特許訂正審判
2021-390089
癌を処置するためのDbait分子とPARPインヒビターとの組合せの使用
- 審判番号
- 2021-390089
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2018-502794
- 登録番号
- 特許第6457696号(P6457696)
- 請求日
- 2021年06月04日
- 審決日
- 2021年09月10日
- 公報発行日
- 2021年12月24日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】アンスティテュ・キュリ
- 【請求人代理人】浜井 英礼
- 【請求人代理人】村山 靖彦
- 【請求人代理人】実広 信哉
- 【請求人代理人】阿部 達彦
- 【請求人代理人】堀江 健太郎
- 【請求人】サントル・ナショナル・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・シャンティフィク
- 【請求人代理人】浜井 英礼
- 【請求人代理人】村山 靖彦
- 【請求人代理人】実広 信哉
- 【請求人代理人】阿部 達彦
- 【請求人代理人】堀江 健太郎
- 【請求人】オンクセオ
- 【請求人代理人】浜井 英礼
- 【請求人代理人】村山 靖彦
- 【請求人代理人】実広 信哉
- 【請求人代理人】阿部 達彦
- 【請求人代理人】堀江 健太郎
- 【請求人】アンスティチュ ナショナル ドゥ ラ サンテ エ ドゥ ラ ルシェルシュ メディカル
- 【請求人代理人】浜井 英礼
- 【請求人代理人】村山 靖彦
- 【請求人代理人】実広 信哉
- 【請求人代理人】阿部 達彦
- 【請求人代理人】堀江 健太郎
- 【請求人】ユニヴェルシテ・パリ・サクレー
- 【請求人代理人】浜井 英礼
- 【請求人代理人】村山 靖彦
- 【請求人代理人】実広 信哉
- 【請求人代理人】阿部 達彦
- 【請求人代理人】堀江 健太郎
- 審判長/審判官
- 審判長 岡崎 美穂
- 審判官 井上 典之
- 審判官 大久保 元浩
- 分類
- P141 .852-Y (A61K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項第2号、特許法第184条の6第2項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項、特許法第126条第1項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6457696号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第6457696号の明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第6457696号(以下「本件特許」という。)は、2016年(平成28年)7月22日(パリ条約による優先権主張 2015年7月23日、2016年4月22日 いずれも欧州特許庁(EP))を国際出願日とする、特願2018-502794号(以下「本件特許に係る出願」という。)の請求項1ないし13に係る発明について、平成30年12月28日に特許権の設定登録がなされたものである。
その後、令和3年5月27日(受付日)に一般承継による本件特許権の持分移転がなされ、本件特許権のうちの「ユニヴェルシテ・パリ・シュド」の持分が「ユニヴェルシテ・パリ・サクレー」に移転された。
そして、令和3年6月4日に、本件特許の権利者である「アンスティテュ・キュリ」、「サントル・ナショナル・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・シャンティフィク」、「オンクセオ」、「アンスティチュ ナショナル ドゥ ラ サンテ エ ドゥ ラ ルシェルシュ メディカル」及び「ユニヴェルシテ・パリ・サクレー」(以下、これら5名を併せて「請求人」という。)により本件訂正審判の請求がなされた。
第2 請求の趣旨及び訂正の内容
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第6457696号の明細書を、本件審判請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを認める、との審決を求める、というものである。
そして、請求人が求めている訂正の内容は、次のとおりである。
<訂正事項>
明細書の段落【0040】、【0067】、【0072】、【0073】及び【0074】の、
「テトラエチレングリコールリンカー(10-O-[1-プロピル-3-N-カルバモイルコレステリル]-テトラエチレングリコールラジカル」
を、
「テトラエチレングリコールリンカー(13-O-[1-プロピル-3-N-カルバモイルコレステリル]-テトラエチレングリコールラジカル」
に訂正する。(下線は訂正による変更箇所を示す。)
第3 当審の判断
1 訂正の目的について
(1)請求人が主張する訂正の目的
訂正事項は、明細書の段落【0040】、【0067】、【0072】、【0073】及び【0074】の5箇所に記載されている「テトラエチレングリコールリンカー(10-O-[1-プロピル-3-N-カルバモイルコレステリル]-テトラエチレングリコールラジカル」について、「10-O-」とされているのを、「13-O-」に訂正する、というものである。
請求人は、当該訂正事項について、誤記の訂正を目的とするものである旨を主張しているから(審判請求書3頁下から4行~5頁3行)、まず、当該訂正事項が誤記の訂正を目的とするものであるか検討する。
「誤記の訂正」とは、本来その意であることが、特許請求の範囲、明細書又は図面などから明らかな内容の字句、語句に正すことをいい、訂正前の記載が当然に訂正後の記載と同一の意味を表示するものと客観的に認められるものをいうと解される。
そこで、上記「10-O-」との記載が明らかな誤りであって、当該記載が当然に「13-O-」の意味であるといえるか否かについて、以下、検討する。
(2)本件明細書の記載
本件特許の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)には、以下の記載がある(なお、「N」との記載における下線以外は、下線は当審が付したものである。)
・摘記ア
「【0038】
核酸分子
コンジュゲートしているか又はしていない、本発明で使用するための核酸分子は、以下の式によって記載することができる:
【化6】
(式中、Nは、ヌクレオチドであり、nは、少なくとも1の整数であり、下線付きNは、修飾ホスホジエステル骨格を有するか又は有しないヌクレオチドを指し、L’は、リンカーであり、Cは、エンドサイトーシスを促進する分子であり、Lは、リンカーであり、m及びpは、独立して、0又は1である整数である)。式(II)及び(III)中、C-Lmは、それぞれ、ヌクレオチドの5’末端又は3’末端に結合している。・・・。分子がコンジュゲートしているとき、pは1である。・・・。
【0039】
好ましい実施態様では、式(I)、(II)、又は(III)の分子は、以下の特徴のうちの1つ又は幾つかを有する:
・・・
- 結合しているL’は、・・・、1,19-ビス(ホスホ)-8-ヒドラザ-2-ヒドロキシ-4-オキサ-9-オキソ-ノナデカン、及び2,19-ビス(ホスホル)-8-ヒドラザ-1-ヒドロキシ-4-オキサ-9-オキソ-ノナデカンからなる群から選択される;及び/又は
- mは1であり、そして、Lは、カルボキサミドポリエチレングリコール、より好ましくは、カルボキサミドトリエチレングリコール、若しくはカルボキサミドテトラエチレングリコールである;及び/又は
- Cは、・・・、好ましくは、コレステロール又はトコフェロール、更により好ましくは、コレステロールである。
【0040】
好ましくは、C-Lmは、トリエチレングリコールリンカー(10-O-[1-プロピル-3-N-カルバモイルコレステリル]-トリエチレングリコールラジカルである。あるいは、C-Lmは、テトラエチレングリコールリンカー(10-O-[1-プロピル-3-N-カルバモイルコレステリル]-テトラエチレングリコールラジカルである。」
・摘記イ
「【0065】
したがって、コンジュゲートしたDbait分子又はヘアピン核酸分子は、以下からなる群から選択され得る:
・・・
(NNNN-(N)n-Nは、配列番号4である)
【化11】
・・・
(L、L’、C、p、及びmについては式(I)、(II)、及び(III)と同じ定義を有する)。
【0066】
好ましい実施態様では、式・・・、(Id)、(IId)、(IIId)、・・・の分子は、以下の特徴のうちの1つ又は幾つかを有する:
・・・
- 結合しているL’は、・・・、1,19-ビス(ホスホ)-8-ヒドラザ-2-ヒドロキシ-4-オキサ-9-オキソ-ノナデカン、及び2,19-ビス(ホスホル)-8-ヒドラザ-1-ヒドロキシ-4-オキサ-9-オキソ-ノナデカンからなる群から選択される;及び/又は
- mは1であり、そして、Lは、カルボキサミドポリエチレングリコール、より好ましくは、カルボキサミドトリエチレングリコール、若しくはカルボキサミドテトラエチレングリコールである;及び/又は
- Cは、・・・、好ましくは、コレステロール又はトコフェロール、更により好ましくは、コレステロールである。
【0067】
好ましくは、C-Lmは、トリエチレングリコールリンカー(10-O-[1-プロピル-3-N-カルバモイルコレステリル]-トリエチレングリコールラジカルである。あるいは、C-Lmは、テトラエチレングリコールリンカー(10-O-[1-プロピル-3-N-カルバモイルコレステリル]-テトラエチレングリコールラジカルである。」
・摘記ウ
「【0071】
非常に具体的な実施態様では、Dbait分子又はヘアピン核酸分子は、以下の式を有する:
【化15】
(式中、C-Lmは、ラジカルであり、
【化16】
L’は、2,19-ビス(ホスホル)-8-ヒドラザ-1-ヒドロキシ-4-オキサ-9-オキソ-ノナデカンであり、そして、下線付きヌクレオチドは、ホスホロチオアート骨格を有する)。したがって、前記分子は、以下の構造を有し、そして、実施例の項では「coDbait」と称される。
【化17】
配列番号21 」
・摘記エ
「【0072】
式・・・、(Id)、(IId)、(IIId)、・・・、好ましくは式・・・、(IId)、・・・のDbait分子又はヘアピン核酸分子の特定の実施態様では、Cは、コレステロールであり、C-Lmは、テトラエチレングリコールリンカー(10-O-[1-プロピル-3-N-カルバモイルコレステリル]-テトラエチレングリコールラジカルである。
【0073】
好ましい実施態様では、コンジュゲートしたDbait分子又はヘアピン核酸分子は、・・・、(IId)、・・・からなる群から選択され、式中、C-Lmは、テトラエチレングリコールリンカー(10-O-[1-プロピル-3-N-カルバモイルコレステリル]-テトラエチレングリコールラジカルであり、そして、L’は、好ましくは、・・・、1,19-ビス(ホスホ)-8-ヒドラザ-2-ヒドロキシ-4-オキサ-9-オキソ-ノナデカン、及び2,19-ビス(ホスホル)-8-ヒドラザ-1-ヒドロキシ-4-オキサ-9-オキソ-ノナデカンからなる群から選択され、より好ましくは、1,19-ビス(ホスホ)-8-ヒドラザ-2-ヒドロキシ-4-オキサ-9-オキソ-ノナデカンである。
【0074】
非常に具体的な実施態様では、Dbait分子又はヘアピン核酸分子(AsiDNA又はDT01)は、以下の式を有する:
【化18】
(式中、C-Lmは、テトラエチレングリコールリンカー(10-O-[1-プロピル-3-N-カルバモイルコレステリル]-テトラエチレングリコールラジカルであり、そして、L’は、1,19-ビス(ホスホ)-8-ヒドラザ-2-ヒドロキシ-4-オキサ-9-オキソ-ノナデカンである)。
【化19】
」
(3)誤記についての判断
ア 上記「摘記ア」には、「本発明で使用するための核酸分子」として、次の式(I)、(II)又は(III):
「
」
の分子が記載され(段落【0038】)、これらの式の分子中における「リンカー」である「L」を含む構造部分「C-Lm」の好ましい例として、
a:「トリエチレングリコールリンカー(10-O-[1-プロピル-3-N-カルバモイルコレステリル]-トリエチレングリコールラジカル」
及び
b:「テトラエチレングリコールリンカー(10-O-[1-プロピル-3-N-カルバモイルコレステリル]-テトラエチレングリコールラジカル」
が記載されている(段落【0040】)。
イ また、上記「摘記イ」には、「Dbait分子又はヘアピン核酸分子」として、次の式(Id)、(IId)又は(IIId):
「
」
の分子が記載され(段落【0065】)、これらの分子は、上記式(I)、(II)又は(III)の分子について、それぞれ構造を限定したものと認められるところ、これらの式の分子中の構造部分「C-Lm」の好ましい例としても、
a:「トリエチレングリコールリンカー(10-O-[1-プロピル-3-N-カルバモイルコレステリル]-トリエチレングリコールラジカル」
及び
b:「テトラエチレングリコールリンカー(10-O-[1-プロピル-3-N-カルバモイルコレステリル]-テトラエチレングリコールラジカル」
が記載されている(段落【0067】)。
ウ 上記ア及びイで説示した、式(I)、(II)又は(III)の分子、及びそれらの構造を限定した式(Id)、(IId)又は(IIId)の分子中における構造部分「C-Lm」の好ましい例とされている、
a:「トリエチレングリコールリンカー(10-O-[1-プロピル-3-N-カルバモイルコレステリル]-トリエチレングリコールラジカル」
及び
b:「テトラエチレングリコールリンカー(10-O-[1-プロピル-3-N-カルバモイルコレステリル]-テトラエチレングリコールラジカル」
について、両者の構造を比較すると、前者(a)は「トリエチレングリコール」としてエチレングリコールの繰り返し単位(-CH2-CH2-O-)を3つ含んでいるのに対して、後者(b)は「テトラエチレングリコール」を含んでおり、エチレングリコールの繰り返し単位が4つ存在するため、構成原子数が3つ多くなるにもかかわらず、これらの繰り返し単位の末端に隣接する酸素原子の置換位置については、前者(a)と後者(b)のいずれでも「10-O-」とされており、不整合が生じている。
そして、前者(a)における「トリエチレングリコール」の部分は、構成原子数が9であることから、これに隣接する酸素原子の置換位置が「10-O-」とされるのは合理的であるのに対して、後者(b)における「テトラエチレングリコール」の部分は構成原子数が12であることから、これに隣接する酸素原子の置換位置は、「10-O-」では矛盾が生じ、「13-O-」と記載されるべきものであったと解される。
そうすると、後者(b)、すなわち、段落【0040】及び【0067】に記載された「テトラエチレングリコールリンカー(10-O-[1-プロピル-3-N-カルバモイルコレステリル]-テトラエチレングリコールラジカル」において、「10-O-」という記載は、明らかな誤りであって、正しくは当然に「13-O-」の意味であるといえる。
エ 次いで、上記「摘記ウ」には、「Dbait分子又はヘアピン核酸分子」の非常に具体的な実施態様として、次の構造:
「【化17】
配列番号21 」
を有する分子が記載されているところ(段落【0071】)、当該分子は、式(IId):
「【化15】
」
の分子中の構造部分「C-Lm」が、ラジカルであり、
「【化16】
」
であることが記載されている(段落【0071】)。
上記【化16】のラジカルは、エチレングリコールの繰り返し単位(-CH2?CH2?O-)を3つ含んでおり、その構造からみて、上記ア及びイで説示した、式(IId)等の分子中における構造部分「C-Lm」の好ましい例とされている、
a:「トリエチレングリコールリンカー(10-O-[1-プロピル-3-N-カルバモイルコレステリル]-トリエチレングリコールラジカル」
に該当するものと認められ、「トリエチレングリコール」の部分は構成原子数が9であるから、これに隣接する酸素原子の置換位置が「10-O-」とされていることは、上記【化16】のラジカルの構造とも整合している。
オ 一方で、上記「摘記エ」には、「Dbait分子又はヘアピン核酸分子」の別の非常に具体的な実施態様として、次の構造:
「【化19】
」
を有する分子(AsiDNA又はDT01)が記載されており(段落【0074】)、当該分子は、式(IId):
「【化18】
」
の分子中の構造部分「C-Lm」が、「テトラエチレングリコールリンカー(10-O-[1-プロピル-3-N-カルバモイルコレステリル]-テトラエチレングリコールラジカル」であるとされているところ(段落【0074】)、当該ラジカルは、上記ア及びイで説示した、式(IId)等の分子中における構造部分「C-Lm」の好ましい例とされている、
b:「テトラエチレングリコールリンカー(10-O-[1-プロピル-3-N-カルバモイルコレステリル]-テトラエチレングリコールラジカル」
と同じものである。
しかし、上記ウで説示したように、当該ラジカルの表記において、「10-O-」という記載は、明らかな誤りであって、正しくは当然に「13-O-」の意味であるというべきである。
この点につき、上記【化19】の分子(AsiDNA又はDT01)において、上記式(IId)の分子中の構造部分「C-Lm」とされる「テトラエチレングリコールリンカー(10-O-[1-プロピル-3-N-カルバモイルコレステリル]-テトラエチレングリコールラジカル」に対応する部分は、
「
」
であると解されるところ、当該ラジカルは、エチレングリコールの繰り返し単位(-CH2-CH2-O-)を4つ含んでおり、「テトラエチレングリコール」の部分は構成原子数が12であることから、これに隣接する酸素原子の置換位置が「10-O-」とされることは技術的に矛盾し、当該置換位置が、正しくは当然に「13-O-」であるということは、上記【化19】の分子(AsiDNA又はDT01)の構造からも裏付けられる。
カ さらに、上記「摘記エ」には、式(IId)等の「Dbait分子又はヘアピン核酸分子」の特定の実施態様(段落【0072】)、及び、「Dbait分子又はヘアピン核酸分子」の好ましい実施態様(段落【0073】)では、これらの式の分子中の構造部分「C-Lm」が「テトラエチレングリコールリンカー(10-O-[1-プロピル-3-N-カルバモイルコレステリル]-テトラエチレングリコールラジカル」であると記載されているところ、当該ラジカルは、上記ア及びイで説示した、式(IId)等の分子中における構造部分「C-Lm」の好ましい例とされている、
b:「テトラエチレングリコールリンカー(10-O-[1-プロピル-3-N-カルバモイルコレステリル]-テトラエチレングリコールラジカル」
と同じものである。
しかし、上記ウ~オにて説示したように、当該ラジカルの表記において、「10-O-」という記載は、明らかな誤りであり、正しくは当然に「13-O-」の意味であるというべきである。
キ 上記ア~カの説示のとおり、本件明細書の段落【0040】、【0067】、【0072】、【0073】及び【0074】の5箇所に記載されている「テトラエチレングリコールリンカー(10-O-[1-プロピル-3-N-カルバモイルコレステリル]-テトラエチレングリコールラジカル」において、「10-O-」という記載は、いずれも明らかな誤りであって、当該記載は当然に「13-O-」の意味であるといえる。
(4)小括
したがって、訂正事項は、特許法第126条第1項第2号に掲げる「誤記又は誤訳の訂正」のうち「誤記の訂正」を目的とするものに該当する。
2 願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項
の範囲内の訂正であることについて
上記1にて説示したように、訂正事項は、誤記の訂正を目的とするものであって、本件明細書に記載された事項(上記1(2)の摘記ア~エの事項)に基づいて導き出されるものである。
本件特許に係る出願は、外国語でされた国際特許出願であって、特許法第184条の6第2項の規定により、国際出願日における明細書の翻訳文が、同法第36条第2項の規定により願書に添付して提出した明細書と、国際出願日における請求の範囲の翻訳文が、同項の規定により願書に添付して提出した特許請求の範囲と、国際出願日における図面(図面の中の説明を除く。)及び図面の中の説明の翻訳文が、同項の規定により願書に添付して提出した図面とみなされ、これらの書面は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面となるところ、そのうちの明細書については、本件訂正審判の請求までに補正も訂正もなされていないから、上記1(2)の摘記ア~エの事項は、願書に最初に添付した明細書に記載されている事項であり、訂正事項は、これらの事項から同様に自ずと導き出されるものである。
したがって、上記訂正事項は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
3 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でないことについて
上記1にて説示したように、訂正事項は、誤記の訂正を目的とするものであって、本件明細書に記載された事項(上記1(2)の摘記ア~エの事項)に基づいて導き出されるものである。
そして、当該訂正事項は、請求人の主張(審判請求書第5頁第4~9行)のとおり、本件特許の請求項1、12及び13に係る医薬組成物、同請求項2に係るキット、並びに、同請求項3~11に係る医薬組成物又はキット、のいずれの発明とも関連しない、明細書の記載部分の誤記を訂正するものであるから、特許請求の範囲を実質的に拡張し又は変更するものではない。
したがって、上記訂正事項は、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
4 独立特許要件について
訂正事項は、明細書の誤記の訂正を目的とするものであるから、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならないところ、上記3にて説示したとおり、当該訂正事項は、本件特許の請求項1~13に係る発明のいずれとも関連しない、明細書の記載部分の誤記を訂正するものであり、訂正後における特許請求の範囲の請求項1~13に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるとする理由を発見しないから、上記訂正事項は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。
第4 むすび
以上のとおり、本件訂正審判の請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2021-390089