特許訂正審判
2023-390038
受信方法
- 審判番号
- 2023-390038
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2021-184196
- 登録番号
- 7210680
- 請求日
- 2023年04月06日
- 審決日
- 2023年07月14日
- 公報発行日
- 2023年10月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】TVS REGZA 株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人スズエ国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 畑中 高行
- 審判官 五十嵐 努
- 審判官 板垣 有紀
- 分類
- P141 .852-Y (H04N) / P141 .853-Y (H04N)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法126条1項3号特許法126条5項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7210680号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第7210680号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1について訂正することを認める。
理由
理 由
第1 経緯
本件訂正審判に係る特許第7210680号(以下「本件特許」という。)は、平成30年7月12日に出願した特願2018-132493号の一部を、令和2年3月30日に新たな特許出願である特願2020-60579号とし、さらにその一部を令和3年11月11日に新たな特許出願としたものであって、令和5年1月13日に特許権の設定登録がなされ、その後、令和5年4月6日に本件訂正審判の請求がされた。
第2 請求の趣旨、訂正の内容
1 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第7210680号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書、訂正特許請求の範囲の通り、訂正することを認める、との審決を求めるというものである。
2 訂正の内容
訂正の内容は、以下のとおりである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「前記アプリケーション符号化方式が0x10である拡張アプリケーションサービス記述子のうち最初に配置された拡張アプリケーションサービス記述子を取得し、」
とあるのを
「前記アプリケーション符号化方式が0x1である拡張アプリケーションサービス記述子のうち最初に配置された拡張アプリケーションサービス記述子を取得し、」
と訂正する。
(2)訂正事項2
明細書の段落【0007】に、
「前記アプリケーション符号化方式が0x10である拡張アプリケーションサービス記述子のうち最初に配置された拡張アプリケーションサービス記述子を取得し、」
とあるのを
「前記アプリケーション符号化方式が0x1である拡張アプリケーションサービス記述子のうち最初に配置された拡張アプリケーションサービス記述子を取得し、」
と訂正する。
第3 当審の判断
1 訂正事項1について
(1)訂正の目的の適否について
請求人は、審判請求書の「6.(3)ア(ア)a」(第2ページ)において、訂正事項1が特許法第126条第1項ただし書第2号及び第3号に掲げる「誤記又は誤訳の訂正」、「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである旨主張しているので、まず、訂正事項1が「誤記又は誤訳の訂正」、「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものといえるか、以下に検討する。
訂正前の特許請求の範囲の請求項1の「前記アプリケーション符号化方式が0x10である拡張アプリケーションサービス記述子のうち最初に配置された拡張アプリケーションサービス記述子を取得し、」との記載(以下「記載A」という。)は、文として明確なものであるし、技術的意味からしても「アプリケーション符号化方式」を示す値が「0x10」であることを特定する旨の文として明確なものである。
したがって、訂正事項1は「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであると認めることができない。
一方、誤記の訂正に関して、誤記の訂正とは、本来その意であることが明細書、特許請求の範囲又は図面の記載などから明らかな字句・語句に正すことをいい、訂正前の記載が当然に訂正後の記載と同一の意味を表示するものと客観的に認められるものをいう。
そして、誤記の訂正が認められるためには、訂正前の明細書、特許請求の範囲又は図面の記載に誤記が存在することが必要である。
記載Aは上述したとおり、文としては明確なものであるから、次に、記載Aが明細書及び図面の記載と整合するものであるか検討する。
明細書及び図面には、アプリケーション符号化方式を示す値に関して、以下の記載がある。
なお、明細書及び図面において、アプリケーション符号化方式が「0x10」であることの記載は、【0007】において、上記訂正事項2に係る【請求項1】に合わせた記載があるのみであって、他に記載はない。
ア「【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「デジタル放送におけるMMTによるメディアトランスポート方式 標準規格」 ARIB STD-B60 1.12版 2018年4月12日改定、一般社団法人 電波産業会
【非特許文献2】「高度広帯域衛星デジタル放送運用規定 技術資料」 ARIB TR-B39 1.7版 2018年4月12日改定、一般社団法人 電波産業会」
イ「【0035】
図5は、アプリケーションサービス記述子のシンタックスを表した図である。
符号501に示すapplication_formatは、データコンテンツサービスで使用されるアプリケーション符号化方式を示している。
符号502に示すdocument_resolutionは、デーコンテンツの解像度を示している。
【0036】
図6Aは、非特許文献1および非特許文献2に規定されているアプリケーションサービス記述子のapplication_formatフィールドで規定されている設定可能な値、およびdocument_resolutionフィールドで規定されている設定可能な値を示す一覧である。application_formatフィールドで規定されている設定可能な値は“0x1”(ARIB-HTML5)だけである。またdocument_resolutionフィールドで規定されている設定可能な値は、“0000”(1920x1080)、“0001”(3840x2160)、“0010”(7680x4320)である。
【0037】
図6Bは、拡張アプリケーションサービス記述子のapplication_formatフィールドで設定可能な値とdocument_resolutionフィールドで設定可能な値の例を示す一覧である。
図6Bに示す拡張アプリケーションサービス記述子のapplication_formatフィールドに設定可能な値の例は、アプリケーションサービス記述子のapplication_formatフィールドで規定されている設定可能な値に、例えば“0x2”(HTML-A)、“0x3”(HTML-B)を追加した例である。ここで、HTML-AとHTML-Bは、現状非特許文献1および非特許文献2で規定されているアプリケーション符号化方式であるHTML-5に対して、新たに規定されたアプリケーション符号化方式であるものとする。」
ウ「【0054】
図8は、放送信号送信装置100の制御情報生成手段214が生成した拡張MPTとその中に配置された拡張アプリケーションサービス記述子と、放送信号受信装置140の制御情報解析手段310が拡張MPTの中から取得した拡張アプリケーションサービス記述子との組み合わせの他の例を示した図である。
・・・(中略)・・・
【0060】
図8(A-2)の例は、放送信号受信装置140の制御情報解析手段310が、拡張MPT801を解析し、配置されている2つの拡張アプリケーションサービス記述子802-1、802-2を、図4の402に示す記述子のデータが配置されるデータエリアに配置されている順番に解析した結果、拡張アプリケーションサービス記述子(AS-1)802-1を、所望の拡張アプリケーションサービス記述子として取得した場合の例を示している。
【0061】
制御情報解析手段310は、例えば拡張アプリケーションサービス記述子(AS-1)802-1、拡張アプリケーションサービス記述子(AS-2)802-2のapplication_formatフィールドに設定された値を判定することで、所望の拡張アプリケーションサービス記述子と判定してもよい、あるいはdocument_resolutionフィールドに設定された値を判定することで、所望の拡張アプリケーションサービス記述子と判定してもよい、あるいはapplication_formatフィールドに設定された値とdocument_resolutionフィールドに設定された値の両方を判定することで、所望の拡張アプリケーションサービス記述子と判定してもよい。
【0062】
さらに制御情報解析手段310は、拡張MPT801に配置されている拡張アプリケーションサービス記述子(AS-1)802-1、拡張アプリケーションサービス記述子(AS-2)802-2の配置の順序を、所望の拡張アプリケーションサービス記述子を取得する際に判定してもよい。
【0063】
具体的には例えば、制御情報解析手段310は、拡張アプリケーションサービス記述子(AS-1)802-1、拡張アプリケーションサービス記述子(AS-2)802-2のapplication_formatフィールドに設定された値が“0x1”である拡張アプリケーションサービス記述子のうち最初に配置された拡張アプリケーションサービス記述子(AS-1)802-1を、所望の拡張アプリケーションサービス記述子と判定してもよい、あるいはdocument_resolutionフィールドに設定された値が“0001”である拡張アプリケーションサービス記述子のうち最初に配置された拡張アプリケーションサービス記述子(AS-1)802-1を、所望の拡張アプリケーションサービス記述子と判定してもよい、あるいはapplication_formatフィールドに設定された値が“0x1”でありdocument_resolutionフィールドに設定された値が“0001”である拡張アプリケーションサービス記述子のうち最初に配置された拡張アプリケーションサービス記述子(AS-1)802-1を、所望の拡張アプリケーションサービス記述子と判定してもよい。」
エ「【0079】
図9は、放送信号送信装置100の制御情報生成手段214が生成した拡張MPTとその中に配置される拡張アプリケーションサービス記述子と、放送信号受信装置140の制御情報解析手段310が拡張MPTの中から取得した拡張アプリケーションサービス記述子との組み合わせの他の例を示した図である。
・・・(中略)・・・
【0084】
図9(A-2)の例は、放送信号受信装置140の制御情報解析手段310が、拡張MPT901を解析し、配置されている2つの拡張アプリケーションサービス記述子902-1,902-2を、図4の402に示した記述子のデータが配置されるデータエリアに配置されている順番に解析した結果、拡張アプリケーションサービス記述子(AS-1)902-1を、所望の拡張アプリケーションサービス記述子として取得した場合の例を示している。
【0085】
具体的には例えば、制御情報解析手段310は、拡張アプリケーションサービス記述子(AS-1)902-1、拡張アプリケーションサービス記述子(AS-2)902-2のapplication_formatフィールドに設定された値が“0x1”である拡張アプリケーションサービス記述子のうち最初に配置された拡張アプリケーションサービス記述子(AS-1)902-1を、所望の拡張アプリケーションサービス記述子と判定してもよい、あるいはdocument_resolutionフィールドに設定された値が“0001”である拡張アプリケーションサービス記述子のうち最初に配置された拡張アプリケーションサービス記述子(AS-1)902-1を、所望の拡張アプリケーションサービス記述子と判定してもよい、あるいはapplication_formatフィールドに設定された値が“0x1”でありdocument_resolutionフィールドに設定された値が“0001”である拡張アプリケーションサービス記述子のうち最初に配置された拡張アプリケーションサービス記述子(AS-1)902-1を、所望の拡張アプリケーションサービス記述子と判定してもよい。」
オ「
[図:0001402709000001.jpg]
」
カ「
[図:0001402709000002.jpg]
」
キ「
[図:0001402709000003.jpg]
」
まず、本件特許の「アプリケーション符号化方式」を示す値として、「拡張アプリケーションサービス記述子」に設定可能な値について検討する。
上記イ、オによれば、アプリケーション符号化方式を示す値は、アプリケーションサービス記述子のapplication_formatフィールドに設定される値により示されるところ、本件特許が先行技術文献としてあげる非特許文献1および非特許文献2では、当該フィールドに“0x1”(ARIB-HTML5)だけ設定可能である。
一方、本件特許では、拡張アプリケーションサービス記述子のapplication_formatフィールドに設定可能な値として、“0x1”(ARIB-HTML5)に加えて、新たに“0x2”(HTML-A)、“0x3”(HTML-B)を追加することが記載されているが、“0x10”を追加することは記載がない。
したがって、拡張アプリケーションサービス記述子のapplication_formatフィールドに「0x1」を設定可能であることは記載されているが、記載Aのように「0x10」を設定することは記載がない。
次に、拡張アプリケーションサービス記述子のapplication_formatフィールドにどのような値が設定されたものの中から、「最初に配置された拡張アプリケーションサービス記述子」を取得するのかについて検討する。
上記ウ、エ、カ、キによれば、受信した拡張MPTから取得する「所望の拡張アプリケーションサービス記述子」として、
・application_formatフィールドに設定された値が“0x1”である拡張アプリケーションサービス記述子のうち最初に配置された拡張アプリケーションサービス記述子
・application_formatフィールドに設定された値が“0x1”でありdocument_resolutionフィールドに設定された値が“0001”である拡張アプリケーションサービス記述子のうち最初に配置された拡張アプリケーションサービス記述子
が記載されている。
これらの記載は、本件訂正後の「前記アプリケーション符号化方式が0x1である拡張アプリケーションサービス記述子のうち最初に配置された拡張アプリケーションサービス記述子を取得し、」という事項とも整合している。
以上から、構成Aにおける「0x10」との記載は、「0x1」の明らかな誤記であるといえる。
よって、請求項1に記載されている「前記アプリケーション符号化方式が0x10である拡張アプリケーションサービス記述子のうち最初に配置された拡張アプリケーションサービス記述子を取得し、」との記載を「前記アプリケーション符号化方式が0x1である拡張アプリケーションサービス記述子のうち最初に配置された拡張アプリケーションサービス記述子を取得し、」と訂正するものである訂正事項1は、上記明らかな誤記を訂正するものであり、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものである。
(2)新規事項の追加の有無について
上記1のとおり、訂正事項1は、明らかな誤記を訂正するものであって、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)の記載に基づくものであり、当初明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、当初明細書等に記載した事項の範囲においてされたものであり、特許法第126条第5項に規定する要件に適合するものである。
(3)特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
上記1のとおり、訂正事項1は、明らかな誤記を訂正するものであって、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないということができるから、特許法第126条第6項に規定する要件に適合するものである。
(4)独立特許要件について
上記1のとおり、訂正事項1は、明らかな誤記を訂正するものであって、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由はないから、特許法第126条第7項に規定する要件に適合するものである。
2 訂正事項2について
訂正事項2についての訂正は、訂正事項1についての訂正に伴い、本件訂正後の請求項1に係る発明と本件特許明細書の記載を整合させるものであるから、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記又は誤訳の訂正と同項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項2についての訂正内容は、訂正事項1についての訂正内容と実質的に同じであり、上記(1)において検討したとおりの理由により、本件特許の願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであって、なおかつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は、変更するものではないことは明らかである。
第4 むすび
以上のとおり、本件訂正は特許法第126条第1項ただし書第2号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであって、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合する。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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