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特許異議申立

2024-700358

ラッピング化粧板用基材

審判番号
2024-700358
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-059552
登録番号
7368293
請求日
2024年04月17日
審決日
2024年12月13日
公報発行日
2025年01月31日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】大建工業株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人前田特許事務所
  • 【異議申立人】田中 清史
審判長/審判官
  • 審判長 古屋野 浩志
  • 審判官 澤田 真治
  • 審判官 蔵野 いづみ
分類
P1651.121-Y (B27M)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7368293号発明「ラッピング化粧板用基材」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7368293号の請求項1~7に係る特許を維持する。

理由

理 由 1 手続の経緯 特許第7368293号(以下「本件特許」という。)の請求項1~7に係る特許についての出願は、令和2年3月30日に出願され、令和5年10月16日にその特許権の設定登録がされ、同月24日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許について、令和6年4月17日に特許異議申立人 田中 清史(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てが請求項1~7に対してされた。 その後の手続等の概要は、以下のとおりである。 令和6年 8月 1日付け:取消理由通知書 同年 9月25日 :意見書(特許権者) 同年10月 3日 :上申書(申立人) 同月16日 :上申書(申立人) 2 本件特許発明 本件特許の請求項1~7に係る発明(以下、それぞれ請求項の番号に合わせて「本件特許発明1」等といい、まとめて「本件特許発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1~7に記載された事項により特定される次のとおりのものである。なお、符号A等は分説のため当審で付した。 「 【請求項1】 A 表面に化粧シートが貼着されていない矩形板状のラッピング化粧板用基材であって、 B 上記基材は、表側に位置し木質繊維板からなる表側木質繊維板層と、裏側に位置し該表側木質繊維板層とは異なる木質繊維板又は木質板からなる裏側木質板層とが非水系の接着剤を含む防湿層を介して積層一体化されてなり、 C 上記裏側木質板層の裏面に、上記防湿層まで至らない深さの複数の溝が形成され、 D 上記防湿層は、上記表側木質繊維板層及び裏側木質板層の全体に拡がっていて該防湿層の周囲部に上記基材の四周端面に露出する露出部を有し、 E 上記表側木質繊維板層の表面及び周囲端面の間の角部に面取り部が形成されており、 F 上記表側木質繊維板層の表面と、上記面取り部と、表側木質繊維板層の周囲端面の少なくとも表側部とにより、上記化粧シートを貼り付ける化粧シート貼着部が設けられている G ことを特徴とするラッピング化粧板用基材。 【請求項2】 G 請求項1のラッピング化粧板用基材において、 H 化粧シート貼着部は、表側木質繊維板層の周囲端面全体と防湿層の露出部とを含んでいる G ことを特徴とするラッピング化粧板用基材。 【請求項3】 G 請求項1又は2のラッピング化粧板用基材において、 I 裏側木質板層の裏面に、機能ユニットを収容するための収容部が防湿層まで至らない深さに形成されている G ことを特徴とするラッピング化粧板用基材。 【請求項4】 G 請求項1~3のいずれか1つのラッピング化粧板用基材において、 J 基材の四周端面のうち化粧シート貼着部を除く部分に、隣接する他のラッピング化粧板と接合するための接合部が設けられている G ことを特徴とするラッピング化粧板用基材。 【請求項5】 G 請求項4のラッピング化粧板用基材において、 K 接合部は、基材の四周端面に設けられて雇い実を嵌合する凹条部を有し、該凹条部の表側に位置する表側凸条部の先端面は、裏側に位置する裏側凸条部の先端面と面一にあるか又は裏側凸条部の先端面よりも突出している G ことを特徴とするラッピング化粧板用基材。 【請求項6】 G 請求項1~5のいずれか1つのラッピング化粧板用基材において、 L 裏側木質板層の裏面に緩衝層が一体的に接合されている G ことを特徴とするラッピング化粧板用基材。 【請求項7】 G 請求項1~6のいずれか1つのラッピング化粧板用基材において、 M 表側木質繊維板層はMDF又はHDFからなる G ことを特徴とするラッピング化粧板用基材。」 3 特許異議の申立ての理由の概要 令和6年4月17日に申立人が提出した特許異議申立書(以下「特許異議申立書」という。)に記載した申立ての理由の概要は次のとおりである。 (1)進歩性(特許法第29条第2項(同法第113条第2号)) 本件特許発明1は、甲第1号証記載の発明、甲第2号証記載事項、甲第3号証記載事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明できたものである。 本件特許発明2は、甲第1号証記載の発明、甲第2号証記載事項、甲第3号証記載事項、甲第5号証記載事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明できたものである。 本件特許発明3は、甲第1号証記載の発明、甲第2号証記載事項、甲第3号証記載事項、甲第8号証記載事項及び周知技術(甲第9号証)に基づいて、当業者が容易に発明できたものである。 本件特許発明4は、甲第1号証記載の発明、甲第2号証記載事項、甲第3号証記載事項及び周知技術(甲第5号証)に基づいて、当業者が容易に発明できたものである。 本件特許発明5は、甲第1号証記載の発明、甲第2号証記載事項、甲第3号証記載事項及び周知技術(甲第10号証)に基づいて、当業者が容易に発明できたものである。 本件特許発明6は、甲第1号証記載の発明、甲第2号証記載事項、甲第3号証記載事項及び周知技術(甲第7号証)に基づいて、当業者が容易に発明できたものである。 本件特許発明7は、甲第1号証記載の発明、甲第2号証記載事項、甲第3号証記載事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明できたものである。 (2)証拠方法 ・甲第1号証:特開2010-236263号公報(以下「甲1」という。) ・甲第2号証:特開平9-53319号公報(以下「甲2」という。) ・甲第3号証:特開2017-170703号公報(以下「甲3」という。) ・甲第4号証:特開2017-124554号公報(以下「甲4」という。) ・甲第5号証:特開2003-49530号公報(以下「甲5」という。) ・甲第6号証:特開2012-236368号公報(以下「甲6」という。) ・甲第7号証:特開2012-202085号公報(以下「甲7」という。) ・甲第8号証:特開2001-341107号公報(以下「甲8」という。) ・甲第9号証:特開2008-45377号公報(以下「甲9」という。) ・甲第10号証:特開平6-158835号公報(以下「甲10」という。) 4 取消理由の概要 当審において、令和6年8月1日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。 (進歩性)請求項1に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1~3に基いて、請求項3及び4に係る発明は、同甲1~3及び甲8に基いて、請求項5~7に係る発明は、同甲1~甲3、甲8及び甲10に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1、3~7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 5 甲各号証の記載 (1)甲1について 甲1には、次の事項が記載されている(下線は当審で付与した。以下同様。)。 ア 記載事項 「【0010】 この請求項1の発明では、床暖房用床材における合板基材上に防湿層を介して木質繊維板層が積層一体化されているので、床暖房用床材の状態で木質繊維板層の含水率が7%以下と合板基材に比べて低いにも拘わらず、その合板基材の水分が木質繊維板層に移行するのは防湿層により遮断されるようになり、床暖房用床材の製造時ばかりでなく、使用後の経時変化においても、その木質繊維板層が吸湿により線膨張して表面側を凸面とする山反りが生じることは抑制される。」 「【0057】 図1は本発明の実施形態に係る床暖房用床材Aを示し、この床暖房用床材Aは、合板基材1の上に、防湿層3と、木質繊維板層5と、防湿性を有する表面化粧層7とがそれぞれ記載順に積層一体化されたものである。 【0058】 また、この床暖房用床材Aの長手方向及び幅方向に対向する両側端面の一方には雌実10が、また他方には雄実11がそれぞれ形成されており、隣接する床暖房用床材A,A同士は、これら雌実10と雄実11との嵌合により接合されて施工される。」 「【0102】 (3)第3の製造方法(請求項6の発明に係る方法) この方法では、図2(c)に示すように、含水率が7%以下、好ましくは6%以下になるように調整されたMDF等の木質繊維板51の裏面に、厚さが0.01mm~0.08mmでかつ透湿度測定により30g/m2・24h以下の防湿性能を有する裏面側防湿シート31(防湿層3)を非水系接着剤により積層一体化する。 【0103】 その後、この裏面側防湿シート31の裏面側に、水性ビニルウレタン系の接着剤により合板基材1を冷圧により積層一体化する。 【0104】 さらに、この木質繊維板51の表面に、厚さが0.01mm~0.08mmでかつ透湿度測定により30g/m2・24h以下の防湿性能を有する表面側防湿シート71を反応性ホットメルト接着剤、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤等の非水系接着剤により積層一体化するとともに、木質繊維板51の含水率を7%以下となるようにする。 【0105】 表面側防湿シート71を樹脂含浸紙、ポリサンド紙等の下地用シートで形成した場合は、この表面側防湿シート71のさらに表面側に、突板や化粧紙等の化粧シート72を貼着一体化する。 【0106】 この場合、表面側防湿シート71(下地用シート)により木質繊維板51への水分の移行が発生しないため、表面側防湿シート71と化粧シート72との積層は、水系接着剤でもよいし、非水系接着剤でもよい。また、PUR等のホットメルト系接着剤による熱圧押圧ロールによる積層一体化でもよいし、平板プレスを用いた熱圧積層一体化又は冷圧積層一体化でもよい。 【0107】 この化粧シート72の表面に塗装により透明塗膜層を設ける。この場合は、表面化粧層7=表面側防湿シート71+化粧シート72(突板又は化粧紙)+透明塗膜層となる。 【0108】 そして、実加工(又は溝加工)を施して木質繊維板層5を露出させ、その露出面を防湿被覆する。このことで、床暖房用床材Aを得る。」 「【実施例】 【0115】 次に、具体的に実施した実施例について説明する。 【0116】 (実施例) この実施例は、上記第3の製造方法により床材を製造したものである。すなわち、含水率が5.0%の300mm×300mmの木質繊維板(MDF)の裏面に、厚さ0.05mmかつJIS-Z-0208の透湿度測定により15g/m2・24hの防湿性能(透湿度)を有するポリエチレン樹脂シートを、非水系の反応性ホットメルト接着剤を介して貼着一体化し、防湿層を有する防湿木質繊維板を得た。 【0117】 この防湿木質繊維板の樹脂防湿層の裏面にさらに水性ビニルウレタン系接着剤を塗布し、防湿木質繊維板を、厚さ9.5mm、含水率11%の5プライ合板(全ての単板の繊維方向が1枚毎に直交したもの)にコールドプレスにて積層一体化し、複合基材を得た。コールドプレスは、1枚毎に反転させ、合板同士、木質繊維板同士が面合わせになる面合わせ堆積を行った。得られた複合基材は、略フラットであった。 【0118】 この複合基材における木質繊維板の表面に、厚さ0.05mmかつJIS-Z-0208の透湿度測定により15g/m2・24hの防湿性能(透湿度)を有するポリエチレン樹脂シートを、非水系の反応性ホットメルト接着剤100g/m2を介して貼着一体化し、さらにその上に樹脂率50%の尿素メラミン系接着剤を70g/m2塗布し、0.25mm厚みの化粧単板を貼着一体化した。 【0119】 こうして得られた積層物を120℃・0.8MPa・50秒の条件で熱圧プレスし、速やかに60秒放冷した。木質繊維板の含水率を高周波式含水率計で測定したところ、5.0%であった。 【0120】 その後、速やかに紫外線硬化型樹脂により下塗塗装、中塗塗装、上塗塗装を行い、床材を得た。得られた床材は反りが殆どなかった。」 「【図1】 [図:0001418247000001.jpg] 」 イ 認定事項 (ア)認定事項1 上記アの【0057】には、「図1は・・・床暖房用床材Aを示し、この床暖房用床材Aは、合板基材1の上に、防湿層3と、木質繊維板層5と、防湿性を有する表面化粧層7とがそれぞれ記載順に積層一体化されたものである」と記載され、同【0058】には、「この床暖房用床材Aの長手方向及び幅方向に対向する両側端面の一方には雌実10が、また他方には雄実11がそれぞれ形成され」ることが記載され、同【0116】には、「この実施例は、上記第3の製造方法により床材を製造したものである。すなわち、含水率が5.0%の300mm×300mmの木質繊維板(MDF)の裏面に、・・・防湿性能(透湿度)を有するポリエチレン樹脂シートを、非水系の反応性ホットメルト接着剤を介して貼着一体化し、防湿層を有する防湿木質繊維板を得た。」と記載されていることから、木質繊維板層5を形成する木質繊維板は矩形状であって、防湿層3は、木質繊維板51と合板基材1の間に全体に拡がって積層一体化されていると認められる。 また、同図1から、床暖房用床材Aの雌実10と雄実11において、防湿層3の少なくとも一部の外縁が、合板基材1と木質繊維層5と面一であることが看取でき、同【0058】の「床暖房用床材Aの長手方向及び幅方向に対向する両側端面の一方には雌実10が、また他方には雄実11がそれぞれ形成されて」いるという記載から、同図1において、床暖房用床材Aの雌実10と雄実11が形成された側面に挟まれた側面においても、雌実10と雄実11が同様に設けられていると認められ、すなわち、床暖房用床材Aの長手方向及び幅方向に対向する両側面の一方には雌実10が、他方には雄実11がそれぞれ形成されているといえる。 そうすると、同【0010】の「合板基材の水分が木質繊維板層に移行するのは防湿層により遮断される」という防湿層3の機能、同【0102】~【0108】の製造方法(「MDF等の木質繊維板51の裏面に、」「防湿性能を有する裏面側防湿シート31(防湿層3)を非水系接着剤により積層一体化」し、「裏面側防湿シート31の裏面側に、水性ビニルウレタン系の接着剤により合板基材1を冷圧により積層一体化」していること)からみて、防湿層3は、矩形状の木質繊維板51と合板基材1の間に全体に拡がって積層一体化され、防湿層3は、床暖房用床材Aの長手方向及び幅方向に対向する両側面でそれぞれ雌実10と雄実11が形成された部分で合板基材及び木質繊維板層と面一で露出していると認められる。 (イ)認定事項2 図1から、表面化粧層7、雌実10の隅部及び雄実11の角部には、面取り部を有することが看取される。 ウ 甲1発明 上記アに摘記した記載事項及びイの認定事項から、甲1には、次の発明が記載されていると認められる(なお、根拠となる段落を併記した。以下「甲1発明」という。)。 (甲1発明) 「MDF等の木質繊維板51の裏面に、防湿性能を有する裏面側防湿シート31(防湿層3)を非水系接着剤により積層一体化し(【0102】)、裏面側防湿シート31の裏面側に、水性ビニルウレタン系の接着剤により合板基材1を冷圧により積層一体化し(【0103】)、 木質繊維板51の表面に、防湿性能を有する表面側防湿シート71を反応性ホットメルト接着剤、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤等の非水系接着剤により積層一体化し(【0104】)、 表面側防湿シート71を樹脂含浸紙、ポリサンド紙等の下地用シートで形成し、表面側防湿シート71のさらに表面側に、化粧紙等の化粧シート72を貼着一体化し(【0105】)、 実加工(又は溝加工)を施して木質繊維板層5を露出させ、その露出面を防湿被覆し(【0108】)、 防湿層3は、矩形状の木質繊維板51と合板基材1の間に全体に拡がって積層一体化され、防湿層3は、床暖房用床材Aの長手方向及び幅方向に対向する両側面でそれぞれ雌実10と雄実11が形成された部分で合板基材及び木質繊維板層と面一で露出し(認定事項1)、 表面化粧層7、雌実10の隅部及び雄実11の角部には、面取り部を有する(認定事項2) 床暖房用床材A(【0108】)。」 (2)甲2について 甲2には、次の事項が記載されている。 ア 記載事項 「【0017】図1は、本発明のうち請求項1記載の発明の実施の形態を示すものであり、図示の木質床材(1)は、裏面に開口した複数の溝(4,5)を有する木質板(2)と、木質板(2)の下に配された緩衝部材(6)とよりなる。木質板(2)は、上板(2A)と下板(2B)とが接合されてなる。下板(2B)には、これの幅方向にのびる複数の横溝(4)と、長さ方向にのびる複数の縦溝(5)とが形成されており、横溝(4)の深さが下板(2B)の深さとほぼ等しくなされている。上板(2A)の表面には、化粧層(3)が形成されている。 【0018】上板(2A)の材料としては、合板、中質繊維板(MDF)、パーティクルボード、ハードボード等が挙げられるが、表面への化粧および接合用加工の容易性ならびに曲げ強度を考慮して、合板または中質繊維板が好適に用いられる。合板の場合、3プライ以上のものが好ましい。合板は、偶数プライのものであってもよく、その場合、各層の単板の繊維方向が交互に直交するものであっても、一部の隣接する層の単板同士の繊維方向が互いに平行になるものであってもよい。また、上板(2A)は、上下2層で構成されるとともに、両層の間に、例えば、高密度軟質シートや発泡倍率1.5倍~6倍の低発泡体シートが介在せられたものでもよい。上板(2A)の厚さは、好適には1.5~7.5mmの範囲、より好適には2.4~5.5mmの範囲で設定される。遮音性の面からいえば上板(2A)は薄い程良いが、厚さ1.5mm未満とすると、曲げ強度が不十分となって人が歩行するさいに溝(4,5)の上側部分が破損するおそれがあり、一方、厚さ7.5mmを越えると、床材としての剛性が高くなりすぎて遮音性が低下するおそれがあるからである。 【0019】下板(2B)は、上板(2A)の材料の中から適当に選ばれるが、溝加工や接合用加工が容易で加工仕上りが良く、パーティクルボードやハードボードの場合よりも優れた強度の接合部が得られる合板または中質繊維板が好適に用いられる。なお、合板は、割れや抜け節等の欠陥が多く、通常化粧用台板合板として使用できない針葉樹製合板やラワン合板であってもよい。また、欠陥の多いパーティクルボードや針葉樹製合板等の周縁部に、加工が容易で、接合部の仕上りが良く、強度も相対的に強い合板や中質繊維板を配してなるものを用いてもよい。下板(2B)の厚さは、上板(2A)の厚さや木質床材(1)全体の厚さとの関連において決定されるが、2.5~15mmの範囲が適当である。下板(2B)にはその厚さとほぼ同じ深さの溝(4)が形成されるためか、下板(2B)の厚さが上記範囲であれば、他の条件を一致させる限り遮音性がほとんど変わらないことが判明した。もっとも、接合用加工の点からみれば、上板(2A)と下板(2B)とを合わせた厚さが5mm以上となるように、下板(2B)の厚さを設定するのが好ましい。なお、上板(2A)および下板(2B)が共に合板よりなる場合、上板(2A)の表単板の繊維方向と下板(2B)の表単板の繊維方向とは、互いに平行であっても交差していてもよい。 【0020】化粧層(3)は、木質単板、挽き板、コルク、模様が印刷された紙や合成樹脂シート等を上板(2A)の表面に貼着したり、塗装を施したりすることによって形成される。なお、上板(2A)が合板よりなり、化粧層(3)が木質単板よりなる場合、木質単板のヒワレを防ぐために、不織布、紙、布等の薄いシートを両者の間に介在させたり、また、合板の表単板と木質単板の繊維方向が互いに直交するように貼着するようにしてもよい。 【0021】図1の木質床材(1)においては、横溝(4)と縦溝(5)とが格子状に形成されているが、横溝(4)および縦溝(5)のうちいずれか一方のみを形成するようにしてもよい。溝の深さは、踏み鳴りや遮音性等の点からみれば、下板(2B)の厚さと一致させるのが最適である。但し、上板(2A)に溝が達することは、上板(2A)の強度を損ない、踏み鳴りを発生させる要因となるので、好ましくない。したがって、現状の溝加工の精度を考慮すれば、厚さ1.2mm以下、好適には厚さ0.6mm以下の残存部を下板(2B)に設けるようにするのが実際上望ましいと考えられる。なお、溝の深さは必ずしも全て同じにする必要はなく、例えば、図1のように縦横に格子状に溝を形成する場合、横溝(4)の深さと縦溝(5)の深さが異なるようにしてもよい。但し、横溝(4)と縦溝(5)を形成する場合、好適には、少なくとも横溝(4)の深さが下板(2B)の厚さとほぼ等しいものとなされる。溝幅は、好適には0.7~3.5mm、より好適には0.8~3.0mmの範囲で設定される。溝は、その深さが下板(2B)の厚さとほぼ等しいものとなされるため、溝幅が3.5mmを越えると、溝の上側部分の上板(2A)が歩行時等に破損するおそれがある一方、溝幅が0.7mm未満であると、遮音性を維持するために溝の数を増やす必要があり、また、切削加工用刃物の刃先を薄くする必要があって、これにより回転切削中に刃物の横振れが大きくなるので、溝付け状態の管理および刃物管理が難しくなるからである。隣り合う溝間の間隔は、好適には5~50mm、より好適には8~30mmとなされる。遮音性や床下地への馴染み易さという点からみれば、溝間の間隔は狭い程良いが、5mm未満では木質板(2)の強度が不十分となる一方、50mmを越えると遮音性の効果が十分とはいえず、遮音等級L-45やL-50のレベルを達成し難くなるからである。溝間の間隔は、必ずしも等間隔である必要はなく、適宜に間隔を変えてもよい。なお、化粧層(3)表面に溝が施されている場合には、上板(2A)の破損を防止するために、化粧層(3)の溝と下板(2B)の溝(4,5)とが一致しないようにするのが好ましい。下板(2B)裏面に占める溝(4,5)の面積比率は、好適には5~30%、より好適には9~22%である。5%未満であると溝の存在による遮音性等の効果が十分に発揮されない一方、30%を越えると木質板(2)の強度が不十分となるからである。」 「【0025】図2は、本発明のうち請求項2記載の発明の実施の形態を示すものである。図2において、木質床材(11)は、木質板(2)の上板(2A)と下板(2B)との間にシート材(7)が介在されている点を除いて、図1の木質床材(1)と同じである。 【0026】シート材(7)は、木質床材(11)表面の化粧層(3)とのバランスが良く、また、上板(2A)の谷反りの動きに抗し得るものが好ましく、具体的には、紙、不織布、合成樹脂含浸紙や、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニリデン、エチレン酢酸ビニル共重合体といった熱可塑性樹脂等からなる合成樹脂層の両面に同種類または異なる種類の紙、不織布等を配してなる3層シート、木質単板等が挙げられる。シート材(7)の厚さは、35μm~0.4mmの範囲が好ましい。35μm未満では、化粧層(3)とのバランスがとれず、一方、0.4mmを越えても、谷反り防止効果に大差がないので製造コストの面から好ましくなく、しかも層間剥離のおそれがあるからである。化粧層(3)が木質単板よりなる場合、シート材(7)の引張り強さ(JIS・P8113に準じる)は、好適には幅15mm当り4kgf以上、より好適には5kgf以上であることが要求される。但し、シート材(7)に木質単板を用いる場合は、化粧層(3)と同じ性質を有するので、必ずしも上記の引張り強さを満たす必要はない。 【0027】上記の木質床材(11)は、木質床材(1)とほぼ同様にして製造され施工されるが、シート材(7)は、上板(2A)と下板(2B)のうちいずれに先に接着してもよい。」 「 [図:0001418247000002.jpg] 」 イ 甲2記載の技術事項 上記アに摘記した記載事項から、甲2には、次の技術事項が記載されていると認められる(なお、根拠となる段落を併記した。以下「甲2記載の技術事項」という。)。 (甲2記載の技術事項) 「裏面に開口した複数の溝(4,5)を有する木質板(2)と、木質板(2)の下に配された緩衝部材(6)とよりなり、木質板(2)は、上板(2A)と下板(2B)とが接合されてなり、上板(2A)の表面には、化粧層(3)が形成され(【0017】)、 上板(2A)の材料としては、合板または中質繊維板が好適に用いられ(【0018】)、下板(2B)は、上板(2A)の材料の中から適当に選ばれるが、溝加工や接合用加工が容易で加工仕上りが良く、パーティクルボードやハードボードの場合よりも優れた強度の接合部が得られる合板または中質繊維板が好適に用いられ(【0019】)、 化粧層(3)は、合成樹脂シート等を上板(2A)の表面に貼着し(【0020】)、 上板(2A)と下板(2B)との間にシート材(7)が介在され(【0025】)、溝(4,5)の深さは、厚さ1.2mm以下、好適には厚さ0.6mm以下の残存部を下板(2B)に設けるようにする(【0021】) 木質床材(1)(【0017】)。」 (3)甲3について 甲3には、次の事項が記載されている。 ア 記載事項 「【0026】 -構成- ラッピング化粧板1は、矩形板状の基材10と、この基材10に接着剤を介して接着一体化されたシート21からなる化粧シート層20とを備えている。 【0027】 〈基材の構成〉 図3及び図4に示すように、上記基材10は、合板に中密度繊維板(MDF)等を積層することによって構成されている。なお、基材10は、このような構成に限られず、例えば、パーティクルボードやハードボード等のその他の木質材料、大建工業(株)製の製品名「ダイライト」等の無機質系板材等、通常に建材として用いられる板状の材料を用いたらよい。基材10は、例えば、厚み15mm、幅303mm、長さ1818mmの長方形状に形成されている。 【0028】 [雌実及び雄実] 基材10の周囲側面10b,10b,10c,10cの各辺には雌実4又は雄実5が形成されている。具体的には、基材10の幅方向に対向する長辺側面10b,10bの一方には雌実4が形成され、他方にはこの雌実4に嵌合可能な雄実5が形成されている。また、基材10の長さ方向に対向する短辺側面10c,10cの一方には雌実4が形成され、他方にはこの雌実4に嵌合可能な雄実5が形成されている。長辺側面10b,10bの雌実4に、隣接するラッピング化粧板1の基材10の長辺側面10b,10bの雄実5を嵌合することで、両ラッピング化粧板1が並べられて施工され、短辺側面10c,10cの雌実4に、隣接するラッピング化粧板1の基材10の短辺側面10c,10cの雄実5を嵌合することで、両ラッピング化粧板1が並べられて施工されるように構成されている。」 「【0033】 [面取り部] 図3及び図4に示すように、基材10の表面10aは、ラッピング化粧板1の化粧面を構成する。基材10の表面10aと長辺側面10b,10b及び短辺側面10c,10cの各々との角部には、各角部を斜め(又は円弧状)に切り欠くことにより、外側に向かうほど基材10の裏面側に位置する面取り部2が形成されている。 【0034】 〈化粧シート層の構成〉 化粧シート層20は、基材10の表面10a、長辺側面10b,10b及び短辺側面10c,10cを一体的に覆うと共に接着剤によって接着されたシート21によって形成されている。接着剤としては、例えば、湿気硬化型ウレタン樹脂系ホットメルト接着剤(PURホットメルト接着剤)が用いられている。このように、湿気硬化型ウレタン樹脂系ホットメルト接着剤を用いることで、シート21で基材10を容易にラッピングして該シート21を接着することができる。なお、湿気硬化型ウレタン樹脂系ホットメルト接着剤以外の接着剤を用いることもできる。 ・・・ 【0036】 図3及び図4に示すように、このシート21からなる化粧シート層20は、基材10の表面10aに装着される表面部20aと、基材10の長辺側面10b,10bにそれぞれ装着される2つの長辺側面部20b,20bと、基材10の短辺側面10c,10cにそれぞれ装着される2つの短辺側面部20c,20cとによって構成されている。 【0037】 表面部20aは、接着剤によって基材10の表面10aに接着されたシート21の本体部22によって構成されている。 【0038】 2つの長辺側面部20b,20bは、シート21の周縁部23であって接着剤によって基材10の長辺側面10b,10bに接着された長辺側面接着部23a,23aによって構成されている。 【0039】 シート21の2つの長辺側面接着部23a,23aのうち、雌実4が形成された長辺側面10b上に位置する長辺側面接着部23aは、長辺側面10bの一部である雌実4の表側雌実凸部4bの突出先端面に接着され、その基材10の表裏方向において裏側の先端が雌実凹部4aに到達しないように、表側雌実凸部4bの突出先端面において雌実凹部4a近傍まで延びている。 【0040】 一方、シート21の2つの長辺側面接着部23a,23aのうち、雄実5が形成された長辺側面10b上に位置する長辺側面接着部23aは、長辺側面10bの一部である雄実5の表側雄実凹部5bの底面に接着され、その基材10の表裏方向において裏側の先端が雄実凸部5aに到達しないように、表側雄実凹部5bの底面において雄実凸部5a近傍まで延びている。」 イ 甲3記載の技術事項 上記アに摘記した記載事項から、甲3には、次の技術事項が記載されていると認められる(なお、根拠となる段落を併記した。以下「甲3記載の技術事項」という。)。 (甲3記載の技術事項) 「矩形板状の基材10と、この基材10に接着剤を介して接着一体化されたシート21からなる化粧シート層20とを備えているラッピング化粧板1(【0026】)において、 基材10は、合板に中密度繊維板(MDF)等を積層することによって構成され(【0027】)、基材10の周囲側面10b,10b,10c,10cの各辺には雌実4又は雄実5が形成され(【0028】)、基材10の表面10aと長辺側面10b,10b及び短辺側面10c,10cの各々との角部には、各角部を斜めに切り欠くことにより、外側に向かうほど基材10の裏面側に位置する面取り部2が形成され(【0033】)、化粧シート層20は、基材10の表面10a、長辺側面10b,10b及び短辺側面10c,10cを一体的に覆い(【0034】)、 シート21の2つの長辺側面接着部23a,23aのうち、雌実4が形成された長辺側面10b上に位置する長辺側面接着部23aは、長辺側面10bの一部である雌実4の表側雌実凸部4bの突出先端面に接着され、その基材10の表裏方向において裏側の先端が雌実凹部4aに到達しないように、表側雌実凸部4bの突出先端面において雌実凹部4a近傍まで延びており(【0039】)、 シート21の2つの長辺側面接着部23a,23aのうち、雄実5が形成された長辺側面10b上に位置する長辺側面接着部23aは、長辺側面10bの一部である雄実5の表側雄実凹部5bの底面に接着され、その基材10の表裏方向において裏側の先端が雄実凸部5aに到達しないように、表側雄実凹部5bの底面において雄実凸部5a近傍まで延びている(【0040】)ラッピング化粧板1(【0026】)。」 (4)甲4について 甲4には、次の技術事項が記載されていると認められる(なお、根拠となる段落を併記した。以下「甲4記載の技術事項」という。)。 「ラッピング化粧板の基材に面取り部が形成されること(【0002】)。」 (5)甲5について 甲5には、次の技術事項が記載されていると認められる(なお、根拠となる段落を併記した。以下「甲5記載の技術事項」という。)。 「化粧シート2が、硬質シート層32の表面だけでなく、硬質シート層32の周囲端面全体と、硬質シート層32と木質系基材31の接合面に貼付され(【0019】、【0042】、【0044】、【0088】、図5)、床材の四周端面のうち化粧シート2の貼着部分を除く部分に、隣接する他の床材と接合するための実部16及び溝部17が設けられている(【0023】、図2)こと。」 (6)甲6について 甲6には、次の技術事項が記載されていると認められる(なお、根拠となる段落を併記した。以下「甲6記載の技術事項」という。)。 「接着剤が層間で全面に塗布される場合、層間の接着剤層は、積層体の四周端面に露出すること(【0087】)。」 (7)甲7について 甲7には、次の技術事項が記載されていると認められる(なお、根拠となる段落を併記した。以下「甲7記載の技術事項」という。)。 「木質表面材の裏面に複数の溝が形成され、かつ、表面に化粧シートを貼り付ける貼着部が設けられている木質表面材(【0055】)。」 (8)甲8について 甲8には、次の事項が記載されている。 ア 記載事項 「【0015】この暖房床用床材Aは、突き板を表面に持つ表面化粧材1aと合板である木質系基材1bとを有し、両者は好ましくはホルムアルデヒド捕捉剤を内包したマイクロカプセル(不図示)を混入した尿素・酢酸ビニル系接着剤により接着積層されている。木質系基材1bの中間には均熱板として機能するアルミ箔3aが配置されるとともに、その周囲には、通常の床材の場合と同様に雄実5a、雌実5bが形成されている。 【0016】木質系基材1bの裏面には、暖房用熱源である温水用パイプ又は棒状の電気ヒータ(いずれも図示されない)を収容できる大きさの凹溝2が短辺方向に平行に複数本(図1では4本)形成され、さらに、前記凹溝2に直交する方向に(すなわち、長辺方向に平行に)、凹溝2よりは幅狭である多数本の切り溝21が遮音溝として形成されている。凹溝2には全長にわたり裏面シート4が貼着されるとともに、床材の裏面全体には遮音機能を持つ遮音シート6が、やはり、好ましくはホルムアルデヒド捕捉剤を内包したマイクロカプセル(不図示)を混入したホルマリン系あるいは尿素・酢酸ビニル系接着剤により接着積層されている。」 「 [図:0001418247000003.jpg] 」 イ 認定事項 図1(c)より、凹溝2とアルミ箔3aの間に木質系基材1bがあることが看取される。 ウ 甲8記載の技術事項 上記アに摘記した記載事項及びイの認定事項から、甲8には、次の技術事項が記載されていると認められる(なお、根拠となる段落を併記した。以下「甲8記載の技術事項」という。)。 (甲8記載の技術事項) 「突き板を表面に持つ表面化粧材1aと合板である木質系基材1bとを有し、木質系基材1bの中間には均熱板として機能するアルミ箔3aが配置されるとともに、その周囲には、通常の床材の場合と同様に雄実5a、雌実5bが形成されている暖房床用床材A(【0015】)において、 木質系基材1bの裏面には、暖房用熱源である温水用パイプ又は棒状の電気ヒータを収容できる大きさの凹溝2が短辺方向に平行に複数本形成され、さらに、前記凹溝2に直交する方向に、凹溝2よりは幅狭である多数本の切り溝21が遮音溝として形成され、凹溝2には全長にわたり裏面シート4が貼着されるとともに、床材の裏面全体には遮音機能を持つ遮音シート6が、接着積層され(【0016】)、凹溝2とアルミ箔3aの間に木質系基材1bがある(認定事項)暖房床用床材A(【0015】)。」 (9)甲9について 甲9には、次の技術事項が記載されていると認められる(なお、根拠となる段落を併記した。以下「甲9記載の技術事項」という。)。 「合板基材21において、裏面にPTCヒータ17を収容するための凹陥部22を有すること(【0015】、図2)。」 (10)甲10について 甲10には、次の事項が記載されている。 ア 記載事項 「【0006】 【実施例】以下本発明を詳述する。床材1は合板等の基材4の上面に化粧単板等の表面材5を取り付けて形成してあると共に基材4の端部には厚み方向の略中央に外側に開口する雇い実2が全周に亘って凹設してある。」 「 [図:0001418247000004.jpg] 」 イ 認定事項 図1から、雇い実2の床材1表面側の凸部の先端は、床材1裏面側の凸部の先端と面一であることが看取される。 ウ 甲10記載の技術事項 上記アに摘記した記載事項及びイの認定事項から、甲10には、次の技術事項が記載されていると認められる(なお、根拠となる段落を併記した。以下「甲10記載の技術事項」という。)。 (甲10記載の技術事項) 「合板等の基材4の上面に化粧単板等の表面材5を取り付けて形成してあると共に基材4の端部には厚み方向の略中央に外側に開口する雇い実2が全周に亘って凹設してあり(【0006】)、雇い実2の床材1表面側の凸部の先端は、床材1裏面側の凸部の先端と面一である(認定事項)床材1(【0006】)。」 6 当審の判断 (1)取消理由通知に記載した取消理由(特許法第29条第2項)について ア 本件特許発明1について (ア)対比 a 構成Aについて 甲1発明では、「MDF等の木質繊維板51の裏面に、防湿性能を有する裏面側防湿シート31(防湿層3)を非水系接着剤により積層一体化し、裏面側防湿シート31の裏面側に、水性ビニルウレタン系の接着剤により合板基材1を冷圧により積層一体化し、木質繊維板51の表面に、防湿性能を有する表面側防湿シート71を反応性ホットメルト接着剤、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤等の非水系接着剤により積層一体化し、表面側防湿シート71を樹脂含浸紙、ポリサンド紙等の下地用シートで形成し」、その後に、「表面側防湿シート71のさらに表面側に、化粧紙等の化粧シート72を貼着一体化し」ていることから、「表面側防湿シート71のさらに表面側に、化粧紙等の化粧シート72を貼着一体化」する前の段階では、MDF等の木質繊維板51の表面には、化粧シート72は貼着されておらず、MDF等の木質繊維板51の裏面に、防湿性能を有する裏面側防湿シート31(防湿層3)、裏面側防湿シート31の裏面側に、合板基材1を冷圧により積層一体化している。 ここで、甲1発明の「化粧シート72」、「矩形状」であることは、それぞれ本件特許発明1の「化粧シート」、「矩形板状」であることに相当する。 また、甲1発明の「表面側防湿シート71のさらに表面側に、化粧紙等の化粧シート72を貼着一体化」する前の段階の「MDF等の木質繊維板51の裏面に、防湿性能を有する裏面側防湿シート31(防湿層3)、裏面側防湿シート31の裏面側に、合板基材1を冷圧により積層一体化されている」状態は、その後に「化粧シート72を貼着一体化」することから、本件特許発明1の「化粧板用基材」に相当するといえる。 そうすると、本件特許発明1の構成Aと甲1発明とは「表面に化粧シートが貼着されていない矩形板状の化粧板用基材であ」る点で共通する。 b 構成Bについて 甲1発明の「MDF等の木質繊維板51」、「合板基材1」、「非水系接着剤」により積層一体化された「防湿性能を有する裏面側防湿シート31(防湿層3)」、「積層一体化」されることは、それぞれ本件特許発明1の「表側に位置し木質繊維板からなる表側木質繊維板層」、「裏側に位置し該表側木質繊維板層とは異なる木質繊維板又は木質板からなる裏側木質板層」、「非水系の接着剤を含む防湿層」、「積層一体化され」ることに相当する。 よって、甲1発明は、本件特許発明1の構成Bに相当する構成を有する。 c 構成Dについて 甲1発明の「全体に拡がって」いること、「床暖房用床材Aの長手方向及び幅方向に対向する両側面でそれぞれ雌実10と雄実11が形成された部分」、「防湿層3」が「合板基材及び木質繊維板層と面一で露出」していることは、それぞれ本件特許発明1の「全体に拡がってい」ること、「上記基材の四周端面」、「該防湿層の周囲部に」「露出する露出部を有」することに相当する。 よって、甲1発明は、本件特許発明1の構成Dに相当する構成を有する。 d 構成Fについて 甲1発明の「木質繊維板51の表面」、「化粧シート72を」「貼着一体化」する「木質繊維板51の表面」は、それぞれ本件特許発明1の「上記表側木質繊維板層の表面」、「上記化粧シートを貼り付ける化粧シート貼着部」に相当する。 そうすると、本件特許発明1の構成Fと甲1発明とは「上記表側木質繊維板層の表面に、上記化粧シートを貼り付ける化粧シート貼着部が設けられている」点で共通する。 e 構成Gについて 上記aの検討を踏まえると、本件特許発明1の構成Gと甲1発明の「表面側防湿シート71のさらに表面側に、化粧紙等の化粧シート72を貼着一体化」する前の段階で、MDF等の木質繊維板51の表面には、化粧シート72は貼着されておらず、MDF等の木質繊維板51の裏面に、防湿性能を有する裏面側防湿シート31(防湿層3)、裏面側防湿シート31の裏面側に、合板基材1を冷圧により積層一体化されているものとは「化粧板用基材」である点で共通する。 f 一致点・相違点 以上のことから、本件特許発明1と甲1発明とは、以下の点で一致し、以下の相違点1~4で相違する。 <一致点> A’表面に化粧シートが貼着されていない矩形板状の化粧板用基材であって、 B 上記基材は、表側に位置し木質繊維板からなる表側木質繊維板層と、裏側に位置し該表側木質繊維板層とは異なる木質繊維板又は木質板からなる裏側木質板層とが非水系の接着剤を含む防湿層を介して積層一体化されてなり、 D 上記防湿層は、上記表側木質繊維板層及び裏側木質板層の全体に拡がっていて該防湿層の周囲部に上記基材の四周端面に露出する露出部を有し、 F’上記表側木質繊維板層の表面に、上記化粧シートを貼り付ける化粧シート貼着部が設けられている G’化粧板用基材。 <相違点1>(構成A及びG) 本件特許発明1は、「ラッピング化粧板用基材」であるのに対して、 甲1発明は、「化粧シート72を」「木質繊維板51の表面」に「貼着一体化」しており、ラッピングされるものではない点。 <相違点2>(構成C) 本件特許発明1では、「上記裏側木質板層の裏面に、上記防湿層まで至らない深さの複数の溝が形成され」ているのに対して、 甲1発明では、合板基材1の裏面に、複数の溝が形成されていない点。 <相違点3>(構成E) 本件特許発明1では、「上記表側木質繊維板層の表面及び周囲端面の間の角部に面取り部が形成されて」いるのに対して、 甲1発明では、表面化粧層7、雌実10の隅部及び雄実11の角部には、面取り部を有しているものの、MDF等の木質繊維板51の表面及び周囲端面の角部に面取り部を有していない点。 <相違点4>(構成F) 本件特許発明1では、「上記表側木質繊維板層の表面と、上記面取り部と、表側木質繊維板層の周囲端面の少なくとも表側部とにより、上記化粧シートを貼り付ける化粧シート貼着部が設けられている」のに対して、 甲1発明では、「木質繊維板51の表面」にのみ「化粧シート72」が「貼着」されている点。 (イ)判断 a 相違点2について 事案に鑑み相違点2から検討する。 令和6年8月1日付け取消理由通知で示したとおり、甲2記載の技術事項における「木質板(2)」の「下板(2B)」の「裏面」、「複数の溝(4,5)」は、それぞれ本件特許発明1の「上記裏側木質板層の裏面」、「複数の溝」に相当し、甲2記載の技術事項では、「溝(4,5)の深さは、厚さ1.2mm以下、好適には厚さ0.6mm以下の残存部を下板(2B)に設けるように」しており、「シート材(7)」と「下板(2B)」の間には、「下板(2B)」の「残存部」が設けられていることから、すなわち、「複数の溝(4,5)」は、「シート材(7)」まで至っておらず、本件特許発明1と甲2記載の技術事項とは、「上記裏側木質板層の裏面に、表側木質繊維層との間の層まで至らない深さの複数の溝が形成され」ている点で共通している。 しかし、本件特許権者による、令和6年9月25日提出の意見書における「甲第2号証には、複数の深い溝(4,5)を形成することが、谷反りの原因となり得ると記載されています。そうすると、反りや捩れの少ない床材を提供することを目的としてなされた甲1発明に、谷反りの原因となり得る複数の深い溝を適用することは、当業者であれば敢えて採用しないことであると思料します。」(意見書4頁10行~14行)との主張、及び、「つまり、甲第2号証には、ラッピング加工時に生じる課題に対し、ラッピング前の基材に工夫を加えることで、ラッピング加工時に生じる課題を解決するという技術的思想がないことは明らかです。・・・ラッピング加工時に生じる課題に対し、ラッピング前の基材に工夫を加えることで、ラッピング加工時に生じる課題を解決するという本件特許発明1の技術的思想は、ラッピング加工時に生じる課題について何ら意識しない甲第1~第3号証からは当業者であっても容易に想到し得ないものであると思料します。」(意見書4頁28行~5頁14行、下線は特許権者により付与されたもの)との主張を踏まえて再検討をしたところ、甲2には、【0007】に、「また、木質床材(21)の場合、木質板(22)に谷反りを生じることが少なくなかった。このような谷反りの原因としては、・・・複数の深い溝(4,5) の形成により木質板(22)のバランスが損なわれていること、・・・等が考えられる。・・・」と、複数の溝が、反りの防止ではなく反りの原因として記載されており、【0013】に、「上記の木質床材によれば、木質板における各溝の上側部分には、溝が形成された下板とは別の上板が存在するので、単体の木質板に深い溝が形成された場合と比べて、同部分の曲げ強度が向上する。また、溝が形成されていない上板は、板としてのバランスが損なわれていないため、反りが生じ難く、したがって、木質板、さらには木質床材に反りが生じるのが軽減される。さらに、上記のように木質板としての曲げ強度が上板に依存できるため、下板の厚さとほぼ等しい深さの溝を下板に形成することができ、その結果、施工された木質床材の上を人が歩いたさいにも、破損するおそれのある箇所が少なく、踏み鳴りが生じ難い。」と、溝が形成された下板とは別の上板が存在することにより、反りが生じ難くなり、木質床板に反りが生じることが軽減されることが記載されており、複数の溝(4,5)が、木質板(2)の反りを防止するために設けられたものとはいえず、「反りが生じ難」い上板によって、木質板(22)に「反りが生じるのが軽減される」ものであるし、甲1については、「低含水率のMDFと合板とを複合することにより、反りの少ない」複合板であり(【0002】)、かつ、「合板基材の水分が木質繊維板層に移行するのは防湿層により遮断」して「山反りが生じることは抑制される」ものである(【0010】)ことからみて、木質板の反りを防止するとの課題が共通するとはいえないから、甲2記載の技術事項を甲1発明に採用する動機付けがあるとは認められない。 さらに、甲1発明及び甲2記載の技術事項のいずれにおいても、本件特許発明の課題に係る、「基材に反りがある」ことを前提とした「化粧シートの余剰部等を加工する際に基材を強い力で押さえ付けておく」との事項について、その「必要があ」るとは認められない。 さらに、申立人が提出したその余の証拠及び令和6年10月3日提出の上申書とともに提出した甲第11号証(特開2010-042号公報)、甲第12号証(特開2009-274286号公報)、甲第13号証(特開2003-90122号公報)、甲第14号証(特開2000-274054号公報)及び甲第15号証(特開2020-33780号公報)をみても、相違点2に係る本件特許発明1の構成は記載も示唆もされていない。 したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲1発明、甲2記載の技術事項及び甲3記載の技術事項から、当業者が容易に想到し得るものではない。 b 申立人の主張について 申立人は令和6年10月16日提出の上申書において、 「特許権者は、意見書第4頁第8行から第11行において、「甲第2号証では、裏面に開口した複数の溝(4,5)は、遮音性の向上等の目的で設けられるものであって、反りを抑えるために設けられるものではありません。寧ろ、甲第2号証には、複数の深い溝(4,5)を形成することが、 谷反りの原因となり得ると記載されています。」と主張し、甲2記載の技術事項に関する課題が、 甲1発明と異なることや、甲1発明に、谷反りの原因となる複数の深い溝を適用することは、当業者であれば採用しないと反論しています。 しかし、甲第2号証には、溝を形成する場合においても上板と組み合わせながら反りを軽減するという課題を解決することが記載されています(段落【0010】から【0013】、【0039】など)。 甲第2号証において、遮音性を目的として設けること自体を制限する内容ではなく、溝を形成しながら反りを抑制するという技術です。したがって、甲第2号証において、複数の深い溝 (4,5)を形成することが、谷反りの原因となり得るという記載があったとしても、溝(4,5)の深さに着目したにすぎず、甲1発明に対して甲2記載の技術事項を適用することを妨げる理由にはなり得ません。 また、甲第1号証には、反りを抑制するという課題が開示されています(段落【0010】、【0049】など)。そして、甲第2号証には、上述したとおり、溝を形成しながら反りを軽減するという課題が記載されています。よって、反りの発生を確実に抑制するため、当業者は、甲1発明に対して、甲2記載の複数の溝(4,5)を適用するという試みを行うことができ、甲第1号証には、反りを抑制するための甲2記載の技術事項を組み合わせる動機づけがあるといえます。したがって、当業者は、甲第1号証及び甲2記載の技術事項に基づいて、本件特許発明1を容易に想到することができたといえます。」(令和6年10月16日提出の上申書1頁26行~2頁24行)と主張している。 しかしながら、上記aで説示したとおり、甲2には、【0007】に、「また、木質床材(21)の場合、木質板(22)に谷反りを生じることが少なくなかった。このような谷反りの原因としては、・・・複数の深い溝(4,5) の形成により木質板(22)のバランスが損なわれていること、・・・等が考えられる。・・・」と、複数の溝が、反りの防止ではなく反りの原因として記載されており、【0013】に、「上記の木質床材によれば、木質板における各溝の上側部分には、溝が形成された下板とは別の上板が存在するので、単体の木質板に深い溝が形成された場合と比べて、同部分の曲げ強度が向上する。また、溝が形成されていない上板は、板としてのバランスが損なわれていないため、反りが生じ難く、したがって、木質板、さらには木質床材に反りが生じるのが軽減される。さらに、上記のように木質板としての曲げ強度が上板に依存できるため、下板の厚さとほぼ等しい深さの溝を下板に形成することができ、その結果、施工された木質床材の上を人が歩いたさいにも、破損するおそれのある箇所が少なく、踏み鳴りが生じ難い。」と、溝が形成された下板とは別の上板が存在することにより、反りが生じ難くなり、木質床板に反りが生じることが軽減されることが記載されており、複数の溝(4,5)が、木質板(2)の反りを防止するために設けることは記載されたものとはいえず、「反りが生じ難」い上板によって、木質板(22)に「反りが生じるのが軽減される」ものであるし、甲1については、「低含水率のMDFと合板とを複合することにより、反りの少ない」複合板であり(【0002】)、かつ、「合板基材の水分が木質繊維板層に移行するのは防湿層により遮断」して「山反りが生じることは抑制される」ものである(【0010】)ことからみて、木質板の反りを防止するとの課題が共通するとはいえないから、甲2記載の技術事項を甲1発明に採用する動機付けがあるとは認められない。 さらに、申立人が主張している甲2の【0010】~【0013】、【0039】には、木質板における各溝の上側部分には、溝が形成された下板とは別の上板が存在するので、単体の木質板に深い溝が形成された場合と比べて、同部分の曲げ強度が向上すること、溝が形成されていない上板は、板としてのバランスが損なわれていないため、反りが生じ難く、したがって、木質板、さらには木質床材に反りが生じるのが軽減されること等について記載されるに留まり、溝を設けることで反りを防止することは記載されていない。 よって、上記主張は妥当とはいえず採用することができない。 また、申立人は令和6年10月16日提出の上申書において、 「特許権者は、意見書第2頁第24行から第3頁第3行において、「ラッピング前の基材の剛性を下げることで、仮にラッピング前の基材に反りが生じていたとしても、ラッピングの際に、基材を強い力で押さえ付けなくてもラッピング加工ができる」と主張し、本件特許発明1が解決する課題を説明しています。しかし、甲第2号証において、「複数の深い溝(4,5)が形成された直後の木質板(22)は、瞬間的に谷反り傾向を示すが、深い溝(4,5)によって剛性が弱くなっているので、平面上に載置するとその自重によってフラットになる」と記載されており(段落【0008】)、上述した本件特許発明1が解決する課題は、本件特許の出願前の周知の課題であるということができます。したがって、当業者が本件特許発明1の構成(構成C)を想到することについて何らの困難性はなく、裏側木質板層の裏面に溝を形成することは適宜採用される構成であるといえます。 2)甲第2号証に開示された床材の製造工程では、木質板に化粧層が形成された後に複数の溝が形成されることについて 特許権者は、意見書第4頁第27行及び第28行において、「甲第2号証に開示された床材では、木質材に化粧層を形成した後に、複数の溝が形成されています。」と主張し、甲第2号証には、ラッピング加工時に生じる課題を解決するという技術的思想がないことは明らかであると反論しています。 しかし、異議申立書で証拠とした甲第7号証(特開2012-202085号公報)には、木質フロアの製作方法として、まず、のこ刃により木質表面材の裏面側に溝加工を施す工程と、加工を施した後、木質表面材の表面側に化粧シートを貼り付ける工程が開示されています(段落【0055】)。したがって、甲第7号証には、本件特許発明1と同様に、木質表面材の裏面に複数の溝が形成され、かつ、表面に化粧シートを貼り付ける化粧シート貼着部が設けられている木質表面材が開示されているといえます。そして、甲第7号証には、化粧シートを貼り付ける前に複数の溝が裏面に予め形成されていることから、本件特許発明1と同様に、木質表面材の剛性を下げることができます。 また、本件異議申立人が異議申立書で主張しているとおり、甲第2号証の【0023】では、木質板に化粧層が形成された後に複数の溝が形成されるという製造工程を開示しつつ、同段落において、「木質床材(1)の製造工程や製造方法は、上記例示のものに限定されず、その他のものであってももちろんよい。」と記載されています。したがって、甲第2号証には、当業者が他の製造工程を想到し得る動機付けがあり、かつ、化粧層3を形成する前に、木質板2の下板2Bに溝4、5を先に形成する工程とすることの阻害要因もありません。よって、当業者は、甲第7号証などの周知技術と合わせて、甲第2号証において、下板2Bに溝4、5を先に形成してから化粧層3を形成するという製造工程を容易に想到し得ます。 以上より、本件特許発明1は、甲第1号証記載の発明、甲第2号証記載事項及び甲第3号証記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものです。」(令和6年10月16日提出の上申書2頁33行~3頁33行)と主張している。 しかしながら、甲第2号証の「複数の深い溝(4,5)が形成された直後の木質板(22)は、瞬間的に谷反り傾向を示すが、深い溝(4,5)によって剛性が弱くなっているので、平面上に載置するとその自重によってフラットになる」との記載は、ラッピング加工時に生じる課題と関係がある記載とはいえない。 また、本件特許発明1は、ラッピング前の基材の裏面に複数の溝を形成することで剛性を下げ、ラッピング加工時に生じる課題を解決するというものであるところ、甲1~甲3には、そのような技術的思想については開示も示唆もされておらず、甲2の【0023】の「木質床材(1)の製造工程や製造方法は、上記例示のものに限定されず、その他のものであってももちろんよい。」という記載があるからといって、下板2Bに溝4、5を先に形成してから化粧層3を形成するという製造工程を容易に想到し得るともいえない。 さらに、甲7にもラッピング加工時に生じる課題については記載も示唆もされてないことから、上記主張は妥当とはいえず採用することができない。 (ウ)小括 よって、本件特許発明1は、甲1発明、甲2記載の技術事項、甲3記載の技術事項及び申立人が提出したその余の証拠の記載から当業者が容易に想到し得るものではない。 イ 本件特許発明2~7について 本件特許発明2~7については、本件特許発明1の発明特定事項を全て含む発明であるから、上記アと同様の理由により、当業者が容易に想到し得るものではない。 (2)取消理由として採用しなかった特許異議申立理由について 当審で令和6年8月1日付けで特許権者に通知した本件特許発明1に対する取消理由は、申立人による特許異議申立理由と同趣旨であり、取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由はない。 7 まとめ 以上述べたとおり、請求項1~7に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、取り消すことができない。 また、他に請求項1~7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-700358

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