特許訂正審判
2021-390062
送受信方法
- 審判番号
- 2021-390062
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2020-091855
- 登録番号
- 特許第6812590号(P6812590)
- 請求日
- 2021年04月02日
- 審決日
- 2021年06月18日
- 公報発行日
- 2021年10月29日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】TVS REGZA 株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人スズエ国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 千葉 輝久
- 審判官 樫本 剛
- 審判官 川崎 優
- 分類
- P141 .852-Y (H04N) / P141 .854-Y (H04N) / P141 .855-Y (H04N) / P141 .856-Y (H04N) / P141 .841-Y (H04N)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6812590号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第6812590号の明細書及び特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 経緯
本件訂正審判に係る特許第6812590号(以下、「本件特許」という。)は、平成30年1月26日(優先権主張 平成29年7月7日)に出願した特願2018-11210号の一部を令和2年5月27日に新たな特許出願としたものであって、令和2年12月18日に特許権の設定登録がなされ、その後、令和3年4月2日に本件訂正審判の請求がなされた。
第2 請求の趣旨、訂正の内容
1 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第6812590号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるというものである。
2 訂正の内容
訂正の内容は、以下のとおりである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「 前記第3の周期で更新される第2bキー(Ks)を取得し前記第1のスクランブルコンテンツを前記デスクランブラによりデスクランブルして記録し、」とあるのを「 前記第3の周期で更新される第2bキー(Ks)を取得し前記第2のスクランブルコンテンツを前記デスクランブラによりデスクランブルして記録し、」に訂正する。
(2)訂正事項2
段落0015に、「前記第3の周期で更新される第2bキー(Ks)を取得し前記第1のスクランブルコンテンツを前記デスクランブラによりデスクランブルして記録し、」とあるのを「前記第3の周期で更新される第2bキー(Ks)を取得し前記第2のスクランブルコンテンツを前記デスクランブラによりデスクランブルして記録し、」に訂正する。
第3 当審の判断
1 訂正事項1について
(1)訂正の目的の適否について
本件特許の特許公報に記載された特許請求の範囲の請求項1は、次のとおりである。なお、(A)~(F)は、説明のために付されたものであり、以下各構成を「構成A」~「構成F」という。
【請求項1】
(Aa)地上デジタル放送の第1の事業体が暗号化された第1aキー(Kw)を含む前記第1の事業体の第1a制御情報(EMM)、暗号化された第2aキー(Ks)を含む前記第1の事業体の第2a制御情報(ECM)ならびに第1のスクランブルコンテンツを含む第1のサービスa信号を前記第1の事業体の送信機により送信し、
(Ab)前記地上デジタル放送の第2の事業体が暗号化された第1bキー(Kw)を含む前記第2の事業体の第1b制御情報(EMM)、暗号化された第2bキー(Ks)を含む前記第2の事業体の第2b制御情報(ECM)ならびに第2のスクランブルコンテンツを含む第2のサービスb信号を前記第2の事業体の送信機により送信し、
(B)CASモジュールを有する受信機にて前記第1のサービスa信号および前記第2のサービスb信号を受信する送受信方法において、
(Ca)前記地上デジタル放送の前記第1の事業体の送信機は
(Ca1)前記第2aキー(Ks)を含む前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)を第1の周期で更新し、
(Ca2)前記第1の周期よりも短い第2の周期で前記第2a制御情報(ECM)を前記第1のサービスa信号に含めて送信し、
(Ca3)前記第2の周期で送られる前記第2a制御情報(ECM)よりも小さい頻度で前記CASモジュールに対する前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)を送信し、
(Cb)前記地上デジタル放送の前記第2の事業体の送信機は
(Cb1)前記第2bキー(Ks)を含む前記第2の事業体の前記第2b制御情報(ECM)を第3の周期で更新し、
(Cb2)前記第3の周期よりも短い第4の周期で前記第2b制御情報(ECM)を前記第2のサービスb信号に含めて送信し、
(Cb3)前記第4の周期で送られる前記第2b制御情報(ECM)よりも小さい頻度で前記CASモジュールに対する前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)を送信し、
(D)前記受信機は
(D1a)第1のチューナ部が、前記第1の事業体が送出する前記地上デジタル放送を受信し、前記第1のサービスa信号に含まれる、暗号化された前記第1aキー(Kw)を含む前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)、暗号化された前記第2aキー(Ks)を含む前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)ならびに前記第1のスクランブルコンテンツを受信すること、
(D1b)第2のチューナ部が、前記第2の事業体が送出する前記地上デジタル放送を受信し、前記第2のサービスb信号に含まれる、暗号化された前記第1bキー(Kw)を含む前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)、暗号化された前記第2bキー(Ks)を含む前記第2の事業体の前記第2b制御情報(ECM)ならびに前記第2のスクランブルコンテンツを前記第1のチューナ部による受信と同時に受信すること、
(D2a)デスクランブラが、前記第1のチューナ部から出力された前記第1のスクランブルコンテンツをデスクランブルすること、
(D2b)前記デスクランブラが、前記第2のチューナ部から出力された前記第2のスクランブルコンテンツをデスクランブルすること、
(D3)制御部が、
(D31)前記デスクランブラから出力される第1のコンテンツおよび第2のコンテンツの所定のテーブルをチェックすること、
(D32)前記所定のテーブルに含まれているパケットIDに基づいて、前記第1a制御情報(EMM)、前記第2a制御情報(ECM)、前記第1b制御情報(EMM)、前記第2b制御情報(ECM)を取り出すこと、
(D33)前記第1のチューナ部、前記第2のチューナ部、前記デスクランブラを制御すること、
(D4a)前記CASモジュールが、前記制御部により制御され、前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)から、固有の第3キー(Km)を用いて前記第1aキー(Kw)を取得し、前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)から、取得された前記第1aキー(Kw)を用いて、前記デスクランブラに与えるための前記第2aキー(Ks)を取得すること、
(D4b)前記CASモジュールが、前記制御部により制御され、前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)から、固有の前記第3キー(Km)を用いて前記第1bキー(Kw)を取得し、前記第2の事業体の前記第2b制御情報(ECM)から、取得された前記第1bキー(Kw)を用いて、前記デスクランブラに与えるための前記第2bキー(Ks)を取得すること、を備え、
(E)さらに前記制御部は、
(E1)前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)、前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)、前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)、前記第2の事業体の前記第2b制御情報(ECM)をバッファに格納し、
(E2a)前記地上デジタル放送の前記第1の事業体を単位として前記第1a制御情報(EMM)を受信してから前記第1a制御情報(EMM)に対応した第1コマンド送信を前記CASモジュールに対して行う期間として前記第1の周期よりも長い第1の期間を設定し、且つ、前記第1の期間に前記第1a制御情報(EMM)を最小Ra(1以上の整数)個処理すべきことを設定し、
(E3a)前記第1の期間に前記第1のチューナ部により受信し前記バッファに格納した前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)に対応した第2コマンド送信を前記CASモジュールに対して行い、前記第1の期間における当該第2コマンド送信に伴う処理以外のあまりの時間に前記バッファに格納した前記第1a制御情報(EMM)に対応した所定数の第1コマンド送信を前記CASモジュールに対して行う事で前記第1の期間に前記第1a制御情報(EMM)を最小Ra(1以上の整数)個処理し、
(E2b)前記地上デジタル放送の前記第2の事業体を単位として前記第1b制御情報(EMM)を受信してから前記第1b制御情報(EMM)に対応した第1コマンド送信を前記CASモジュールに対して行う期間として前記第3の周期よりも長い第2の期間を設定し、且つ、前記第2の期間に前記第1b制御情報(EMM)を最小Rb(1以上の整数)個処理すべきことを設定し、
(E3b)前記第2の期間に前記第2のチューナ部により受信し前記バッファに格納した前記第2の事業体の前記第2b制御情報(ECM)に対応した第2コマンド送信を前記CASモジュールに対して行い、前記第2の期間における当該第2コマンド送信に伴う処理以外のあまりの時間に前記バッファに格納した前記第1b制御情報(EMM)に対応した所定数の第1コマンド送信を前記CASモジュールに対して行う事で前記第2の期間に前記第1b制御情報(EMM)を最小Rb(1以上の整数)個処理し、
(E4a)前記第1の周期で更新される第2aキー(Ks)を取得し前記第1のスクランブルコンテンツを前記デスクランブラによりデスクランブルして記録し、
(E4b)前記第3の周期で更新される第2bキー(Ks)を取得し前記第1のスクランブルコンテンツを前記デスクランブラによりデスクランブルして記録し、
(E5a)前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)を前記バッファに格納してから前記第1の期間が経過した後に前記バッファに残っている前記第1a制御情報(EMM)を破棄し、
(E5b)前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)を前記バッファに格納してから前記第2の期間が経過した後に前記バッファに残っている前記第1b制御情報(EMM)を破棄する、
(F)送受信方法。
ア まず、請求項1の「第1のスクランブルコンテンツ」に係る記載事項は、次のとおりである。
請求項1の「第1のスクランブルコンテンツ」は、
構成Aaにおいて、「暗号化された第1aキー(Kw)を含む前記第1の事業体の第1a制御情報(EMM)」及び「暗号化された第2aキー(Ks)を含む前記第1の事業体の第2a制御情報(ECM)」とともに「第1のサービスa信号」に含められて、「地上デジタル放送の第1の事業体」により「前記第1の事業体の送信機により送信」され、
構成D1aにおいて、「暗号化された前記第1aキー(Kw)を含む前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)」及び「暗号化された前記第2aキー(Ks)を含む前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)」とともに「前記第1のサービスa信号」に含められて、「第1のチューナ部」により「受信」され、
構成D2aにおいて、「前記第1のチューナ部から出力され」て、「デスクランブラ」により「デスクランブル」されるものである。
そして、構成E4aによれば、「前記第1の周期で更新される第2aキー(Ks)」が「取得」されて、前記「第1のスクランブルコンテンツ」は「前記デスクランブラによりデスクランブル」されて「記録」される。
イ 次に、請求項1の「第2のスクランブルコンテンツ」に係る記載事項について検討する。
請求項1の「第2のスクランブルコンテンツ」は、
構成Abにおいて、「暗号化された第1bキー(Kw)を含む前記第2の事業体の第1b制御情報(EMM)」及び「暗号化された第2bキー(Ks)を含む前記第2の事業体の第2b制御情報(ECM)」とともに「第2のサービスb信号」に含められて、「地上デジタル放送の第2の事業体」により「前記第2の事業体の送信機により送信」され、
構成D1bにおいて「暗号化された前記第1bキー(Kw)を含む前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)」及び「暗号化された前記第2bキー(Ks)を含む前記第2の事業体の前記第2b制御情報(ECM)」とともに「前記第2のサービスb信号」に含められて、「第2のチューナ部」により「受信」され、
構成D2aにおいて、「前記第2のチューナ部から出力され」て、「デスクランブラ」により「デスクランブル」されるものである。
ところで、構成E4bによれば、「前記第3の周期で更新される第2bキー(Ks)」が「取得」されて、「前記デスクランブラによりデスクランブル」されて「記録」されるものは、「第1のスクランブルコンテンツ」とされている。
しかしながら、構成E4bの「デスクランブル」に用いられる「第2bキー(Ks)」は、構成Abによれば、「第2の事業体の第2b制御情報(ECM)」に含まれるものであり、当該(地上デジタル放送の)第2の事業体からは「第2のスクランブルコンテンツ」が「暗号化された前記第2bキー(Ks)を含む前記第2の事業体の前記第2b制御情報(ECM)」等とともに「第2のサービスb信号」に含められて、「第2のチューナ部」に送信されるのであって、「第1のスクランブルコンテンツ」は送信されないこと、及び、上記アによれば、「第1のスクランブルコンテンツ」が、「暗号化された前記第2aキー(Ks)を含む前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)」等とともに「第1のサービスa信号」に含められて「地上デジタル放送の第1の事業体」から「第1のチューナ部」に送信された場合に、「第2aキー(Ks)」が取得されて、「前記デスクランブラによりデスクランブル」されて「記録」されるものは、当該「地上デジタル放送の第1の事業体」から「第1のチューナ部」に送信されてきた「第1のスクランブルコンテンツ」であることから、前記構成E4bにおいて「第2bキー(Ks)」を用いてデスクランブルされて記録されるものは、「第1のスクランブルコンテンツ」ではなく、「第2のスクランブルコンテンツ」であることは明らかである。
ウ また、明細書の発明の詳細な説明には、段落0070において「放送局200は、デスクランブル対象の映像より先行して、デスクランブル対象の映像のスクランブルキー(Ks)を持つECMを送付する」と記載され、段落0072において「放送信号をデスクランブルするのに用いるスクランブル鍵(Ks)は、2000ms単位で更新される」と記載されている。ここで、前記「スクランブルキー(Ks)」と「スクランブル鍵(Ks)」が同じものであることは明らかであるから、上記両段落の記載によれば、デスクランブルされる映像は、当該デスクランブル対象の映像の、2000ms単位で更新されるスクランブルキー(Ks)を持つECMを送付する放送局200から送付されるものである。
このことは、前記イで検討した事項である、請求項1の構成E4bにおいて、「前記第3の周期で更新される第2bキー(Ks)」が「取得」されて、「前記デスクランブラによりデスクランブル」されて「記録」されるものが、第2の事業体から「暗号化された前記第2bキー(Ks)を含む前記第2の事業体の前記第2b制御情報(ECM)」等とともに送信される「第2のスクランブルコンテンツ」である(送信されない「第1のスクランブルコンテンツ」ではない)とすることとも整合する。
以上から、請求項1に記載されている「 前記第3の周期で更新される第2bキー(Ks)を取得し前記第1のスクランブルコンテンツを前記デスクランブラによりデスクランブルして記録し、」との記載は、「 前記第3の周期で更新される第2bキー(Ks)を取得し前記第2のスクランブルコンテンツを前記デスクランブラによりデスクランブルして記録し、」との明らかな誤記であるといえる。
よって、訂正事項1は、上記明らかな誤記を訂正するものであり、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものである。
(2)新規事項の追加の有無について
上記(1)のとおり、訂正事項1は、明らかな誤記を訂正するものであって、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)の記載に基づくものであり、当初明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、当初明細書等に記載した事項の範囲においてされたものであり、特許法第126条第5項に規定する要件に適合するものである。
(3)特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
上記(1)のとおり、訂正事項1は、明らかな誤記を訂正するものであって、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないということができるから、特許法第126条第6項に規定する要件に適合するものである。
(4)独立特許要件について
上記(1)のとおり、訂正事項1は、明らかな誤記を訂正するものであって、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由はないから、特許法第126条第7項に規定する要件に適合するものである。
2 訂正事項2について
訂正事項2は、明細書における請求項1に対応する記載を、訂正事項1の訂正内容と同様に訂正しようとするものであるから、上記1と同様の理由により「第2のスクランブルコンテンツ」との明らかな誤記といえるものであって、訂正事項2は、上記1と同様の理由により、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定された事項を目的とするものであり、かつ、同条第5項、第6項及び第7項の規定に適合するものである。
第4 むすび
以上のとおり、本件訂正審判の請求に係る訂正事項1及び訂正事項2は、いずれも特許法第126条第1項ただし書第2号に規定された事項を目的とするものであり、かつ、同条第5項、第6項及び第7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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