へ導くようにしたものも、上記2(2)に挙げた、申立人意見書に添付された参考資料1(特に上記2(2)ウの第2図)及び上記2(3)に挙げた同参考資料2(特に図8.2(b))の各記載によって裏付けられるとおり、当該分野においてごく周知のものである。そして、上記周知の構成を採用することにより「2つの爪は、前記被検査物が軸方向において前記磁化部近傍の表層部を全周にわたって磁化可能に構成され」ることになる。
よって、引用発明1-1の磁化部の具体的な構成について、相違点3の構成とすることは、周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。
エ 相違点4について
相違点4のうち、磁粉液の「塗布部」を、(磁化部の極間かつ)鋼管である被検査物の鉛直線上真下に配置し、磁粉液を鉛直線上真上に塗布する点については、引用文献2の図7(上記1(2)カ)に記載されている。
しかし、磁化部の各磁極が「2つの爪」で構成される点を措くとしても、塗布部を(極間式の)磁化部の各磁極のうちの一方を他方よりも塗布部の上流側で塗布部に近接するように配置する点については、異議申立書において証拠として挙げられた引用文献2~5の何れにも開示がないし、申立人意見書に添付された何れの参考資料にも開示がない。また、その他、前記配置とすることが周知技術であるとの証拠もない。
よって、引用発明1-1において、相違点4のうち、「磁化部の前記2つの爪の内の1つの爪を、他の1つの爪と比較して前記被検査物の一定速度で回転する回転方向の前記塗布部より上流側で前記塗布部に近接して設け」る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。
オ 申立人の主張について
申立人は、申立人意見書で、上記相違点4について、引用文献1及び引用文献2開示の技術から適宜なし得る旨主張している。
しかし引用文献1及び2には、構成1Nの「前記塗布部から前記磁粉液を被検査物に対し鉛直線上真上に塗布する」との特定事項に相当する塗布部を、極間式の磁化部の各磁極のうちの一方を他方よりも塗布部の上流側で塗布部に近接するように配置することは記載されておらず、逆に、引用文献2には、上記1(2)カに摘記した図面からも看取できるように、前記構成1Nに相当する塗布部については、極間式の磁化部の中央付近に配置することのみが記載されている。
よって、上記相違点4の構成とすることが、引用文献1・2の記載事項に基づいて適宜なし得た事項ということはできず、申立人の前記主張は採用できない。
(4)小括
上記(3)のとおりであるから、本件特許発明1は、引用発明1-1及び引用文献2~5に記載された事項、さらには参考資料1~6の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものではない。
4 本件特許発明4について
(1)本件特許発明4と引用発明1-2との対比
ア 構成4aの「鋼管の円周を完全にスキャンすることができるように鋼管を回転駆動」する工程は、構成4Aの「被検査物を回転させる工程」に相当する。
イ 構成4bの「鋼管に磁性体懸濁液(磁性粉液)吹き付け装置で磁性体懸濁液(磁性粉液)を吹き付け」る工程は、構成4Bの「前記被検査物に磁粉液を塗布する工程」に相当する。
ウ 構成4cの「鋼管を磁化装置で磁化」する工程は、構成4Cの「前記被検査物を磁化する工程」に相当する。
エ 構成4dの「蛍光フィルタを取り付けたカメラを含む鋼管画像取得装置で鋼管の画像を取得」する工程は、構成4Dの「前記被検査物を撮像する工程」に相当する。
オ 構成4fの「鋼管の最下部に面して配置される磁化装置と、それにほぼ隣接して鋼管の下方位置に配置される磁性体懸濁液(磁性粉液)吹き付け装置とにより、鋼管の欠陥部に磁性粉の付着物を生成」する工程は、ここでの「磁性体懸濁液(磁性粉液)吹き付け装置」が構成4bで特定される「鋼管に磁性体懸濁液(磁性粉液)吹き付け装置で磁性体懸濁液(磁性粉液)を吹き付け」る工程を担うものであるから、構成4Eの「前記被検査物の表面に下方側で前記磁粉液を塗布」する工程に相当する。
カ 構成4eの「鋼管の円周を完全にスキャンすることができるように鋼管駆動部により回転駆動され」なる工程は、この工程を行いながら上記構成4fの工程で上記構成4bで特定される「磁性体懸濁液(磁性粉液)吹き付け装置で磁性体懸濁液(磁性粉液)を吹き付け」る工程が実行されるものであるから、構成4Eにおいて、「前記被検査物の表面に下方側で前記磁粉液を塗布」する工程が「前記被検査物を」「回転させながら」行われることに相当するといえる。
キ(ア)構成4gの「磁性体懸濁液(磁性粉液)吹き付け装置の上方、下限規格の鋼管の斜め上方に配置されたカメラにより画像を撮影する」工程は、カメラによる撮影位置が磁粉液の塗布位置より上方側であるし、かつ、少なくとも「下限規格」の被検体にとってその(側方より)上方側でもあることから、構成4Fの「上方側で撮像する」工程に相当するといえる。
(イ)構成4gにおいて「鋼管画像取得装置により画像を撮影する」工程は、それを担う前記「鋼管画像取得装置」が「磁化装置及び磁性体懸濁液(磁性粉液)吹き付け装置に対し鋼管1の回転方向側」に配置されていることから、磁化装置による磁化工程が行われたあとで、鋼管1が回転して鋼管画像取得装置に対面したタイミングで「紫外フラッシュランプ7、可視フラッシュランプ12」の発光を伴う撮像が行われる機序となることが明らかであるといえる。
よって、構成4gの「磁化装置及び磁性体懸濁液(磁性粉液)吹き付け装置に対し鋼管1の回転方向側であって、磁化装置3や磁性体懸濁液(磁性粉液)吹き付け装置4の上方、下限規格の鋼管1の斜め上方に配置された、蛍光フィルタ11が取り付けられたカメラ9及び紫外フラッシュランプ7、可視フラッシュランプ12からなる鋼管画像取得装置により画像を撮影する」工程は、構成4Iの「前記被検査物を磁化する工程の次に、被検査物の表面への紫外線の照射する工程を備え」ることに相当する構成を含むといえる。
ク 構成4hの「鋼管の磁粉蛍光探傷方法」は、構成4G・4G’の「磁粉探傷方法」に相当する。
(2)本件特許発明4と引用発明1-2との一致点・相違点
本件特許発明4と引用発明1-2とは下記アの点で一致し、イの各点で相違する。
ア 一致点
「4A’ 被検査物を回転させる工程と、4B 前記被検査物に磁粉液を塗布する工程と、4C 前記被検査物を磁化する工程と、4D 前記被検査物を撮像する工程とを備え、4E’ 前記被検査物を回転させながら、前記被検査物の表面に下方側で前記磁粉液を塗布し、4F 上方側で撮像する4G 磁粉探傷方法であって4I 前記被検査物を磁化する工程の次に、被検査物の表面への紫外線の照射する工程を備える、4G’ 磁粉探傷方法。」
イ 相違点
(ア)相違点4-1(構成4A)
本件特許発明4は、「水平方向を軸にして」被検査物を回転させるのに対し、引用発明1-2では、被検査物を回転させる際に水平方向を軸にしているとは明示的に特定されていない点。
(イ)相違点4-2(構成4E)
本件特許発明4では、磁粉液の塗布と撮像とが行われる被検査物の回転が「一定速度」であるのに対し、引用発明1-2では、回転速度について特定がない点。
(ウ)相違点4-3(構成4H)
被検査物を磁化する工程が、本件特許発明4では「互いの先端が平行状態から対向する状態となるように折り曲げた2つの爪を設け、前記磁化部の2つの爪の間を結ぶ直線は、前記被検査物の軸方向と直交する方向に延びており、前記2つの爪により、前記磁化部近傍の表層部の軸方向に延びる傷を磁化する」ものであるのに対し、引用発明1-2では、該工程に用いる磁化部及びそれにより磁化される傷の性状について、対応する特定事項を備えない点。
(エ)相違点4-4(構成4J)
本件特許発明4が「被検査物を撮像する工程の前に余分な磁粉を除去する工程」を備えるのに対し、引用発明1-2は対応する構成を備えない点。
(オ)相違点4-5(構成4K)
本件特許発明4が「前記被検査物を撮像する際に更に前記被検査物の回転を停止する工程」を備えるのに対し、引用発明1-2は対応する構成を備えない点。
(カ)相違点4-6(構成4L)
本件特許発明4が「前記被検査物を回転させる工程で、回転角度センサにより前記被検査物の回転角度を検出した検出値を前記被検査物を撮像する工程で撮像された画像と関連付けて格納する工程」を備えるのに対し、引用発明1-2は対応する構成を備えない点。
(3)相違点について
事案に鑑み、相違点4-6についてまず検討する。
ア 相違点4-6について
被検査物を回転させながら磁粉探傷を行う際に、回転角度を回転角度センサで検出し、該検出した回転角度値を磁粉探傷画像と共に格納するようにするとの技術事項について、引用文献2~5の何れにも開示がないし、申立人意見書に添付された何れの参考資料にも開示がない。また、その他、当該技術事項が周知技術であるとの証拠もない。
よって、引用発明1-2において、相違点4-6の構成とすることは、引用文献2~5、さらには参考資料1~6の記載事項を考慮しても、当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。
イ 申立人の主張について
申立人は相違点4-6に係る技術事項について特に参考資料4・5を挙げてその容易想到性を主張する。
しかし、参考資料4は水平回転する展示物の多視点撮影に関する技術を開示するものの、回転角度センサを用いることや、画像に回転角度センサの検出値を関連付けて保存することについて具体的な開示を伴わない。
また、参考資料5は、カメラ(iPad)側を風景に対して回転させて複数枚の写真を撮影するパノラマ撮影(ラウンドビュー写真)に関する技術を開示するものであり、被写体の回転角度を検出する回転角度センサに対応する手段を備えないし、これを設ける動機付けも存在しない。また、このことを措くとしても、参考資料4と同様に、回転角と画像とを関連付けて保存することについて、具体的な開示を伴うものでもない。
よって、前記申立人の主張は採用できない。
(4)小括
上記(3)のとおりであるから、相違点4-1~4-5について検討するまでもなく、本件特許発明4は、引用発明1-2及び引用文献2~5に記載された事項、さらには参考資料1~6の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものではない。
5 本件特許発明2・3について
上記3で説示したとおり、本件特許発明1は、引用発明1-1及び引用文献2~5に記載された事項、さらには参考資料1~6の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものではない。
よって、本件特許発明1をさらに限定した発明にあたる本件特許発明2・3についても、引用発明1-1との間に上記3(2)イで挙げた相違点1~4と同様の相違点が存在するといえ、そのうち相違点4について上記3(3)エで説示したものと同様の理由が成り立つから、本件特許発明2・3は、その他の相違点について検討するまでもなく、引用発明1-1及び引用文献2~5に記載された事項、さらには参考資料1~6の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものではない。
6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
取消理由通知及び取消理由通知(予告)おいて採用しなかった特許異議申立理由はない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、本件請求項1~4に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1~4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、請求項5及び6に係る特許は、上記のとおり、訂正により削除された。これにより、申立人による特許異議の申立てについて、請求項5及び6に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
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2021-700679