特許異議申立
2021-700485
石膏プラスターボードの製造方法およびそれにより得られる石膏プラスターボード
- 審判番号
- 2021-700485
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2016-570975
- 登録番号
- 6791761
- 請求日
- 2021年05月21日
- 審決日
- 2022年08月23日
- 公報発行日
- 2022年11月25日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】クナウフ ギプス カーゲー
- 【権利者代理人】葛和 清司
- 【異議申立人】金澤 毅
- 審判長/審判官
- 審判長 宮澤 尚之
- 審判官 日比野 隆治
- 審判官 関根 崇
- 分類
- P1651.113-YAA(B28B) / P1651.121-YAA(B28B) / P1651.537-YAA(B28B) / P1651.851-YAA(B28B) / P1651.852-YAA(B28B) / P1651.853-YAA(B28B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第2項、特許法第113条第4号、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第1項第3号、特許法第113条、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6791761号発明「石膏プラスターボードの製造方法およびそれにより得られる石膏プラスターボード」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6791761号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~20〕について訂正することを認める。
特許第6791761号の請求項1~16、18~20に係る特許を維持する。
特許第6791761号の請求項17に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許権者であるクナウフ ギブス カーゲーが保有する本件特許第6791761号の請求項1~20に係る特許についての出願は、2015年(平成27年)4月9日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2014年6月5日、欧州特許庁(EP))を国際出願日とする出願であって、特願2016-570975号として審査され、令和2年11月9日に特許権の設定登録がされ、同年同月25日に特許掲載公報が発行された。
その後、当該特許掲載公報の発行の日から6月以内にあたる令和3年5月21日に、本件特許の全請求項に係る特許について、特許異議申立人である金澤毅により、特許異議の申立てがされた。
そして、令和3年9月14日付けで当審より取消理由が通知され、同年12月15日に特許権者より訂正請求書及び意見書が提出され、令和4年1月21日に特許異議申立人より意見書が提出され、さらに、同年5月10日付けで当審より決定の予告としての取消理由が通知され、同年8月9日に特許権者より訂正請求書及び意見書が提出された。
第2 本件訂正の適否
1 本件訂正の内容
令和4年8月9日にされた訂正の請求(以下、その訂正を「本件訂正」という。)は、特許法第120条の5第4項の規定に従い、一群の請求項を構成する請求項1~20を訂正の単位とするものであって、その内容(訂正事項)は、次のとおりである。
なお、令和3年12月15日にした訂正の請求(以下、その訂正を「先の訂正」という。)は、同法同条第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。
(1) 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項3における「水分量」なる記載を、「水分率」と訂正する。
当該請求項3を引用する請求項についても同様に訂正をする(引用請求項について同様に訂正される部分については、以降の訂正事項では割愛をする。)。
(2) 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項10及び11における「液化手段」なる記載を、「液状化手段」と訂正し、請求項11における「液化剤」なる記載を、「液状化剤」と訂正する。
(3) 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項12における「第2の中間層(114)の形成中に」なる記載を、「第2の中間層(114)の形成のために」と訂正する。
(4) 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項15における「請求項9から14のいずれか一項」なる記載を、「請求項12から14のいずれか一項」と訂正する。
(5) 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項16、18及び19における「請求項11の共通石膏スラリー」を、「請求項15の共通石膏スラリー」と訂正する。
(6) 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項17を削除する。
(7) 訂正事項7
特許請求の範囲の請求項1及び12における「外層」なる記載を、「外側層」と訂正する。
(8) 訂正事項8
特許請求の範囲の請求項1における「第1の石膏スラリーが、第2のS2および/または第3のS3の石膏スラリーよりも低い水分量(重量)で、調製され、導入される」なる記載を、「第1の石膏スラリーS1が、第2のおよび第3の石膏スラリーS2、S3よりも低い水分率(重量)で、調製され、導入される」と訂正し、請求項12における「石膏スラリーS1が、石膏スラリーS2およびS3よりも低い水分量(重量)で調製され、導入され、石膏スラリーS1の水分量(重量)が、石膏スラリーS2および/またはS3の水分量(重量)と比較して減少されている」なる記載を、「第1の石膏スラリーS1が、第2のおよび第3の石膏スラリーS2、S3よりも低い水分率(重量)で調製され、導入され、第1の石膏スラリーS1の水分率(重量)が、第2のおよび第3の石膏スラリーS2、S3の水分率(重量)と比較して減少されている」と訂正する。
(9) 訂正事項9
特許請求の範囲の請求項1及び2における「(実質的に)」なる記載を、削除する。
(10) 訂正事項10
特許請求の範囲の請求項4、5及び7における「第1の(112)および/または第2の(114)中間層」なる記載を、「第1のおよび/または第2の中間層(112、114)」と訂正する。
(11) 訂正事項11
特許請求の範囲の請求項12における「コア層(13)」なる記載を、「コア層(113)」と訂正する。
(12) 訂正事項12
特許請求の範囲の請求項15における「中間層(112)が形成されるように」、「第2の中間層が形成されるように」なる記載を、それぞれ「第1の中間層(112)が形成されるように」、「第2の中間層(114)が形成されるように」と訂正する。
(13) 訂正事項13
特許請求の範囲の請求項16における「,、」を、「、」と訂正する。
(14) 訂正事項14
特許請求の範囲の請求項19における「第1のおよび/または第2の中間層の(平均)厚さが0.5mm以上(乾燥後)であり」を、「第1のおよび/または第2の中間層の平均厚さが、それらの乾燥状態において、0.5mm以上であり」と訂正する。
(15) 訂正事項15
特許請求の範囲の請求項12における「石膏プラスターボードの製造のための方法であって」を、「請求項1~8のいずれか一項に記載の石膏プラスターボードの製造方法であって」と訂正する。
(16) 訂正事項16
特許請求の範囲の請求項20における「請求項1~8のいずれか一項に記載の石膏プラスターボードの製造方法である、および/または、第1のおよび/または第2の外側層、および/または石膏層と第1のおよび/または第2の外側層との間の中間層にメチルセルロースが添加される、および/または、第1の石膏スラリーS1が、FGD、天然石膏またはチタン石膏である」を、「第1のおよび/または第2の外側層、および/または石膏層と第1のおよび/または第2の外側層との間の中間層にメチルセルロースが添加される、および/または、第1の石膏スラリーS1が、FGD、天然石膏またはチタン石膏である」と訂正する。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1) 訂正事項1について
訂正事項1は、請求項3における「水分量」が各スラリー中の水分の絶対量でないことは明らかであることにかんがみ、明細書の【0046】などにおける「水分率」なる記載に基づいて、当該「水分量」の内容を本来意図するものとする訂正であるから、明瞭でない記載の釈明ないし誤記の訂正を目的するものであって、新規事項の追加には該当しないとともに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(2) 訂正事項2について
訂正事項2は、請求項10、11における「液化手段」および請求項11における「液化剤」が明細書に記載されている用語と齟齬していることにかんがみ、明細書の【0055】における「液状化手段」、「液状化剤」なる記載に基づいて、用語の統一を図るための訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加には該当しないとともに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(3) 訂正事項3について
訂正事項3は、請求項12における「第2の中間層(114)の形成中に」なる記載の内容が判然としないことにかんがみ、本来意図する意味内容に照らし、同請求項12における「形成のために」なる記載と平仄を合わせる訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加には該当しないとともに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(4) 訂正事項4、5、11、13について
訂正事項4、5、11、13は、それぞれ請求項15の引用請求項に関する誤記、共通石膏スラリーが初出する請求項番号に関する誤記、コア層の表記番号に関する誤記、句読点に関する誤記を正すための訂正であるから、誤記の訂正を目的とするものであって、新規事項の追加には該当しないとともに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(5) 訂正事項6について
訂正事項6は、単に請求項17を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加には該当しないとともに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(6) 訂正事項7について
訂正事項7は、請求項1、12において、同一の層に対して「外層」、「外側層」という異なる用語が当てられていたことにかんがみ、これらの用語の統一を図る訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加には該当しないとともに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(7) 訂正事項8について
訂正事項8は、請求項1、12における「水分量」について、上記訂正事項1と同様の訂正を行うとともに、当該水分量(水分率)に関する規定をさらに限定するものであるから、明瞭でない記載の釈明ないし誤記の訂正と特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加には該当しないとともに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(8) 訂正事項9について
訂正事項9は、請求項1、2における「(実質的に)」を削除するものであるから、明瞭でない記載の釈明ないし特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加には該当しないとともに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(9) 訂正事項10、12、14について
訂正事項10、12、14は、請求項4、5、7、請求項15、請求項19それぞれに記載された中間層に関する事項が正確さを欠くものであったことなどにかんがみ、他の請求項の同様の記載などにも照らしながら明瞭化して正確なものとする訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加には該当しないとともに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(10) 訂正事項15、16について
訂正事項15は、請求項20に記載されていた「請求項1~8のいずれか一項に記載の石膏プラスターボードの製造方法である」なる記載に基づいて、この点を請求項12に付加して当該請求項12に係る発明を限定するものであり、訂正事項16は、この限定に合わせて、請求項20に記載されていた上記の記載を削除し、結果として、当該請求項20に係る発明を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加には該当しないとともに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
3 小括
以上のとおり、本件訂正に係る訂正事項1~16は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号から第3号までに掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
したがって、本件特許の特許請求の範囲を、令和4年8月9日提出の訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~20〕について訂正することを認める。
第3 特許請求の範囲の記載(本件発明)
上記第2のとおり、本件訂正は適法にされたものであるから、本件特許の特許請求の範囲の記載は、次のとおりのものとなった(請求項1~16、18~20に係る発明を、請求項の番号に合わせて「本件発明1」などといい、総じて「本件発明」という。)。
「【請求項1】
石膏プラスターボードであって、第1の外側層(111)、第2の石膏スラリーS2によって形成された第1の中間層(112)、第1の石膏スラリーS1によって形成されたコア層(113)、第3の石膏スラリーS3で形成された第2の中間層(114)、および第2の外側層(115)を含み、
第1の中間層(112)が、第1の外側層(111)とコア層(113)との間に配置され、第2の中間層(114)が、第2の外側層(115)とコア層(113)との間に配置され
中間層(112、114)が、それぞれ0.1mm~3mmの一定の厚さを有し、
前記石膏プラスターボードを構成する第1の石膏スラリーが、前記石膏プラスターボードを構成する全石膏スラリー(S1、S2、S3)の少なくとも80%(重量%)を含み、
【数1】
[図:0001390544000001.jpg]
および、第1の石膏スラリーS1が、第2のおよび第3の石膏スラリーS2,S3よりも低い水分率(重量)で、調製され、導入される、前記石膏プラスターボード。
【請求項2】
第1の外側層(111)および/または第2の外側層(115)が紙層であり、および/または、中間層(112、114)のそれぞれが0.2mm~1mmの一定の厚さを有するものである、請求項1に記載の石膏プラスターボード。
【請求項3】
石膏スラリーS1が、石膏スラリーS2および/またはS3と比較して10重量%以上減少された水分率で調製され、導入されることを特徴とする、請求項1または2に記載の石膏プラスターボード。
【請求項4】
コア層(113)、および任意選択的に第1のおよび/または第2の中間層(112、114)も、主にまたは排他的に、天然石膏またはFGD石膏によって形成され、および/または、
コア層(113)が、α-石膏とβ-石膏との混合物によって形成され、
α-石膏とβ-石膏との関係が、1:4~4:1であることを特徴とする、請求項1または2に記載の石膏プラスターボード。
【請求項5】
コア層(113)が、その乾燥状態において、第1のおよび/または第2の中間層(112、114)の、それらの乾燥状態と比較して、同じまたは同様の密度を有し、
層(112、113、114)間の密度の差は、20%未満であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の石膏プラスターボード。
【請求項6】
コア層(113)が、その乾燥状態で、第1のおよび/または第2の中間層(112、114)と比較して減少された密度を有することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の石膏プラスターボード。
【請求項7】
コア層(113)の密度が、第1のおよび/または第2の中間層(112、114)と比較して、少なくとも20%減少された密度を有する、請求項6に記載の石膏プラスターボード。
【請求項8】
中間層(112、114)が、同じ石膏スラリーS2、S3(S2=S3)によって形成されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の石膏プラスターボード。
【請求項9】
コア層(113)が、第1のミキサー(10)において調製された石膏スラリーS1によって形成され、中間層(112、114)が、第2のミキサー(12)で調製される第2の石膏スラリーS2によって形成されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の石膏プラスターボード。
【請求項10】
石膏スラリーS1が、液状化手段を含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の石膏プラスターボード。
【請求項11】
液状化手段が、ナフタレンスルホン酸塩、および/またはリグニンスルホネート、および/またはコア層を形成するための別の液状化剤である、請求項10に記載の石膏プラスターボード。
【請求項12】
請求項1~8のいずれか一項に記載の石膏プラスターボードの製造方法であって、石膏プラスターボードが、第1の外側層(111)、第2の石膏スラリーS2によって形成される第1の中間層(112)、第1の石膏スラリーS1によって形成されるコア層(113)、第3の石膏スラリーS3によって形成される第2の中間層(114)、および第2の外側層(115)を有し、以下のステップ:
- 第1の中間層(112)の形成のために、第2の石膏スラリーS2を第1の外側層(111)の上に堆積すること、
- コア層(113)の形成のために、第1の石膏スラリーS1を第1の中間層(112)上に堆積すること
- 第2の中間層(114)の形成のために、第3の石膏スラリーS3をコア層(113)または第2の外側層(115)の上に堆積すること、
- 第2の外層(115)によって第3の石膏スラリーS3を覆うか、または第3の石膏スラリーS3と共に第2の外側層(115)をコア層(113)の上に接合堆積すること、および、
- 平滑化装置によって、多層石膏プラスターボードを平滑化することを含み、
第1の石膏スラリーS1が、第2のおよび第3の石膏スラリーS2、S3よりも低い水分率(重量)で調製され、導入され、第1の石膏スラリーS1の水分率(重量)が、第2のおよび第3の石膏スラリーS2、S3の水分率(重量)と比較して減少されている、前記方法。
【請求項13】
石膏プラスターボードが、石膏スラリーS1、S2、S3の硬化後に、乾燥オーブンに供給され、
石膏プラスターボードが、時間の経過と共に非対称温度曲線を具備する乾燥プロセスに供給され、
乾燥工程の前半における温度が、乾燥工程の後半における温度よりも高く設定されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
石膏プラスターボードが個々のプレートにおける形成後に乾燥プロセスに供給され、および/または、乾燥工程の前半における平均温度が、乾燥工程の後半における平均温度よりも少なくとも30K高い、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項12から14のいずれか一項に記載の方法であって、以下のステップ:
- 第1のミキサー(10)の使用によって、第1の石膏スラリーS1を提供すること、ここにおいて原材料を第1のミキサーに供給するための第1の供給手段が提供され、
- 第1のミキサーから離間された、別の第2のミキサー(12)の使用によって、共通スラリーの部分としての特定の種類の石膏の第2のおよび第3の石膏スラリーS2、S3を提供すること、ここにおいて、原材料を第2のミキサーに供給するための別個の第2の供給手段が提供され、
- 第2の石膏スラリーの第1の中間層(112)が形成されるように、第2の石膏スラリーS2を堆積すること、
- 第3の石膏スラリーの第2の中間層(114)が形成されるように、第3の石膏スラリーS3を堆積すること、
- 第1の石膏スラリーのコア層が第1のおよび第2の中間層(112、114)の間に形成されるように、第1のおよび/または第2の中間層(112、114)上へ第1の石膏スラリーS1の少なくとも一部を堆積すること、
を含む、前記方法。
【請求項16】
第1のおよび第2の石膏スラリーS1、S2が、添加剤の種類および/または量において異なり、および/または、第1のおよび第3の石膏スラリーS1、S3が、添加剤の種類および/または量において異なり、第1のおよび請求項15の共通石膏スラリーが、添加剤の種類および/または量において異なり、および/または
任意に、第1の石膏スラリーおよび/または第2の石膏スラリーおよび/または第3の石膏スラリーおよび/または請求項15の共通石膏スラリーに、メチルセルロースが添加されることを特徴とする、請求項12~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】(削除)
【請求項18】
第2のおよび/または第3の石膏スラリーS2、S3および/または請求項15の共通石膏スラリーが、第1の石膏スラリーS1よりも速く固化することを特徴とする、請求項12~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
第1のおよび/または第2の中間層の平均厚さが、それらの乾燥状態において、0.5mm以上であり、および/または
石膏プラスターボードの長手方向縁部の領域が、より多い量の第2のおよび/または第3の石膏スラリーS2、S3および/または請求項15の共通石膏スラリーを含有することを特徴とする、請求項12~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
第1のおよび/または第2の外側層、および/または石膏層と第1のおよび/または第2の外側層との間の中間層にメチルセルロースが添加される、および/または、第1の石膏スラリーS1が、FGD、天然石膏またはチタン石膏である、請求項12~19のいずれか一項に記載の方法。」
第4 令和3年9月14日付けで当審が通知した取消理由の概要と当該取消理由についての当審の判断
1 標記取消理由の概要
標記取消理由は、先の訂正前(設定登録時)の請求項1~20に係る特許は、以下の理由により特許法第113条第4号に該当するため取り消すべきものである、というものである。
・取消理由1 (明確性要件違反)本件特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
・取消理由2 (サポート要件違反)本件特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
2 取消理由1、2(明確性要件違反、サポート要件違反)についての当審の判断
上記取消理由1、2(明確性要件違反、サポート要件違反)は、本件特許の特許請求の範囲の記載につき、使用されている用語(水分量、液化手段など)が明細書中の用語と整合していないなどの軽微な記載不備を縷々指摘したものである。
これらの軽微な記載不備については、上述の本件訂正によって解消されたものと認められる。
したがって、取消理由1、2には理由がない。
第5 令和4年5月10日付けで当審が通知した取消理由(決定の予告)の概要と当該取消理由についての当審の判断
1 標記取消理由(決定の予告)の概要
先の訂正後の請求項12、15、16に係る発明は、以下に示す引用文献1又は引用文献2に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に掲げる発明であるから、その特許は、同項の規定に違反してされたものであるため、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
・引用文献1:特開平10-217384号公報
・引用文献2:特開平10-217385号公報
2 取消理由(決定の予告)についての当審の判断
上記取消理由(決定の予告)は、先の訂正後の請求項12、15、16に係る発明のみを対象に、上記引用文献1又は引用文献2に記載された発明に基づいて、新規性が欠如するとしたものであるが、本件訂正により当該請求項12に係る発明は、当該取消理由(決定の予告)が対象としていない、先の訂正後の請求項20に係る発明の選択肢の一つにまで限定された。そのため、本件発明12、さらには、本件発明12の発明特定事項をすべて具備する本件発明15、16に、当該取消理由(決定の予告)は妥当しない。
したがって、取消理由(決定の予告)には理由がない。
なお、上記引用文献1に実施例1として記載された石膏ボードの製造方法(標記取消理由(決定の予告)において「引1発明」としたもの)、及び、上記引用文献2に実施例1として記載された石膏ボードの製造方法(同じく「引2発明」としたもの)は、いずれも本件発明12が具備する、中間層の厚さに関する技術的事項を有していないし、引用文献1、2を子細にみても、これらの引用発明において当該技術的事項を適用ないし付加することが当業者にとって容易想到の事項であると認めるに足りる記載などは見当たらない(さらにいうと、この技術的事項は、本件発明12に係る請求項12が引用している請求項1に記載された事項であるから、本件発明1との対比においても事情は同じである。)。
第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由の概要と当該特許異議申立理由についての当審の判断
1 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由の概要
(1) 特許異議申立人が主張する特許異議申立理由のうち、明確性要件違反及びサポート要件違反に関する理由は、おおむね上記取消理由1、2の内容と重複するものであるが、これに加え、以下の明確性要件違反についても指摘するものである。
・先の訂正前(設定登録時)の請求項5に係る発明における「乾燥状態」の程度が明らかではなく、これに起因して、当該程度に左右される「密度差」の内容も明らかではないから、当該発明は不明確である(特許申立書66、67頁の「第2の理由」)。
・先の訂正前(設定登録時)の請求項19、20に係る発明における「および/または」で接続された選択肢は、類似の性質又は機能を有していないため、当該発明は不明確である(特許申立書66、67頁の「第2の理由」)。
(2) さらに、特許異議申立人は、後記甲第1号証を主たる証拠とする新規性欠如及び進歩性欠如に関する理由についても指摘する。
2 明確性要件違反についての当審の判断
本件発明5の「乾燥状態」とは、製品化された状態を指すものと解するのが相当であり、これ自体に不明確なところは見当たらない。
また、本件発明19、20における「および/または」で接続された選択肢が、類似の性質又は機能を有していないとしても、そのこと自体が、ただちに第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとは言い難い。また、当該選択肢の類似性に関する指摘は、単一性要件違反についての指摘とほぼ同義のものと解されるところ、当該単一性要件違反については特許法第113条各号において特許異議申立理由とはされていない。これらを併せ考慮すると、特許権設定後の場面において、当該選択肢の類似性に関する指摘のみを理由として、明確性要件違反とすることは妥当ではないというべきである。
以上のとおりであるから、特許異議申立人が主張する上記明確性要件違反に関する理由はいずれも理由がない。
3 新規性欠如及び進歩性欠如についての当審の判断
(1) 主たる証拠
・甲第1号証:仏国特許出願公開第2959440号明細書
(2) 従たる証拠
・甲第2号証:欧州特許出願公開第0957212号明細書
・甲第3号証:特開2000-117882号公報
・甲第4号証:特表2004-528204号公報
・甲第5号証:特開昭60-231476号公報
(3) 甲第1号証の記載事項
甲第1号証には、和訳にして以下の事項が記載されている。なお、和訳については特許異議申立人が提出したものをそのまま用いた。
ア 「少なくとも1つのフェーシングと、水和硫酸カルシウムでコーティングされた軽量充填材の少なくとも1つの層であり、各コーティングされた軽量充填材は200μm~5mmの平均直径を有している層と、フェーシングと水和硫酸カルシウムでコーティングされた軽量充填材の層との間の少なくとも1つの結合層とを含み、前記結合層は、プラスターを含み、水和硫酸カルシウムでコーティングされた軽量充填材を含まない、プラスターボード。」(請求項1)
イ 「以下の工程を含む、請求項1~7に記載のプレートの製造方法:
a)少なくとも第1のフェーシングをもたらす;
b)第1プラスターペーストを調製する;
c)ステップb)で得られたペーストを第1の結合層の第1のフェーシングに広げる;
d)高せん断ミキサーを用いた水和硫酸カルシウムでコーティングされた軽量充填材の調製;
e)工程d)で得られたコーティングされた軽量充填材を、コーティングされた軽量充填材の層中の工程c)で得られた第1の結合層上に注ぐ;
f)第2フェーシングを持ってくる;
g)第2のプラスターペーストを調製する;
h)工程g)で得られた第2のプラスターペーストを第2の結合層の第2のフェーシングに広げる;
i)ステップ(h)で得られた第2のフェーシングを、ステップ(e)で得られたプリフォームでコーティングされた軽量充填材の層上に堆積させる;
j)プリフォームに圧力を加える。」(請求項8)
ウ 「本発明は、水和硫酸カルシウムでコーティングされた軽量充填材の少なくとも1つの層を含むプラスターボードに関する。
石膏ボード製造工場は、「失水」を低減するための経済的アプローチに着手した。実際、過剰の水を排除することを目的とする石膏ボードの乾燥は、多くのエネルギーを必要とし、コストが無視できない工程である。また、プレートの乾燥によって生じる生産コストを低減し、生産速度を増加させるために、この水の低減が必須となっている。
産業界の要求を満たすために、石膏ボード中で蒸発する水の量を減少させる別の手段を見出すことが必要になってきた。
今日の石膏ボードの類型は、石膏ボード製造工場で行われる「失水」を減少させる経済的アプローチにおける解決策を表す。
また、本発明が解決しようとする課題は、製造中に必要とする水が少ない新しい石膏ボードを提供することである。
予想外にも、本発明者らは、特に水和硫酸カルシウムでコーティングされた軽量充填材から得られるコアを含む改質構造を有するプレートを、このコアを作製するための流体ペーストを調製する工程なしで製造することによって、石膏ボード中で蒸発される水の量を減少させることが可能であることを実証した。」(第1頁3行目~22行目)
エ 「好ましくは、本発明による石膏ボードの水和硫酸カルシウムでコーティングされた軽量充填材は、0.18~0.30、好ましくは0.22~0.27、さらにより好ましくは0.23~0.25のW/P比(水/石膏、石膏はそのCaSO4・0.5H2O形態であり、乾燥質量である)を有する。
好ましくは、本発明によるプラスターボードの結合層は、0.4~0.8、好ましくは0.5~0.7、さらにより好ましくは0.5~0.6のW/P比(水/石膏、石膏はそのCaSO4・0.5H2O形態であり、乾燥質量である)を有する。一変形例によれば、本発明によるプラスターボードは、同一または異なる密度を有するいくつかの結合層を含むことができる。」(第5頁12行目~21行目)
オ 「有利には、本発明によるプラスターボードはまた、硫酸カルシウムに基づく混合物中に組み込まれた、水和された、またはされていない、種々の添加剤または補助剤を含むことができ、軽量充填材をコーティングするのに役立つか、または結合層のプラスターペースト中に組み込まれる。本発明によるプラスターボードは、流動化剤、硬化調節剤(促進剤、遅延剤)、増粘剤(例えばデンプン)、可塑剤、界面活性剤、撥水剤、発泡剤、不活性充填剤等のような通常使用される補助剤を有利に含有することができる。
本発明の種々の変形に応じて、結合層のプラスターペースト、または軽量充填材をコーティングするために使用される水和または非水和硫酸カルシウムに基づく混合物はまた、以下を含むことができる:
-例えば、ポリメラミンスルホネート(PMS)、ポリナフタレンスルホネート(PNS)、ポリオキシエチレンポジカルボキシレート(PCP)などの流動化剤;
-例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロースまたはメチルヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体、例えば、アカシア、トラガント、イナゴム、デキストラン、ジタン、ゲラン、グアー、スクレログルカン、ウェラン、ポリエチレンオキシド、デンプンまたはその誘導体などの植物性ゴム、ゼラチン、多糖類、親水コロイド、寒天、カラギーナンなどの増粘剤;
-例えばアルコール、ポリオール、特にジオールのような湿潤剤;
-例えば、カルボン酸ポリマーまたはそれらの塩のような分散剤;
-促進剤型硬化調節剤(例えば、生石膏、K2SO4、硫酸塩、石膏50%、デンプン40%およびリグノ硫酸カルシウム10%の混合物であるバリミルド促進剤)または遅延剤型(例えば、糖、ポリアクリレートの分解または非分解タンパク質);
-例えば、炭酸カルシウム、石膏、石膏ボード不良品から得られる石膏のような不活性充填剤;
-バーミキュライト、パーライト、エアゲル、コルク等の軽質充填剤-例えば植物又は鉱物繊維、古紙等の繊維。」(第6頁4行目~38行目)
カ 「本発明によるプラスターボードは、少なくとも1つのフェーシングを含む。石膏ボードの製造に使用される従来のフェーシングは、セルロース繊維(例えば、紙、再生紙のフェーシング)または無機繊維(例えば、ガラス繊維のフェーシング)から作製されるフェーシングのように、非常に特に好適である。」(第7頁4行目~8行目)
キ 「本発明によるプラスターボードは、例えばプラスター結合層のような少なくとも1つの結合層を合む。従来のプラスターボードの結合プラスター層、例えば、少なくとも主成分としてプラスター、水およびデンプンを有するBA13夕イプの従来のプラスターボードに存在する高密度層が特に適している。
一般に、石膏ボード、より詳細には、フェーシングからの距離の関数として密度が変化する石膏コアを有する石膏ボードの製造が知られている。発泡剤をペーストに組み込むことによって、低密度コア層を有する石膏ボードを製造することが知られている。このコア層は、高密度フェーシング層(緻密層または結合層)によって挟まれている。表面プラスター層は、フェーシングと一体である。一般に、このタイプのプレートを製造するための装置は、以下を含む:
- フェーシングを供給する手段
- 第1のプラスターペーストを調製するための第1のミキサー
- フェーシングに第1のプラスターペーストを塗布するための手段
- この第1のプラスターペーストをフェーシング上の第1のグリーンフェーシング層に広げるための手段
- 較正手段は、この第1のグリーンフェーシング層の厚さを制御することを可能にする
- 第2のプラスターペーストを調製するための第2のミキサー
- 第1のグリーンフェーシング層上のグリーンコア層に第2のプラスターペーストを塗布するための手段
- このグリーンコア層の厚さを較正するための手段
- 第3のプラスターペーストを調製するための第3のミキサー
- 第2のフェーシングを供給するための手段、
- 第2のフェーシングの上に第3のプラスターペーストを塗布するための手段
- 第2のグリーンフェーシング層に広がるための手段
- 較正手段は、この第2のグリーンフェーシング層の厚さを制御することを可能にする
- 第2のフェーシングを回転させるための手段
- 石膏ボードを成形するための方法
- フェーシング層および未加工層を駆動するための手段」(第7頁9行目~第8頁5行目)
ク 「第1および第2の石膏ペーストおよび水和硫酸カルシウムでコーティングされた軽質充填材は、プラスターの水和によって迅速に硬化する。・・・次に、過剰の水を除去するために、例えば乾燥機中で加熱することによって、プレートを乾燥させる。」(第8頁36行目~第9頁5行目)
ケ 「最初に図1を参照すると、本発明によるプラスターボードは、第1および第2のフェーシング(1および2)、第1および第2の緻密層(3および4)、被覆された軽量充填材(6)を含むコア層(5)を含む。」(第9頁20行目~23行目)
コ 「1/コーテイングされた軽量充填材の準備
硫酸カルシウムでコーティングされた軽量充填材は、以下の成分から得られる:
○石膏(合成由来の場合)
〇軽量充填材(直径1.25mm、密度0.05g/cm3の発泡ポリスチレンボール)
○凝結遅延剤(Sicit社のRetardan P)
〇水。
硫酸カルシウムでコーティングされた軽量充填材を形成するために使用されるこれらの成分の割合の例を以下に示す:
(表の摘記は省略)
コーティングされた軽量充填材の製造は、以下のプロトコールに従って実施される:
〇1/に記載した軽量充填材をミキサーに装填し、
○ミキサーを低速(レイネリミキサーの速度1)で開始し、次いで点1/に示す量の水を約1分間かけて徐々に添加する;
○遅い速度(Rayneriミキサーの速度1)を維持し、点1/に示す量のプラスターを約2分間かけて徐々に添加する;
○混合速度(Rayerniミキサーの速度2)を上げ、30秒間維持してから停止する;
○ミキサーを取り出す。」(第9頁28行目~第10頁16行目)
サ 「2/緻密層の形成に使用されるプラスターペーストの調製
2-1/結合層(または高密度層)の形成に使用されるプラスターペーストは、プラスターペーストの調製に従来使用されているミキサー(例えば、Rayneri社のTurbotestミキサー33/300)を使用した、いくつかの成分の均一な混合物の結果である。プラスターペーストの成分の割合は以下の通りである:
○石膏(合成由来の場合):62.4g
〇水:37.5g
〇デンプン(CerestarからのC十05072):0.125g
〇硬化遅延剤(Sicit Retardan P):0.0031g
結合層に使用されるペーストの調製における工程は、以下の通りである:
○成分の秤量;
○次に、混合ボウル内の水および硬化遅延剤を導入し、均質化する;
〇石膏とデンプンの均質化;
〇ミキサーの起動;
○石膏/デンプン混合物の30秒間にわたる段階的導入;
○混合を1分間続けた後、ミキサーを停止する。」(第10頁18行目~第11頁7行目)
シ 「3/本発明による石膏ボードの調製
石膏ボードの調製には、以下の材料が必要である:
○遊星ミキサー(Rayneri社製);
〇2つの対向する貯蔵ロールと、2つの対向する供給手段(それぞれ2つのローラによって形成される)と、コーティングペーストのための2つのコーティングシステムとからなる石膏ボード形成手段(Lafargeによって開発されたパイロットユニット)。緻密層を形成するプラスター(それぞれが対向する巻き戻し手段上に設置される)、コーティングされた装入物を供給するための計量ホッパー、形成されたプレートの厚さを較正するための手段。
上記の材料を用いて、石膏ボードの調製は、以下の順序で行われる:
○プラスターボード形成媒体の調製:
・石膏ボードを形成するために慣用的に使用されるセルロースサイディングを有するサイディング貯蔵ロールの装填
・サイディング保管・取扱ローラーの整合
・結合層の最終厚さが1mmになるように、フェーシング材上に結合層を形成するペーストのためのコーティング系を調整すること
・厚さ13mmになるようなプレート較正システムの調整
〇1/に記載された組成およびプロトコールに従ったコーティングされた軽量充填材の調製
○成形手段の計量ホッパーにコーティングされた軽量充填材を装填することは、コーティングされた軽量充填材の調製プロトコールの最後の工程の後10分未満である
○結合層の形成に使用されるプラスターペーストの調製であって、その組成は、ポイント2/に記載されたものと同様である
○結合層を調製するためのプロトコールの最後の工程の10分未満後に、結合層の形成のために使用されるプラスターペーストを形成媒体のコーティング系に装填すること
○コーティングシステムの形成手段の始動
○計量ホッパーへの供給と、計量ホッパーの出口でのコーティングされた軽量充填材への落下時のスプレー水(流量=コーティングされた軽量充填材の流量の5%)
○プラスターボードを得るまでプレートを連続的に成形する。
○石膏ボードが完全に水和するまでの限られた環境での石膏ボードの成熟
○以下の温度プロフィールを有する換気オープン中でのプレートの乾燥:
・11分で180℃まで昇温
・180℃で1分間の定常温度
・120℃まで3分間降温
・45℃で5分間の乾燥終了。」(第11頁9行目~第12頁25行目)
ス
「
[図:0001390544000002.jpg]
」(Figure1)
(4) 甲第1号証に記載された発明
甲第1号証には、上記(3)ア、イに摘記した、プラスターボード及びその製造方法に関する、以下の発明が記載されている。
・「少なくとも1つのフェーシングと、水和硫酸カルシウムでコーティングされた軽量充填材の少なくとも1つの層であり、各コーティングされた軽量充填材は200μm~5mmの平均直径を有している層と、フェーシングと水和硫酸カルシウムでコーティングされた軽量充填材の層との間の少なくとも1つの結合層とを含み、前記結合層は、プラスターを含み、水和硫酸カルシウムでコーティングされた軽量充填材を含まない、プラスターボード。」(以下、「甲1プラスターボード」という。)
・「以下の工程を含む、「甲1プラスターボード」の製造方法:
a)少なくとも第1のフェーシングをもたらす;
b)第1プラスターペーストを調製する;
c)ステップb)で得られたペーストを第1の結合層の第1のフェーシングに広げる;
d)高せん断ミキサーを用いた水和硫酸カルシウムでコーティングされた軽量充填材の調製;
e)工程d)で得られたコーティングされた軽量充填材を、コーティングされた軽量充填材の層中の工程c)で得られた第1の結合層上に注ぐ;
f)第2フェーシングを持ってくる;
g)第2のプラスターペーストを調製する;
h)工程g)で得られた第2のプラスターペーストを第2の結合層の第2のフェーシングに広げる;
i)ステップ(h)で得られた第2のフェーシングを、ステップ(e)で得られたプリフォームでコーティングされた軽量充填材の層上に堆積させる;
j)プリフォームに圧力を加える。」(以下、「甲1プラスターボードの製造方法」という。)
(5) 「甲1プラスターボード」に基づく本件発明1~11の新規性・進歩性について
ア 本件発明1について
まず、本件発明1と「甲1プラスターボード」とを対比すると、「甲1プラスターボード」における「少なくとも1つのフェーシング」、「水和硫酸カルシウムでコーティングされた軽量充填材の少なくとも1つの層」及び「フェーシングと水和硫酸カルシウムでコーティングされた軽量充填材の層との間の少なくとも1つの結合層」は、それぞれ本件発明1における「外側層」、「コア層」及び「中間層」にあたるものであるから、両者は、層構造において共通するところは認められるものの、少なくとも以下の点において相違するものということができる。
すなわち、本件発明1におけるコア層は、石膏スラリーによって形成されるものであるのに対して、これに対応する「甲1プラスターボード」の「水和硫酸カルシウムでコーティングされた軽量充填材の少なくとも1つの層」は、水和硫酸カルシウムを使用しているものの、これは当該層(コア層)を形成する軽量充填材のコーティング用に使用されたものであって、当該層(コア層)自体の形成に使用されたものではない(あくまで当該層を形成しているのは軽量充填材である。)。
そして、この相違点は実質的な事項である上、当該相違点を容易想到の事項というに足りる証拠は、甲第2~5号証を子細にみても見当たらない。
そうである以上、甲第1号証に記載された発明に基づいて、本件発明1が新規性及び進歩性が欠如するということはできない。
イ 本件発明2~11について
本件発明2~11は、本件発明1の発明特定事項をすべて具備するものであるから、上記アと同様の理由により、甲第1号証に記載された発明に基づいて、新規性及び進歩性が欠如するということはできない。
(6) 「甲1プラスターボードの製造方法」に基づく本件発明12~16、18~20の新規性・進歩性について
本件発明12~16、18~20と「甲1プラスターボードの製造方法」とを対比しても、コア層の形成において上記(5)アと同様の相違点が認められるから、本件発明12~16、18~20についても、甲第1号証に記載された発明に基づいて、新規性及び進歩性が欠如するということはできない。
(7) 小括
以上のとおり、本件発明1~16、18~20は、甲第1号証に記載された発明に基づいて、新規性を欠如するとも、進歩性を欠如するともいえないから、特許異議申立人が主張する新規性欠如及び進歩性欠如に関する理由は、いずれも理由がない。
第7 結び
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1~16、18~20に係る特許を取り消すことはできない。また、他にこれらの特許を取り消すべき理由を発見しない。
さらに、請求項17は、上記のとおり、本件訂正により削除されたので、当該請求項17に係る特許異議の申立てについては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2021-700485