商標取消審判
2021-300958
フクスケ
- 審判番号
- 2021-300958
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2015-085318
- 登録番号
- 5879567
- 請求日
- 2021年12月01日
- 審決日
- 2023年03月27日
- 公報発行日
- 2023年07月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】福助 株式会社
- 【請求人代理人】岡田 全啓
- 【被請求人】株式会社 メディカルスイッチ
- 審判長/審判官
- 審判長 岩崎 安子
- 審判官 大森 友子
- 審判官 大橋 良成
- 分類
- T132 .1 -Y (W10) / T132 .11 -Y (W10)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第2条第3項第8号、商標法第50条第2項、商標法第50条第1項、商標法第2条第3項第1号、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第5879567号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第5879567号商標(以下「本件商標」という。)は、「FUKU助」の文字を標準文字で表してなり、平成27年8月21日に登録出願、第9類「電話機械器具,無線通信機械器具,音声周波機械器具,映像周波機械器具,電気通信機械器具の部品及び付属品,電気通信機械器具,電子応用機械器具,電子回路,電子計算機用プログラム」及び第10類「医療用機械器具(「歩行補助器・松葉づえ」を除く。),所定の時間に薬剤を提供することにより服薬管理が可能となる治療目的で使用される家庭用服薬支援装置及びその付属品,調剤用機械器具」を指定商品として、同28年9月9日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
なお、本件審判の請求の登録は、令和3年12月16日であり、本件審判において、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、平成30年12月16日から令和3年12月15日まで(以下「要証期間」という。)である。
第2 請求人の主張
請求人は、「商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第10類「全指定商品」(以下「請求に係る指定商品」ということがある。)についての登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第10号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、請求に係る指定商品について、継続して3年以上日本国内において本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)「医療用機械器具」はどのような商品であるのか
「医療用機械器具」が、そもそもどのような性質の商品であるのかを鑑みるに特許庁商標課編集の「商品及び役務区分解説」(改訂第3版)によれば、「医院又は病院で専ら使用される機械器具がこの概念に属する。」とある(甲3)ところ、「所定の時間に薬剤を提供することにより服薬管理が可能となる治療目的で使用される家庭用服薬支援装置」(以下「取消使用商品」ということがある。)は、専ら家庭においてのみ使用されるものであって、「医院又は病院で専ら使用される機械器具」ではないから、第10類の「医療用機械器具」の範ちゅうの商品ではない。また、被請求人の商品カタログ(甲4)には、「本商品は医療機器ではありません。」との注意書きがある。
(2)取消使用商品の機能を備えた商品が他の商品区分に分類された例
取消使用商品の機能は、薬を収納するとともに飲み忘れを注意喚起して適時に薬を提供するものである。これと同等の機能の商品は、第20類や第9類の商品の範ちゅうと取り扱われているから(甲6~甲8)、第10類以外の商品として分類されると推察される。
(3)第10類の「医療用機械器具」の範ちゅうであるか否かについて「商品及び役務区分解説」(特許庁商標課編)に則って「医療用機械器具」の範ちゅうの商品ではないと判断された審決例がある(甲9、甲10)。
(4)以上のとおり、被請求人は、審判の請求の登録前三年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが取消に係る指定商品についての登録商標の使用をしていることを証明していない。
第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、令和4年1月21日付け答弁書、同年9月6日付け及び同年11月22日付け回答書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第27号証を提出した。
1 本件商標は、商標法第2条第3項第8号及び同項第1号に掲げる行為に使用した事実を有する。
(1)乙第1号証は、商標権者(被請求人)が、日本国内で行われた製品コンペティション「世界発信コンペティション」へ、請求に係る指定商品中、「所定の時間に薬剤を提供することにより服薬管理が可能となる治療目的で使用される家庭用服薬支援装置」(取消使用商品)に本件商標を付して応募し、これに対して、令和2年12月1日に、東京都知事より表彰を受けた際の賞状の写真である。
(2)乙第2号証は、上記(1)の「世界発信コンペティション」において、東京都により制作・配布された受賞企業パンフレットの写しである。当該パンフレットの5ページに、商標権者が応募した製品の具体的な特徴が掲載されて広告されており、この内容から、商標権者が本件商標を付して東京都知事より表彰を受けた製品が、取消使用商品であることが明らかである。
(3)乙第3号証は、令和2年10月に、株式会社ウェルファンにより発行された介護用品カタログの写しであり、当該カタログの256ページにおいて、商標権者が、取消使用商品に本件商標を付して広告していることが明らかである。「●(省略)●」(乙4~乙7)。
また、取消使用商品は、当然ながら医療用医薬品の服薬管理に用いられる場合があるため、医療用機械器具(「歩行補助器・松葉づえ」を除く。)でもある。
(4)乙第8号証は、令和3年9月に公益社団法人認知症の人と家族の会により発行され、日本国内に頒布された月刊機関誌「ぽ~れぽ~れ」(2021年9月号)の写しであり、使用商品に「FUKU助」が使用されている。「●(省略)●」(乙9~乙11)。
(5)乙第16号証は、令和2年10月21日に、一般財団法人保健福祉広報協会により発行され、日本国内で頒布された「2020年度版 福祉機器ガイドブック」の写しであり、132ページに「見守り服薬支援ロボット FUKU助」が広告されている。「●(省略)●」乙第17号証ないし乙第20号証である。
(6)乙第21号証は、令和元年9月20日、商標権者が動画掲載ウェブサイトYouTubeに掲載した「服薬支援ロボット「FUKU助」」紹介動画のスクリーンショットで、使用商品に「FUKU助」が付された動画広告を確認できる。
(7)乙第22号証は、アマゾンジャパン合同会社が運営するECサイト「Amazon.co.jp」において、使用商品の付属品に「FUKU助専用チャック袋」の文字を付して広告しているウェブページである。当該商品の取り扱い開始日は、「2020/8/5」であり、乙第25号証「●(省略)●」。
(8)乙第26号証は、「●(省略)●」に製造された見守り服薬支援ロボット「FUKU助」の写真であり、当該写真で、「FUKU助」の電源を投入して起動した直後に本件商標が表示されることが確認できる。また、商品の製造番号ラベル「P01-101-1006」が、「●(省略)●」、要証期間内に商標権者が製造したものであること明らかである。
(9)以上のとおり、被請求人提出の乙各号証によって、商標権者が、本件商標と社会通念上同一の商標を請求に係る指定商品に、日本国内において要証期間に、商標法第2条第3項第8号及び同項第1号に掲げる行為に使用したことは証明された。
2 弁駁書への意見
「薬を収納するとともに飲み忘れを注意喚起して適時に薬を提供する」機能を有する商品(乙12~乙14)はいずれも商品及び役務の区分第10類で登録を受けているから、取消使用商品も第10類の商品と推察される。また、取消使用商品は、薬機法第2条第4項の「医療機器」ではないからその旨を表記したものであって、この表記をもって「医療用機械器具」ではないとはいえない。
第4 当審の判断
1 事実認定
被請求人の提出した証拠及び主張によれば、以下の事実を認めることができる。
(1)2020年(令和2年)10月21日発行の「福祉機器ガイドブック2020年度版」(一般財団法人保健福祉広報協会発行)の132ページに、見守り服薬支援ロボット FUKU助」と称する商品(使用商品)が掲載されており、商標権者の名称と「見守り服薬支援ロボット FUKU助」(以下「使用商標1」という。)、「オープン価格」、「FUKU助は、設定した時刻に薬を出してくれる服薬支援ロボットです。見守りセンサー(気温、照度、人感反応等)や通信機能も搭載・・・薬の飲み忘れや、お部屋が暑すぎるといった異常があるとメールで知らせてくれるので、離れていても安心です。」との記載がある(乙16)。
(2)「●(省略)●」(乙18、乙19)、「●(省略)●」(乙20)。
(3)使用商品を起動した際には、当該商品が搭載する画面に別掲のとおりの丸ゴシック体様の「FUKU助」の文字(以下「使用商標2」という。「使用商標1」と「使用商標2」をまとめて「使用商標」ということがある。)が表示される。使用商品の裏側には、「製品番号/P01-101-1006」、「MedicalSwitch」の記載がある(乙26)。「●(省略)●」。
2 判断
上記1で認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。
(1)本件商標
本件商標は上記第1のとおり「FUKU助」の文字を標準文字で表してなるものである。
(2)本件商標と使用商標の社会通念上の同一性について
ア 使用商標1は、「見守り服薬支援ロボット FUKU助」の文字よりなるところ、構成中の「見守り服薬支援ロボット」の文字部分は、使用商品を説明する文字であって、自他商品の識別標識としての機能を有しないか弱いといえる。そうすると、使用商標1のうち、識別標識としての機能を有するのは「FUKU助」の文字部分であり、当該文字は、本件商標とは書体のみ変更を加えた同一の文字からなる商標である。
したがって、使用商標1は、本件商標とは書体のみ変更を加えた同一の文字からなる文字に使用商品を説明する文字を付記したものであるから、本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。
イ 使用商標2は、丸ゴシック体様の「FUKU助」の文字からなるところ、当該文字は、本件商標とは、書体のみ変更を加えた同一の文字からなる商標である。
したがって、使用商標2は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。
(3)使用商品
上記1(1)の、使用商品は、その紹介記事にある「FUKU助は、設定した時刻に薬を出してくれる服薬支援ロボットです。」の説明から、請求に係る指定商品中、第10類「所定の時間に薬剤を提供することにより服薬管理が可能となる治療目的で使用される家庭用服薬支援装置」の範ちゅうの商品と認められる。
(4)使用時期
上記1(1)のとおり、使用商品は、2020年10月21日発行の「福祉ガイドブック 2020年度版」に掲載されている。
また、上記1(3)のとおり、使用商品は、「●(省略)●」、それぞれは、要証期間内である。
(5)使用者
使用商品は、商標権者により「福祉機器ガイドブック 2020年度版」に掲載されたものと認められる。また、使用商品に付されている「MedicalSwitch」の文字は、使用商品の製造者を表示しているものと認められるところ、当該文字は商標権者の略称を欧文字で表したものである。
そうすると、本件商標の使用者は、商標権者と認められる。
(6)使用行為
「福祉ガイドブック 2020年度版」は、2020年10月21日に発行されて、そこには、使用商標1の表示の下、使用商品の広告が掲載されており、当該福祉ガイドブックは頒布されたものと推認できる。
そうすると、商標権者は、「商品に関する広告に標章を付して頒布」(商標法第2条第3項第8号)したものと認められる。
さらに、上記1(3)のとおり、使用商標は、使用商品そのものに表示されている(乙26)から、商標権者は「商品又は商品の包装に標章を付す行為」(商標法第2条第3項第1号)を行なっていたものと認められる。
また、上記の行為は、日本国内で行われたこと明らかである。
(7)小括
上記(1)ないし(6)で判断したとおり、本件商標の商標権者は、要証期間に日本国内において、請求に係る指定商品中、第10類「所定の時間に薬剤を提供することにより服薬管理が可能となる治療目的で使用される家庭用服薬支援装置」の範ちゅうの商品について、本件商標と社会通念上同一の商標を商品に付す行為、あるいは、本件商標と社会通念上同一の商標を付して商品を広告する行為をしていたことが認められる。
3 請求人の主張について
請求人は、第10類の商品は「医院又は病院で専ら使用される機械器具」であるから、取消使用商品は第10類「医療用機械器具(「歩行補助器・松葉づえ」を除く。)の範ちゅうの商品ではない旨主張する。
しかしながら、商標法第50条第2項は、「前項の審判の請求があつた場合においては、・・・その請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、商標権者は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れない。」と規定されているところ、使用商品は、上記2(3)のとおり、請求に係る指定商品中、「所定の時間に薬剤を提供することにより服薬管理が可能となる治療目的で使用される家庭用服薬支援装置」(取消使用商品)の範ちゅうの商品と認められ、被請求人は請求に係る指定商品のいずれかについて、本件商標の使用をしていることを証明したものと認められるから、取消使用商品の帰属について論じる請求人の主張は採用できない。
4 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件商標の商標権者が、要証期間に日本国内において、請求に係る指定商品について、本件商標と社会通念上同一の商標の使用をしていたことを証明したと認められる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべき限りではない。
よって、結論のとおり審決する。
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