2021-390196
フライス工具
- 審判番号
- 2021-390196
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2019-523615外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 6963012
- 請求日
- 2021年12月21日
- 審決日
- 2022年04月19日
- 公報発行日
- 2022年08月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】サンドビック インテレクチュアル プロパティー アクティエボラーグ
- 【請求人代理人】園田・小林特許業務法人
- 分類
- P141 .852-Y (B23C)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 10項目
第1 手続の経緯
特許第6963012号は、2017年(平成29年)10月4日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2016年11月9日 (EP)欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、令和3年10月18日に特許権の設定登録がなされ、その後、同年12月21日に本件訂正審判の請求がされたものである。
第2 請求の趣旨及び訂正の内容
本件訂正審判の請求の趣旨は、「特許第6963012号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項15について訂正することを認める、との審決を求める。」というものであり、その訂正の内容は、以下のとおりである。(下線は当審で付した。以下同様。)
1.訂正事項1
特許請求の範囲の請求項15における「正面フライス加工用のフライス加工の」との記載を、「正面フライス加工用のフライス工具の」に訂正する。
2.訂正事項2
特許請求の範囲の請求項15の最後に記載の発明の対象に関する記載「フライス工具。」を、「交換可能な切削インサート(100)のキット。」に訂正する。
第3 当審の判断
1.訂正の目的について
(1)訂正事項1
訂正事項1は、訂正前の請求項15において、「正面フライス加工用のフライス加工の工具本体の周囲に沿って連続的に配置されるように適合された交換可能な切削インサート(100)のキットであって、」と記載されていたところ、「正面フライス加工用のフライス加工の工具本体」という記載を、「正面フライス加工用のフライス工具の工具本体」という記載に訂正するものである。
ア 訂正前の請求項15における「正面フライス加工用の」という記載は、その後に続く被修飾語を修飾するものであって、「『正面フライス加工』という加工方法に使用される」という意味であると理解される。
そして、「正面フライス加工用の」という記載の後に、「フライス加工の」という記載が続くところ、当該「フライス加工の」という記載も、その後に続く被修飾語を修飾するものであり、当該「フライス加工の」という記載は、「『フライス加工』という加工方法」を意味するものと解される。
そうすると、「正面フライス加工用の」という記載と「フライス加工の」という記載は、その後に続く被修飾語を、ほぼ同じ意味で冗長して修飾することになるから、「正面フライス加工用のフライス加工の」という記載には、過誤が含まれているものと認められる。
イ 訂正前の請求項15には、冒頭の「正面フライス加工用のフライス加工の工具本体の周囲に沿って連続的に配置されるように適合された交換可能な切削インサート(100)のキットであって、」という記載に続き、「前記フライス工具が、」から始まる「前記フライス工具」に関する記載がある。
しかしながら、当該「前記フライス工具」という記載よりも前には、「フライス工具」に関する事項が記載されておらず、「前記フライス工具」という記載は、過誤を含んだ記載であると認められる。
ウ 訂正前の請求項15には、「前記フライス工具が、工具本体(10、10’)であって、軸方向(A)を定義する中心回転軸を有し、前記軸方向(A)に沿って延在する包囲表面(11)、および径方向(R)に沿って延在する前表面(12)を有する工具本体(10、10’)を備え、」と記載されていることから、「工具本体」が「フライス工具」に備えられた構成であることを理解することができる。
上記ウを考慮すると、訂正前の請求項15における「正面フライス加工用のフライス加工の工具本体の周囲に沿って連続的に配置されるように適合された交換可能な切削インサート(100)のキットであって、」という記載の「工具本体」が「フライス工具」に備えられた構成であることを、当業者であれば当然に理解し得たものであり、さらに、「正面フライス加工用のフライス工具の工具本体」と解することで、上記ア及びイの過誤も解消されることを考慮すると、訂正前の請求項15における「正面フライス加工用のフライス加工の工具本体」という記載は、「正面フライス加工用のフライス工具の工具本体」という記載の誤記であると理解し得たものと認められる。
したがって、訂正事項1は、誤記の訂正を目的とするものであるといえる。
(2)訂正事項2
訂正事項2は、訂正前の請求項15において、「工具本体の周囲に沿って連続的に配置されるように適合された交換可能な切削インサート(100)のキットであって、・・・(省略)・・・、フライス工具。」と記載されていたところ、「工具本体の周囲に沿って連続的に配置されるように適合された交換可能な切削インサート(100)のキットであって、・・・(省略)・・・、交換可能な切削インサート(100)のキット。」という記載に訂正するものである。
ア 訂正前の請求項15における「工具本体の周囲に沿って連続的に配置されるように適合された交換可能な切削インサート(100)のキットであって、」との記載では、訂正前の請求項15に記載の発明が「交換可能な切削インサート(100)のキット」であると理解される一方で、訂正前の請求項15における末尾の記載が「フライス工具。」となっていることから、訂正前の請求項15に記載の発明が「フライス工具」であるとも理解されるものであり、訂正前の請求項15に記載の発明を示す上記2箇所の記載には、過誤が含まれているものと認められる。
イ 訂正前の請求項15には、
(ア)「前記切削インサート(100)のそれぞれが、・・・(省略)・・・前記工具本体に配置されたときに、前記工具本体(10、10’)の前記包囲表面(11)の周囲で前記軸方向(A)に沿って延在し、」
(イ)「前記第1の副切削刃(140)および第3の副切削刃(160)は、前記工具本体(10、10’)に配置されたときに、前記軸方向(A)に垂直な方向に延在し、前記第2の副切削刃(150)は、前記第1の副切削刃(140)と前記第3の副切削刃(160)の間に延在し、」
(ウ)「前記工具本体に配置されたときに、前記切削インサートの前記主切削刃(130)が、前記工具本体(100)の前記包囲表面(11)の前記周囲に沿って同じ径方向位置にあり、前記第1の副切削刃(140)が、同じ軸方向位置にあり、」
(エ)「前記工具本体に配置されたときに、前記第2の副切削刃(150)の第1の端点(151)が、径方向内向きに連続的に推移し、前記第2の副切削刃(150)の第2の端点(152)が、前記工具本体(10、10’)の前記前表面(12)の前記周囲に沿って径方向内向きかつ軸方向外向きに連続的に推移し、それにより、後に続く切削インサートの第2の副切削刃(150)が、前記工具本体の前記前表面(12)の前記周囲に沿った前の切削インサートの第2の副切削刃(150)よりも、長さが長くなり、前記工具本体の前記中心回転軸(A)の近くにくる、」
と記載されるように、「切削インサート(100)」が、「工具本体に配置されたとき」、すなわち、「工具本体に配置された」場合ないし「工具本体に配置された」後には上記(ア)ないし(エ)の配置態様とされるものであることが特定されていることからして、訂正前の請求項15には、「工具本体に配置され」ることが可能な「切削インサート(100)」に関する事項が特定されていることが理解できる。
上記イを考慮すれば、上記アにおいて指摘される訂正前の請求項15に記載の発明を示す2箇所の記載のうち、「交換可能な切削インサート(100)のキット」が正しい記載であり、「フライス工具」が誤った記載であることについて、当業者であれば当然に理解し得たものと認められる。
すなわち、訂正前の請求項15における末尾の「フライス工具。」という記載は、「交換可能な切削インサート(100)のキット。」という記載の誤記であることについて、当業者であれば当然に理解し得たものと認められる。
したがって、訂正事項2は、誤記の訂正を目的とするものであるといえる。
(3)小括
訂正事項1及び2は、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する「誤記の訂正」を目的とするものである。
2.新規事項の有無について
(1)訂正事項1
上記1.(1)において検討したとおり、訂正事項1は、訂正前の請求項15に記載された誤記の訂正を目的とするものであって、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)に記載した事項の全てを総合することによって導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項1は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
(2)訂正事項2
上記1.(2)において検討したとおり、訂正事項2は、訂正前の請求項15に記載された誤記の訂正を目的とするものであって、当初明細書等に記載した事項の全てを総合することによって導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項2は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
(3)小括
訂正事項1及び2は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
3.実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことについて
(1)訂正事項1
上記1.(1)において検討したとおり、訂正事項1は、訂正前の請求項15に記載された誤記の訂正を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
(2)訂正事項2
上記1.(2)において検討したとおり、訂正事項2は、訂正前の請求項15に記載された誤記の訂正を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
(3)小括
訂正事項1及び2は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
4.独立特許要件について
訂正後の請求項15に記載されている事項により特定される発明について、特許出願の際独立して特許を受けることができない理由を発見することはできない。
したがって、訂正事項1及び2は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
第4 むすび
以上のとおりであるから、訂正事項1及び2は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
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