2021-390132
ぱちんこ遊技機
- 審判番号
- 2021-390132
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2017-121782外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 6758769
- 請求日
- 2021年08月26日
- 審決日
- 2021年10月19日
- 公報発行日
- 2022年04月28日
- 結論
- 訂正認容
- 分類
- P141 .853-Y (A63F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 11項目
第1 手続の経緯
本件特許第6758769号(以下「本件特許」という。)は、平成29年6月21日に特許出願(特願2017-121782号)したものであり、令和2年9月4日に特許権の設定の登録がされ、その後、令和3年8月26日に本件訂正審判の請求がなされたものである。
第2 請求の趣旨
本件訂正審判請求の趣旨は、本件特許の願書に添付した明細書(以下、「本件特許明細書」という。)及び特許請求の範囲(以下、「本件特許請求の範囲」という。)を本件審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。
第3 訂正の内容
本件訂正審判請求による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、次のものである。
1 訂正事項1
本件特許請求の範囲の請求項1に、
「遊技領域に向けて発射された遊技球の数と、前記複数の入賞口への遊技球の通過により払い出された賞球数とに基づく特定情報を生成し、当該生成した特定情報に基づく表示を情報表示部にて表示し得るよう構成され、」と記載されているものを、
「遊技領域に向けて発射された遊技球の数と、前記複数の入賞口への遊技球の通過により払い出される予定の賞球数とに基づく特定情報を生成し、当該生成した特定情報に基づく表示を情報表示部にて表示し得るよう構成され、」に訂正する(下線は、当審が付した。以下同様。)。
2 訂正事項2
本件特許明細書の【0005】に、
「遊技領域に向けて発射された遊技球の数と、前記複数の入賞口への遊技球の通過により払い出された賞球数とに基づく特定情報を生成し、当該生成した特定情報に基づく表示を情報表示部にて表示し得るよう構成され、」と記載されているものを、
「遊技領域に向けて発射された遊技球の数と、前記複数の入賞口への遊技球の通過により払い出される予定の賞球数とに基づく特定情報を生成し、当該生成した特定情報に基づく表示を情報表示部にて表示し得るよう構成され、」に訂正する。
第4 当審における判断
1 特許法第126条第1項ただし書(訂正の目的)について
(1)訂正事項1
訂正事項1に係る訂正は、「情報表示部に」「表示」するために「生成」する「特定情報」について、本件訂正前の請求項1の第10段落では、「遊技領域に向けて発射された遊技球の数と、前記複数の入賞口への遊技球の通過により払い出された賞球数とに基づく」ことが特定される一方、続く第11段落では、「当該払い出される予定の賞球数に基づく」こと、すなわち、「前記複数の入賞口への遊技球の通過により」「払い出される予定の賞球数」に基づくことが特定されることにより、「特定情報」の「生成」が、「遊技領域に向けて発射された遊技球の数」に基づくことに加え、「前記複数の入賞口への遊技球の通過により払い出された賞球数とに基づく」のか、あるいは、「前記複数の入賞口への遊技球の通過により」「払い出される予定の賞球数とに基づく」のかという点で記載上の不整合が生じていたところ、当該記載上の不整合を解消して明確になるように、「前記複数の入賞口への遊技球の通過により払い出された賞球数」という記載を、「前記複数の入賞口への遊技球の通過により払い出される予定の賞球数」と訂正するものであり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものに該当する。
(2)訂正事項2
訂正事項2に係る訂正は、訂正事項1に係る訂正により本件特許請求の範囲の請求項1を訂正することに伴い、明細書の【0005】の記載を、特許請求の範囲の記載と整合するように訂正するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(3)まとめ
上記(1)、(2)より、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
2 特許法第126条第5項(新規事項の有無)について
(1)訂正事項1について
ア 本件特許請求の範囲に記載された「特定情報」、「情報表示部」に対応する実施例は、それぞれ、本件特許明細書に記載された「ベース値」、「入球状態表示装置J10」であると認められる。ここで、「ベース値」は、「{(通常時賞球数カウンタ値÷通常時アウト個数カウンタ値)×100}の式で算出される。」(【0679】)ものであるから、賞球数についてみれば、本件特許請求の範囲に記載された「賞球数」に対応する実施例は、本件特許明細書において、ベース値を算出する式で用いられる「通常時賞球数カウンタ値」が対応し、本件特許請求の範囲に記載された「遊技領域に向けて発射された遊技球の数」に対応する実施例は、本件特許明細書において、ベース値を算出する式で用いられる「通常時アウト個数カウンタ値」が対応すると認められる。
イ そして、「通常時賞球数カウンタ値」について、本件特許明細書には、次の事項が記載されている。
(ア)「【0677】次に、図133は、第7実施形態における、図131及び図132のステップ8650のサブルーチンに係る、第2ROM・RAM領域による制御であるSW集計処理のフローチャートである。まず、ステップ8651で、主制御基板MのCPUMCは、いずれかの入球センサの入球フラグがオンであるか否かを判定する。ステップ8651でYesの場合、ステップ8651-1で、主制御基板MのCPUMCは、いずれの入球センサの入球フラグを確認するかを判定する(いずれの入球センサの入球フラグを確認するかをαの値に基づいて決定する)。・・・次に、α=3のとき、ステップ8661で、主制御基板MのCPUMCは、第1主遊技始動口入球フラグがオンであるか否かを判定する。ステップ8661でYesの場合、ステップ8662で、主制御基板MのCPUMCは、第1主遊技始動口入球フラグをオフにし、ステップ8663で、主制御基板MのCPUMCは、第1主遊技始動口賞球フラグをオンにし、ステップ8679でαに1を加算し、次の処理(ステップ8680の処理)に移行する。・・・」
(イ)「【図133】(一部抜粋)[図:0001383201000001.jpg]」
(ウ)「【0678】次に、図134は、第7実施形態における、図133のステップ8680のサブルーチンに係る、第2ROM・RAM領域による制御であるカウンタ加算処理のフローチャートである。まず、ステップ8682で、主制御基板MのCPUMCは、通常時賞球数カウンタの加算を実行する。尚、通常時賞球数カウンタの加算を実行する条件が設けられており、遊技状態が非確率変動遊技状態且つ非時間短縮遊技状態、且つ、大当りではないときに、賞球フラグ(第2大入賞口賞球フラグ、第1大入賞口賞球フラグ、第2主遊技始動口賞球フラグ、第1主遊技始動口賞球フラグ、一般入賞口1賞球フラグ、一般入賞口2賞球フラグ、一般入賞口3賞球フラグ、一般入賞口4賞球フラグ)がオンである場合に通常時賞球数カウンタの加算が実行されるように構成されている。・・・尚、通常時賞球数カウンタの加算が終了すると、賞球フラグをオフにする。補足であるが、通常時賞球数カウンタは2バイトで構成されており、賞球数を加算した値が上限値を超えているか否か(キャリーフラグが発生しているか否か)を確認し、超えている場合には加算しない(2バイトの上限値で維持する)よう構成されている。次に、ステップ8684で、主制御基板MのCPUMCは、通常時アウト個数カウンタの加算を実行する。・・・」
(エ)「【図134】(一部抜粋)[図:0001383201000002.jpg]」
(オ)「【0679】次に、図135は、第7実施形態における、図128のステップ8800のサブルーチンに係る、第2ROM・RAM領域による制御である演算処理のフローチャートである。まず、ステップ8802で、主制御基板MのCPUMCは、区間変更がないか否かを判定する。ステップ8802でYesの場合、ステップ8804で、主制御基板MのCPUMCは、ベース計算を実行する。ここで、ベース値は、{(通常時賞球数カウンタ値÷通常時アウト個数カウンタ値)×100}の式で算出される。次に、ステップ8806で、主制御基板MのCPUMCは、ステップ8804で算出したベース値(入球状態情報)を、現在のベース値(入球状態情報)として入球状態表示装置J10に表示するための表示用に記憶し、次の処理(ステップ8900の処理)に移行する。ここで記憶するベース値(入球状態情報)は、小数点第一位を四捨五入された値を記憶する。・・・」
(カ)「【図135】[図:0001383201000003.jpg]」
(キ)「【0680】<第2ROM・RAM領域における処理>次に、図136は、第7実施形態における、図127のステップ1992において呼び出される第2ROM・RAM領域による制御である入球状態表示装置表示制御処理に係るフローチャートである。・・・次に、ステップ7500で、主制御基板MのCPUMCは、第1RAMの各入賞口の検出情報を読み出す。具体的には、第2ROMのプログラムでは、第1RAMの検出情報がオンであることを、1回のエッジ検出(オフ→オン)で入球ありと判定し、入球ありと判定した場合、第2RAM領域内の入球情報の記憶領域(2バイト)のうち、対応する入賞口の記憶領域のフラグをオン(1を設定する)にする。例えば、第1RAM領域の第2主遊技始動口の検出情報がオンであった場合、第2ROMのプログラムで第1RAM領域の第2主遊技始動口の検出情報がオンであることを判定した際に、オンであることを1回判定すると、第2RAM領域内の入球情報の記憶領域であるD1に1を設定する。そして、ここで設定した入球情報に基づいてステップ8650のSW集計処理が実行される。・・・」
(ク)「【0690】また、上記の遊技機において、賞球払出動作中にRAMクリア処理(第1RAM領域のクリア処理)が発生する場合(例えば、電源断時にRAMクリアボタンが操作される、ノイズや瞬電による異常な電源断の発生後に電断復帰する)が想定される。例えば、特定数(例えば10個)の賞球払出動作中に、所定数(例えば6個)の払出完了時にRAMクリア処理が発生した場合、残りの賞球数(例えば4個)の記憶情報はクリアされ、残りの賞球数に対する払出が実行されず払出動作が終了することとなるが、入球状態表示装置J10では、特定数分の賞球が加算された値で算出されたベース値が表示される。このように構成することで、ベース値等の入球情報を意図的に調整できないよう構成することができ、入賞口への入球数に基づいて構成な入球情報を生成可能である。」
ウ ここで、上に摘記した(ア)、(イ)より、SW集計処理のフローチャートである図133において、ステップ8651で、主制御基板MのCPUMCは、いずれかの入球センサの入球フラグがオンであるか否かを判定し、ステップ8651でYesの場合、ステップ8651-1で、主制御基板MのCPUMCは、いずれの入球センサの入球フラグを確認するかを判定するところ、通常時賞球数カウンタを加算する賞球数フラグの種類として、「第2大入賞口賞球フラグ、第1大入賞口賞球フラグ、第2主遊技始動口賞球フラグ、第1主遊技始動口賞球フラグ、一般入賞口1賞球フラグ、一般入賞口2賞球フラグ、一般入賞口3賞球フラグ、一般入賞口4賞球フラグ」という各入賞口に対応したフラグがあって(【0678】)、各種入賞口のいずれに入球しても、各入賞口に対応した入球フラグがオンとされたのち、各入賞口に対応した賞球フラグがオンとされ、通常時賞球数カウンタの加算を実行するまでの処理は同様であるから、ここでは、第1主遊技始動口に遊技球が入球して、第1主遊技始動口入球フラグがオンとされる場合を例として検討する。
(ア)上記イ(ア)~(エ)、(キ)より、本件特許明細書には、主制御基板MのCPUMCは、第1主遊技始動口の検出情報がオンとなる、すなわち、第1主遊技始動口に遊技球が入球すると、第1主遊技始動口賞球フラグをオンにし、遊技状態が非確率変動遊技状態且つ非時間短縮遊技状態、且つ、大当りではないときに、通常時賞球数カウンタの加算が実行されることが記載されている。
(イ)上記イ(オ)、(カ)より、本件特許請求の範囲に記載された、「情報表示部に」「表示」するために「生成」する「特定情報」に対応する実施例は、本件特許明細書に記載された、入球状態表示装置J10に表示するための表示用に記憶された「ベース値」であり、上記(ア)を併せみると、当該「ベース値」を算出する式で用いられる「通常時賞球数カウンタ値」は、第1主遊技始動口の検出情報がオンとなる、すなわち、第1主遊技始動口に遊技球が入球すると加算されるものであって、ベース値の算出においては、遊技機が払い出した遊技球個数を出力する信号である、払出カウントセンサKE10sによる遊技球の検出に基づく信号(【0171】)を用いていないことから、本件特許明細書には、入賞口への遊技球の通過により払い出される予定の賞球数に基づきベース値が算出されることが記載されている。
そして、第1主遊技始動口に遊技球が入球する場合のほか、他の入賞口に遊技球が入球した場合も同様の処理を行うことは上記のとおりであるから、本件特許明細書には、複数の入賞口への遊技球の通過により払い出される予定の賞球数に基づきベース値が算出されることが記載されていると認められる。
よって、訂正事項1は、本件特許明細書より導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(2)訂正事項2について
訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項1に対応する明細書の【0005】について、訂正事項1と同様の訂正をするものである。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、訂正事項1に係る訂正と同様の理由により、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)まとめ
上記(1)、(2)より、本件訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
3 特許法第126条第6項(特許請求の範囲の拡張又は変更の有無)について
(1)訂正事項1について
本件特許請求の範囲の第11段落において、「前記複数の入賞口への遊技球の通過により払い出される予定の賞球数が全て払い出されない状況下でRAMクリア処理が実行された場合であっても、当該払い出される予定の賞球数に基づく特定情報を生成して当該生成した特定情報に基づく表示を情報表示部に表示可能である」と特定されている。
そうすると、「特定情報」の「生成」が、「遊技領域に向けて発射された遊技球の数」に基づくことに加え、「前記複数の入賞口への遊技球の通過により払い出された賞球数とに基づく」のか、あるいは、「前記複数の入賞口への遊技球の通過により払い出される予定の賞球数とに基づく」のかという点に関し、本件特許請求の範囲の第11段落において、「・・・場合であっても」と特定することは、その直前の段落である第10段落における「特定情報」の「生成」と、第11段落における「前記複数の入賞口への遊技球の通過により払い出される予定の賞球数が全て払い出されない状況下でRAMクリア処理が実行された場合」という事象が発生した場合での「特定情報」の「生成」とを並列的に記載し、いずれの場合の「特定情報」の「生成」も、「払い出される予定の賞球数に基づく」ことを特定するものと認められる。
また、上記2(1)ウ(イ)において検討したとおり、本件特許明細書には、複数の入賞口への遊技球の通過により払い出される予定の賞球数に基づきベース値が算出されることが記載されていると認められる。
そうすると、訂正事項1に係る訂正により、「情報表示部に」「表示」するために「生成」する「特定情報」について、「遊技領域に向けて発射された遊技球の数と、前記複数の入賞口への遊技球の通過により払い出された賞球数とに基づく」という記載を、「前記複数の入賞口への遊技球の通過により払い出される予定の賞球数とに基づく」と訂正しても、実質上特許請求の範囲を拡張するものではなく、かつ、実質上特許請求の範囲を変更するものでもない。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に
適合するものである。
(2)訂正事項2について
訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項1に対応する明細書の【0005】について、訂正事項1と同様の訂正をするものである。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張するものではなく、かつ、実質上特許請求の範囲を変更するものでもなく、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(3)まとめ
上記(1)、(2)より、本件訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
4 特許法第126条第7項(独立特許要件)について
上記1で検討したとおり、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とする訂正であるので、同法第126条第7項に規定される独立特許要件は課されない。
第5 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ同条第5項及び第6項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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