商標取消審判
2024-670028
メディセル
- 審判番号
- 2024-670028
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- —
- 請求日
- 2024年05月15日
- 審決日
- 2025年02月25日
- 公報発行日
- 2025年06月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社フォーリーフ
- 【請求人代理人】弁理士法人森特許事務所
- 【被請求人】Medicel AG
- 【被請求人代理人】弁理士法人深見特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 大橋 良成
- 審判官 山田 啓之
- 審判官 大山 健
- 分類
- T131 .1 -Y (W10)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条第1項、商標法第2条第3項第8号、商標法第2条第3項第2号、商標法第50条第2項、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の国際登録第1292283号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
第1 本件商標
本件国際登録第1292283号商標(以下「本件商標」という。)は、「MEDICEL」の文字を書してなり、2015年12月16日に国際商標登録出願(優先権主張 同年7月29日 スイス連邦)、第10類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として平成28年12月16日に設定登録され、その後、指定商品については、2017年9月11日に国際登録簿に記録された基礎出願又は基礎登録の一部終了により、第10類「Surgical, medical and veterinary instruments and apparatus, particularly injection instruments for intraocular lenses, and cartridges and pistons for injection instruments for intraocular lenses; all the aforesaid goods excluding gas detectors and sensors for medical use, gas detecting apparatus for medical use, probes for gas detecting apparatus and sensors for medical use, medical instruments for detecting, measuring and monitoring gas for medical use administered to patients on artificial respiration as well as parts and equipment for the excluded products; intraocular lenses; injection instruments for ocular implants, and cartridges and pistons for injection instruments for ocular implants; intraocular corneas and intraocular lenses; rinsing instruments and suction instruments; cannulas and micro-cannulas, particularly for sterile cleaning; rinsing cannulas and suction cannulas」となったものである。
そして、本件審判請求の登録日は、令和6年5月28日であり、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、令和3年(2021年)5月28日ないし同6年(2024年)5月27日である(以下「要証期間」という。)。
第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その請求の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品(以下「取消請求商品」という場合がある。)について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
合議体は、相当の期間を指定して、被請求人の答弁(下記第3)に対する請求人の意見を求めたが、応答はなかった。
第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第17号証を提出した。
1 被請求人について
被請求人は、医療用機械器具等を製造及び販売することを主たる業務としているものである。被請求人の名称はMedicel AGであり、その製品に、その名称の略称である「Medicel」を商標として付して販売しているものである。
本件商標は要証期間に使用されており、以下にその事実を証明する。
2 商標使用の事実
(1)被請求人による、本件商標に係る取消請求商品の日本国内における販売の事実について
乙第1号証は、被請求人のA氏が作成した社内メール文書の写しであり、メールの内容は商標権者が要証期間に日本において販売した製品数を集計したデータである。
乙第1号証では、2018年から2024年にかけて、被請求人が「パンフレットにみられる製品」を日本の参天製薬株式会社にいくつ販売したかについて、数字を挙げて説明されており、ここでいう「パンフレット」とは、乙第2号証のパンフレットである。当該パンフレット(乙2)の表紙には製品写真の掲載と製品ブランド名「アキュジェクト(ACCUJECT)」の表示があり、1頁の下部には製品イラストの掲載があり、被請求人の製品一覧表(乙3)の7頁にはこれと同じ製品写真の掲載と、「Accuject」の表示がある。さらに、乙第3号証の7頁には、製品コード「LP604535」、製品名「Injector Set」、製品ブランド名「Accuject」が記されており、これと同じ製品コード「LP604535M」、製品名「Injektoren(Injector)」、製品ブランド名「ACCUJECT」が、メール(乙1)に示されている。すなわちメール(乙1)に記載の製品とは、パンフレット(乙2)の製品であって、製品一覧表(乙3)の7頁に掲載の製品である。このメール(乙1)内の表の最終列「ACCUJECT Total」欄にみられるように、2021年には13,997個、2023年には4,379個、2024年には4,809個の製品(眼内レンズ挿入器、製品コード「LP604535」、製品名「INJECTOR」、製品ブランド名「ACCUJECT」)が、日本における輸入販売業者である参天製薬株式会社に出荷された実績がある。この眼内レンズ挿入器は取消請求商品「injection instruments for intraocular lenses」である。
以上より、要証期間に日本において参天製薬株式会社を通して、被請求人の製品、すなわち指定商品「injection instruments for intraocular lenses」が販売されている事実が分かる。
そして、パンフレット(乙2)の表紙、1頁及び8頁に掲載された眼内レンズ挿入器の写真から明らかなように、眼内レンズ挿入器本体中心の目立つ位置である持ち手部分(ハンドピース)の平らな表面に「medicel」の文字が印字されている。
なお、乙第4号証によると、参天製薬株式会社と被請求人との間には製品の供給に係る契約があり、参天製薬株式会社が日本における被請求人の販売代理業者として機能していることが分かる。
被請求人は2012年1月6日付けで参天製薬株式会社と締結した契約に基づき、製品モデルWJ-60MIIを日本国内で販売するため、所定の条件により参天製薬株式会社に売り渡した。パンフレット(乙2)の表紙には製品モデルWJ-60MIIの表示があり、被請求人と参天製薬株式会社の契約に係る製品とはパンフレット(乙2)に掲載の眼内レンズ挿入器、製品コード「LP604535」、製品名「INJECTOR」、製品ブランド名「ACCUJECT」である。
乙第4号証及び乙第5号証は、発注番号4500112736に関する取引書類である。
乙第4号証は2024年3月5日に参天製薬株式会社から被請求人に宛てた発注書であり、中央の表内に記載の製品モデルである「WJ-60MII」を、4,680個、2024年5月31日に引き渡すことを依頼している。また、乙第4号証の2葉目は、2024年3月5日時点におけるアキュジェクト ユニフィット(Accuject Unifit)WJ-60MIIに関する3か月から5か月先までの発注予告を示している。注釈欄にあるように、製品の出荷依頼は3か月から5か月前には決定されるという取り決めがある。
当該発注書(乙4)を受けて被請求人は2024年3月5日付けで参天製薬株式会社宛てに発注確認書(乙5)を発行している。当該発注書及び発注確認書(乙4、乙5)には共通する取引であることを示す発注番号4500112736の表示があり、取引されている製品は、パンフレット(乙2)に掲載の製品ブランド名、製品コード及び製品モデルと一致する。
発注確認書(乙5)の右上には「medicel」の表示があり、要証期間における被請求人による取消請求商品についての本件商標の使用といえる。
乙第6号証及び乙第7号証は、それぞれ2023年及び2024年に、被請求人が参天製薬株式会社宛てに発行した請求書である。
請求書(乙6、乙7)は、それぞれ2023年3月1日及び2024年3月5日に発注を受けたことを示し、それぞれ4,809個及び4,722個の製品が、参天製薬株式会社に出荷されたことが分かる。取引された製品は、製品コード「LP604535」、製品タイプ「INJECTOR SET」、製品ブランド名「ACCUJECT」である。これはパンフレット(乙2)の製品と同一の製品である。
請求書(乙6、乙7)の右上には「medicel」の表示があり、要証期間における被請求人による本件商標の使用であるといえる。
乙第8号証は、パンフレット(乙2)の添付文書として参天製薬株式会社ホームページ内の医療機器情報発信ページに公開されている。パンフレット(乙2)の最終頁より、レンティス コンフォート、レンティス コンフォート トーリックなる医療機器が参天製薬株式会社により2022年10月に製造販売されていたことが分かり、その医療機器との併用がパンフレット(乙2)の10頁に記載されていることから、2022年10月以降に発行されたものということができる。また、乙第8号証の1葉目の左上には改訂情報の記載があり、2022年7月に第10版が発行されたことが分かるから、要証期間における発行である。
乙第8号証の2葉目「(8)プランジャーを前方に向かってゆっくりと押し、眼内レンズをチップ内に押し進める。」の参考図を拡大したものが乙第9号証であり、乙第9号証の拡大した製品図の持ち手部分(ハンドピース)の平面に「medicel」の文字がある。
(2)コーポレートブランド「medicel」について
被請求人が製造する製品やその取引においては「medicel」が商標として表示されている。すなわち、被請求人は、「medicel」をコーポレートブランド商標として用いている。
製品一覧表(乙3)には被請求人が製造する商品が複数掲載されているところ、これらの製品本体には「medicel」の文字が印字されている。
乙第10号証ないし乙第14号証は、製品本体に印字されたコーポレートブランド商標である「medicel」の文字の拡大写真である。
乙第15号証ないし乙第17号証は、眼内レンズ挿入器のロゴ部分、眼内レンズ挿入器全体及び眼内レンズ挿入器用包装箱の写真であり、本件商標が表示されている。なお「ACCUJECT」は、複数ある製品名称の一つにすぎない。
(3)「medicel」の文字と本件商標との同一性
被請求人は眼内レンズ挿入器につき、「medicel」の文字を使用しており、「medicel」の文字と本件商標「MEDICEL」とは大文字であるか小文字であるかの差異があるにすぎず、社会通念上同一と認められる商標に該当する。
第4 当審の判断
1 被請求人提出の乙各号証によれば、以下のとおりである。
(1)請求書(乙6)
乙第6号証は、2023年6月13日付けで、被請求人が参天製薬株式会社(以下「参天製薬社」という。)宛てに送付した請求書であるところ、「Your P.O」(発注日)の欄に「01.03.2023」の記載があり、また、請求書の右上に「medicel」の文字が表示され、左下に「Medicel AG」の表示がある。
また、請求書(乙6)の表内には、「Pos Item」「Description」「Qty」の項目について、「LP604535M」「ACCUJECT 2.2-BL 50°INJECTOR SET」「4,809.00」の記載がある。
(2)製品カタログ(乙3)
乙第3号証は、2024年1月頃に発行された被請求人の製品カタログであるところ、その2葉目、19葉目、20葉目に「medicel」の文字が表示され、4葉目ないし18葉目に「Medicel AG」の表示がある。
そして、製品カタログ(乙3)の7葉目には、「ACCUJECT」のタイトル下、「The all-rounder/Accuject injectors provides Medicel’s largest range of applications when injecting IOLs.」の記載、及び「Accuject(back-loaded/single-use/sterile)」と題する表内に、「Item Code」「Device Name」「IOL type」の項目について、「LP604535」「2.2-BL Injector Set」「1-piece lenses」の記載がある。また、この表の上方には、眼内レンズ挿入器と思われる製品の画像が掲載され、当該製品の持ち手部分付近に「medicel」の文字が付されていることが看取できる。
(3)「機械器具39 医療用鉗子/管理医療機器 単回使用眼内レンズ挿入器(36061002)/アキュジェクト ユニフィット○R(「○R」は「R」の文字を丸囲みしたもの。)」と題する文書(乙8)
乙第8号証は、2022年7月に第10版に改訂された、「機械器具39 医療用鉗子/管理医療機器 単回使用眼内レンズ挿入器(36061002)/アキュジェクト ユニフィット○R」と題する文書であるところ、その1葉目の右上には「Santen」の表示があり、その4葉目の右上には、「[製造業者]/Medicel AG/メディセル アーゲー/スイス」の記載、右下に「製造販売業者 参天製薬株式会社」の記載がある。また、その1葉目の【禁忌・禁止】欄に「1.本品は、アクリル製フォールダブル眼内レンズ ・・・レンティス コンフォート・・・レンティス コンフォート トーリック・・・以外の眼内レンズの挿入には使用しないこと。」の記載があり、【形状・構造及び原理等】欄に「3.原理/本品は眼内レンズを折り畳んだ状態で押し出す為に使用される眼内レンズ挿入器である。」の記載がある。
(4)包装容器の画像(乙17)
乙第17号証は、包装容器を撮影した画像であるところ、その表面には、「ACCUJECTTM」及び「medicel」の文字が付されているとともに、眼内レンズ挿入器と思われる製品のイラストが表示されている。
(5)上記(1)ないし(4)から、以下の事実が認められる。
被請求人は、眼内レンズ挿入器を製造及び販売しており、参天製薬社からの2023年3月1日付け発注に対して、製品コードが「LP604535」である「ACCUJECT」と称する眼内レンズ挿入器(以下「使用商品」という。)を販売する取引をし、その代金を同年6月13日に請求した(乙3、乙6、乙8)。
そして、この取引の際に、請求書(乙6)に、「medicel」の文字(以下「使用商標」という。)を付して取引をした。
また、上記取引により被請求人から参天製薬社に引き渡された使用商品について、その持ち手部分に使用商標が付されていたこと(乙3)、及びその包装容器にも使用商標が付されていたこと(乙17)は推認できる。
2 上記1によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用商標について
使用商標(「medicel」の文字)は、本件商標と文字構成が同じであり、「メディセル」との称呼も共通するから、本件商標と社会通念上同一と認められる。
(2)使用商品について
使用商品は眼内レンズ挿入器であるところ、取消請求商品中、第10類「injection instruments for intraocular lenses」(眼内レンズ用注入器具)の範ちゅうに属する商品であると認められる。
(3)使用行為、使用時期、使用者について
被請求人が提出した証拠方法から、被請求人である商標権者が、要証期間である2023年3月1日に参天製薬社からの発注を受けて、使用商品(製品コードが「LP604535」である「ACCUJECT」と称する眼内レンズ挿入器)を販売する取引をし、その代金を同年6月13日に請求したことが確認でき、この取引の際に、取引書類である請求書(乙6)に、使用商標(「medicel」の文字)を付して取引を行った、すなわち、使用商品の取引書類に使用商標を付して頒布したことから、商標権者が要証期間に商標法第2条第3項第8号に規定する使用行為を行ったと認めることができる。
さらに、上記取引により商標権者から参天製薬社に引き渡された使用商品について、使用商品の持ち手部分及び使用商品の包装容器にも使用商標が付されていたと推認できるから、商標権者が要証期間に商標法第2条第3項第2号に規定する使用行為を行ったと認めることもできる。
(4)小括
上記(1)ないし(3)からすれば、商標権者は、要証期間に、日本国内において本件審判の請求に係る指定商品中、第10類「injection instruments for intraocular lenses」(眼内レンズ用注入器具)の範ちゅうに属する眼内レンズ挿入器の販売に際して、本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標を付した取引書類を頒布した(商標法第2条第3項第8号に該当。)、並びに使用商品及びその包装に本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標を付して引き渡した(商標法第2条第3項第2号に該当。)と認めることができる。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が、その審判の請求に係る指定商品について本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていたことを証明したといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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