特許訂正審判
2021-390055
送受信方法
- 審判番号
- 2021-390055
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2020-091859
- 登録番号
- 特許第6780146号(P6780146)
- 請求日
- 2021年03月31日
- 審決日
- 2021年08月19日
- 公報発行日
- 2021年11月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】TVS REGZA 株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人スズエ国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 千葉 輝久
- 審判官 川崎 優
- 審判官 渡辺 努
- 分類
- P141 .852-Y (H04N) / P141 .853-Y (H04N) / P141 .854-Y (H04N) / P141 .856-Y (H04N)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6780146号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第6780146号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第6780146号は、平成30年1月26日(国内優先権主張 平成29年7月7日)に出願された特願2018-11212号の一部を令和2年5月27日に新たな特許出願として出願し、その請求項1に係る発明について、令和2年10月16日に特許権の設定登録がされたものであり、令和3年3月30日に本件訂正審判の請求がされたものである。
第2 請求の趣旨及び訂正の内容
本件訂正審判の請求の趣旨は、
「特許第6780146号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書、訂正特許請求の範囲の通り、訂正することを認める、との審決を求める。」
というものであって、その訂正の内容は、次の訂正事項からなる。なお、下線部は訂正箇所を示す。
1 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「 前記地上デジタル放送の前記第2の事業体の送信機は、
前記第2bキー(Ks)を含む前記第1の事業体の前記第2b制御情報(ECM)を第3の周期で更新し、
前記第3の周期よりも短い第4の周期で前記第2b制御情報(ECM)を前記第2のサービスb信号に含めて送信し、
前記第4の周期で送られる前記第2b制御情報(ECM)よりも小さい頻度で前記CASモジュールに対する前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)を送信し、」
とあるのを
「 前記地上デジタル放送の前記第2の事業体の送信機は、
前記第2bキー(Ks)を含む前記第2の事業体の前記第2b制御情報(ECM)を第3の周期で更新し、
前記第3の周期よりも短い第4の周期で前記第2b制御情報(ECM)を前記第2のサービスb信号に含めて送信し、
前記第4の周期で送られる前記第2b制御情報(ECM)よりも小さい頻度で前記CASモジュールに対する前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)を送信し、」
と訂正する。
2 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に
「 前記CASモジュールが、前記制御部により制御され、前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)から、固有の第3キー(Km)を用いて前記第1bキー(Kw)を取得し、前記第1の事業体の前記第2b制御情報(ECM)から、取得された前記第1bキー(Kw)を用いて、前記デスクランブラに与えるための前記第2bキー(Ks)を取得すること、を備え、」
とあるのを
「 前記CASモジュールが、前記制御部により制御され、前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)から、固有の第3キー(Km)を用いて前記第1bキー(Kw)を取得し、前記第2の事業体の前記第2b制御情報(ECM)から、取得された前記第1bキー(Kw)を用いて、前記デスクランブラに与えるための前記第2bキー(Ks)を取得すること、を備え、」
と訂正する。
3 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1に
「 前記地上デジタル放送の前記第2の事業体を単位として前記第1b制御情報(EMM)を受信してから前記第1b制御情報(EMM)に対応した第1コマンド送信を前記CASモジュールに対して行う期間として前記第3の周期よりも長い第2の期間を設定し、且つ、前記第2の期間に前記第1a制御情報(EMM)を最小Rb(1以上の整数)個処理すべきことを設定し、」
とあるのを
「 前記地上デジタル放送の前記第2の事業体を単位として前記第1b制御情報(EMM)を受信してから前記第1b制御情報(EMM)に対応した第1コマンド送信を前記CASモジュールに対して行う期間として前記第3の周期よりも長い第2の期間を設定し、且つ、前記第2の期間に前記第1b制御情報(EMM)を最小Rb(1以上の整数)個処理すべきことを設定し、」
と訂正する。
4 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項1に
「 前記第2の期間に前記第2のチューナ部により受信し前記バッファに格納した前記第2の事業体の前記第2b制御情報(ECM)に対応した第2コマンド送信を前記CASモジュールに対して行い、前記第2の期間における当該第2コマンド送信に伴う処理以外のあまりの時間に前記バッファに格納した前記第1b制御情報(EMM)に対応した所定数の第1コマンド送信を前記CASモジュールに対して行う事で前記第2の期間に前記第1b制御情報(EMM)を最小Ra(1以上の整数)個処理し、」
とあるのを
「 前記第2の期間に前記第2のチューナ部により受信し前記バッファに格納した前記第2の事業体の前記第2b制御情報(ECM)に対応した第2コマンド送信を前記CASモジュールに対して行い、前記第2の期間における当該第2コマンド送信に伴う処理以外のあまりの時間に前記バッファに格納した前記第1b制御情報(EMM)に対応した所定数の第1コマンド送信を
前記CASモジュールに対して行う事で前記第2の期間に前記第1b制御情報(EMM)を最小Rb(1以上の整数)個処理し、」
と訂正する。
5 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項1に
「 前記第3の周期で更新される前記第2bキー(Ks)を取得し前記第1のスクランブルコンテンツを前記デスクランブラによりデスクランブルして記録し、」
とあるのを
「 前記第3の周期で更新される前記第2bキー(Ks)を取得し前記第2のスクランブルコンテンツを前記デスクランブラによりデスクランブルして記録し、」
と訂正する。
6 訂正事項6
段落0015に、
「 実施形態によれば、地上デジタル放送の第1の事業体が暗号化された第1aキー(Kw)を含む前記第1の事業体の第1a制御情報(EMM)、暗号化された第2aキー(Ks)を含む前記第1の事業体の第2a制御情報(ECM)ならびに第1のスクランブルコンテンツを含む第1のサービスa信号を前記第1の事業体の送信機により送信し、
前記地上デジタル放送の第2の事業体が暗号化された第1bキー(Kw)を含む前記第2の事業体の第1b制御情報(EMM)、暗号化された第2bキー(Ks)を含む前記第2の事業体の第2b制御情報(ECM)ならびに第2のスクランブルコンテンツを含む第2のサービスb信号を前記第2の事業体の送信機により送信し、
CASモジュールを有する受信機にて前記第1のサービスa信号および前記第2のサービスb信号を受信する送受信方法において、
前記地上デジタル放送の前記第1の事業体の送信機は、
前記第2aキー(Ks)を含む前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)を第1の周期で更新し、
前記第1の周期よりも短い第2の周期で前記第2a制御情報(ECM)を前記第1のサービスa信号に含めて送信し、
前記第2の周期で送られる前記第2a制御情報(ECM)よりも小さい頻度で前記CASモジュールに対する前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)を送信し、
前記地上デジタル放送の前記第2の事業体の送信機は、
前記第2bキー(Ks)を含む前記第1の事業体の前記第2b制御情報(ECM)を第3の周期で更新し、
前記第3の周期よりも短い第4の周期で前記第2b制御情報(ECM)を前記第2のサービスb信号に含めて送信し、
前記第4の周期で送られる前記第2b制御情報(ECM)よりも小さい頻度で前記CASモジュールに対する前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)を送信し、
前記受信機は
第1のチューナ部が、前記第1の事業体が送出する前記地上デジタル放送を受信し、前記第1のサービスa信号に含まれる、暗号化された前記第1aキー(Kw)を含む前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)、暗号化された前記第2aキー(Ks)を含む前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)ならびに前記第1のスクランブルコンテンツを受信すること、
第2のチューナ部が、前記第2の事業体が送出する前記地上デジタル放送を受信し、前記第2のサービスb信号に含まれる、暗号化された前記第1bキー(Kw)を含む前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)、暗号化された前記第2bキー(Ks)を含む前記第2の事業体の前記第2b制御情報(ECM)ならびに前記第2のスクランブルコンテンツを前記第1のチューナ部による受信と同時に受信すること、
デスクランブラが、前記第1のチューナ部から出力された前記第1のスクランブルコンテンツをデスクランブルすること、
前記デスクランブラが、前記第2のチューナ部から出力された前記第2のスクランブルコンテンツをデスクランブルすること、
制御部が、前記デスクランブラから出力される第1のコンテンツおよび第2のコンテンツの所定のテーブルをチェックすること、
前記所定のテーブルに含まれているパケットIDに基づいて、前記第1a制御情報(EMM)、前記第2a制御情報(ECM)、前記第1b制御情報(EMM)、前記第2b制御情報(ECM)を取り出すこと、前記第1のチューナ部、前記第2のチューナ部、前記デスクランブラを制御すること、
前記CASモジュールが、前記制御部により制御され、前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)から、固有の第3キー(Km)を用いて前記第1aキー(Kw)を取得し、前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)から、取得された前記第1aキー(Kw)を用いて、前記デスクランブラに与えるための前記第2aキー(Ks)を取得すること、
前記CASモジュールが、前記制御部により制御され、前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)から、固有の第3キー(Km)を用いて前記第1bキー(Kw)を取得し、前記第1の事業体の前記第2b制御情報(ECM)から、取得された前記第1bキー(Kw)を用いて、前記デスクランブラに与えるための前記第2bキー(Ks)を取得すること、を備え、
さらに前記制御部は、
前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)、前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)、前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)、前記第2の事業体の前記第2b制御情報(ECM)をバッファに格納し、
前記地上デジタル放送の前記第1の事業体を単位として前記第1a制御情報(EMM)を受信してから前記第1a制御情報(EMM)に対応した第1コマンド送信を前記CASモジュールに対して行う期間として前記第1の周期よりも長い第1の期間を設定し、且つ、前記第1の期間に前記第1a制御情報(EMM)を最小Ra(1以上の整数)個処理すべきことを設定し、
前記第1の期間に前記第1のチューナ部により受信し前記バッファに格納した前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)に対応した第2コマンド送信を前記CASモジュールに対して行い、前記第1の期間における当該第2コマンド送信に伴う処理以外のあまりの時間に前記バッファに格納した前記第1a制御情報(EMM)に対応した所定数の第1コマンド送信を前記CASモジュールに対して行う事で前記第1の期間に前記第1a制御情報(EMM)を最小Ra(1以上の整数)個処理し、
前記地上デジタル放送の前記第2の事業体を単位として前記第1b制御情報(EMM)を受信してから前記第1b制御情報(EMM)に対応した第1コマンド送信を前記CASモジュールに対して行う期間として前記第3の周期よりも長い第2の期間を設定し、且つ、前記第2の期間に前記第1a制御情報(EMM)を最小Rb(1以上の整数)個処理すべきことを設定し、
前記第2の期間に前記第2のチューナ部により受信し前記バッファに格納した前記第2の事業体の前記第2b制御情報(ECM)に対応した第2コマンド送信を前記CASモジュールに対して行い、前記第2の期間における当該第2コマンド送信に伴う処理以外のあまりの時間に前記バッファに格納した前記第1b制御情報(EMM)に対応した所定数の第1コマンド送信を前記CASモジュールに対して行う事で前記第2の期間に前記第1b制御情報(EMM)を最小Ra(1以上の整数)個処理し、
前記第1の周期で更新される前記第2aキー(Ks)を取得し前記第1のスクランブルコンテンツを前記デスクランブラによりデスクランブルして記録し、
前記第3の周期で更新される前記第2bキー(Ks)を取得し前記第1のスクランブルコンテンツを前記デスクランブラによりデスクランブルして記録し、
前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)を前記バッファに格納してから前記第1の期間が経過した後に前記バッファに残っている前記第1a制御情報(EMM)を破棄若しくは抑制し、
前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)を前記バッファに格納してから前記第2の期間が経過した後に前記バッファに残っている前記第1b制御情報(EMM)を破棄若しくは抑制する、送受信方法が提供される。」
とあるのを
「 実施形態によれば、地上デジタル放送の第1の事業体が暗号化された第1aキー(Kw)を含む前記第1の事業体の第1a制御情報(EMM)、暗号化された第2aキー(Ks)を含む前記第1の事業体の第2a制御情報(ECM)ならびに第1のスクランブルコンテンツを含む第1のサービスa信号を前記第1の事業体の送信機により送信し、
前記地上デジタル放送の第2の事業体が暗号化された第1bキー(Kw)を含む前記第2の事業体の第1b制御情報(EMM)、暗号化された第2bキー(Ks)を含む前記第2の事業体の第2b制御情報(ECM)ならびに第2のスクランブルコンテンツを含む第2のサービスb信号を前記第2の事業体の送信機により送信し、
CASモジュールを有する受信機にて前記第1のサービスa信号および前記第2のサービスb信号を受信する送受信方法において、
前記地上デジタル放送の前記第1の事業体の送信機は、
前記第2aキー(Ks)を含む前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)を第1の周期で更新し、
前記第1の周期よりも短い第2の周期で前記第2a制御情報(ECM)を前記第1のサービスa信号に含めて送信し、
前記第2の周期で送られる前記第2a制御情報(ECM)よりも小さい頻度で前記CASモジュールに対する前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)を送信し、
前記地上デジタル放送の前記第2の事業体の送信機は、
前記第2bキー(Ks)を含む前記第2の事業体の前記第2b制御情報(ECM)を第3の周期で更新し、
前記第3の周期よりも短い第4の周期で前記第2b制御情報(ECM)を前記第2のサービスb信号に含めて送信し、
前記第4の周期で送られる前記第2b制御情報(ECM)よりも小さい頻度で前記CASモジュールに対する前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)を送信し、
前記受信機は
第1のチューナ部が、前記第1の事業体が送出する前記地上デジタル放送を受信し、前記第1のサービスa信号に含まれる、暗号化された前記第1aキー(Kw)を含む前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)、暗号化された前記第2aキー(Ks)を含む前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)ならびに前記第1のスクランブルコンテンツを受信すること、
第2のチューナ部が、前記第2の事業体が送出する前記地上デジタル放送を受信し、前記第2のサービスb信号に含まれる、暗号化された前記第1bキー(Kw)を含む前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)、暗号化された前記第2bキー(Ks)を含む前記第2の事業体の前記第2b制御情報(ECM)ならびに前記第2のスクランブルコンテンツを前記第1のチューナ部による受信と同時に受信すること、
デスクランブラが、前記第1のチューナ部から出力された前記第1のスクランブルコンテンツをデスクランブルすること、
前記デスクランブラが、前記第2のチューナ部から出力された前記第2のスクランブルコンテンツをデスクランブルすること、
制御部が、前記デスクランブラから出力される第1のコンテンツおよび第2のコンテンツの所定のテーブルをチェックすること、
前記所定のテーブルに含まれているパケットIDに基づいて、前記第1a制御情報(EMM)、前記第2a制御情報(ECM)、前記第1b制御情報(EMM)、前記第2b制御情報(ECM)を取り出すこと、前記第1のチューナ部、前記第2のチューナ部、前記デスクランブラを制御すること、
前記CASモジュールが、前記制御部により制御され、前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)から、固有の第3キー(Km)を用いて前記第1aキー(Kw)を取得し、前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)から、取得された前記第1aキー(Kw)を用いて、前記デスクランブラに与えるための前記第2aキー(Ks)を取得すること、
前記CASモジュールが、前記制御部により制御され、前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)から、固有の第3キー(Km)を用いて前記第1bキー(Kw)を取得し、前記第2の事業体の前記第2b制御情報(ECM)から、取得された前記第1bキー(Kw)を用いて、前記デスクランブラに与えるための前記第2bキー(Ks)を取得すること、を備え、
さらに前記制御部は、
前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)、前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)、前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)、前記第2の事業体の前記第2b制御情報(ECM)をバッファに格納し、
前記地上デジタル放送の前記第1の事業体を単位として前記第1a制御情報(EMM)を受信してから前記第1a制御情報(EMM)に対応した第1コマンド送信を前記CASモジュールに対して行う期間として前記第1の周期よりも長い第1の期間を設定し、且つ、前記第1の期間に前記第1a制御情報(EMM)を最小Ra(1以上の整数)個処理すべきことを設定し、
前記第1の期間に前記第1のチューナ部により受信し前記バッファに格納した前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)に対応した第2コマンド送信を前記CASモジュールに対して行い、前記第1の期間における当該第2コマンド送信に伴う処理以外のあまりの時間に前記バッファに格納した前記第1a制御情報(EMM)に対応した所定数の第1コマンド送信を前記CASモジュールに対して行う事で前記第1の期間に前記第1a制御情報(EMM)を最小Ra(1以上の整数)個処理し、
前記地上デジタル放送の前記第2の事業体を単位として前記第1b制御情報(EMM)を受信してから前記第1b制御情報(EMM)に対応した第1コマンド送信を前記CASモジュールに対して行う期間として前記第3の周期よりも長い第2の期間を設定し、且つ、前記第2の期間に前記第1b制御情報(EMM)を最小Rb(1以上の整数)個処理すべきことを設定し、
前記第2の期間に前記第2のチューナ部により受信し前記バッファに格納した前記第2の事業体の前記第2b制御情報(ECM)に対応した第2コマンド送信を前記CASモジュールに対して行い、前記第2の期間における当該第2コマンド送信に伴う処理以外のあまりの時間に前記バッファに格納した前記第1b制御情報(EMM)に対応した所定数の第1コマンド送信を前記CASモジュールに対して行う事で前記第2の期間に前記第1b制御情報(EMM)を最小Rb(1以上の整数)個処理し、
前記第1の周期で更新される前記第2aキー(Ks)を取得し前記第1のスクランブルコンテンツを前記デスクランブラによりデスクランブルして記録し、
前記第3の周期で更新される前記第2bキー(Ks)を取得し前記第2のスクランブルコンテンツを前記デスクランブラによりデスクランブルして記録し、
前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)を前記バッファに格納してから前記第1の期間が経過した後に前記バッファに残っている前記第1a制御情報(EMM)を破棄若しくは抑制し、
前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)を前記バッファに格納してから前記第2の期間が経過した後に前記バッファに残っている前記第1b制御情報(EMM)を破棄若しくは抑制する、送受信方法が提供される。」
と訂正する。
第3 当審の判断
1 訂正前の請求項1の記載事項
訂正前の請求項1には以下の記載がある。(()付き数字は合議体が付したものであり、以下、構成(1)~(30)という。以下同じ。)
「【請求項1】
(1) 地上デジタル放送の第1の事業体が暗号化された第1aキー(Kw)を含む前記第1の事業体の第1a制御情報(EMM)、暗号化された第2aキー(Ks)を含む前記第1の事業体の第2a制御情報(ECM)ならびに第1のスクランブルコンテンツを含む第1のサービスa信号を前記第1の事業体の送信機により送信し、
(2) 前記地上デジタル放送の第2の事業体が暗号化された第1bキー(Kw)を含む前記第2の事業体の第1b制御情報(EMM)、暗号化された第2bキー(Ks)を含む前記第2の事業体の第2b制御情報(ECM)ならびに第2のスクランブルコンテンツを含む第2のサービスb信号を前記第2の事業体の送信機により送信し、
(3) CASモジュールを有する受信機にて前記第1のサービスa信号および前記第2のサービスb信号を受信する送受信方法において、
(4) 前記地上デジタル放送の前記第1の事業体の送信機は、
(5) 前記第2aキー(Ks)を含む前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)を第1の周期で更新し、
(6) 前記第1の周期よりも短い第2の周期で前記第2a制御情報(ECM)を前記第1のサービスa信号に含めて送信し、
(7) 前記第2の周期で送られる前記第2a制御情報(ECM)よりも小さい頻度で前記CASモジュールに対する前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)を送信し、
(8) 前記地上デジタル放送の前記第2の事業体の送信機は、
(9) 前記第2bキー(Ks)を含む前記第1の事業体の前記第2b制御情報(ECM)を第3の周期で更新し、
(10) 前記第3の周期よりも短い第4の周期で前記第2b制御情報(ECM)を前記第2のサービスb信号に含めて送信し、
(11) 前記第4の周期で送られる前記第2b制御情報(ECM)よりも小さい頻度で前記CASモジュールに対する前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)を送信し、
(12) 前記受信機は
(13) 第1のチューナ部が、前記第1の事業体が送出する前記地上デジタル放送を受信し、前記第1のサービスa信号に含まれる、暗号化された前記第1aキー(Kw)を含む前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)、暗号化された前記第2aキー(Ks)を含む前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)ならびに前記第1のスクランブルコンテンツを受信すること、
(14) 第2のチューナ部が、前記第2の事業体が送出する前記地上デジタル放送を受信し、前記第2のサービスb信号に含まれる、暗号化された前記第1bキー(Kw)を含む前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)、暗号化された前記第2bキー(Ks)を含む前記第2の事業体の前記第2b制御情報(ECM)ならびに前記第2のスクランブルコンテンツを前記第1のチューナ部による受信と同時に受信すること、
(15) デスクランブラが、前記第1のチューナ部から出力された前記第1のスクランブルコンテンツをデスクランブルすること、
(16) 前記デスクランブラが、前記第2のチューナ部から出力された前記第2のスクランブルコンテンツをデスクランブルすること、
(17) 制御部が、前記デスクランブラから出力される第1のコンテンツおよび第2のコンテンツの所定のテーブルをチェックすること、
(18) 前記所定のテーブルに含まれているパケットIDに基づいて、前記第1a制御情報(EMM)、前記第2a制御情報(ECM)、前記第1b制御情報(EMM)、前記第2b制御情報(ECM)を取り出すこと、前記第1のチューナ部、前記第2のチューナ部、前記デスクランブラを制御すること、
(19) 前記CASモジュールが、前記制御部により制御され、前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)から、固有の第3キー(Km)を用いて前記第1aキー(Kw)を取得し、前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)から、取得された前記第1aキー(Kw)を用いて、前記デスクランブラに与えるための前記第2aキー(Ks)を取得すること、
(20) 前記CASモジュールが、前記制御部により制御され、前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)から、固有の第3キー(Km)を用いて前記第1bキー(Kw)を取得し、前記第1の事業体の前記第2b制御情報(ECM)から、取得された前記第1bキー(Kw)を用いて、前記デスクランブラに与えるための前記第2bキー(Ks)を取得すること、を備え、
(21) さらに前記制御部は、
(22) 前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)、前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)、前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)、前記第2の事業体の前記第2b制御情報(ECM)をバッファに格納し、
(23) 前記地上デジタル放送の前記第1の事業体を単位として前記第1a制御情報(EMM)を受信してから前記第1a制御情報(EMM)に対応した第1コマンド送信を前記CASモジュールに対して行う期間として前記第1の周期よりも長い第1の期間を設定し、且つ、前記第1の期間に前記第1a制御情報(EMM)を最小Ra(1以上の整数)個処理すべきことを設定し、
(24) 前記第1の期間に前記第1のチューナ部により受信し前記バッファに格納した前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)に対応した第2コマンド送信を前記CASモジュールに対して行い、前記第1の期間における当該第2コマンド送信に伴う処理以外のあまりの時間に前記バッファに格納した前記第1a制御情報(EMM)に対応した所定数の第1コマンド送信を前記CASモジュールに対して行う事で前記第1の期間に前記第1a制御情報(EMM)を最小Ra(1以上の整数)個処理し、
(25) 前記地上デジタル放送の前記第2の事業体を単位として前記第1b制御情報(EMM)を受信してから前記第1b制御情報(EMM)に対応した第1コマンド送信を前記CASモジュールに対して行う期間として前記第3の周期よりも長い第2の期間を設定し、且つ、前記第2の期間に前記第1a制御情報(EMM)を最小Rb(1以上の整数)個処理すべきことを設定し、
(26) 前記第2の期間に前記第2のチューナ部により受信し前記バッファに格納した前記第2の事業体の前記第2b制御情報(ECM)に対応した第2コマンド送信を前記CASモジュールに対して行い、前記第2の期間における当該第2コマンド送信に伴う処理以外のあまりの時間に前記バッファに格納した前記第1b制御情報(EMM)に対応した所定数の第1コマンド送信を前記CASモジュールに対して行う事で前記第2の期間に前記第1b制御情報(EMM)を最小Ra(1以上の整数)個処理し、
(27) 前記第1の周期で更新される前記第2aキー(Ks)を取得し前記第1のスクランブルコンテンツを前記デスクランブラによりデスクランブルして記録し、
(28)前記第3の周期で更新される前記第2bキー(Ks)を取得し前記第1のスクランブルコンテンツを前記デスクランブラによりデスクランブルして記録し、
(29) 前記第1の事業体の前記第1a制御情報(EMM)を前記バッファに格納してから前記第1の期間が経過した後に前記バッファに残っている前記第1a制御情報(EMM)を破棄若しくは抑制し、
(30) 前記第2の事業体の前記第1b制御情報(EMM)を前記バッファに格納してから前記第2の期間が経過した後に前記バッファに残っている前記第1b制御情報(EMM)を破棄若しくは抑制する、送受信方法。」
2 訂正事項1、2について
(1) 訂正の目的について
ア 訂正前の明細書の記載について
訂正前の明細書の【0059】~【0068】、【0169】には以下の記載がある(下線は合議体が付した。)。
「【0059】
スクランブル鍵(Ks)401と、ワーク鍵(Kw)402と、マスター鍵(Km)403は、放送局200が管理する鍵である。またワーク鍵402を用いてECMを暗号化する暗号化部405、マスター鍵403を用いてEMMを暗号化する暗号化部406も、放送局200が管理する暗号化部である。
【0060】
一方受信機300に挿入されているCASモジュール303は、ワーク鍵422を用いてECMを復号化する復号化部425、マスター鍵423を用いてEMMを復号化する復号化部426は、受信機300に挿入されているCASモジュール303が管理する復号化部である。またCASモジュール303から入手したスクランブル鍵(Ks)を用いて放送波をデスクランブルするデスクランブラ420は、図3が示す受信機300が管理するデスクランブラ302である。
【0061】
放送局200は、スクランブル鍵(Ks)を含むECM410およびワーク鍵(Kw)を含むEMM411を、各々の必要なタイミングで生成する。放送局200は、生成したECM410およびEMM411を、他の番組コンテンツ等と多重化し、その時点でのし放送波により送出するスクランブル鍵(Ks)401を用いてスクランブラ400によりスクランブルし、放送波により送信する。
【0062】
受信機300は、CASモジュール303より入手したスクランブル鍵(Ks)421を用いて、受信した放送波をデスクランブラ420によりデスクランブルし、放送波に含まれている番組コンテンツをユーザに提供する。
【0063】
限定受信方式の目的は、特定の放送局が放送する番組を視聴する権利を取得した加入者のみが、その放送局が放送する番組を視聴出来るようにすることである。このため、加入者の受信機300のみが、放送波で送られてくるスクランブル鍵(Ks)421を取り出せることが必要である。
・・・
【0068】
受信機300は、受信したEMM411の非暗号化部分にあるCASモジュールID(カードID)の情報から、自分宛てのEMM411を抽出し、抽出した自分宛てのEMM411をCASモジュール303に送信する。EMM411を受信したCASモジュール303は、内部に秘匿した状態で格納してあるマスター鍵(Km)423を用いてEMM411を復号化部426で復号し、ワーク鍵(Kw)422を抽出する。さらにCASモジュール303は、抽出したワーク鍵(Kw)422を用いて、ECM410を復号化部425で復号化し、中に含まれているスクランブル鍵(Ks)421を抽出する。CASカードモジュール303は、抽出したスクランブル鍵(Ks)421を制御部330に送信する。スクランブル鍵(Ks)421を受信した制御部330は、受信したスクランブル鍵(Ks)をデスクランブラ420に送信する。制御部330からスクランブル鍵(Ks)を受信したデスクランブラ420は、受信したスクランブル鍵(Ks)を内部に設定する。」
「【0169】
一方EMMは、ECMに比べて即時処理を必要としない属性のものであるが、場合によってはECMほどの即時性はないものの、可及的速やかな処理を要する場合がある。例えば、
(a)特定の放送局(事業体)が放送する番組を視聴する権利を取得したい視聴者Aが、加入に関する手続きや加入時のトラブル対応を、加入する放送局(事業体)のカスタマーセンターに電話して、電話の案内に従って自受信機で当該放送局のチャンネルを選局し、視聴者Aの受信機のカードID番号を告げる
(b)視聴者Aは、例えば電話を掛けたままの状態で、放送局(事業体)は、電話で告げられたカードID番号を設定したEMMを即時送信する
(c)視聴者Aの受信機がEMMを受信し、スクランブル鍵(Ks)を取り出せれば、当該チャンネルの放送信号をデスクランブルすることが可能となる(いわゆる鍵明けが可能となる)
(d)これにより、視聴者Aは、契約手続きの完了を確認できる、
上記(a)から(d)のシーンのような場合は、EMM処理もECMほどの即時性はないものの、可及的速やかな処理を要する場合があることは現実である。」
イ 訂正前の明細書の記載からいえること
【0169】から、特定の放送局とは特定の事業体と呼んでもよいことを踏まえると、【0063】から、「限定受信方式の目的は」「特定の放送局」、すなわち特定の事業体、「が放送する番組を視聴する権利を取得した加入者のみが、その放送局が放送する番組を視聴出来るようにすることであ」り、「加入者の受信機300のみが、放送波で送られてくるスクランブル鍵(Ks)421を取り出せることが必要である」といえる。
また、【0061】から、「放送局200は、スクランブル鍵(Ks)を含むECM410およびワーク鍵(Kw)を含むEMM411を」、「生成」し、「生成したECM410およびEMM411を」、「番組コンテンツと多重化し」、「スクランブル鍵(Ks)」「を用いて」「スクランブルし」、「送信する」こと、【0068】から、「受信機300は」、「自分宛てのEMM411を抽出し」「CASモジュール303に送信」し、「EMM411を受信したCASモジュール303は」「EMM411を復号化部426で復号し、ワーク鍵(Kw)422を抽出」し、「抽出したワーク鍵(Kw)422を用いて、ECM410を復号化部425で復号化し、中に含まれているスクランブル鍵(Ks)421を抽出」することがいえる。
ここで、【0059】から、「スクランブル鍵(Ks)」と「ワーク鍵(Kw)」と「マスター鍵(Km)」は「放送局が管理する鍵」であり、ワーク鍵」「を用いてECMを暗号化するECM暗号化部」と「マスター鍵」「を用いてEMMを暗号化する暗号化部」は、「放送局」「が管理する暗号化部である」ことがいえる。
そうすると、明細書記載の「送受信方法」では、
特定の放送局(事業体)が当該特定の放送局(事業体)に関連する特定のスクランブル鍵、ワーク鍵、マスター鍵、ECM、EMMを管理しており、当該特定の放送局に関連しない鍵やECM、EMMを管理することはないこと
がいえる。(以下、明細書記載の技術事項1という。)
ウ 訂正前の請求項1の記載事項同士の関係、及び訂正前の請求項1と明細書記載の技術事項との関係についての検討
(ア) 上記1の構成(1)、(2)、(12)~(14)、(17)、(21)、(22)、(24)及び(26)から、訂正前の請求項1において、
(ア-1) 「地上デジタル放送の第1の事業体が」「前記第1の事業体の第2a制御情報(ECM)」「を前記第1の事業体の送信機により送信し」、「受信機は」「第1のチューナ部が」「前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)」「を受信」し、「制御部が」「前記第1の事業体の第2a制御情報(ECM)」「をバッファに格納し」、「前記第1のチューナ部により受信し前記バッファに格納した前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)に対応した」「コマンド送信を」「CASモジュールに対して行」うこと、
(アー2) 「地上デジタル放送の第2の事業体が」「前記第2の事業体の第2b制御情報(ECM)」「を前記第2の事業体の送信機により送信し」、「受信機は」「第2のチューナ部が」「前記第2の事業体の前記第2b制御情報(ECM)」「を受信」し、「制御部が」「前記第2の事業体の前記第2b制御情報(ECM)」「をバッファに格納し」、「前記第2のチューナ部により受信し前記バッファに格納した前記第2の事業体の前記第2b制御情報(ECM)に対応した」「コマンド送信を」「CASモジュールに対して行」うこと、
が特定されているといえる。
(イ) また、上記(ア-1)、上記1の構成(5)及び(19)から、訂正前の請求項1において、
地上デジタル放送の第1の事業体の送信機により送信され、第1の周期で更新され、受信機の第1チューナ部により受信され、CASモジュールによりキーKsを取得するために用いられ、制御部によりバッファに格納されてコマンド送信をCASモジュールに行うものにおいて、第2a制御情報(ECM)は、すべて第1の事業体に関するものであること、
がいえる。
(ウ) 一方、上記1の構成(8)を踏まえた(9)及び(20)から、
「地上デジタル放送の第2の事業体の送信機は、第1の事業体の第2b制御情報(ECM)を第3の周期で更新」すること、「CASモジュールが」、「第1の事業体の第2b制御情報を(ECM)から」「キー(Ks)を取得する」こと
がいえる。
(エ) ここで、上記(ウ)は、第2の事業体が別の事業体である第1の事業体のECMを管理することになるが、これは明細書記載の技術事項1とは整合しない。
また、上記(ウ)は、地上デジタル放送の第2の事業体が前記第2の事業体の第2b制御情報(ECM)を送信機により送信し、前記第2の事業体の第2b制御情報(ECM)に対応したコマンド送信をCASモジュールに対して行うという、上記(アー2)の事項とは整合しない。
エ 小括
上記ウの(ア)、(イ)から、上記1の構成(1)、(2)、(5)、(12)~(14)、(17)、(19)、(21)、(22)、(24)及び(26)は、特定の事業体の送信機が、当該事業体のECMを送信し、所定の周期で当該事業体のECMを更新し、受信機は、当該事業体のECMを受信し、当該ECMに対応したコマンド送信をCASモジュールに対して行うものであり、CASモジュールにより当該ECMからキーKsを取得することに関して、上記1の構成(8)を踏まえた(9)及び(20)を除く訂正前の請求項1の内容とも、上記イの明細書記載の技術事項1とも整合している。
一方、上記ウの(ウ)、(エ)から、上記1の構成(8)を踏まえた(9)及び(20)は、訂正前の請求項1の内容や、上記イの明細書記載の技術事項1とは整合しない。
そうすると、上記ウの(ウ)は、本来は、上記(ア)、(イ)と対応して(すなわち、地上デジタル放送の第1の事業体の送信機により送信され、所定の周期で更新され、受信機の第1チューナ部により受信されCASモジュールにより用いられる、第1事業体の第2a制御情報(ECM)と対応して)、地上デジタル放送の第2の事業体の送信機により送信され、所定の周期で更新され、受信機の第2チューナ部により受信され、CASモジュールにより用いられる、第2事業体の第2b制御情報(ECM)に関するものとして特定されるべきものであったといえる。
以上のことから、訂正前の請求項1は、本来は、それぞれ訂正事項1、2のように記載されることで、上記1の構成(9)は、第2の事業体のECMを更新するものとして、また、上記1の構成(20)は、第2の事業体のECMからキーKsを取得するものとして、特定されるべきところ、上記1の構成(9)及び(20)のように「前記第1の事業体の前記第2b制御情報(ECM)」と誤記したことで、誤って上記ウ(エ)の事項を導出しているといえる。
したがって、訂正事項1、2は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる、「誤記の訂正」を目的とする訂正に該当する。
(2) 願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であることについて
上記(1)において検討したとおり、訂正事項1、2は、訂正前の請求項1に記載された誤記の訂正を目的とするものであって、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の全てを総合することによって導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項1、2は、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことについて
上記(1)において検討したとおり、訂正事項1、2は、訂正前の請求項1に記載された誤記の訂正を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
3 訂正事項3、4について
(1) 訂正の目的について
ア 訂正前の明細書の記載について
訂正前の明細書の【0150】~【0152】には以下の記載がある(下線は合議体が付した。)。
「【0150】
本実施形態では、ECMの再送周期、更新周期と、CASモジュール(ICカード)の仕様書等に記載されたコマンド応答性能等を考慮し、新たに、1事業体が1つのカードIDを設定したEMMを送信する頻度、または、受信機が1事業体あたりで一定期間内で処理すべきEMM個数を規定する。すなわち、新たに規定するのは、一定期間内に処理すべきEMMの個数であり、送出規定として一定期間内の送出個数で規定するか、受信機規定として一定期間内の処理個数で規定するかの手段である。これにより、1つのCASモジュール(ICカード)で何個のチューナによる同時受信処理を可能とするかを厳密に検討することが可能となる。これにより、受信機メーカの利便性が得られる。
【0151】
本実施形態における要点の概要をまとめると以下のように記述することができる、
(1).アクセス制御方式(限定受信方式ないしコンテンツ保護方式)を運用する放送において、ECMの再送周期、更新周期、かつ1事業体あたりに同一受信機(CASモジュールID)宛てに送出するEMM及び又はEMM個別メッセージの送出頻度を規定したデジタル放送送受信装置。
【0152】
(1b).1つのCASモジュールID宛に送られるEMM及び又はEMM個別メッセージのうち、EMMを受信後からCASモジュールに対して行うコマンドの発行までの猶予期間における、処理が必要な最小のEMM個数を規定したデジタル放送送受信装置。」
イ 訂正前の明細書の記載からいえること
上記アから、訂正前の明細書には、
「1事業体あたりで一定期間内に処理すべきEMMの個数を規定する」ことで、「1つのCASモジュール(ICカード)で何個のチューナによる同時受信処理を可能とするかを厳密に検討することが可能となる」「EMMを受信後からCASモジュールに対して行うコマンドの発行までの猶予期間における、処理が必要な最小のEMM個数を規定したデジタル放送送受信装置」が記載されているといえる。(以下、明細書記載の技術事項2という。)
ウ 訂正前の請求項1の記載事項同士の関係、及び訂正前の請求項1と明細書に記載された技術事項との関係について
(ア) 上記1の構成(1)、(2)、及び(12)~(14)から、訂正前の請求項1において、
「地上デジタル放送の第1の事業体が」「前記第1の事業体の第1a制御情報(EMM)」「を前記第1の事業体の送信機により送信し、」
「前記地上デジタル放送の第2の事業体が」「前記第2の事業体の第1b制御情報(EMM)」「を前記第2の事業体の送信機により送信」し、
「受信機は」「第1の事業体の第1a制御情報(EMM)」「を受信」し、「第2の事業体の第1b制御情報(EMM)」「を受信する」
ことが特定されているといえる。
(イ) また、上記1の構成(23)及び(24)から、訂正前の請求項1において、
「第1の事業体を単位として第1の期間を設定し、且つ、前記第1の期間に第1a制御情報(EMM)を最小Ra個処理すべきことを設定」することと、「前記第1の期間に前記第1a制御情報(EMM)を最小Ra個処理」することが特定されている。
これは上記(ア)における、第1の事業体の第1a制御情報(EMM)を送受信する場合であって、上記イにおいて、「1事業体」を「第1の事業体」とした場合に、第1の事業体あたりで一定期間内に処理すべきEMMが、第1の事業体のEMMである第1a制御情報(EMM)であり、処理が必要な最小のEMM個数がRa個であるという場合にあたる。
(ウ) 一方、上記1の構成(25)から、訂正前の請求項1において、
「第2の事業体を単位として第2の期間を設定し、且つ、前記第2の期間に第1a制御情報(EMM)を最小Rb個処理すべきことを設定」することが特定されており、
(エ) また、上記1の構成(26)によれば、訂正前の請求項1において、
「前記第2の期間に前記第1b制御情報(EMM)を最小Ra個処理」することが特定されている。
(オ) ところで、上記(ア)によれば、第2の事業体は第1b制御情報(EMM)を送受信するものであり、上記イの明細書記載の技術事項2において、「1事業体」を「第2の事業体」とした場合、第2の事業体あたりで一定期間内に処理すべきEMMは、第2の事業体のEMMである第1b制御情報(EMM)である。
ところが、上記(ウ)では、「第2の期間に第1a制御情報(EMM)を最小Rb個処理すべきことを設定」することが特定されている。
また、上記(ウ)、(エ)によれば、第2の期間にEMMを最小Rb個処理すべきことが設定され、最小Ra個処理することになるが、最小Rb個処理すべきと設定されたにも関わらず、最小Ra個処理するのでは、元々EMMが過小または過大に処理されることを許容することになる。
このような記載は、上記イの明細書記載の技術事項2における「1つのCASモジュール(ICカード)で何個のチューナによる同時受信処理を可能とするかを厳密に検討することが可能となる。」という事項と整合しない。
したがって、上記(ウ)、(エ)の記載は、処理されるEMMについて、上記(ア)、(イ)や上記イの明細書記載の技術事項2と整合しない。
エ 小括
上記ウの(ア)、(イ)から、上記1の構成(1)、(2)、(12)~(14)、及び(23)、(24)は、「1事業体あたりで一定期間内に処理すべきEMMの個数を規定する」ことに関して、上記1の構成(25)、(26)を除く訂正前の請求項1の内容とも、上記イの明細書記載の技術事項2とも整合しているといえる。
一方、上記ウの(ウ)、(エ)、(オ)から、上記1の構成(25)、(26)は、訂正前の請求項1の内容や、上記イの明細書記載の技術事項2とは整合しない。
以上のことから、訂正前の請求項1において、本来は、それぞれ訂正事項3、4のように記載されることで、上記1の構成(25)は、第2の事業体のEMMである第1b制御情報(EMM)を処理すべきことを設定するものとして、上記1の構成(26)は第1b制御情報(EMM)を最小Rb個処理するものとして、それぞれ記載されるべきところを、それぞれ上記1の構成(25)、(26)と誤記したことで、誤って上記ウの(ウ)、(エ)、(オ)の事項を導出しているといえる。
したがって、訂正事項3、4は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる、「誤記の訂正」を目的とする訂正に該当する。
(2) 願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であることについて
上記(1)において検討したとおり、訂正事項3、4は、訂正前の請求項1に記載された誤記の訂正を目的とするものであって、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の全てを総合することによって導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項3、4は、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことについて
上記(1)において検討したとおり、訂正事項3、4は、訂正前の請求項1に記載された誤記の訂正を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
4 訂正事項5について
(1) 訂正の目的について
ア 訂正前の請求項1の記載事項同士の間の関係について
(ア) 上記1の構成(1)、(2)から、訂正前の請求項1において、
(ア-1)「暗号化された第2aキー(Ks)を含む前記第1の事業体の第2a制御情報(ECM)ならびに第1のスクランブルコンテンツを含む第1のサービスa信号を前記第1の事業体の送信機により送信」すること、
(ア-2)「暗号化された第2bキー(Ks)を含む前記第2の事業体の第2b制御情報(ECM)ならびに第2のスクランブルコンテンツを含む第2のサービスb信号を前記第2の事業体の送信機により送信」すること、
が特定されているといえる。
(イ) また、上記1の構成(12)~(14)から、訂正前の請求項1において、受信機が、
(イ-1)「暗号化された前記第2aキー(Ks)を含む前記第1の事業体の前記第2a制御情報(ECM)ならびに前記第1のスクランブルコンテンツを受信する」こと、
(イー2)「暗号化された前記第2bキー(Ks)を含む前記第2の事業体の前記第2b制御情報(ECM)ならびに前記第2のスクランブルコンテンツを受信する」こと、
がいえる。
これは上記(ア)における「送信」処理に対応する「受信」処理、すなわち、
(ア-1)の第1の事業体の送信機が第2aキー(Ks)を含む第1の事業体の第2a制御情報(ECM)並びに第1のスクランブルコンテンツを送信することに対応して、第2aキー(Ks)を含む第2a制御情報(ECM)並びに第1のスクランブルコンテンツを受信すること、
(ア-2)の第2の事業体の送信機が第2bキー(Ks)を含む第2の事業者の第2b制御情報(ECM)並びに第2のスクランブルコンテンツを送信することに対応して、第2bキー(Ks)を含む第2b制御情報(ECM)並びに第2のスクランブルコンテンツを受信すること、
が特定されているといえる。
(ウ) さらに、上記1の構成(27)によれば、訂正前の請求項1において、
「第2aキー(Ks)を取得し前記第1のスクランブルコンテンツを前記デスクランブラによりデスクランブルして記録」することが特定されている。
すなわち、上記(イ)における第2aキー(Ks)を含む第2a制御情報(ECM)並びに第1のスクランブルコンテンツを受信することに対応して、第2aキー(Ks)を取得し第1のスクランブルコンテンツをデスクランブルすることが特定されているといえる。
(エ) 一方、上記1の構成(28)によれば、訂正前の請求項1において、
「第2bキー(Ks)を取得し前記第1のスクランブルコンテンツを前記デスクランブラによりデスクランブルして記録」することが特定されている。
そうすると、上記(イ)と合わせると、第2bキー(Ks)を含む第2b制御情報(ECM)並びに第2のスクランブルコンテンツを受信した場合、第2bキー(Ks)を取得し第1のスクランブルコンテンツをデスクランブルすることが特定されていることになる。
すなわち、第2の事業体の送信機から送信された、第2bキー(Ks)を含む第2b制御情報並びに第2のスクランブルコンテンツを受信したにもかかわらず、第2bキー(Ks)を用いて、第2のスクランブルコンテンツではなく、第1の事業体の送信機から送信された、第1のスクランブルコンテンツをデスクランブルすることになる。
そうすると、上記1の構成(28)は、デスクランブルするスクランブルコンテンツについて、上記1の構成(12)~(14)、(27)と整合しない。
ウ 小括
上記ア(ウ)、(エ)において検討した事項から、上記1の構成(1)、(2)、(12)~(14)、(27)は整合して記載されている。
そうすると、訂正前の請求項1において、本来は、上記1の構成(28)は、デスクランブルするコンテンツを第2の事業体の送信機から送信された第2のデスクランブルコンテンツとして記載されるべきところを、上記1の構成(28)と誤記したことで、誤って上記イ(エ)の事項を導出しているといえる。
したがって、訂正事項5は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる、「誤記の訂正」を目的とする訂正に該当する。
(2) 願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であることについて
上記(1)において検討したとおり、訂正事項5は、前の請求項1に記載された誤記の訂正を目的とするものであって、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の全てを総合することによって導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項5は、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことについて
上記(1)において検討したとおり、訂正事項5は、訂正前の請求項1に記載された誤記の訂正を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
5 訂正事項6について
訂正事項6は、請求項1の引き写しが記載された明細書の段落【0015】の記載について、訂正事項1~5と同様の訂正を行うものである。
したがって、訂正事項6に関する(1)訂正の目的、(2)願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること、(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことについての判断は、上記2(1)~4(3)において検討したとおりである。
よって、訂正事項6は、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する「誤記の訂正」を目的とするものであって、特許法第126条第5項、第6項の規定に適合するものである。
6 独立特許要件について
訂正事項1~5に関しては、訂正後の請求項1に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができない理由を発見しない。
また、訂正事項6は、訂正前の本件特許請求の範囲の請求項1の引き写しが記載された本件特許明細書の発明の詳細な説明の【0015】の記載について、訂正事項1~5と同様の訂正を行うものである。
そうすると、訂正事項6に関する独立特許要件についての判断は、訂正事項1~5に関する独立特許要件違反についての判断と同様に、訂正後の請求項1に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができない理由を発見しない。
したがって、訂正事項1~6は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
第4 むすび
以上のとおり、本件訂正審判の請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2021-390055