商標取消審判
2021-300740
アトラス
- 審判番号
- 2021-300740
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願1992-289896
- 登録番号
- 4000941
- 請求日
- 2021年09月24日
- 審決日
- 2023年03月30日
- 公報発行日
- 2023年07月28日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【請求人】イートン ソリューションズ エル.ピー.
- 【請求人代理人】桑垣 衛
- 【被請求人】富士通 株式会社
- 【被請求人代理人】青木 篤
- 審判長/審判官
- 審判長 岩崎 安子
- 審判官 大森 友子
- 審判官 大橋 良成
- 分類
- T132 .1 -Z (042)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条、商標法第50条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第4000941号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
登録第4000941号商標の指定役務中、第42類「電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与」についての商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第400941号商標(以下「本件商標」という。)は、「ATLAS」の欧文字を書してなり、平成4年9月30日に登録出願、「電子計算機(中央処理装置及び電子計算機プログラムを記憶した電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与」を含む第42類に属する商標登録原簿記載の役務を指定役務として、同9年5月16日に設定登録がなされ、その後、指定役務中、「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ」については、同14年1月9日に、「建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,及びこれに類似する役務」については、同19年4月26日に、「医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究」については、同20年1月31日にそれぞれ取り消すべき旨の審決の確定の登録がされ、現に有効に存続しているものである。
なお、本件審判請求の登録日は、令和3年10月11日であり、本件審判の請求の登録前3年以内の期間とは、平成30年10月11日ないし令和3年10月10日までである。
第2 請求人の主張の要点
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、本件商標の指定役務中の第42類「電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与」(以下「本件審判請求に係る指定役務」という。)について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが、使用した事実が認められないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものである。
第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を令和3年12月27日付け答弁書並びに同4年9月7日付け、同年11月25日付け及び同5年2月3日付け回答書において、要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第6号証(枝番号を含む。)を提出している。
1 答弁
(1)本件商標は、本件商標権者(被請求人)が提供する電子計算機用プログラムについて使用されている。なお、本件審判請求に係る指定役務は、類似群コード42Xllに該当する。本件商標が登録出願された平成4年9月30日時点(「類似商品・役務審査基準(国際分類第8版対応)」が適用される平成14年1月1日以前の出願)においては、四角カッコで囲まれた類似群コード42X11に該当する役務として、「電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与」が唯一記載されていたものであった(乙1)。そのため、現行の審査基準において類似群コード42X11が付されている「電子計算機用プログラムの提供」は、本件審判請求に係る指定役務に包含されるものと解釈されて然るべきである。
(2)乙第2号証は、本件商標を使用した電子計算機用プログラム(以下「本件プログラム」という。)の内容を表す総合カタログである。本件プログラムの名称は、「ATLAS」である。本件プログラムは、英語・日本語の双方向の翻訳を行うために用いられるものである。本件プログラムは、管理者であるユーザーが、本件プログラムを介して、ユーザーの一人がカスタマイズした辞書(単語や例文)に関するプログラムをサーバ上にアップロードすることによって、同一グループに属する複数のユーザーが同じ辞書を共有することが出来るといった辞書共有ソリューション、及び翻訳サーバ連携機能を有するものである(乙2)。
(3)本件プログラムに関するユーザーズガイド(使用者向け説明書)から、「ATLAS」という名称の電子計算機用プログラムが、コンピュータネットワークを経由して複数のユーザー間において使用される辞書プログラムの共有、翻訳サーバとの連携といったサービスを提供するために使用されている(乙2、乙3、乙3の2)。
(4)乙第3号証の3は、本件プログラムに関するユーザーズガイド(使用者向け説明書)のうち、インターネットウェブサイト「ATLAS Internet Update」から、利用者辞書プログラム及びATLASに関する追加・更新プログラムが提供されていることを記載した箇所を抜粋したものである。「ATLAS Internet Update」のうち、自他商品等識別標識として機能しうる箇所は「ATLAS」の部分である。
したがって、「ATLAS」と社会通念上同一と認識される名称のインターネットウェブサイトにより、利用者辞書プログラム及びATLASに関する追加・更新プログラムが提供されている。
(5)乙第4号証は、富士通ミドルウェア株式会社から、2020年7月15日及び2018年12月15日付にて顧客向けに発行された本件プログラムに関する請求書である。富士通ミドルウェア株式会社は、本件商標権者の100%子会社であって、2021年10月に本件商標権者に吸収合併された法人である。乙第4号証として提出する請求書の発行時点においては、本件商標権者との間における黙示の使用許諾に基づいて本件商標を使用していたものである。なお、本証拠中に記載されている「翻訳スーパーパック」とは、本件プログラム「ATLAS」の販売形態として、翻訳ソフトと専用辞書がセットになって販売されていることを示す表示であって(乙4の2)、自他商品等識別標識として機能するプログラムの名称は「ATLAS」である。
(6)乙第4号証の3は、被請求人から、2020年7月8日及び同月30日付にて顧客向けに発行された本件プログラムに関する請求書である。
2 審尋に対する回答
(1)令和4年9月7日付け回答書
乙第5号証は、本件プログラムに関する機能を紹介された雑誌の抜粋である。ここに記載されているとおり、本件プログラムは、クライアント側へのダウンロードが一切不要なインターネット上のWeb翻訳サービス/ASPサービスとしての側面を有する旨、及び本件プログラムを有する機能のうち、翻訳書類の機能を翻訳APIとして公開している旨が述べられている。また、ブラウザ上で、ホームページ翻訳用のURLを入力すると、翻訳されたホームページが表示される機能が実装されている旨も述べられている。このように、本件プログラムは、クライアント側へのダウンロードが不要なWebサービスとしての機能を併せ持つものであって、このような電子計算機用プログラムを提供する行為は、第42類に分類される他人のために電子通信回線を通じて電子計算機用プログラムを提供する役務に該当するものである。
(2)令和5年2月3日付け回答書
本件審判請求に係る指定役務は、国際分類第8版に対応する前の類似商品・役務審査基準において、係る役務の類似群コードが、42X11に該当する役務として記載されている以上、本件審判請求に係る指定役務に本件プログラムの提供が含まれると解釈されたとしても、何ら問題は生じない。
第4 当審の判断
被請求人は、本件プログラムの提供が、本件審判請求に係る指定役務の範ちゅうの役務であると主張するのでこれについて検討する。
1 使用役務
被請求人の提出した証拠及び同人の主張によると本件プログラムの提供は「電子計算機用プログラムの提供」(以下「使用役務」という。)の範ちゅうの役務といえる。
(1)使用役務が本件審判請求に係る指定役務の範ちゅうに含まれるかについて
ア 本件審判請求に係る指定役務である「電子計算機(中央処理装置及び電子計算機プログラムを記憶した電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与」とは、主にレンタル又はリース事業者等が電子計算機等(ハードウェア)を貸与するサービスといえる。
イ 使用役務である「電子計算機用プログラムの提供」は、インターネットなどの電気通信回線を通じて、電子計算機用プログラム(ソフトウェア)を利用させるサービスといえる。
ウ したがって、使用役務は、本件審判請求に係る指定役務とは、サービスの提供の方法(貸与又は提供)及びその対象物が異なるものである。
そうすると、使用役務は、本件審判請求に係る指定役務「電子計算機(中央処理装置及び電子計算機プログラムを記憶した電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与」の範ちゅうの役務と認めることはできない。
(2)被請求人の主張について
被請求人は、「国際分類第8版以降に「電子計算機の貸与、電子計算機用プログラムの提供」が類似群コード42X11に該当する役務である旨が明記されるようになったが、本件商標の出願当時には使用役務の指定ができず、また、係る役務が類似群コード42X11に該当する役務として記載されている以上、使用役務が本件審判請求に係る指定役務に含まれていると解釈し、本件商標の使用が認められるべきである」旨主張する。
しかしながら、商標法第50条は、「継続して三年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが各指定商品又は指定役務についての登録商標の使用をしていないときは、何人も、その指定商品又は指定役務に係る商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。」と規定されており、請求に係る指定役務のいずれかについて登録商標の使用していることが必要とされるところ、本件審判請求に係る指定役務の範ちゅうに、使用役務が含まれないことは上記(1)のとおりであるから、被請求人が主張するような、本件商標の登録出願時における「類似商品・役務審査基準」に使用役務が明記されていないことや、使用役務に請求に係る指定役務と同じ類似群コードが付されていることをもって、上記認定を左右することにはならないというべきである。
したがって、被請求人の主張は採用できない。
2 まとめ
以上のとおり、被請求人が提出した証拠によっては、本件商標が、本件審判請求に係る指定役務について使用されたものとは認められない。また、被請求人は、本件審判請求に係る指定役務について、本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定役務についての本件商標の使用をしていることを証明したものということはできず、本件商標は、商標法第50条の規定により、その指定役務中「電子計算機(中央処理装置及び電子計算機プログラムを記憶した電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与」について、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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