商標取消審判
2024-300764
シイデイシイ、ソフトシーデーシー、シーデーシー
- 審判番号
- 2024-300764
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願1992-254393
- 登録番号
- 3091185
- 請求日
- 2024年10月18日
- 審決日
- 2026年03月24日
- 公報発行日
- 2026年09月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】シーデーシー データ センターズ ピーティーワイ リミテッド
- 【請求人代理人】田中 尚文
- 【請求人代理人】渡部 彩
- 【請求人代理人】江島 絢子
- 【被請求人】株式会社 ソフトシーデーシー
- 【被請求人代理人】福田 信雄
- 審判長/審判官
- 審判長 旦 克昌
- 審判官 大島 康浩
- 審判官 小林 裕子
- 分類
- T131 .1 -Y (042)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第2条第3項第8号、商標法第2条第3項、商標法第50条第1項、商標法第2条第3項第3号、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第3091185号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第3091185号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成4年9月29日に登録出願、第42類「電子計算機のプログラムの設計」を指定役務として、同7年10月31日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和6年11月8日である。
なお、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である令和3年(2021年)11月8日から同6年(2024年)11月7日までを、以下「要証期間」という。
第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書及び審判事件弁駁書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証(以下、証拠の記載にあたっては、甲第○号証を甲○、乙第○号証を乙○のように記載する。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)乙1について
被請求人は、乙1をもって、被請求人が業として「電子計算機及びこれに付帯する附属品の設計及び開発並びに販売」を主な目的とする会社であると述べるとともに、本件商標の指定役務である「電子計算機のプログラムの設計」を主な業として行っていることが明らかである旨主張している。
このような主張は、「(電子計算機)に付帯する附属品」に「電子計算機プログラム」が含まれるとの内容と推測されるところ、「附属品」とは一般に有体物を意味するものであり、無体物たる「電子計算機のプログラム」が当然に「(電子計算機)に付帯する附属品」に含まれるとする被請求人の主張は客観性を欠くものであり、ゆえに、同書証をもってしては、被請求人が、本件商標の指定役務である「電子計算機のプログラムの設計」を主な業として行っていることは明らかとならない。
(2)乙2について
本件商標と同書証に記載された商標とを比較すると、本件商標は、欧文字の「CDC」、上下段で表された漢字の「株式」と「会社」、片仮名の「ソフト」と、その後ろに1文字分のスペースを空けて、同じく片仮名の「シーデーシー」の各文字を横一列に組み合わせた構成よりなり、欧文字「CDC」の要素中の2つの「C」の文字は白色、その他の構成文字は青色と表され、その全体の構成より「シーデーシーカブシキガイシャソフトシーデーシー」の称呼が生ずる。
これに対して、乙2に記載された商標は、同書・同大で「株式会社ソフトシーデーシー」と横一連に表された要素の下段に、やや太めで表された「SoftCDC」の文字を配し、更に、その下部に「a spirit of enterprise」の文字を配して、三段書きにして表され、全体の構成より「カブシキガイシャソフトシーデーシー ソフトシーデーシー ア スピリット オブ エンタープライズ」の称呼が生ずる。
したがって、本件商標と乙2に記載された商標とは、社会通念上同一の商標の関係にない。
なお、被請求人は、乙2に係る会社案内リーフレットを、要証期間内に、顧客や取引先に配布するとともに、事業所に設置して頒布していたと主張しているものの、その配布や頒布の事実、ましてや、同書証が要証期間内に外部の業者により印刷され、被請求人に納品されていた事実のいずれも立証されていないことから、仮に、同書証に、本件商標と社会通念上同一の商標が記載されていたとしても、そのような商標は、要証期間内に「電子計算機のプログラムの設計」について使用されていたとの証左たり得ない。
(3)乙3の1ないし3について
乙3の1及び2に係る名刺が要証期間後に納品されていることから、これらの書証が、要証期間内における本件商標の使用を立証するものではない。また、乙3の1及び3に記載された、「株式会社ソフトシーデーシー」又は「CDC」の標章は、本件商標と社会通念上同一の関係にない。
そして、登録商標の使用とは、当該商標がその指定商品又は指定役務について商標法第2条第3項各号所定の行為をなすことを示すところ、単に名刺を作成したというだけでは、同号のいずれにも該当しない。
さらに、乙3の3に係る認証登録証明書では、「社内及び顧客先における顧客の要求に基づくソフトウェア及びハードウェアの設計・開発及び技術者派遣」なる記載があるところ、当該証明書と本件商標及びその指定役務との関係が全く不明確である。
したがって、乙3の1ないし3をもってしては、要証期間内における、本件商標またはこれと社会通念上同一の商標の「電子計算機のプログラムの設計」についての使用は立証され得ない。
(4)乙4について
単に乙4に係る封筒を作成したというだけでは、商標法第2条第3項各号所定の「使用」に該当しないとともに、同書証に係る封筒を使用して、顧客や取引先に対し、「電子計算機プログラムの設計」を行っていると述べているにもかかわらず、実際に封筒が使用された顧客や取引先やその時期も示されていないため、要証期間内に商標法第2条第3項各号所定の使用行為があったともいえない。
(5)乙5について
単に乙5に係るカレンダーを作成したというだけでは、商標法第2条第3項各号所定の「使用」に該当しないとともに、同書証に係るカレンダーを顧客や取引先に対し、封筒に入れて配布していると述べているにもかかわらず、それら配布先や配布時期も示されていないため、要証期間内に同書証が配布されたとは考え難く、また、そのようなカレンダーが、一般的な商慣習にならって年末に配布されていたとしても、同書証には特定のサービス等の記載もないことからすると、いずれにしても、「電子計算機のプログラムの設計」の役務についての使用に該当しない。
(6)乙6について
乙6は、被請求人により設計・開発されたプログラムを搭載した機器に貼付されるシールであると述べられているところ、同書証に係るシールが実際に機器に貼付されているといった事実は立証されておらず、また、たとえ、当該シールが、機器の管理・保守を目的として貼付されていたとしても、そのような行為が、「電子計算機のプログラムの設計」の役務についての使用に該当しないことは明らかである。
(7)乙7について
乙7は、U専門学校他1校が発行した就職情報誌であるところ、被請求人の述べる「参加企業」が何を意味するか不明であるものの、いずれにしても、同書証は、被請求人と専用使用権者又は通常使用権者の関係にはないU専門学校他1校に係るものであることから、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者が、本件商標を「電子計算機のプログラムの設計」の役務について使用していたことを何ら立証するものではない。
(8)むすび
以上のとおり、被請求人にあっては、本件商標を本件審判請求に係る指定役務について使用していることを証明する必要があるところ、乙1ないし乙7をもってしても、そのような立証はなされておらず、ゆえに、本件審判の請求は成り立たないとする被請求人の主張は失当である。
第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を審判事件答弁書、令和7年8月28日付け審尋に対する同年10月2日付け回答書(以下「回答書(1)」という。)及び同年12月25日付け審尋に対する同8年2月5日付け回答書(2)(以下「回答書(2)」という。)において要旨次のように述べ、証拠方法として、乙1ないし乙13(枝番号を含む。)を提出した。
1 答弁書における主張
(1)被請求人について
被請求人は、業として「電子計算機及びこれに附帯する附属品の設計及び開発並びに販売」を主な目的とする会社であり(乙1)、1954年8月に設立された株式会社中央税経研究所を前身とし、1974年に株式会社中央電算センターに商号変更後、1984年に株式会社ソフトシーデーシーに商号変更した(乙2)。
また、1992年(平成4年)には、本件商標について商標登録出願を行い、1995年(平成7年)10月に設定登録を受けている(甲1、甲2)。
被請求人は、1974年に、計算サービス用プログラムの開発を開始して以来、電子計算機のプログラムの設計を中心とした事業展開を継続して行っており、要証期間においても、2023年に「AI活用によるプログラム作成の自動化ツール」の開発を行っているほか、2024年には、電子計算機のプログラムの設計を必要とする特許を複数取得している。
また、2017年9月には、「社内及び顧客先における顧客の要求に基づくソフトウェア及びハードウェアの設計・開発及び技術者派遣」を適用範囲として、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格であるISO27001の認証を取得し、現在に至るまで認証が継続されている。
(2)本件商標について
本件商標は、被請求人が「電子計算機のプログラムの設計」を行うにあたって使用する商標であり、商標登録後から現在に至るまで継続的に使用されている商標である。
本件商標は、白抜きの英文字で「C」、青字の英文字で「D」、白抜きの英文字で「C」を組み合わせた「CDC」とのロゴ表記を前方に置き、中間に青字の漢字で「株式」と「会社」を二段で併記し、その後段に青字の片仮名文字で「ソフト シーデーシー」と表記された全体構成となっている。
また、「株式会社ソフトシーデーシー」の商号及び使用ロゴ「CDC」は、被請求人が、1984年に行った商号変更から継続して使用しているものであり、商号変更当初から被請求人の商号を表すものとして、さらに商標登録後は、本件商標の使用役務を行う被請求人を表すもの、並びに、被請求人によって設計された電子計算機用プログラムが導入・搭載された機器に付するものとして、現在まで使用を継続して行っているものである。
かかる本件商標において、構成中のロゴ表記「CDC」は、単に被請求人の商号の一部を構成する「シーデーシー」を英字表記にしたものであるため、使用ロゴが省略された商号「株式会社ソフトシーデーシー」や、商号が省略されたロゴ表記「CDC」であっても、本件商標と社会通念上同一の商標といえる。
(3)本件商標の使用の概要
ア 乙1は、被請求人の登記簿謄本である。乙1によれば、被請求人は、業として「電子計算機及びこれに附帯する附属品の設計及び開発並びに販売」を主な目的とする会社である。すなわち、被請求人が、本件商標の指定役務である「電子計算機のプログラムの設計」を主な業として行っていることは明らかである。
イ 乙2は、被請求人の会社案内リーフレットである。乙2には、被請求人の会社概要や業務内容、取引先、沿革が表記されており、特に見開き左頁の「会社概要」「業務内容」の欄には、「コンピュータシステム・インテグレーション及びシステムの販売」や「ソフトウェア設計、開発及びコンサルタント」、「マイクロコンピュータのファームウェア設計、開発」、「ローカルエリアネットワークの設計、構築」、「インターネット・イントラネットシステムの設計、構築」、「ネットワーク(パソコン等)の導入支援・環境設定」、「システムの導入支援・環境設定」、「システム運用/維持/管理等のサポート」、「ソフトウェアの技術サポート」、「IoT技術 装置間・パソコン間インタフェース技術」、「機械警備・監視カメラ等システム構築」、「ロボット(ドローン・ヒューマノイド・無人走行車)の開発」と記載され、見開き右頁上段部分には「当社はシステムインテグレーターとして最適なシステムを数多く構築してまいりました」や「IoTやAIなどの技術によりアプリケーションや端末などの構築を行い、近未来の生活に役立つシステム開発を行っております。」と記載されている。これらの記載から、被請求人が、本件商標の指定役務である「電子計算機のプログラムの設計」を主な業として行っていることは明らかである。
乙2は、創立70周年目である2023年を記念して改定されたリーフレットの「改版」であり、外部の業者により印刷されて被請求人に納品されている。
なお、乙2に発行年月の記載が表記されていないが、見開き右頁の「沿革」の欄に「2023年 AI活用によるプログラム作成の自動化ツールの開発」と記載されているとおり、少なくとも要証期間内である2023年以降に作成されているリーフレットであることが分かる。
したがって、乙2が被請求人により配布・頒布された時期は、2023年以降から現在に至るまでの間であることは明白であり、要証期間内である。
乙2の表紙には、「株式会社ソフトシーデーシー」や「(Soft)CDC」と記載されており、これは既述のとおり本件商標と社会通念上同一の商標といえるものである。
このように、被請求人は、要証期間内に、本件商標と社会通念上同一の商標が付された乙2を顧客や取引先に配布するとともに、被請求人の事業所に設置して頒布している。
ウ 乙3は、被請求人の社員13名分の発注用名刺見本(乙3の1)と、当該名刺印刷の発注先であるM社にて発行された請求書(乙3の2)、並びに、被請求人の「ISO 27001:2022」の認証登録証明書(乙3の3)である。
当該名刺には、本件商標と社会通念上同一の、横書きで一列表記された「株式会社 ソフトシーデーシー」との文字が、本件商標と同一色にて記載されるとともに、本件商標を構成する「CDC」の英文字ロゴが、本件商標と同一色にて右下方に付されている。
被請求人は、本件商標の出願以前から現在に至るまで、顧客や取引先に対し、乙3の1に係る名刺デザインと外観が略同一の名刺を使用して、自らの主な業である「電子計算機のプログラムの設計」を行っている。
乙3の1には、右上部に「ISO 27001:2022 認証取得」の文字及びマークが付されている。「ISO 27001」は、情報セキュリティに関する国際規格であり、2022年10月25日に改定版が発行されている。
乙3の3から分かるように、被請求人は、2017年9月26日に「ISO 27001」の初回認証登録を受けており(認証登録番号:11686)、2022年の改訂版については、2024年10月24日に認証の決定及び発行が被請求人に対しなされている。すなわち、乙3の1は、2024年10月25日の認証決定を受けて作成した現行のものである。
乙3の2から分かるように、外部の業者であるM社により乙3の1の見本を基とした名刺が印刷され、2024年(令和6年)11月11日(月)に被請求人に納品されると同時に請求書が発行されている。かかる納品・請求の日付・曜日に鑑みれば、被請求人が発注したのは遅くとも2024年11月8日(金)以前であることは明らかであり、要証期間内での使用である。
乙3の1の名刺デザイン見本によれば、「株式会社」の記載方法と英文字ロゴ「CDC」の記載位置において、本件商標と相違しているが、会社種別を表す文言を一列で表記するか二段表記するかの違いや、商標中の特徴的なロゴのみを会社名(商号)と分離して表記することは、広く一般的に行われている改変手法であって、少なくとも社会通念上、本件商標と同一の範囲内での使用態様といえる。
このように、被請求人は、要証期間内に、本件商標と社会通念上同一の商標が付された乙3に係る名刺を用いて営業を行っており、本件商標の使用の事実は明らかである。
エ 乙4は、被請求人が現在まで使用を継続している角型2号の封筒(乙4の1)、同じく長形3号の封筒(乙4の2)、並びに、当該封筒の発注先であるM社にて発行された請求書(乙4の3)である。
乙4の1及び乙4の2に係る封筒には、本件商標が付されており、被請求人は、本件商標の出願以前から現在に至るまで、顧客や取引先に対し、当該封筒を使用して、自らの主な業である「電子計算機のプログラムの設計」を行っている。
乙4の3から分かるように、外部の業者であるM社により乙4の1に係る封筒が印刷され、2024年(令和6年)6月14日(金)に被請求人に納品されると同時に請求書が発行されている。したがって、要証期間内での使用である。
乙4の1及び乙4の2によれば、英文字ロゴの「C」が白抜き文字でない点で本件商標と相違しているが、文字の並びや全体構成は略同一であって、少なくとも社会通念上、本件商標と同一の範囲内での使用態様といえる。
このように、被請求人は、要証期間内に、本件商標と社会通念上同一の商標が付された乙4に係る封筒を用いて営業を行っており、本件商標の使用の事実は明らかである。
オ 乙5は、被請求人が取引先に配布している卓上用カレンダー(乙5の1)、当該卓上用カレンダーの包装用封筒(乙5の2)、当該卓上用カレンダーの各月紙面(乙5の3)、並びに、当該卓上用カレンダーの発注先であるM社にて発行された請求書(乙5の4)である。
乙5の1、乙5の2、乙5の3に係る該卓上用カレンダー並びにその包装用封筒には、本件商標が付されており、被請求人は、本件商標の出願以前から現在に至るまで、自らの主な業である「電子計算機のプログラムの設計」の一環として、顧客や取引先に対し、当該卓上用カレンダーを封筒に入れて配布している。
乙5の4から分かるように、外部の業者であるM社により乙5の1、乙5の2、乙5の3に係る該卓上用カレンダー並びにその包装用封筒が印刷され、2024年(令和6年)10月29日(火)に被請求人に納品されると同時に請求書が発行されている。したがって、要証期間内での使用である。
乙5の1及び乙5の3によれば、英文字ロゴの「C」が白抜き文字でない点で本件商標と相違しているが、文字の並びや全体構成は略同一であって、少なくとも社会通念上、本件商標と同一の範囲内での使用態様といえる。
また、乙5の2によれば、「株式会社」の記載方法について本件商標と相違しているが、会社種別を表す文言を一列で表記するか二段表記するかの違いは、広く一般的に行われている改変手法であって、少なくとも社会通念上、本件商標と同一の範囲内での使用態様といえる。
このように、被請求人は、要証期間内に、本件商標と社会通念上同一の商標が付された乙5に係る卓上カレンダーを用いて営業を行っており、本件商標の使用の事実は明らかである。
カ 乙6は、被請求人により設計・開発されたプログラムを搭載した機器に貼付されるシールである。乙6に係るシールには、本件商標が付されており、被請求人は、自らが設計・開発したプログラムを搭載した機器に当該シールを貼着し、管理・保守を行っている。
乙6によれば、英文字ロゴの「C」が白抜き文字でない点や、全体が黒色である点で本件商標と相違しているが、文字の並びや全体構成は略同一であって、少なくとも社会通念上、本件商標と同一の範囲内での使用態様といえる。
キ 乙7は、U専門学校他1校において発行・使用された就職情報誌である。
当該就職情報誌の121頁には、参加企業のカテゴリ「情報処理・ソフトウェア業」の一企業として被請求人の名称が記載されるとともに、237頁には被請求人の採用情報が掲載されており、同頁最上段には本件商標が付されている。
乙7から分かるように、当該就職情報誌は2024年(令和6年)2月に発行されていることから、要証期間内での使用である。
乙7によれば、英文字ロゴの「C」が白抜き文字でない点や、全体が略黒色である点で本件商標と相違しているが、文字の並びや全体構成は略同一であって、少なくとも社会通念上、本件商標と同一の範囲内での使用態様といえる。
このように、被請求人は、要証期間内に、本件商標と社会通念上同一の商標が付された乙7に係る就職情報誌に掲載されており、本件商標の使用の事実は明らかである。
(4)小括
以上のとおり、被請求人は、本件商標と社会通念上同一の範囲内の商標を、「電子計算機のプログラムの設計」に属する役務について、要証期間内に使用していたことは明白である。
2 回答書(1)における主張
(1)被請求人が本件商標に係る指定役務である「電子計算機のプログラムの設計」を業として行っていること
ア 乙2に係る会社案内リーフレットには、「会社概要」「業務内容」の欄に「ソフトウェア設計、開発及びコンサルタント」及び「マイクロコンピュータのファームウェア設計、開発」と明確に記載されている。ゆえに、被請求人が、本件商標の指定役務を業として行っていることは明らかである。
また、当該会社案内リーフレットは、単なる被請求人の企業紹介にとどまらず、被請求人が本件商標に係る指定役務を提供していることを需要者・取引者に周知させる広告物であって、それを頒布する行為は、まさに需要者・取引者に対する当該役務の提供を誘引・説明するための営業行為である。
当該会社案内リーフレットについて、具体的な頒布日時や頒布先、頒布方法等を記録として残していないため、それらの客観的証明は難しいものの、そもそもこの種の印刷物は、社内・展示会等への設置や、新規・既存クライアント先への配布目的で作成されたものであり、被請求人の創立70周年目である2024年を記念して改定されたリーフレットの「改版」であることを鑑みれば、要証期間中の頒布等について合理的に推認できる。
以上から、仮に当該会社案内リーフレットに使用された商標自体が本件商標と社会通念上同一ではないとしても、本件商標に係る指定役務の営業的提供を行っていることを示す客観的証拠として、少なくとも被請求人が本件商標に係る指定役務を提供している事実を証明するものといえる。
イ 乙3の1に係る名刺(発注用見本)の、「システム部システム一課」「システム部システム二課」との部署名が記載によれば、被請求人に係る会社組織として、本件商標の指定役務を担当する部署が存在することは明らかである。
また、当該名刺は、単なる被請求人の会社表示にとどまるものではなく、被請求人が本件商標に係る指定役務を提供している主体であることを、取引の場面において需要者・取引者に示すものである。すなわち、当該名刺は、顧客との商談や取引に際して、役務提供主体を明示するための営業活動上不可欠のツールである。
当該名刺について、具体的な頒布日時や頒布先、頒布方法等を記録として残していないため、それらの客観的証明は難しいものの、そもそも名刺は、企業における営業活動において日常的に使用される不可欠的なツールであって、要証期間中の頒布等について合理的に推認できる。
以上から、仮に当該名刺に使用された商標自体が本件商標と社会通念上同一ではないものであったとしても、本件商標に係る指定役務の営業的提供を行っていることを示す客観的証拠として、少なくとも被請求人が本件商標に係る指定役務を提供している事実を証明するものといえる。
ウ 乙3の3に係るISO認証登録証明書には、その適用範囲として「社内及び顧客先における顧客の要求に基づくソフトウェア及びハードウェアの設計・開発及び技術者派遣」と明確に記載されており、かかる適用範囲のもと厳格な審査を経て、認証を取得したものである。
すなわち、被請求人が、本件商標の指定役務を業として行っていることは明らかである。
エ 乙4の1及び2に係る封筒は、単なる被請求人の会社の存在を示すものではなく、顧客との商談や取引に際して、役務提供主体を明示するための営業活動上不可欠のツールである。
そして、被請求人が本件商標に係る指定役務を提供している主体であることは、他の各号証からも明らかである。
当該封筒の使用を客観的に証明し得る証拠として、特定記録郵便控(乙1 0)を追加で提出する。そもそも封筒は、企業における営業活動において日常的に使用される不可欠的なツールであり、被請求人においても当然に、乙10に示すような記録に残る特定郵便物だけでなく、顧客に対する業務上の通常郵便物にも当該封筒を使用している。特に、本件商標の指定役務に基づき作成・納品されたプログラムについては、その成果物の納品に伴い、請求書・納品書等の取引書類を顧客に送付することが不可欠であり、その際に当該封筒が使用されていることは自明の理といえ、実際に乙8並びに乙9に係る請求書・納品書の原本は、当該封筒を使用して被請求人から取引先に郵送されている。したがって、当該封筒の使用は、被請求人が本件商標の指定役務を業として行っていることと併せて、役務の実際の提供と密接に関連するものとして、容易に推認できる。
オ 乙7に係る就職情報誌には、「業務内容」の欄に「コンピュータソフトウェアーの作成及び設計」と明確に記載されている。ゆえに、被請求人が、本件商標の指定役務を業として行っていることは明らかである。
当該就職情報誌は、単なる被請求人の企業紹介にとどまらず、被請求人が本件商標に係る指定役務を提供していることを周知させる広告物といえ、それを頒布する行為は、まさに当該役務の提供を誘引・説明するための営業行為である。
当該就職情報誌は、2024年(令和6年)2月に発行され、U専門学校他1校において頒布等されたものである。具体的な頒布日時や頒布先、頒布方法等については、記録として残していないため、それらの客観的証明は難しいものの、そもそも当該就職情報誌が2024年度版として作成された事実と、当該年度における就職活動時期等に鑑みれば、要証期間中の頒布等について合理的に推認できる。
以上から、本件商標に係る指定役務の営業的提供を行っていることを示す客観的証拠として、少なくとも被請求人が本件商標に係る指定役務を提供している事実を証明するものといえる。
カ 乙8は、被請求人が発行した請求書及び納品書であり、被請求人が、本件商標の指定役務である「電子計算機のプログラムの設計」を業として実際に行っていることを証明するため、今回新たに追加した証拠である。
乙8の1ないし4に係る請求書及び納品書は、要証期間内である令和6年7月から10月にかけて、いずれも被請求人からT社宛に発行されたものである。当該請求書及び納品書には、「商品名」として共通して「TASKクラウド子ども子育て支援システム」と記載されている。この「TASKクラウド子ども子育て支援システム」とは、保育施設の煩雑な利用調整業務の効率化を目的に、保育施設における入所定員の管理から希望条件に応じた入所可能な保育施設と乳幼児とのマッチング、保育施設への入所希望一括登録など、保育施設の利用全般に関する業務を簡便に行うことが可能なシステムで、被請求人が当該システムプログラムを設計・開発し、T社に納品したものである。
以上のとおり、乙8は、本件商標に係る指定役務の提供を行っていることを示す客観的証拠として、被請求人が本件商標に係る指定役務を提供している事実を証明するものといえる。
キ 乙9は、被請求人が発行した請求書であり、被請求人が、本件商標の指定役務を業として実際に行っていることを証明するため、今回新たに追加した証拠である。
乙9の1ないし4に係る請求書は、要証期間内である令和6年7月から10月にかけて、いずれも被請求人からN社宛に発行されたものである。当該請求書には、「商品名」として共通して「SE支援業務」と記載されている。この「SE支援業務」とは、パソコンを使用したプログラミング業務を支援する内容であり、被請求人が当該システムプログラムを設計・開発するとともに、N社に納品・導入したものである。以上のとおり、乙9は、本件商標に係る指定役務の提供を行っていることを示す客観的証拠として、被請求人が本件商標に係る指定役務を提供している事実を証明するものといえる。
ク 小括
上述のとおり、一部証拠については、その具体的な頒布日時や頒布先、頒布方法等の客観的事実が不明であるものの、少なくとも乙8や乙9によれば、被請求人によって要証期間中に「電子計算機のプログラムの設計」に係る役務提供が行われていることは明白である。したがって、上記各証拠を総合的に勘案すれば、被請求人が、要証期間内に、本件商標に係る指定役務を業として行っていることは明らかである。
(2)本件商標の使用
ア 乙4、乙8ないし乙10
乙4の1及び2に係る封筒は、単なる被請求人の会社の存在を示すものではなく、顧客との商談や取引に際して、役務提供主体を明示するための営業活動上不可欠のツールである。当該封筒における本件商標の表示が、指定役務についての本件商標の使用に当たることは明らかである。
また、追加証拠として提出した乙10に係る特定記録郵便控によれば、当該封筒が要証期間中である2024年10月2日付で使用された事実も理解できる。
そもそも封筒は、企業における営業活動において日常的に使用される不可欠的なツールであり、被請求人においても当然に、乙10に示すような記録に残る特定郵便物だけでなく、顧客に対する業務上の通常郵便物にも当該封筒を使用していることは、容易に推認できるものであり、実際に乙8並びに乙9に係る請求書・納品書の原本は、当該封筒を使用して被請求人から取引先に郵送されている。そして、被請求人が本件商標に係る指定役務を提供している主体であることは、明らかである。
したがって、被請求人は、本件商標と社会通念上同一の商標が付された乙4の1及び2に係る封筒を用いて、本件商標の指定役務である「電子計算機のプログラムの設計」に係る営業活動を行っており、当該行為は商標法第2条第3項第8号でいう「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当し、本件商標の使用事実は明らかである。
イ 乙5に係るカレンダーは、単なる被請求人の会社表示に留まるものではなく、顧客や取引先への役務提供・業務紹介の手段、すなわち営業活動の一環として配布されるものである。
当該カレンダーは、卓上用として顧客・取引先の仕事用デスク上に載置されるのが通例であり、必要の際には被請求人に直ぐに連絡を取ることができるよう、本件商標が付された下方に大きな文字で電話番号も掲載されており(乙 5の1、乙5の3)、いわゆる営業上の広告媒体として機能するものといえる。
具体的な頒布日時や頒布先、頒布方法等については、記録として残していないため、それらの客観的証明は難しいものの、被請求人の従業員数は契約社員を含め約60名であるのに対し、当該カレンダーは200部ほど作成されており(乙5の4)、かかる事実に鑑みれば、被請求人が本件商標の指定役務である「電子計算機のプログラムの設計」を業として行っていることと併せて、外部需要者・取引者に営業活動の一環として配布されたものであることは、合理的に推認できる。
したがって、被請求人は、本件商標と社会通念上同一の商標が付された乙5の1ないし3にかかるカレンダーを用いて営業活動を行っており、かかる行為は商標法第2条第3項第8号でいう「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当し、本件商標の使用事実は明らかである。
ウ 乙6に係るシールは、単なる被請求人の会社表示にとどまるものではなく、顧客や取引先への役務提供・業務紹介の手段、すなわち営業活動の一環として配布されるものである。
当該シールは、被請求人が設計・開発したプログラムを搭載した機器に貼着されるものであって、不具合の発生など必要の際には被請求人にすぐに連絡を取ることができるよう、本件商標が付された下方に住所と電話番号も掲載されており、いわゆる営業上の広告媒体として機能するものといえる。
具体的な頒布日時や頒布先、頒布方法等については、記録として残していないため、それらの客観的証明は難しいものの、通常のオフィス機器やソフトウェア導入の際に、管理・保守の連絡先として同様のシールが貼着されるケースは一般的・日常的に行われており、そのことに鑑みれば、被請求人が本件商標の指定役務を業として行っていることと併せて、被請求人による設計・開発プログラムを搭載した外部需要者・取引者の機器に当該シールが貼着されていることは、合理的に推認できる。
したがって、被請求人は、本件商標と社会通念上同一の商標が付された乙6に係るシールを用いて営業活動を行っており、かかる行為は商標法第2条第3項第3号でいう「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物(譲渡し、又は貸し渡す物を含む。以下同じ。)に標章を付する行為」若しくは同項第8号でいう「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当し、本件商標の使用の事実は明らかである。
エ 乙7に係る就職情報誌は、既述のとおり、単なる被請求人の企業紹介にとどまらず、被請求人が本件商標に係る指定役務を提供していることを周知させる広告物といえ、それを頒布する行為は、まさに当該役務の提供を誘引・説明するための営業行為といえる。すなわち、当該就職情報誌は、役務提供事業を示す広告物であって、当該就職情報誌における本件商標の使用が、役務についての商標使用に該当することは明らかである。
具体的な頒布日時や頒布先、頒布方法等については、記録として残していないため、それらの客観的証明は難しいものの、そもそも当該就職情報誌が2024年度版として作成された事実と、当該年度における就職活動時期等に鑑みれば、被請求人が本件商標の指定役務業として行っていることと併せて、要証期間中に営業活動の一環として頒布等されたことについて、合理的に推認できる。
したがって、被請求人は、本件商標と社会通念上同一の商標が付された乙7に係る就職情報誌を用いて営業活動を行っており、かかる行為は商標法第2条第3項第8号でいう「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当し、本件商標の使用の事実は明らかである。
オ 小括
上述のとおり、一部証拠については、その具体的な頒布日時や頒布先、頒布方法等の客観的事実が不明であるものの、少なくとも乙4及び乙8ないし乙10によれば、被請求人によって「電子計算機のプログラムの設計」に係る営業活動において要証期間中に本件商標を使用していたことは明白である。したがって、上記各証拠を総合的に勘案すれば、被請求人が、要証期間内に、本件商標に係る指定役務について本件商標を使用していることは明らかである。
3 回答書(2)における主張
(1)乙11は、O社の受領証明書、並びに、同社宛に被請求人が発行した請求書及び納品書、そして同社宛に当該請求書及び納品書を郵送した際に使用された封筒と同じ封筒の写し(「乙4の2」の縮小版)であり、被請求人により、本件商標が付された封筒が、要証期間に、本件商標の指定役務に使用されたことを客観的に証明するため、今回新たに追加した証拠である。
受領証明書によれば、O社は、添付した写しと同じ封筒(乙4の2)による郵送物を、2024年(令和6年)7月3日に受領しており、その封筒には、同社宛に被請求人が要証期間内である令和6年7月1日に発行した添付の請求書及び納品書が同封されていたことが分かる。かかる請求書及び納品書には、「商品名」として共通して「ドライアイスサーバー通信費」と記載されているが、これは同社が被請求人に依頼して設計・導入された「ドライアイス重量測定システムプログラム」についての毎月のランニング費用を表する名目である。
以上のとおり、乙11は、被請求人により、乙4の2に係る本件商標が付された封筒が、要証期間に、本件商標の指定役務に使用された事実を客観的に証明するものといえる。
したがって、被請求人は、要証期間に、本件商標と社会通念上同一の商標が付された封筒を用いて、本件商標の指定役務に係る業務活動を行っており、当該行為は商標法第2条第3項第8号でいう「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当する。
(2)乙12は、R社の受領証明書、並びに、同社宛に被請求人が発行した請求書及び納品書、そして同社宛に当該請求書及び納品書を郵送した際に使用された封筒と同じ封筒の写し(「乙4の2」の縮小版)であり、被請求人により、本件商標が付された封筒が、要証期間に、本件商標の指定役務に使用されたことを客観的に証明するため、今回新たに追加した証拠である。
受領証明書によれば、R社は、添付した写しと同じ封筒(乙4の2)による郵送物を、2023年(令和5年)2月3日に受領しており、その封筒には、同社宛に被請求人が要証期間内である令和5年1月31日に発行した添付の請求書及び納品書が同封されていたことが分かる。かかる請求書及び納品書には、「商品名」として共通して「アンケート自動読み取りシステム追加対応」と記載されているが、これは同社が被請求人に依頼して設計・導入された「アンケート自動読み取りシステムプログラム」のバージョンアップに伴う追加プログラムの設計・導入費用を表する名目である。
以上のとおり、乙12は、被請求人により、乙4の2に係る本件商標が付された封筒が、要証期間に、本件商標の指定役務に使用された事実を客観的に証明するものといえる。
したがって、被請求人は、要証期間に、本件商標と社会通念上同一の商標が付された封筒を用いて、本件商標の指定役務に係る業務活動を行っており、当該行為は商標法第2条第3項第8号でいう「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当する。
(3)乙13は、U専門学校の証明書であり、乙7に係る就職情報誌が、要証期間に頒布等されたことを客観的に証明するため、今回新たに追加した証拠である。
証明書によれば、U専門学校は、当該就職情報誌を、2024年(令和6年)2月に発行し、かつ、同年2月に、当該証明書記載の各種方法によって、当該就職情報誌を適宜頒布していたことが分かる。
以上のとおり、乙13は、当該就職情報誌が、要証期間に頒布等された事実を客観的に証明するものといえる。
したがって、被請求人は、要証期間に、本件商標と社会通念上同一の商標が付された就職情報誌を用いて営業活動を行っており、かかる行為は商標法第2条第3項第8号でいう「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当する。
第4 当審の判断
1 被請求人の主張及び提出された証拠によれば、以下のとおりである。
(1)被請求人である商標権者は、昭和29年に創立された、ソフトウェアの設計や開発、マイクロコンピュータのファームウェア設計や開発等を業務内容とする会社である(乙2)。
(2)乙7は、U専門学校他1校が令和6年に発行した、「UBDC就職情報誌」をタイトルとする情報誌(以下「本件情報誌」という。)である。本件情報誌の237頁には、商標権者による広告(以下「本件広告」という。)が掲載されているところ、本件広告には、別掲2のとおりの商標(以下「使用商標」という。)の表示とともに、商標権者の名称や住所、及び商標権者の事業内容として、「コンピュータソフトウェアーの作成及び設計」等の記載がある。
また、本件広告には、上記の事業内容等のほか、採用職種や採用実績等の採用情報、及び、「学生のみなさまへ」の見出しの下、「ソフトシーデーシーで私たちと一緒に働いてみませんか。・・・」とのメッセージ等が掲載されている。
(3)乙13は、U専門学校の職員の作成に係る、2026年1月21日付けの証明書(以下「本件証明書」という。)であり、本件情報誌が、2024年2月にU専門学校他1校において、在籍生徒のうち就職活動者に対し、同校で実施された就職説明会で配布されたほか、同校内での設置や配布等が行われた旨が記載されている。
2 上記1によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用商標について
本件商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、本件情報誌に表示された使用商標は、別掲2のとおりの構成よりなるところ、これらは、全体の色彩や、図形と文字の大きさの比率等において相違するものの、図形の構成態様や文字の書式及び配置等をほぼ共通にするものであって、外観において同視されるものであるから、両者は、社会通念上同一の商標といい得る。
(2)使用時期について
使用商標が表示された本件情報誌は、要証期間内である2024年(令和6年)2月に発行されたものであり、かつ、本件証明書によれば、同月に、同校内において配布されたものとみるのが相当であるから、要証期間内に使用商標が使用されたといえる。
(3)使用者について
使用商標を表示した広告には、商標権者の名称や住所が記載されていることから、使用商標の使用者は、商標権者といえる。
(4)使用役務について
本件広告において、商標権者の事業内容として「コンピュータソフトウェアーの作成及び設計」等の記載があることから、本件広告は、商標権者に係る「コンピュータソフトウェアーの設計」(以下「使用役務」という。)を含む役務についての広告といえるものである。そして、使用役務は、本件商標の指定役務である「電子計算機のプログラムの設計」の範ちゅうに含まれるものである。
(5)使用行為について
上記(4)のとおり、使用商標が表示された本件広告は、使用役務についての広告を行うものといえる。
そして、本件情報誌は、2024年2月に発行され、本件証明書によれば、同月にU専門学校の校内において頒布されたとされるところ、本件情報誌の発行者や発行時期に照らして、その頒布の事実について不自然な点はないというべきであるから、商標権者は、本件情報誌において、使用役務に関する広告を内容とする情報に使用商標を付し、これが頒布されたということができ、この行為は、商標法第2条第3項第8号の「役務に関する広告を内容とする情報に標章を付して頒布する行為」に該当する。
また、当該行為は、日本国内において行われたことが明らかである。
3 請求人の主張について
請求人は、本件情報誌は、商標権者と専用使用権者又は通常使用権者の関係にはない、U専門学校他1校に係るものであることから、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者が、本件商標を使用役務について使用していたことを立証するものではない旨主張する。
しかしながら、たとえ、本件情報誌を発行し、頒布したのがU専門学校等であるとしても、本件情報誌はU専門学校他1校の在籍生徒等を頒布対象とした就職情報誌とされるものであって、本件情報誌内の本件広告において、商標権者についての紹介とともに、採用情報や学生に向けたメッセージ等が掲載されていることからすれば、本件広告は、商標権者の依頼により、本件情報誌に掲載されたと推認できるものであって、本件情報誌中の本件広告に表示された使用商標は、商標権者の使用に係るものとみるのが相当である。
したがって、請求人の上記の主張は、採用することができない。
4 まとめ
以上のとおり、被請求人は、要証期間に、日本国内において、商標権者が、本件商標と社会通念上同一の商標を、本件商標の指定役務について使用していたことを証明したものと認められる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-300764