商標取消審判
2022-300635
フーリンカザン
- 審判番号
- 2022-300635
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願1994-052675
- 登録番号
- 4029707
- 請求日
- 2022年07月11日
- 審決日
- 2024年09月24日
- 公報発行日
- 2024年12月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社 もっけだのフードサービス
- 【請求人代理人】瀬戸 麻希
- 【被請求人】株式会社 東京ワイン
- 【被請求人代理人】荒船 博司
- 【被請求人代理人】荒船 良男
- 【被請求人代理人】尾上 功治
- 審判長/審判官
- 審判長 旦 克昌
- 審判官 大島 康浩
- 審判官 小林 裕子
- 分類
- T131 .1 -Y (042)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第2条第3項第8号、商標法第50条第1項、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第4029707号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第4029707号商標(以下「本件商標」という。)は、「風林火山」の文字を横書きしてなり、平成6年5月26日に登録出願、第42類「飲食物の提供」を指定役務として、同9年7月18日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和4年7月25日である。
なお、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である令和元年(2019年)7月25日から同4年(2022年)7月24日までを、以下「要証期間」という。
第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)答弁書に記載されている乙第5号証は、本件商標を使用した写真のみであり、本件商標の通常使用権者「有限会社中山善行商事社」(以下「中山善行商事社」という。)が使用しているという証拠はなく、中山善行商事社が本件商標を使用している証拠にはならない。
さらに、乙第6号証は、ウェブサイト「食べログ」の写真ページではあるが、「食べログ」には、中山善行商事社が、居酒屋「風林火山」を運営しているとは一切記載されておらず、運営者が中山善行商事社であることは、乙第6号証からは確認できない。
証拠説明書から、居酒屋「風林火山」と中山善行商事社が同一であるという証拠は一切確認できない。
中山善行商事社が、この商標を使用しているという証拠は、証拠説明書にはない。
通常使用権者の中山善行商事社が、その法人名で本件商標を使用しているという証拠は、証拠説明書にはない。
(2)以上より、継続して三年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが、指定役務についての本件商標の使用をしていない。
第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を審判事件答弁書、令和5年9月12日付け審尋に対する同年10月11日付け回答書及び同月26日付け回答書(2)において要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第13号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 答弁書における主張
(1)本件商標の使用の事実
ア 乙第1号証は、被請求人が、東京都豊島区長崎所在の中山善行商事社に対して、平成29年(2017年)11月20日付けで、本件商標の使用を許諾したことを示す商標使用許諾契約書の写しである。乙第1号証は、中山善行商事社が本件商標に係る通常使用権者であることを証明するものである。
当該契約の締結日から令和4年(2022年)10月現在に至るまで、中山善行商事社から被請求人に対して本件商標の使用を中止した旨の申し出はない。そのため、当該契約書の第3条各項に記載のとおり、本契約は有効なものである。
イ 乙第2号証は、被請求人が使用する顧客情報管理ソフトウェアにおける、中山善行商事社を請求先とする店舗の情報ページの写しである。なお、営業秘密事項を含む箇所は黒く塗りつぶして表示している。
乙第2号証は、中山善行商事社の経営する店舗が東京都豊島区東池袋所在の「風林火山」という名称であることを示すとともに、要証期間以前から被請求人と中山善行商事社とが取引関係にあることを示すものである。
ウ 乙第3号証は、国税庁の「法人番号公表サイト」における、中山善行商事社の情報ページの写しである。乙第3号証は、中山善行商事社の本店所在地が乙第1号証の記載と一致することを証明するものである。
エ 乙第4号証は、東京都の「東京都感染拡大防止徹底宣言登録店舗マップ」のウェブサイトにおける、中山善行商事社に係る店舗(以下「本件店舗」という。)に係る情報ページの写しである。当該ウェブサイトは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止等のために事業者向け東京都感染拡大防止ガイドラインをはじめとした対策を行い、「感染防止徹底宣言ステッカー」が発行された店舗・事業者について、その店舗、事業所名、住所情報が地図とともに掲載されたものである。
店舗名の項目の「風林火山」の文字は、本件商標の構成文字と一致する。また、業種の項目の「レストラン、料理店等」、「居酒屋」の文字から、本件店舗は飲食物の提供を行う店舗であることが確認できる。なお、住所の項目に「東京都豊島区長崎・・・」と記載されているが、これは中山善行商事社の本店所在地を示すものであって、店舗の所在地を示すものではない。
乙第4号証は、本件商標が中山善行商事社により使用されていることを証明するとともに、本件店舗に係る役務が本件審判の請求に係る指定役務に属する役務であることを証明するものである。
オ 乙第5号証の1から乙第5号証の4は、被請求人が令和4年(2022年)9月22日に撮影した本件店舗の写真である。
本件店舗前の看板に表示された「風林火山」の文字(乙5の1)や、本件店舗の入口ののれんに表示された「風林火山」の文字(乙5の2)は、本件商標の構成文字と一致するため、本件商標と社会通念上同一である。また、看板に表示された「うまいやきとりが食べたい!」の文字(乙5の1)や、本件店舗内のカウンターに置かれた酒類の瓶(乙5の3、乙5の4)から、本件店舗は焼き鳥や酒類等の飲食物を提供する飲食店であることが確認できる。
乙第5号証の1から乙第5号証の4は、本件商標が本件審判の請求に係る指定役務において使用されていることを証明するものである。
カ 乙第6号証の1から乙第6号証の4は、グルメ情報サイト「食ベログ」における、本件店舗に係るウェブページの写しである。
見出しの「風林火山」の文字や店名の項目の「風林火山」の文字(乙6の1)は、本件商標の構成文字と一致する。また、「ジャンル:焼鳥、居酒屋」の表示(乙6の1)や、要証期間内にユーザーから投稿されたメニュー写真(乙6の2)、要証期間内にユーザーから投稿された料理等の写真(乙の3)等より、本件店舗は焼き鳥や酒類等の飲食物を提供する飲食店であることが確認できる。また、「最近の編集者 Mr bunzy(0)・・・店舗情報(’22/07/09 09:13)」の表示(乙6の1)や、複数のユーザーから投稿された口コミの年月の表示(乙6の4)等より、本件店舗が要証期間内に存在していたことが確認できる。また、住所の項目の「東京都豊島区東池袋・・・」の表示は、乙第2号証の住所の表示とほぼ一致する。
乙第6号証の1から乙第6号証の4は、本件商標が本件審判の請求に係る指定役務について要証期間内に日本国内において使用されていることを証明するものである。
(2)結論
以上述べたとおり、本件商標は、本件審判の請求に係る指定役務について、要証期間に、日本国内において、通常使用権者により使用されていることは明らかである。
2 回答書における主張
(1)本件商標は、要証期間内に、本件商標に係る通常使用権者である中山善行商事社により使用されている。以下、理由を述べる。
(2)被請求人は、平成29年11月20日、中山善行商事社との間で、本件商標の使用を許諾する契約(以下、「本件契約」という。)を締結した(乙1)。本件契約は、現在においても有効に継続している(乙1、乙7)。中山善行商事社は、要証期間内も本件商標に係る通常使用権者である。
(3)営業許可書(乙8)と食ベログの写し(乙6の1)の記載を比較すると、営業許可書の「施設の名称」欄の記載と食ベログ写しの「店名」の記載が「風林火山」で一致し、営業許可書の「施設の所在地」欄の記載と食ベログ写しの「住所」の記載が「東京都豊島区東池袋・・・(以下、「本件住所地」という。)」で一致し、営業許可書の「営業の種類」欄の記載と食ベログ写しの「ジャンル」の記載から飲食店であるという点で一致していることが分かる。中山善行商事社が、本件住所地で「風林火山」という飲食店(以下、「本件店舗」という。)を営業していることは明らかである。
また、要証期間内も被請求人との間で取引を継続していたこと(乙2、乙9の1~3)、要証期間内も食ベログに訪問した際の投稿が行われていたこと(乙6の1~4)、要証期間内も営業許可を受けていたこと(乙8)などから、本件店舗が要証期間内も飲食店の営業を続けていたことは明らかである。
(4)本件店舗では、「風林火山」という文字が記載されている看板や暖簾(以下、「本件看板等」という。)が飲食店の営業のため使われている(乙10の1及び2)。
要証期間よりも前から本件店舗で本件看板等が使われていたこと(乙10の1及び2)、上記のとおり要証期間内も本件店舗の営業が継続していたこと、要証期間後(令和4年9月22日)も本件看板等が本件店舗で使用されていたこと(乙5の1及び2、乙10の1及び2)、要証期間内に限って本件店舗で本件看板等を使用しない合理的な理由は存在しないことから、中山善行商事社が要証期間内も本件店舗で本件看板等を使用していたことは明らかである(乙11)。
要証期間内において食ベログのウェブサイト上に本件看板等についての投稿があったことも(乙10の3、令和2年6月の投稿)、要証期間内に本件店舗で本件看板等が使用されていたことを裏付ける。
また、本件看板等に記載されている商標は、本件商標又はこれと社会通念上同一の商標である(乙5の1及び2、乙10の1及び2)。
そして、中山善行商事社が本件店舗にて飲食店の営業のために本件看板等を使用することは、「役務に関する広告」(商標法第2条第3項第8号)に該当する。
3 回答書(2)における主張
東京都豊島区東池袋・・・で飲食店を営業している風林火山(以下、「本件店舗」という。)は、要証期間内の水道使用量やガス使用量から分かるように(乙12の1~3、乙13の1~3)、要証期間内も営業を継続して行っていたことは明らかである。要証期間の前後において、風林火山という文字が記載されている看板や暖簾(以下、「本件看板等」という。)が本件店舗で使用されていたこと(乙5の1及び2、乙10の1及び2)、要証期間内に限って本件店舗で本件看板等を使用しない合理的理由は存在しないことから、中山善行商事社が要証期間内も本件店舗で本件看板等を使用していたことは明らかである。
N氏は、要証期間内において、本件店舗の水道料金等の支払いを行うなどし(乙12の1)、本件看板等を使用して本件店舗で営業を行っていた(乙11)。
飲食店の営業のために本件看板等を使用することは、「役務に関する広告」(商標法第2条第3項第8号)に該当する。
第4 当審の判断
1 被請求人の主張及び同人の提出に係る証拠によれば、以下のとおりである。
(1)被請求人である本件商標権者は、平成29年(2017年)11月20日付けで、N氏を代表取締役とする中山善行商事社との間で、本件商標の使用に関する商標使用許諾契約(以下「本件契約」という。)を締結した(乙1)。
本件契約の有効期間は、本件契約の締結日から5年間とされている。
(2)2022年9月22日付けの写真には、別掲のとおりの「風林火山」の文字(以下「本件使用商標」という。)が付された看板(以下「本件看板」という。)が写っている(乙5の1)。
(3)「食べログ」のウェブサイトにおいて、以下の情報が掲載されている。
ア 「風林火山」を店名とする飲食店(以下「本件飲食店」という。)に関する「ユーザーからの登録写真」として、2019年5月に登録された店舗入口の写真に、上記(2)の本件看板と同様の看板が写っている(乙10の2)。また、2020年6月に登録された店舗入口の写真にも、本件看板と同様と思われる看板の一部が写っている(乙10の2及び3)。
イ 2022年7月9日に更新された本件飲食店の店舗情報として、東京都豊島区東池袋の住所が記載され、また、本件飲食店のジャンルとして、「焼鳥、居酒屋」の記載がある(乙6の1)。
(4)ア 令和2年(2020年)3月から同年4月、同3年(2021年)1月から同年2月、同年3月から同年4月をそれぞれ使用期間とする「水道・下水道使用量等のお知らせ」(以下「水道使用通知」という。)は、いずれも宛名を「風林火山 N様」とし、その住所は本件飲食店と同一である(乙12)。
イ 令和2年(2020年)6月18日、同3年(2021年)3月18日及び同4年(2022年)5月20日にそれぞれ発行されたガスの口座振替済領収証(以下「ガス領収証」という。)は、いずれも「ご使用場所・ご使用者名」の欄に、本件飲食店と同一の住所及び「フウリンカザン N様」の記載がある(乙13)。
(5)N氏は、令和3年(2021年)12月17日から同9年(2027年)12月31日までの期間において、東京都豊島区より、本件飲食店について「飲食店営業」の許可を受けており、その施設の名称(屋号等)として「風林火山」の記載がある(乙8)。
2 上記1によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用商標について
本件商標は、上記第1のとおり「風林火山」の文字を普通に用いられる方法で横書きしてなる。これに対し、本件使用商標は、別掲のとおり「風林火山」の文字を横書きしてなるところ、両者は、書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標であるから、社会通念上同一の商標と認められる。
(2)使用者について
上記1(1)によれば、本件商標権者と中山善行商事社による本件契約の有効期間は、締結日(2017年11月20日)から5年間であるから、中山善行商事社は、要証期間において、本件商標権者から本件商標の使用を許諾されていたといえる。そして、N氏は、中山善行商事社の代表取締役であるから、N氏と中山善行商事社は業務上極めて緊密な関係があるといえる。
さらに、上記1(4)及び1(5)の水道使用通知、ガス領収証及び営業許可書の内容をあわせ考慮すれば、N氏は、少なくとも2020年3月以降、東京都豊島区東池袋に所在する、「風林火山」を店名とする本件飲食店を経営していたと考えられるから、同氏が本件使用商標を使用していたといえる。
そして、本件商標権者が、N氏によって本件使用商標が使用されていることについて異議を述べていないことも勘案すれば、本件商標権者は、N氏が本件商標を使用することについての黙示の許諾を与えていたと推認できる。
以上を総合すると、N氏は、本件商標についての通常使用権者と認められる。
(3)使用時期について
上記(2)のとおり、本件飲食店は、少なくとも2020年3月以降、東京都豊島区東池袋の住所に所在していたものと推認できる。
また、上記1(3)アによれば、2020年6月の少し前に本件飲食店を訪れた者が、「食べログ」のウェブサイトに、本件看板の写真を掲載したとみるのが自然である。
そうすると、本件使用商標が付された本件看板は、2020年6月から少し前の時期に、本件飲食店の入口に設置されていたものと考えられる。
そして、上記1(2)及び1(3)アのとおり、上記時期の前後の2019年5月頃及び2022年9月頃に、本件看板に本件使用商標が表示されていることが確認できるから、その間の2020年6月前頃においても、本件使用商標が本件看板に表示されていたと推認できるものであり、当該時期は要証期間である。
(4)使用役務について
上記1(3)イによれば、本件飲食店は、「焼き鳥を主とする飲食物の提供」を行っているとみるのが相当であり、当該役務は、本件商標の指定役務である第42類「飲食物の提供」の範ちゅうの役務である。
(5)使用行為について
上記(2)ないし(4)によれば、本件商標の通常使用権者であるN氏が、本件飲食店の入口において、飲食物の提供の役務に関する本件看板(広告)に本件使用商標を付して展示したものといえるから、これは、商標法第2条第3項第8号にいう「役務に関する広告に標章を付して展示する行為」に該当する。
また、当該広告は、日本国内において行われたことが明らかである。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、要証期間に、日本国内において、通常使用権者が、その指定役務について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたことを証明したものと認められる。
したがって、本件商標についての登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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