商標取消審判
2021-300636
シーマスター
- 審判番号
- 2021-300636
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願1990-073504
- 登録番号
- 2508200
- 請求日
- 2021年08月23日
- 審決日
- 2022年06月30日
- 公報発行日
- 2022年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ピーティー メガ マリン プライド
- 【請求人代理人】杉村 憲司
- 【請求人代理人】杉村 光嗣
- 【請求人代理人】門田 尚也
- 【請求人代理人】長嶺 晴佳
- 【被請求人】株式会社 紀文食品
- 【被請求人代理人】谷山 尚史
- 審判長/審判官
- 審判長 岩崎 安子
- 審判官 大森 友子
- 審判官 清川 恵子
- 分類
- T132 .1 -Y (2931)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条第1項、商標法第50条第2項、商標法第2条第3項第2号、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第2508200号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は,成り立たない。
審判費用は,請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第2508200号商標(以下「本件商標」という。)は,「シーマスター」の文字を横書きしてなり,平成2年6月28日に登録出願,第32類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として同5年2月26日に設定登録され,その後,同14年12月11日に,第29類「食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物」,第31類「食用魚介類(生きているものに限る。),海藻類,野菜,糖料作物,果実,コプラ,麦芽」及び第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,指定商品の書換登録がなされ,さらに,同25年3月12日に商標権に係る商品及び役務の区分を第29類及び第31類として商標権の存続期間の更新登録がなされたものであり,現に有効に存続しているものである。
なお,本件審判の請求の登録日は,令和3年(2021年)9月10日であり,商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは,平成30年(2018年)9月10日から令和3年(2021年)9月9日までの期間(以下「要証期間」という。)である。
第2 請求人の主張
請求人は,商標法第50条第1項の規定により,本件商標の指定商品中,第29類「食用魚介類(生きているものを除く。),肉製品,加工水産物」及び第31類「食用魚介類(生きているものに限る。),海藻類」(以下「請求に係る指定商品」という。)についての登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,請求書において,その理由を以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,請求に係る指定商品について,継続して3年以上日本国内において本件商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから,その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
請求人は,被請求人の答弁に対し,何ら弁駁していない。
第3 被請求人の答弁
被請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第6号証を提出した。
1 本件商標権者(被請求人)は,平成14年6月18日,理研ビタミン株式会社との間で,本件商標の指定商品中「魚介類,甲殻類及び海藻類のエキス」について商標使用許諾契約を締結し,理研ビタミン株式会社に通常使用権を許諾した(乙1)。当該商標使用許諾契約の第11条において,契約終了2ヶ月前までに書面による契約更新を希望しない旨の通知をしない限り,本使用許諾契約は自動的に更新される旨を規定しており,実際,現時点に至るまで,本件商標権者は,理研ビタミン株式会社(以下「理研ビタミン」という場合がある。)に対し,通常使用権を許諾している。
なお,当該使用許諾契約は,本件商標の指定商品の書換登録前に締結されているが,その許諾にかかる商品「魚介類,甲殻類及び海藻類のエキス」は,書換前の「加工食料品」に,また書換後の「加工水産物」に含まれるものである。
2 原料納入規格書(乙2)
「原料納入規格書」は,本件商標権者が取引先に依頼して提出される書式である。本「原料納入規格書」は,理研ビタミンが,2020年9月9日に記入し,翌2021年6月9日に追記し,本件商標権者に提出されたものである。
この「原料納入規格書」中,右上の「原料コード」の欄に「420078」の数字6桁が記載されている。また,「(1)基本情報」から,商品名が「シーマスターES-100」であること,商品特徴が「魚介エキス」であること,製造者が株式会社マリン大王であること,販売者が理研ビタミンであること,「(2)製品仕様」において,添付ラベルが表示されており,そのラベル左上に「魚介エキス」,中央上部に片仮名文字「シーマスター」が表示されていること,賞味期限が「21.05.28」(2021年5月28日)と表示されていること,賞味・消費期限が270日であること,「ロット記号の読み方の説明」から,添付ラベルが2020年9月1日製造1パッチ目であることを表していること等がわかる。さらに,その2頁目は,1頁目の[荷姿]及び[添付ラベル]を拡大して表示したものであるが,[添付ラベル]の末尾に「品名コードNo.36540」と表示されている。
3 発注書(乙3)
本発注書は,2021年4月19日に,本件商標権者が理研ビタミンに対し,品名「シーマスターES」を発注した事実を示すものである。右側縦列に「04/19 11:46:36」とあり,2021年4月19日11時46分に,同発注書がファクシミリにより送受信されたものであることが表示されている。また,その受領確認として,右下に「いつも大変お世話になっております。\ご注文ありがとうございます。\2021年04月19日12時13分\理研ビタミン(株)受注センター」等が表示され,返信されている。なお,左最上部に「発注No.」として,「300750751」の数字9桁が記載されている他,「品名」の欄「シーマスターES」の下段に「420078」の数字6桁が記載されており,この数字6桁は,乙第2号証の「原料納入規格書」にある「原料コード」「420078」と同一であって,この「原料納入規格書」に定められた商品(以下,本商品という。)を発注したことが明らかである。さらに,支払条件として「末締→翌月15日手形サイト45日」が記載されている。
4 納品書(乙4)
本納品書は,理研ビタミンから本件商標権者の東京工場に対し,商品名が「シーマスターES-100」,「コード」が「36540」である商品が,2021年5月6日に納品されたことを示す書類である。また,「御注文No.」の欄に「300750751」の数字9桁が記載されており,発注書(乙3)に対応した本商品を納入したことがわかる他,「コード」「36540」は,原料納入規格書(乙2)における「品名コードNo.36540」と同一である。なお,本商品につき,本件商標権者は原料コード「420078」をもって,また,理研ビタミンは品名コード「36540」をもって,特定している。
5 請求書(乙5)
本請求書は,理研ビタミンから,本件商標権者の東京工場に対し,2021年5月31日締切分として,181万690円が請求されたことを示す書類であり,その請求明細書の8列目に,「納入日」が「21/05/06」,「注文書No.」が「300750751」,「品名」が「シーマスターES-100」が記載されている。
6 約束手形及び帳票の写し(乙6)
受取人を「理研ビタミン株式会社」,支払期日を「令和3年7月31日」,振出日を「令和3年6月15日」,支払場所を「株式会社みずほ銀行築地支店」とする,総額696万14円とする約束手形2通の写しである。その帳票中に,請求書(乙5)に記載された金額181万690円が含まれている。
7 これらの取引書類において,特に,「発注書」(乙3)の「品名」には,「シーマスターES」が表示されており,また「納品書」(乙4)の「商品名」には「シーマスターES-100」が表示されている。
これらの表示中「ES」及び「ES-100」は,商品の品番,型番を表す際に使用される記号,符号の一類型を認識させるものであって,それ自体,自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものであるから,本件商標と同一又は社会通念上同一と認められる商標「シーマスター」が独立して自他商品の識別標識として機能するものである。
以上述べたとおり,これら乙各号証により,本件商標と社会通念上同一と認められる商標が,本件通常使用権者によって,要証期間内に,本件審判の請求に係る指定商品中,「加工水産物」に属する「魚介エキス」について使用されたことは明らかである。
第4 当審の判断
1 被請求人の主張及び同人提出に係る証拠によれば,次の事実が認められる。
(1)商標使用許諾契約とする書面(乙1)には,本件商標権者と理研ビタミンは,本件商標の使用に関し,次のとおり契約を締結する旨,使用許諾として,「(1)使用商品:魚介類,甲殻類及び海藻類のエキス」,契約期間として,第11条に,「本契約の有効期間は契約締結日から3年間とするものとし・・・契約の更新を希望しない旨の通知をしない限り,同一条件で更に3年間継続するものとし,以後も同様とする」との記載があり,平成14年6月18日付けの本件商標権者及び理研ビタミンの押印がある。
(2)原料納入規格書(乙2)には,原料コード「420078」,商品名「シーマスターES-100」,商品特徴「魚介エキス」との記載,「販売者名 理研ビタミン株式会社」として,住所,電話番号,FAX番号の記載があり,当該規格書の記入年月日「2020年9月9日(2021年6月9日追記)」との記載がある。その2葉目には1葉目の基本情報の「拡大写真」として,「理研ビタミン 魚介エキス 「シーマスターES-100」」との表題の下,【荷姿】の写真及び荷姿に貼付された【添付ラベル】があり,当該ラベルには「シーマスター」及び「ES-100」の文字を2段に表示(以下「使用商標」という。)し,「販売者 理研ビタミン株式会社」及び住所,「品名コードNo.36540」との記載がされている。
(3)発注書(乙3)には,仕入先「理研ビタミン(株)御中」,「発注No 300750751」,発注日「2021/04/19」,会社名「株式会社紀文食品」発注部門「東京工場」との記載がある。品名には,「シーマスターES 420078」,金額「137,200円」,納期「5/6」,支払条件として「末締→翌月15日手形サイト45日」と記載されている。
そして,品名にある数字は上記(2)の原料納入規格書の「原料コード」と一致する。
(4)納品書(乙4)には,お届先として「株式会社紀文食品 東京工場」との記載,納入日「2021年5月6日」,コード(36540),商品名「シーマスターES-100」,御注文No「300750751」と記載され,納品書の右下には「理研ビタミン株式会社」との記載がある。
そして,「コード」の数字は上記(2)の添付ラベルの「品名コード」と一致し,「御注文No」は上記(3)の「発注No」と一致する。
(5)請求書(2021年5月31日締切分)(乙5)には,右上に「理研ビタミン株式会社」の記載,「株式会社紀文食品 東京工場 御中」とし,今回ご請求額として,「1,810,690」との記載がある。また,2葉目には「請求明細書」として,納入日「21/05/06」,注文書No「300750751」,納入先「(株)紀文食品 東京工場」,品名「シーマスターES-100」,金額「137,200」,明細書の全体の税込買上額として「1,810,690」と記載されている。
そして,「注文No.」の数字は上記(3)の「発注No」及び上記(4)の「御注文No」と一致し,「今回ご請求額」は「税込売上額」と一致する。
(6)約束手形の写し(乙6)には,「金額¥5,000,000」及び「金額¥1,960,014」の2枚の約束手形の写しが表示され,両者とも「受取人 理研ビタミン株式会社」,「振出日 令和3年6月15日との記載があり,2葉目の帳票には,「理研ビタミン(株)」,金額「1,810,690」,「仮勘定 支払手形」,金額「6,960,014」との記載がある。
そして,「1,810,690」の数字は,上記(5)の請求額及び税込買上額と一致し,「6,960,014」の数字は2枚の約束手形に記載されている金額の合計と一致する。
2 上記1で認定した事実によれば,以下のとおり判断できる。
(1)使用商品の取引(使用行為)とその時期(使用時期)について
ア 理研ビタミン作成の原料納入規格書に記載された,商品名を「シーマスターES-100」(以下「使用商品」という。)とする使用商品の荷姿(包装箱)に,使用商標を表示したラベルが付されているところ,当該ラベルには販売者として、理研ビタミン及びその住所の記載がある。
そうすると,使用商品は理研ビタミンの販売に係るものであるから,使用商品の包装に使用商標を付したのは,理研ビタミンであると認められる。
イ 使用商品は,2021年4月19日付けで,本件商標権者より理研ビタミンに発注され,その後,同年5月6日付けで理研ビタミンより本件商標権者の東京工場に納品され,使用商品を含む商品の請求書が2021年5月31日締切分として理研ビタミンより本件商標権者に送付されていることが推認し得る。
そして,本件商標権者は,使用商品の代金の支払条件を「末締→翌月15日手形」としているところ,2021年6月15日を振出日とする合計6,960,014円の約束手形を理研ビタミンを受取人として振り出しており,当該6,960,014円中には上記請求書において請求した金額が含まれているものと認められる。
なお,発注書に記載の商品名は「シーマスターES」であるが,当該取引において不自然な点はなく,商品名「シーマスターES」は使用商品とみて差し支えない。
ウ そうすると,使用商品は,理研ビタミンと本件商標権者との間で取引されたことが推認し得るものであり,使用商品が,理研ビタミンより本件商標権者に納品(譲渡)された日は要証期間内である。
また,納品先が本件商標権者の東京工場であることから,当該取引は日本国内で行われている。
(2)使用商標について
本件商標は,前記第1のとおり「シーマスター」の片仮名を横書きしてなるものであり,使用商標は,「シーマスター」と「ES-100」の二段書きの構成よりなるものである。
そして,使用商標の構成中「ES-100」の文字部分は,商品の品番,型番を表す際に使用される記号,符号の一類型を表したものと認識されるから,商品の出所識別標識として機能を果たす部分は,「シーマスター」の文字部分であるといえる。
そこで,本件商標と使用商標の「シーマスター」の文字部分を比較すると,両者は書体のみに変更を加えた同一の文字からなるものである。
そうすると,使用商標は,本件商標と社会通念上同一と認められる商標といえる。
(3)使用商品について
理研ビタミンが作成した原料納入規格書は,使用商品に係る規格書であると認められるところ,同規格書記載の商品特徴より使用商品は,「魚介エキス」であり,当該「魚介エキス」は,請求に係る指定商品中,第29類「加工水産物」の範ちゅうに含まれる商品であると認められる。
(4)使用者について
理研ビタミンは,本件商標権者と,平成14年6月18日付けで,本件商標について,3年間の商標使用許諾契約を締結したものであるところ,当該契約は両者が更新の契約を希望しない旨の通知をしない限り自動更新されるものであり,現に理研ビタミンは,上記(1),(2)のとおり本件商標権者に使用商標を付して使用商品を販売している。
したがって,理研ビタミンは,当該取引の時期においても本件商標権者に許諾を受けた通常使用権者であると認められる。
(5)小括
以上によれば,通常使用権者である理研ビタミンは,日本国内において,要証期間内である2021年5月6日に請求に係る商品中「加工水産物」の範ちゅうに含まれる「魚介エキス」の包装に,本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標を付したものを譲渡したと認めることができる。
そして,この行為は,商標法第2条第3項第2号にいう「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡する行為」に該当する。
3 まとめ
以上のとおり,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,本件商標に係る通常使用権者が,本件審判の請求に係る指定商品について,本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をした事実を証明したものと認めることができる。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,請求に係る商品についての登録を取り消すことはできない。
よって,結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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